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【発明の名称】 超音波治療装置
【発明者】 【氏名】荻原 誠

【氏名】加藤 和之

【要約】 【課題】安全で確実な超音波治療を行うことができる超音波治療装置を提供する。

【構成】治療用超音波を被検体に照射させて治療を行う超音波治療装置101において、治療用ビームと診断用ビームを同一プローブにて照射する治療診断プローブ102と、心拍による周期的な動きを利用して治療用超音波の焦点に治療部位が重なるタイミングのみに治療用超音波を照射する制御手段20とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用超音波を被検体に照射させて治療を行う超音波治療装置において、治療用ビームと診断用ビームを同一プローブにて照射する治療診断プローブと、心拍による周期的な動きを利用して治療用超音波の焦点に治療部位が重なるタイミングのみに治療用超音波を照射する制御手段とを有することを特徴とする超音波治療装置。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波治療装置において、前記制御手段は、心拍数の増減に伴う心拍周期の変化に応じて治療のタイミングを変化させることを特徴とする超音波治療装置。
【請求項3】
請求項2に記載の超音波治療装置において、前記制御手段は、前記心拍数の急激な変化を感知し、治療を停止することを特徴とする超音波治療装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、体内に超音波振動子から経皮的に超音波を放射して病変部を治療する超音波治療装置及び病変部を診断する超音波診断装置に係わり、心臓の拍動により移動してしまう治療部位にめがけて治療用超音波照射行う際に、診断用超音波画像上で治療部位を追跡し、治療部位と治療用超音波の焦点が重畳した際にのみ治療用超音波を照射することで健常部位に治療用ビームが照射されず、安全で確実な治療が可能な機構を持つ超音波治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、頭蓋内脳血管の塞栓を溶解する経頭蓋超音波治療法について発明され、また、経皮的心臓冠動脈血栓溶解法についても言及しているように、血栓溶解に超音波を利用した治療は発明されている。超音波照射を利用した血栓溶解においては、血栓部への持続した治療用の超音波照射が重要となる。脳血栓へのtPAと超音波の併用による急速再開通の例はある。しかし、心筋梗塞の例では心臓のような動きの激しい臓器に関しては血栓部位に治療用超音波を照射し続けるのは困難であった。腹部領域においては、下記特許文献2では、呼吸の位相に合わせて照射のタイミングを計り治療用ビームの照射を行う方法をCTやMRIなどによる3D診断画像を元に実現している。
【特許文献1】特開2004-024668号公報
【特許文献2】特開平07-047079号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記特許文献では、治療までの時間がかかり、術者や患者にとって苦痛が増加することにつながる可能性がある。そこで本発明では、動きの激しい心臓部の梗塞部位を超音波診断画像上で確認し、梗塞部位が超音波焦点と一致したタイミングで治療用超音波を照射させることにより安全で確実な超音波治療を行うことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
治療用超音波を被検体に照射させて治療を行う超音波治療装置において、治療用ビームと診断用ビームを同一プローブにて照射する治療診断プローブと、心拍による周期的な動きを利用して治療用超音波の焦点に治療部位が重なるタイミングのみに治療用超音波を照射する制御手段とを有する。
前記制御手段は、心拍数の増減に伴う心拍周期の変化に応じて治療のタイミングを変化させる。前記制御手段は、前記心拍数の急激な変化を感知し、治療を停止する。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、安全で確実な超音波治療を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本システムが実現可能となる装置の構成を以下に述べる。本システムは、図1に示す様に、超音波診断装置100、超音波治療装置101、および、治療・診断を同一のプローブから放射する複合プローブ102を備える。複合プローブ102には、治療用ビームを放射する治療用振動子16と、診断用ビームを送受信する診断用振動子17を備え、それらを交互、もしくは同時に放射することで治療・診断を行う。診断用ビームは組織の音響インピーダンスの異なる界面で反射し、ここでは詳細は記載しないが診断装置にて体内の様子がリアルタイムにモニタ10上に表示される。
【0007】
治療用ビームは診断用とは異なる周波数の超音波ビームを放射する。超音波治療用装置101は治療用超音波を送波するため、超音波診断装置100とは別に設けられる。
治療時には、超音波診断画像を見ながら、治療部位を探索し、治療用ビームを照射することで心筋梗塞の治療を行う。
【0008】
上記目的を達成させるため、治療・診断の両ビームを一つのプローブから照射可能な治療診断複合プローブを使用する方法について述べる。治療診断のそれぞれのビームを照射する振動子が並列的、もしくは直列的に並んでいる場合に実現可能である。
【0009】
本システムの使用について図を用いて説明を行う。
心筋梗塞での治療部位は心臓の外壁に存在し、治療部位は心拍により周期的に同じ位置の移動を繰り返す。この移動が周期的であるため、診断用ビームで取得したMモード画像から治療部位の移動を観察することが可能である。Mモード(1D)診断を行う超音波診断画面のみでも心拍は推測可能であるが、同時に外部の心拍計21にて計測を行うと明確に心拍の周期を計測する事が可能である。治療部位の動きと心拍との同期を確認する。この場合、図2に示すMモードのような1D表示でも図3に示すBモードのような2D表示でも、2次元振動子などによる3D表示でもよい。確認後はMモード表示上で治療部位の動きを割り出し、心拍計測制御部22にて心拍1周期内での治療部位の動きを分析し、治療用ビームの焦点深度と治療部位の深度の一致するポイントを治療時間としてセットする(図4)。焦点深度と治療部位とが一致していないところでは、治療用ビームは健常組織に照射されてしまうため、治療用超音波照射を中止する必要がある。このようにして、治療用超音波の照射時間は1周期内でON、OFFを繰り返す。治療タイミングは、治療タイミング制御部20により制御され、治療用パルス発生回路13、送波アンプ15を介して治療用振動子17から治療用ビームが照射される。
【0010】
Mモード画像はプローブ表面から深部方向への表示であるので、治療部位がプローブから見て横方向に移動する場合は、観測点から外れてしまう。このような場合でも心拍の周期で繰り返す移動であれば一心拍で再び治療部位が画像上に表示されることになるので、術者が繰返し現れる治療部位をマーキングしておくことで、観測地点に断続的に現れる治療部位への対応も可能である。(図5、図6、図7)
【0011】
また、超音波プローブ・被検体にそれぞれ位置センサを付属することで、超音波プローブと被検体との相対位置を感知することが可能となる。プローブが動いた場合、治療用ビームの焦点が治療部位に対して変化してしまっても、健常部位に治療用ビームが誤照射されるのを防ぐ仕様とすることも可能である。
この様にして、健常部位に治療用ビームが照射されず、治療部位にのみ治療用ビームが照射されるため、安全性・確実性の向上、術者、被検体への負担の軽減を図ることが可能となる。
【0012】
図8に治療の流れを示すフローチャートを記す。
治療用フロー開始後、Mモード診断と同時に心拍計測を行う。心拍の周期とMモード画面とのマッチングを行い、治療部位が観測されたら治療部位の1周期内での動きを観察する(ステップ1)。このとき、Mモード画面上に治療部位が断続的に表示される場合は、超音波プローブの位置・角度を変更し、治療部位が連続的に観察される部位を探す。もしくは、そのままの位置で治療を行う。(ステップ2)1心拍の周期内で、治療部位と超音波焦点の一致する部位を探し出し、治療時間を決める。その後、治療部位と診断画像に位置ずれが生じていれば診断に戻り、位置ずれが認められなければ治療タイミング決定に移る(ステップ3)。
【0013】
治療を開始するため、超音波治療装置に治療用ビームを照射するタイミングを送信する。治療開始とともに、心拍計の表示から治療タイミングを計算し、治療部位が超音波焦点と一致した時刻のみ治療用ビームを照射する(ステップ4)。途中で治療部位がずれてしまい、治療タイミングと治療部位が一致しなくなったら始めに戻って治療タイミングの再読み込みを行う。また、心拍数の変化を観測しておき、心拍数に変化があればその増減に応じて治療のタイミングを変化させ、また、不整脈など急激な変化を生じた場合には治療を中止、治療部位の再設定を行う(ステップ5)。
【0014】
梗塞部位に再潅流が認められればその時点で治療を終了し、認められなければ治療を継続し、照射プロトコルの終了まで治療を行う。(ステップ6)
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の治療システム概要を示す図。
【図2】本発明の治療部位が連続して表示されるMモード画像例を示す図。
【図3】本発明の治療部位が連続して表示されるBモード画像例を示す図。
【図4】本発明の治療部位が連続して表示される場合の治療タイミング例を示す図。
【図5】本発明の治療部位が断続的に表示されるMモード画像例を示す図。
【図6】本発明の治療部位が断続的に表示されるBモード画像例を示す図。
【図7】本発明の治療部位が断続的に表示される場合の治療タイミング例を示す図。
【図8】本発明の治療の流れを示すフローチャートを示す図。
【符号の説明】
【0016】
7 送受波整相回路、8 超音波画像記憶部、10 モニタ、11 操作器、13 治療用パルス発生回路、15 治療用アンプ、16 診断用振動子、17 治療用振動子、20 治療タイミング制御部、21 心電計、22 心拍数計測制御部、100 超音波診断装置、101 超音波治療装置、102 複合プローブ
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−22876(P2008−22876A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195174(P2006−195174)