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X線画像診断装置 - 特開2008−29393 | j-tokkyo
トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学

【発明の名称】 X線画像診断装置
【発明者】 【氏名】松岡 泰生

【要約】 【課題】X線平面検出器の経時変化に伴う検出誤差を低減して安定した高画質の画像を得るX線画像診断装置を提供する。

【構成】X線画像診断装置の電源投入によって前記操作装置の表示装置12に被検体情報を入力するためのID入力画面が表示(S301)されてから被検体情報が入力(S303)されるまでの間に、暗電流補正データを5秒毎に収集して加算処理し、これを暗電流補正データ収集部10bの記憶部に記憶する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に照射するX線を発生するX線発生手段と、
このX線発生手段と対向配置され前記被検体を透過したX線信号を検出しこれを電気信号に変換するX線平面検出器によるX線検出手段と、
このX線検出手段によって暗電流補正データを収集する暗電流補正データ収集手段と、 前記収集された補正データを用いて前記X線検出手段の出力信号を補正する暗電流補正手段と、
この暗電流補正手段によって補正された信号を入力して画像処理を施し前記被検体のX線透過画像を生成する画像処理手段とを備えたX線画像診断装置であって、
前記暗電流補正データ収集手段は、撮影開始前に前記X線の放射無しに前記X線平面検出器の暗電流を第1の所定周期で読み出し制御する暗電流読み出し制御手段と、
この制御手段で読み出された暗電流の加算平均値を前記第1の所定周期毎に更新して記憶する記憶手段と、
前記暗電流補正データ収集後であって前記X線発生手段からのX線曝射開始前に前記X線平面検出器の出力を前記記憶手段に記憶することなしに読み出す空読み手段とを備えたことを特徴とするX線画像診断装置。
【請求項2】
前記空読み手段は、第2の所定周期で空読みを行う第1の空読み手段と、撮影準備動作検出信号をトリガーとして空読みを行う第2の空読み手段と、この第2の空読み手段による空読みを前記第1の空読み手段よりも優先して空読みを行う空読み優先処理手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のX線画像診断装置。
【請求項3】
前記第2の空読み手段の撮影準備動作検出信号は、前記X線発生手段とX線検出手段とから成るX線撮影系の位置決め動作信号及び/又は前記被検体の位置決め動作信号であることを特徴とする請求項2に記載のX線画像診断装置。
【請求項4】
前記第2の空読み手段の撮影準備動作信号は、前記被検体を載置する載置台上に設けたマットスイッチの動作信号、又は、前記被検体を載置する載置台上の被検体の赤外線エネルギーを検知する任意の場所に設けた赤外線センサーの動作信号の何れか一方であることを特徴とする請求項3に記載のX線画像診断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のX線検出素子で構成されるX線平面検出器をX線検出手段に用いるX線画像診断装置に係り、特にX線平面検出器の暗電流を補正して高画質の画像を得るに好適なX線画像診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、X線画像を直接デジタル画像として撮影するために、デジタル画像がリアルタイムで得られるX線平面検出器と呼ばれる半導体式デジタルX線検出器を用いたX線画像診断装置が実用化されている。
【0003】
前記X線平面検出器には、X線変換方式により間接変換方式と直接変換方式とがあり、前記間接変換方式は、X線を吸収するシンチレータでX線をいったん光に変換した後、この変換された光をフォトダイオードで電荷量に変換し、この電荷量を読み出してX線画像データを得る方式である。
これに対して、前記直接変換方式は、X線を吸収するX線−電荷の変換材料(フォトコンダクタと呼ばれ、セレンが用いられる)でX線エネルギーを直接に電荷(電子-正孔ペア)量に変換し、この変換された電荷量を読み出してX線画像データを得る方式である。
【0004】
前記いずれの変換方式においても、大きく分けると、X線のエネルギーを光若しくは電荷量に変換するX線変換部と、このX線変換部で変換された光を電荷に変換した値、若しくは前記X線エネルギーを直接電荷に変換した値を検出する二次元半導体検出素子アレィによる検出部とで構成され、これらのX線平面検出器には、X線が入射されない時の該X線平面検出器で検出される暗電流と呼ばれるオフセット値が存在する。
このオフセット値は画素ごとの漏れ電流によって生じるもので、X線平面検出の温度や時間経過によって変化し、このため被検体を透過したX線検出信号から前記暗電流によるオフセット値を減算してX線画像データを補正し、この補正したデータに各種の画像処理を施して所望のX線画像を得ている。
【0005】
このように、X線検出手段にX線平面検出器を用いた場合は、該検出器の暗電流補正処理が必要で、この暗電流補正技術が特許文献1に開示されている。
この特許文献1の暗電流補正は、暗電流を検出する手段と、この検出した信号を用いて出力信号を補正する暗電流補正手段と、暗電流を補正する指令を入力する暗電流補正指令入力手段と、暗電流値の変化分を検出する暗電流変化値検出手段と、前記暗電流の変化値が所定値を越えたときに暗電流の補正が必要であることを判断する暗電流補正判断手段と、この暗電流補正判断手段から暗電流の補正が必要であることを報知する暗電流補正報知手段とを備えて、X線平面検出器の暗電流の変化を常に監視し、この暗電流が所定の変化値を超えた際に暗電流補正を行うようにしたものである。
【特許文献1】特開2004-121718号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の技術は、暗電流値の変化分を検出して該暗電流の変化値が所定値を越えたときに暗電流を補正するものであるため、暗電流が所定値以下の場合は暗電流の補正は行われない。
このため、暗電流が所定値以下の各撮影においては、撮影毎の暗電流に差が生じるために、各撮影における撮影画像の画質も異なるものとなる。
また、暗電流が前記所定値以下であっても暗電流が存在するので、この暗電流は画質向上の妨げとなって、さらなる画質向上は望めない。
【0007】
さらに、暗電流補正処理を実行するためには、操作者が暗電流補正指令入力手段としての補正ボタン22(特許文献1の図1参照のこと)を押さなければならないが、この方法では以下の問題が生じる。
すなわち、一般撮影の標準の撮影手順は、被検体の撮影位置への位置決めを行い、この位置決めした撮影位置にX線が照射されるようにX線発生系を位置決めした後に撮影を行う。
そこで、前記補正ボタンは、被検体の位置決め前に押すのが理想的であるが、しかし、補正ボタンの押し忘れがあった場合は、補正データが収集されないで撮影することになり、画質が悪化すると共に画質にばらつきが生じる。
【0008】
また、上記位置決め後に補正ボタンを押して補正データを収集すると、この収集の期間に被検体が位置決めした姿勢を維持できなくなって動いた場合は、再度位置決めをやり直さなければならない。
このため、位置決めから撮影終了までの一連の処理に多くの時間を費やし、この結果、撮影スループットが低下する。
これは、所定時間内に多くの撮影を行わなければならない健康診断用検査の場合はその影響が大きいものとなる。
【0009】
さらにまた、補正スイッチを押すタイミングが撮影者によって異なること及び撮影者が同じでも補正スイッチを押すタイミングが撮影の都度異なることによって暗電流補正データが異なり、これによってX線平面検出器の出力にばらつきを生じ、画質のばらつきの要因となる。
【0010】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、X線平面検出器の経時変化に伴う検出誤差を低減して、安定した高画質の画像を得るX線画像診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るX線画像診断装置は、被検体に照射するX線を発生するX線発生手段と、このX線発生手段と対向配置され前記被検体を透過したX線信号を検出しこれを電気信号に変換するX線平面検出器によるX線検出手段と、このX線検出手段によって暗電流補正データを収集する暗電流補正データ収集手段と、前記収集された補正データを用いて前記X線検出手段の出力信号を補正する暗電流補正手段と、この暗電流補正手段によって補正された信号を入力して画像処理を施し前記被検体のX線透過画像を生成する画像処理手段とを備えたX線画像診断装置であって、前記暗電流補正データ収集手段は、撮影開始前に前記X線の放射無しに前記X線平面検出器の暗電流を第1の所定周期で読み出し制御する暗電流読み出し制御手段と、この制御手段で読み出された暗電流の加算平均値を前記第1の所定周期毎に更新して記憶する記憶手段と、前記暗電流補正データ収集後であって前記X線発生手段からのX線曝射開始前に前記X線平面検出器の出力を前記記憶手段に記憶することなしに読み出す空読み手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
このように構成された本発明によるX線画像診断装置は、撮影前に暗電流補正データを収集しておき、撮影開始直前にX線平面検出器のX線検出物質層に蓄積された電荷を消去してX線平面検出器の暗電流の変動分を最小とし、前記X線平面検出器で検出したデータを前記収集した暗電流補正データを用いて暗電流補正を行うようにしたので、撮影毎に暗電流補正データに差が無く、かつX線平面検出器の検出データには、前記X線検出物質層に蓄積された電荷による差が無いものとなる。
また、前記暗電流補正データは、検査開始指令が入力されるまでの間に暗電流を取り込んでから加算平均処理を行ってこれを記憶するまでの一連の処理に要する時間間隔毎に収集し、この収集した暗電流値の加算平均値を更新した値を用いて補正されるので、画像データの補正精度は向上する。
これによって、暗電流の変動によるばらつきがなく、安定した高画質の撮影画像を得ることができる。
【0013】
前記空読み手段は、第2の所定周期で空読みを行う第1の空読み手段と、撮影準備動作検出信号をトリガーとして空読みを行う第2の空読み手段と、この第2の空読み手段による空読みを前記第1の空読み手段よりも優先して空読みを行う空読み優先処理手段とを備えて空読みすることを特徴とする。
【0014】
このように、前記第2の空読み手段による空読み優先する構成としたので、前記第1の空読み手段の動作タイミングと撮影タイミングとが重なるという不具合を生じることなく撮影が可能となる。
【0015】
前記第2の所定周期は、前記暗電流補正データ収集手段の第1の所定周期よりも長いことを特徴とする。
前記第1の所定周期は、暗電流を取り込んでから加算平均処理を行ってこれを記憶するまでの一連の処理に要する時間であり、前記第2の所定周期は、前記X線検出物質層に蓄積される電荷を空読みして該電荷を消去できる時間から求まる時間であるので、前記第1の所定周期よりも長い方が望ましい。
【0016】
前記第2の空読み手段の撮影準備動作検出信号は、前記X線発生手段とX線検出手段とから成るX線撮影系の位置決め動作信号及び/又は前記被検体の位置決め動作信号であることを特徴とし、特に前記被検体を載置する載置台上に設けたマットスイッチの動作信号、あるいは前記被検体を載置する載置台上の被検体の赤外線エネルギーを検知する任意の場所に設けた赤外線センサーの動作信号とすることにより撮影準備動作検出を正確に検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、撮影前に暗電流補正データを収集しておき、撮影開始直前にX線平面検出器のX線検出物質層に蓄積された電荷を消去して前記収集した補正データによりX線平面検出器で検出したデータを補正するようにしたので、撮影毎の暗電流補正データに差が無く、かつ前記X線検出物質層に蓄積された電荷の変動も最小となって、X線平面検出器の経時変化に伴う検出誤差が低減して安定した高画質の画像が得られるX線画像診断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明によるX線画像診断装置の好ましい実施の形態として、立位撮影台を用いた胸部撮影に本発明を適用した例について、以下添付図面を用いて詳細に説明する。
図1は胸部撮影に本発明を適用したX線画像診断装置の全体構成図である。このX線画 像診断装置は、撮影室に設置されたX線撮影系と操作室に設置された操作系及び画像処理系で構成される。
【0019】
前記X線撮影系は、被検体1に照射するX線を発生するX線管装置2と、前記被検体1に照射するX線の照射範囲を制限するX線可動絞り装置3と、前記X線管装置2とX線可動絞り装置3などから成るX線発生部(X線発生手段)を支持する天井吊りのX線発生部支持装置4と、前記X線発生部と対向配置され前記被検体1の透過X線を検出しこれをディジタル画像データに変換するX線平面検出器5a及び該X線平面検出器5aで検出したデータを読み出し制御するX線平面検出器制御装置5bとから成るX線検出部5(X線検出手段)と、このX線検出部5を床上に支持するX線検出部支持装置6と、前記被検体1を胸部撮影部位に位置決めする撮影台7と、この撮影台7の上に設けられ前記被検体1が前記撮影台7の上に立っていることを検知するマットスイッチ8と、X線撮影条件に対応して前記X線管装置2の陽極と陰極間に印加する高電圧(以下、この電圧を管電圧と記す)を発生する機能及び前記X線管装置2の陽極と陰極間に流れる電流(以下、この電流を管電流と記す)を制御する機能を備えたX線高電圧装置9とで構成される。
【0020】
前記操作系及び画像処理系は、前記X線平面検出器5aで検出したディジタル画像データに該X線平面検出器5aの暗電流補正、ゲイン補正などの各種補正処理を施し、この補正処理された画像データにダイナミックレンジ圧縮処理、フィルタ処理等を行って得られた画像データから撮影画像を生成する画像処理装置10(画像処理手段)と、撮影条件、撮影部位、患者名及び撮影や画像処理に必-要な各種のパラメータを入力する入力装置11とこの入力装置11で入力して設定した撮影に必要なパラメータ等を表示する表示装置12(CRTや液晶モニタ等でX線画像を表示するモニタを備えたものも含む)とを備えた操作装置と、この操作装置で設定した前記X線撮影条件及び撮影制御パラメータに基づいて撮影を制御する図示省略の撮影制御装置とを備えて構成される。
【0021】
前記天井吊りのX線発生部支持装置4は、前記X線発生部を上下、左右に移動させる移動調整機構を備え、前記X線検出部支持装置6は、前記被検体2の撮影部位に位置決めするための前記X線平面検出器5aを被検体の身長に合わせて上下に昇降する移動調整機構を備えており、前記天井吊りX線発生部支持装置4の移動調整機構と前記X線検出部支持装置6の移動調整機構を用いて前記被検体2の撮影部位である胸部をX線照射範囲に位置決めできるように構成されている(X線発生手段とX線検出手段とから成るX線撮影系の位置決め手段)。
【0022】
前記X線平面検出器5aは、X線を電気信号に変換する変換方式が間接変換方式の場合、図示は省略するが、被検体1を透過したX線を電荷に変換するX線検出物質層と、この電荷を読み出して電気信号に変換するTFT(Thin Film Transistor)トランジスタで構成されるX線検出素子アレィと、前記TFTトランジスタで変換された電気信号を増幅する増幅回路と、この増幅回路により増幅された電気信号を積分する積分回路と、前記X線検出物質層により変換された電荷をTFTトランジスタにより読み出すタイミングの制御を行うライン制御回路と、前記積分回路の出力であるアナログ信号をディジタル信号に変換するA/D変換器とから構成される。
【0023】
このような構成のX線平面検出器5aには、X線が入射されない時の暗電流と呼ばれるオフセット値が存在し、このオフセット値は前記TFTトランジスタのの漏れ電流によって生じるもので、周辺温度や時間経過によって変化する。
【0024】
このように、X線平面検出器5aには暗電流によるオフセット値が存在するので、このオフセット値の補正処理が必要となる。
本発明は、前記オフセット値の補正処理を撮影の都度、毎回行って周辺温度や時間経過の影響を受けないようにするもので、以下、前記オフセット値の補正処理を暗電流補正処理と記し、この暗電流補正処理に用いるデータ(オフセット値)を暗電流補正データと記すこととする。
【0025】
なお、前記X線平面検出器制御装置5bは、前記X線平面検出器5aで検出したX線検出信号を読み出し、この読み出したX線検出信号及び前記暗電流補正データを前記画像処理装置10に取り込むための制御を行うものである(暗電流読み出し制御手段も含む)。
【0026】
前記操作装置の入力装置11は、キーボードやマウス等を備え、前記表示装置12の表示画面には、ID入力画面、撮影部位設定画面、撮影待機画面等があり、これらの表示画面を操作者がタッチして該画面を切り替えて表示するタッチパネル式の表示装置が好適である。
【0027】
また、前記入力装置11及び表示装置12を備えた操作装置の操作制御は、図示は省略するが、各構成要素の動作を制御する中央処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納する主メモリと、患者情報や入力された操作制御データを記憶するハードディスク及び一時記憶メモリと、前記表示装置12の画面上のソフトスイッチを操作するマウス及びそのコントローラと、各種パラメータ設定用のキーやスイッチを備えたキーボードと、上記各構成要素を接続する共通バス等から成るマイクロコンピュータで構成されたハードウェアを用いてソフトウェアによって制御される。
【0028】
前記図示省略の撮影制御装置は、前記操作装置で設定したX線撮影条件に対応するX線制御信号を生成して前記X線高電圧装置9を制御する。
また、X線発生部及びX線検出部5を所定の位置に保持し、前記X線可動絞り装置3によるX線照射野の制限や撮影の開始と終了等の制御を行う。
【0029】
前記X線高電圧装置9は、前記X線管装置2の陰極であるフィラメントに電流を流して該フィラメントを所定の温度に加熱しておき、前記X線管装置2の陽極と陰極間に印加する直流の高電圧である管電圧を発生する装置で、この高電圧の印加により前記X線管からX線が放射される。
X線量の制御は、前記X線管装置2の陰極であるフィラメントに流れる電流を制御してX線管装置2の陽極と陰極間に流れる管電流、前記管電圧及び撮影時間の制御により行う。
【0030】
なお、図示は省略したが、前記操作装置には、X線照射指令用のスイッチを備えており、このスイッチは、撮影準備スイッチである一段目のスイッチと撮影スイッチである二段目のスイッチとから成り、前記一段目のスイッチを押すと、前記X線管装置2のフィラメントを加熱し、回転陽極を高速に回転させる。
そして、前記フィラメントの温度と前記回転陽極の回転数が所定値に達して撮影準備が完了すると、操作者は前記二段目のスイッチを押して前記X線管装置2に高電圧を印加し、X線を放射して撮影を開始する。
前記操作装置で設定された撮影時間(撮影タイマー)になると、この撮影タイマーのオフ信号で撮影は終了する。
【0031】
前記画像処理装置10は、図2に示すように、前記X線平面検出器制御装置5bの制御により、X線平面検出器5aで検出したデータを読み出して収集する画像データ収集部10aと、撮影前にX線平面検出器5aの暗電流を読み出して収集する暗電流補正データ収集部10bと、前記画像データ収集部10aで収集した被検体1を透過したX線透過データから前記暗電流補正データ収集部10bで収集した暗電流補正データを減算して補正する暗電流補正処理及びゲイン補正等の各種補正処理を行う補正処理部10cと、この補正処理部10cで補正処理された画像データにダイナミックレンジ圧縮処理、フィルタ処理等の各種の画像処理を施して撮影画像データを生成する画像処理部10dと、該撮影画像データを記憶する撮影画像データ記憶部10eで構成される。
【0032】
前記画像処理装置10のハードウェアは、図示は省略するが、各構成要素の動作を制御する中央処理装置(CPU)と、制御プログラム等を格納する主メモリと、処理された画像データや付帯情報データ等を記憶するハードディスク及び一時記憶メモリと、表示装置(図1の表示装置12と同じもの)の画面上のソフトスイッチを操作するマウス及びそのコントローラ(図1の入力装置11と同じもの)と、各種パラメータ設定用のキーやスイッチを備えたキーボード(図1の入力装置11と同じもの)と、上記各構成要素を接続する共通バス等から成るマイクロコンピュータで構成され、画像処理はソフトウェアによって制御されて処理される。
【0033】
次に、上記構成のX線画像診断装置を用いて胸部撮影を行う本発明の動作について説明する。
本発明は、X線平面検出器5aの暗電流の変動分を極力少なくして安定した高画質の撮影画像を得るために撮影前に以下の三つの処理を行う。
【0034】
(1)暗電流補正データの収集
X線画像診断装置の電源投入によって前記操作装置の表示装置12に被検体情報を入力するためのID入力画面が表示された後に、暗電流補正データを収集する。この暗電流補正データは、ID入力画面が表示されている間、X線平面検出器制御装置5bによりX線平面検出器5aの暗電流値を読み取り、これを前記暗電流補正データ収集部10bに入力して該暗電流補正データ収集部10bの図示省略の記憶部に記憶しておく。
前記暗電流補正データの収集は、前記入力装置11から被検体情報が入力されるまで5秒毎に収集し、これらの収集データを暗電流補正データ収集部10bの加算平均処理部(図示省略)で加算平均処理し、この処理された加算平均値を前記記憶部に記憶し、これを暗電流補正データとする。
前記暗電流補正データの収集時間間隔は、暗電流を取り込んでから加算平均処理を行ってこれを記憶するまでの一連の処理に要する時間で、胸部撮影装置の場合は5秒程度である。
【0035】
(2)X線検出物質層に蓄積された電荷の消去
前記X線平面検出器5aのX線検出物質層に蓄積される電荷は時間の経過に伴って増大する。前記暗電流補正データを収集してから撮影開始までには所定の時間がかかるために(被検体情報入力、被検体の位置決め等)、この時間の間に前記電荷は増大する。この電荷の増大分は、前記画像データ収集部10aで収集する被検体1を透過したX線透過データに含まれるので、該電荷の増大分は撮影毎に異なる値であり、撮影画像の画質のばらつき及び画質低下の要因となる。
【0036】
そこで、本発明においては撮影開始直前に前記電荷を消去するために、前記暗電流補正データを収集してから撮影が開始されるまでにX線平面検出器の出力を記憶することなしに読み出すことを行う。
このような電荷の読み出しは、“空読み”と呼ばれ、この空読みを以下により行う。
1)撮影手技が選択されて位置決め等の撮影準備の終了後までの撮影待機状態では、2分間隔(第2の周期)で空読みを行う(第1の空読み手段)。
2)前記撮影待機状態で前記空読みを強制的に行う強制空読みトリガー信号(影準備動作検出信号)が発生した場合は、前記2分間隔の空読みに優先して(空読み優先処理手段)空読みを行う(第2の空読み手段)。
【0037】
前記第1の空読み手段で空読みする時間間隔は、前記X線検出物質層に蓄積される電荷を空読みして該電荷を消去できる時間から求まる時間で、胸部撮影装置の場合は前記暗電流補正データの収集時間より長い2分程度である。
【0038】
このように、本発明は、上記暗電流補正データの収集(暗電流補正データ収集手段)、2分間隔の空読み(第1の空読み手段)及び強制空読みトリガー信号による空読み(第2の空読み手段)を行って暗電流によるオフセット値の変動を最小値にして透過X線検出データを補正するもので、これらの手段を用いて撮影を行う動作について、図3のフローチャートにより詳細に説明する。
【0039】
(1)X線画像診断装置の電源が投入されると、操作装置の表示装置12の表示画面にはID入力画面が表示される(S301)。
(2)ID入力画面が表示されてIDの入力待ちの間に、操作装置から暗電流補正データを収集するための制御信号がX線平面検出器制御装置5bに入力され、該X線平面検出器制御装置5bはX線平面検出器5aの出力データ、すなわち暗電流値の読み出し制御(暗電流読み出し制御手段)を行って該暗電流値は画像処理装置10の暗電流補正データ収集部10b(暗電流補正データ収集手段)に取り込まれ、該暗電流補正データ収集部10bの記憶部(暗電流補正データ記憶手段)に記憶される。
【0040】
この暗電流読み出し処理は、操作者からの検査開始指令が入力されるまでの間に5秒間隔(第1の周期)で行われ、これによって取り込まれた暗電流値は5秒毎に加算平均処理され、この加算平均された暗電流値は暗電流補正データとして暗電流補正データ収集部10bの記憶部に記憶される。
【0041】
上記X線平面検出器制御装置5bへの暗電流読み出し制御は、前記操作部のCPUの制御の下に行われ、前記暗電流補正データ収集部10bで処理する加算平均処理及び記憶処理は前記画像処理装置のCPUの制御の下に行われる。
このように、以下の処理においても上記と同様に、操作処理は操作部のCPUにより、画像処理は画像処理装置10のCPUによって制御され、これらは並行して実行されるように構成されている。
【0042】
(3)操作者が操作装置の入力装置11から検査開始指令を入力すると、検査開始指令有無の判断部(S302)で検査開始指令有りと判断して入力装置11から被検体情報(氏名、ID番号、性別、生年月日等)を入力する(S303)。
【0043】
(4)被検体情報が入力されると、表示装置12の表示画面には撮影手技選択画面が表示され、この選択画面から目的とする撮影手技を選択する(S304)。
【0044】
(5)次に撮影準備を行う(S305)。
この撮影準備は、表示装置12の表示画面に表示された撮影部位設定画面及び撮影条件設定画面等のソフトスイッチを操作して撮影部位及び撮影条件等の設定と、X線撮影系の位置決め(X線管2の照射方向及び位置、X線平面検出器5aの位置)、被検体の位置決めを行う。
そして、ここで最初の空読みを行う(第1の空読み手段)。
【0045】
(6)前記空読み後2分未満か否かを判断し(S306)、空読み後2分未満の場合は強制空読みトリガー信号(撮影準備動作信号である図1のマットスイッチ8のオン信号)が入力されており(S308)、このトリガー信号により空読みを行う(第2の空読み手段)。
前記空読み後2分未満でない場合は、更に空読みを行って(第1の空読み手段)撮影準備を続ける。
【0046】
(7)上記トリガー信号により空読みを行って、X線曝射開始指令であるX線曝射スイッチがオンか否かを判断する(S309)。
X線曝射スイッチがオンの場合はX線を曝射して撮影を開始し、X線曝射スイッチがオフの場合はS305に戻って上記と同様の処理(S306、S307、S308)
を行う。
このように、上記撮影準備からX線曝射スイッチがオンするまでの撮影待機状態においては、前記X線曝射スイッチがオンするまでに空読みを行ってX線平面検出器5aのX線検出物質層に蓄積される電荷を消去する。
【0047】
(8)X線曝射スイッチがオンして撮影を開始し、X線平面検出器5aの出力を読み出してこれを画像処理装置10の画像データ収集部10aに収集して画像データを取得する(S310)。
【0048】
(9)S304で選択した撮影手技の画像データを取得して該手技の撮影が終了すると、全撮影手技の撮影が終了かをS311で判断し、終了していない場合は次の撮影手技をS304で選択して上記と同様に撮影を行う。
全撮影手技の撮影を行った場合は、当該被検体の撮影を終了とし、ID入力画面表示(S301)に戻り、次の被検体を待つ。
【0049】
(10)上記検査開始指令有無の判断部(S302)で検査開始指令が無い場合は、X線画像診断装置の電源を遮断して検査終了とする。
【0050】
上記S301〜S310の処理過程を経て取得した画像データから前記暗電流補正データ収集部10bに記憶してある暗電流補正データを減算して暗電流補正処理を行い、さらにゲイン補正等の各種補正処理を補正処理部10cで行い、この補正処理部10cで補正処理された画像データにダイナミックレンジ圧縮処理、フィルタ処理等の各種の画像処理を施して撮影画像データを画像処理部10dで生成し、この処理された撮影画像データを撮影画像データ記憶部10eに記憶すると共に画像モニタを備えたX線画像診断装置の場合は、前記画像データに表示制御処理を施して前記画像モニタに撮影画像を表示して診断に供する。
【0051】
このように、本発明によるX線画像診断装置は、撮影前に暗電流補正データを収集しておき、撮影開始直前にX線平面検出器のX線検出物質層に蓄積された電荷を消去してX線平面検出器の暗電流の変動分を最小とし、前記X線平面検出器で検出したデータを前記収集した暗電流補正データを用いて暗電流補正を行うようにしたので、撮影毎に暗電流補正データに差が無く、かつX線平面検出器の検出データには、前記X線検出物質層に蓄積された電荷による差が無いものとなる。
これによって、暗電流の変動によるばらつきがなく、安定した高画質の撮影画像を得ることができる。
【0052】
前記暗電流補正データは、検査開始指令が入力されるまでの間に5秒間隔で暗電流を収集し、この収集した暗電流値の加算平均値である。
このように、暗電流補正データは5秒間隔で更新されるので、この更新された補正データを用いて補正された画像データの補正精度は向上し、この補正された画像データを用いて生成された撮影画像は高画質なものとなる。
【0053】
前記X線平面検出器のX線検出物質層に蓄積された電荷の消去は、被検体が撮影台に立っていることを検出するマットスイッチのオン動作信号で前記電荷を消去するための空読み手段(第2の空読み手段)と、前記暗電流補正データ収集後に2分間隔で前記電荷を空読みする手段(第1の空読み手段)とを備え、前記第1の空読み手段と前記第2の空読み手段のうちの前記第2の空読み手段を優先する構成(空読み優先処理手段)としたので、前記第1の空読み手段の動作タイミングと撮影タイミングとが重なるという不具合を生じることなく撮影が可能となる。
【0054】
前記第2の空読み手段の空読みトリガー信号は、被検体が撮影台に立っていることを検出するマットスイッチのオン動作信号であるので、特許文献1のように補正ボタンの押し忘れによる暗電流補正データの収集及び空読みが行われないということはなくなり、画質が悪化すると共に画質にばらつきが生じるという問題は生じない。
【0055】
また、特許文献1のように、被検体の位置決め後に補正ボタンを押して補正データを収集すると、この収集の期間に被検体が位置決めした姿勢を維持できなくなって動いた場合は、再度位置決めをやり直さなければならなくなり、位置決めから撮影終了までの一連の処理に多くの時間を費やし、この結果、撮影スループットが低下する。
これに対して、本発明は、暗電流補正データの収集と空読みをタイマー(5秒間隔、2分間隔)とマットスイッチで自動的に行うので、上記の問題は生じない。
【0056】
また、特許文献1の技術で問題となっていた補正スイッチを押すタイミングが撮影者によって異なること及び撮影者が同じでも補正スイッチを押すタイミングが撮影の都度異なることに起因する問題も本発明においては自動的に補正を行うので生じない。
【0057】
以上、図1の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定するものではなく、本発明の主旨に逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、空読み用トリガー信号にマットスイッチを用いたが、これは、X線検出部支持装置6のX線平面検出器5aを上下に移動させた時に動作するスイッチ、撮影台を昇降させた時に動作するスイッチ、天井吊りX線発生部支持装置4が上下、左右に移動したときに動作するスイッチ、X線管装置2の照射方向が移動したときに動作するスイッチ、X線可動絞り装置3の照射野ランプが点灯したときに動作するスイッチ等を設けて、これらの位置決め動作スイッチ信号をトリガー信号としても良い。
【0058】
なお、撮影台が臥位撮影台の場合は、被検体を載置する天板の上に載せるマットスイッチ、臥位撮影台が昇降するときに動作するスイッチ、X線平面検出器の位置決め時に動作するスイッチ及び上記立位撮影台と同様、天井吊りX線発生部支持装置4が上下、左右に移動したときに動作するスイッチ、X線管装置2の照射方向が移動したときに動作するスイッチ、X線可動絞り装置3の照射野ランプが点灯したときに動作するスイッチ等をトリガー信号とする。
その他、操作器がリモコンの場合はリモコンの操作信号をトリガー信号としたり、あるいはX線発生部に赤外センサを備えて、このセンサで被検体の赤外線エネルギーを検知してトリガー信号としても良い。
【0059】
このように、本発明の空読み用トリガー信号には、X線撮影系の位置決め(X線管2の照射方向及び位置、X線平面検出器5aの位置)、被検体の位置決め動作を検出できるもの(位置決め動作信号)であればどのような信号でも良く、特定のものに限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】胸部撮影に本発明を適用したX線画像診断装置の全体構成図。
【図2】画像処理装置の構成ブロック図。
【図3】本発明の動作を説明するためのフローチャート図。
【符号の説明】
【0061】
1 被検体、2 X線管装置、3 X線可動絞り装置、4 X線発生部支持装置、5 X線検出部、5a X線平面検出器、5b X線平面検出器制御装置、6 X線検出部支持装置、7 撮影台、8 マットスイッチ、9 X線高電圧装置、10 画像処理装置、10a 画像データ収集部、10b 暗電流補正データ収集部、10c 補正処理部、10d 画像処理部、10e 撮影画像データ記憶部、11 入力装置、12 表示装置
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成18年7月26日(2006.7.26)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−29393(P2008−29393A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−203320(P2006−203320)