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【発明の名称】 動作検出装置
【発明者】 【氏名】中村 秀樹

【氏名】北堂 正晴

【氏名】木寺 和憲

【要約】 【課題】被検出物の微小な動作を検出できる動作検出装置を提供することにある。

【構成】動作検出装置1は、人体9に装着され、3軸の加速度を検出する加速度検出手段2と、該加速度検出手段2より取得したある時点における人体の第1加速度ベクトル、及び前記ある時点から所定時間経過した時点の人体の第2加速度ベクトルを元に、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの間の角度θを算出する角度算出手段31と、該角度算出手段31で算出した角度θを元に、人体9の動作を検出する動作検出手段32とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物に装着され、少なくとも2軸の加速度を検出する加速度検出手段と、該加速度検出手段より取得したある時点における被検出物の第1加速度ベクトル、及び前記ある時点から所定時間経過した時点の被検出物の第2加速度ベクトルを元に、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの間の角度を算出する角度算出手段と、該角度算出手段で算出した角度を元に、被検出物の動作を検出する動作検出手段とを備えていることを特徴とする動作検出装置。
【請求項2】
角度算出手段は、第1加速度ベクトルを元に算出した逆正接の値と、第2加速度ベクトルを元に算出した逆正接の値との差を、前記角度として算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の動作検出装置。
【請求項3】
角度検出手段は、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの差分ベクトルの大きさを重力加速度の大きさで除算した値を、前記角度として算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の動作検出装置。
【請求項4】
角度検出手段は、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの差分ベクトルの大きさを、前記角度として算出するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の動作検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、人体等の被検出物の動作を検出する動作検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、人体等の被検出物に装着されて、被検出物の動作を検出するための動作検出装置が提供されており、この種の動作検出装置としては、振動センサや加速度センサを用いた歩数計や、歩行計、活動量計等がある。
【0003】
また、動作検出装置としては、特許文献1に挙げられるものがあり、特許文献1の動作検出装置は、重力方向及び重力方向に垂直な進行方向の2軸の加速度を検出する2軸加速度計を有して人体に装着される端末機と、端末機から伝送されるデータを元に人体の動作を検出する監視機とを備えている。
【0004】
ここで、監視機は、端末機の2軸加速度計より得た各軸の加速度値の変化の大きさ(つまり微分値の大きさ)を元にして、人体の動作を検出するように構成されている。
【特許文献1】特開2004−81632号公報(図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の動作検出装置は、歩行時等の大きな動作時には、2軸加速度計より得られる各軸の加速度値の変化が大きく、良好な動作検出を行うことができていた。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のように、動作の検出に加速度ベクトルの大きさの微分値を用いるものや、加速度ベクトルのノルムを用いるものでは、次のような問題が生じていた。すなわち、睡眠時や安静時等の微小な動作時では、2軸加速度計より得られる各軸の加速度値のうち重力加速度に由来しない加速度成分が、重力加速度に比べて小さくなるため、加速度の変化がノイズ等によって埋もれてしまい、動作を正確に検出できなくなっていた。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みて為されたもので、その目的は、被検出物の微小な動作を検出できる動作検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の問題を解決するために、請求項1の動作検出装置の発明では、被検出物に装着され、少なくとも2軸の加速度を検出する加速度検出手段と、該加速度検出手段より取得したある時点における被検出物の第1加速度ベクトル、及び前記ある時点から所定時間経過した時点の被検出物の第2加速度ベクトルを元に、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの間の角度を算出する角度算出手段と、該角度算出手段で算出した角度を元に、被検出物の動作を検出する動作検出手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
請求項2の動作検出装置の発明では、請求項1の構成に加えて、角度算出手段は、第1加速度ベクトルを元に算出した逆正接の値と、第2加速度ベクトルを元に算出した逆正接の値との差を、前記角度として算出するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
請求項3の動作検出装置の発明では、請求項1の構成に加えて、角度検出手段は、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの差分ベクトルの大きさを重力加速度の大きさで除算した値を、前記角度として算出するように構成されていることを特徴とする。
【0011】
請求項4の動作検出装置の発明では、請求項1の構成に加えて、角度検出手段は、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの差分ベクトルの大きさを、前記角度として算出するように構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜4の動作検出装置の発明は、加速度検出手段より取得したある時点における被検出物の第1加速度ベクトル、及び前記ある時点から所定時間経過した時点の被検出物の第2加速度ベクトルを元に、第1加速度ベクトルと第2加速度ベクトルとの間の角度を算出し、この算出した角度を元に被検出物の動作を検出するので、被検出物の動作が微小で重力加速度に由来しない加速度ベクトルの各成分の値が小さく、加速度ベクトルのノルムや、加速度ベクトルの大きさの微分値(差)では、加速度に殆ど変化が現れないような場合でも、加速度の変化を加速度ベクトルの回転として得ることができ、これにより、被検出物の微小な動作を検出できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下に、図1及び図2を参照して、本発明の動作検出装置の実施形態について説明する。
【0014】
(実施形態1)
本実施形態の動作検出装置1は、図1(b)に示すように、被検出物である人体9に装着されるものであって、図1(a)に示すように、3軸の加速度を検出する加速度検出手段2と、演算処理手段3と、出力手段4とを備えている。
【0015】
加速度検出手段2は、例えば、小型で低消費電力なMEMS(Micro ElectroMechanical Systems)を利用したピエゾ抵抗型の3軸の加速度センサであり、互いに垂直な3軸(x軸、y軸、z軸)の各加速度値をアナログ出力するように構成されている。尚、加速度検出手段2としては、互いに垂直な2軸の各加速度値をアナログ出力する所謂2軸の加速度センサであってもよい。また尚、1軸の加速度センサを複数用いることで、3軸の加速度センサや2軸の加速度センサと同等な出力が得られるように構成したものを用いてもよい。
【0016】
演算処理手段3は、例えばマイクロコンピュータ等であり、加速度検出手段2の出力(各軸の加速度値)をA/D変換するA/D変換手段30と、A/D変換手段30で取得したある時点tにおける人体9の第1加速度ベクトルa=(x,y,z)、及び前記ある時点tから所定時間経過した時点tにおける人体9の第2加速度ベクトルa=(x,y,z)を元に、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaとの間の角度θを算出する角度算出手段31と、該角度算出手段31で算出した角度θを元に、人体9の動作を検出する動作検出手段32とをソフトウェア等によって実現している。
【0017】
A/D変換手段30は、加速度検出手段2の出力を所定のサンプリング周期でサンプリングしてA/D変換して角度算出手段31に出力するものである。
【0018】
角度算出手段31は、A/D変換手段30を経て加速度検出手段2より取得した第1加速度ベクトルaと、第2加速度ベクトルaとの間の角度θを算出するように構成されているものであり、以下に角度θの算出方法について図2を参照して説明する。尚、以下の説明では、説明の簡略化のために、z軸方向の値が非常に小さく、各加速度ベクトルa,aをxy平面上の加速度ベクトルに近似できるとして、各加速度ベクトルa,aのx,y軸方向の値のみを用いて角度θの算出を行う場合について説明する。つまり、以下の説明では、第1加速度ベクトルa=(x,y)とし、第2加速度ベクトルa=(x,y)としている。
【0019】
第1加速度ベクトルa=(x,y)である場合、この第1加速度ベクトルaとx軸正方向との間の角度θは、逆正接(アークタンジェント)を用いれば、次式(1)で表すことができる。但し、πは円周率であり、mは整数である。
【0020】
【数1】



【0021】
また、第2加速度ベクトルa=(x,y)である場合、この第2加速度ベクトルaとx軸正方向との間の角度θは、逆正接(アークタンジェント)を用いれば、次式(2)で表すことができる。但し、nは整数である。
【0022】
【数2】



【0023】
ここで、第1加速度ベクトルaを検出した時点tと、第2加速度ベクトルaを検出した時点tとの間の時間が微小な時間であれば、角度θは大きく変化しないと考えられるため、m,nともに1であるとして問題ない。したがって、角度θは、次式(3)で表すことができる。
【0024】
【数3】



【0025】
以上述べたように、角度算出手段31は、第1加速度ベクトルaを元に算出した逆正接の値θと、第2加速度ベクトルaを元に算出した逆正接の値θとの差を、角度θとして算出し、この算出結果を、動作検出手段32に出力するように構成されている。尚、θを絶対値で示してもよい。
【0026】
動作検出手段32は、角度算出手段31により算出された角度θを元にして、被検出物である人体9の動作の検出を行うように構成されている。例えば、角度θが、所定の閾値以上となった際に、人体9が動作を行ったと判断し、その結果を出力手段4に出力する。
【0027】
出力手段4は、例えば、動作検出手段32で検出した人体9の動作を表示する液晶ディスプレイ(LCD)や、LED等を有する表示手段(図示せず)や、PC等の外部装置(図示せず)に伝送するための通信手段(図示せず)等を備えている。
【0028】
以上述べたように、本実施形態の動作検出装置1によれば、加速度検出手段2より取得したある時点tにおける人体9の第1加速度ベクトルa、及び時点tから所定時間経過した時点tのおける人体9の第2加速度ベクトルaを元に、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaとの間の角度θを算出し、この算出した角度θを元に人体9の動作を検出するので、人体9の動作が微小で加速度検出手段2より得られる加速度ベクトルの重力加速度に由来しない各成分の値が小さく、加速度ベクトルのノルムや、加速度ベクトルの大きさの微分値(差)では、加速度に殆ど変化が現れないような場合でも、加速度の変化を加速度ベクトルの回転として得ることができ、これにより、被検出物の微小な動作を検出できるという効果を奏する。
【0029】
尚、本実施形態では、被検出物として人体9の例を示しているが、被検出物は、人体9に限られるものではなく、動物等の生物であってもよいし、他の物体等であってもよく、自由に選択することができる。
【0030】
(実施形態2)
本実施形態の動作検出装置は、上記実施形態1の動作検出装置1と同様に、3軸の加速度を検出する加速度検出手段2と、演算処理手段3と、出力手段4とを備えているが、演算処理手段3の角度算出手段31の構成が上記実施形態1と異なっており、その他の構成については上記実施形態1と同様である。
【0031】
すなわち、本実施形態の角度算出手段31は、上記実施形態1と同様に、A/D変換手段30を経て加速度検出手段2より取得した第1加速度ベクトルa=(x,y,z)と、第2加速度ベクトルa=(x,y,z)との間の角度θを算出するように構成されているが、その算出方法が異なっており、以下に本実施形態の角度算出手段31における角度θの算出方法について説明する。
【0032】
本実施形態の角度θの算出方法では、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaの差分ベクトルaを用いる。ここで、差分ベクトルaは、次式(4)で表される。
【0033】
【数4】



【0034】
ここで、検出する動作が微小な動作であると考えると、各加速度ベクトルa,aの大きさ|a|,|a|は、重力加速度ベクトルgの大きさ|g|に近似することができ、この場合、差分ベクトルaの大きさ|a|は、角度θを用いて次式(5)のように表すことができる。
【0035】
【数5】



【0036】
また、微小な変化であれば、θ<<1と考えることができ、この場合、sinθ≒θと近似することができる。したがって、上記式(5)は、次式(6)のように表すことができる。
【0037】
【数6】



【0038】
したがって、角度θは、次式(7)により与えられる。
【0039】
【数7】



【0040】
以上述べたように、角度検出手段31は、第1加速度ベクトルa=(x,y,z)と第2加速度ベクトルa=(x,y,z)との差分ベクトルaの大きさ|a|を重力加速度ベクトルgの大きさ|g|で除算した値を、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaとの間の角度θとして算出するように構成されている。
【0041】
したがって、本実施形態の動作検出装置によれば、上記実施形態1と同様に、加速度検出手段2より取得したある時点tにおける人体9の第1加速度ベクトルa、及び時点tから所定時間経過した時点tのおける人体9の第2加速度ベクトルaを元に、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaとの間の角度θを算出し、この算出した角度θを元に人体9の動作を検出するので、人体9の動作が微小で加速度検出手段2より得られる加速度ベクトルの重力加速度に由来しない各成分の値が小さく、加速度ベクトルのノルムや、加速度ベクトルの大きさの微分値(差)では、加速度に殆ど変化が現れないような場合でも、加速度の変化を加速度ベクトルの回転として得ることができ、これにより、被検出物の微小な動作を検出できるという効果を奏する。
【0042】
ところで、重力加速度gの大きさ|g|は、一般に既知の値であるから、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaとの間の角度θに、重力加速度ベクトルgの大きさ|g|を乗じた値を、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaとの間の角度Θとして採用してもよい。このようにすれば、重力加速度ベクトルgの大きさ|g|による除算を省略することができ、これによりハードウェア構成を簡略化でき、製造コストの低減を図ることが可能となる。尚、このとき、当然ながら、動作検出手段32で用いる閾値は、θに対応するものではなく、Θに対応するものを用いる。
【0043】
尚、第1加速度ベクトルaと第2加速度ベクトルaとの間の角度θの算出方法としては、上記の例に限られるものではなく、例えば内積を計算することにより角度θの値を得るようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】(a)は、実施形態1の動作検出装置のブロック図であり、(b)は、動作検出装置の装着状態を示す説明図である。
【図2】角度θの算出方法の説明図である。
【符号の説明】
【0045】
1 動作検出装置
2 加速度検出手段
31 角度算出手段
32 動作検出手段
9 人体
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−29428(P2008−29428A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203941(P2006−203941)