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【発明の名称】 覚醒度検出装置
【発明者】 【氏名】石坂 宏幸

【要約】 【課題】運転者の居眠り運転状態を回避するのみならず、居眠り運転の要因分析に役立つ情報を記録して運行管理者に通知すると共に、周囲の車両に対しても注意を喚起する。

【構成】覚醒度の低下を検出した履歴または警報を発出した履歴を記録する記録手段を備える。さらに、記録手段の記録内容を所定の宛先に無線送信する。その所定の宛先は、運行管理者または周囲の車両である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転者の覚醒度を検出する覚醒度検出手段と、この覚醒度検出手段の検出結果に基づき運転者の覚醒度の低下を検出したときには当該運転者に対して警報を発出する警報手段とを備えた覚醒度検出装置において、
前記覚醒度の低下を検出した履歴または前記警報を発出した履歴を記録する記録手段を備えたことを特徴とする覚醒度検出装置。
【請求項2】
前記記録手段の記録内容を所定の宛先に無線送信する送信手段を備えた請求項1記載の覚醒度検出装置。
【請求項3】
前記覚醒度検出手段は、運転者の瞬きを検出するカメラ装置を備えた請求項1記載の覚醒度検出装置。
【請求項4】
前記所定の宛先は、前記運転者が運転する車両の運行管理者である請求項2記載の覚醒度検出装置。
【請求項5】
前記所定の宛先は、前記運転者が運転する車両の周囲の車両である請求項2記載の覚醒度検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、居眠り運転を防止する装置に関する。特に、トラックやバスなどの大型商用車に利用する。
【背景技術】
【0002】
運転者が居眠り運転状態に陥ったことを検出し、運転者に対して覚醒を促すための警報を発出する装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。従来の装置では、車両の車線逸脱などを、カメラ装置を用いて監視することによって、運転者の居眠り運転状態を検出し、居眠り運転状態が検出されると、音や音声または表示などにより運転者に警報を発出している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−87107号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転者が居眠り運転状態に陥る原因には、様々な要因が含まれており、そのような要因を詳しく分析することは運行管理者にとって重要である。しかしながら、上述した従来の装置は、運転者の覚醒を促して居眠り運転状態を回避することのみを目的としており、居眠り運転の要因分析に役立つ情報を記録して運行管理者に通知するといった発想は無い。
【0005】
また、昨今では、車車間通信が普及しつつあり、運転者が居眠り運転状態に陥っている旨の情報を周囲の車両に対して通知することにより、周囲の車両の注意を喚起するといったことも可能な状況下にあるが、そのような装置は未だ実現していない。
【0006】
本発明は、このような背景の下に行われたものであって、運転者の居眠り運転状態を回避するのみならず、居眠り運転の要因分析に役立つ情報を記録して運行管理者に通知することができると共に、周囲の車両に対しても注意を喚起することができる覚醒度検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、運転者の覚醒度を検出する覚醒度検出手段と、この覚醒度検出手段の検出結果に基づき運転者の覚醒度の低下を検出したときには当該運転者に対して警報を発出する警報手段とを備えた覚醒度検出装置である。
【0008】
ここで、本発明の特徴とするところは、前記覚醒度の低下を検出した履歴または前記警報を発出した履歴を記録する記録手段を備えたところにある。これにより、車両の運行管理者は、この記録に基づき居眠り運転の要因を詳細に分析することができるようになる。
【0009】
さらに、前記記録手段の記録内容を所定の宛先に無線送信する送信手段を備えて、その所定の宛先を、例えば、運行管理者にしておけば、運行管理者は、リアルタイムに居眠り運転に関する情報を収集することができるため、居眠り運転の要因分析にきわめて有用であるばかりでなく、運行管理者は、運転者の覚醒度が低下していることをリアルタイムに把握できるので、運転者に対して直接連絡をとり、休息をとるように指示することができる。
【0010】
あるいは、前記所定の宛先を、車車間通信を利用して周囲の車両にしておけば、居眠り運転状態に陥っている車両の周囲の車両では、状況を把握して然るべき対策をとることができるため有用である。
【0011】
また、前記覚醒度検出手段は、例えば、運転者の瞬きを検出するカメラ装置を備えることによって実現することができる。この場合には、運転者が居眠り運転状態に陥った記録のみならず、運転者の瞬きが検出困難であった状況の記録なども行うようにし、運行管理者が運転者に対してカメラ装置の調整や眼鏡やサングラスの着用に関する注意を行って、瞬き検出が確実に行えるように改善を促すなどの有用な対策をとることもできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転者の居眠り運転状態を回避するのみならず、居眠り運転の要因分析に有用な情報の収集を行うことができる。また、周囲の車両に対しても注意を喚起することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明実施例の覚醒度検出装置を図1ないし図7を参照して説明する。図1は本実施例の覚醒度検出装置の全体構成図である。図2は本実施例の覚醒度検出装置のブロック構成図である。
【0014】
本実施例は、図1および図2に示すように、運転者の覚醒度を検出する覚醒度検出部10と、この覚醒度検出部10の検出結果に基づき運転者の覚醒度の低下を検出したときには当該運転者に対して警報を発出する警報部11とを覚醒度検出ECU(Electric Control Unit)3に備えた覚醒度検出装置である。
【0015】
カメラ装置1は、運転者の瞬きを撮影し、その映像情報を覚醒度検出部10に対して出力する。覚醒度検出部10は、運転者の瞬きの映像情報に基づいて運転者の覚醒度を検出する。この覚醒度の検出手順については後に詳述する。また、赤外線投光器2によって運転者の顔面に赤外線を照射することができるので、夜間であっても安定した撮影を行うことができる。なお、可視領域外の赤外線を用いるので、運転者には赤外線の照射は認識されないため、赤外線の照射によって運転が妨げられることはない。
【0016】
覚醒度検出部10が運転者の覚醒度の低下を検出すると、その情報は警報部11に伝達される。警報部11では、運転者の覚醒度の低下を覚醒度検出部10から伝達されると、スピーカ4および表示部5に対して警報出力を行う。これにより、音または音声および光(表示)によって運転者の覚醒を促す。さらに、警報部11は車両ECU8に対して警報制御情報を出力する。ここで、車両ECU8とは、エンジンECU、EBS(Electric Braking System)_ECU、ABS(Antilock Brake System)_ECUその他の車両の運行制御に関わる全てのECUを含むものとする。
【0017】
車両ECU8は警報制御情報に基づいて運転者の覚醒を促すための警報制御動作を行う。この警報制御動作については後に詳述する。なお、警報出力または警報制御情報の出力は、運転者が警報解除スイッチ9を押下することによって、次回の覚醒度の低下の検出まで停止される。
【0018】
ここで、本実施例の特徴とするところは、覚醒度検出部10による覚醒度の低下を検出した履歴または警報部11による警報を発出した履歴を記録する外部記録装置6を備えたところにある。
【0019】
さらに、外部記録装置6の記録内容を所定の宛先に無線送信する無線通信装置7を備える。本実施例では、所定の宛先は、運転者が運転する車両の運行管理者である。また、所定の宛先は、運転者が運転する車両の周囲の車両である。
【0020】
次に、覚醒度検出部10の動作を図3を参照して説明する。図3は覚醒度の検出手順を示すフローチャートである。覚醒度検出部10は、カメラ装置1から運転者の瞬きの様子を撮影した映像情報を取得し(S1)、単位時間あたりの瞬き回数を計数する(S2)。単位時間は、例えば、5秒間である。計数結果が閾値未満であれば(S3)、運転者の覚醒度の低下を検出したとして(S4)、警報部11に対してその旨の情報を伝達する。
【0021】
すなわち、覚醒状態では、単位時間(例えば、5秒間)あたりに1回〜2回は瞬きをすることが統計的にわかっていたとすれば、単位時間あたりに1回も瞬きが計数されなかった場合には、覚醒度が低下していると判断できる。
【0022】
また、覚醒度の低下を検出した状態が所定時間以上継続している場合には(S5)、運転者の瞬きが正しく撮影されていないと判定する(S6)。所定時間は、例えば、5分間である。この判定結果は、外部記録装置6の覚醒度検出情報記録部13に記録され、無線通信装置7により運行管理者宛に通知される。
【0023】
次に、警報部11の動作を図4を参照して説明する。図4は警報部11の動作手順を示すフローチャートである。警報部11は、覚醒度検出部10から覚醒度検出情報を取得し、車両ECU8から車速情報を取得する(S10)。覚醒度検出情報が覚醒度の低下を検出しており(S11)、車速情報から車両が停車中でなければ(S12)、運転者が居眠り運転に陥っている可能性があると判断して警報出力を行う(S13)。この警報出力によってスピーカ4からは警報音または音声が送出され、表示部5からは光による警報または表示が行われる。また、警報出力と並行して車両ECU8に対して警報制御情報が出力される。
【0024】
運転者が警報出力を受けて覚醒し、警報解除スイッチ9を押下することにより警報解除すると(S14)、警報出力および警報制御情報出力が停止される(S15)。
【0025】
次に、警報制御情報を受信した際の車両ECU8の動作を図5を参照して説明する。図5は警報制御情報を受信した際の車両ECU8の動作手順を示すフローチャートである。車両ECU8は、警報部11から警報制御情報を受信すると(S20)、警報制御動作を開始する(S21)。警報制御動作の具体例を以下に示す。
(1)自動的に車速を維持する機能が稼働中であれば、現在の設定値を下げることにより、安全性を確保すると共に、運転者に減速を体感させて覚醒を図る。
(2)自動的に車間距離を維持する機能が稼働中であれば、現在の設定値を上げることにより、安全性を確保する。
(3)車速リミッタの制限速度を下げて安全性を確保する。
(4)エンジン回転速度をごく短時間内に上下変動させることにより車両をごく短時間内に加減速させ、運転者に加減速を体感させて覚醒を図る。また、エンジン音の変化によっても運転者の覚醒を図る。
(5)エキゾーストブレーキあるいはリターダをごく短時間内にオン・オフさせることにより車両をごく短時間内に加減速させ、運転者に加減速を体感させて覚醒を図る。また、エンジン音の変化によっても運転者の覚醒を図る。
【0026】
このような警報制御動作によって運転者が覚醒し、警報解除スイッチ9を押すことによって警報を解除したら(S22)、警報制御動作を停止する(S23)。
【0027】
次に、無線通信装置7の送信情報編集部15における送信情報の編集方法について図6を参照して説明する。図6は編集された送信情報の一例を示す図である。送信情報編集部15は、警報実行情報記録部12および覚醒度検出情報記録部13からそれぞれ警報実行情報および覚醒度検出情報を取得し、取得したこれらの情報に基づいて、図6に示すように、覚醒度低下検出および警報出力の履歴を時系列にまとめた一覧表を作成する。図6の例では、22時00分、23時27分、0時5分〜0時10分に覚醒度の低下が検出されて警報が出力されたが、その直後に運転者によって警報解除が行われたことがわかる。
【0028】
しかし、0時5分に覚醒度が検出されたときには、その直後に運転者によって警報解除が行われているにも関わらず、覚醒度の低下が5分間以上継続して検出されているので、これは運転者の瞬きが正常にカメラ装置1によって撮影されていないことが原因であると判定できる。
【0029】
図6の例では、0時5分〜0時10分までの間は、覚醒度の低下が検出され続けており、運転者が警報を解除した直後に再び警報出力が行われるため、これにより運転者は、通常、瞬きが正常にカメラ装置1によって撮影されていることを認識することができるが、このとき、運転者が、警報が続発する原因を認識できず、覚醒度検出装置の電源を切ってしまう場合もあり得る。そのような場合でも、運行管理者は、図6に示すような一覧表を電子メールによって受け取ることができるため、運転者に対して直接連絡をとり、瞬きが正常に撮影されていない旨を伝達することができる。
【0030】
瞬きが正常に撮影されない原因としては、例えば、カメラ装置1の向きが何らかの衝撃によって変わってしまった、あるいは、運転者が眼鏡やサングラスをかけた、などが挙げられる。
【0031】
また、送信情報の送信は、覚醒度の低下が検出される毎に行ってもよいし、所定の時間毎に定期的に行ってもよい。
【0032】
また、運行管理者は、図6に示すような一覧表を参照することにより、覚醒度が低下し易い時間帯または覚醒度が低下し易い路線を特定したり、居眠り運転状態に陥り易い運転者を特定することができ、これらの分析結果を今後の運行計画に反映させることができるばかりでなく、運行管理者は、運転者の覚醒度が低下していることをリアルタイムに把握できるので、運転者に対して直接連絡をとり、休息をとるように指示することができる。
【0033】
次に、無線通信装置7の車車間通信制御部14の動作を図7を参照して説明する。図7は車車間通信制御部14の動作を説明するための図である。車車間通信制御部14は、警報部11からの警報実行情報を受け取ると、送信部16を介して車車間通信チャネルに注意喚起情報を送出する。周囲の車両は、車車間通信チャネルによって居眠り運転の可能性を有する車両が近くに在ることを知ることができるため、車間距離を長くとる、または、減速するなど、然るべき安全対策をとることができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明によれば、単に、運転者の居眠り運転の回避を図るのみならず、居眠り運転の発生要因の分析あるいは居眠り運転に陥り易い運転者の特定あるいは瞬き撮影を阻害する要因の発見および除去に寄与することができ、車両の安全運行に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施例の覚醒度検出装置の全体構成図。
【図2】本実施例の覚醒度検出装置のブロック構成図。
【図3】覚醒度の検出手順を示すフローチャート。
【図4】警報部の動作手順を示すフローチャート。
【図5】警報制御情報を受信した際の車両ECUの動作手順を示すフローチャート。
【図6】編集された送信情報の一例を示す図。
【図7】車車間通信制御部の動作を説明するための図。
【符号の説明】
【0036】
1 カメラ装置
2 赤外線投光器
3 覚醒度検出ECU
4 スピーカ
5 表示部
6 外部記録装置
7 無線通信装置
8 車両ECU
9 警報解除スイッチ
10 覚醒度検出部
11 警報部
12 警報実行情報記録部
13 覚醒度検出情報記録部
14 車車間通信制御部
15 送信情報編集部
16 送信部
17 送信宛先記憶部
【出願人】 【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】 【識別番号】100078237
【弁理士】
【氏名又は名称】井出 直孝

【識別番号】100083518
【弁理士】
【氏名又は名称】下平 俊直


【公開番号】 特開2008−23086(P2008−23086A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−199243(P2006−199243)