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【発明の名称】 視標呈示装置
【発明者】 【氏名】金澤 雄一郎

【氏名】小田 健史

【要約】 【課題】検査視標の切り換わりを容易に認識でき、検査をスムーズに行える視標呈示装置を提供することを技術課題とする。

【構成】視力検査視標、過矯正を確認するためのレッド・グリーン視標等の種々の検査視標を表示するディスプレイと、該ディスプレイに表示される検査視標を切換えるための視標切換信号を出力するリモコンと、を備える視標呈示装置において、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
視力検査視標、過矯正を確認するためのレッド・グリーン視標等の種々の検査視標を表示するディスプレイと、該ディスプレイに表示される検査視標を切換えるための視標切換信号を出力するリモコンと、を備える視標呈示装置において、
視標切換信号により前記ディスプレイに表示する検査視標の切換えを制御する制御手段であって、検査視標の切換時に、次の検査視標への切り換わりを容易に認知可能な時間だけ検査視標を一旦消失させるように、前記ディスプレイの表示を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする視標呈示装置。
【請求項2】
請求項1の視標呈示装置において、前記ディスプレイに表示される視力検査視標には少なくとも視力値0.1〜1.0又はこれに相当するサイズを持つ視力検査視標が含まれ、前記制御手段は、ディスプレイの略同一位置で視標サイズが略同一の視力検査視標を切換えて表示させるときに、検査視標の切り換わりを容易に認知可能な時間だけ検査視標を一旦消失させることを特徴とする視標呈示装置。
【請求項3】
請求項2の視標呈示装置において、前記ディスプレイに表示される検査視標にはレッド・グリーン視標の他、両眼視機能検査視標が含まれ、
前記制御手段は、レッド・グリーン視標及び両眼視機能検査視標等の切り換わりが見た目に明らかな検査視標については、検査視標を消失させず、瞬時に切換えるように前記ディスプレイの表示を制御することを特徴とする視標呈示装置。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の視機能を検査するための検査視標を呈示する視標呈示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼の視機能を検査するための視標呈示装置としては、回転ディスク板に描かれた検査視標をスクリーンに投影する投影タイプの他、5m等の遠用検査距離に置かれた液晶等のディスプレイに視力検査視標を切換えて表示させるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。ディスプレイに表示される視標は、リモコン等からの切換え信号により切換えられる。
【特許文献1】特開2006−42978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ディスプレイタイプの装置においては、様々な形状の検査視標を表示でき、視標のバリエーションを容易に広げることができる。また、ディスプレイに表示される視標は高速に切換え可能であり、検査をスピーディーに行える等、投影タイプの装置に比べて有利な点が多い。
【0004】
しかしながら、ディスプレイタイプの装置による検査視標の切換えには、次のような問題があることが分かった。すなわち、表示位置及びサイズ(視力値)が略同一の視力検査視標が通常の画面切換えのように瞬時に切換えられると、その検査視標が何時切り換わったか被検者及び検者に分かり難く、検査がスムーズに行えない。特に、ランドルト環視標やタンブリング(Tumbling)E視標のように、形状が同じで、方向性のみが異なる検査視標の場合は、視力視標のサイズが小さくなるほどその切り換わりが分かり難い。
【0005】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、検査視標の切り換わりを容易に認識でき、検査をスムーズに行える視標呈示装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0007】
(1) 視力検査視標、過矯正を確認するためのレッド・グリーン視標等の種々の検査視標を表示するディスプレイと、該ディスプレイに表示される検査視標を切換えるための視標切換信号を出力するリモコンと、を備える視標呈示装置において、
視標切換信号により前記ディスプレイに表示する検査視標の切換えを制御する制御手段であって、検査視標の切換時に、次の検査視標への切り換わりを容易に認知可能な時間だけ検査視標を一旦消失させるように、前記ディスプレイの表示を制御する制御手段と、を備えることを特徴とする。
(2) (1)の視標呈示装置において、前記ディスプレイに表示される視力検査視標には少なくとも視力値0.1〜1.0又はこれに相当するサイズを持つ視力検査視標が含まれ、前記制御手段は、ディスプレイの略同一位置で視標サイズが略同一の視力検査視標を切換えて表示させるときに、検査視標の切り換わりを容易に認知可能な時間だけ検査視標を一旦消失させることを特徴とする。
(3) (2)の視標呈示装置において、前記ディスプレイに表示される検査視標にはレッド・グリーン視標の他、両眼視機能検査視標が含まれ、
前記制御手段は、レッド・グリーン視標及び両眼視機能検査視標等の切り換わりが見た目に明らかな検査視標については、検査視標を消失させず、瞬時に切換えるように前記ディスプレイの表示を制御することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被検者及び検者が検査視標の切り換わりを容易に認識でき、検査をスムーズに行える。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は実施形態の視標呈示装置の外観図である。
【0010】
視標呈示装置1の筐体2の正面(前面)には、視標を呈示するためのカラー液晶のディスプレイ(LCD)3が配置されている。ディスプレイ3は、5m等の遠方の検査距離に置かれた場合にも、少なくとも視力値0.1〜2.0(又はこの視力値に相当するサイズ)の視力検査視標、レッド・グリーン視標、両眼視機能検査視標等の検査視標10を表示できるように、本実施形態では19インチの画面サイズのものを使用している。さらに、筐体2は壁掛けで使用できるように、5cm程の薄型とされている。
【0011】
筐体2の正面の下方には、リモコン4からの赤外光の通信信号を受信する受信部5が配置されている。ディスプレイ3に表示される視標10は、リモコン4の操作によって切り替えられる。なお、本実施例では、視力値0.03から2.0の視標を表示できる構成とした。また、1つ文字の視力検査視標を呈示する場合、ディスプレイ3のほぼ中央に視標10が表示される。視標呈示装置1を、被検眼前方の検査窓に光学素子を切換え配置する自覚式屈折力検眼装置(ホロプター)と組み合わせて利用する場合(例として、特開平5−337083号公報を参照)、被検眼の光軸上に光学素子の光学中心及び視標の中心が位置することが好ましい。これは、前記光学素子に円柱レンズが含まれ、被検眼の視線が光学素子の光学中心から移動することにより、乱視の検査精度が低下してしまうのを防ぐためである。
【0012】
30は赤緑眼鏡であり、右眼側に赤フィルタ30Rが、左眼側に緑フィルタ30Gが配置されている。両眼視機能検査時に、被験者はこれを用いる。
【0013】
図2は、本実施形態の視標呈示装置の制御ブロック図を模式的に示した図である。20は制御ユニットであり、制御ユニット20にはディスプレイ3、受信部5及び、受信部5がリモコン4からの信号を受信したことを使用者に知らせるためのブザー9が接続される。制御ユニット20の内部には、様々な視標パターンを記憶するメモリ21やリモコン4からの指令信号を解読するデコーダ回路等を含む。
【0014】
リモコン4には、装置本体を操作するための複数のボタンと、それらボタンによる操作の状況を表示する液晶ディスプレイ41が配置される。42は視力検査視標の切換スイッチ群であり、視力値に対応するボタンを押すと、ディスプレイ3にその視力値の視標が表示される。このとき、ディスプレイ41にも同じ視標が表示されると共に、その視力値も表示される。43は視力検査視標以外の検査視標の切換スイッチ群である。このスイッチ群43では、赤緑テストやクロスシリンダーテスト、両眼視機能検査等の様々な視機能を検査するための視標を表示させる機能を有している。44は方向切換ボタンであり、視力検査視標であるランドルト環視標の切れ目方向を切換えることができる。45は視力値増減ボタンであり、ディスプレイ3に表示される視力検査視標の視力値を上下させることができる。47はディスプレイ3に表示される視力検査視標を横一列視標、一つ文字視標に切換える選択ボタンである。49はリモコン4の指令信号を赤外光にて送信する送信部である。
【0015】
図3は、ディスプレイ3に表示される種々の検査視標10の例を説明する図である。図3(a)、(b)、(c)は、視力検査視標100のランドルト環視標の例である。スイッチ群42のいずれかのボタンを押すと、図3(a)のように、視力値に対応する横3列の検査視標が表示される。各列には、4個の視標が並べられて表示される。この例では、上段が視力値0.2の視標、中段が視力値0.3の視標、下段が視力値0.4の視標である。なお、図示においては、説明の便宜上、視標のサイズを同じとしている。各列に並べられた個々の視標は、切れ目の方向が異なるように表示される。スイッチ群42の他のボタンを押すと、視力値0.5,0.6,0.7の3列の視標と、視力値0.8,0.9,1.0の3列の視標と、視力値1.2,1.5,2.0の視標に切換えられる。
【0016】
図3(a)の3列視標が表示されている状態にて、ボタン47を押すと、図3(b)のように、ディスプレイ3の表示は中段の横一列の視標に切換えられる。さらに、ボタン47を押すと、図3(c)のように、画面中央に一文字視標の表示に切換えられる。このときの視標の切れ目方向は、制御ユニット20によりランダムに決定される。
【0017】
なお、視力検査視標としては、ランドルト環視標を例にしたが、被検者に方向性を応答させるタンブリングE視標もメモリ21に記憶されている。あるいは、文字を判読させる視力検査視標として、ひらがな視標、アルファベット視標、数字視標、等の各種の検査視標がメモリ21に記憶されている。これらの検査視標は、装置が使用される国、地域に応じて、制御ユニット20に接続された選択手段22によって選択できる。
【0018】
図3(d)は、屈折力検査時に過矯正を確認するために呈示されるレッド・グリーン視標である。左側半分が赤色の背景80Rとされ、右側半分が緑色の背景80Gとされる。この検査視標においては、緑色背景80Gの中の図形視標81が赤色背景80Rの中の図形視標81より明確に見えたとき、矯正度数は過矯正とされる。この場合、両者が同じか、赤色背景80Rの図形視標81の方が良く見えるように、検者は被検者の眼に付与する球面度数を調整する。図3(e)は、乱視検査用の放射線視標90の例である。
【0019】
図3(f)は、両眼視機能検査用の融像視標付き斜位検査視標120の例である。本装置における両眼視機能検査では、赤緑眼鏡30を使用する。図3(f)において、ディスプレイ3の背景画面125は白色で表示される。赤フィルタ30Rを介して右眼のみに呈示される視標となる呈示図形120G(第1図形)は緑色で表示される。緑フィルタ30Gを介して左眼のみに呈示される視標となる呈示図形120R(第2図形)は赤色で表示される。そして、両眼に同時に呈示される融像視標121は黒色で表示される。斜位検査視標としては、クロスリング視標、ウォース4点視標、回旋斜位視標が選択的に表示可能である。
【0020】
図3(g)は、両眼視機能検査用の不等像視検査視標130の例である。背景画面135は白色で表示される。赤フィルタ30Rを介して右眼のみに呈示される視標となる呈示図形130Gは緑色で表示される。緑フィルタ30Gを介して左眼のみに呈示される視標となる呈示図形130Rは赤色で表示される。そして、両眼に同時に呈示される融像視標131は黒色で表示される。その他、両眼視機能検査用の視標としては、図示を略すが、立体視検査視標も選択できる。
【0021】
ディスプレイ3は、5m等の遠方の検査距離に置かれた場合にも、上記のような横3列及び横一列に並べられた視力検査視標、レッド・グリーン視標、両眼視機能検査視標が表示可能な画面サイズを持つ。
【0022】
次に、本発明の特徴的な動作を説明する。検者は、リモコン4の各種ボタンを操作し、検査視標を切換えながら視機能検査を行う。ディスプレイ3の視標表示は、リモコン4から出力された視標切換信号に基づいて制御ユニット20により制御される。
【0023】
視力検査視標100における1つ文字視標の切換えの例を、図4を用いて説明する。視力検査視標の1つ文字視標は、スイッチ群42の内の所望する視力値を含むボタンを押し、前述の3列視標が表示された後に、ボタン47を押すことで表示される。1つ文字視標は、ディスプレイ3の中央に表示される。図4(a)は、左方向に切り目を持つランドルト環視標101が表示された場合を示す。ボタン44の何れかが押されると、ランドルト環視標の表示の中心及び視力値(サイズ)は同一のまま、切れ目方向が切換えられる。図4(c)は、ランドルト環視標の切れ目方向が右側に切換えられた視標102を示す。図4(a)の視標101と図4(c)の視標102は、その視力値は等しく、ランドルト環の切れ目方向のみが変わったに過ぎない。
【0024】
ここで、ディスプレイ3の画面の切換えは、通常、制御ユニット20により瞬時に行われる。視標101から視標102への切換えにおいても、通常の画面制御のように瞬時に行われると、表示された視標の視力値に対して被検者の視力が十分に高く無い場合(視標に判読が限界に近い場合)、被検者はディスプレイ3を見ていても視標102への切り換わりを認識し難い。これは、検者の場合も同様である。被検者は、次の視標に切り換わったことが明確に認識できないと、判読の応答に戸惑う。このため、検査がスムーズに行えない。また、逆に、被検者によっては、ランドルト環視標の切れ目方向を変えたとき、ランドルト環の黒い視標部分に瞬時に白が現われることにより、切れ目方向がなんとなく分かってしまうこともある。この場合、検査精度が低下することになる。
【0025】
なお、視標の切り換わりは、スピーカ9により音を発生させることにより知らせることも可能であるが、難聴の被検者の場合、あるいは検査環境に雑音がある場合、音のみでは不十分である。
【0026】
また、リモコン4の送信部49から発せられた視標切換え信号が何らかの障害により受信部5に受信されない場合、ディスプレイ3の視標は制御ユニット20により切換えられない。一方、リモコン4に配置されたディスプレイ41の表示は、視標切換え信号により切換えられる。この場合、検者はディスプレイ3の視標の切換えを認識していないと、ディスプレイ41の視標の表示を見て、誤った判断をしてしまう。
【0027】
そこで、本発明による装置では、図4(a)の視標101から図4(c)の視標102への切り換えにおいて、従来のように視標101から102へ瞬時に切り換わるのではなく、図4(b)に示すように、検査視標の切り換わりを容易に認知可能な時間Tだけ検査視標を一旦消失させるように、制御ユニット20がディスプレイ3の表示を制御する。視標が消失される時間Tは、本実施形態では0.2秒とされている。このように視標の消失時間Tを設けることにより、切り換わりを認識し難い小さいサイズの視標の切り換わりであっても、検者及び被検者共に容易に視標の切り換わりを認識できるようになる。
【0028】
なお、視標切換え時の消失時間Tは0.2秒としたが、適宜設定変更が可能であり、これに限定されるものではない。消失時間Tは、少なくとも、ディスプレイ3を見る側にとって、確かに消失状態を経たことが認識される長さを確保すべきである。通常、人眼においては、1/30秒の変化は連続的に知覚されるため、これより長い時間の0.05秒以上であることが好ましい。逆に、消失時間Tが長過ぎると、ディスプレイ3を見る側にとって、次の視標に切り換わるまでの時間が煩わしいという印象を与えかねない。以上の点を考慮して、消失時間Tは0.05〜1.0秒が好ましく、さらに好ましくは0.1〜0.5秒である。
【0029】
以上は同一視力値(同一サイズ)の視力検査視標を切換える場合について説明したが、ボタン45により視力値をアップ又はダウンさせた検査視標に切換える場合も、同様に時間Tだけ検査視標が消失され、次の検査視標に切換えられる。また、図3(a)の複数列視標及び図3(b)の横一列視標の表示においても、同様に時間Tだけ検査視標が消失され、次の検査視標に切換えられる。
【0030】
なお、視力検査視標以外の図3(d)〜(g)に例示したレッド・グリーン視標、乱視検査用の放射線視標、両眼視機能検査等の検査視標については、その視標のサイズも大きく、形状も大きく異なる。このため、視標の切り換わりは見た目に認識されやすい。これらの検査視標についても、視力検査視標と同様に切換え時に時間Tだけ視標を消失させても良いが、背景が白になると、かえって煩わしく感じられることもある。したがって、視標の切換え前後において、その切り換わりが見た目に明らかな視標については、消失時間Tを設けず、瞬時に(時間Tより短い時間にて)切換えられるようにディスプレイ3の表示が制御される。切り換わりが見た目に明らかな視標について、消失時間Tを設けて切換えるか否かは、選択手段22によって選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】実施形態の視標呈示装置の外観図である。
【図2】実施形態の制御ブロック図である。
【図3】ディスプレイに表示される検査視標の例を説明する図である。
【図4】視力検査視標における1つ文字視標の切換えを説明する図である。
【符号の説明】
【0032】
1 視標呈示装置
3 ディスプレイ
4 リモコン
5 受信部
10 検査視標
30 赤緑眼鏡

【出願人】 【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−23129(P2008−23129A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200121(P2006−200121)