| 【発明の名称】 |
X線断層撮影装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】西出 明彦
【氏名】八幡 満
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| 【要約】 |
【課題】X線管を用いて、複数のX線のエネルギーによる撮影が可能なX線CT装置を提供する。
【構成】X線断層撮影装置(100)は、電子を放出する陰極(61)、該電子を受けてX線を発生する陽極(51)、ならびに陽極の同一表面内にて第一X線焦点(FP1)および第二X線焦点(FP2)を形成する複数焦点形成手段を備えるX線管(21)と、複数のX線焦点から発生するX線ごとに被検体の複数ビューの投影データを収集する収集部と、投影データに基づいて断層像を画像再構成する画像再構成部(3)と、を有し、被検体に第一エネルギー(SXE)と第二エネルギー(LXE)とを照射させる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 電子線を射出する陰極、該電子線を受けてX線を発生する陽極、および前記陽極の同一表面内にて複数のX線焦点を持つX線発生手段を備えるX線管と、 前記複数のX線焦点から発生するX線ごとに被検体の複数ビューの投影データを収集する収集部と、 前記投影データに基づいて、断層像を画像再構成する画像再構成部と、を有し、 被検体に複数種のエネルギーを照射させることを特徴とするX線断層撮影装置。 【請求項2】 前記複数のX線焦点から前記被検体までの間に少なくとも一つのX線フィルターが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のX線断層撮影装置。 【請求項3】 前記複数のX線焦点のうちの第一X線焦点から前記被検体までの間に第一X線フィルターが配置され、且つ前記複数のX線焦点のうちの第二X線焦点から前記被検体までの間に前記第一X線フィルターとは異なるX線吸収係数を持つ第二X線フィルターが配置されていることを特徴とする請求項1に記載のX線断層撮影装置。 【請求項4】 前記X線フィルターは、X線管の管球内にあることを特徴とする請求項2に記載のX線断層撮影装置。 【請求項5】 前記X線管の陽極は、第一種の物質と該第一種の物質とは異なる第二種の物質とを含み、前記第一種の物質に前記複数のX線焦点の一つが形成され且つ前記第二種の物質に前記複数のX線焦点の一つが形成されることを特徴とする請求項1に記載のX線断層撮影装置。 【請求項6】 一ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとに、前記複数のX線焦点を切り換えることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。 【請求項7】 前記X線発生手段の複数の焦点に対応する電子線は、電場または磁場により前記電子線の射出方向を偏向することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。 【請求項8】 前記陽極は三以上の複数の陽極を含み、前記X線発生手段は、前記複数の陽極を切り換えることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。 【請求項9】 多列X線検出器のチャネル方向に並んでいる複数のX線焦点を持ったX線発生手段を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。 【請求項10】 多列X線検出器の列方向に並んでいる複数のX線焦点を持ったX線発生手段を含むことを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のX線断層撮影装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、医療用X線CT(Computed Tomography)装置などにおいて、線質、つまりX線のエネルギーが異なる複数のX線を利用するX線断層撮影装置に関し、また、X線管電圧依存性が共通な各物質の分布を画像化した断層像を撮影するX線断層撮影装置に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、X線CT装置は、一つの線質、つまり一つのX線管電圧により、X線CT断層像撮影を行っていた。このため、断層像はX線吸収値の分布しかわからず、様々な物質の分布は画像化できなかった。このため、断層像の情報が単一のX線管電圧のX線吸収値だけで少ないという観点からは問題であった。そのため、異なったX線のX線管電圧で被検体を撮像し、断層像上に被検体中のX線管電圧依存性が共通な物質の分布を画像化する要望も増えて来た。 【0003】 そこで、X線CT装置では、エネルギーが異なる複数のX線を利用し、特定物質についての定量的な断層像を撮影することが行われている。たとえば、特許文献1では、三次元的位置が異なる複数のX線焦点から時分割で順次にX線を発生するX線管を開示している。しかし、X線焦点が三次元的に配置されているため、X線管の構造は複雑になりがちであった。すなわち、X線管内の陽極を二以上有するものであるため、回転陽極の構造が複雑になってしまっていた。 【特許文献1】特開2005−080750号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかし、多列X線検出器またはフラットパネルに代表される二次元X線エリア検出器によるX線CT装置の各断層像において、各断層像の物質の分布を画像化することにより、診断の観点で更なる情報として提供したいという要望が増えてきている。また、X線吸収係数は様々な物質において異なったX線管電圧、異なったX線線質において変化するという物理的特性を利用して、断層像上にその各物質の分布を画像化する要望も増えて来ている。 【0005】 そこで、本発明の目的は、簡易な構造のX線管を用いて、複数のX線管電圧またはX線線質による撮影が可能なX線CT装置を実現することである。また、複数の軟X線を照射するX線管を用いて、異なる物質の分布を画像化した断層像を撮影するX線CT装置を提供することである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、簡易な構造で異なるX線エネルギーを発生させるX線管を実現させ、異なるX線エネルギーの断層像撮影を実現する。またこれにより得られた異なるX線エネルギーの断層像間において、画像間演算または投影データ間演算を行って、各物質の分布を示す断層像を撮影するX線断層撮影装置を提供することで上記課題を解決する。 【0007】 第1の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、電子線を射出する陰極、該電子線を受けてX線を発生する陽極、および陽極の同一表面内にて複数のX線焦点を持つX線発生手段を備えるX線管と、複数のX線焦点から発生するX線ごとに被検体の複数ビューの投影データを収集する収集部と、投影データに基づいて、断層像を画像再構成する画像再構成部とを有し、被検体に複数種のエネルギーを照射させる。 この第1の観点におけるX線断層撮影装置では、複数の異なるX線の線質の断層像を画像再構成するに当たり、一回転以下の周期で理想的には一ビューごとに複数のエネルギーのX線を交互に切り換えてX線データ収集を行い、複数のエネルギーのX線ごとにX線投影データを分けて各々を画像再構成することにより、複数の各々のエネルギーの断層像を得ることができる。 【0008】 第2の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、複数のX線焦点から被検体までの間に少なくとも一つのX線フィルターが配置されている。 この第2の観点におけるX線断層撮影装置では、複数のエネルギーのX線を得るために、一つのX線焦点から発生されるX線を、X線フィルターを通すことにより、複数の異なるX線フィルターの断層像を得ることができる。この時に他のX線焦点においてはX線フィルターを付けないことがX線フィルターによるX線の吸収を減らし、X線エネルギーの有効活用およびX線の有効活用が実現できる。 【0009】 第3の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、複数のX線焦点のうちの第一X線焦点から被検体までの間に第一X線フィルターが配置され、且つ複数のX線焦点のうちの第二X線焦点から被検体までの間に第一X線フィルターとは異なるX線吸収係数を持つ第二X線フィルターが配置されている。 この第3の観点におけるX線断層撮影装置では、複数の異なるエネルギーのX線の断層像を得るために、第一X線焦点および第二X線焦点から発生されるX線を、第一X線フィルターおよび第二X線フィルターを通すことにより、複数の異なるエネルギーの断層像を得ることができる。 【0010】 第4の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、X線フィルターがX線管の管球内にある。 この第4の観点におけるX線断層撮影装置では、複数の異なるエネルギーを得るために各々のX線ビームに複数の異なるX線フィルターをX線焦点の前に置く必要があるが、図11に示すように、よりX線焦点に近い位置つまり、図11のX線フィルターF1またはF2の位置で置くと、X線フィルターF3またはF4の位置で置くよりも、X線フィルターは小さくて済む。このため、複数の異なるX線フィルターはX線管内にあれば小さなX線フィルターを用いて複数の異なるエネルギーのX線を出力することができる。 【0011】 第5の観点では、X線管の陽極は、第一種の物質と該第一種の物質とは異なる第二種の物質とを含み、第一種の物質に複数のX線焦点の一つが形成され且つ第二種の物質に複数のX線焦点の一つが形成される。 この第5の観点におけるX線断層撮影装置では、互いに異なる複数のエネルギーのX線を得るために、X線陽極を第一種の物質と第二種の物質とに変える。これにより、X線が陽極もしくは陽極内部で発生して陽極の外にX線が発生する際に陽極の材質により吸収される。そのため、異なるX線陽極の第一種の物質と第二種の物質により、互いに異なる複数のエネルギーのX線が得られる。 【0012】 第6の観点では、一ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとに、複数のX線焦点を切り換える。 この第6の観点におけるX線断層撮影装置では、断層像を画像再構成する際には、360度方向に均等な間隔のビューによるX線投影データが望ましい。このため、一ビューごとに異なるエネルギーのX線によるX線投影データ収集が交互に行われるのが好ましい。または、二以上の所定数ビューごとに異なるエネルギーのX線によるX線投影データ収集が交互に行われる場合は、間隔の空いた複数ビュー分のX線投影データを補間または加重加算により求めることにより、ビュー方向に一定間隔で均等間隔ビューのX線投影データ収集が異なるエネルギーのX線において行われる。これにより、複数の異なるX線エネルギーのX線投影データが各々360度分またはファン角+180度分得られ、複数の異なるX線エネルギーの断層像が画像再構成できる。 【0013】 第7の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、X線発生手段の複数の焦点に対応する電子線が、電場または磁場により電子線の射出方向を偏向する。 この第7の観点におけるX線断層撮影装置では、一つの陰極からでる電子線を電場または磁場で偏向し、第一X線焦点および第二X線焦点を形成することができる。電場または磁場のかけ方によっては、三以上のX線焦点を形成することも可能となる。 【0014】 第8の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、三以上の複数の陽極を含み、前記X線発生手段が、複数の陽極を切り換える。 この第8の観点におけるX線断層撮影装置では、三以上の複数の陽極により、三以上の複数の焦点を形成することができる。一ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとに、陽極を切り換えることができれば、簡易な構成で異なるエネルギーのX線を得ることができる。 【0015】 第9の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、多列X線検出器のチャネル方向に並んでいる複数のX線焦点を持ったX線発生手段を含む。 この第9の観点におけるX線断層撮影装置では、複数の異なるX線焦点を多列X線検出器のチャネル方向に並べるためには、X線管の陰極から発生される電子線を多列X線検出器のチャネル方向に移動させてやればよい。電子線の移動は電場、磁場などにより行えるので、図12Aまたは図12Bのように、電極により電場をかけるかコイルなどにより磁場をかければ良い。または図12Cまたは図12Dのように、陰極を多列X線検出器のチャネル方向に並べておき、交互に陰極をオン/オフ制御してやれば良い。 なお、この時に電子線のオン/オフの切れが悪く熱電子が残ってしまう場合は、陰極の前に電子線を電圧で制御するグリッドを付けて陰極と同期してオン/オフして電子線を陽極側に漏れないようにしてやれば良い。 【0016】 第10の観点では、本発明のX線断層撮影装置は、多列X線検出器の列方向に並んでいる複数のX線焦点を持ったX線発生手段を含む。 この第10の観点におけるX線断層撮影装置では、複数の異なるX線焦点を多列X線検出器の列方向に並べるためには、X線管の陰極から発生される電子線を多列X線検出器の列方向に移動させてやればよい。電子線の移動は電場、磁場などにより行えるので、図15Aまたは図15Bのように、電極により電場をかけるかコイルなどにより磁場をかければ良い。または図15Cまたは図15Dのように、陰極を多列X線検出器の列方向に並べておき、交互に陰極をオン/オフ制御してやれば良い。 【発明の効果】 【0017】 本発明のX線断層撮影装置によれば、短時間でX線線質の異なるX線を照射することにより複数のX線のエネルギーまたは線質による撮影が可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。 【0019】 <X線CT装置の全体構成> 図1は、本発明の一実施形態にかかるX線CT装置100の構成ブロック図である。このX線CT装置100は、操作コンソール1と、撮影テーブル10と、走査ガントリ20とを具備している。 【0020】 操作コンソール1は、操作者の入力を受け付ける入力装置2と、前処理、画像再構成処理、後処理などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で収集したX線検出器データを収集するデータ収集バッファ5と、X線検出器データを前処理して求められた投影データから画像再構成した断層像を表示するモニタ6と、プログラムやX線検出器データや投影データやX線断層像を記憶する記憶装置7とを具備している。撮影条件の入力はこの入力装置2から入力され、記憶装置7に記憶される。図2にモニタ6に表示された撮影条件入力画面13Aの例を示す。画面撮影条件入力画面13Aには、所定の入力を行うための入力ボタン13aが表示されている。図2においてはスキャンのタブが選択されている画面である。タブをP−Reconを選択すると図2の下に描かれているように入力用の表示が切り換わる。入力ボタン13aの上方には断層像13bが表示され、下方には再構成領域13cが表示されている。また、必要とあれば右上に表示されているように、生体信号を表示してもよい。 【0021】 図1に戻り、撮影テーブル10は、被検体を乗せて走査ガントリ20の開口部に出し入れするクレードル12を具備している。クレードル12は撮影テーブル10に内蔵するモータで昇降およびテーブル直線移動される。 【0022】 走査ガントリ20は、X線管21と、X線コントローラ22と、コリメータ23と、ビーム形成X線フィルター28と、多列X線検出器24と、データ収集装置(DAS:Data Acquisition System)25と、被検体の体軸の回りに回転しているX線管21などを制御する回転部コントローラ26と、制御信号などを操作コンソール1や撮影テーブル10とやり取りする制御コントローラ29とを具備している。ビーム形成X線フィルター28は撮影中心である回転中心に向かうX線の方向にはフィルターの厚さが最も薄く、周辺部に行くに従いフィルターの厚さが増し、X線をより吸収できるようになっているX線フィルターである。このため、円形または楕円形に近い断面形状の被検体の体表面の被曝を少なくできるようになっている。また、走査ガントリ傾斜コントローラ27により、走査ガントリ20はz方向の前方および後方に±約30度ほど傾斜できる。 【0023】 X線管21と多列X線検出器24は、回転中心ICの回りを回転する。鉛直方向をy方向とし、水平方向をx方向とし、これらに垂直なテーブルおよびクレードル進行方向をz方向とするとき、X線管21および多列X線検出器24の回転平面は、xy平面である。また、クレードル12の移動方向は、z方向である。 【0024】 図3Aおよび図3Bは、X線管21と多列X線検出器24の幾何学的配置の図である。図3Aは、X線管21と多列X線検出器24の幾何学的配置をxy平面から見た図であり、図3BはX線管21と多列X線検出器24の幾何学的配置をyz平面から見た図である。X線管21の陽極51は、コーンビームと呼ばれるX線ビームXRを発生する。コーンビームの中心軸方向がy方向に平行なときを、ビュー角度0度とする。多列X線検出器24は、z軸方向にJ列、例えば256列のX線検出器列を有する。また、各X線検出器列はチャネル方向にIチャネル、例えば1024チャネルのX線検出器チャネルを有する。図3Aにおいて、X線管21のX線焦点を出たX線ビームがビーム形成X線フィルタ28により、再構成領域Pの中心ではより多くのX線が、再構成領域Pの周辺部ではより少ないX線が照射される。このようにX線線量を空間的に制御した後に、再構成領域Pの内部に存在する被検体にX線が吸収され、透過したX線が多列X線検出器24でX線検出器データとして収集される。 【0025】 図3Bでは、X線管21の陽極51を出たX線ビームXRはX線コリメータ23により断層像のスライス厚方向に制御されて、回転中心軸IC近辺に存在する被検体40にX線が吸収され、透過したX線は多列X線検出器24でX線検出器データとして収集される。X線が被検体40に照射されて収集された投影データは、多列X線検出器24からデータ収集装置25でA/D変換され、スリップリング30を経由してデータ収集バッファ5に入力される。データ収集バッファ5に入力されたデータは、記憶装置7のプログラムにより中央処理装置3で処理され、断層像に画像再構成されてモニタ6に表示される。なお、本実施形態では多列X線検出器24を適用した場合であるが、フラットパネルX線検出器に代表されるマトリクス構造の二次元X線エリア検出器を適用することもできるし、1列のX線検出器を適用することができる。 【0026】 <X線CT装置の動作フローチャート> 図4は本実施形態のX線CT装置100の動作の概要を示すフローチャートである。 【0027】 ステップP1では、被検体をクレードル12に乗せ位置合わせを行う。クレードル12の上に乗せられた被検体は各部位の基準点に走査ガントリ20のスライスライト中心位置を合わせる。 【0028】 ステップP2では、スカウト像(スキャノ像、X線透視像ともいう。)収集を行う。スカウト像は被検体の体の大きさによって成人又は子供の2種類のスカウト像が撮影できるようになっており、さらに通常0度,90度で撮影することができる。部位によっては例えば頭部のように、90度スカウト像のみの場合もある。スカウト像撮影では、X線管21と多列X線検出器24とを固定させ、クレードル12を直線移動させながらX線検出器データのデータ収集動作を行う。 【0029】 ステップP3では、スカウト像上に撮影する断層像の位置、大きさを表示しながら撮影条件設定を行う。本実施形態では、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)、ヘリカルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャンなどの複数のスキャンパターンを有している。コンベンショナルスキャンとは、クレードル12をZ軸方向に所定ピッチ移動するごとにX線管21及びX線検出部24を回転させて投影データを取得するスキャン方法である。ヘリカルスキャンとは、X線管21とX線検出部24とが回転している状態でクレードル12を所定速度で移動させ、投影データを取得するスキャン方法である。可変ピッチヘリカルスキャンとは、ヘリカルスキャンと同様にX線管21及びX線検出部24を回転させながらクレードル12の速度を可変させて投影データを取得するスキャン方法である。ヘリカルシャトルスキャンとは、ヘリカルスキャンと同様にX線管21及びX線検出部24を回転させながらクレードル12をZ軸方向又は−Z軸方向に往復移動させて投影データを取得するスキャン方法である。これら複数のスキャンを設定する際には1回分の全体としてのX線線量情報の表示を行う。また、シネスキャンにおいては、回転数または時間を入れるとその関心領域における入力された回転数分、または入力された時間分のX線線量情報が表示される。 【0030】 ステップP4では、断層像撮影を行う。断層像撮影およびその画像再構成の詳細については図5で後述する。ステップP5では、画像再構成された断層像を表示する。ステップP6では、z方向に連続に撮影された断層像を三次元画像として用いて、三次元画像表示を行う。 【0031】 <断層像撮影およびスカウト像撮影の動作フローチャート> 図5は、本発明のX線CT装置100の断層像撮影およびスカウト像撮影の動作の概略を示すフローチャートである。 【0032】 ステップS1において、ヘリカルスキャンは、X線管21と多列X線検出器24とを被検体の回りに回転させ、かつ撮影テーブル10上のクレードル12を直線移動させながらX線検出器データのデータ収集動作を行う。ビュー角度viewと、検出器列番号jと、チャネル番号iとで表わされるX線検出器データD0(view,j,i)(j=1〜ROW,i=1〜CH)にz方向位置Ztable(view)を付加させて、一定速度の範囲のデータ収集を行う。また、可変ピッチヘリカルスキャンまたはヘリカルシャトルスキャンにおいては、一定速度の範囲のデータ収集に加えて、加速時、減速時においてもデータ収集を行うものとする。また、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンでは撮影テーブル10上のクレードル12をあるz方向位置に固定させたまま、データ収集系を1回転または複数回転させてX線検出器データのデータ収集を行う。必要に応じて、次のz方向位置に移動した後に、再度データ収集系を1回転または複数回転させてX線検出器データのデータ収集を行う。また、スカウト像撮影では、X線管21と多列X線検出器24とを固定させ、撮影テーブル10上のクレードル12を直線移動させながらX線検出器データのデータ収集動作を行うものとする。 【0033】 ステップS2では、X線検出器データD0(view,j,i)に対して前処理を行い、投影データに変換する。図6にステップS2の前処理について具体的な処理を示す。ステップS21ではオフセット補正を行い、ステップS22では対数変換を行い、ステップS23ではX線線量補正を行い、ステップS24では感度補正を行う。スカウト像撮影の場合は、前処理されたX線検出器データをチャネル方向の画素サイズおよびクレードル12の直線移動方向であるz方向の画素サイズを、モニタ6の表示画素サイズに合わせて表示すればスカウト像として完成である。 【0034】 図5に戻り、ステップS3において、前処理された投影データD1 (view,j,i)に対して、ビームハードニング補正を行う。ステップS3のビームハードニング補正は、前処理S2のステップS24の感度補正が行われた投影データをD1(view,j,i)とし、ステップS3のビームハードニング補正の後のデータをD11(view,j,i)とすると、ビームハードニング補正は以下の(数式1)のように、例えば多項式形式で表わされる。なお、本明細書において乗算演算は、「●」で表してある。 【数1】
…(数式1) この時、検出器のj列ごとに独立したビームハードニング補正を行えるため、撮影条件で各データ収集系の管電圧が異なっていれば、列ごとの検出器のX線エネルギー特性の違いを補正できる。 【0035】 ステップS4では、ビームハードニング補正された投影データD11(view,j,i)に対して、z方向(列方向)のフィルターをかけるzフィルター重畳処理を行う。すなわち、各ビュー角度、各データ収集系における前処理後、ビームハードニング補正された多列X線検出器D11(view,j,i) (i=1〜CH, j=1〜ROW)の投影データに対し、列方向に例えば下記の(数式2),(数式3)に示すような、列方向フィルターサイズが5列のフィルターをかける。 (w1(i),w2(i),w3(i),w4(i),w5(i)) …(数式2) 【0036】 ただし、 【数2】
…(数式3) 補正された検出器データD12(view,j,i)は以下の(数式4)のようになる。 【数3】
…(数式4) となる。なお、チャネルの最大値はCH, 列の最大値はROWとすると、 以下の(数式5),(数式6)のようになる。 【数4】
…(数式5) 【数5】
…(数式6) 【0037】 また、列方向フィルター係数をチャネルごとに変化させると画像再構成中心からの距離に応じてスライス厚を制御できる。一般的に断層像では再構成中心に比べ周辺部の方がスライス厚が厚くなる。このため、フィルター係数を中心部と周辺部で変化させてスライス厚は周辺部でも画像再構成中心部でも一様にすることもできる。例えば、列方向フィルター係数を中心部チャンネル近辺では列方向フィルター係数の幅を広く変化させ、周辺部チャンネル近辺では列方向フィルター係数の幅を狭く変化させると、スライス厚は周辺部でも画像再構成中心部でも一様にすることもできる。 【0038】 このように、多列X線検出器24の中心部チャネルと周辺部チャネルの列方向フィルター係数を制御してやることにより、スライス厚も中心部と周辺部で制御できる。列方向フィルターでスライス厚を弱干厚くすると、アーチファクト、ノイズともに大幅に改善される。これによりアーチファクト改善具合、ノイズ改善具合も制御できる。つまり、三次元画像再構成された断層像つまり、xy平面内の画質が制御できる。また、その他の実施形態として列方向(z方向)フィルター係数を逆重畳(デコンボリューション)フィルターにすることにより、薄いスライス厚の断層像を実現することもできる。 【0039】 ステップS5では、再構成関数重畳処理を行う。すなわち、投影データを周波数領域に変換する高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)をして、再構成関数を掛け、逆フーリエ変換する。再構成関数重畳処理S5では、zフィルター重畳処理後の投影データをD12とし、再構成関数重畳処理後の投影データをD13、重畳する再構成関数をKernel(j)とすると、再構成関数重畳処理は以下の(数式7)のように表わされる。なお、本明細書において重畳(コンボリューション)演算は、「*」で表してある。 【数6】
…(数式7) つまり、再構成関数Kernel(j)は検出器のj列ごとに独立した再構成関数重畳処理を行えるため、列ごとのノイズ特性、分解能特性の違いを補正できる。 【0040】 ステップS6では、再構成関数重畳処理した投影データD13(view,j,i)に対して、三次元逆投影処理を行い、逆投影データD3(x,y,z)を求める。画像再構成される画像はz軸に垂直な面、xy平面に三次元画像再構成される。以下の再構成領域Pはxy平面に平行なものとする。この三次元逆投影処理については、図7を参照して後述する。 【0041】 ステップS7では、逆投影データD3(x,y,z)に対して画像フィルター重畳、CT値変換などの後処理を行い、断層像D31(x,y,z)を得る。後処理の画像フィルター重畳処理では、三次元逆投影後の断層像をD31(x,y,z)とし、画像フィルター重畳後のデータをD32(x,y,z)、断層像平面であるxy平面において重畳される二次元の画像フィルターをFilter(z)とすると、以下の(数式8)のようになる。 【数7】
…(数式8) つまり、各z座標位置の断層像ごとに独立した画像フィルター重畳処理を行えるため、列ごとのノイズ特性、分解能特性の違いを補正できる。 【0042】 また、この二次元の画像フィルター重畳処理の後に、下記に示す画像空間z方向フィルター重畳処理を行ってもよい。また、この画像空間z方向フィルター重畳処理は二次元画像フィルター重畳処理の前に行ってもよい。さらには、三次元の画像フィルター重畳処理を行って、この二次元の画像フィルター重畳処理と、画像空間z方向フィルター重畳処理の両方を兼ねるような効果を出してもよい。 【0043】 画像空間z方向フィルター重畳処理では、画像空間z方向フィルター重畳処理された断層像をD33(x,y,z)、二次元の画像フィルター重畳処理された断層像をD32(x,y,z)とすると、以下の(数式9)のようになる。ただし、v(i)はz方向の幅が21+1の画像空間z方向フィルター係数で以下の(数式10)のような係数列となる。 【数8】
…(数式9) 【数9】
…(数式10) 【0044】 なお、ヘリカルスキャンにおいては、画像空間フィルター係数v(i)はz方向位置に依存しない画像空間z方向フィルター係数であってよい。しかし、特にz方向に検出器幅の広い多列X線検出器24又は二次元X線エリア検出器などを用い、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)またはシネスキャンをする場合は、画像空間z方向フィルター係数v(i)はz方向のX線検出器の列の位置に依存した画像空間z方向フィルター係数を用いるのが好ましい。なぜなら、各断層像の列位置に依存した詳細な調整ができるので効果的であるからである。 【0045】 <三次元逆投影処理のフローチャート> 図7は、図6のステップS6の詳細を示したもので、三次元逆投影処理のフローチャートである。本実施形態では、画像再構成される画像はz軸に垂直な面、xy平面に三次元画像再構成される。以下の再構成領域Pはxy平面に平行なものとする。 【0046】 ステップS61では、断層像の画像再構成に必要な全ビュー(すなわち、360度分のビュー又は「180度分+ファン角度分」のビュー)中の一つのビューに着目し、再構成領域Pの各画素に対応する投影データDrを抽出する。 【0047】 ここで、図8および図9を使って、投影データDrについて説明する。図8は再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図であり、そのAはxy平面、Bはyz平面を示している。図9はX線検出器面に投影したラインを示す概念図である。図8に示すように、xy平面に平行な512×512画素の正方形の領域を再構成領域Pとし、y=0のx軸に平行な画素列L0,y=63の画素列L63,y=127の画素列L127,y=191の画素列L191,y=255の画素列L255,y=319の画素列L319,y=383の画素列L383,y=447の画素列L447,y=511の画素列L511を列にとる。そして、これらの画素列L0〜L511をX線透過方向に多列X線検出器24の面に投影した図9に示す如きラインT0〜T511上の投影データを抽出すれば、それらが画素列L0〜L511の投影データDr(view,x,y)となる。ただし、x,yは断層像の各画素(x,y)に対応する。 【0048】 X線透過方向は、X線管21のX線焦点と各画素と多列X線検出器24との幾何学的位置によって決まるが、X線検出器データD0(view,j,i)のz座標z(view)がテーブル直線移動z方向位置Ztable(view)としてX線検出器データに添付されて判っているため、加速・減速中のX線検出器データD0(view,j,i)でもX線焦点、多列X線検出器のデータ収集幾何学系の中において、X線透過方向を正確に求めることができる。 【0049】 なお、例えば画素列L0をX線透過方向に多列X線検出器24の面に投影したラインT0のように、ラインの一部が多列X線検出器24のチャネル方向の外に出た場合は、対応する投影データDr(view,x,y)を「0」にする。また、z方向の外に出た場合は投影データDr(view,x,y)を補外して求める。 【0050】 図7に戻り、ステップS62では、投影データDr(view,x,y)にコーンビーム再構成加重係数を乗算する。ここで、コーンビーム再構成加重係数w(i,j)は以下の通りである。ファンビーム画像再構成の場合は、一般に、view=βaでX線管21の焦点と再構成領域P上(xy平面上)の画素g(x,y)とを結ぶ直線がX線ビームの中心軸Bcに対してなす角度をγとし、その対向ビューをview=βbとするとき、以下の(数式11)のようになる。 βb=βa+180°−2γ…(数式11) 【0051】 再構成領域P上の画素g(x,y)を通るX線ビームとその対向X線ビームが再構成平面Pとなす角度を、αa,αbとすると、これらに依存したコーンビーム再構成加重係数ωa,ωbを掛けて加算し、逆投影画素データD2(0,x,y)を求める。この場合、(数式12)のようになる。 D2(0,x,y)=ωa・D2(0,x,y)_ a+ωb・D2(0,x,y)_ b …(数式12) ただし、D2(0,x,y)_aはビューβaの逆投影データ、D2(0,x,y)_bはビューβbの逆投影データとする。 なお、コーンビーム再構成加重係数の対向ビーム同士の和は、(数式13)のようになる。 ωa+ωb=1 …(数式13) コーンビーム再構成加重係数ωa,ωbを掛けて加算することにより、コーン角アーチファクトを低減することができる。 【0052】 例えば、コーンビーム再構成加重係数ωa,ωbは、次式により求めたものを用いることができる。なお、gaはビューβaの加重係数、gbはビューβbの加重係数である。ファンビーム角の1/2をγmaxとするとき、以下の(数式14)から(数式19)のようになる。 【数10】
(例えば、q=1とする) 例えば、ga,gbの一例として、max[ ]を値の大きい方を採る関数とすると、以下の(数式20),(数式21)のようになる。 【数11】
【0053】 また、ファンビーム画像再構成の場合は、更に距離係数を再構成領域P上の各画素に乗算する。距離係数はX線管21の焦点から投影データDrに対応する多列X線検出器24の検出器列j,チャネルiまでの距離をr0とし、X線管21の焦点から投影データDrに対応する再構成領域P上の画素までの距離をr1とするとき、(r1/r0)2である。また、平行ビーム画像再構成の場合は、再構成領域P上の各画素にコーンビーム再構成加重係数w(i,j)のみを乗算すればよい。 【0054】 ステップS63では、予めクリアしておいた逆投影データD3(x,y)に、投影データD2(view,x,y)を画素対応に加算する。 【0055】 以上、図7の三次元逆投影処理のフローチャートは、図8に示す再構成領域Pを正方形512×512画素として説明したものである。しかしこれに限られるものではない。図10は円形の再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図であり、そのAはxy平面、Bはyz平面である。この図10に示すように、再構成領域Pを512×512画素の正方形の領域とせずに、直径512画素の円形の領域としてもよい。 【0056】 <複数の異なるX線エネルギーの発生方法> 上記のようなX線CT装置100において、本実施例においてはX線管21で以下のような工夫を行い、複数の異なるX線エネルギーのX線投影データを収集し、それらを画像再構成して異なるX線のエネルギー(線質)の断層像を得る。 実施例1.多列X線検出器24のチャネル方向にX線焦点FPを移動させ、フィルターFを用いた場合 実施例2.多列X線検出器24の列方向にX線焦点FPを移動させ、フィルターFを用いた場合 実施例3.多列X線検出器24のチャネル方向にX線焦点FPを移動させ、さらに回転陽極51の表面材質を変化させた場合 実施例4.多列X線検出器24の列方向にX線焦点FPを移動させ、さらに回転陽極51の材質を変化させた場合 実施例5.透過型X線管121を採用し、さらに透過型陽極151の材質を変化させた場合 【0057】 まず、本実施例におけるX線管21の陽極51の向きと多列X線検出器24の向きを説明する。図3において、多列X線検出器24の列方向をz方向とする。多列X線検出器24とX線管21を含むX線データ収集系はxy平面内を回転する。多列X線検出器24のチャネル方向はx方向またはxy平面内に含まれる方向である。X線管21の回転陽極51の軸方向はz方向に平行になり、回転陽極51の回転方向はxy平面内に含まれる。このようなX線データ収集系において、上記の実施例について説明する。 【実施例1】 【0058】 実施例1においては、多列X線検出器24のチャネル方向にX線焦点を移動させる場合の説明を行う。 図12Aおよび図12Bは、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBをチャネル方向に移動制御する概念図であり、図12Aはその側面図、図12Bはその正面図である。 【0059】 図12Aに示すように、複数の異なるX線焦点を多列X線検出器24のチャネル方向に並べるために、X線管21の陰極フィラメント61から発生する電子線EBを多列X線検出器24のチャネル方向、つまりx方向に移動させれば良い。この場合、電子線EBの移動制御には電場63EFまたは磁場63MFなどを用いて行う。 【0060】 図12Aに示すように、紙面の表から裏方向(X軸方向)に電極などで電場63EFをかけてやることで、電子線EBを多列X線検出器24のチャネル方向に移動できる。またはY軸方向にコイルなどにより磁場63MFをかけてやることでも、同様に電子線EBを多列X線検出器24のチャネル方向にX線焦点FPを移動できる。図12Bに示すように、X軸方向にX線焦点FP1とX線焦点FP2とが回転陽極51の表面に形成される。陽極51に電子があたると、X線焦点FP1とX線焦点FP2とからX線ビームXRが発生する。 【0061】 図12Cおよび図12Dは、2つの陰極フィラメント61で電子線EBを制御する概念図であり、図12Cはその側面図、図12Dはその正面図である。 【0062】 図12Cでは、紙面の表から裏方向(X軸方向)に、陰極フィラメント61−1および陰極フィラメント61−2の2つの陰極フィラメントを用意している。交互にこの陰極フィラメント61−1,陰極フィラメント61−2を点灯させてやることで、多列X線検出器24のチャネル方向にX線焦点を移動する。なお、この時に電子線EBのON/OFFの切れが悪く熱電子が残ってしまう場合は、陰極フィラメント61の前に電子線EBを電圧で制御するグリッドを付けて陰極フィラメント61と同期してON/OFFして電子線EBを陽極51側に漏れないようにしてやれば良い。 【0063】 図13は、図12Aおよび図12Bのように電場または磁場で電子線EBをチャネル方向に移動する場合、または図12Cおよび図12Dのように2つの陰極フィラメントで電子線EBをチャネル方向に2つ有する場合に、それぞれX線焦点FP1と被検体との間にX線フィルターF1を配置したものである。図13Aはその側面図、図13Bはその正面図である。 【0064】 図14に、X線フィルターF1がある場合とない場合とのX線のエネルギー分布を示す。縦軸にフォトン数を、横軸にエネルギーをとって描いてある。X線フィルターF1があると実線で示す短波長なX線の実効エネルギー分布SXEとなり実効エネルギー分布は高い。X線フィルターF1がないと一点鎖線で示す長波長なX線の実効エネルギー分布LXEとなり、実効エネルギー分布は低い。なお、X線フィルターでなくても、陽極の表面材質によっても図14に示すようにエネルギー分布を変化させることができる。 【0065】 図13Aおよび図13Bに描かれているように、X線焦点FP1から発生したX線ビームXR1はX線フィルターF1を透過して被検体に照射される。そのため短波長なX線の実効エネルギー分布SXEが被検体に照射される。また、X線焦点FP2から発生したX線ビームXR2はX線フィルターF1を透過せずに被検体に照射すると、長波長なX線の実効エネルギー分布LXEが被検体に照射される。このようにして、X線フィルターF1により、図14のX線エネルギー分布に示されるように、より短波長なX線と、より長波長なX線の2種類のX線エネルギー(線質)にX線焦点FP1とX線焦点FP2のX線の線質が異なるようにすることができる。これを用いて、一ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとにX線エネルギーの異なるX線投影データが収集できる。なお、X線焦点FP2から発生したX線ビームXR2に、X線フィルターF1とは異なるX線フィルターF2を配置してもよい。 【実施例2】 【0066】 実施例2においては、多列X線検出器24の列方向にX線焦点を移動させた場合の説明を行う。 図15Aおよび図15Bは、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBを列方向に移動制御する概念図であり、図15Aはその側面図、図15Bはその正面図である。 【0067】 図15Aに示すように、複数の異なるX線焦点を多列X線検出器24の列方向に並べるために、X線管の陰極フィラメント61から発生する電子線EBを多列X線検出器24の列方向、つまりz方向に移動させれば良い。この場合に電子線EBの移動制御には電場63EF、磁場63MFなどを用いて行う。 【0068】 図15Aに示すように、Y軸方向に電極などにより電場63EFをかけてやることで、電子線EBを多列X線検出器24の列方向に移動できる。または、紙面の表から裏方向(X軸方向)にコイルなどで磁場63MFをかけてやることでも、同様に電子線EBを多列X線検出器24の列方向にX線焦点を移動することができる。図15Bに示すように、Y軸方向にX線焦点FP1とX線焦点FP2とが回転陽極51の表面に位置を決めて、ここに電子線を当ててX線焦点とする。 【0069】 図15Cおよび図15Dは、2つの陰極フィラメントで電子線EBを制御する概念図であり、図15Cはその側面図、図15Dはその正面図である。 【0070】 図15Cに示すように、z方向または回転陽極51の直径方向に2つの陰極フィラメント61−1および陰極フィラメント61−2を用意し、交互にこれらの陰極フィラメント61−1,陰極フィラメント61−2を交互点灯させて、各々の焦点から熱電子を回転陽極51に当ててやることでも、多列X線検出器24の列方向にX線焦点を移動することができる。なお、上述のように、電子線EBのON/OFFの切れが悪く熱電子が残ってしまう場合は、陰極フィラメント61の前に電子線EBを電圧で制御するグリッドを付けて陰極フィラメント61と同期してON/OFFして電子線EBを陽極51側に漏れないようする。 【0071】 図16は、図15Aおよび図15Bのように電場または磁場で電子線EBを列方向に移動する場合、または図15Cおよび図15Dのように2つの陰極フィラメントで電子線EBを列方向に2つ有する場合に、それぞれX線焦点FP1と被検体との間にX線フィルターを配置したものである。図16Aはその側面図、図16Bはその正面図である。 【0072】 多列X線検出器24の列方向にX線焦点FPを移動できるようにした後に、図16Aおよび図16Bのように片方のX線焦点FP1からX線が発生する場合にX線のフィルターF1を通り、より短波長なX線エネルギーのX線にする。もう片方のX線焦点FP2からX線が発生する場合はX線のフィルターF1を通らないようにして、より長波長なX線エネルギーのX線にする。このようにして、X線フィルターF1により、図14のX線エネルギー分布に示されるように、より短波長なX線とより長波長なX線との2種類のX線エネルギーにX線焦点FP1とX線焦点FP2のX線のエネルギー(線質)が異なるようにすることができる。一ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとにX線エネルギーの異なるX線投影データが収集できる。 【実施例3】 【0073】 実施例3においては、X線管の回転陽極51の材質を変えることにより複数の異なるX線エネルギーのX線を得る。つまり、X線陽極51の複数の異なる表面材質を変えることにより、X線が陽極51もしくは陽極51内部で発生して陽極51の外にX線が発生する際に陽極51の材質により吸収されるために、X線焦点の位置を変える必要がなく複数の異なるX線陽極51の表面材質により複数の異なるX線エネルギーが得られる。 【0074】 図17Aおよび図17Bは、電子線EBの概念図であり、図17Aはその側面図、図17Bはその正面図である。X線焦点FP1の電子線EBは、移動制御せず固定でよい。 【0075】 実施例3は、図17Aおよび図17Bに示すように、回転陽極51の中心から放射方向の異なる角度の範囲に、材質54と材質55の部分を作り、回転陽極51が回転すると材質54の部分と材質55の部分に交互に陰極フィラメント61から発生した電子線EBが当たる。そして、実効X線エネルギーSXEと実効X線エネルギーLXEとのX線ビームXR1とX線ビームXR2とが交互に発生する。X線投影データ収集の各ビューのデータ収集周期と実効X線エネルギーSXEのX線ビームXR1と実効X線エネルギーLXEのX線ビームXR2とが切り換わる周期を合わせることにより、各ビューのX線投影データが実効X線エネルギーSXEおよび実効X線エネルギーLXEによるX線投影データに、一ビューごとに切り換えることができる。一例として表面材質54の材料としてタングステンを使用することができ、表面材質55としてモリブデンを使用することができる。 【0076】 または、二以上の所定数ビューのデータ収集周期と実効X線エネルギーSXEのX線ビームXR1と実効X線エネルギーLXEのX線ビームXR2とが切り換わる周期を合わせる。これにより、二以上の所定数ビューごとのX線投影データが、実効X線エネルギーSXEと実効X線エネルギーLXEによるX線投影データに二以上の所定数ビューごとに切り換わる。 【0077】 このようにして、図14のX線エネルギー分布に示されるように、より短波長な実効X線エネルギーSXEとより長波長な実効X線エネルギーLXEのX線ビームXR2が異なるようにすることができる。これを用いて、一ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとにX線エネルギーの異なるX線投影データを収集できる。 【実施例4】 【0078】 実施例4においては、実施例3と同様にX線管の回転陽極51の材質を変えることにより複数の異なるX線エネルギーを得る。図18Aおよび図18Bは、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBを列方向に移動制御する概念図であり、図18Aはその側面図、図18Bはその正面図である。 【0079】 図18Aおよび図18Bに示すように、回転陽極51の半径方向の異なる半径の範囲に材質54と材質55の部分を作り、材質54の部分にX線焦点FP1を、材質55の部分にX線焦点FP2を設ける。X線焦点FP1およびX線焦点FP2に交互に当てることにより、実効X線エネルギーSXEおよび実効X線エネルギーLXEのX線ビームXR1およびX線ビームXR2が交互に発生する。この場合にX線焦点FP1およびX線焦点FP2の間の電子線EBの移動制御は、図15で示したように、電場63EFまたは磁場63MFの少なくとも一方を用いて行ったり、2つの陰極フィラメント61−1と陰極フィラメント61−2とを切り替えたりして電子線EBを列方向に移動する。 【0080】 このように、列方向にX線焦点FP1からX線焦点FP2へまたはその逆方向へ移動させることでX線ビームXR1およびX線ビームXR2は回転陽極51の材質54および材質55の部分に交互に当たり、交互にX線エネルギーの異なるX線が発生する。 【0081】 このようにして、図14のX線エネルギー分布に示されるように、より短波長なX線とより長波長なX線との2種類のX線エネルギーにX線焦点FP1とX線焦点FP2のX線の線質が異なるようにすることができる。これを用いて、一ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとにX線エネルギーの異なるX線投影データを収集できる。 【実施例5】 【0082】 実施例5においては、透過型X線管121を用い、透過型陽極151の透過材質を変えることにより複数の異なるX線エネルギーを得ている。図19は、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBを移動制御し、X線ビームを陽極から透過して発生させる概念図である。 【0083】 陰極フィラメント61から出た熱電子の電子線EBをX線焦点FP1およびX線焦点FP2に交互に当てることにより、X線エネルギーの異なるX線が得られる。この場合も上記の場合と同様にX線焦点FP1およびX線焦点FP2の間の電子線EBの移動制御は電場63EF、磁場63MFなどを用いて行う。図19に示すように、上下方向に電極などで電場63EFをかけてやることで、電子線EBを図中の上下方向に移動させることができる。または、コイルなどで磁場63MFをかけてやることにより、同様に電子線EBを図中の上下方向に移動させることができる。このようにして、X線焦点を移動させることでX線ビームは透過型陽極151の材質154および材質155の部分のX線焦点FP1およびX線焦点FP2に交互に当たり、交互にX線エネルギーの異なるX線が発生する。透過型陽極151の材質154の材料としてタングステンを使用することができ、透過型陽極151の材質155としてモリブデンを使用することができる。 【0084】 なお、2つの陰極フィラメント61−1と陰極フィラメント61−2とを有する透過型X線管121であってもよい。また、透過型X線管121は、透過型X線管121をY軸を中心に90度回転させる配置をすることにより、チャネル方向および列方向にも適用できる。 【0085】 <X線焦点を移動させた場合の画像再構成方法> 本実施形態においては、例えば実施例2または実施例4のように、多列X線検出器24の列方向にX線焦点を移動させた場合の画像再構成方法について説明を行う。 【0086】 多列X線検出器24の列方向に移動する実効X線エネルギーSXEおよび実効X線エネルギーLXEの各々のX線焦点FP1およびX線焦点FP2のz方向座標を実測する。そしてX線焦点FP1かX線焦点FP2かを判断して、X線焦点FP1のX線投影データはX線焦点FP1の実効X線エネルギーSXEの画像再構成平面に三次元逆投影され、X線焦点FP2のX線投影データはX線焦点FP2の実効X線エネルギーLXEの画像再構成平面に三次元逆投影される。このようにして、実効X線エネルギーSXEによる短波長なX線による断層像と実効X線エネルギーLXEによる長波長なX線による断層像が得られる。 【0087】 なお、本例では、X線焦点FP1およびX線焦点FP2の位置を実測しているが、予測されるX線焦点FP1およびX線焦点FP2の位置を用いてX線焦点FP1のX線投影データはX線焦点FP1の実効X線エネルギーSXEの画像再構成平面に、X線焦点FP2のX線投影データはX線焦点FP2の実効X線エネルギーLXEの画像再構成平面に三次元逆投影を行っても良い。 【0088】 陰極フィラメント61から発生する電子線EBを制御して、X線焦点FP1またはX線焦点FP2に当てて実効X線エネルギーSXEまたは実効X線エネルギーLXEのX線を制御して発生させているので、各時刻におけるX線焦点FP1およびX線焦点FP2の位置はX線投影データ収集時には既知である。 【0089】 ここで、X線焦点位置を実際に測定する方法について説明する。図20は、x軸方向からX線管21および多列X線検出器24を見た図である。X線焦点位置FP1から出たX線ビームXR1はコリメータ23によってz方向に絞られてX線ビーム端点71,X線ビーム端点73の間の多列X線検出器24上に照射されている。もし、コリメータ23がコリメータ制御を行わずにX線焦点位置がX線焦点位置FP1からX線焦点位置FP2に移動したとすると、X線焦点FP2から出たX線ビームXR2はコリメータ23によりz方向に絞られてX線ビーム端点FP2より図中左側に多列X線検出器24に照射される。 【0090】 このように、コリメータ制御で特定できる現在のコリメータ23の位置とデータ収集装置(DAS)25で収集されたデータで特定できるX線ビーム端点位置がわかればX線焦点FP1およびX線焦点FP2の位置はわかる。このように、X線焦点FP1およびX線焦点FP2の位置を多列X線検出器24のあるチャネル(X線焦点位置測定チャネル)を用いてX線焦点FP1およびX線焦点FP2の位置を測定する。 【0091】 しかし、通常被検体が存在するとX線ビームXRは被検体PBに吸収され、精度よくX線ビーム端点を求めることが困難な場合がある。このため、X線焦点位置測定チャネルは、被検体が存在しない多列X線検出器24のチャネル方向の両端近辺もしくは片端の近辺に配置させる。図21はX線管21および多列X線検出器24をz軸方向から見た図である。通常、図21のxy平面の図のように、多列X線検出器24のチャネル方向の両端近辺もしくは片端の近辺に存在しているX線焦点位置測定チャネル75によりX線焦点位置の測定を行う。 【0092】 図22は、X線焦点位置測定方法を説明するための図である。この場合の測定では、図22に示すように、X線焦点FPからコリメータ23までのy方向の距離をL1、X線焦点FPから多列X線検出器24までのy方向の距離をL2、X線焦点のz座標をF,コリメータ23とX線ビームXRの接点のz座標をC1およびC2、X線ビーム端点のz座標をD1およびD2とすると、以下の数式22または数式23の関係が成立し、X線焦点のz方向位置Fが求められる。 【数12】
【0093】 なお、X線焦点の位置は図20のように、スキャン中にX線ビームXRをコリメータ23で多列X線検出器24の最適な位置にX線照射が行えるように制御しながらでもコリメータ位置C1およびC2、X線ビーム端点D1およびD2からX線焦点FPを求めることができる。この時に各ビューの投影データのヘッダー情報にX線焦点FPの位置をデータ収集装置(DAS)25で求めて記録しておけば、画像再構成時にX線焦点FPの位置を考慮しながら画像再構成が行える。 【0094】 また、X線焦点位置測定チャネルは、図20のように主検出器と同じ構造でなく、図23のように主検出器と異なった構造でもかまわない。この場合は、コリメータ23は被検体の被曝低減を考えた主検出器用にX線ビームを最適な位置に制御することは必ずしも必要でなく、固定のコリメータで、その幅と位置は絞ったX線ビームがz方向に検出器からはずれない幅と位置であっても良い。また、多列X線検出器24は多列でなくても、A列側,B列側に1列ずつある、最低でも2列のX線検出器であれば良い。この場合は、A列側とB列側のX線検出器の出力比でX線焦点の位置が測定できる。 【0095】 図24は、一回転中にX線焦点FPが移動するX線データ収集系の第一例を示す図であり、図25は、一回転中にX線焦点FPが移動するX線データ収集系の第二例を示す図である。ただし、図24では、多列X線検出器24においてX線焦点FP1とX線焦点FP2がともに、Y軸からプラスマイナス0.5dだけ離れている。図25では、多列X線検出器24においてX線焦点FP1がY軸上に、X線焦点FP2がY軸からdだけ離れている。 【0096】 図24または図25のように、X線焦点FPを一回転以下の周期的で例えば、1ビューごとまたは二以上の所定数ビューごとにz方向にX線焦点FP1とX線焦点FP2とを切り換えて、二次元X線エリア検出器である多列X線検出器24のデータ収集を行う。つまり、X線焦点のz方向の移動により、X線管21のX線焦点FP1とX線焦点FP2をz方向に移動させながらデータ収集を行う。 【0097】 この時のデータ収集の流れを図27に示す。図27は、中央処理演算部3で行われるX線焦点FPをz方向に周期的に移動させた場合のデータ収集例のフローチャートである。 ステップF1では、ビュー番号i=1とする。ステップF2では、X線焦点FPを位置FP1に移動させる。ステップF3では、iビューのデータ収集を行う。ステップF4では、全ビューのデータ収集終了かを判断し、YESであればデータ収集を終了し、NOであればステップF5に進む。ステップF5では、ビュー番号を加算しi=i+1とする。ステップF6では、X線焦点FPを位置FP2に移動させる。これにより、X線ビームXRをz方向に周期的に移動させた場合のデータ収集を行うことができる。 【0098】 このように、図24または図25における、X線焦点FP1またはX線焦点FP2のデータ収集を交互にビューごとに繰り返して周期的にデータ収集を行う。この場合は、データ収集周期は2ビューとなり、2ビューごとにX線焦点FP1またはX線焦点FP2の移動が繰り返されるが、X線管21および多列X線検出器24が一回転するより短い期間で且つ2ビューよりも長い周期で、つまり二以上の所定数ビュー周期でX線焦点FP1またはX線焦点FP2のデータ収集を繰り返しても、同様の効果を出すことができる。 【0099】 収集されたX線検出器データは、図5または図6で説明した三次元画像再構成処理および前処理を行い画像再構成される。つまり、上記のデータ収集で収集されたX線検出器データを図5の画像再構成に基づき、ステップS1のデータ収集からステップS7の後処理までを行い、断層像として画像再構成を行う。なお、この場合のステップS2の前処理、ステップS3のビームハードニング補正においては、X線焦点FP1およびX線焦点FP2の各々の校正データを用いて前処理、ビームハードニング補正を行うことにより、画質はより良くなる。 【0100】 ただし、この場合、X線焦点FP1またはX線焦点FP2でデータ収集を行っているので三次元逆投影においては、これらのX線焦点FP1またはX線焦点FP2の移動を考慮して三次元画像再構成を行う必要がある。 【0101】 図26は、X線焦点が複数ある場合の三次元逆投影を示す図である。図7の三次元逆投影処理の中のステップS61における再構成領域Pの各画素に対応する投影データDrを抽出する処理において、図26に示すように、X線焦点FPのz方向座標をzx、画像再構成平面Pの座標をzpとすると、X線焦点のz方向座標zxをX線焦点FP1またはX線焦点FP2用に切り換えて三次元画像再構成を行うことが必要である。 【0102】 三次元画像再構成では図26に示すように、X線焦点位置のz位置座標を考慮しながら断層像の各画素の位置、例えば、異なるy座標のL0,L63,L127,L191,L255,L319,L383,L447,L511に対応する多列X線検出器24の検出器列のデータを抽出、必要に応じて加重加算して三次元逆投影を行う。 【0103】 X線焦点位置がX線焦点FP1のz座標zxa,X線焦点FP2のz座標zxbの2点を振動することにより、断層像の各画素に対応する多列X線検出器24のX線検出器データは異なる列からデータを抽出し、三次元逆投影する。 【0104】 図28は、中央処理演算部3で行われるX線焦点をz方向に周期的に移動させた場合のデータ収集の画像再構成のフローチャートである。 ステップB1では、ビュー番号k=1とする。ただし、360度のビュー数をNビューとする。ただし、ビュー角度は図29の通りとする。 ステップB2では、断層像上の画素g(i,j)の座標i=1,j=1とする。ただし、得られる断層像の画素数を512×512画素とする。 ステップB3では、X線焦点はX線焦点FP1かを判断し、X線焦点の位置情報を求める。 【0105】 ステップB4では、X線焦点がX線焦点FP1の位置にあるので、X線焦点座標zx=zxaとしてステップB6に行く。 ステップB5では、X線焦点がX線焦点FP2の位置にある場合なので、X線焦点座標zx=zxbとしてステップB6に行く。 【0106】 ステップB6では、X線焦点座標zxと断層像の各画素g(i,j)を結ぶX線ビームの軌跡が、多列X線検出器24のb列,aチャネルに投影されたとする。X線焦点と断層像の各画素のX線ビームの軌跡の多列X線検出器24上への投影は、X線検出器チャネルの中心に当たらない場合もあるので、b列,aチャネルのa,bは整数となる。 【0107】 ステップB7では、int(a)チャネル,int(a)+1チャネルのint(b)列,int(b)+1列のデータを読み出す。つまり、多列X線検出器24の投影データD(a,b)において、 int(b)列,int(a)チャネルのD(int(a),int(b)), int(b)+1列,int(a)チャネルのD(int(a),int(b)+1), int(b)列,int(a)+1チャネルのD(int(a)+1,int(b)), int(b)+1列,int(a)+1チャネルのD(int(a)+1,int(b)+1), の4点の投影データを読み出す。 【0108】 ステップB8では、加重加算によりb列,aチャネルのデータを求める。つまり、例えば線型加重加算の重み付けを行う。 Wa0=da=a−int(a) Wa1=1−da=a+1−int(a) Wb0=db=b−int(b) Wb1=1−db=b+1−int(b) Wa0,Wa1,Wb0,Wb1の4つの係数をステップB7で求めた4つのデータに重み付けをして加重加算によるb列,aチャネルの投影データD(a,b)を求める。 D(a,b) =Wb1・(Wa1・D(int(a),int(b))+Wa0・D(int(a),int(b)+1)) +Wb0・(Wa1・D(int(a)+1,int(b))+Wa0・D(int(a)+1,int(b)+1)) 【0109】 ステップB9では、ステップB8で求められた投影データD(a,b)を三次元逆投影する。 ステップB9では、X線焦点はX線焦点FP1かを判断し、YESであればステップB10へ、NOであればステップB11へ行く。 【0110】 ステップB10では、X線焦点FP1の画像再構成平面に三次元逆投影する。 ステップB11では、X線焦点FP2の画像再構成平面に三次元逆投影する。 ステップB12では、j=512かを判断し、YESならばステップB14へ、NOならばステップB13へ行く。 【0111】 ステップB13では、j=j+1として、ステップB2へ戻る。 ステップB14では、i=512かを判断し、YESならばステップB16へ、NOならばステップB15へ行く。 ステップB15では、i=i+1として、ステップB2へ戻る。 【0112】 ステップB16では、ビュー番号k=Nかを判断し、YESならば終了し、NOならばステップB17へ行く。 【0113】 ステップB17では、ビュー番号k=k+1として、ステップB1へ戻る。 このようにして、多列X線検出器24上のb列,aチャネルの投影データD(a,b)を求め、このD(a,b)を三次元逆投影する。これを512×512画素の断層像の全画素について、この三次元逆投影処理を行い、更に1回転360度分の投影データNビュー分について繰り返す。 【0114】 次に、例えば実施例1のように、多列X線検出器24のチャネル方向にX線焦点FPを移動させた場合の画像再構成方法についても同様である。つまりこの場合も、各時刻におけるX線焦点の位置は、列方向にX線焦点FPを移動させた場合と同様に、X線投影データ収集時には既知である。このため、同様に画像再構成が可能である。 【0115】 例えば実施例3のように、X線管21の回転陽極51の中心から放射方向にX線の材質を材質54と材質55とを変化させて、実効X線エネルギーSXEまたは実効X線エネルギーLXEを得る。この場合の画像再構成においては、あらかじめ一ビューごと、または二以上の所定数ビューごとに実効X線エネルギーSXEまたは実効X線エネルギーLXEが切り換わるように、回転陽極51の回転速度、材質54および材質55の角度方向の幅、X線データ収集系の回転速度を同期させておくため、画像再構成時にはあらかじめ何ビューおきにX線エネルギーが切り換わるかがわかっている。このため、同様な画像再構成方法により、2つのX線エネルギーの断層像が画像再構成できる。 【0116】 <所望の物質の定量的な分布画像> 上述したX線焦点を移動させた場合の画像再構成方法で得られた2つのX線エネルギーの異なる断層像より、ある所望の物質の定量的な分布画像を得る例を示す。 【0117】 X線の線質の異なる、つまり、X線エネルギーが異なる2種類の断層像においては、例えば図14に示す実効エネルギー分布SXE,実効エネルギー分布LXEに対応したエネルギー特性を持つ2つの異なる断層像が得られる。そして、実効エネルギー分布SXEのX線に基づくX線投影データから画像再構成した断層像と、実効エネルギー分布LXEのX線に基づくX線投影データから画像再構成した断層像から所望の物質に関する定量的な分布画像を計算によって求めることができる。 【0118】 実効エネルギー分布SXEのX線に基づく投影データから画像再構成した断層像におけるCT値および実効エネルギー分布LXEのX線に基づく投影データから画像再構成した断層像におけるCT値は、それぞれ次の数式24、数式25で与えられる。 【0119】 【数13】
【0120】 ここで、X,Yは所望の物質の量(未知数)である。αA,αB,βA,βB,γA,γBは予め測定によって判明している定数である。このようなCT値からX,Yが次の数式26、数式27によってそれぞれ求められる。 【0121】 【数14】
【0122】 このようにして、Xに関する画像およびYに関する画像がそれぞれ形成される。X,Yは例えばカルシウム分、脂肪、鉄分等である。このようにして、2つのX線エネルギーの異なる断層像から所望の物質の定量的な分布画像を得ることができる。 【0123】 以上、X線焦点FP1およびX線焦点FP2に交互に当てることにより、実効X線エネルギーSXEおよび実効X線エネルギーLXEのX線ビームXR1およびX線ビームXR2が交互に発生する実施形態を説明してきたが、X線焦点FPが三以上あってもよい。 【0124】 <三以上のX線焦点FP> 図30は、X線焦点FPを三箇所に移動させることのできるX線管21を示す図である。陰極フィラメント61から発生する電子線EBを、電場63EFまたは磁場63MFなどを用いて、電子線EB1、EB2およびEB3の方向に移動させる。回転軸53を中心に回転する回転陽極51に、電子線EB1、EB2およびEB3がそれぞれX線焦点FP1、FP2およびFP3を形成する。そして、回転陽極51の三箇所からからX線ビームXR1、XR2およびXR3を発生させ、X線管21の窓59から被検体へ向かわせればよい。 【0125】 図31は、X線焦点FPを三箇所に移動させることのできる透過型X線管121を示す図である。陰極フィラメント61から発生する電子線EBを、電場63EFまたは磁場63MFなどを用いて、電子線EB1、EB2およびEB3の方向に移動させる。透過型陽極151に、電子線EB1、EB2およびEB3がそれぞれX線焦点FP1、FP2およびFP3を形成する。そして、透過型陽極151の三箇所からX線ビームXR1、XR2およびXR3を発生させればよい。 【0126】 X線焦点を移動させた場合の画像再構成方法もまた、X線焦点FPが三以上あってもよい。3つのX線エネルギーのX線ビームXR1、XR2およびXR3を発生するX線焦点FP1、X線焦点FP2およびX線焦点FP3を用いて、X線焦点をFP1→FP2→FP3→FP1→FP2→FP3→FP1→……のように3点で切り換えれば良い。この場合も同様の効果を出すことができる。 【産業上の利用可能性】 【0127】 なお、本実施形態における画像再構成法は、従来公知のフェルドカンプ法による三次元画像再構成法でもよい。さらに、他の三次元画像再構成方法でもよい。または二次元画像再構成でも良い。各部位として求められる画質は、診断用途、操作者の好みなどによりバラツキがあり様々である。このため操作者は、各部位の最適な画質を撮影条件設定をあらかじめ設定しておくとよい。例えば心臓用再構成関数K1を設定したり心臓用画像フィルターF1を設定したりして、用途、好みなどに応じて変えて登録できると操作者にとって効率が良い。 【0128】 本実施形態では、特に特定のスキャン形式に限定されない。つまり、コンベンショナルスキャン(アキシャルスキャン)、シネスキャン、ヘリカルスキャン、可変ピッチヘリカルスキャン、ヘリカルシャトルスキャンの場合でも同様の効果を出すことができる。つまり、異なるX線管電圧、または異なるX線エネルギーの断層像を撮影、または異なる各物質の分布を画像化した断層像の撮影を実現できる効果がある。また、走査ガントリ20の傾斜について限定されない。すなわち、走査ガントリ20が傾斜した、いわゆるチルト・スキャンの場合でも同様な効果を出すことができる。また、本実施形態を、生体信号、特に心拍信号に同期させて画像再構成する心拍画像再構成にも適用することができる。 【0129】 本実施形態では、医用X線CT装置100を元に書かれているが、産業用X線CT装置または他の装置と組み合わせたX線CT−PET装置,X線CT−SPECT装置などにも利用できる。 【図面の簡単な説明】 【0130】 【図1】本発明の一実施形態にかかるX線CT装置を示すブロック図である。 【図2】X線CT装置の撮影条件入力画面を示す図である。 【図3】Aは、X線管21と多列X線検出器24の幾何学的配置のXY面で、Bは、そのYZ面である。 【図4】被検体撮影の流れを示すフローチャートである。 【図5】本発明の一実施形態に係るX線CT装置の画像再構成の概略動作を示すフローチャートである。 【図6】前処理の詳細を示すフローチャートである。 【図7】三次元画像再構成処理の詳細を示すフローチャートである。 【図8】再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図である。 【図9】X線検出器面に投影したラインを示す概念図である。 【図10】円形の再構成領域上のラインをX線透過方向へ投影する状態を示す概念図である。 【図11】2つのX線焦点と2つのX線ビームを有している際に、X線フィルターFの配置を示した図である。 【図12】AおよびBは、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBをチャネル方向に移動制御する概念図であり、CおよびDは、2つの陰極フィラメントで電子線EBをチャネル方向に制御する概念図である。 【図13】AおよびBは、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBを列方向に移動制御する概念図であり、CおよびDは、2つの陰極フィラメントで電子線EBを制御する概念図である。 【図14】X線フィルターF1がある場合とない場合とのX線のエネルギー分布を示す図である。 【図15】AおよびBは、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBを列方向に移動制御する概念図であり、CおよびDは、2つの陰極フィラメントで電子線EBを列方向に制御する概念図である。 【図16】回転陽極51の中心から放射方向の異なる角度の範囲に、異なる材質の陽極を配置した図である。 【図17】回転陽極51の半径方向の異なる半径の範囲に、異なる材質の陽極を配置した図である。 【図18】透過型X線管121を用い、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBを列方向に移動制御する概念図である。 【図19】透過型X線管121を用い、電場または磁場の少なくとも一方により電子線EBをチャネル方向に移動制御する概念図である。 【図20】X線管21および多列X線検出器24をx軸方向から見た図である。 【図21】X線管21および多列X線検出器24をz軸方向から見た図である。 【図22】X線焦点位置測定方法を説明するための図である。 【図23】X線焦点位置測定方法を説明するための図である。 【図24】一回転中にX線焦点FPが移動するX線データ収集系の第一例を示す図である。 【図25】一回転中にX線焦点FPが移動するX線データ収集系の第二例を示す図である。 【図26】X線焦点が複数ある場合の三次元逆投影を示す図である。 【図27】X線焦点をz方向に周期的に移動させた場合のデータ収集例のフローチャートである。 【図28】X線焦点をz方向に周期的に移動させた場合のデータ収集の画像再構成のフローチャートである。 【図29】データ収集のビュー角度を示す図である。 【図30】X線焦点FPを三箇所に移動させることのできるX線管21を示す図である。 【図31】X線焦点FPを三箇所に移動させることのできる透過型X線管121を示す図である。 【符号の説明】 【0131】 1 … 操作コンソール 2 … 入力装置 6 … モニタ 7 … 記憶装置 12 … クレードル 20 … 走査ガントリ 21 … X線管 22 … X線コントローラ 23 … コリメータ 24 … 多列X線検出器または二次元X線エリア検出器 25 … データ収集装置(DAS) 27 … 走査ガントリ傾斜コントローラ 28 … ビーム形成X線フィルター 29 … 制御コントローラ 51 … 回転陽極 61 … 陰極フィラメント FI … X線フィルター SXE … 短波長なX線の実効エネルギー分布 LXE … 長波長なX線の実効エネルギー分布 FP1、FP2… X線焦点 63EF …電場 63MF … 磁場 121 … 透過型X線管 151 … 透過型陽極
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| 【出願人】 |
【識別番号】300019238 【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
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| 【出願日】 |
平成18年7月10日(2006.7.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100106541 【弁理士】 【氏名又は名称】伊藤 信和
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| 【公開番号】 |
特開2008−12206(P2008−12206A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−188935(P2006−188935) |
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