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【発明の名称】 生分解性ハニカム構造接着フィルム
【発明者】 【氏名】福平 由佳子

【氏名】兼子 博章

【氏名】鷲見 芳彦

【要約】 【課題】接着用途、とりわけ医療用の接着フィルム、インプラント用の接着フィルムを提供する。

【構成】ポリカプロラクトンを1から80重量%ブレンド成分として含有する生分解性ポリマー100重量部とリン脂質0.01〜100重量部とを含み、ハニカム構造を有する接着フィルム。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリカプロラクトンを1から80重量%ブレンド成分として含有する生分解性ポリマー100重量部とリン脂質0.01〜100重量部とを含み、ハニカム構造を有する接着フィルム。
【請求項2】
請求項1に記載のフィルムからなる医療用接着フィルム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリカプロラクトンをブレンド成分として含有した生分解性ポリマーよりなるハニカム構造接着フィルムに関するものであり、本発明で開示されているフィルムは、接着用途、とりわけ医療用の接着フィルム、インプラント用の接着フィルムとして好ましく利用しうる。以下、本文中のハニカム構造接着フィルムはハニカム構造を有する接着フィルムの意味で用いられる。
【背景技術】
【0002】
これまでに、材料の表面にマイクロあるいはナノオーダーでの規則構造やパターニングを形成することにより、細胞の接着性や細胞の増殖能などを制御する技術が開発され、細胞培養のための容器や細胞チップなどの応用へと技術開発が進められている。これらの中で、ハニカム構造フィルムは、疎水性有機溶媒表面上に水滴を形成させることにより形成される微細構造を利用し、細胞培養基材への応用(特許文献1)、電子デバイスへの応用(特許文献2)、血液濾過膜への応用、癒着防止材への応用(特許文献4)などの研究がなされている。
【0003】
ポリカプロラクトンを利用した例としては、血液濾過膜への応用(特許文献3)が開示されているが、生体への接着に関する記載はない。
乳酸とカプロラクトンからなる共重合体からなら多孔性癒着防止材(特許文献4)が開示されているが、凍結乾燥体からなるフィルムであり、均一なハニカム構造を得ることは出来ない。また、組織への接着性も有しておらず、融着固定することが明記されている。
【0004】
本発明者らによるハニカム構造を有する生分解性フィルムおよび癒着防止材に関する特許文献5では、癒着防止材として使用する方法としてハニカム構造体フィルムの開孔部を患部に貼付した後に、ハニカム構造が血液や組織液などの水分を吸着し、患部に定着させていることを開示している。臓器表面の保護をするためのカバー材、あるいは臓器表面での癒着防止効果を高めるために、より柔軟性、接着性が高められたフィルムが求められている。
【0005】
【特許文献1】特開2001−157574号公報
【特許文献2】特開2003−128832号公報
【特許文献3】特開2003−149096号公報
【特許文献4】特開2000−197693号公報
【特許文献5】WO2004/089434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は接着性に優れた生分解性のハニカム構造を有する接着フィルムを提供することであり、詳細には水分を含有する表面での接着力、とりわけ手術時の臓器表面に対する接着力が改良されたフィルムを提供する事を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明はポリカプロラクトンを1から80重量%ブレンド成分として含有する生分解性ポリマー100重量部とリン脂質0.01〜100重量部とを含み、ハニカム構造を有する接着フィルムである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のハニカム構造を有する接着フィルムは、ポリカプロラクトンをブレンド成分として含有することにより優れた接着性を有する。それより医療用の材料、とりわけ接着フィルム、インプラント用の接着フィルムとして好ましく利用しうる。また本発明により、各種の用途に応じて任意の接着性を有するフィルムを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明について詳述する。
本発明は、ポリカプロラクトンを1から80重量%ブレンド成分として含有する生分解性ポリマー100重量部とリン脂質0.01〜100重量部とを含み、ハニカム構造を有するフィルムである。
【0010】
生分解性ポリマーにおけるポリカプロラクトンの重量比率は、目的に応じて変更することが可能である。より好ましくは5から60重量%であり、より好ましくは10から50重量%である。ポリカプロラクトンの含有量が少ないと、柔軟性が低く、有効な接着強度が得られないことがある。また、ポリカプロラクトンの含有量が多すぎると、疎水性が高すぎて、有効な接着強度が得られないことがある。
【0011】
ポリカプロラクトン以外の生分解性ポリマー成分としては、
たとえば、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどの生分解性脂肪族ポリエステル、ポリブチレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が、有機溶媒への溶解性の観点から好ましい。中でも、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体が入手の容易さ、価格等の観点から望ましい。
【0012】
本発明のハニカム構造を有するフィルムは、生分解性ポリマー100重量部に対し、リン脂質0.01〜100重量部とを含む。好ましくは0.2〜10重量部である、より好ましくは、0.5〜2重量部である。リン脂質はハニカム構造を簡便に再現性よく得るために用いられ、また本発明の接着フィルムを医療用接着フィルムとして、好ましくはインプラント用の接着フィルムとして用いるために必須である。リン脂質は、動物組織から抽出したものでも、また人工的に合成して製造したものでもその起源を問うことなく使用できる。リン脂質としてはホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロールおよびそれらの誘導体からなる群から選択されてなるものを利用することが望ましい。好ましくはホスファチジルエタノールアミンであり、さらに好ましくはL−α−ホスファチジルエタノールアミン ジオレオイルである。
【0013】
本発明においてハニカム構造とは、ハニカム状に配置された複数の細孔を有する構造であって、複数の細孔同士の位置関係は、図1に示す正六角形同士の位置関係と対応する。従って、一つ細孔の周辺には6個の細孔が配置されている。図2に円形の細孔がハニカム状に配置された状態を示す。細孔は、実質的に同一形状であることが好ましい。細孔は、好ましくは直径0.1〜100μm、より好ましくは1〜20μm、より好ましくは1〜15μm、さらに好ましくは1〜10μmの円形であることが好ましい。細孔の直径(半径)は表面における孔の直径(半径)のことを言う。細孔の半径をrとし、隣接する細孔の中心間の距離をaとすると、rとaとは、1<a/2r<2で表されることが好ましい。
【0014】
ハニカム構造接着フィルムの製造方法としては、ポリカプロラクトンを1から80重量%ブレンド成分として含有する生分解性ポリマー、リン脂質、および有機溶媒を含むポリマー溶液を、相対湿度50〜95%の大気下で基板上にキャストし、該有機溶媒を徐々に蒸散させ、同時に該キャスト液表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸発させる方法が好ましく挙げられる。
【0015】
該方法において、ポリマー溶液上に微小な水滴粒子を形成させることが必須である事から、使用する有機溶剤としては非水溶性である事が必要である。これらの例としてはクロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系有機溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、などの非水溶性ケトン類、二硫化炭素などが挙げられる。これらの有機溶媒は単独で使用しても、又、これらの溶媒を組み合わせた混合溶媒として使用してもかまわない。
【0016】
これらに溶解する生分解性ポリマーとリン脂質両者併せてのポリマー濃度は0.01から10wt%、より好ましくは0.05から5wt%である。ポリマー濃度が0.01wt%より低いと得られるフィルムの力学強度が不足し望ましくない。又、10wt%以上ではポリマー濃度が高くなりすぎ、十分なハニカム構造が得られない。又、生分解性ポリマーとリン脂質の組成比は、生分解性ポリマー100重量部に対して0.01〜100重量部のリン脂質を含む。リン脂質が生分解性ポリマーに対して0.01重量部以下では均一なハニカム構造が得られないことがあり、又、100重量部以上ではフィルムとしての自己支持性を有しておらず、コストも高く、経済性に乏しい場合がある。
【0017】
ハニカム構造フィルムの製造方法としては該ポリマー有機溶媒溶液を基板上にキャストしハニカム構造フィルムを調製する方法が好ましく挙げられる。該基板としてはガラス、金属、シリコンウェハー等の無機材料、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエーテルケトン等の耐有機溶剤製に優れた高分子、水、流動パラフィン、液状ポリエーテル等の液体が使用できる。中でも、基材に水を使用した場合、該ハニカム構造体の特徴である自立性を生かすことで、該構造体を単独で容易に基板から取り出すことが出来、好適である。
【0018】
本発明で、ハニカム構造が形成される機構は次のように考えられる。疎水性有機溶媒が蒸発するとき、潜熱を奪う為に、キャストフィルム表面の温度が下がり、微小な水の液滴がポリマー溶液表面に凝集、付着する。ポリマー溶液中の親水性部分の働きによって水と疎水性有機溶媒の間の表面張力が減少し、このため、水微粒子は凝集して1つの塊になろうとし、安定化する。溶媒が蒸発するに伴い、ヘキサゴナルの形をした液滴が最密充填した形で並び、最後に、水が飛び、ポリマーが規則正しくハニカム状に並んだ形として残る。従って、該フィルムを調製するためには相対湿度が30から100%の範囲にある水蒸気を吹き付けることが望ましい。相対湿度は好ましくは50〜95%、より好ましくは50〜90%である。相対湿度が30%以下ではキャストフィルム上への結露が不十分になり作製が難しい場合がある。このようにしてできるハニカム構造体中個々のハニカムの空隙内径は0.1から100μmである。このようにして作製したハニカム構造接着フィルムは、表面がハニカム構造を有し、膜厚が充分厚い場合は、基盤に接していた裏面は孔が貫通していない平らな面となる。また、膜厚が水滴の大きさよりも薄い場合は孔が貫通したフィルムが得られる。
【0019】
本発明の接着フィルムは水分を含有する表面での接着力、とりわけ手術時の臓器表面に対する接着力に優れている。具体的にはハニカムフィルムの開孔部を被接着表面に貼付する。このときハニカム構造に血液や組織液などの水分を吸収し接着性を帯びるが、本発明の接着フィルムは構成するポリマーがポリカプロラクトンをブレンド成分として有することにより、優れた接着性を有する。
【0020】
また、本接着フィルムを使用直前まで表面を保護するために、フィルムの両面を剥離シートで保護することも可能である。本ハニカム構造接着フィルムは、両面の表裏面の構造が違うため、ハニカム構造面の保護用剥離シートが容易に剥離でき、使用面を適用部位に貼付した後に、残る剥離シートを容易に剥離することができる。
【0021】
本発明におけるハニカム構造接着フィルムの膜厚は、通常1〜10μmであり、これに基体フィルムを積層させて積層体を形成させることにより任意の厚みを有する積層フィルムを得ることができる。すなわち本発明はハニカム構造を有する接着フィルムと基体層とを含む積層体からなる接着フィルムを含む。
【0022】
積層フィルムを構成する場合、基体フィルムはいずれのポリマーでも良いが、好ましくは合成高分子、本発明の接着フィルムを医療用接着フィルムとして、好ましくはインプラント用の接着フィルムとして用いるためにより好ましくは生分解性ポリマーが用いられる。生分解性ポリマーとしてはポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペートなどの生分解性脂肪族ポリエステル、ポリブチレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート等の脂肪族ポリカーボネート等が、有機溶媒への溶解性の観点から好ましい。中でも、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリカプロラクトンが入手の容易さ、価格等の観点から望ましい。
【0023】
基体フィルムの作成方法としては、特に限定されないが、たとえばキャスト法や溶融成型法などが選択することができる。キャストフィルムを作成する場合に使用する有機溶媒としては、揮発性溶媒が好ましい。本発明で溶液を形成する揮発性溶媒とは、常圧での沸点が200℃以下であり、27℃で液体である物質である。揮発性溶媒としては、脂肪族ポリエステルを溶解することができるものであれば特に限定されない。揮発性溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロホルム、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、トルエン、テトラヒドロフラン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロパノール、水、1,4−ジオキサン、四塩化炭素、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリルなどが挙げられる。これらのうち、脂肪族ポリエステルの溶解性等から、塩化メチレン、クロロホルム、アセトンが特に好ましい。これらの溶媒は単独で用いても良く、複数の溶媒を組み合わせても良い。
【0024】
積層フィルムとする場合、ハニカム構造接着フィルムを、少なくとも1層の基体フィルム上に積層することにより得ることができる。図3にその模式図を記す。
すなわち積層フィルムの製造方法として好ましく挙げられるのは、ポリカプロラクトンを1から80重量%ブレンド成分として含有する生分解性ポリマー、リン脂質、および有機溶媒を含むポリマー溶液を、相対湿度50〜95%の大気下で基板上にキャストし、該有機溶媒を徐々に蒸散させ、同時に該キャスト液表面で結露させ、該結露により生じた微小水滴を蒸発させることで得られる生分解性ポリマーからなるハニカム構造接着フィルムを、少なくとも1層の生分解性ポリマーからなる基体フィルム上に積層する方法である。
【0025】
本発明におけるハニカム構造接着フィルムおよび少なくとも一層の基体フィルムの積層方法としては、特に限定されないが、たとえば、基体フィルムを作製した上に別に作製しておいたハニカム構造接着フィルムを積層後、熱圧着により貼付させることができる。
熱圧着の温度は特に制限はないが、ハニカム構造接着フィルムの材質や、基体フィルムの材質のガラス転移点よりも高い温度であることが好ましい。熱圧着をより効率的に進めるために、必要に応じてシリコンゴムなどの弾性体を圧着時にはり合わせてプレスすることも可能である。
【0026】
積層接着フィルム全体の膜厚は10μm以上であることが好ましく、より好ましくは15μm以上である。ハニカム構造接着フィルムは上述のとおり通常1〜10μmであることから、基体フィルムの膜厚は適宜選択できる。基体フィルムの膜厚の上限は特に限定されず、用途に応じて調整することが出来る。必要に応じてキャスト法や溶融法により、必要となる積層接着フィルム全体フィルムの厚みから、ハニカム構接着造フィルムの厚みを除いた膜厚に設定し作成することができる。また、基体フィルムは必要に応じて、ハニカム構造接着フィルムを積層させる前に、それ自身を積層させてもよい。
【0027】
また、ハニカム構造接着フィルムを基体フィルムの両面に存在させることもできる。例えば図4に示すように、基体フィルムの上下にハニカム構造フィルムを積層させることもでき、またハニカム構造接着フィルムどうしを積層することもできる。ハニカム構造接着フィルムどうしを積層する場合は一方のハニカム構造接着フィルムが基体フィルムとなっている。
【0028】
両面をハニカム層とする場合、2つの表面を構成する層は同一の材質および/またはハニカム孔径を有していても、それぞれ異なった材質および/またはハニカム孔径を有していても良く、種々の目的に合わせて適当な構成とすることができる。
基体フィルムはハニカム構造接着フィルムと同一の高分子でも、異種高分子でもよい。たとえば、基体フィルムの分解をより早くさせたい場合は、基体フィルムの高分子にポリ乳酸を使用するなど、使用目的により自由に選択することができる。
【実施例】
【0029】
以下に実施例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例の記載に限定されるものではない。
【0030】
[実施例1]
ポリ乳酸(Mw=202,000:島津製作所)とポリカプロラクトン(Mw=700,000〜1,000,000:和光純薬)のブレンド体(ブレンドの重量比;ポリ乳酸:ポリカプロラクトン=88:12のクロロホルム溶液(5g/L)に、ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイルをポリマーに対し1/200の割合(重量)で混合し、ポリマー溶液を調製した。ポリマー溶液をガラス基板上にキャストし、液状膜を得た。
【0031】
次に、液状膜を室温、湿度70%の水蒸気を吹き付け、溶媒を徐々に蒸発ささせると共に水蒸気を液状膜表面に結露させ水滴を形成させ、ついで水滴を蒸発させフィルムを調製した。
得られたフィルムは、全表面に孔径約5.5μmの細孔が均一にハニカム状に配置された凹凸部を有し、裏面は平滑で、厚さ10μmの非貫通フィルムであった。フィルムの凹凸部の顕微鏡写真を図5に示す。
【0032】
作製したフィルムの接着強度を以下の方法で測定した。フィルムを2×2cmにカットし、これを2×3cmにカットしたキャストフィルムに貼り付け50 ℃,10min.熱セットした。レオメーターSR5のバーにクリップのついた糸の一方を固定し、このクリップにフィルムを挟み、フィルムを鶏肉(精肉、胸肉)に貼り付けた。測定を開始し、フィルムが剥がれたときの降伏応力を算出し、接着強度とした。接着強度は測定回数5回の平均値より求めたところ、358K02/Paであった。
【0033】
[実施例2]
ポリ乳酸(Mw=202,000:島津製作所)とポリカプロラクトン(Mw=700,000〜1,000,000:和光純薬)のブレンド体(ブレンドの重量比;ポリ乳酸:ポリカプロラクトン=50:50のクロロホルム溶液(5g/L)に、ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイルをポリマーに対し1/200の割合(重量)で混合し、ポリマー溶液を調製した。ポリマー溶液をガラス基板上にキャストし、液状膜を得た。
【0034】
次に、液状膜を室温、湿度70%の水蒸気を吹き付け、溶媒を徐々に蒸発ささせると共に水蒸気を液状膜表面に結露させ水滴を形成させ、ついで水滴を蒸発させフィルムを調製した。
得られたフィルムは、全表面に孔径約5μmの細孔が均一にハニカム状に配置された凹凸部を有し、裏面は平滑で、厚さ10μmの非貫通フィルムであった。フィルムの凹凸部の顕微鏡写真を図6に示す。
【0035】
作製したフィルムの接着強度を以下の方法で測定した。フィルムを2×2cmにカットし、これを2×3cmにカットしたキャストフィルムに貼り付け50 ℃,10min.熱セットした。レオメーターSR5のバーにクリップのついた糸の一方を固定し、このクリップにフィルムを挟み、フィルムを鶏肉(精肉、胸肉)に貼り付けた。測定を開始し、フィルムが剥がれたときの降伏応力を算出し、接着強度とした。接着強度は測定回数5回の平均値より求めたところ、528K02/Paであった。
【0036】
[実施例3]
ポリ乳酸(Mw=202,000:島津製作所)とポリカプロラクトン(Mw=700,000〜1,000,000:和光純薬)のブレンド体(ブレンドの重量比;ポリ乳酸:ポリカプロラクトン=20:80のクロロホルム溶液(5g/L)に、ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイルをポリマーに対し1/200の割合(重量)で混合し、ポリマー溶液を調製した。ポリマー溶液をガラス基板上にキャストし、液状膜を得た。
【0037】
次に、液状膜を室温、湿度70%の水蒸気を吹き付け、溶媒を徐々に蒸発ささせると共に水蒸気を液状膜表面に結露させ水滴を形成させ、ついで水滴を蒸発させフィルムを調製した。
得られたフィルムは、全表面に孔径約6.5μmの細孔が均一にハニカム状に配置された凹凸部を有し、裏面は平滑で、厚さ10μmの非貫通フィルムであった。フィルムの凹凸部の顕微鏡写真を図7に示す。
【0038】
作製したフィルムの接着強度を以下の方法で測定した。フィルムを2×2cmにカットし、これを2×3cmにカットしたキャストフィルムに貼り付け50 ℃,10min.熱セットした。レオメーターSR5のバーにクリップのついた糸の一方を固定し、このクリップにフィルムを挟み、フィルムを鶏肉(精肉、胸肉)に貼り付けた。測定を開始し、フィルムが剥がれたときの降伏応力を算出し、接着強度とした。接着強度は測定回数5回の平均値より求めたところ、367K02/Paであった。
【0039】
[比較例1]
ポリ乳酸(Mw=202,000:島津製作所)のクロロホルム溶液(5g/L)に、ホスファチジルエタノールアミン−ジオレオイルをポリマーに対し1/200の割合(重量)で混合し、ポリマー溶液を調製した。ポリマー溶液をガラス基板上にキャストし、液状膜を得た。
次に、液状膜を室温、湿度70%の水蒸気を吹き付け、溶媒を徐々に蒸発ささせると共に水蒸気を液状膜表面に結露させ水滴を形成させ、ついで水滴を蒸発させフィルムを調製した。
【0040】
作製したフィルムの接着強度を以下の方法で測定した。フィルムを2×2cmにカットし、これを2×3cmにカットしたキャストフィルムに貼り付け50 ℃,10min.熱セットした。レオメーターSR5のバーにクリップのついた糸の一方を固定し、このクリップにフィルムを挟み、フィルムを(精肉、胸肉)に貼り付けた。測定を開始し、フィルムが剥がれたときの降伏応力を算出し、接着強度とした。接着強度は測定回数5回の平均値より求めたところ、193K02/Paであった。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明で開示されているフィルムは、接着用途、とりわけ医療用の接着フィルム、インプラント用の接着フィルムとして好ましく利用しうる。例えば、手術を行った後に、欠損したり、収縮して縫合できない部分の代用として使用することができる。また、様々な外科的手術時に生じる癒着を防止するために使用することもできる。また、手術時の手術用具固定材として使用することもできる。また、縫合部のシーリング材として使用することもできる。本フィルムは接着性を有しているため、縫合せずに体内に留置することが出来、医師の手間、手術時間の短縮、患者のQOLの向上に役立てることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】ハニカム状の配置を示す略図である。
【図2】円形の細孔がハニカム状に配置された状態を示す略図である。
【図3】積層フィルムとしたときの模式図である。
【図4】積層フィルムとしたときの模式図である。
【図5】実施例1で得られたフィルムの凹凸部の顕微鏡写真である。
【図6】実施例2で得られたフィルムの凹凸部の顕微鏡写真である。
【図7】実施例3で得られたフィルムの凹凸部の顕微鏡写真である。
【出願人】 【識別番号】000003001
【氏名又は名称】帝人株式会社
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】 【識別番号】100099678
【弁理士】
【氏名又は名称】三原 秀子


【公開番号】 特開2008−12216(P2008−12216A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−189071(P2006−189071)