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【発明の名称】 放射線画像撮影装置
【発明者】 【氏名】新田 裕子

【要約】 【課題】被検者が手指を動かさずに撮影可能な放射線撮影装置の提供。

【構成】被写体Hに放射線を照射する放射線源8と、被写体Hを透過した放射線源8からの放射線を検出する放射線画像検出器11を保持する検出器保持手段12と、放射線源8と検出器保持手段12との間に配置されて被写体Hを保持する被写体台14と、放射線源8、被写体台14及び検出器保持手段12を位相コントラスト画像を生成可能に保持する保持手段7と、を備えた放射線画像撮影装置1において、被写体台14の端部は、検出器保持手段12の端部より保持手段7の反対側へ突出していることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体である被検者の一部に放射線を照射する放射線源と、前記被写体を透過した前記放射線源からの放射線を検出する放射線画像検出器を保持する検出器保持手段と、前記放射線源と前記検出器保持手段との間に配置されて前記被写体を保持する被写体台と、を位相コントラスト画像が生成可能となるように備えた放射線画像撮影装置において、
前記被写体台は、前記検出器保持手段の端部より前記被検者側へ突出していることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記放射線源と前記検出器保持手段との相対位置は固定されており、前記被写体台の相対位置は変更可能であることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記被写体台に保持されている前記被写体が左手であるか右手であるかを判別する左右判別手段が備えられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記被写体台に保持されている前記被写体の向きを判別する撮影方向判別手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記位相コントラスト画像の画像データを生成する画像データ生成部と、
前記左右判別手段による左右情報及び/又は前記撮影方向判別手段による撮影方向情報を前記画像データに付帯させる情報付帯手段と、を備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の放射線画像撮影装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置に係り、特に、関節の変形を診断するための放射線画像撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、放射線画像撮影においては、被検者を固定する必要があり、例えば、消化器官を撮影する場合は、特許文献1に示すように、空気枕で被検者の腹部を圧迫固定する装置が知られている。また、乳房撮影装置の場合、通常、圧迫板などにより被写体台上に被写体を固定して撮影するようになっている。
【0003】
図13に示すように、このような乳房撮影装置50においては、被写体Hに向けて放射線を照射する放射線源51と、被写体Hを透過した放射線源51からの放射線を検出する放射線画像検出器を保持する検出器保持手段52と、放射線源51と検出器保持手段52との間に配置されて被写体Hを保持する被写体台53と、が備えられている。これらの構成は上下方向に沿って備えられており、被検者が立位状態で放射線画像を撮影することが可能となっている。
【0004】
また、得られる放射線画像のコントラストを十分に向上させるために、位相コントラスト画像を撮影する放射線画像撮影装置が知られている(例えば、特許文献2参照)。位相コントラスト画像を撮影するにあたっては、放射線源と被写体との間、及び、被写体と放射線画像検出器との間に、所定量の距離を設ける必要がある。このような位相コントラスト撮影は、拡大撮影方法の1つである。
【0005】
ここで、手足に現れる疾患の1つとして、リウマチ疾患が挙げられる。リウマチ疾患の場合には、骨粗鬆症のような骨部に現れる症状と、軟骨破壊のような軟骨部に現れる症状とがある。これらの症状は手足の軟骨部に最も早く現れるため、従来、MRI等により手指の関節部を撮影した画像を用いて診断が行われていた。しかしながら、MRIによる撮影は費用や診察に要する時間等の観点から被検者の負担が大きく、撮影を定期的に行い手指の関節部の変化を観察することは困難であるという問題があった。
【特許文献1】特開2005−40505号公報
【特許文献2】特開2004−173879号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、近年、X線撮影装置を用いて位相コントラスト画像を撮影することにより、軟骨部とその周辺との間のようにX線吸収差が小さい場合でも、視認性の良い軟骨部の画像を撮影する技術を本出願人は提案している。本件発明は、視認性の良好な、軟骨部を含む関節部の画像を生成する放射線画像撮影装置を提供するものである。
本件発明の放射線画像撮影装置によれば、被検者の手指の関節部分の撮影を定期的に行うことが可能で、関節部分の軟骨等の経時変化(例えば、軟骨部の擦り減り等)の有無を観察診断により行うことが容易となり、リウマチ疾患の早期発見と、患者に対する治療を早期に行うことによる疾患拡大の抑制とが可能となる。
【0007】
また、従来の放射線画像装置50においては、検出器保持手段52が被写体台53の端部より被検者側に突出するため、被写体台53に近付いた姿勢をとることができず、被検者の腕部が安定せず手指を固定させるのが難しいという課題があったが、本件発明の放射線画像撮影装置によれば、このような課題を解決することが可能である。したがって、被検者が比較的高齢の場合であっても、腕部のモーションアーチファクトが生じ難く、手指を動かさずに撮影するのが容易であり、被検者に負担がかかることがない。また、被検者の手指の開き具合や向きが撮影の度に異なっていても、被写体への放射線照射角度を一定にすることが可能で、手指撮影画像の比較によりわずかな経時変形も発見することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
被写体である被検者の一部に放射線を照射する放射線源と、前記被写体を透過した前記放射線源からの放射線を検出する放射線画像検出器を保持する検出器保持手段と、前記放射線源と前記検出器保持手段との間に配置されて前記被写体を保持する被写体台と、を位相コントラスト画像が生成可能となるように備えた放射線画像撮影装置において、
前記被写体台は、前記検出器保持手段の端部より前記被検者側へ突出していることを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、被写体台は検出器保持手段の端部より被検者側へ突出しているので、被検者は放射線画像撮影装置に近付いて被写体台に手指と肘下の腕部を載せて楽な姿勢をとることができる。このようにして被検者が手指を固定させている状態で、放射線源から照射された放射線は、被写体台上の被写体である被検者の手指を透過し、検出器保持手段に保持されている放射線画像検出器に入射する。放射線画像検出器は、入射した放射線に基づいて位相コントラスト画像を生成する。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の放射線画像撮影装置において、
前記放射線源と前記検出器保持手段との相対位置は固定されており、前記被写体台の相対位置は変更可能であることを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、放射線源と検出器保持手段の相対位置は固定されており、被写体台の相対位置を変更させることにより、放射線源から検出器保持手段までの距離(つまり、装置高さ)を一定にしながら位相コントラスト画像における拡大率が調整される。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の放射線画像撮影装置において、
前記被写体台に保持されている前記被写体が左手であるか右手であるかを判別する左右判別手段が備えられていることを特徴とする。
【0013】
請求項3に記載の発明によれば、左右判別手段は、被写体台に保持されている被検者の手が左手であるか右手であるかを判別し、所定の方向からの手指の関節部が撮影される。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の放射線画像撮影装置において、
前記被写体台に保持されている前記被写体の向きを判別する撮影方向判別手段が備えられていることを特徴とする。
【0015】
請求項4に記載の発明によれば、撮影方向判別手段は、被写体台に保持されている被検者の手について、撮影方向として手の甲又は手の平のいずれかが上方を向いているのかを判別する。そして、判別された撮影方向に基づいて所定の方向から手指の関節部が撮影される。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の放射線画像撮影装置において、
前記位相コントラスト画像の画像データを生成する画像データ生成部と、
前記左右判別手段による左右情報及び/又は前記撮影方向判別手段による撮影方向情報を前記画像データに付帯させる情報付帯手段と、を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明によれば、左右判別手段による左右情報及び/又は撮影方向判別手段による撮影方向情報が情報付帯手段に送信され、情報付帯手段は、画像データ生成部により生成された画像データにこれらの付帯情報を対応付ける。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、被検者は被写体台に手と肘下の腕部を載せて楽な姿勢をとることができるので、被検者が手指を動かさずにいることが容易であり、手指を固定させた状態での手指の軟骨部の撮影が可能である。また、位相コントラスト撮影により、骨及び軟骨の辺縁形状がエッジ強調され、視認性が大幅に向上しているので、軟骨部の経時変形(例えば、軟骨部の擦り減り等)の有無を容易かつ正確に判断することができる。さらに、放射線画像撮影装置を用いて軟骨部の経時変形の有無を判断ができるので、MRI等の特別な装置を用いる必要もなく被検者に負担をかけることなくリウマチ疾患の診断が可能である。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、装置高さを一定とすることができるため、一般的な診療所や放射線科の建物構造上好ましい。また、放射線画像検出器や被写体の大きさに合わせて位相コントラスト画像の拡大率を調整することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、左右判別手段により、被検者が被写体台に載せた手が左右いずれかのものであるかを判別し、所定の方向から手指の関節部を撮影するので、手指撮影の角度を一定にして経時変形を容易に判断することができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、撮影方向判別手段により、被写体台に載せられた被検者の手の向きを判別し、その向きに応じた方向から放射線を照射させて画像を撮影するので、手指撮影の角度を一定にして経時変形を容易に判断することができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、情報付帯手段及び画像データ生成部により、画像データと付帯情報とを対応付けることが可能であり、付帯情報に基づいて過去に撮影した放射線画像との比較等の観察診断が可能である。したがって、一見しただけでは左右情報や撮影方向を間違い易い手指の放射線画像であっても、付帯情報を用いて関連画像(同一の被写体を過去に撮影した放射線画像)との比較を精確に行うことが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明に係る放射線画像撮影装置の一実施形態について、図面を参照して説明する。ただし、発明の範囲を図示例に限定するものではない。
【0024】
図1に、本実施形態における放射線画像撮影装置1の構成例を示す。放射線画像撮影装置1には、土台となる撮影装置本体部4に支持基台3が、支持台2に対して昇降自在に設けられている。支持基台3には、略直方体形状の撮影装置本体部4が、支持軸5を介してCW方向及びCCW方向に回動自在に支持されている。支持基台3には、その昇降及び支持軸5の回動を駆動する駆動装置6が備えられている。駆動装置6は、図示しない公知の駆動モータ等を備えている。支持基台3及び撮影装置本体部4は、被写体Hの位置に応じて昇降するようになっている。被写体Hの位置とは、椅子Xに座った被検者の肩付近の位置であって、被検者が腕を後述する被写体台14に載せて疲れにくい姿勢をとることができるような位置に調整可能となっている。
【0025】
図2に示すように、撮影装置本体部4には、上下方向に沿って保持部材7が備えられている。保持部材7の上部には、被写体Hに放射線を放射する放射線源としてのX線源8が取り付けられている。X線源8には、管電圧及び管電流を印加する電源部9が、支持軸5、支持基台3及び撮影装置本体部4を介して接続されている。X線源8の放射線放射口には、放射線照射野を調節する絞り10が、開閉自在に設けられている。
【0026】
X線源8としては、回転陽極X線管とすることが好ましい。この回転陽極X線管においては、陰極から放射される電子線が陽極に衝突することでX線が発生する。これは自然光のようにインコヒーレント(非干渉性)であり、また平行光X線でもなく発散光である。電子線が陽極の固定した場所に当り続けると、熱の発生で陽極が傷むので、通常用いられるX線管では陽極を回転して陽極の寿命の低下を防いでいる。電子線を陽極の一定の大きさの面に衝突させ、発生したX線はその一定の大きさの陽極の平面から被写体Hに向けて放射される。この平面を焦点(フォーカス)と呼ぶ。焦点サイズD(μm)は、焦点が正方形の場合はその一辺の長さを、焦点が長方形や多角形の場合はその短辺の長さを、焦点が円形の場合はその直径をさす。焦点サイズDは、大きくなるほど照射される放射線量が多くなる。
【0027】
保持部材7の下部には、被写体Hを透過した放射線を検出する放射線画像検出器11を保持する検出器保持部12の一端が取り付けられている。放射線画像検出器11としては、例えば、輝尽性蛍光体シートを収納したカセッテ、スクリーン(増感紙)/フィルム、FPD(flat panel detector)等が挙げられる。本実施形態においては、14×17(インチ)の放射線画像検出器11が用いられる。また、X線源8と検出器保持部12の相対位置は固定されており、その距離をLとする。
【0028】
保持部材7の下方であって検出器保持部12の下面には、照射された放射線量の検出を行う放射線量検出部13が設けられている。
【0029】
X線源8と検出器保持部12の間には、被写体Hである被検者の手指を下から保持する平板状の被写体台14が、その一端を保持部材7に取り付けるようにして備えられている。被写体台14は、位相コントラスト撮影時の撮影倍率調整(高さ方向の位置調整)のために、保持部材7に対する位置を変更するモータ等を備える位置調整装置15と接続されている。
【0030】
被写体台14は、検出器保持部12の他端より被検者側に突出するように形成されている。被写体台14の上方には、被写体Hを上部から圧迫して固定するための圧迫板21が、その一端を保持部材7に取り付けるようにして備えられている。圧迫板21は被写体台14と平行状態を保ったまま保持部材7に沿って移動自在である。圧迫板21の移動は、自動又は手動のいずれも適用可能である。圧迫板21の被検者側の端面は、略垂直方向に配置されたX線源8及び放射線画像検出器11(有効画像端面)より若干被検者側に突出するように配置されている。したがって、被検者の撮影対象範囲(例えば右手)を、圧迫板21より保持部材7側に位置するように配置すれば、関心領域(撮影対象範囲)の画像欠損を生じることがなく好ましい。また、被写体台14の端面を曲面形状とし、平均的な体型の高齢の被検者が椅子Xに座った状態で被写体台14に上半身をあずけられるようにするのが好ましい。その場合、被検者は椅子Xに座った状態で、検出器保持部12に脚をぶつけることなく撮影位置につくことができるようになっている。
【0031】
図3及び図4に示すように、被写体台14には、被検者の手指を保持する手保持部16が、放射線照射経路と交差して備えられている。手保持部16の大きさは、被検者の手指が載置可能であれば特に制限は無い。手保持部16の上面には、被検者が手保持部16に手指を置いた状態で親指と人差指の間に添えて配置される三角マグネット17が備えられている。手保持部16には、三角マグネット17の載置箇所を検知して撮影方向情報として被検者の親指の位置を判別する撮影方向判別手段18(図7参照)が備えられている。
【0032】
図5及び図6に示すように、被写体台14の手保持部16より被検者側の位置には、被検者の腕部を保持する腕保持部19が備えられている。腕保持部19には、左腕保持部19aと右腕保持部19bが備えられており、撮影条件に応じて被検者が左右いずれかの腕を載置するようになっている。腕保持部19の大きさに特に制限は無いが、被検者の肘下の腕部が載置可能であればその手指を十分安定して固定させることができる。左腕保持部19a及び右腕保持部19bには、左腕保持部19a又は右腕保持部19bのどちらに被検者の腕部が載置されているかにより、被検者の手が右手であるか左手であるか(左右情報)を判別する左右判別手段としての加重センサ20…(図7参照)が備えられている。加重センサ20は公知のものを制限なく適用可能であり、備える加重センサ20の数及び設置位置にも特に制限はない。
【0033】
撮影方向判別手段18によって取得された撮影方向情報と、加重センサ20により取得された左右情報は、後述する制御装置22を介して情報付帯手段26に出力される。情報付帯手段26は、生成される位相コントラスト画像の画像データに撮影方向情報及び/又は左右情報を付帯情報として対応付けることとしてもよい。付帯情報としてはこれらに制限されず、被検者のID情報等も付帯させることとしてもよい。
【0034】
図7に示すように、撮影装置本体部4には、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)により構成される制御装置22が備えられている。制御装置22には、放射線量検出部13、電源部9、駆動装置6、位置調整装置15、加重センサ20、情報付帯手段26及び撮影方向判別手段18がバス23を介して接続されている。また、制御装置22には、撮影条件等の入力を行うキーボードやタッチパネル(図示省略)、被写体台14の位置の調整を行うための位置調整スイッチ等を備える入力装置24a、及びCRTディスプレイや液晶ディスプレイ等の表示装置24bを有する操作装置24、等が接続されている。制御装置22のROMには、放射線画像撮影装置1各部を制御するための制御プログラム及び各種処理プログラムが記憶されており、CPUは、この制御プログラム及び各種処理プログラムとの協働により撮影装置1各部の動作を統括的に制御し、位相コントラスト撮影を行い、位相コントラスト画像の画像データを生成する画像データ生成部として機能する。
【0035】
例えば、CPUは、加重センサ20及び撮影方向判別手段18による判別結果や、被検者の撮影条件等に基づいて、駆動装置6を制御して撮影装置本体部4を被検者の身長等に合わせた高さに昇降させるとともに、放射線照射角度を調節するために支持軸5を回動させる。そして、位置調整装置15により被写体台14の位置を調整し、位相コントラスト撮影の拡大率を調整する。その後、撮影装置本体部4は、撮影処理を実行し、電源部9により、X線源8に管電圧及び管電流を印加して被写体Hに対して放射線を照射させ、放射線量検出部13から入力された放射線量が予め設定された放射線量に達すると、電源部9によりX線源8からの放射線の照射を停止させる。
【0036】
ここで、図8を参照して位相コントラスト撮影の原理について説明する。位相コントラスト撮影とは、被写体Hと放射線画像検出器11との間に一定の距離R2を設けることで、図8に示すように放射線の屈折に起因するエッジ強調(屈折コントラスト強調)画像を得るものである。図8に模式的に描くように、放射線が物体を通過するときに屈折して物体の境界内側の放射線密度が疎になり、さらに物体の外側は物体を通過しない放射線と重なることから放射線密度が上昇する。このようにして被写体境界部分であるエッジが画像として強調される。これは物体と空気との放射線に対する屈折率の差から生じる現象である。これがエッジ強調画像である。
【0037】
さらに図8で原理的に示す空気と被写体との境界でのエッジ強調のみならず、物体内においても屈折率の異なる部分の境界部分も同様な効果が得られる。本発明での被写体境界部分とは放射線の屈折率の異なる物質との境界部分と表現することができる。
【0038】
位相コントラスト撮影を行うと、X線源8から被写体Hまでの距離をR1、被写体Hと放射線画像検出器との距離をR2とすると拡大率=(R1+R2)/R1の撮影倍率での拡大撮影となる。R1については、その起点はX線源8の焦点の位置であり、通常の市販のX線源8にはその場所が明示されている。また終点は被写体位置を固定する被写体台14により固定された被写体Hの中心線であり、ここでは被写体台14と圧迫板21から等距離にある位置を被写体Hの中心線としている。R2については起点は被写体Hの中心線であり、終点は放射線画像検出器の放射線を受ける平面の最上面、即ち、検出器保持部12の最上面である。
【0039】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、撮影オーダー情報に基づいて、被検者が左右いずれかの腕部を被写体台14に載置させ、親指と人差指の間に三角マグネット17を沿うように載置させる。
【0040】
被写体Hの装着が完了すると、加重センサ20により、腕保持部19に載置された被検者の腕部が左手か右手かを判別する。詳しくは、加重センサ20の加重の有無の判別結果が制御装置22に出力され、制御装置22は、左腕保持部19a及び右腕保持部19bのうち、それぞれに備えられた加重センサ20で加重を検知したものの数が多い方を被検者の腕部が載置されているものと判断する。制御装置22は、判別結果を撮影方向判別手段18に出力される。
【0041】
被検者の載置されている手が左手であるか右手であるかを判別した後、撮影方向判別手段18により、手保持部16に載置された被検者の手の甲又は手の平のどちらが上方を向いているかを判別して、撮影方向としての手の向きを判別する。詳しくは、撮影方向判別手段18は、三角マグネット17の設置位置に基づいて親指の位置を判断するとともに、加重センサ20による判別結果と合わせることにより被検者の手の向きを判別する。判別結果は制御装置22に出力され、適切な放射線照射角度が算出される。なお、被検者の手指を過去に放射線撮影した画像データがある場合、当該画像データの付帯情報としての左右情報及び/又は撮影方向情報を抽出し、今回の設定と一致しない場合、その旨を表示装置24b等により警告することとしてもよい。また、被検者の手指を過去に撮影した画像データがない場合、当該被検者の撮影オーダー情報の1つとして付帯情報を制御装置22に設定させることとしてもよい。
【0042】
その後、駆動装置6及び位置調整装置15により、放射線照射角度や照射距離等の撮影条件に合わせた被写体台14の位置の調整及び撮影装置本体部4の角度の調整が行われる。位置及び角度の調整後、電源部9は所定の管電圧及び管電流をX線源8に印可し、X線源8は被写体Hに向けて放射線を照射して撮影が行われる。このようにして撮影が行われると、制御装置22は位相コントラスト画像の画像データを生成し、生成された画像データには情報付帯手段26により付帯情報が対応付けられる。生成された画像データは、取得された付帯情報と過去の付帯情報とに基づいて、比較読影可能なレイアウトとなるように画像処理した上で、表示装置24b等によって表示すると好ましい。
なお、撮影条件としては、R1=430〜650mm、R2=490〜750mm、焦点サイズD=100μm、管電圧30kVp、管電流30mA程度が好ましい。また、被検者は手の平又は手の甲のいずれかをX線源8側に向けて撮影が行われるが、手の平をX線源8側に向けるとより視認性が向上するため好ましい。
【0043】
以上より、本実施形態の放射線画像撮影装置1によれば、被検者は被写体台14に手と肘下の腕部を載せて楽な姿勢をとることができるので、被検者が手指を動かさずにいることが容易であり、手指を固定させた状態での手指の軟骨部の撮影が可能である。また、位相コントラスト撮影により、得られた放射線画像における手指とその周辺部のコントラストは向上されているので、軟骨部の経時変形の有無を容易かつ正確に判断することができる。さらに、放射線画像撮影装置1を用いて軟骨部の経時変形の有無を判断ができるので、MRI等の特別な装置を用いる必要もなく被検者に負担をかけることなくリウマチ疾患の診断が可能である。
【0044】
また、被写体台14が保持部材7に保持される位置を変更させることにより位相コントラスト画像の拡大率が調整される。
【0045】
また、腕保持部19に加重センサ20を備えることにより、被検者が被写体台14に載せた手が左右いずれかのものであるかを判別することができる。さらに、撮影方向判別手段18により、被写体台14に載せられた被検者の手の向きを判別し、その向きに応じた方向から放射線を照射させて画像を撮影するので、手指撮影の角度を一定にして経時変形を容易に判断することができる。また、被検者が親指と人差指を三角マグネット17の形状に合わせた状態を維持することにより、撮影時の手指の開き具合を一定にすることができる。
【0046】
なお、放射線画像検出器11としてCRカセッテのIDを撮影装置で読取り、撮影済みのカセッテを読取装置まで移動して読取処理を行う場合には、読取装置はカセッテIDと共に読取画像データを制御装置22に送信し、制御装置22はカセッテIDをキーとして読取画像データと付帯情報とを対応付ける。
また、放射線画像検出器11がFPDの場合、得られた画像データと左右判別手段及び撮影方向判別手段18による判別結果とを制御装置22が取得して関連付け、メモリに保存してもよく、逆に、FPDが制御装置22から判別結果を取得して、画像データの付帯情報として保存し、全ての撮影終了後にFPDから画像ファイリング装置に全データ(画像データ及び付帯情報)送信することとしてもよい。
【0047】
また、加重センサ20を用いて左右判別を行うこととしたが、光センサを用いて左右判別を行うこととしても良い。この場合、光センサは腕保持部19の上面から光を照射するとともに、被検者の腕部による光の反射を検知することにより、被検者の腕部の有無を検知して左右を判別するようになっている。
【0048】
また、腕保持部19は、被検者の肘下の腕部を載置することができればよく、図9に示すように、手保持部16から腕保持部19のみが被検者側に突出することとしてもよい。その場合、使用していない腕保持部19を水平方向(図10及び図11参照)又は垂直方向(図12参照)に移動させて収納することとしてもよい。さらに、腕保持部19には、被検者の肘下の腕部を固定する固定ベルト25を備えることとしてもよい。
【0049】
また、手保持部16には被検者の手指をより確実に固定するために、親指と人差指以外の指の間にも固定用マグネットを載置することとしてもよい。この場合、被検者の手指を覆うことなく固定が可能であるため、手指の関節や骨部の撮影の弊害となることもない。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明における放射線画像撮影装置の要部構成を示す側面図である。
【図2】本発明における放射線画像撮影装置の内部構成を示す模式図である。
【図3】本発明における手保持部に被検者が左手の手の甲を上方に向けて置いた際の平面図である。
【図4】本発明における手保持部に被検者が左手の手の平を上方に向けて置いた際の平面図である。
【図5】本発明における被写体台に被検者が左手を置いた際の平面図である。
【図6】本発明における被写体台に被検者が右手を置いた際の平面図である。
【図7】本発明における放射線画像撮影装置の制御構成を示すブロック図である。
【図8】位相コントラスト撮影の原理の説明図である。
【図9】本発明における被写体台の変形例を示す平面図である。
【図10】本発明における被写体台の変形例を示す平面図である。
【図11】本発明における被写体台の変形例を示す平面図である。
【図12】本発明における被写体台の変形例を示す側面図である。
【図13】従来の乳房画像撮影装置の要部構成を示す側面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 放射線画像撮影装置
3 支持基台
4 撮影装置本体部
5 支持軸
7 保持部材
8 X線源
9 電源部
11 放射線画像検出器
12 検出器保持部
14 被写体台
15 位置調整装置
16 手保持部
17 三角マグネット
18 撮影方向判別手段
19 腕保持部
19a 左腕保持部
19b 右腕保持部
20 加重センサ
21 圧迫板
22 制御装置
26 情報付帯手段
H 被写体
X 椅子
【出願人】 【識別番号】303000420
【氏名又は名称】コニカミノルタエムジー株式会社
【出願日】 平成18年10月6日(2006.10.6)
【代理人】 【識別番号】100090033
【弁理士】
【氏名又は名称】荒船 博司


【公開番号】 特開2008−23312(P2008−23312A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−275503(P2006−275503)