トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学

【発明の名称】 放射線検出器
【発明者】 【氏名】郷野 誠

【氏名】黒地 治夫

【要約】 【課題】複数の検出素子列を用いて空間分解能が高い撮影を行うのに好適な放射線検出器を実現する。

【構成】検出素子列250′,270′を前記放射線ビームの厚みの方向に配設してなる検出器アレイ24で検出する放射線検出器であって、前記各放射線検出素子は互いに同一な平行四辺形の入射面を有し、前記放射線ビームの厚みの方向に隣接する放射線検出素子同士で全体として平行四辺形130の入射面を形成し、この合成の平行四辺形130にあっては、検出素子列250′,270′の配設方向に見たときの上辺および下辺と垂直な対角線を有していて、この対角線を境とする2つの合同な直角三角形の組み合わせで構成されており、前記合成の平行四辺形における複数の検出素子列で、同一スライスに関する放射線の検出を行うことを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ放射線ビームを、入射面を前記放射線ビームが入射する方向に向けて複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイで検出する放射線検出器であって、
前記各放射線検出素子は互いに同一な平行四辺形の入射面を有し、前記放射線ビームの厚みの方向に隣接する放射線検出素子同士で全体として平行四辺形の入射面を形成し、この合成の平行四辺形にあっては、検出素子列の配設方向に見たときの上辺および下辺と垂直な対角線を有していて、この対角線を境とする2つの合同な直角三角形の組み合わせで構成されており、前記合成の平行四辺形における複数の検出素子列で、同一スライスに関する放射線の検出を行う
ことを特徴とする放射線検出器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線断層撮影方法および装置、放射線検出器並びにX線管に関し、特に、扇状の放射線ビームを用いる放射線断層撮影方法および装置、幅と厚みを持つ放射線ビーム用の放射線検出器、並びに、幅と厚みを持つ放射線ビームを発生するのに用いるX線管に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線断層撮影装置の一例として、例えば、X線CT(computed tomography)装置がある。X線CT装置においては、放射線としてはX線が利用される。X線発生にはX線管が使用される。
【0003】
X線管を含むX線照射装置は、撮影範囲を包含する幅を持ちそれに垂直な方向に所定の厚みを持つX線ビーム(beam)を照射する。X線ビームの厚みはコリメータ(collimator)のX線通過開口(アパーチャ(aperture))の開度を調節することにより変更できるようになっており、これによって撮影のスライス(slice)厚を調節できるようになっている。
【0004】
X線検出装置は、X線ビームの幅の方向に多数(例えば1000個程度)のX線検出素子をアレイ(array)状に配列した多チャンネル(channel)のX線検出器を有しそれによってX線を検出するようになっている。
【0005】
X線照射・検出系を被検体の周りで回転(スキャン:scan)させて、被検体の周囲の複数のビュー(view)方向でそれぞれX線による被検体の投影データ(data)を測定し、それら投影データに基づいて断層像を生成(再構成)するようになっている。
【0006】
再構成画像の空間分解能は、検出素子アレイのチャンネルピッチ(channel pitch)によって決まるが、チャンネルピッチの2倍の細かさの空間分解能を実現するために、いわゆるクォーターオフセット(quater
offset)の手法が用いられる。
【0007】
これは、図p1に模式的に示すように焦点100を持つ扇状のX線ビーム102と検出素子アレイ104の幾何学的関係(ジオメトリ:geometry)を、検出素子アレイ104の中央チャンネル106のチャンネル中心108と焦点100を結ぶ直線110が、X線照射・検出系の回転中心(アイソセンタ:isocenter)112から離れた(オフセットした)ところを通るようにしたものである。
【0008】
オフセットの距離は、回転中心110での値に換算した中央チャンネル106のチャンネル幅をpとしたとき、その1/4(クォーターオフセット)となるようにしてある。換算チャンネル幅pは、中央チャンネル106のチャンネル幅をX線ビームの経路に沿って回転中心110の位置に逆投影したものに相当する。
【0009】
このようなジオメトリでは、X線照射・検出系を180度回転させると、破線および2点鎖線で示すように、焦点100’と中央チャンネル106のチャンネル中心108’を結ぶ直線110’は、回転中心112から直線110とは反対側にp/4離れた平行線となる。
【0010】
直線110,110’はいずれも中央チャンネル106に入射するX線の経路を代表するから、このとき、同一の中央チャンネル106によってX線の経路がチャンネル幅の方向にp/2異なるX線透過信号がそれぞれ得られる。
【0011】
他のチャンネルについてもX線の方向が互いに反対な関係(対向ビュー)のもの同士で同様な関係が成立する。そこで、対向ビュー同士でX線検出信号をチャンネルごとにインターリーブ(interleave)することにより、チャンネルピッチが2倍細かい検出素子アレイで得られるものに相当する投影データを形成し、そのような投影データに基づいて画像再構成を行うようにしている。
【0012】
多チャンネルのX線検出器の1種として、検出素子アレイをX線ビームの厚みの方向に複数個併設し、複数列の検出素子アレイでX線ビームを同時受光するようにしたものがある。このようなX線検出器では、1回のスキャンで複数スライス分のX線検出信号を一挙に得られるので、マルチスライススキャン(multi−slice
scan)を能率良く行うためのX線検出器として用いられる。このような検出素子アレイについてもクォーターオフセットの手法を適用し再構成画像の空間分解能を高めることが行われる。
【0013】
複数列の検出素子アレイは、また、検出素子アレイの列の配置と同じピッチ(pitch)でスライス位置を順次変更することにより、各検出素子アレイが同一スライスを順次スキャンするようにし、各検出素子列で得た同一スライスのX線検出信号を全加算してS/N(signal−to−noise
ratio)の良いX線検出信号を得る目的にも用いられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上記のように、複数列の検出素子アレイを用いた場合、検出素子アレイに入射するX線の経路は複数の列を通じてチャンネルごとに同一なので、複数列のX線検出信号を全加算あるいはインターリーブしてみても再構成画像の空間分解能は改善されないという問題があった。
【0015】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、複数の検出素子列を用いて空間分解能が高い撮影を行う放射線断層撮影方法および装置、空間分解能が高い撮影を行うのに好適な放射線検出器、並びに、空間分解能が高い撮影を行うのに好適なX線管を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(1)第1の発明は、照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ扇状の放射線ビームを照射する放射線照射手段と、入射面を前記放射線ビームが入射する方向に向けて複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイと、前記放射線照射手段および前記検出素子アレイを含む放射線照射・検出系を前記放射線ビームの扇面に垂直な回転軸を中心に回転させ複数ビューの放射線検出信号を収集する信号収集手段と、前記信号収集手段で収集した前記放射線検出信号に基づき前記放射線ビームが通過したスライスについての断層像を生成する断層像生成手段と、を有する放射線断層撮影装置であって、前記放射線照射手段は、前記複数の検出素子列に対応する複数の焦点と前記複数の検出素子列におけるそれぞれの中央の放射線検出素子の中心とをそれぞれ結ぶ直線iが前記回転軸から前記放射線ビームの幅の方向に沿って下記の距離dだけ離れたところを通過する幾何学的関係で、前記複数の焦点から前記複数の検出素子列にそれぞれ前記放射線ビームを照射するものであり、前記信号収集手段は、前記複数の検出素子列で同一スライスに関する放射線検出信号をそれぞれ収集するものであり、前記断層像生成手段は、前記複数の検出素子列による放射線検出信号を全て組み合わせて得られる放射線検出信号に基づいて断層像を生成するものである、
ことを特徴とする放射線断層撮影装置である。

d<p/2の範囲で
前記回転軸に関する一方の側では、
d=(4i−1)p/4n
前記回転軸に関する他方の側では、
d=(4i−3)p/4n
ただし、
p:前記回転軸の位置に前記放射線ビームの経路に沿って逆投影した、前記互
いに垂直な2つの方向の一方における前記中央の放射線検出素子の前記入
射面の長さ
n:前記複数の検出素子列の数
i:1〜int{(n+1)/2}
第1の発明において、前記放射線検出信号の組み合わせは、対向ビューデータのインターリーブを含むことが、再構成画像の空間分解能をさらに良くする点で好ましい。
【0017】
(2)第2の発明は、照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ扇状の放射線ビームを照射する放射線照射手段と、入射面を前記放射線ビームが入射する方向に向けて複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイと、前記放射線照射手段および前記検出素子アレイを含む放射線照射・検出系を前記放射線ビームの扇面に垂直な回転軸を中心に回転させ複数ビューの放射線検出信号を収集する信号収集手段と、前記信号収集手段で収集した前記放射線検出信号に基づき前記放射線ビームが通過したスライスについての断層像を生成する断層像生成手段と、を有する放射線断層撮影装置であって、前記放射線照射手段は、前記複数の検出素子列に対応する複数の焦点と前記複数の検出素子列におけるそれぞれの中央の放射線検出素子の中心とをそれぞれ結ぶ直線iが前記回転軸から前記放射線ビームの幅の方向に沿って下記の距離dだけ離れたところを通過する幾何学的関係で、前記複数の焦点から前記複数の検出素子列にそれぞれ前記放射線ビームを照射するものであり、前記信号収集手段は、前記複数の検出素子列で同一スライスに関する放射線検出信号をそれぞれ収集するものであり、前記断層像生成手段は、前記複数の検出素子列による放射線検出信号を全て組み合わせて得られる放射線検出信号に基づいて断層像を生成するものである、ことを特徴とする放射線断層撮影装置である。

nが奇数のとき前記回転軸に関し両側に対称的に、
d=4ip/4n i:0〜int(n/2)
nが偶数のとき前記回転軸に関し両側に対称的に、
d=(4i+2)p/4n i:0〜int(n/2−1)
ただし、
p:前記回転軸の位置に前記放射線ビームの経路に沿って逆投影した、前記互
いに垂直な2つの方向の一方における前記中央の放射線検出素子の前記入
射面の長さ
n:前記複数の検出素子列の数
【0018】
第1の発明および第2の発明のいずれか1つにおいて、前記同一スライスに関する放射線検出信号の検出は、ピッチが1のヘリカルスキャンによって行うことが、スキャンの能率向上の点で好ましい。
【0019】
(3)第3の発明は、照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ放射線ビームを、入射面を前記放射線ビームが入射する方向に向けて複数の放射線検出素子を前記放射線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記放射線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイで検出する放射線検出器であって、前記各放射線検出素子は互いに同一な平行四辺形の入射面を有し、前記放射線ビームの厚みの方向に隣接する放射線検出素子同士で全体として平行四辺形の入射面を形成し、この合成の平行四辺形にあっては、検出素子列の配設方向に見たときの上辺および下辺と垂直な対角線を有していて、この対角線を境とする2つの合同な直角三角形の組み合わせで構成されており、前記合成の平行四辺形における複数の検出素子列で、同一スライスに関する放射線の検出を行うことを特徴とする放射線検出器である。
【0020】
(4)第4の発明は、電子線を照射するカソードと前記照射された電子線に基づくX線ビームを発生する回転アノードを有しており、入射面を前記X線ビームが入射する方向に向けて複数のX線検出素子を前記X線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記X線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイとともに、照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ扇状の前記X線ビームの扇面に垂直な回転軸を中心に回転するようになっているX線管であって、前記回転アノードは、前記カソードと対向する電子線照射面が斜面になっており、前記複数の検出素子列に対応する複数の焦点と前記複数の検出素子列におけるそれぞれの中央のX線検出素子の中心とをそれぞれ結ぶ直線iが、前記回転軸から前記X線ビームの幅の方向に沿って下記の距離dだけ離れたところを通過する幾何学的関係で、前記複数の焦点から前記複数の検出素子列にそれぞれX線ビームが照射されるように、前記カソードは、前記回転アノードの電子線照射面において長軸方向が前記回転アノードの回転半径の方向と交差する矩形領域に前記電子線を照射するものであることを特徴とするX線管である。

d<p/2の範囲で
前記回転軸に関する一方の側では、
d=(4i−1)p/4n
前記回転軸に関する他方の側では、
d=(4i−3)p/4n
ただし、
p:前記回転軸の位置に前記放射線ビームの経路に沿って逆投影した、前記互
いに垂直な2つの方向の一方における前記中央の放射線検出素子の前記入
射面の長さ
n:前記複数の検出素子列の数
i:1〜int{(n+1)/2}
【0021】
(5)第5の発明は、電子線を照射するカソードと前記照射された電子線に基づくX線ビームを発生する回転アノードを有しており、入射面を前記X線ビームが入射する方向に向けて複数のX線検出素子を前記X線ビームの幅の方向に配列した検出素子列を前記X線ビームの厚みの方向に複数個配設してなる検出素子アレイとともに、照射方向に垂直でかつ互いに垂直な2つの方向の一方および他方においてそれぞれ幅および厚みを持つ扇状の前記X線ビームの扇面に垂直な回転軸を中心に回転するようになっているX線管であって、前記回転アノードは、前記カソードと対向する電子線照射面が斜面になっており、前記複数の検出素子列に対応する複数の焦点と前記複数の検出素子列におけるそれぞれの中央のX線検出素子の中心とをそれぞれ結ぶ直線iが、前記回転軸から前記X線ビームの幅の方向に沿って下記の距離dだけ離れたところを通過する幾何学的関係で、前記複数の焦点から前記複数の検出素子列にそれぞれX線ビームが照射されるように、前記カソードは、前記回転アノードの電子線照射面において長軸方向が前記回転アノードの回転半径の方向と交差する矩形領域に前記電子線を照射するものであることを特徴とするX線管である。

nが奇数のとき前記回転軸に関し両側に対称的に、
d=4ip/4n i:0〜int(n/2)
nが偶数のとき前記回転軸に関し両側に対称的に、
d=(4i+2)p/4n i:0〜int(n/2−1)
ただし、
p:前記回転軸の位置に前記放射線ビームの経路に沿って逆投影した、前記互
いに垂直な2つの方向の一方における前記中央の放射線検出素子の前記入
射面の長さ
n:前記複数の検出素子列の数
【0022】
(作用)
第1の発明および第2の発明では、扇状の放射線ビームと複数の検出素子列のジオメトリおよび全検出素子列の検出信号の組み合わせにより、再構成画像の空間分解能が検出素子列の数に比例して高まる。
【0023】
第3の発明では、複数の検出素子列における放射線検出素子の入射面の形状により、隣り合う検出素子列間で放射線の経路がチャンネル幅の検出素子列数分の1ずつチャンネル幅方向にずれる。
【0024】
第4,5の発明では、回転アノードにおける電子線照射領域の形状により、X線管は、複数の検出素子列のおのおのにチャンネル幅方向における位置が異なる複数の焦点からX線を照射するものとなる。具体的には、前記回転アノードの電子線照射領域が矩形状であり、かつ、その長軸方向が前記回転アノードの回転半径の方向と交差するようにすることで、前記回転アノードの回転半径の方向およびそれに垂直な方向において互いに位置が異なる複数のX線焦点を形成することができる。半径方向での位置の相違は前記回転アノードが斜面になっていることにより、前記検出素子列の配設方向での位置の相違になり、半径方向に垂直な方向での位置の相違は前記検出器アレイにおけるチャンネルの配列方向の位置の相違になる。そして、このような位置の相違がある複数の焦点からのX線の照射方向は、前記複数の検出素子列に対応する複数の焦点と前記複数の検出素子列におけるそれぞれの中央のX線検出素子の中心とをそれぞれ結ぶ直線iが、前記回転軸から前記X線ビームの幅の方向に沿って所定の距離dだけ離れたところを通過する幾何学的関係となるような方向となっている。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、複数の検出素子列を用いて空間分解能が高い撮影を行う放射線断層撮影方法および装置、空間分解能が高い撮影を行うのに好適な放射線検出器、並びに、空間分解能が高い撮影を行うのに好適なX線管を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は実施の形態に限定されるものではない。図1にX線CT装置のブロック(block)図を示す。本装置は本発明の放射線断層撮影装置の実施の形態の一例である。本装置の構成によって、本発明の装置に関する実施の形態の一例が示される。本装置の動作によって、本発明の方法に関する実施の形態の一例が示される。
【0027】
図1に示すように、本装置は、走査ガントリ(gantry)2と、撮影テーブル(table)4と、操作コンソール(console)6を備えている。走査ガントリ2は、放射線源としてのX線管20を有する。X線管20から放射された図示しないX線は、コリメータ22により例えば扇状のX線ビームすなわちファンビーム(fan
beam)となるように成形され、検出器アレイ24に照射されるようになっている。
【0028】
X線ビームは本発明における放射線ビームの実施の形態の一例である。X線管20とコリメータ22からなる部分は、本発明における放射線照射手段の実施の形態の一例である。X線管20は、本発明のX線管の実施の形態の一例である。X線管の詳細な構成については、後にあらためて説明する。
【0029】
検出器アレイ24は、扇状のX線ビームの幅の方向にアレイ状に配列された複数のX線検出素子を有する。検出器アレイ24は、本発明の検出素子アレイの実施の形態の一例である。検出器アレイ24の構成については後にあらためて説明する。
【0030】
X線管20、コリメータ22および検出器アレイ24は、X線照射・検出装置を構成する。X線照射・検出装置は、本発明における放射線照射・検出系の実施の形態の一例である。X線照射・検出装置の構成およびそのジオメトリについては、後にあらためて説明する。
【0031】
検出器アレイ24にはデータ収集部26が接続されている。データ収集部26は検出器アレイ24の個々のX線検出素子の検出データを収集するようになっている。
【0032】
X線管20からのX線の照射は、X線コントローラ(controller)28によって制御されるようになっている。なお、X線管20とX線コントローラ28との接続関係については図示を省略する。コリメータ22は、コリメータコントローラ30によって制御されるようになっている。なお、コリメータ22とコリメータコントローラ30との接続関係については図示を省略する。
【0033】
以上のX線管20乃至コリメータコントローラ30が、走査ガントリ2の回転部32に搭載されている。回転部32の回転は、回転コントローラ34によって制御されるようになっている。なお、回転部32と回転コントローラ34との接続関係については図示を省略する。
【0034】
撮影テーブル4は、図示しない被検体を走査ガントリ2のX線照射空間に搬入および搬出するようになっている。被検体とX線照射空間との関係については後にあらためて説明する。
【0035】
操作コンソール6は、中央処理装置60を有している。中央処理装置60は、本発明における断層像生成手段の実施の形態の一例である。中央処理装置60は、例えばコンピュータ(computer)等によって構成される。
【0036】
中央処理装置60には、制御インタフェース(interface)62が接続されている。制御インタフェース62には、走査ガントリ2と撮影テーブル4が接続されている。
【0037】
中央処理装置60は制御インタフェース62を通じて走査ガントリ2および撮影テーブル4を制御するようになっている。走査ガントリ2内のデータ収集部26、X線コントローラ28、コリメータコントローラ30および回転コントローラ34が制御インタフェース62を通じて制御される。なお、それら各部と制御インタフェース62との個別の接続については図示を省略する。走査ガントリ2および制御インタフェース62は、本発明における信号収集手段の実施の形態の一例である。
【0038】
中央処理装置60には、また、データ収集バッファ64が接続されている。データ収集バッファ64には、走査ガントリ2のデータ収集部26が接続されている。データ収集部26で収集されたデータがデータ収集バッファ64に入力される。データ収集バッファ64は、入力データを一時的に記憶する。
【0039】
中央処理装置60は、データ収集バッファ64を通じて収集した複数ビューのデータに基づいて画像再構成を行う。中央処理装置60は、本発明における断層像生成手段の実施の形態の一例である。画像再構成には、例えばフィルタード・バックプロジェクション(filtered
back projection)法等が用いられる。中央処理装置60には、また、記憶装置66が接続されている。記憶装置66は、各種のデータや再構成画像およびプログラム(program)等を記憶する。
【0040】
中央処理装置60には、また、表示装置68と操作装置70がそれぞれ接続されている。表示装置68は、中央処理装置60から出力される再構成画像やその他の情報を表示するようになっている。操作装置70は、操作者によって操作され、各種の指示や情報等を中央処理装置60に入力するようになっている。
【0041】
図2に、検出器アレイ24の模式的構成を示す。検出器アレイ24は、多数のX線検出素子24(ik)を配列した、多チャンネルの2列のX線検出器となっている。多数のX線検出素子24(ik)は、全体として、円筒凹面状に湾曲したX線入射面を形成する。iはチャンネル番号であり例えばi=1〜1000である。kは列番号であり例えばk=1,2である。
【0042】
X線検出素子24(ik)は、例えばシンチレータ(scintillator)とフォトダイオード(photo
diode)の組み合わせによって構成される。なお、これに限るものではなく、例えばカドミウム・テルル(CdTe)等を利用した半導体X線検出素子、あるいは、キセノン(Xe)ガスを利用した電離箱型のX線検出素子であって良い。X線検出素子24(ik)は、本発明における放射線検出素子の実施の形態の一例である。
【0043】
X線検出素子24(ik)は、列番号kが同一なもの同士でそれぞれ検出素子列を構成する。検出素子列は、本発明における検出素子列の実施の形態の一例である。複数の検出素子列は、隣接して互いに平行に配設されている。
【0044】
図3に、X線照射・検出装置におけるX線管20とコリメータ22と検出器アレイ24の相互関係を示す。なお、図3の(a)は正面から見た状態を示す図、(b)は側面から見た状態を示す図である。同図に示すように、X線管20から放射されたX線は、コリメータ22により扇状のX線ビーム40となるように成形され、検出器アレイ24に照射されるようになっている。
【0045】
図3の(a)では、扇状のX線ビーム40の広がりすなわちX線ビーム40の幅を示す。X線ビーム40の幅方向は、検出器アレイ24におけるチャンネルの配列方向(i方向)に一致する。(b)では、X線ビーム40の厚みを示す。X線ビーム40の厚み方向は、検出器アレイ24における検出素子列の配設方向(k方向)に一致する。
【0046】
このようなX線ビーム40の扇面に体軸を交叉させて、例えば図4に示すように、撮影テーブル4に載置された被検体8がX線照射空間に搬入される。X線ビーム40によってスライスされた被検体8の投影像が検出器アレイ24に投影される。被検体8に照射するX線ビーム40の厚みは、コリメータ22のアパーチャの開度調節により設定される。
【0047】
図5および図6に、X線照射・検出装置のジオメトリの一例の模式図を示す。図5は正面図、図6は側面図である。両図に示すように、検出器アレイ24における2つの検出素子列250,270に、2つの焦点450,470から2系統のX線ビーム452,472をそれぞれ照射するようになっている。
【0048】
焦点450、X線ビーム452および検出素子列250からなるX線照射・検出系(A系統)では、検出素子列250の中央チャンネル252のチャンネル中心252Cと焦点450を結ぶ直線454が、X線照射・検出系の回転中心(アイソセンタ)320からオフセットしたところを通るようにしてある。X線照射・検出系の回転中心320は、本発明における回転軸の実施の形態の一例である。
【0049】
オフセットの距離は、回転中心320での値に換算した中央チャンネル252のチャンネル幅をpとしたとき、その1/8となるようにしてある。換算チャンネル幅pは、中央チャンネル252のチャンネル幅をX線ビームの経路に沿って回転中心320の位置に逆投影したものに相当する。
【0050】
焦点470、X線ビーム472および検出素子列270からなるX線照射・検出系(B系統)では、検出素子列270の中央チャンネル272のチャンネル中心272Cと焦点470を結ぶ直線474が、X線照射・検出系の回転中心320から直線454とは反対側にオフセットしたところを通るようにしてある。オフセット距離は、回転中心320での値に換算した中央チャンネル272のチャンネル幅pの3/8となるようにしてある。
【0051】
このようなジオメトリにおいて、X線照射・検出系を180度回転させると、破線および2点鎖線で示すようなジオメトリになる。この状態では、A系統では、焦点450’と検出素子列250の中央チャンネル252のチャンネル中心252C’を結ぶ直線454’が、回転中心320から直線454とは対称的にp/8オフセットしたところを通り、B系統では、焦点470’と検出素子列270の中央チャンネル272のチャンネル中心272C’を結ぶ直線474’が、回転中心320から直線474とは対称的に3p/8オフセットしたところを通る。
【0052】
直線454,454’はいずれも検出素子列250の中央チャンネル252に入射するX線束の中心線でありX線束を代表するから、このとき、同一の中央チャンネル252により、X線の経路がチャンネル幅の方向に2p/8異なるX線透過信号がそれぞれ得られる。また、直線474,474’はいずれも検出素子列270の中央チャンネル272に入射するX線束の中心線でありそれらX線を代表するから、このとき、同一の中央チャンネル272によってX線の経路がチャンネル幅の方向に6p/8異なるX線透過信号がそれぞれ得られる。
【0053】
このような、中央チャンネル252に入射するX線束の中心線454,454’および中央チャンネル272に入射するX線の中心線474,474’の位置関係を図7に示す。同図は、回転中心320の近傍における4つのX線の中心線454,454’,474,474’の位置関係を、X線ビーム452,457の照射方向に沿って見た場合の拡大図である。入射X線の中心線454〜474’を以下フォーカスセンタ(focus
center)という。
【0054】
同図に示すように、チャンネル幅がpでスライス厚が2tの撮影範囲に、それぞれ位置が異なる4つのフォーカスセンタ存在することになる。これら4つのフォーカスセンタは、i方向にp/4のピッチで並ぶ。配列は回転中心320に関して対称的になる。また、フォーカスセンタ454,454’と474,474’とはk方向にスライス厚tに相当する距離だけ離れている。
【0055】
これと同様な関係が、検出素子列250,270における他のチャンネルについても、X線の通過方向が互いに逆になるいわゆる対向ビュー同士で成立する。そこで、A系統およびB系統それぞれにつき、対向ビュー同士でX線検出信号をチャンネルごとにインターリーブすることにより、図8に模式的に示すような配列のビューデータをそれぞれ得ることができる。
【0056】
同図に示すように、A系統のビューデータとB系統のビューデータは、データ収集位置がk方向にスライス厚tだけ異なるものの、i方向にはp/4のピッチで等間隔に並ぶものとなる。
【0057】
したがって、アキシャルスキャン(axial scan)すなわち被検体8の位置を固定してスキャンする場合は、A系統でスキャンした同じスライスを、被検体8を距離tだけ移動させて次にB系統でスキャンし(その逆でも良い)、それぞれ対向ビューデータをインターリーブした収集データを、両系統の同じビュー同士でデータの並びの順序で組み合わせる(マージ:merge)ことにより、図9に模式的に示すように、スライス厚tにつきp/4のピッチで収集したものに相当するビューデータを得ることができる。
【0058】
これによって、チャンネルピッチpの4倍の空間分解能を持つビューデータを得ることができ、このビューデータを用いて画像再構成を行うことにより、空間分解能がチャンネルピッチの4倍に向上した断層像を得ることができる。
【0059】
なお、X線照射・検出系を連続的に回転させながら被検体8の移動を連続的に行う、いわゆるヘリカルスキャン(helical scan)を行う場合は、ピッチが1のヘリカルスキャンを行う、すなわち、X線照射・検出系の1回転当たりの被検体8の移動量を1スライス厚相当とすることにより、1つの検出素子列がたどった螺旋状の軌跡を次の検出素子列も1回転遅れでたどるようにすることができ、能率の良いスキャンを行うことができる。そして、このようにして得た両系統のデータをマージすることにより、上記と同様に空間分解能が高いビューデータを得ることができ、それに基づいて空間分解能の高い画像を再構成することができる。
【0060】
図10および図11に、X線照射・検出装置のジオメトリの他の例の模式図を示す。図10は正面図、図11は側面図である。両図に示すように、検出器アレイ24における2つの検出素子列250,270に、2つの焦点550,570から2系統のX線ビーム552,572をそれぞれ照射するようになっている。
【0061】
焦点550、X線ビーム552および検出素子列250からなるX線照射・検出系(A系統)では、検出素子列250の中央チャンネル252のチャンネル中心252Cと焦点550を結ぶ直線554が、X線照射・検出系の回転中心320から距離p/4だけオフセットしたところを通るようにしてある。X線照射・検出系の回転中心320は、本発明における回転軸の実施の形態の一例である。
【0062】
焦点570、X線ビーム572および検出素子列270からなるX線照射・検出系(B系統)では、検出素子列270の中央チャンネル272のチャンネル中心272Cと焦点570を結ぶ直線574が、X線照射・検出系の回転中心320から直線554とは反対側に距離p/4だけオフセットしたところを通るようにしてある。
【0063】
図12に、中央チャンネル252に入射するX線束のフォーカスセンタ554および中央チャンネル272に入射するX線束のフォーカスセンタ574の、回転中心320の近傍における位置関係を示す。
【0064】
同図に示すように、チャンネル幅がpでスライス厚が2tの撮影範囲に、それぞれ位置が異なる2つのフォーカスセンタ存在する。これら2つのフォーカスセンタは、i方向にp/2のピッチで並ぶ。配列は回転中心320に関して対称的になる。これらフォーカスセンタ554,574とはk方向にスライス厚tに相当する距離だけ離れている。
【0065】
これと同様な関係が、検出素子列250,270における他のチャンネルについても成立し、図13に模式的に示すような配列のビューデータをそれぞれ得ることができる。
【0066】
同図に示すように、A系統のビューデータとB系統のビューデータは、データ収集位置がk方向にスライス厚tだけ異なるものの、i方向にはp/2のピッチで等間隔に並ぶものとなる。
【0067】
したがって、アキシャルスキャンの場合は、A系統でスキャンした同じスライスを、被検体8を距離tだけ移動させて次にB系統でスキャンし(その逆でも良い)、それぞれの収集データを、両系統の同じビュー同士でデータの並びの順序でマージすることにより、図14に模式的に示すように、スライス厚tにつきp/2のピッチで収集したものに相当するビューデータを得ることができる。
【0068】
これによって、チャンネルピッチpの2倍の空間分解能を持つビューデータを得ることができ、このビューデータを用いて画像再構成を行うことにより、空間分解能がチャンネルピッチの2倍に向上した断層像を得ることができる。また、ピッチが1のヘリカルスキャンを行う場合も同様である。
【0069】
X線照射・検出系は2系統に限るものではなく、3系統以上の複数系統としても良い。図15に、X線照射・検出系を3系統とした場合について、回転中心の近傍におけるフォーカスセンタの配置の一例を模式的に示す。同図に示すように、A系統では、X線ビーム752が中央チャンネルを照射するフォーカスセンタ754を、回転中心320から3p/12だけ図における右側にオフセットさせている。これにより、対向ビューのフォーカスセンタ754’が回転中心320の左側に3p/12だけオフセットするようになる。
【0070】
B系統では、X線ビーム772が中央チャンネルを照射するフォーカスセンタ774を、回転中心320からp/12だけ図における左側にオフセットさせている。これにより、対向ビューのフォーカスセンタ774’が回転中心320の右側にp/12だけオフセットするようになる。
【0071】
C系統では、X線ビーム792が中央チャンネルを照射するフォーカスセンタ794を、回転中心320から5p/12だけ図における左側にオフセットさせている。これにより、対向ビューのフォーカスセンタ794’が回転中心320の右側に5p/12だけオフセットするようになる。
【0072】
これと同様な関係が、他のチャンネルについても、X線の通過方向が互いに逆になるいわゆる対向ビュー同士で成立する。そこで、A〜C系統それぞれにつき、対向ビュー同士でX線検出信号をチャンネルごとにインターリーブすることにより、図16に模式的に示すような配列のビューデータをそれぞれ得ることができる。
【0073】
同図に示すように、A〜C系統のビューデータは、データ収集位置がk方向にスライス厚tだけ異なるものの、i方向にはp/6のピッチで等間隔に並ぶものとなる。
【0074】
したがって、アキシャルスキャンの場合は、A系統でスキャンした同じスライスを、被検体8を距離tずつ移動させて順次にB,C系統でスキャンし(逆の順序でも良い)、それぞれ対向ビューデータをインターリーブした収集データを、全系統の同じビュー同士でデータの並びの順序でマージすることにより、図17に模式的に示すように、スライス厚tにつきp/6のピッチで収集したものに相当するビューデータを得ることができる。
【0075】
これによって、チャンネルピッチpの6倍の空間分解能を持つビューデータを得ることができ、このビューデータを用いて画像再構成を行うことにより、空間分解能がチャンネルピッチの6倍に向上した断層像を得ることができる。また、ピッチが1のヘリカルスキャンを行う場合も同様である。
【0076】
図18に、X線照射・検出系を3系統とした場合について、回転中心の近傍におけるフォーカスセンタの配置の他の例を模式的に示す。同図に示すように、A系統では、X線ビーム952が中央チャンネルを照射するフォーカスセンタ954を、回転中心320からp/3だけ図における右側にオフセットさせている。B系統では、X線ビーム972が中央チャンネルを照射するフォーカスセンタ974を、回転中心320に一致させている。C系統では、X線ビーム992が中央チャンネルを照射するフォーカスセンタ994を、回転中心320からp/3だけ図における左側にオフセットさせている。
【0077】
これと同様な関係が、他のチャンネルについても成立するから、A〜C系統により、図19に模式的に示すような配列のビューデータをそれぞれ得ることができる。同図に示すように、A〜C系統のビューデータは、データ収集位置がk方向にスライス厚tだけ異なるものの、i方向にはp/3のピッチで等間隔に並ぶものとなる。
【0078】
したがって、アキシャルスキャンの場合は、A系統でスキャンした同じスライスを、被検体8を距離tずつ移動させて順次にB,C系統でスキャンし(逆の順序でも良い)、収集データを全系統の同じビュー同士でデータの並びの順序でマージすることにより、図20に模式的に示すように、スライス厚tにつきp/3のピッチで収集したものに相当するビューデータを得ることができる。
【0079】
これによって、チャンネルピッチpの3倍の空間分解能を持つビューデータを得ることができ、このビューデータを用いて画像再構成を行うことにより、空間分解能がチャンネルピッチの3倍に向上した断層像を得ることができる。また、ピッチが1のヘリカルスキャンを行う場合も同様である。
【0080】
以上は、X線照射・検出系が2系統および3系統の例であるが、一般的には、nを2以上の正の整数としたとき、n系統のX線照射・検出系において各系統のフォーカスセンタのオフセット量dを、p/2を越えない範囲で、
回転軸に関する一方の側では、
d=(4i−1)p/4n (1)
回転軸に関する他方の側では、
d=(4i−3)p/4n
(2)
ただし、
i:1〜int{(n+1)/2}
とするか、
または、
nが奇数のとき回転軸に関し両側に対称的に、
d=4ip/4n i:0〜int(n/2) (3)
nが偶数のとき回転軸に関し両側に対称的に、
d=(4i+2)p/4n i:0〜int(n/2−1) (4)
とする。
【0081】
上記の(1)式および(2)式はチャンネルピッチpの2n倍の空間分解能を得るときのオフセット量を表すもので、図7および図15にそれぞれ示した例が該当する。(3)式および(4)式は、チャンネルピッチpのn倍の空間分解能を得るときのオフセット量を表すもので、図12および図18にそれぞれ示した例が該当する。
【0082】
図21に、上記のようなフォーカスセンタのオフセットを可能にするX線管20の一例の要部の模式的構成を示す。図21の(a)は側面図、(b)は正面図である。同図に示すように、回転アノード(anode)200とカソード(cathode)202が、図示しない真空の管内に互いに対向して設けられている。回転アノード200とカソード202の間には所定の高電圧が印加される。回転アノード200は図示しない駆動部で駆動されて高速に回転するようになっている。回転アノード200はカソードと対向する面が斜面になっており、その斜面にカソード202から高電圧で加速された電子ビームが照射され、電子ビームの衝突エネルギー(energy)によってX線ビーム40を発生するようになっている。
【0083】
ここで、回転アノード200の表面での電子ビームの照射領域204は略長方形の形状を持ち、かつ、その長軸方向が回転アノード200の半径方向と交差するようになっている。このようなは、例えばカソード202の形状および位置を適宜に定めることによって形成することができる。
【0084】
電子ビームの照射領域204の形状および配置をこのようにすることにより、回転アノード200の半径方向およびそれに垂直な方向において互いに位置が異なる複数のX線焦点を形成することができる。半径方向での位置の相違は、回転アノード200の表面が斜面になっていることにより、k方向での位置の相違になり、それに垂直な方向での位置の相違はi方向の位置の相違になる。
【0085】
したがって、例えば図7または図12に示した条件を満足する2つの焦点450(550),470(570)を形成することができる。また、それに限らず、例えば図15または図18に示した条件を満足する3つの焦点を形成することができ、さらには、(1)〜(4)式の条件を満足するn個の焦点を形成することができる。なお、n個の焦点は、適宜のコリメータによりk方向において個々に分離するのが良い。
【0086】
複数のX線照射・検出系が共通の1つのX線焦点を持つ場合でも、複数の検出素子列の構成を工夫することにより、チャンネルピッチの数倍の空間分解能を持つデータを得ることが可能である。次にそれを説明する。
【0087】
図22に、検出素子列が2列である場合のチャンネルのX線入射面の構成を示す。なお、図22では検出素子列の一部分について示すが、他の部分も同様になっている。
【0088】
同図に示すように、互いに平行に配設された2つの検出素子列250’,270’の各チャンネルはいずれも平行四辺形状のX線入射面を持つように構成されている。チャンネルピッチはpである。これらX線入射面は、k方向に隣接するもの同士で、破線で示すような平行四辺形130を形成する。
【0089】
ここで、平行四辺形130は、図における上辺の左端から下辺に向けて下ろした垂線132が、下辺の右端に接するような形状を持つようにしている。このため、k方向に隣接するもの同士では、それぞれのX線入射面の中心がi方向にp/2ずれる。それぞれの検出素子列内ではチャンネル中心はi方向にピッチpで並ぶので、2つの検出素子列の各チャンネルの中心はi方向にp/2のピッチで並ぶことになる。
【0090】
各チャンネルに入射するX線束の経路は、チャンネルの中心に入射するX線の経路で代表されるので、2つの検出素子列は、i方向にp/2ずれたX線経路の信号を検出することになる。したがって、前述の場合と同様に2つの検出素子列で同一のスライスを順次にスキャンし、収集したデータをマージすることにより、p/2ピッチで収集したものに相当するビューデータを得ることができる。
【0091】
検出素子列を3列にした場合を図23に示す。この場合は、3つの検出素子列250’,270’,290’の各チャンネルの平行四辺形のX線入射面はk歩行に隣接するもの同士で平行四辺形150を形成するようになっている。平行四辺形150は、上記の平行四辺形130と同様に、上辺の左端から下辺に向けて下ろした垂線が下辺の右端に接するような形状となるようにしてある。
【0092】
このようにすることにより、k方向に隣接するチャンネル同士では中心位置がi方向にp/3ずつずれる。したがって、これら検出素子列によってそれぞれ得た同一スライスのビューデータをマージすることによりp/3ピッチで収集したものに相当するビューデータを得ることができる。
【0093】
一般的には、図24に示すようにn個の検出素子列241〜24nを併設したとき、各チャンネルのX線入射面を形状および寸法が同一な平行四辺形とし、かつ、それらが列の配設方向に隣接して形成する四辺形が、列の配設方向に見たときの上辺の一端と下辺の他端が垂線で結ばれる関係になるようにすれば良い。あるいは、同じことを表現を変えて言えば、合成の平行四辺形が上辺と下辺に垂直な対角線を有し、それを境にして2つの合同な直角三角形に2分されるようなものであれば良い。
【0094】
本装置の動作を説明する。操作者は操作装置を通じて所望の撮影条件を設定する。次いで、中央処理装置60による制御の下で、X線照射・検出系により被検体8をスキャンする。アキシャルスキャンの場合は、1スキャンごとに1スライス厚相当分ずつ被検体8を体軸方向にステップ送りし、同一のスライスを複数の検出素子列全部により順次にスキャンする。ヘリカルスキャンの場合は、ピッチが1のヘリカルスキャンを行う。
【0095】
これによって、各検出素子列ごとに例えば1000ビューの投影データをデータ収集バッファ64に収集する。これによって、被検体8の投影データが収集される。
【0096】
投影データは、データ収集部26により、検出素子列ごとの投影データとして収集される。そのような収集データについて、中央処理装置60は、前述のようなデータのマージを行う。その際、投影データが対向ビューデータとインターリーブ可能な場合はインターリーブをも行う。
【0097】
このような処理をした投影データについて、例えばフィルタード・バックプロジェクション(filtered back projection)法等により画像再構成を行い、断層像を生成する。これによって、検出器アレイのチャンネルピッチの数倍の空間分解能を持つ断層像を得ることができる。
【0098】
以上、放射線としてX線を用いた例について説明したが、放射線はX線に限るものではなく、例えばγ線等の他の種類の放射線であっても良い。ただし、現時点では、X線がその発生、検出および制御等に関し実用的な手段が最も充実している点で好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の実施の形態の一例の装置のブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態の一例の装置における検出器アレイの模式的構成図である。
【図3】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線照射・検出系の模式的構成図である。
【図4】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線照射・検出系の模式的構成図である。
【図5】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線照射・検出系検出器のジオメトリの模式図である。
【図6】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線照射・検出系検出器のジオメトリの模式図である。
【図7】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線ビームのフォーカスセンタの配置の模式図である。
【図8】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図9】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図10】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線照射・検出系検出器のジオメトリの模式図である。
【図11】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線照射・検出系検出器のジオメトリの模式図である。
【図12】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線ビームのフォーカスセンタの配置の模式図である。
【図13】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図14】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図15】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線ビームのフォーカスセンタの配置の模式図である。
【図16】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図17】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図18】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線ビームのフォーカスセンタの配置の模式図である。
【図19】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図20】本発明の実施の形態の一例の装置におけるビューデータのフォーカスセンタの配列の模式図である。
【図21】本発明の実施の形態の一例の装置におけるX線管の要部の模式的構成図である。
【図22】本発明の実施の形態の一例の装置における検出器アレイの入射面の模式的構成図である。
【図23】本発明の実施の形態の一例の装置における検出器アレイの入射面の模式的構成図である。
【図24】本発明の実施の形態の一例の装置における検出器アレイの入射面の模式的構成図である。
【図25】従来装置におけるX線照射・検出系のジオメトリの模式図である。
【符号の説明】
【0100】
2 走査ガントリ
20 X線管
22 コリメータ
24 検出器アレイ
26 データ収集部
28 X線コントローラ
30 コリメータコントローラ
32 回転部
34 回転コントローラ
4 撮影テーブル
6 操作コンソール
60 中央処理装置
62 制御インタフェース
64 データ収集バッファ
40 X線ビーム
8 被検体
24(ik) X線検出素子
250,270 検出素子列
450,470 X線焦点
252,272 中央チャンネル
454,454’,474,474’ フォーカスセンタ
【出願人】 【識別番号】000121936
【氏名又は名称】ジーイー横河メディカルシステム株式会社
【出願日】 平成19年10月16日(2007.10.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−23386(P2008−23386A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−268488(P2007−268488)