Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
動的な磁気共鳴撮像方法ならびに磁気共鳴装置 - 特開2008−23338 | j-tokkyo
トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学

【発明の名称】 動的な磁気共鳴撮像方法ならびに磁気共鳴装置
【発明者】 【氏名】アルト シュテンマー

【要約】 【課題】僅かな再構成時間で済み、モーションアーチファクト、磁場不均一性およびk空間のサブスキャンに対してロバストである方法を提供する。

【構成】各部分データセット63について、複数の不完全なサブデータセット67が記録され、各不完全なサブデータセット67がそれぞれ1つの個別画像に割り当てられ、不完全なサブデータセット67の記録が部分データセット63に付属する走査格子に沿って、交替する異なった走査パターンにより行なわれ、異なった走査パターンにおいてそれぞれ部分データセット63に付属する走査格子の異なった格子点が走査され、部分データセット63の少なくとも一部において不完全なサブデータセット67から完全なサブデータセットが再構成され、各個別画像において個別画像に割り当てられた完全なサブデータセットの少なくとも一部が再構成のために使用されることによって、個別画像が再構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁気共鳴技術により、準周期性運動を有する器官の一連の個別画像(69)を含み時間分解された画像シリーズを記録および作成するために、
走査すべきk空間(51)が複数の部分データセット(63)にて分割されて走査され、各部分データセット(63)の走査点がk空間セグメント(53)のデカルト走査格子(55)の格子点に対応し、k空間セグメント(53)のデカルト走査格子(55)が互いに回転している画像シリーズの記録および作成方法において、
各部分データセット(63)について、複数の不完全なサブデータセット(67)が記録され、各不完全なサブデータセット(67)がそれぞれ1つの個別画像(69)に割り当てられ、不完全なサブデータセット(67)の記録が部分データセット(63)に付属する走査格子(55)に沿って、交替する異なった走査パターンにより行なわれ、異なった走査パターンにおいてそれぞれ部分データセット(63)に付属する走査格子(55)の異なった格子点が走査され、
部分データセット(63)の少なくとも一部において不完全なサブデータセット(67)から完全なサブデータセット(71)が再構成され、
各個別画像(69)において個別画像(69)に割り当てられた完全なサブデータセット(71)の少なくとも一部が再構成のために使用されることによって、個別画像(69)が再構成される
ことを特徴とする画像シリーズの記録および作成方法。
【請求項2】
1つの部分データセット(63)の不完全なサブデータセット(67)が直接的に相次いで記録されることを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
1つの部分データセット(63)の不完全なサブデータセット(67)の記録が器官の準周期性運動を表わす1つのトリガ点(65)に基づいて行なわれることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
【請求項4】
不完全なサブデータセット(67)全体の記録によって、部分データセット(63)に付属する走査格子(55)の全ての格子点が走査されることを特徴とする請求項1乃至3の1つに記載の方法。
【請求項5】
不完全なサブデータセット(67)全体の記録によって、部分データセット(63)に付属する走査格子(55)の全ての格子点が複数回走査されることを特徴とする請求項1乃至4の1つに記載の方法。
【請求項6】
不完全なサブデータセット(67)の記録時に使用される異なった走査パターンが周期的に交替することを特徴とする請求項1乃至5の1つに記載の方法。
【請求項7】
各走査パターンにおいて走査格子(55)の各A番目のk空間行(57)だけが走査されることによって特徴付けられているA個の異なった走査パターンが使用され、走査されたk空間行(57)が走査パターンごとにずらされていることを特徴とする請求項1乃至6の1つに記載の方法。
【請求項8】
不完全なサブデータセット(67)の記録は、空間感度が異なっている複数のコイル要素により行なわれ、不完全なサブデータセット(67)から完全なサブデータセット(71)を再構成する際に個々のコイル要素の感度情報が使用されることを特徴とする請求項1乃至7の1つに記載の方法。
【請求項9】
不完全なサブデータセット(67)から完全なサブデータセット(71)を再構成することは中央のk空間範囲に割り当てられている他の完全な補助データセットにより行なわれることを特徴とする請求項1乃至8の1つに記載の方法。
【請求項10】
個々のk空間セグメント(53)がk空間(51)の中心点を中心にして互いに回転していることを特徴とする請求項1乃至9の1つに記載の方法。
【請求項11】
補助データセットが不完全なサブデータセット(67)から求められることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
補助データセットが不完全なサブデータセット(67)に付加して一緒に記録されることを特徴とする請求項9又は10記載の方法。
【請求項13】
請求項1乃至12の1つに記載の方法を実施するように構成されているコンピュータユニット(37)を有する磁気共鳴装置。
【請求項14】
磁気共鳴装置(1)に接続されているコンピュータユニット(37)上で走るときに、請求項1乃至12の1つに記載の方法を実行可能にする手段を提供するコンピュータソフトウェア製品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特に準周期性運動を有する器官における運動経過を表示するために使用されるような磁気共鳴技術による時間分解された画像シリーズの記録および作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
以下においてMRI(=magnetic rezonance imaging)と呼ぶ磁気共鳴撮像法は、何年も前から医用画像化の成功裏に確立した分野である。極めて簡単に言うならば、異なる強さと空間的かつ時間的な特性とを有する種々の磁場の使用によって検査対象に核スピン共鳴を生じさせ、それらの核スピン共鳴を測定する方法である。この場合に、記録される測定データは一般的に2次元または3次元空間、いわゆるk空間に配列され、この空間はフーリエ変換を介して画像空間に関連している。
【0003】
最近においてますます動的なMRI(いわゆるダイナミックMRI)、すなわち運動経過の表示を可能にする時間分解された画像シリーズの記録法が発展した。本発明の典型的な用途は、例えば心臓、肺、腹部または血管を通る血流のような準周期性運動を有する器官のいわゆるシネ(CINE)撮像である。
【0004】
ダイナミックMRIは、撮像すべき対象の変化を凍結して時間的に分解するために、時間的な画像シリーズの個々の画像の高速記録が必要である。MRI法はしばしば、このために容認できない長い画像撮影時間につながることから、画像記録プロセスを加速するために、さまざまの更なる開発が存在する。首尾よく使用される1つの可能性は、第1のステップでは記録すべきデータの一部を記録プロセス中に省略し、第2のステップでは不足しているデータを先験的知識および/または再構成プロセスのために設定した仮定に基づいて再構成することである。
【0005】
測定データの記録時にデカルト走査パターンが使用される場合、すなわち測定データがデカルト格子に沿ったk空間において配列されているように記録される場合には、ダイナミックMRIにおける測定データの記録の加速のための種々の方法が存在する。これらの方法に共通な点は、測定データの記録時にk空間行が記録中に省かれることによって、画像ごとの実際に記録されるk空間行の個数が減らされることにある。相違は、主として、データ記録時に飛び越されるk空間行を測定データから再構成されたデータにより補充するために、定められた仮定、先験的知識および/または付加的に記録される測定信号がどのように使用されるかのやり方にある。
【0006】
これらの方法の例が、「UNFOLD」および「TSENSE」の名称にて知られている(例えば、非特許文献1参照および非特許文献2参照)。
【0007】
両方法は、画像シリーズの測定データの記録時に空間方向においても時間方向においてもそれぞれ各A番目のk空間行のみが記録され(Aは整数の係数である。)、その他のk空間行が飛び越される走査パターンを使用する。時間的な画像シリーズが測定データから直接的に得られる場合に、この画像シリーズはいわゆるゴースト画像の形でA倍のエイリアシングを有する。
【0008】
UNFOLD法の場合には、この画像シリーズが時間軸に沿ってフーリエ変換される。周波数空間において、画像シリーズのスペクトルはA個の部分成分を有する。1つの成分は望ましい画像シリーズのスペクトルに相当し、これらの部分成分のうちのA−1個は望ましくないゴースト画像に相当する。画像シリーズにおけるゴースト画像は部分的に重なっているのに対して、周波数スペクトルにおけるゴースト画像は分離されている。所望の成分のスペクトルは零周波数の周りに集中するのに対して、ゴースト画像のスペクトルはNP/Aだけずれている(NPは画像シリーズの個別画像の個数)。UNFOLD法は、望ましくない成分を抑制するために低域通過フィルタを使用する。しかしながら、一般に、所望の成分のスペクトルおよびゴースト画像のスペクトルはある程度部分的に重なっている。この部分的重なりはフィルタ処理によって分離できないので、一般にフィルタは、(高周波成分のフィルタ処理による)時間上の消去か、それとも(相応の成分の不十分な抑制による)ゴースト画像アーチファクトの残留かを画像シリーズにもたらす。
【0009】
TSENSE法はUNFOLD法を基礎としている。画像シリーズにおけるエイリアシングの除去時に付加的に、UNFOLD法の使用のもとで不完全に走査された測定データから直接的に求められる異なるコイル感度輪郭が使用される。このようにしてエイリアシングの改善された除去がもたらされる。
【0010】
同様の走査パターンに基づく他の方法が、kt−BLAST、kt−SENSEおよびTGRAPPAの名称のもとに知られている(例えば、非特許文献3および非特許文献4参照)。
【0011】
これらの方法においては、完全に記録された静止状態の対象に比べて、もしくは空間分解能が低下し完全に記録された時間的な画像シリーズに比べて、アーチファクトおよび/またはノイズの増幅もしくは高い時間的不鮮明度および低い時間分解能が欠点である。
【0012】
更に、MRIにおいて、測定データの記録時に、特にk空間の放射状の走査パターンが使用される場合に、k空間走査の非デカルト法が有利であることが知られている。この方法は、とりわけ下位記録に対するおよびアーチファクトに対するロバスト性、これに関しては、特にモーション(運動)アーチファクトに対するロバスト性の点で優れている。
【0013】
したがって、残留アーチファクトの低減および/または信号雑音比増大および/または更なる高速化の達成のために、ダイナミックMRIにおいて非デカルト式のk空間走査パターンの使用が試行されている。k空間のデカルト走査に比べて重大なあらゆる欠点を有する多数の方法が既に検討されている(例えば、非特許文献5参照)。開示された方法は、例えば多時間の再構成時間を有し、そのせいで臨床上の画像発生では極めて条件付きでしか使用できない。なぜならば、これは臨床上の作業経過において望ましくない遅れがもたらされるからである。
【0014】
静的なMRIにもダイナミックMRIにも使用される他の方法がPROPELLER−MRIの名称のもとに知られている(例えば、非特許文献6、非特許文献7および非特許文献8参照)。
【0015】
プロペラ(PROPELLER)技術におけるMRIの場合に、k空間はその都度直角のk空間セグメント(英語では、しばしば「blades」(ブレード)または「stripe」(ストライプ)と呼ばれる。)により層状に覆われ、これらのセグメントは中心のk空間点を中心にして互いに回転させられている。
【0016】
この種のk空間走査の場合の有利性は、とりわけ、2つのk空間の記録の間においてセグメントを発生する検査対象の望ましくない運動を求めることができる点にある。画像データの再構成時に運動の種類に応じて運動が算出可能であるか、または少なくとも患者の運動によるアーチファクトが良好に抑制されるように考慮可能であるかのいずれかである。
【0017】
先に挙げた非特許文献7においては、プロペラ(PROPELLER)技術が特殊な構成で動的な造影剤検査のために使用される。しかしながら、そこに記載されている方法は、容易には、準周期性運動経過の表示、例えば心臓の運動の表示のために使用することができない。
【非特許文献1】Madore B.et al,“Unaliasing by Fourier−Encoding the Overlaps Using the Temporal Dimension(UNFOLD),Applied to Cardiac Iaging and fMRI",Magn.Reson.Med.42:813−828,1999
【非特許文献2】Peter Kellman,Frederick H.Epstein,Elliot R.McVeigh.“Adaptive sensitivity encoding incorporating temporal filtering(TSENSE)”,Magn.Reson.Med.45:846−852,2001
【非特許文献3】Jeffrey Tsao,Peter Boesiger,Klaas P.Pruessmann.“k−t BLAST and k−t Sense:Dynamic MRI with high frame rate exploiting spatiotemporal correlations”,Magn.Reson.Med.50:1031−1042,2003
【非特許文献4】Felix A.Breuer,Peter Kellman,Mark A.Griswold,Peter M.Jakob,“Dynamic autocalibrated parallel imaging using temporal GRAPPA(TGRAPPA)”,Magn.Reson.Med.53:981−985,2005
【非特許文献5】Hansen Michael S.et al,“k−t BLAST reconstruction from non−Cartesian k−t space sampling”,Magn.Reson.Med.55:85−91,2006
【非特許文献6】J.G.Pipe,“Periodically Rotated Overlapping Parallel Lines with Enhanced Reconstruction(PROPELLER)MRI;Application to Motion Correction”,ISMRM 1999,abstract No.242
【非特許文献7】J.G.Pipe,“Periodically Rotated Overlapping Parallel Lines with Enhanced Reconstruction(PROPELLER)MRI;Application to Contrast−Enhanced MRA”,ISMRM 1999,abstract No.157
【非特許文献8】J.G.Pipe,“Motion Correction with PROPELLER MRI:application to head motion and free−breathing cardiac imaging”,Magn.Reson.Med.42:263−969,1999
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
したがって、本発明の課題は、高い時間分解能および空間分解能を可能にするダイナミックMRI方法であって、僅かな再構成時間を必要とし、アーチファクト、特にモーション(運動)アーチファクトおよび磁場不均一性に対してロバストであり、かつk空間のサブスキャンに対してロバストである方法を提供することにある。更に、本発明の課題は、高い時間分解能および空間分解能とアーチファクトに対するロバスト性を有するダイナミックMRIのための磁気共鳴装置もしくはコンピュータソフトウェア製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この課題は、本発明によれば請求項1による方法、請求項13による磁気共鳴装置ならびに請求項14によるコンピュータソフトウェア製品によって解決される。
【0020】
本発明による方法は、磁気共鳴技術により、準周期性運動を有する器官の一連の個別画像を含み時間分解された画像シリーズを記録および作成するために、
走査すべきk空間が複数の部分データセットにて分割されて走査され、各部分データセットの走査点がk空間セグメントのデカルト走査格子(cartesian scan grid;直交走査格子とも呼ばれている)の格子点に対応し、k空間セグメントのデカルト走査格子が互いに回転している画像シリーズの記録および作成方法において、
各部分データセットについて、複数の不完全なサブデータセットが記録され、各不完全なサブデータセットがそれぞれ1つの個別画像に割り当てられ、不完全なサブデータセットの記録が、部分データセットに付属する走査格子に沿って、交替する異なった走査パターンにより行なわれ、異なった走査パターンにおいて、それぞれ部分データセットに付属する走査格子の異なった格子点が走査され、
部分データセットの少なくとも一部において不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットが再構成され、
各個別画像においてこの個別画像に割り当てられた完全なサブデータセットの少なくとも一部が再構成のために使用されることによって、個別画像が再構成される。
【0021】
したがって、本発明による方法においては、個々のk空間セグメントが互いに回転しているので、k空間の放射状(半径方向)の走査が使用される。更に、本発明による方法は、個々のk空間セグメントがそれぞれデカルト走査((cartesian scan)パターンにより走査されるという特性を有する。k空間セグメントの走査は複数のサブデータセットにより行なわれ、各サブデータセットは時間分解された画像シリーズの1つの個別画像に割り当てられ、すなわち、検査すべき対象の準周期性運動が個々のサブデータセット内に保持される。
【0022】
記録されたサブデータセットは不完全であり、すなわち記録時にk空間セグメントの全ての格子点に測定データが割り当てられているわけではない。しかしながら、不完全なサブデータセットの記録は、複数の不完全な順次交替する走査パターンにより行なわれる。異なる走査パターンでは、それぞれ、k空間セグメントの他の格子点が走査される。したがって、繰り返される走査パターンによって、時間列の不完全なサブデータセットがデカルト走査パターンにて発生されるので、明細書の背景技術の項において述べた方法が、今や、時間列の不完全なサブデータセットを完全なものにし、かつ各部分データセットに対して一連の完全なサブデータセットを得るために使用される。
【0023】
この再構成は個々の各部分データセットにおいて行なわれると好ましい。このようにして各k空間セグメントに対して一連の完全なサブデータセットが得られる。これらの完全なサブデータセットの列のそれぞれが検査すべき対象の準周期性運動を反映する。
【0024】
画像シリーズの個別画像の再構成は、好ましくは各個別画像においてこの個別画像に割り当てられている全ての完全なサブデータセットを再構成に使用することによって行なわれる。付属するサブデータセットから個別画像を再構成することは公知の方法のプロペラ再構成技術により行なわれる。プロペラ再構成において頻繁に使用される方法は、英語名称「Gridding」のもとに知られている格子法である。この方法の詳細は、例えば、刊行物「J.I.Jackson et al.,“Selection of a Convolution Function for Fourier Inversion Using Gridding”,IEEE Trans.Med.Imag.10:473−478,1991」に開示されている。
【0025】
刊行物「Arfanakis K.et al.,“k−Space Undersampling in PROPELLER Imaging”,Magn.Reson.Med.53:675−683,2005」から、k空間が互いに回転しているk空間セグメントにより完全に覆われていなくても、質的に価値の高い画像が再構成可能であることが知られている。この理由から、測定時間を更に低減するために、完全な部分データセットを撮影時に省略することが有利である。更に、この理由から、1つの個別画像に割り当てられている全ての完全なサブデータセットを、1つの個別画像を再構成するために使用することは必ずしも必要ではない。後者は、例えば、個々のサブデータセットが再構成中に(例えば、器官の準周期性運動が重畳している望ましくない患者運動の結果として)アーチファクトを有するものとして識別されるならば有利である。この理由から、各部分データセットにおいて完全なサブデータセットの再構成を行なうことも必ずしも必要ではない。
【0026】
1つの部分データセットの不完全なサブデータセットが直接的に相次いで記録されると好ましい。このようにして測定データの取得中に投入される傾斜磁場が最大限に一様であり、それによって例えば渦電流の結果としてアーチファクトをひき起こす望ましくない作用が経験によれば最小化されることが達成される。更に、この取得順序は、検査中に(動的な器官運動に重畳する)望ましくない患者の運動が発生する場合に一般に、間違いの多い部分データセットの数を減らす。
【0027】
有利な磁気共鳴においては、1つの部分データセットの不完全なサブデータセットの記録が器官の準周期性運動を表わす1つのトリガ点に基づいて行なわれる。これによって、1つの各サブデータセットが1つの個別画像に割り当てられている個々の不完全なサブデータセットの記録が簡単に器官の運動に合わせられる。
【0028】
不完全なサブデータセット全体の記録によって、部分データセットに付属する走査格子の全ての格子点が走査されると好ましい。これは、個々のサブデータセットの全ての走査パターンの全体によって、これらのサブデータセットに割り当てられている部分データセットの全ての格子点が走査されることを意味する。この好ましい実施態様は、一般的に、不完全なサブデータセットの特に正確な完全化を実施できるようにするためにも使用されるが、しかし必ずしも必要ではない。例えば、走査パターンは、k空間セグメントの中央範囲の全ての格子点が走査パターンの全体によって走査されるが、しかしk空間セグメントの縁辺範囲において走査パターンの全体によって全ての格子点が一緒に検出されないように構成することもできる。
【0029】
不完全なサブデータセット全体の記録によって、部分データセットに付属する走査格子の全ての格子点が複数回走査されると好ましい。部分データセットに付属する走査格子の全ての格子点が複数回走査されるならば、不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットが特に正確に再構成される。
【0030】
有利な実施態様では、不完全なサブデータセットの記録時に使用される異なった走査パターンが周期的に交替する。周期的に交替する走査パターンは不完全なサブデータセットの記録時における周期性を発生する。これは完全なサブデータセットの簡単な再構成を可能にする。
【0031】
特に簡単に置換可能な実施態様の場合、各走査パターンにおいて走査格子の各A番目のk空間行だけが走査されることによって特徴付けられているA個の異なった走査パターンが使用され、走査されたk空間行が走査パターンごとにずらされている。この場合に、数値Aは一般には1桁の整数である。この種の走査パターンの使用は、特に簡単に実現することができ、この種の走査パターンが不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットを特に簡単に再構成することを可能にするという利点を有する。
【0032】
不完全なサブデータセットの記録は、空間感度が異なっている複数のコイル要素により行なわれ、不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットを再構成する際に個々のコイル要素の感度情報が使用されると好ましい。これによっても、不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットを再構成する精度が高まる。
【0033】
方法の一実施態様において、不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットを再構成することは、中央のk空間範囲に割り当てられている他の完全な補助データセットにより行なわれる。この種の補助データセットはサブデータセットの特に簡単かつ正確な再構成を可能にする。
【0034】
個々のk空間セグメントがk空間の中心点を中心にして互いに回転していると好ましい。これによって個々のk空間セグメントはk空間の中央範囲において交差する。この交差は、この中央範囲に割り当てられている測定データが各サブデータセットと一緒に記録されることを前提とする。これらの多重記録された測定データの比較は完全なサブデータセットもしくは画像シリーズも個別画像の再構成時に有利に使用可能である。完全なサブデータセットから個別画像を再構成するステップでは、例えば、画像平面において個々のサブデータセットの取得間に発生した(かつ器官の動的な運動が重畳している)望ましくない患者の運動が記録されることがあり、この運動は運動の種類に応じて部分的にまたは全部をも補正される。アーチファクトの補正が可能でない場合には、このようにして、特に強いアーチファクトを含んでいる部分データセットまたはサブデータセットを識別することができるので、これらの部分データセットまたはサブデータセットを更なる再構成によって排除することができる。
【0035】
k空間セグメントが中央範囲において交差し、不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットを再構成するために補助データセットを再構成に使用する方法が選ばれる場合には、補助データセットが不完全なサブデータセットから算出されると好ましい。このようにして補助データセットの記録のために必要であった時間を測定データの記録中に節約することができる。
【0036】
しかしながら、他の有利な実施態様においては、補助データセットが不完全なサブデータセットに付加して一緒に記録されることも可能である。この実施態様では再構成時間が短縮可能である。なぜならば、補助データセットが今や不完全なサブデータセットから得られる必要はなく、補助データセットが直接的に不完全なサブデータセットと一緒に記録されるからである。しかしこの場合には測定データの撮影時間が増える。kt−BLAST/kt−SENSEの名称のもとに知られている方法は、例えば完全なデータセットの再構成のための補助データセットにより動作する。
【0037】
本発明による磁気共鳴装置は請求項1乃至10の1つによる方法を実施するように構成されているコンピュータユニットを含む。
【0038】
本発明によるコンピュータプログラム製品は、磁気共鳴装置に接続されているコンピュータユニット上で走るとき、請求項1乃至10の1つに記載の方法を実行可能にする手段を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下において図面に基づいて本発明の実施形態ならびに従属請求項の特徴による有利な構成を説明するが、これらに限定するものではない。
【0040】
図1は磁気共鳴装置の概観を示し、
図2はデカルト走査格子(cartesian scan grid;直交走査格子とも呼ばれている)に沿ってそれぞれ1つの走査が行なわれる個別のk空間セグメントを有するk空間のプロペラ(PROPELLER)状の覆いを示し、
図3は部分データセットおよびサブデータセットの記録に分割された心周期中の測定データの記録の概観を示し、
図4は測定データからなる画像シリーズの個別画像の再構成についての概観を示し、
図5は本発明による方法の概略的経過を示す。
【0041】
図1は磁気共鳴装置1の構成を概略的に示す。本来の測定を行なう磁気共鳴装置1の構成要素は高周波技術的に遮蔽された測定室3内にある。磁気共鳴撮像により身体を検査するために、時間的および空間的特性が極めて正確に相互に調整された種々の磁場が身体に照射される。
【0042】
強い磁石、一般的にはトンネル状の開口を有するクライオマグネット5が静的な強い主磁場7を発生する。この主磁場7は、一般的に0.2テスラ〜3テスラ以上の大きさであり、測定ボリューム内において十分に均質である。ここには図示されていない被検体が患者用寝台9上に寝かせられ、主磁場7内に、正確に言えば測定ボリューム内に位置決めされる。
【0043】
身体の核スピンの励起は磁気的な高周波励起パルスを介して行なわれ、高周波励起パルスはここではボディコイル13として示されている高周波アンテナを介して放射される。高周波励起パルスは、パルスシーケンス制御ユニット17によって制御されるパルス発生ユニット15によって発生される。高周波励起パルスは高周波増幅器19による増幅後に高周波アンテナに導かれる。ここに示された高周波システムは簡略に示されているにすぎない。一般的には、1つよりも多いパルス発生ユニット15、1つよりも多い高周波増幅器19および複数の高周波アンテナが磁気共鳴装置1内に組み込まれる。
【0044】
更に、磁気共鳴装置1は傾斜磁場コイル21を持ち、傾斜磁場コイル21により測定時に傾斜磁場がスライス選択励起および測定信号の空間エンコーディングのために放射される。傾斜磁場コイル21は傾斜磁場コイル制御ユニット23によって制御され、傾斜磁場コイル制御ユニット23はパルス発生ユニット15と同様にパルスシーケンス制御ユニット17に接続されている。
【0045】
励起された核スピンから送出された信号はボディコイル13および/または局所コイル25によって受信され、付設の高周波前置増幅器27によって増幅され、受信ユニット29によって継続処理されかつディジタル化される。受信コイルは複数のコイル要素を含んでいてもよく、これらのコイル要素により核共鳴信号が同時に記録される。
【0046】
例えばボディコイル13のように送信モードでも受信モードでも動作可能なコイルの場合には、正しい信号転送が、前置された送受信切替器39によって制御される。
【0047】
画像処理ユニット31が測定データから画像を作成し、画像は操作コンソール33を介して使用者に対して表示されるか、またはメモリユニット35に記憶される。中央のコンピュータユニット37が個々の装置構成要素を制御する。この場合に、コンピュータユニット37および他の構成要素は、本発明による方法が実施可能であるように構成されている。
【0048】
図2は、プロペラ(PROPELLER)技術の走査方式に相当する本発明による方法の有利な実施形態におけるk空間走査方式を図解する。この場合に、2次元のk空間マトリックス51が個別のk空間セグメント53によって覆われる。各k空間セグメント53の走査点は各k空間セグメント53においてデカルト走査格子55上にある。
【0049】
図の見易さのために、走査格子55は1つのk空間セグメント53において15本の中央の(すなわち、零点の周りに配置された)k空間行57(L=15)の形で示され、k空間行57は位相エンコーディング方向に等間隔に平行配置されている。
【0050】
各k空間行57の長さはk空間マトリックス51の全幅(ここに挙げた例ではM=192のマトリックス点)を覆う。しかしながら、これは必ずしも必要ではない。
【0051】
個々のk空間セグメント53は中心点を中心にして回転しているので、k空間マトリックス51の中央の円形範囲59が各k空間セグメント53によって覆われ、それにより各回の測定データの記録時に一緒に走査される。k空間セグメント53の回転角αiおよび個数NBは特徴的なパラメータであり、これらは、k空間セグメント53が関心のあるk空間範囲全体を覆うように選ばれる。なお、文字Bは英語の用語「Blade」(ブレード)を表わし、プロペラ状のk空間走査の際に個々のk空間セグメントはしばしばこのような「ブレード」なる名前で呼ばれる。一般に、これは、NB=(π/2)×(M/L)が当てはまるときに保証されている。
【0052】
MRIにおける他の取得技術に比べてプロペラ技術は、k空間の中心における(直径Lを有する)中央円形範囲59があたかも個々の各k空間セグメント53によって覆われる利点を有する。測定データの記録後に円形範囲59における異なるk空間セグメント53の測定データの比較が、異なるk空間セグメント53の測定データの記録時に検査対象の発生した運動を求めることを可能にする。このようにして得られた情報は、画像データの再構成時に、全てのk空間セグメント53の測定データの使用のもとで考慮され、それによって画像内のモーションアーチファクトを明白に低減することができる。本発明による方法のここに説明した実施例の場合にも、このようなプロペラ状のk空間セグメンテーションの利点が、完全なサブデータセットから個別画像を再構成するステップにおいて使用される。
【0053】
たとえここでは簡単さおよび明瞭さのために2次元のk空間マトリックス51が示されていても、本方法は、3次元のk空間セグメントの走査点がそれぞれデカルト走査格子上にありかつk空間セグメントが互いに回転しているかぎり、3次元の走査パターンにも適用可能である。
【0054】
図3および図4に基づいて測定データの記録もしくは測定データからの画像シリーズの再構成を説明する。図3は、本発明による方法における測定データの分割と記録の時間的経過とに関する概要を示す。
【0055】
ここで記載する実施例は、模範的に、運動する心臓の時間分解された画像シリーズの記録および作成において説明する。したがって、複数の心周期中に測定データの記録が行なわれる。1つの心周期の経過はECG(心電図)曲線61によって示され、ECGは心臓の準周期性運動の監視として一般的に測定過程中にも患者から導出される。
【0056】
心臓の運動が再現される時間分解された画像シリーズはNp個の個別画像を含む。なお、文字Pは個別画像の1つによって再現される心臓の運動周期中における時間的な位相を表わしている。各個別画像には運動周期の時点t1…tNpが割り付けられている。
【0057】
本発明においては、k空間走査が複数の部分データセット63において順次行なわれ、各部分データセット63が、ECGにおいて検出されるR波65によって表わされる開始点を有する1つの心周期内で記録される。
【0058】
各部分データセット63においては、k空間セグメント53の1つにおける測定データの記録が行なわれる。部分データセット63の記録、すなわち付属するk空間セグメント53の走査は、Np個の不完全なサブデータセット67において行なわれる。したがって、部分データセット63の記録時にはk空間セグメント53の走査が、それぞれ個別画像の時点t1…tNpで、Np回繰り返えされる。
【0059】
p個の不完全なサブデータセット67による完全な部分データセット63の記録後にはじめて次の部分データセット63が記録され、この部分データセット63により、先行のk空間セグメント53に対して回転角αだけ回転している次のk空間セグメント53が走査される。本例では、1つの部分データセット63の記録が、その都度、ECG曲線におけるR波65の検出に基づいて行なわれる。
【0060】
不完全なサブデータセット67の記録は、k空間セグメント53に割り当てられた走査格子55が完全には記録されないこと、もしくは走査格子55の各格子点に測定値が割り当てられるわけではないことを意味する。
【0061】
ここに示された例では、不完全なサブデータセット67の記録時に、実線によって示された各A番目のk空間行57のみが走査され、これに対して破線で示されたその他のk空間行57は飛び越される。個々の不完全なサブデータセット67の記録時には順々にそれぞれ異なったk空間行が走査されるかもしくは省略される。例えば各A番目のk空間行57のみが記録される場合には、そのようにしてA個の異なる走査パターンが得られ、それらの走査パターンにより、不完全なサブデータセット67の記録時に、順々にk空間セグメント53が走査される。各A番目のk空間行57だけの走査によって、空間時間的な加速係数Aが生じる。本例において、数値Aは値3を有する。値A=2については、常に偶数または奇数のk空間行57を走査する例えば2つの走査パターンが得られる。
【0062】
不完全なサブデータセット67の記録時に、これらのA個の異なった走査パターンが順次適用されるので、その都度A個の記録された不完全なサブデータセットに基づいて、k空間セグメント53の全てのk空間行57が記録される。
【0063】
ここに紹介したこれらの走査パターンは、この種の走査パターンが不完全なサブデータセットから完全なサブデータセットを特に簡に再構成できる利点を有する。完全なサブデータセットの再構成は、類似の走査パターンにおいて適用される上述の公知の方法で行なわれる。
【0064】
しかしながら、本発明による方法は、その都度、全k空間行57の記録もしくは飛び越しが行なわれる上述の走査パターンに限定されないで、不完全なサブデータセット67の記録が種々の交替する走査パターンにより一般的に行なわれる場合にも適用可能である。この場合、異なった走査パターンにおいて、k空間セグメント53もしくは付属の走査格子55のそれぞれ異なった格子点が走査される。
【0065】
したがって、図3に示された測定データの分割により、記録されたデータセット全体がNB個の部分データセット63に分割される。これらの各部分データセット63は、再び、NB個のk空間セグメント53の1つに割り当てられているNP個の不完全なサブデータセット67に分割されている。
【0066】
ここに説明した測定データを部分データセット63および不完全なサブデータセット67に分割する際、測定データ記録の時間的配置は、1つの部分データセット63において先ず全てのサブデータセット67が順次記録され、その後初めて次の部分データセット63の記録が行なわれるように行われる。この記録順序は特に磁気共鳴装置における変換に適している。しかしながら、本発明による方法は順次の測定データ記録のこの特別の形態に限定されない。部分データセット63の記録および不完全なサブデータセット67の記録が互いに入り組んでいる他の記録順序も適用可能である。
【0067】
図4に基づいて、記録された測定データから個別画像69を再構成する説明を行う前に、測定データを記録するシーケンスの詳細説明を行なう。特に、心臓の運動の特徴的な期間および他の生理学的なパラメータと関連付けられるシーケンスにとって典型的な期間が注目される。
【0068】
測定データの記録に使用される特別なシーケンスは、シーケンスによりk空間のデカルト走査が可能にされるかぎり、重要ではない。心臓のシネ撮像のために、例えばTrueFISP(=true fast imaging with stedy−state precession、定常状態の歳差運動による真の高速撮像)シーケンスが実証されており、このシーケンスは、SSFB(=refocussed/balanced stedy−state free precession)、FIESTA(=Fast Imaging Employing Steady State Acquistion)、balanced FFE(=balanced Fast Field Echo)なる名称のもとでも知られている。画像データの記録中に患者は呼吸を停止するよう指示される。ECGにおいてR波65が検出されたときに、毎回、測定データの記録が始まる。1つのR波65に基づいてNP個の不完全なサブデータセット67が記録される。各不完全なサブデータセット67においてS個のk空間行57が記録される。S個のk空間行57の記録後にシーケンスは次の不完全なサブデータセット67を記録する。数値Sは典型的には値15を取る。このようにして不完全なサブデータセット67の記録は約50msを要する。この値は同時に画像シリーズの時間分解能である。1つのR波65の後に測定データの記録のために、900msが使用できること(60/minの心拍動における典型的な値)を仮定する場合には、(時間分解された画像シリーズのNP=18なる個数の個別画像69に対応する)NP=18なる個数の相次ぐ不完全なサブデータセット67を記録することができる。
【0069】
患者の心拍数に依存して、18個よりも多いまたは少ない不完全なサブデータセット67が1つのR波65に基づいて記録されるので、時間的画像シリーズは相応に異なった個数の個別画像69を有する。TSがS個のk空間行67を走査するために必要とされる期間を表し、TAがR波65に基づく撮影時間窓の期間を表すならば、例えば時間的画像シリーズの個別画像69の個数は、次の式に基づいて得られる。
P=(TA/TSA,2
ただし、記号(・)A,2は、括弧内にある値がすぐ次に小さい整数に丸められることを意味し、その整数は偶数でありかつ空間時間的加速係数Aの倍数である。
【0070】
各不完全なサブデータセット67において、各3番目のk空間行57のみが走査されるならば、すなわち空間時間的加速係数AがA=3であるならば、付属のk空間セグメント53のデカルト格子はL=A・S=45なる個数のk空間行57を有する。正方形のk空間マトリックス51およびM=192なる個数のマトリックス点のマトリックスサイズの仮定のもとでは、k空間行も192個のマトリックス点の行長を有する。この場合には、NB=(π/2)×(M/L)の評価に基づいて、k空間マトリックス51を覆うために6〜7個のk空間セグメント53が生じる。したがって、1つのスライスにおいて心臓の運動を記録するために6〜7個の心拍動が必要である。患者が最大で20秒間呼吸を停止し、60/minの脈拍数を仮定することから出発するならば、呼吸運動なしでの測定データを記録するために最大で20個の心拍動が使用される。これは、呼吸停止中に、心臓の約2〜3個のスライスが記録可能であることを意味する。心臓全体を表示するためには、一般的に心尖から心底までの左心室全体を表示するのに8mmのスライス厚において12個の関連する短軸スライスが必要とされる。
【0071】
それゆえ、心臓の撮像における目標は、1つのスライスを記録するために必要とされる心拍動の個数をできるだけ僅かに保つことにある。心拍動のこの個数が少なければ少ないほど、ますます多いスライスを呼吸停止中に記録することができるので、心臓全体を表示するのに全体としてより少ない呼吸停止ですむ。代替として、呼吸停止時間を短縮するために高速の記録技術を使用することができ、これは心臓循環問題を有する患者の場合に特に有利である。本発明による方法を適用するための他の選択肢は、呼吸停止の回数および呼吸停止の持続時間を、加速されない測定に比べてほぼ等しいままにしておき、しかしそのために、(Sの低減による)時間分解能および/または(Mの増大による)空間分解能を高めることにある。A、S、Mおよび呼吸停止当たりのスライス数のパラメータ選定によって、使用者は、3つの選択肢のどれによってどの範囲において得をしたいかを確定することができる。撮影時間を本発明による方法により必要なときに短縮する他の可能性を後で説明する。
【0072】
本発明による方法はここでは心臓のシネ撮像の例で詳細に説明されているが、時間的な画像シリーズの作成のための他の適用分野においても適用可能であり、特に、肺または腹部器官の運動のような器官の準周期的運動の表示に適している。
【0073】
図4は、測定データから画像シリーズの個別画像を再構成することに関する概観を示す。
【0074】
部分データセット63の記録時におけるk空間セグメント53の走査がデカルト走査パターンにより行なわれるので、不完全なサブデータセット67において欠けていてかつ飛び越された測定データ(特別な場合それぞれ飛び越されたk空間行57)が公知のように補充可能であり、それゆえ不完全なサブデータセット67から、点線によって示された完全なサブデータセット71が再構成される。これによって、記録時にk空間行57を飛び越した場合に発生したであろういわゆるエイリアシングを除去することができる。
【0075】
不完全なサブデータセット67から完全なサブデータセット71を再構成する際に使用される方法は、例えば明細書の背景技術の項において、UNFOLD、TSENSE、kt−BLASST、kt−SENSEおよびTGRAPPAなる名称のもとに付属の参考文献とともに示した。
【0076】
これらの方法の幾つかは本来の測定データに加えて記録された補助データセット(しばしばトレーニングデータセットとも呼ばれる)で動作する。この種の補助データセットは、一般的に完全に記録された画像データセットであるが、しかし低減された空間分解能およびオプションとして低減された時間分解能を有する画像データセットである。上述の方法において、これらの補助データセットは例えばそれぞれ不完全なサブデータセット67の記録前または記録後に記録可能であり、あるいは不完全なサブデータセット67の記録中でさえも記録可能である。本発明による方法においては、再構成法に応じて、同様に不完全なサブデータセット67に追加して類似の方法で補助データセットを記録することができる。図3および図4において、オプションとして一緒に記録される補助データセットは図の見易さのために示されていない。
【0077】
1つの部分データセット63のNP個の不完全なサブデータセット67からNP個の完全なサブデータセット71を再構成する特別な方法の説明を次に行なう。この方法による再構成のためには特別に記録された補助データセットは必要でない。しかしながら、不完全なサブデータセット67の記録は、それぞれ異なる空間感度を有する複数のコイル要素に基づいて行なわれる。
【0078】
不完全なサブデータセット67の測定データから走査されないk空間行57のデータを再構成するために、部分的に変更されたGRAPPA様式の方法が使用される。「GRAPPA(=GeneRalized Autocalibrating Partially Parallel Aquisitions)」なる名称のもとに知られている方法は、並行撮像方法であり、複数のコイル要素による測定データの同時記録時にk空間のサブスキャンに基づいて生じるエイリアシングアーチファクトを除去するために使用される(例えば、独国特許第10126078号明細書または文献「Griswold M.A.et al.,“Generalized Autocalibrating Patially Parallel Acquisitions(GRAPPA)”,Magn.Reason.Med.47:1202−1210,2002」参照)。この場合に、各コイル要素のために別々に、1つの走査されないk空間行57の各データ点が、複数のコイル要素のk空間内で隣接して走査された測定データからの重み付けされた線形結合として算出される。このために必要とされる重み付け係数は、一般的に、サブスキャンの走査パターンによって検出されなかった付加的に記録されたk空間行57の使用によって求められる。
【0079】
ここに紹介する方法では重み付け係数が、不完全なサブデータセット67におけるk空間行57の付加的な記録なしに、不完全なサブデータセット67から得られた補助データセットにより求められる。
【0080】
次に完全なサブデータセットの再構成の個々のステップのより詳細な説明を行なう。
【0081】
ステップ1:k空間セグメント53の部分データセット63の記録された全ての測定データセットが、すなわち不完全なサブデータセット67の時間的なシリーズが4次元アレイs(ky,kx,nc,tn)に配列される。インデックスky,kxはk空間における位置を表し、インデックスncはコイル要素を表し(nc=1,…,Nc)、インデックスtnは不完全なサブデータセット67の記録のn番目繰り返しの時点を表す(n=1,…,NP)。なお、Ncは使用されたコイル要素の総数であり、空間時間的加速係数Aに等しいかそれよりも大きい。サブスキャンに基づいて不完全なサブデータセット67内に測定データが存在しないアレイ要素には零が割り当てられる。更にアレイはt軸に沿って変換長NPを有する離散フーリエ変換によりフーリエ変換されるので、付属の時間的な周波数スペクトルS(ky,kx,nc,fn),−NP/2≦n<NP/2が得られる。
【0082】
ステップ2:この時間的な周波数スペクトルには、サブスキャンに基づいて周波数スペクトル内に存在するゴースト画像を除去するために、零周波数を中心にして狭い低域通帯域を有する低域通過フィルタが適用される。
【0083】
ステップ3:画像シリーズの時間的に平均化された成分に相当する定常的な成分は、次のように周波数零を有する時間的な周波数スペクトルにおける値が零に等しくセットされることによって、時間的な周波数スペクトルから分離される。
S(ky,kx,nc,f0)=0
−(L/2)2≦ky<−(L/2)2+L
−M/2≦kx<M/2
l≦nc≦Nc
【0084】
ステップ4:そのように部分変更された時間的な周波数スペクトルがf軸に沿って逆フーリエ変換により逆変換される。これにより、アレイs〜dynamic(ky,kx,nc,tn)によって記述されたサブデータセットの部分変更された時間的シリーズが得られる。この部分変更されたシリーズは今や完全であり、すなわち付属のアレイs〜dynamic(ky,kx,nc,tn)において、元のアレイではサブスキャンに基づいて零に等しかったデータ値も零とは異なる。
s〜dynamic(ky,kx,nc,f0)≠0
−(L/2)2≦ky<−(L/2)2+L
−M/2≦kx<M/2
l≦nc≦Nc
1≦n≦NP
【0085】
ステップ5:サブデータセットのこのようにして得られた部分変更された時間的シリーズs〜dynamic(ky,kx,nc,tn)は、GRAPPA様式の再構成に使用される線形の重み付け係数を各時点tnについて得るために、補助データセットのシリーズとして用いられる。このようにして線形重み付け係数のNP個のセットが得られ、これらは後での再構成のために保存される。
【0086】
ステップ6:再び、アレイs(ky,kx,nc,tn)によって記述された不完全なサブデータセット67の元の時間的シリーズから出発して、時間的シリーズの時間的平均化が行なわれることによって元の測定データの静的成分が得られる。
static(ky,kx,nc)=(A/NP)Σs(ky,kx,nc,tn

ただし、シグマはここではn=1からn=NPまでの積算記号である。
【0087】
ステップ7:静的成分が減算されることによって、k空間セグメント53の不完全なサブデータセット67の元の時間的シリーズの動的成分が得られる。
s(ky,kx,nc,tn)≠0の場合、
dynamic(ky,kx,nc,tn)=s(ky,kx,nc,tn)−sstatic(ky,kx,nc
その他の場合、
dynamic(ky,kx,nc,tn)=0
【0088】
ステップ8:ステップ5において算出された一連の線形重み付け係数を使用して、サブデータセットの動的成分に適用されるGRAPPA様式のデータ再構成が行なわれる。このようにして、アレイs〜dynamic(ky,kx,nc,tn)によって記述されたサブデータセットの新たな動的な時間的シリーズが得られる。この新たな動的な時間的シリーズも完全であり、すなわち付属のアレイs〜dynamic(ky,kx,nc,tn)において、元のアレイs(ky,kx,nc,tn)ではサブスキャンに基づいて零に等しかったデータ値も零とは異なる。
【0089】
今や再構成プロセスの次のステップにおいて、一方ではステップ7において減算された静的成分が再び付け加えられ、残っているエイリアシングアーチファクトが抑制される。
【0090】
ステップ9:先ず、ステップ8からのサブデータセットs〜dynamic(ky,kx,nc,tn)の新たな動的な時間的シリーズが、
S〜dynamic(ky,kx,nc,fn),−NP/2≦n<NP/2
なる付属の時間的周波数スペクトルを得るために、t軸に沿ってフーリエ変換される(変換長NPを有する離散フーリエ変換)。
【0091】
ステップ10:零にすべき(小さい偏差になるべき)周波数を有するこの付属の時間的周波数スペクトルの値は零に等しい。これらの値は静的成分NP・sstatic(ky,kx,nc)によって置き換えられる。sstatic(ky,kx,nc)はステップ6において算出された値である。
【0092】
ステップ11:このようにして部分変更された時間的周波数スペクトル内に残っているアーチファクトを抑制するために、狭い阻止範囲を有する帯域通過フィルタが時間的周波数スペクトルに適用される。フィルタの阻止範囲は、
m=j・NP/Aおよび
Aが奇数の場合、−(A−1)/2≦j≦(A−1)/2、j≠0
Aが偶数の場合、−A/2≦j≦A/2、j≠0
が当てはまる周波数fmの中心に位置決めされている周波数帯域である。このようにして、残っているアーチファクトが抑制される。
【0093】
ステップ12:逆フーリエ変換を介して、フィルタ処理された周波数スペクトルから、完全なサブデータセット71の時間的シリーズが再構成される。
【0094】
これらの再構成ステップは、NB個の全ての部分データセット63もしくはそれらの不完全なサブデータセット67のために繰り返されると好ましい。
【0095】
完全なサブデータセット71は、他のステップにおいて、画像シリーズの再構成をプロペラ技術にしたがって行なうために使用される。この場合に、画像シリーズの個別画像69は、この個別画像69に割り当てられている部分データセット63の完全なサブデータセット71が再構成に使用されることによって再構成される。この再構成法は先に引用した非特許文献8に記載されている。最終的な画質にとって決定的に重要であるステップは、適切なデカルト格子上におけるサブデータセット71のデータ点の補間である。この再構成ステップのために種々の公知の方法が使用可能である。以下において2つの方法を手短に説明する。
【0096】
適切なデカルト格子にサブデータセット71のデータ点を補間するための実現可能でありかつしばしば使用される方法は、英語で「Gridding」または「Gridding法」と呼ばれる、いわゆる格子法である。この方法の詳細は、刊行物「J.I.Jackson et al.,“Selection of a Convolution Function for Fourier Inversion Using Gridding”,IEEE Trans.Med.Imag.10:473−478,1991」において明らかにされている。格子法(Gridding法)による手法では、個別画像の1つに付属する完全なサブデータセットの各データ点もしくは重み付けによって補償/補正されたデータ点が、(相応の畳み込み核を有する)畳み込み処理を施され、適切なデカルト格子上に投影される。今やデカルト式座標上に存在するこの生データセットは、高速フーリエ変換(FFT)により画像空間に変換される。このFFTの結果がフーリエ変換された畳み込み核によって分割されることによって(逆畳み込みもしくは展開)、再構成すべき個別画像が得られる。
【0097】
付属の複数のサブデータセットから1つの個別画像を再構成するために使用可能であるその他の有利な方法では、次のステップが実行される。先ず、最終的なデカルト格子が選択される。第2のステップにおいて、各サブデータセットのデータがそれぞれ新たな格子上に伝達される。新たな格子は、サブデータセットに付属したk空間セグメントの方位を有し、付加的に最終的な格子の格子定数に相当する格子定数を持つ。この伝達は例えばシンク補間によって行なうことができる。最終的な格子とサブデータセットの走査格子とが等しい格子定数を有する場合については、補間は必要でない。第3のステップでは、最終的な格子に対するk空間セグメントもしくは新たな格子の回転角に相当する角度だけ新たな格子のデータが回転させられることによって、新たな各格子のデータが最終的な格子に補間されて伝達される。最終的な格子のこのようにして得られたデータが更にフーリエ変換され、その結果として個別画像が得られる。
【0098】
例えば、画像シリーズの第3の個別画像69’を再構成するために、部分データセット63の第3の完全なサブデータセット71’が使用される。存在するならば、優先的に全ての部分データセット63の第3のサブデータセット71’が使用される。しかし、例えば、これらの部分データセットの記録時に過大なアーチファクトが発生したために部分データセット63の1つが使用できない場合には、第3の個別画像69’を再構成するためにいつでも第3の全てのサブデータセット71’が使用されるわけではないことも起こり得る。この場合には第3の個別画像69’の再構成が第3のサブデータセット71’の一部のみで行なわれてもよい。文献「Arfanakis K.et al.,“k−Space Undersampling in PROPELLER Imaging”,Magn.Reson.Med.53:675−683,2005」に記載されているように、個々のk空間セグメントのデータの省略がプロペラ技術による再構成時に画質を許容し得る程度で阻害する。代替として、そのような場合、アーチファクトを有する第3のサブデータセット71’は、同じ部分データセットの時間的に隣接するサブデータセット(本例では、例えば第2または第3のサブデータセット)によって置き換えられる。この代替のための前提は、同じ部分データセットの時間的に隣接するサブデータセットがあまりアーチファクトを持たないことである。更に、この選択肢の場合には、本当の第3のサブデータセットのデータ点が存在するk空間範囲内にある置き換えられたサブデータセット71’のデータ点が抑制される。
【0099】
本発明による方法は、一般的に付加的に記録された補助データセットが使用される不完全なサブデータセット67においてk空間行57の完全化方法が選択される場合に特に現れる他の利点を有する。この種の方法は、例えば明細書の背景技術の項においてkt−BLASTおよびkt−SENSEなる名称のもとに述べた方法であり、この方法では本来の不完全な測定データの記録前に付加的な低分解能の完全な補助データセットが記録される。
【0100】
本発明による方法により、低分解能の補助データセットの記録を断念し、その代わりに、記録された測定データを使用することができる。すなわち、この記録された測定データは、k空間マトリックス51の中央範囲59に属し、かつ各k空間セグメント53の記録時に一緒に記録された測定データである。
【0101】
中央範囲59の測定データは、記録中に不完全な走査にもかかわらず十分な密度にある。なぜならば、測定データはどのk空間セグメント53においても一緒に記録されるので、これから(一般的に一緒に記録された補助データセットによると同様に)低い空間分解能を有するがしかしエイリアシングアーチファクトを持たない補助データセットが作成可能であるからである。
【0102】
直接的に不完全なサブデータセット67から低分解能の補助データセットを抽出することは、補助データセットの付加的な記録に比較して多くの利点を有する。一方では全撮影時間を短縮することができる。なぜならば、補助データセットを別に記録しなければならないからである。他方では補助データセットの記録と本来の画像データセットの記録との間の時間的遅れが回避される。この時間遅れは、(例えば不十分な呼吸停止によって)その間に運動が発生したとしたら、完全なデータセットの誤りを有する再構成を生じたであろう。なぜならば、表示データセットおよびサブスキャンされた測定データはそれぞれ変化し易い対象に相当するからである。
【0103】
図5は、有利な実施形態における本発明による方法の概略的な方法経過を示す。
【0104】
第1のステップ81において、測定データの記録が行なわれる。この測定データの記録は反復して行なわれ、各反復ステップにおいて1つの部分データセット63の測定データが記録される。つまり、各反復ステップでは測定データがk空間セグメント53の1つに沿って記録される。このために、シリーズの個別画像69の個数に応じて、一連のサブデータセット67が記録され、各サブデータセット67は不完全に記録され、記録は種々の交替する走査パターンに基づいて行なわれる。種々の走査パターンが、それぞれ、部分データセット63に付属する走査格子の異なった格子点を走査し、しかし不完全なサブデータセット67全体の記録によって、部分データセット63に付属する走査格子の全ての格子点が走査される。
【0105】
第2のステップ83において、不完全なサブデータセット67から完全なサブデータセット71が再構成される。この再構成は同様に反復して行なわれる。1つの反復ステップにおいて、部分データセット63の全ての不完全なサブデータセット67から、相応の完全なサブデータセット71が再構成される。
【0106】
第3のステップ85において、画像シリーズの個々の個別画像69の反復式再構成が行なわれる。1つの反復ステップにおいて、個別画像69に割り当てられた全ての完全なサブデータセット71が個別画像69の再構成に使用されることによって、個別画像69が再構成される。
【0107】
次に、上述の実施例による本発明の方法と、k空間の純粋なデカルト走査が行なわれ、したがって個々のk空間セグメントが互いに回転されていない方法との比較を行なう。以下において、正方形のk空間のマトリックスサイズがM=192であると仮定されている。更に、1つのサブデータセットにおいてそれぞれS=15のk空間行が走査され、この場合にそれぞれ各3番目のk空間行が走査されると仮定されている。これはA=3の空間時間的な加速係数に相当する。
【0108】
運動に対するロバスト性:
上述の如き実施例の場合には1つのスライスの完全記録のために約6〜7個の心拍動が必要であるのに対して、純粋なデカルト走査およびセグメント化の場合には4〜5個の心拍動で十分である。これは次の式、すなわち、
HBCartesian=M/(S×A)
からも得られる。これは確かに僅かに高速であるが、しかしこの場合にも、患者が記録中に典型的に呼吸を完全に停止することができないという記録時の問題が発生する。これは心拍動の間に運動が発生することを前提とする。
【0109】
両方法において、個々のk空間セグメントにおける測定データの記録は、典型的な患者の運動と比較して比較的速い。
【0110】
しかしながら、k空間の純粋なデカルト走査およびセグメント化の場合には、先ずk空間セグメントが不完全に記録され、引き続いて不完全に記録されたk空間マトリックスが完全なものにされなければならないので、記録中に発生した患者の運動が再構成された画像中に比較的強いアーチファクトを生じさせる。したがって、k空間の純粋なデカルト走査の場合、異なった心拍動において記録されたk空間信号がその運動によって変化させられて、画像再構成時にゴースト画像および/または位相エンコード方向へのぼやけが生じる。
【0111】
しかしながら、本発明による方法の場合には、個々のk空間セグメント53もしくは個々の部分データセット63の不完全なサブデータセット67が完全なものにされる(完全化される)ので、完全なサブデータセット71の自体が僅かなモーションアーチファクトを有する。したがって、記録時における不十分な呼吸停止は、主として、個々のk空間セグメント53もしくは部分データセット63の相互の誤りを有する整列を生じる。
【0112】
しかしながら、本発明による方法の場合には、k空間マトリックス51の中央の円形範囲59において個々のk空間セグメント53が重なり合う。この範囲において測定データが繰り返し記録されるので、個々のk空間セグメントの記録時に発生する剛体回転および剛体並進を補償するために、これらの繰り返し記録された測定データを使用することができる。非剛体特性の運動および/または層方向の運動が起きた場合にだけ、k空間セグメント53の、この運動により生じる相互の誤りのある整列は個別画像の再構成時に補正されない。
【0113】
最後に述べた誤りのある整列は、一般的に少数のk空間セグメント53においてのみ、したがって部分データセット63において、一般的には呼吸停止の終端で記録されるk空間セグメント53もしくは部分データセット63において発生する。この場合には異なったk空間セグメント53の中央の測定データの比較が、少なくとも、これらのk空間セグメント53を識別することを可能にする。このようにして識別されたk空間セグメント53が測定データの後処理において排除される。この場合に排除は全部または部分的であってよく、後者では、例えば既に他のk空間セグメント53によって記録されたk空間範囲の測定データのみを除くことによって行なわれる。
【0114】
k空間マトリックスの純粋なデカルト式のセグメント化および走査の場合、ついさきほど述べたように、この上述の利点は利用することができない。
【0115】
たとえ画像データの再構成時に運動補正が適用されなくても、本発明による方法は改善された画質を提供する。なぜならば、個々のk空間セグメント53によるk空間の放射状の覆いおよびプロペラ技術での画像再構成は、モーションアーチファクトに対する抵抗力に関して、k空間の純粋なデカルト走査よりも強いからである。
【0116】
方位角方向のサブスキャンに対するロバスト性:
本発明による方法は、純粋なデカルト走査に比べて、本発明による方法を加速するために利用可能である他の利点を有する。
【0117】
上述のように、純粋なデカルト走査の場合には1つのスライスを記録するのに4〜5個の心拍動ですむのに対して、本発明による方法における互いに回転しているk空間セグメントの場合にはk空間セグメント53の部分的重なりが生じるのでk空間マトリックス51の走査のために6〜7個の心拍動が必要である。k空間マトリックス51の純粋なデカルト走査と比べて、走査に必要な心拍動の個数がπ/2倍増える。
【0118】
それにもかかわらず、全てのk空間セグメント53、従って全ての部分データセット63が一緒に走査されないように構成されたk空間のサブスキャンは、k空間セグメント53の50%までが共に走査されなくても、画質の僅かな低下しか生じさせないことが証明されている(例えば、刊行物「Arfanakis K.et al.,“k−Space Undersampling in PROPELLER Imaging”,Magn.Reson.Med.53:675−683,2005」参照)。これは、走査の時間が問題であるときに、心臓の1つのスライスの画像データを記録するために同様に4〜5個の心拍動しか必要としないように本発明による方法を構成することができることを意味する。
【0119】
画像再構成時間の比較:
ここでは、本発明による方法と、時間的シリーズが純粋なデカルト式のセグメント化されたk空間走査により撮影される従来の方法との画像再構成時間の比較を、例えばUNFOLD、TSENSE、kt−BLAST、kt−SENSEおよびTGRAPPAのような明細書の背景技術の項において述べた方法を用いて行なう。
【0120】
時間分解された画像シリーズの作成時におけるマトリックスサイズは、静的なMRIにおけるマトリックスサイズと比較して一般に比較的小さいので、プロペラ技術での個別画像の再構成は少ない時間で済む。それゆえ、再構成時間の主要部は不完全なサブデータセット67から完全なサブデータセット71を再構成するために必要とされる。この仮定のもとで動的な画像シリーズの再構成は個々のk空間セグメントの個数を示す係数すなわちNBだけ長時間を要する。なぜならば、各k空間セグメント53のための完全なサブデータセット71の再構成が別個に行なわれるからである。
【0121】
しかしながら、本発明による方法は、上述のように、低分解能の補助データセットの記録が再構成のために必要でないので、記録された測定データの処理が測定データの記録直後に開始可能であるという利点を有する。不完全なサブデータセット67から完全なサブデータセット71を再構成するために、このステップが部分データセット63ごとに別個に行なわれる方法が選らばれるという仮定のもとでは、記録された測定データの処理は部分データセット63の記録直後に開始可能である。
【0122】
実施例において説明した心臓のシネ撮像について、例えば、これは、完全なサブデータセット71のデータ処理および再構成が1つの部分データセット63の記録終了直後に、つまり1つの心周期の終了直後に開始可能であることを意味する。更になおも、1つの部分データセット63の不完全なサブデータセット67を少なくともその記録に要する時間と同じくらい速く処理することが可能である場合には、測定データの高速処理が保証されている。なぜならば、測定データ記録の終了後に最後の部分データセット63がその不完全なサブデータセット67により処理されるだけでよいからである。この場合、画像は従来の方法と同程度の時間で得られる。この再構成時間が守られるようにこのために必要なアルゴリズムを実行可能にする手段を提供することは実現可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】磁気共鳴装置の概観を示すブロック図
【図2】デカルト走査格子に沿ってそれぞれ1つの走査が行なわれる個別のk空間セグメントを有するk空間のプロペラ(PROPELLER)状の覆いを示す説明図
【図3】部分データセットおよびサブデータセットの記録に分割された心周期中の測定データの記録の概観を示す説明図
【図4】測定データからなる画像シリーズの個別画像の再構成についての概観を示し説明図
【図5】本発明による方法の概略的経過を示すフローチャート
【符号の説明】
【0124】
1 磁気共鳴装置
3 測定室
5 クライオマグネット
7 主磁場
9 患者用寝台
13 ボディコイル
15 パルス発生ユニット
17 パルスシーケンス制御ユニット
19 高周波増幅器
21 傾斜磁場コイル
23 傾斜磁場コイル制御ユニット
25 局所コイル
27 高周波前置増幅器
29 受信ユニット
31 画像処理ユニット
33 操作コンソール
35 メモリユニット
37 コンピュータユニット
39 送受信切替器
51 k空間マトリックス
53 k空間セグメント
55 デカルト走査格子
57 k空間行
59 中央円形範囲
61 ECG曲線
63 部分データセット
65 R波
67 不完全なサブデータセット
69 個別画像
71 完全なサブデータセット
81〜85 ステップ
【出願人】 【識別番号】390039413
【氏名又は名称】シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【出願日】 平成19年7月18日(2007.7.18)
【代理人】 【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖


【公開番号】 特開2008−23338(P2008−23338A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2007−186735(P2007−186735)