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【発明の名称】 生体内装置
【発明者】 【氏名】石端 恭子

【氏名】松原 直樹

【氏名】上島 博幸

【氏名】斎藤 裕

【要約】 【課題】不整合損失やアンテナ利得などの放射性能が低い、生体外に配置された装置との通信性能が低いことに対し、アンテナを誘電体ケースで覆うことで生体内性能を改善したアンテナを備えた生体内装置を提供するものである。

【構成】生体内装置100において、ループ素子101と、ループ素子101を覆う誘電体ケース102とを備え、生体外部に配置される装置と通信を行うように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内部に配置される装置に搭載されるアンテナと、
前記アンテナを覆う所定の誘電率を有する誘電体とを備え、
生体外部に配置される生体外無線装置と通信を行うことを特徴とした生体内装置。
【請求項2】
前記アンテナと、前記誘電体との間を前記誘電体で充填されるように構成された、請求項1記載の生体内装置。
【請求項3】
前記アンテナが、ループアンテナなどの磁界型アンテナで構成された、請求項1及び2のいずれか1項に記載の生体内装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、生体内に植え込む装置に関するものであり、特に、生体外無線通信装置との通信を行うための生体内医療装置のアンテナに関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、生体内に植え込み、医療を行う生体内医療装置において、医療従事者の行動や患者の姿勢に関わらずに各種医療データ(例えば心電図)の伝送を可能とするために、生体外に配置した無線装置との通信を行う機能を搭載した生体内医療装置の開発が行われている。その中で、世界各国において、使用周波数帯域を402MHz〜405MHzとする規定が整備されつつある。
【0003】
一方、一般的に生体内医療装置は、患者の負担をできるだけ小さくするために、装置自体の小型化が急速に進んでいる。
【0004】
ここで、アンテナの性能を確保するためには、一般にアンテナ長を半波長とすればよいが、生体内に植え込み、小型化が望まれている生体内医療装置に搭載するには、アンテナは50mm以下程度であることが要求される。これは、400MHz帯の波長約750mmに対して10分の1程度と微小であり、そのため、アンテナの放射抵抗が小さくなり、放射性能が劣化してしまう(感度が悪くなる)という問題点がある。
【0005】
これらの背景より、アンテナの放射特性を改善する方法としては、例えば特許文献1に記載されているように、図6では従来の生体内医療装置として、植え込み型除細動器におけるアンテナの構成が示されている。図6において、植え込み型除細動器600は、パルス発生部609の一方の端子を、樹脂ヘッダ606に支持されたアンテナ601(アンテナワイヤ602、リード線604)に接続し、他方の端子を金属筐体603に筐体接地点607で接続することで、アンテナ601と金属筐体603をパルス発生部609の電極として動作させ、筐体接地点607ではなく無線回路接地608に接地した無線回路105(二次巻線613側)と、アンテナ601(一次巻線612側)の間に、変圧器611を配置した構成であった。
【0006】
この構成により、最も大きな構成要素であるリード線604(パルス発生部609の電極)をアンテナ601としても使用できるため、アンテナの放射特性を改善することができる。
【0007】
また、例えば、特許文献2に記載されているように、図7では生体組織のマイクロ波切断に使用される放射線適用装置において、生体に放射線を結合させる放射線アプリケータ先端部のアンテナの構成が示されている。図7において、放射線アプリケータ先端部700は、同軸ケーブルの端部を示しており、同軸ケーブルは、コア導体705から間隔を置いて設けられた外部導体を有し、コア導体及び外側導体の間の空間には、誘電材料707が充填され、同軸ケーブルによって伝搬された放射線を放出するためのアンテナ701は同軸ケーブルの遠方の終端で外側導体706を超えて延びる、同軸ケーブルのコア導体705により形成され、誘電素子702によって放射線の近傍界フィールドを覆うように覆われている構成であった。
【0008】
この構成により、アンテナ近傍でのエネルギー消費を抑え、生体にエネルギーが伝達させることができる。
【特許文献1】米国特許第6505072号明細書(図1)
【特許文献2】特表2002−541884号公報(第16頁、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献1に記載されている従来の構成では、リード線として使用されるアンテナの周辺の構成が不明確で、アンテナ周辺の媒質の誘電率が最適化されていないために、生体内に植え込まれる場合において、不整合損失やアンテナ利得などの放射性能が低いという課題があった。
【0010】
また、前記特許文献2に記載されている従来の構成では、アンテナ近傍でのエネルギー消費を抑え、生体にエネルギーを伝搬させることを目的としているため、アンテナ性能が低く、生体外に配置された装置との通信性能が低いという課題があった。
【0011】
本発明は、上記課題を解決するために、アンテナを誘電体で覆うことにより、生体内においてアンテナ性能が高く、生体外に配置した無線装置との通信性能が高いアンテナを備えた生体内装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記従来の課題を解決するため、本発明の生体内装置は、生体内部に配置される装置に搭載されるアンテナと、アンテナを覆う所定の誘電率を有する誘電体とを備え、生体外部に配置される装置と通信を行うことを特徴としている。
【0013】
この構成により、生体内でのアンテナ性能を高くすることができ、生体外に配置した装置との通信性能を高くすることができる。
【0014】
また、本発明の生体内装置は、前記アンテナと前記誘電体との間が、誘電体で充填される構成を有する。
【0015】
この構成により、アンテナを誘電体で覆うことによる生体内でのアンテナ性能改善効果を高くすることができ、生体外に配置した装置との通信性能を高くすることができる。
【0016】
また、本発明の生体内装置は、前記アンテナが前記誘電体の中心に配置されるような構成を有する。
【0017】
この構成により、誘電体の厚さを厚くすることによる生体内アンテナ性能改善効果が高くなり、生体外に配置した装置との通信性能を高くすることができる。
【0018】
また、本発明の生体内装置は、前記アンテナがループアンテナなどの磁界型アンテナで構成される。
【0019】
この構成により、誘電体で覆われることによる生体内アンテナ性能改善効果が高くなり、生体外に配置した装置との通信性能を高くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、生体内部に配置される装置に搭載されるアンテナを、所定の誘電率を有する誘電体で覆うことにより、生体内でのアンテナ性能を高くすることができ、生体外に配置した装置との通信性能を高くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における生体内装置のアンテナ構成図、図2は、本発明の実施の形態1における生体内装置の人体内配置例、図3は、本発明の実施の形態1における誘電体ケースの比誘電率変化に対するアンテナ性能変化とアンテナの構成図とを示している。なお、動作周波数を例えば、403.5MHzに設定して説明する。
【0023】
図2において、生体内装置100を例えば心臓2の心電図などを観測する装置であるとすると、図2に示すように、人体1の内部に配置され、生体内装置100に搭載されたリード線104が心臓2に固定され、心臓2からの情報を観測し、生体外に配置されたアンテナ素子111を搭載した生体外無線通信装置110と通信を行い、心電図などのデータを転送する。
【0024】
図1において、生体内装置100の筐体103は、例えば縦50mm、横50mm、厚み15mm程度に設定する。ループ素子101は、例えば長辺50mm、短辺15mm程度とし、その一方はアンテナ接地点108でグラウンド109に接続され、他方は整合回路106を介して無線回路105に接続される。ループ素子101を覆う誘電体ケース102は、例えば縦52mm、横25mm、厚みdが15mm程度、比誘電率が5程度に設定され、誘電体ケース102の端にループ素子101が配置され、密着している。整合回路106はループ素子101と無線回路105のインピーダンス整合をとる機能を持つ。検出装置107は心臓からの情報(心電図など)を観測するリード線104に接続される。
【0025】
このように構成された生体内装置のアンテナ性能改善効果について説明する。図3に示すように、ループ素子101を誘電体ケース102で覆わない場合と、ループ素子101を覆う誘電体ケース102(この場合は縦が52mm、横が25mm、厚みd15mm)の比誘電率を変化させた場合では、アンテナの生体内性能に最大14dBの差が生じる。したがって、誘電体ケース102の比誘電率を調整し、生体内性能が最大になる比誘電率を決定することにより(この場合は比誘電率が5)、ループ素子101の生体内性能が、比誘電率を1とする場合よりも7dB、誘電体ケース102で覆わない場合よりも14dB改善することができる。
【0026】
このように本実施の形態1によれば、アンテナを所定の誘電率を有した誘電体ケースで覆う構成にすることにより、生体内装置のアンテナ性能が改善し、生体外無線通信装置との通信性能を改善することができる。
【0027】
(実施の形態2)
図4は本発明の実施の形態2における生体内装置のアンテナ構成図、図5は本発明の実施の形態2におけるアンテナの片面と両面を誘電体ケースで覆う場合におけるケースの片面の厚みdに対する生体内アンテナ性能の変化を示している。
【0028】
図4において、ループ素子101を覆う誘電体ケース102は、例えば縦52mm、横25mm、厚み15mm程度、比誘電率5程度に設定され、誘電体ケースの厚み方向の中心にループ素子101が配置されるように構成する。
【0029】
このように構成された生体内装置のアンテナ性能改善効果について説明する。図5に示すように、ループ素子101を誘電体ケース102で覆う構成として、誘電体ケース102の厚み方向に対して、ループ素子101の片面のみを厚さdの誘電体ケース102で覆った(誘電体ケース102の厚み方向の端にループ素子101が配置される)場合より、各面を厚さd、つまり両面で厚さ2dの誘電体ケース102で覆った(誘電体ケース102の厚み方向の中心にループ素子101が配置される)場合が、誘電体ケースの片面の厚さdに対する生体内アンテナ性能改善効果が高くなる。誘電体ケース102の片面の厚さd=7mmの場合を考えると、ループ素子101の片面を誘電体ケース102で覆うより、両面を覆うほうが、誘電体でアンテナを覆うことによる生体内装置のアンテナ性能改善効果が10dB高くすることができる。また、誘電体ケースの大きさが同じになる場合として、全体の厚さが3mmの場合を考えると、片面のd=3mmより、両面のd=1.5mmのほうが、アンテナ性能改善効果が7dB高くすることができる。
【0030】
このように実施の形態2によれば、アンテナを覆う誘電体ケースの厚み方向の中心にアンテナを配置するように構成することにより、生体内装置のアンテナ性能改善効果が高くなり、生体内におけるアンテナ性能が改善し、生体外無線通信装置との通信性能を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の生体内装置は、生体内部に配置される装置に搭載されるアンテナと、前記アンテナを覆う所定の誘電率を有する誘電体とを備え、生体外部に配置される生体外無線装置と通信を行うことを特徴としており、アンテナで誘電体を覆うことにより、生体内におけるアンテナ性能を改善することができ、生体外部に配置される生体外無線装置との通信性能が改善することができるため、ペースメーカーや、植え込み型除細動器など、生体に植込まれる装置に搭載するアンテナの構成として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態1における生体内装置のアンテナ構成図
【図2】本発明の実施の形態1における生体内装置の人体内配置図
【図3】本発明の実施の形態1における誘電体ケースの比誘電率変化に対するアンテナ性能変化とアンテナの構成図
【図4】本発明の実施の形態2における生体内装置のアンテナ構成図
【図5】本発明の実施の形態2におけるアンテナの片面と両面を誘電体ケースで覆う場合におけるケースの片面の厚みdに対する生体内アンテナ性能の変化とアンテナの構成図
【図6】従来の生体内医療装置を示す図
【図7】従来のアンテナを示す図
【符号の説明】
【0033】
1 人体
2 心臓
100 生体内装置
101 ループ素子
102 誘電体ケース
103 筐体
104 リード線
105 無線回路
106 整合回路
107 検出装置
108 アンテナ接地点
109 グラウンド
110 生体外無線通信装置
111 アンテナ素子
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−22935(P2008−22935A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−196369(P2006−196369)