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【発明の名称】 画像処理方法、および装置、並びに電子内視鏡システム
【発明者】 【氏名】長谷川 一英

【要約】 【課題】患者や電子内視鏡の種類によらず、常に適切な分光画像を得る。

【構成】電子内視鏡システム2のプロセッサ装置11は、CCD21で得られた撮像信号から、任意の波長帯域を有する分光画像を生成する分光画像生成部31を有する。分光画像生成部31は、分光推定画像の全画素の分光特性の平均を求め、これを分光推定画像の全体の色合いを代表する分光特性Srとする算出回路40、分光推定画像の各画素の分光特性と、算出回路40で求めた代表分光特性Srとの差分に応じて、分光推定画像の各画素に対して強調処理を施す強調処理回路41、強調処理後の分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲内に収まるように、強調処理の強調量を調整する強調量調整回路42、および、強調処理後の分光推定画像の任意の三波長におけるスペクトル画像を、予め設定されたRGBの三チャネルに割り当てるチャネル割り当て回路43からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子内視鏡で取得した画像に対して分光推定処理を施し、これにより得られた分光推定画像に基づいて任意の波長帯域を有する分光画像を生成する画像処理方法であって、
前記分光推定画像の全体の色合いを代表する代表分光特性を算出し、
算出した代表分光特性を用いて、前記分光推定画像の各画素に対して強調処理を施すことを特徴とする画像処理方法。
【請求項2】
前記分光推定画像の全画素の分光特性の平均を求め、これを前記代表分光特性とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項3】
前記強調処理は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記代表分光特性との差分に応じて行うことを特徴とする請求項2に記載の画像処理方法。
【請求項4】
前記分光推定画像に対して主成分分析を施し、これにより得られた第一主成分を前記代表分光特性とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項5】
前記強調処理は、前記主成分分析により得られた第n主成分(nは2以上の自然数)に応じて行うことを特徴とする請求項4に記載の画像処理方法。
【請求項6】
n=2であることを特徴とする請求項5に記載の画像処理方法。
【請求項7】
前記分光推定画像の全画素の分光特性をベクトルとしてクラスター分析を行い、最大クラスターを前記代表分光特性とすることを特徴とする請求項1に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記強調処理は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記最大クラスターの重心との距離に応じて行うことを特徴とする請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
前記分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲内に収まるように、前記強調処理の強調量を調整することを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記強調処理後の分光推定画像の任意の三波長におけるスペクトル画像を、予め設定されたRGBの三チャネルに割り当てることを特徴とする請求項1ないし9のいずれかに記載の画像処理方法。
【請求項11】
電子内視鏡で取得した画像に対して分光推定処理を施し、これにより得られた分光推定画像に基づいて任意の波長帯域を有する分光画像を生成する画像処理装置であって、
前記分光推定画像の全体の色合いを代表する代表分光特性を算出する算出手段と、
算出した代表分光特性を用いて、前記分光推定画像の各画素に対して強調処理を施す強調処理手段とを備えることを特徴とする画像処理装置。
【請求項12】
前記算出手段は、前記代表分光特性として、前記分光推定画像の全画素の分光特性の平均を求めることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記強調処理手段は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記代表分光特性との差分に応じて前記強調処理を行うことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記算出手段は、前記分光推定画像に対して主成分分析を施し、これにより得られた第一主成分を前記代表分光特性とすることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記強調処理手段は、前記主成分分析により得られた第n主成分(nは2以上の自然数)に応じて前記強調処理を行うことを特徴とする請求項14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
n=2であることを特徴とする請求項15に記載の画像処理装置。
【請求項17】
前記算出手段は、前記分光推定画像の全画素の分光特性をベクトルとしてクラスター分析を行い、最大クラスターを前記代表分光特性とすることを特徴とする請求項11に記載の画像処理装置。
【請求項18】
前記強調処理手段は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記最大クラスターの重心との距離に応じて前記強調処理を行うことを特徴とする請求項17に記載の画像処理装置。
【請求項19】
前記分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲内に収まるように、前記強調処理の強調量を調整する強調量調整手段を備えることを特徴とする請求項11ないし18のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項20】
前記強調処理後の分光推定画像の任意の三波長におけるスペクトル画像を、予め設定されたRGBの三チャネルに割り当てるチャネル割り当て手段を備えることを特徴とする請求項11ないし19のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項21】
請求項11ないし20のいずれかに記載の画像処理装置を備えることを特徴とする電子内視鏡システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電子内視鏡で取得した画像から任意の波長帯域を有する分光画像を生成する画像処理方法、および装置、並びに電子内視鏡システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、医療分野において、電子内視鏡を利用した医療診断が盛んに行われている。電子内視鏡の被検体内に挿入される挿入部先端には、CCDなどの固体撮像素子が内蔵されている。固体撮像素子により取得した撮像信号に対して、プロセッサ装置で信号処理を施すことで、モニタで被検体内の被観察部位の画像を観察することができる。
【0003】
電子内視鏡を用いた医療診断の分野では、病変の発見を容易にするために、狭い波長帯域の光を被観察部位に照射し、これによる反射光を画像化(以下、このようにして得られた画像を、通常の画像と区別して分光画像と呼ぶ。)して観察するNarrow Band Imaging(以下、NBIと略す。)と呼ばれる手法が脚光を浴びている。NBIによれば、被観察部位に色素を散布したり、インドシアニングリーン(ICG;Indocyanine green)などの造影剤を注入したりすることなく、粘膜下層部の血管を強調した画像や、胃壁、腸の表層組織などの臓器の構造物を強調した画像を容易に得ることができる。
【0004】
分光画像を用いた医療診断の例としては、病変の分光データのデータベースを有し、眼底の分光画像内で病変の分光データと類似した部分を特定する分光画像解析方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、最近、狭い波長帯域の光ではなく、通常の白色光を被観察部位に照射して得られた通常の画像に対して、主成分分析を用いた次元圧縮による線形近似や、ウィナー推定などに代表される分光推定処理を施すことで、分光画像を得る技術が実用化されている。この技術では、分光推定処理の結果得られた画像に対して、一定の強調量で強調処理を施している。
【特許文献1】特開2005−296434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、臓器の色には個人差があり、電子内視鏡の性能も機種や個体毎に異なるため、強調処理の強調量を一律にすると、患者や電子内視鏡の種類によっては、強調の結果得られる画像が、診断に不適切となる場合があった。この問題は、特許文献1に記載の発明を応用して、患者や電子内視鏡の種類に応じた強調量をデータベース化すれば一応は解決されるが、データベースを作成するためには、事前に臓器の色の測定や電子内視鏡の性能試験を行わなければならならず、そのうえ、データベースのデータ量が膨大になるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、患者や電子内視鏡の種類によらず、常に適切な分光画像を得ることが可能な画像処理方法、および装置、並びに電子内視鏡システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、電子内視鏡で取得した画像に対して分光推定処理を施し、これにより得られた分光推定画像に基づいて任意の波長帯域を有する分光画像を生成する画像処理方法であって、前記分光推定画像の全体の色合いを代表する代表分光特性を算出し、算出した代表分光特性を用いて、前記分光推定画像の各画素に対して強調処理を施すことを特徴とする。なお、「分光推定画像の全体の色合いを代表する」とは、病変部以外の画像の大部分を占める正常な部位の色合いを代表することと同義である。
【0009】
前記分光推定画像の全画素の分光特性の平均を求め、これを前記代表分光特性とすることが好ましい。この場合、前記強調処理は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記代表分光特性との差分に応じて行うことが好ましい。
【0010】
あるいは、前記分光推定画像に対して主成分分析を施し、これにより得られた第一主成分を前記代表分光特性とすることが好ましい。この場合、前記強調処理は、前記主成分分析により得られた第n主成分(nは2以上の自然数)に応じて行うことが好ましく、n=2であることが好ましい。
【0011】
さらには、前記分光推定画像の全画素の分光特性をベクトルとしてクラスター分析を行い、最大クラスターを前記代表分光特性とすることが好ましい。この場合、前記強調処理は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記最大クラスターの重心との距離に応じて行うことが好ましい。
【0012】
前記分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲内に収まるように、前記強調処理の強調量を調整することが好ましい。
【0013】
前記強調処理後の分光推定画像の任意の三波長におけるスペクトル画像を、予め設定されたRGBの三チャネルに割り当てることが好ましい。
【0014】
請求項11に記載の発明は、電子内視鏡で取得した画像に対して分光推定処理を施し、これにより得られた分光推定画像に基づいて任意の波長帯域を有する分光画像を生成する画像処理装置であって、前記分光推定画像の全体の色合いを代表する代表分光特性を算出する算出手段と、算出した代表分光特性を用いて、前記分光推定画像の各画素に対して強調処理を施す強調処理手段とを備えることを特徴とする。なお、この場合も請求項1と同様に、「分光推定画像の全体の色合いを代表する」とは、病変部以外の画像の大部分を占める正常な部位の色合いを代表することと同義である。
【0015】
前記算出手段は、前記代表分光特性として、前記分光推定画像の全画素の分光特性の平均を求めることが好ましい。この場合、前記強調処理手段は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記代表分光特性との差分に応じて前記強調処理を行うことが好ましい。
【0016】
あるいは、前記算出手段は、前記分光推定画像に対して主成分分析を施し、これにより得られた第一主成分を前記代表分光特性とすることが好ましい。この場合、前記強調処理手段は、前記主成分分析により得られた第n主成分(nは2以上の自然数)に応じて前記強調処理を行うことが好ましく、n=2であることが好ましい。
【0017】
さらには、前記算出手段は、前記分光推定画像の全画素の分光特性をベクトルとしてクラスター分析を行い、最大クラスターを前記代表分光特性とすることが好ましい。この場合、前記強調処理手段は、前記分光推定画像の各画素の分光特性と、前記最大クラスターの重心との距離に応じて前記強調処理を行うことが好ましい。
【0018】
前記分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲内に収まるように、前記強調処理の強調量を調整する強調量調整手段を備えることが好ましい。
【0019】
前記強調処理後の分光推定画像の任意の三波長におけるスペクトル画像を、予め設定されたRGBの三チャネルに割り当てるチャネル割り当て手段を備えることが好ましい。
【0020】
請求項21に記載の発明は、電子内視鏡システムであって、請求項11ないし20のいずれかに記載の画像処理装置を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像処理方法、および装置、並びに電子内視鏡システムによれば、分光推定画像の全体の色合いを代表する代表分光特性を算出手段で算出し、算出した代表分光特性を用いて、強調処理手段で分光推定画像の各画素に対して強調処理を施すので、患者や電子内視鏡の種類によらず、常に適切な分光画像を得ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
図1において、電子内視鏡システム2は、電子内視鏡10、およびプロセッサ装置11から構成される。電子内視鏡10は、被検体内に挿入される挿入部12と、挿入部12の基端部分に連設された操作部13とを備えている。
【0023】
挿入部12の先端に連設された先端部12aには、被検体内の被観察部位の像光を取り込むための対物光学系20と像光を撮像するCCD21(ともに図2参照)、被観察部位に照明装置24(図2参照)からの照明光を照射するための照明窓22(図2参照)が内蔵されている。また、先端部12aには、鉗子口14と連通した鉗子出口、送気・送水ボタン13aを操作することによって、対物光学系20を保護する観察窓の汚れを落とすための洗浄水やエアーが噴射されるノズルなどが設けられている。CCD21により取得された被検体内の画像は、コード15で接続されたプロセッサ装置11のモニタ16に表示される。
【0024】
先端部12aの後方には、複数の湾曲駒を連結した湾曲部12bが設けられている。湾曲部12bは、操作部13に設けられたアングルノブ13bが操作されて、挿入部12内に挿設されたワイヤが押し引きされることにより、上下左右方向に湾曲動作する。これにより、先端部12aが被検体内の所望の方向に向けられる。
【0025】
湾曲部12bの後方には、可撓性を有する軟性部12cが設けられている。軟性部12cは、先端部12aが被観察部位に到達可能なように、且つ術者が操作部13を把持して操作する際に支障を来さない程度に患者との距離を保つために、数mの長さを有する。
【0026】
図2において、照明窓22には、ライトガイド23の一端が取り付けられている。ライトガイド23は、挿入部12に亘って設けられており、その他端は、操作部13内に設けられた照明装置24に接続されている。照明装置24は、ハロゲンランプや白色LEDなどの光源を有し、この光源で発せられた光が、ライトガイド23を伝って照明窓22から被観察部位に照射される。
【0027】
CCD21には、CPU25によって制御されるドライバ26が接続されている。ドライバ26は、CCD21の電荷蓄積時間と電荷掃き出しタイミングを制御するためのタイミング信号(クロックパルス)をCCD21に出力する。
【0028】
CCD21から出力された撮像信号は、プロセッサ装置11の画像メモリ27に入力され、記憶される。画像メモリ27には、通常画像生成部28、および分光推定処理部29が接続されている。
【0029】
通常画像生成部28は、画像メモリ27から読み出した撮像信号に対して、相関二重サンプリング、増幅、A/D変換などのアナログ信号処理を施した後、階調補正、輪郭強調、γ補正などのデジタル信号処理を施し、通常画像を生成する。通常画像生成部28は、生成した通常画像を表示制御部30に出力する。
【0030】
分光推定処理部29は、画像メモリ27から撮像信号を読み出し、読み出した撮像信号を用いて、主成分分析を用いた次元圧縮による線形近似や、ウィナー推定などによる分光推定処理を施す。分光推定処理は、具体的には、撮像信号から、CCD21の画素毎に可視光の波長帯域(波長400nm〜700nm)における被観察部位の分光反射率を推定する。分光推定処理部29は、分光推定処理の結果生成される分光推定画像を分光画像生成部31に出力する。
【0031】
分光画像生成部31は、分光推定処理部29からの分光推定画像に基づいて、任意の波長帯域を有する分光画像を生成する。図3に示すように、分光画像生成部31は、算出回路40、強調処理回路41、強調量調整回路42、およびチャネル割り当て回路43を有する。
【0032】
図4の上段および中段に示すように、算出回路40は、分光推定画像の全画素の分光特性の平均を求める。算出回路40で求めた分光特性の平均は、分光推定画像の全体の色合いを代表する分光特性(以下、代表分光特性という。)Srである。換言すれば、代表分光特性Srは、病変部以外の画像の大部分を占める正常な部位の色合いを代表するものである。
【0033】
図4の下段に示すように、強調処理回路41は、分光推定画像の各画素の分光特性と、算出回路40で求めた代表分光特性Srとの差分に応じて、分光推定画像の各画素に対して強調処理を施す。
【0034】
具体的には、例えば、上段に点線で示す分光特性Sa、および二点鎖線で示す分光特性Scのように、代表分光特性Srとの差分が大きい場合は強調量を大きくし、下段に示す分光特性Sa’、Sc’とする。対して、上段に一点鎖線で示す分光特性Sbのように、代表分光特性Srとの差分が小さい場合は強調量を小さくし、下段に示す分光特性Sb’とする。
【0035】
そして、分光特性Sbのように差分が正の場合は正の強調量とし、分光特性Scのように差分が負の場合は負の強調量とする。これにより、強調処理された分光推定画像は、全体の色合いと略同じ色合いの部分よりも、全体の色合いと違う色合いの部分がより強調されたものとなる。なお、ここでは、便宜上、分光推定画像の分光特性をSa〜Sc、Sa’〜 Sc’の三本ずつ描いているが、実際には、分光推定画像の全画素の分光特性を対象として、代表分光特性の算出、および強調処理を行う。
【0036】
ここで、分光特性の強度は、言う迄もなく光の強さを表しており、画像処理においては、この光の強さを適当な階調値(例えば、0〜255)に割り当てて画像データを生成する。このため、強調処理後の分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め設定された階調値で表せない場合、つまり、図5の上段に示す分光特性Sd、Seのように、予め規定された範囲0〜Itに収まらない場合は、強調処理時の強調量を調整する必要がある。そこで、図5の下段に示すように、強調量調整回路42により、強調処理後の分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、分光特性Sd’、Se’のように、予め規定された範囲0〜Itに収まるように、強調処理の強調量を調整する。
【0037】
図6に示すように、チャネル割り当て回路43は、強調処理後の分光推定画像の任意の三波長(例えば、波長500nm、450nm、400nm)におけるスペクトル画像を、予め設定されたRGBの三チャネルに割り当てる。これにより、ある波長における分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、RGBいずれかの階調値で表され、これが分光画像として表示制御部30に出力される。RGBのチャネルに割り当てる三波長は、予め設定されているか、あるいは、操作卓32(図2参照)を操作することにより、個別に設定変更される。
【0038】
図7に示すように、表示制御部30は、検査日や患者の情報50とともに、通常画像生成部28から出力された通常画像51、および分光画像生成部31から出力された分光画像52を、モニタ16に並べて表示させる。また、操作卓32で選択することにより、通常画像51、または分光画像52をそれぞれ個別にモニタ16に表示させることも可能となっている。
【0039】
図2に戻って、CPU25は、プロセッサ装置11の全体の動作を統括的に制御する。CPU25には、各種設定や操作を行うための操作卓32が接続されている。CPU25は、操作卓32から入力される操作入力信号に応じて、各部を動作させる。
【0040】
上記のように構成された電子内視鏡システム2で被検体内を観察する際には、電子内視鏡10、プロセッサ装置11の電源を投入して、挿入部12を被検体内に挿入する。そして、照射装置24をオンして、照明窓22から照射される光で被検体内を照明しながら、CCD21により得られる画像をモニタ16で観察する。
【0041】
対物光学系20から取り込まれた被観察部位の像光は、CCD21の撮像面に結像され、これによりCCD21から撮像信号が出力される。CCD21から出力された撮像信号は、画像メモリ27に取り込まれる。画像メモリ27に取り込まれた撮像信号は、通常画像生成部28、および分光推定処理部29に順次読み出される。
【0042】
通常画像生成部28では、画像メモリ27から読み出した撮像信号に対して各種信号処理が施され、これにより通常画像が生成される。通常画像生成部28で生成された通常画像は、表示制御部30に出力される。
【0043】
一方、分光推定処理部29では、画像メモリ27から読み出した撮像信号を用いて、分光推定処理が実行される。分光推定処理部29による分光推定処理の結果生成される分光推定画像は、分光画像生成部31に出力される。
【0044】
図8のフローチャートに示すように、分光画像生成部31では、算出回路40により、分光推定画像の全画素の分光特性の平均、すなわち代表分光特性Srが算出される。そして、強調処理回路41で、分光推定画像の各画素の分光特性と代表分光特性Srとの差分に応じて、分光推定画像の各画素に対して強調処理が施される。
【0045】
強調処理後、分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲0〜Itに収まらない場合は、分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲0〜Itに収まるように、強調量調整回路42で強調量が調整される。そして、強調処理回路41で、調整された強調量で再び強調処理が施される。分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲0〜Itに収まっている場合は、当然ながら強調量の調整は行われない。
【0046】
次いで、チャネル割り当て回路43によって、強調処理後の分光推定画像の任意の三波長におけるスペクトル画像が、RGBの三チャネルに割り当てられる。これにより、割り当てられた波長における分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、RGBいずれかの階調値で表された分光画像が生成される。生成された分光画像は、表示制御部30に出力される。表示制御部30に出力された通常画像、および分光画像は、モニタ16に並べて、あるいはそれぞれ個別に表示される。
【0047】
以上説明したように、電子内視鏡システム2は、分光推定画像の全体の色合いを代表する代表分光特性Srを算出回路40で算出し、算出した代表分光特性Srを用いて、強調処理回路41で分光推定画像の各画素に対して強調処理を施すので、臓器の色の個人差や、電子内視鏡の性能のばらつきによる分光画像への影響を吸収することができ、常に安定した診断を行うことができる。
【0048】
また、分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲内に収まるように、強調量調整回路42で強調量を調整するので、いわゆる白飛びや黒潰れといった画質劣化を防止することができる。
【0049】
さらに、強調処理後の分光推定画像の任意の三波長におけるスペクトル画像を、チャネル割り当て回路43で予め設定されたRGBの三チャネルに割り当てるので、病変や血管などの観察したい部分が強調表示された分光画像を得ることができる。
【0050】
上記実施形態では、代表分光特性Srとして、分光推定画像の全画素の分光特性の平均を採用した例を挙げて説明したが、図9および図10に示す、主成分分析を用いる方法を採用してもよい。すなわち、図9の上段および中段に示すように、算出回路40で分光推定画像に対して主成分分析を施し、これにより得られた第一主成分Sを代表分光特性Srとする。なお、第一主成分Sを代表分光特性Srとするのは、全体の情報の中に占める割合(寄与率)が、第一主成分Sが最も高いからである。
【0051】
次いで、下段に示すように、強調処理回路41で、第二主成分Sに対して強調処理を施し、S’とする。なお、第二主成分Sに対して強調処理を施すのは、第二主成分Sが、代表分光特性Srである第一主成分Sとは相関がなく、分光推定画像の全体の色合いと違う色合いの部分の情報を表すからである。
【0052】
第二主成分Sに対して強調処理を施した後、図10に示すように、強調処理後の第二主成分S’と、第一主成分Sとを用い、適当な主成分係数で分光推定画像を再構成し、図4の下段に示すものと同様に、分光推定画像の全体の色合いと違う色合いの部分が強調された分光推定画像を得る。なお、強調処理を施す主成分としては、第二主成分に限らず、第一主成分の寄与率が高くない場合などには、例えば、第三主成分や第四主成分に対して強調処理を施してもよい。
【0053】
あるいは、図11に示す、クラスター分析を用いる方法を採用してもよい。この場合、まず、上段に示すように、分光推定画像の全画素の分光特性を表す指標pをXYの二次元空間(実際には、指標pの要素数n次元空間、説明のために二次元空間としている。)にプロットする。
【0054】
そして、中段に示すように、プロットした指標pに対して、算出回路40でクラスター分析を行う。具体的には、指標p間のn次元空間におけるユークリッド距離を算出して、相互の距離の最も近い指標pを順次クラスターとして纏めていく。この方法では、クラスター分析により得られた最大クラスターCm(全ての指標pが一つのクラスターに包含される以前のクラスターのうち、サイズが最も大きいクラスター)が分光推定画像の全体の色合いの最も典型的な情報を示すものであるため、最大クラスターCmを代表分光特性Srとする。
【0055】
次に、下段に示すように、強調処理回路41で、最大クラスターCmの重心Gとの距離に応じて、最大クラスターCmに含まれていない指標p、つまり、分光推定画像の全体の色合いと違う色合いの部分の情報を表す指標pに対して強調処理を施し、p’とする。このときの強調量は、例えば、重心Gとの距離が大きい場合は強調量も大きくし、小さい場合は強調量も小さくする。そして、重心Gと強調前の元々の指標pとを結ぶ直線の延長線上に、強調後の指標p’がくるようにする。これにより、上記実施形態の二つの方法と同様に、分光推定画像の全体の色合いと違う色合いの部分が強調された分光推定画像を得る。
【0056】
上記実施形態では、分光推定画像の各画素の分光特性の強度が、予め規定された範囲内に収まらない場合に、強調量調整回路42で強調量を調整した後、再び強調処理回路41で強調処理を施すようにしているが、強調処理を施す前に強調量を調整し、一度の強調処理で分光推定画像の各画素の分光特性の強度を予め規定された範囲内に収めるようにしてもよい。
【0057】
なお、照明装置24は、電子内視鏡と一体にする必要はなく、外部に設けてコードで接続する構成としてもよい。また、上記実施形態では、電子内視鏡10を例示して説明したが、被観察部位に超音波を照射して、被観察部位からのエコー信号を受信する超音波トランスデューサが、CCDとともに先端部に一体的に配された超音波内視鏡についても、本発明は適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】電子内視鏡システムの構成を示す概略図である。
【図2】電子内視鏡システムの構成を示すブロック図である。
【図3】分光画像生成部の構成を示すブロック図である。
【図4】算出回路および強調処理回路における処理の流れを示す説明図である。
【図5】強調量調整回路における処理の流れを示す説明図である。
【図6】チャネル割り当て回路における処理を説明するための図である。
【図7】モニタの表示状態を示す図である。
【図8】分光画像生成部における処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】主成分分析を採用した場合の処理の流れを示す説明図である。
【図10】主成分分析を採用した場合の処理の流れを示す説明図である。
【図11】クラスター分析を採用した場合の処理の流れを示す説明図である。
【符号の説明】
【0059】
2 電子内視鏡システム
10 電子内視鏡
11 プロセッサ装置
16 モニタ
21 CCD
25 CPU
28 通常画像生成部
29 分光推定処理部
31 分光画像生成部
40 算出回路
41 強調処理回路
42 強調量調整回路
43 チャネル割り当て回路
51 通常画像
52 分光画像
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】 【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲

【識別番号】100095234
【弁理士】
【氏名又は名称】飯嶋 茂

【識別番号】100117536
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英了


【公開番号】 特開2008−23041(P2008−23041A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198363(P2006−198363)