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【発明の名称】 拡大観察用内視鏡装置
【発明者】 【氏名】斉田 信行

【氏名】池谷 浩平

【氏名】高橋 昭博

【氏名】岡田 慎介

【氏名】沼澤 吉延

【要約】 【課題】共焦点光学系による顕微鏡的拡大像を、スクリーニング検査で見つけた異常が疑われる部位の観察像と視覚的に対応をつけて観察することができる拡大観察用内視鏡装置を提供すること。

【構成】撮像素子22の撮像面に投影される被写体像の倍率を遠隔操作によって可変な対物ズーム光学系21と、光軸に垂直な2次元方向に走査される光学単ファイバ26の先端面26aの位置と被写体の位置とを共焦点の位置関係に配置して光学単ファイバ26からの出力を画像走査することにより被写体の顕微鏡的拡大像を得ることができる共焦点光学系25とが挿入部1の先端2内に併設された拡大観察用内視鏡装置において、対物ズーム光学系21により得られて表示される観察像の倍率を共焦点光学系25により得られて表示される顕微鏡的拡大像の倍率と同程度の倍率まで上げられるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子の撮像面に投影される被写体像の倍率を遠隔操作によって可変な対物ズーム光学系と、
光軸に垂直な2次元方向に走査される光学単ファイバの先端面の位置と被写体の位置とを共焦点の位置関係に配置して上記光学単ファイバからの出力を画像走査することにより上記被写体の顕微鏡的拡大像を得ることができる共焦点光学系とが挿入部の先端内に併設された拡大観察用内視鏡装置において、
上記対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の倍率を上記共焦点光学系により得られて表示される顕微鏡的拡大像の倍率と同じ倍率まで上げられるようにしたことを特徴とする拡大観察用内視鏡装置。
【請求項2】
撮像素子の撮像面に投影される被写体像の倍率を遠隔操作によって可変な対物ズーム光学系と、
光軸に垂直な2次元方向に走査される光学単ファイバの先端面の位置と被写体の位置とを共焦点の位置関係に配置して上記光学単ファイバからの出力を画像走査することにより上記被写体の顕微鏡的拡大像を得ることができる共焦点光学系とが挿入部の先端内に併設された拡大観察用内視鏡装置において、
上記対物ズーム光学系により得られる観察像の最高倍率を上記共焦点光学系により得られる顕微鏡的拡大像の倍率の0.5倍〜1倍の範囲まで上げられるようにしたことを特徴とする拡大観察用内視鏡装置。
【請求項3】
上記対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の最高倍率が、上記対物ズーム光学系自体による光学ズーム機能と上記撮像素子から出力されて得られた映像信号を電子制御により拡大する電子ズーム機能とを合わせることにより得られる請求項1又は2記載の拡大観察用内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、挿入部の先端にズーム光学系と共焦点光学系とが併設された拡大観察用内視鏡装置に関する。
【背景技術】
【0002】
体内の管腔臓器内を内視鏡で視覚的に観察して病変等の有無を検査する手技が広く一般に行われている。しかし、そのような内視鏡検査で病変を見つけても、その病変が癌であるか否か等の診断を行うのは困難な場合が多い。
【0003】
そこで、内視鏡検査で怪しいと思われた部分については生検鉗子等を用いて組織採取が行われるが、癌でも何でもない場合が大半であるにもかかわらず、単なる検査のために体内の管腔壁の粘膜を損傷させて出血させてしまうことになる。
【0004】
そこで近年は、1mmに満たない範囲の顕微鏡的拡大像を得ることができる拡大観察用内視鏡装置が開発され、生検組織を採取することなく、内視鏡による直接観察だけで癌であるか否かの診断を相当の確率で行える可能性がでてきている(例えば、特許文献1、2)。
【特許文献1】特開2004−344201
【特許文献2】特開2005−80769
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
顕微鏡的拡大像しか得ることができない共焦点光学系では、広い範囲をくまなく観察してその中から怪しい部分を見つけるいわゆるスクリーニング検査を行うことができない。そこで、特許文献1、2等に記載された拡大観察用内視鏡装置では、スクリーニング検査を行うことができる通常の観察光学系と顕微鏡的拡大像を得ることができる共焦点光学系とが併設された構成になっている。
【0006】
しかし、通常の観察光学系で得られる観察像は数倍から極近接観察画像でもせいぜい20〜30倍程度までであるのに対して、共焦点光学系で得られる顕微鏡的拡大像は例えば500倍程度の高倍率である。
【0007】
そのため、通常の観察光学系によるスクリーニング検査で異常が疑われる部位を見つけ、その部分を狙ってすぐに共焦点光学系による拡大観察を行っても、画像が突然細胞レベルの見慣れない風景になってしまうので、拡大して見ている部分がスクリーニング検査で異常が疑われた部位なのかどうかの判別がつかず、どこを拡大観察すればよいのか判断がつかない場合が少なくない。
【0008】
そこで本発明は、共焦点光学系による顕微鏡的拡大像を、スクリーニング検査で見つけた異常が疑われる部位の観察像と視覚的に対応をつけて観察することができる拡大観察用内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するため、本発明の拡大観察用内視鏡装置は、撮像素子の撮像面に投影される被写体像の倍率を遠隔操作によって可変な対物ズーム光学系と、光軸に垂直な2次元方向に走査される光学単ファイバの先端面の位置と被写体の位置とを共焦点の位置関係に配置して光学単ファイバからの出力を画像走査することにより被写体の顕微鏡的拡大像を得ることができる共焦点光学系とが挿入部の先端内に併設された拡大観察用内視鏡装置において、対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の倍率を共焦点光学系により得られて表示される顕微鏡的拡大像の倍率と同じ倍率まで上げられるようにしたものである。ただし対物ズーム光学系により得られる観察像の最高倍率を共焦点光学系により得られる顕微鏡的拡大像の倍率の0.5倍〜1倍の範囲まで上げられるようにしたものであってもよい。
【0010】
なお、対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の最高倍率が、対物ズーム光学系自体による光学ズーム機能と撮像素子から出力されて得られた映像信号を電子制御により拡大する電子ズーム機能とを合わせることにより得られるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の倍率を共焦点光学系により得られて表示される顕微鏡的拡大像の倍率と同じ倍率又は0.5倍〜1倍の範囲まで上げられるようにしたことにより、スクリーニング観察像の倍率を次第に上げて顕微鏡的拡大像に近づけてから共焦点光学系による拡大観察に移ることができるので、共焦点光学系による顕微鏡的拡大像を、スクリーニング検査で見つけた異常が疑われる部位の観察像と視覚的に対応を付けて観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
撮像素子の撮像面に投影される被写体像の倍率を遠隔操作によって可変な対物ズーム光学系と、光軸に垂直な2次元方向に走査される光学単ファイバの先端面の位置と被写体の位置とを共焦点の位置関係に配置して光学単ファイバからの出力を画像走査することにより被写体の顕微鏡的拡大像を得ることができる共焦点光学系とが挿入部の先端内に併設された拡大観察用内視鏡装置において、対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の倍率を共焦点光学系により得られて表示される顕微鏡的拡大像の倍率と同じ倍率まで上げられるようにする。
【実施例】
【0013】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は、本発明の拡大観察用内視鏡装置のシステム全体を略示しており、体内に挿入される可撓性の挿入部1の最先端部に、観察窓や照明窓等が配置された先端部本体2が連結され、挿入部1の基端には、各種操作部材が配置された操作部3が連結されている。
【0014】
先端部本体2には、観察倍率を遠隔操作によって可変な対物ズーム光学系21と、顕微鏡的拡大像を得るための共焦点光学系25とが内蔵されている。そして、操作部3には、挿入部1内に挿通配置された操作ワイヤ4を進退操作することにより対物ズーム光学系21のズーム操作を行うための光学ズーム操作レバー31と、対物ズーム光学系21で得られた観察画像の電子ズーム操作を行うための電子ズーム操作ボタン32等が配置されている。
【0015】
操作部3から延出するコードの先端には、内視鏡の外部に配置されたビデオプロセッサ5と共焦点像プロセッサ6とに分かれて接続される第1のコネクタ7と第2のコネクタ8とが設けられている。
【0016】
9は、ビデオプロセッサ5から出力される映像信号による画像を表示するためのメインモニタ、10は、共焦点像プロセッサ6から出力される映像信号による拡大画像を表示するための共焦点像モニタである。
【0017】
図3は、挿入部1の最先端部分の斜視図であり、先端部本体2の先端面に、照明光を放射するための照明窓11と、その照明窓11から放射された照明光により照明された被写体の光学像を被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓12とが、前方に向けて並んで配置されている。13は、処置具突出口である。
【0018】
また、被写体の表面に当接又は極近接されてその被写体の拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓15が、先端部本体2の先端面から前方に突出した突出部の先端に前方に向けて配置されている。なお、送気送水ノズル等の図示は省略されている。
【0019】
図4は挿入部1の最先端部分の側面断面図であり、スクリーニング検査を行うのに適した広い視野角の状態から例えばそれより3〜4倍程度拡大された状態の観察像を任意に得ることができるズーム光学系21が通常観察用観察窓12内に配置されている。23は、固体撮像素子22で得られた撮像信号を伝送するための信号ケーブルである。
【0020】
対物ズーム光学系21による被写体の結像位置には固体撮像素子22の撮像面が配置されている。そして、対物ズーム光学系21と固体撮像素子22とを連動して軸線方向に動作させて対物ズーム光学系21の焦点距離を変化させるズーム機構24に操作ワイヤ4の先端が連結されていて、操作ワイヤ4が遠隔操作で進退させられると対物ズーム光学系21の焦点距離が変化して、固体撮像素子22の撮像面に結像する観察像の倍率が最大で3〜4倍程度変化する。なお、そのようなズーム機構24は公知(例えば特開2002−301015)なので詳細な説明は省略する。
【0021】
共焦点光学系25は拡大観察用観察窓15内に配置されていて、その奥に配置された光学単ファイバ26(シングルモードファイバ)の先端面26aの位置と拡大観察用観察窓15の外表面位置(又は、それよりごく僅かに前方の位置)とが共焦点の位置関係になるようにセットされている。
【0022】
光学単ファイバ26の先端面26aは、例えば電磁力等を用いた走査機構27により共焦点光学系25の光軸に対して垂直な平面上で2次元的に走査され、光学単ファイバ26内を伝送されてきてその先端面26aから射出されたレーザ光が拡大観察用観察窓15の外表面付近の被写体で焦点を結んでそこから反射されると、その反射光が光学単ファイバ26の先端面26aに焦点を結ぶ。なお、体内の粘膜面に蛍光色素が散布されている場合には、レーザ光により励起された蛍光が被写体になる。
【0023】
したがって、光学単ファイバ26内を通って基端側に戻される反射光をその先端面26aの走査運動に対応する位置に表示させることにより、拡大観察用観察窓15の表面付近の被写体の1mm以下程度の領域(例えば0.5mmの領域)の鮮明な顕微鏡的拡大像を得ることができる。その倍率は例えば500倍程度である。
【0024】
図5は、本発明の拡大観察用内視鏡装置のシステム構成のブロック図であり、共焦点像プロセッサ6内には、レーザ光源61と受光素子62とが、光カプラ63によって光学単ファイバ26の後端面26bに並列に接続されている。したがって、レーザ光源61からレーザ光が光学単ファイバ26に入射されるだけでなく、光学単ファイバ26の後端面26bから射出された光が受光素子62に入射する。
【0025】
レーザ光源61から光カプラ63を経由して光学単ファイバ26に入射したレーザ光は、光学単ファイバ26の先端面26aから射出されて拡大観察用観察窓15の表面付近の焦点位置で被写体に当たって反射され、その反射光が光学単ファイバ26の先端面26aに焦点を結んで入射し、光学単ファイバ26内を通って受光素子62に入射する。
【0026】
光学単ファイバ26の先端面26aを走査する走査機構27の動作制御は同期制御回路65によって行われており、さらに映像信号処理回路64において、受光素子62からの出力信号が光学単ファイバ26の先端面26aの動きと同期して画像走査されることにより画像化され、その映像信号が共焦点像モニタ10に出力されて、拡大観察用観察窓15の表面付近の被写体の1mm以下程度の領域の例えば500倍程度の解像力の高い顕微鏡的拡大像が共焦点像モニタ10に表示される。
【0027】
挿入部1の先端の照明窓11に設けられた凹レンズの裏側には、挿入部1内から第1のコネクタ7に至る空間内に配置された照明用ライトガイドファイババンドル28の射出端が配置されている。
【0028】
そして、光源装置を兼ねているビデオプロセッサ5内には、ライトガイドファイババンドル28に供給するための照明光を発生する光源ランプ51が配置されていて、光源ランプ51から放射された照明光は集光レンズ52によってライトガイドファイババンドル28の入射端面付近に収束する。
【0029】
また、ビデオプロセッサ5内には、固体撮像素子22から出力された撮像信号を処理してメインモニタ9に映像信号を出力する映像信号処理回路53が配置されているが、メインモニタ9に表示される観察像の倍率の例えば5倍までの範囲で任意に制御する電子ズーム制御回路54が、映像信号処理回路53とメインモニタ9との間に介挿接続されている。電子ズーム制御回路54における倍率選択は操作部3に設けられた電子ズーム操作ボタン32で行うことができる。
【0030】
このような構成により、図1の図表にも示されるように、メインモニタ9に表示される通常観察像の倍率は、対物ズーム光学系21と電子ズーム制御回路54が共に最も低倍率になっている広角観察時に被写体との間に距離をとってスクリーニング検査を行っている時は数倍程度であり、被写体を通常観察用観察窓12に極近接させた状態でも20〜30倍程度である。
【0031】
しかし、操作部3で光学ズーム操作レバー31を操作してズーム機構24を動作させ、対物ズーム光学系21による光学ズームを最高倍率の状態にすると被写体に対する極近接状態では100倍程度まで倍率を上げることができ、さらに、電子ズーム操作ボタン32を操作して電子ズーム制御回路54を動作させて電子ズームを最高倍率の状態にすると500倍まで倍率を上げることができる。
【0032】
このようにして、本発明の拡大観察用内視鏡装置においては、操作部3に配置された光学ズーム操作レバー31と電子ズーム操作ボタン32を操作することにより、対物ズーム光学系21により得られてメインモニタ9に表示される観察像の倍率を共焦点光学系25により得られて共焦点像モニタ10に表示される顕微鏡的拡大像の倍率と同じ倍率である500倍まで上げることができる。
【0033】
そのようにしてメインモニタ9に表示される拡大像は共焦点像モニタ10に表示される拡大像と比べると解像力が低くて癌などの診断を行うのは困難である。しかし、スクリーニング検査で異常が疑われる部位を見つけた後、メインモニタ9に表示される観察像の倍率を次第に大きくし、異常が疑われる部位の像が拡大されていく変化の状態を観察してから共焦点光学系25による共焦点像モニタ10への顕微鏡的拡大像を観察することにより、メインモニタ9に表示される観察像と共焦点像モニタ10に表示される顕微鏡的拡大像とを視覚的に対応をつけて観察することができる。その結果、スクリーニング検査で見つけた異常が疑われる部位を、共焦点光学系25による顕微鏡的拡大像察像で確実に観察することができる。
【0034】
なお、そのような目的を達成するためには、対物ズーム光学系21により得られる観察像の倍率を共焦点光学系25により得られる顕微鏡的拡大像の倍率と全く同じ倍率まで上げなくてもよく、例えば図6に示されるように、対物ズーム光学系21により得られる観察像の最大倍率が共焦点光学系25により得られる顕微鏡的拡大像の倍率の少なくとも0.5倍あれば、共焦点像モニタ10に表示される顕微鏡的拡大像をメインモニタ9に表示される観察像と視覚的に対応をつけて観察することができる。
【0035】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば通常観察用観察窓12と拡大観察用観察窓15とを共用する一眼レフタイプにしたものであってもよい。また、共焦点光学系25により得られて共焦点像モニタ10に表示される顕微鏡的拡大像の倍率を可変にしたものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施例の拡大観察用内視鏡装置の対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の倍率を示す図表である。
【図2】本発明の第1の実施例の拡大観察用内視鏡装置のシステム全体の略示図である。
【図3】本発明の第1の実施例の拡大観察用内視鏡装置の挿入部の最先端部分の斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施例の拡大観察用内視鏡装置の挿入部の最先端部分の側面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の拡大観察用内視鏡装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第2の実施例の拡大観察用内視鏡装置の対物ズーム光学系により得られて表示される観察像の倍率を示す図表である。
【符号の説明】
【0037】
1 挿入部
2 先端部本体
4 操作ワイヤ
9 メインモニタ
10 共焦点像モニタ
12 通常観察用観察窓
15 拡大観察用観察窓
21 対物ズーム光学系
22 固体撮像素子
24 ズーム機構
25 共焦点光学系
26 光学単ファイバ
26a 先端面
27 走査機構
31 光学ズーム操作レバー
32 電子ズーム操作ボタン
54 電子ズーム制御回路
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100091317
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦


【公開番号】 特開2008−22890(P2008−22890A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195419(P2006−195419)