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【発明の名称】 拡大観察用内視鏡装置
【発明者】 【氏名】斉田 信行

【氏名】池谷 浩平

【氏名】高橋 昭博

【氏名】岡田 慎介

【氏名】沼澤 吉延

【要約】 【課題】顕微鏡的拡大観察の対象部位を通常観察像により確実に確認することができる拡大観察用内視鏡装置を提供すること。

【構成】被写体の通常観察像を被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓12と、被写体の表面に当接又は極近接されて被写体の拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓15とが併設された拡大観察用内視鏡装置において、拡大観察用観察窓15の外縁部に隣接して拡大観察用観察窓15を間に挟んだ位置関係の少なくとも二箇所に、拡大観察用観察窓15の前方近接位置の被写体の通常観察像を取り込むための補助観察用観察窓14A,14Bを設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の通常観察像を上記被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓と、上記被写体の表面に当接又は極近接されて上記被写体の拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓とが併設された拡大観察用内視鏡装置において、
上記拡大観察用観察窓の外縁部に隣接して上記拡大観察用観察窓を間に挟んだ位置関係の少なくとも二箇所に、上記拡大観察用観察窓の前方近接位置の被写体の通常観察像を取り込むための補助観察用観察窓を設けたことを特徴とする拡大観察用内視鏡装置。
【請求項2】
上記少なくとも二つの補助観察用観察窓から取り込まれた複数の通常観察像を並べて表示するモニタが設けられている請求項1記載の拡大観察用内視鏡装置。
【請求項3】
上記少なくとも二つの補助観察用観察窓から取り込まれた複数の通常観察像において同じ被写体を観察している領域では、その通常観察像が上記モニタの同じ位置に重複して表示される請求項2記載の拡大観察用内視鏡装置。
【請求項4】
上記補助観察用観察窓から取り込まれた通常観察像がイメージガイドファイババンドルにより伝送されて、そのイメージガイドファイババンドルの射出端面の像が撮像素子に投影されて撮像される請求項1、2又は3記載の拡大観察用内視鏡装置。
【請求項5】
上記拡大観察用観察窓内には、光軸に垂直な2次元方向に走査される光学単ファイバの先端面の位置と上記拡大観察用観察窓の表面付近の位置とを共焦点の位置関係に配置した共焦点光学系が設けられている請求項1ないし4のいずれかの項に記載の拡大観察用内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、被写体の通常観察像をその被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓と、被写体の表面に当接又は極近接されて被写体の顕微鏡的拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓とが挿入部の先端に併設された拡大観察用内視鏡装置に関する。
【0002】
なお、本件において「通常観察像」とは、肉眼で通常見える程度の拡大率又は縮小率の観察像を意味しており、肉眼では例え接近しても見えないような大きな拡大率の観察像と区別する概念である。
【背景技術】
【0003】
体内の管腔臓器内を内視鏡で視覚的に観察して病変等の有無を検査する手技が広く一般に行われている。しかし、そのような内視鏡検査で病変を見つけても、その病変が癌であるか否か等の診断を行うのは困難な場合が多い。
【0004】
そこで、内視鏡検査で怪しいと思われた部分については生検鉗子等を用いて組織採取が行われるが、癌でも何でもない場合が大半であるにもかかわらず、単なる検査のために体内の管腔壁の粘膜を損傷させて出血させてしまうことになる。
【0005】
そこで近年は、例えば共焦点内視鏡等のように1mmに満たない範囲の顕微鏡的拡大像を得ることができる拡大観察用内視鏡装置が開発され、生検組織を採取することなく、内視鏡による直接観察だけで癌であるか否かの診断を相当の確率で行える可能性がでてきている(例えば、特許文献1、2、3)。
【特許文献1】特開2004−344201
【特許文献2】特開2005−80769
【特許文献3】特開2005−640
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
顕微鏡的拡大観察像を得ることしかできない拡大観察用内視鏡装置では、広い範囲をくまなく観察してその中から怪しい部分を見つけるいわゆるスクリーニング検査を行うことができない。
【0007】
そこで、拡大観察用内視鏡装置には、被写体の通常観察像をその被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓と、被写体の表面に当接又は極近接されて被写体の拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓とが併設されて、通常観察用観察窓を通じてスクリーニング検査で異常が疑われる部分を見つけたら、その部位に対して拡大観察用観察窓を通じた顕微鏡的拡大観察を行うようにしている。
【0008】
しかし、拡大観察用観察窓を通して得られる顕微鏡的拡大像は細胞レベルのものでスクリーニング検査像とは全く様相が異なるので、顕微鏡的拡大観察を行おうとする被写体が実際にスクリーニング検査で異常が疑われた部位なのかどうかはっきりと判断できない問題が生じていた。
【0009】
そこで本発明は、顕微鏡的拡大観察の対象部位を通常観察像により確実に確認することができる拡大観察用内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するため、本発明の拡大観察用内視鏡装置は、被写体の通常観察像を被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓と、被写体の表面に当接又は極近接されて被写体の拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓とが併設された拡大観察用内視鏡装置において、拡大観察用観察窓の外縁部に隣接して拡大観察用観察窓を間に挟んだ位置関係の少なくとも二箇所に、拡大観察用観察窓の前方近接位置の被写体の通常観察像を取り込むための補助観察用観察窓を設けたものである。
【0011】
なお、少なくとも二つの補助観察用観察窓から取り込まれた複数の通常観察像を並べて表示するモニタが設けられているとよく、少なくとも二つの補助観察用観察窓から取り込まれた複数の通常観察像において同じ被写体を観察している領域では、その通常観察像がモニタの同じ位置に重複して表示されるようにしてもよい。
【0012】
また、補助観察用観察窓から取り込まれた通常観察像がイメージガイドファイババンドルにより伝送されて、そのイメージガイドファイババンドルの射出端面の像が撮像素子に投影されて撮像されるようにしてもよい。
【0013】
また、拡大観察用観察窓内には、光軸に垂直な2次元方向に走査される光学単ファイバの先端面の位置と拡大観察用観察窓の表面付近の位置とを共焦点の位置関係に配置した共焦点光学系が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、拡大観察用観察窓の外縁部に隣接して拡大観察用観察窓を間に挟んだ位置関係の少なくとも二箇所に、拡大観察用観察窓の前方近接位置の被写体の観察像を取り込むための補助観察用観察窓を設けたことにより、拡大観察用観察窓を通して行われる顕微鏡的拡大観察の対象部位を、補助観察用観察窓を通して得られる通常観察像で確実に確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
被写体の通常観察像を被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓と、被写体の表面に当接又は極近接されて被写体の拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓とが併設された拡大観察用内視鏡装置において、拡大観察用観察窓の外縁部に隣接して拡大観察用観察窓を間に挟んだ位置関係の少なくとも二箇所に、拡大観察用観察窓の前方近接位置の被写体の通常観察像を取り込むための補助観察用観察窓を設ける。
【実施例】
【0016】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2は、本発明の拡大観察用内視鏡装置のシステム全体を略示しており、体内に挿入される可撓性の挿入部1の最先端部に、観察窓や照明窓等が配置された先端部本体2が連結され、挿入部1の基端には、各種操作部材が配置された操作部3が連結されている。
【0017】
操作部3から延出するコードの先端には、内視鏡の外部に配置されたビデオプロセッサ5と共焦点像プロセッサ6とに分かれて接続される第1のコネクタ7と第2のコネクタ8とが設けられている。
【0018】
9は、ビデオプロセッサ5から出力される映像信号による通常観察画像を表示するためのメインモニタ、10は、共焦点像プロセッサ6から出力される映像信号による顕微鏡的拡大観察画像を表示するための拡大像モニタである。
【0019】
図3は、挿入部1の最先端部分の斜視図であり、先端部本体2の先端面に、照明光を放射するための照明窓11と、その照明窓11から放射された照明光により照明された被写体の通常観察像を被写体との間に距離をおいた位置から取り込むための通常観察用観察窓12とが、前方に向けて並んで配置されている。13は、処置具挿通チャンネル4の出口開口である。なお、送気送水ノズル等の図示は省略されている。
【0020】
15は、被写体の表面に当接又は極近接されてその被写体の顕微鏡的拡大観察像を取り込むための拡大観察用観察窓であり、先端部本体2の先端面から前方に突出した突出部の先端に前方に向けて配置されている。
【0021】
そして、拡大観察用観察窓15の外縁部に隣接して拡大観察用観察窓15を間に挟んだ位置関係の二箇所に、拡大観察用観察窓15の前方近接位置の被写体の通常観察像を取り込むための補助観察用観察窓14A,14Bが設けられている。この実施例では、二つの補助観察用観察窓14A,14Bが拡大観察用観察窓15の光軸周りの180°対称位置に配置されている。
【0022】
図4は挿入部1の最先端部分の側面断面図であり、通常観察用観察窓12内には、広い視野角(例えば100°〜140°程度)を得るための対物光学系21が配置されて、その対物光学系21による被写体の投影位置に固体撮像素子22の撮像面が配置されている。23は、固体撮像素子22で得られた撮像信号を伝送するための信号ケーブルである。
【0023】
この実施例の通常観察用観察窓12内の対物光学系21は固定焦点であるが、通常観察用観察窓12の表面から10cm以上離れた距離の体内粘膜でも明瞭に観察できるように焦点深度が深くとられていて、そのベストピント位置は通常観察用観察窓12の表面から例えば1cm程度であり、最短観察距離は3〜5mm程度である。
【0024】
拡大観察用観察窓15内には共焦点光学系25が配置されていて、その奥に配置された光学単ファイバ26(シングルモードファイバ)の先端面26aの位置と拡大観察用観察窓15の外表面位置(又は、それよりごく僅かに前方の位置)とが共焦点の位置関係になるようにセットされている。
【0025】
光学単ファイバ26の先端面26aは、例えば電磁力等を用いた走査機構27により共焦点光学系25の光軸に対して垂直な平面上で2次元的に走査され、光学単ファイバ26内を伝送されてきてその先端面26aから射出されたレーザ光が拡大観察用観察窓15の外表面付近の被写体で焦点を結んでそこから反射されると、その反射光が光学単ファイバ26の先端面26aに焦点を結ぶ。体内の粘膜面に蛍光色素が散布されている場合には、レーザ光により励起された蛍光が被写体になる。
【0026】
したがって、光学単ファイバ26内を通って基端側に戻される反射光をその先端面26aの走査運動に対応する位置に表示させることにより、拡大観察用観察窓15の表面付近の被写体の1mm以下程度の領域(例えば0.5mmの領域)の鮮明な顕微鏡的拡大観察像を得ることができる。ただし、拡大観察用観察窓15内の光学系が、光学単ファイバ26の先端面26aをピンホールの代用とする共焦点光学系25を用いていない、いわゆる通常の拡大観察光学系により顕微鏡的拡大観察を行えるようにしたものであっても差し支えない。
【0027】
拡大観察用観察窓15の外縁部に配置された一対の補助観察用観察窓14A,14B内には各々、例えば単レンズを用いた簡易な対物レンズ31A,31Bが配置されていて、その対物レンズ31A,31Bによる被写体の各投影位置に、例えば数百〜数千本程度の比較的少量の光学繊維を束ねた簡便なイメージガイドファイババンドル32A,32Bの入射端面が各々配置されている。
【0028】
一対の対物レンズ31A,31Bと一対のメージガイドファイババンドル32A,32Bには、各々同じスペックのものが用いられており、各イメージガイドファイババンドル32A,32Bは挿入部1内に全長にわたって挿通配置されていて、その射出端はビデオプロセッサ5に接続される第1のコネクタ7に達している。
【0029】
対物レンズ31A,31Bは広角の固定焦点であり、その表面から数mm〜10mm程度の位置の近接距離の体内粘膜の通常観察像を観察できるようにベストピント位置が例えば3〜5mm程度に設定されている。
【0030】
図1は、本発明の拡大観察用内視鏡装置のシステム構成のブロック図であり、照明窓11に設けられた凹レンズの裏側には、挿入部1内から第1のコネクタ7に至る空間内に配置された照明用ライトガイドファイババンドル28の射出端が配置されている。
【0031】
拡大観察用観察窓15の外縁部に配置された二つの補助観察用観察窓14A,14Bを通して得られる観察範囲は各々非常にワイドであり、拡大観察用観察窓15の表面から前方数mmの位置より遠方の被写体については双方の観察範囲が部分的に重複するようになっている。
【0032】
光源装置を兼用するビデオプロセッサ5内には、通常観察用の照明光を発生するための光源ランプ51が配置されていて、光源ランプ51から放射された照明光は集光レンズ52に導かれて照明用ライトガイドファイババンドル28の入射端に入射する。
【0033】
また、固体撮像素子22で撮像された内視鏡観察像を処理して映像信号をメインモニタ9に出力するための主映像信号処理回路53の他に、副映像信号処理回路55等が設けられているが、それについては後述する。
【0034】
共焦点像プロセッサ6内には、レーザ光を射出する共焦点用レーザ光源61が配置されていて、そのレーザ光源61と受光素子62とが、光カプラ63によって光学単ファイバ26の後端面26bに並列に接続されている。
【0035】
したがって、レーザ光源61から光学単ファイバ26にレーザ光が入射されるだけでなく、光学単ファイバ26の後端面26bから射出されたレーザ光が受光素子62に入射する。
【0036】
レーザ光源61から光カプラ63を経由して光学単ファイバ26に入射したレーザ光は、光学単ファイバ26の先端面26aから射出されて拡大観察用観察窓15の表面付近の焦点位置で被写体に当たって反射され、その反射光が光学単ファイバ26の先端面26aに焦点を結んで入射し、光学単ファイバ26内を通って受光素子62に入射する。
【0037】
光学単ファイバ26の先端面26aを走査する走査機構27の動作制御は同期制御回路65によって行われており、さらに受光素子62からの出力信号が光学単ファイバ26の先端面26aの動きと同期して映像信号処理回路64で画像化されてその映像信号が拡大像モニタ10に出力され、拡大観察用観察窓15の表面付近の被写体の1mm以下程度の領域の顕微鏡的拡大観察像が拡大像モニタ10に表示される。
【0038】
また、ビデオプロセッサ5内に配置された二つのイメージガイドファイババンドル32A,32Bの射出端面に面して、その射出端像の投影位置に各々固体撮像素子54A,54Bが配置されている。
【0039】
前出の副映像信号処理回路55は、その二つの固体撮像素子54A,54Bで撮像された撮像信号を処理して映像信号をメインモニタ9に出力するものであり、二つの補助観察用観察窓14A,14Bから取り込まれた通常観察像が、通常観察用観察窓12から取り込まれた通常観察像と並んでメインモニタ9に表示される。
【0040】
図5は、そのようにしてメインモニタ9に表示される、二つの補助観察用観察窓14A,14Bから取り込まれた通常観察像9A,9Bの状態を示しており、二つの通常観察像9A,9Bが並べて表示されるだけでなく、二つの通常観察像9A,9Bにおいて同じ被写体を観察している領域9ABでは、その通常観察像がメインモニタ9の同じ位置に重複して表示されるようになっている。
【0041】
そのようにして、二つの補助観察用観察窓14A,14Bを通して得られる二つの通常観察像9A,9Bの重複領域9ABは、拡大観察用観察窓15の前方数mm程度の近接位置の、やや解像度が低いが通常の(即ち、顕微鏡的拡大観察ではない)観察像である。
【0042】
したがって、拡大観察用観察窓15を通して拡大観察用観察窓15の表面付近の被写体の顕微鏡的拡大観察を行う直前に、補助観察用観察窓14A,14Bを通して得られた二つの通常観察像9A,9Bの重複領域9ABを見ることにより、顕微鏡的拡大観察の対象部位を通常観察像で確認することができ、通常観察用観察窓12を通して行われたスクリーニング検査により異常が疑われた部位に対して確実に顕微鏡的拡大観察を行うことができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば補助観察用観察窓14A,14Bが拡大観察用観察窓15の周囲に3個以上配置されていても差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施例の拡大観察用内視鏡装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施例の拡大観察用内視鏡装置のシステム全体の略示図である。
【図3】本発明の実施例の拡大観察用内視鏡装置の挿入部の最先端部分の斜視図である。
【図4】本発明の実施例の拡大観察用内視鏡装置の挿入部の最先端部分の側面断面図である。
【図5】本発明の実施例の拡大観察用内視鏡装置の補助観察用観察窓を通して得られた通常観察像の表示状態を示す略示図である。
【符号の説明】
【0045】
1 挿入部
9 メインモニタ
9A,9B 通常観察像
9AB 重複領域(同じ被写体を観察している領域)
12 通常観察用観察窓
14A,14B 補助観察用観察窓
15 拡大観察用観察窓
25 共焦点光学系
26 光学単ファイバ
26a 先端面
27 走査機構
31A,31B 対物レンズ
32A,32B イメージガイドファイババンドル
55 副映像信号処理回路
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】 【識別番号】100091317
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦


【公開番号】 特開2008−12212(P2008−12212A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188996(P2006−188996)