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【発明の名称】 バイオセンサカートリッジ及びバイオセンサカートリッジの製造方法
【発明者】 【氏名】改森 信吾

【氏名】北村 貴彦

【氏名】原田 章

【氏名】細谷 俊史

【氏名】輕部 征夫

【氏名】後藤 正男

【氏名】中村 秀明

【氏名】藤村 剛

【氏名】石川 智子

【要約】 【課題】測定に必要な試料の採取量を少量にして使用者の負担を軽減するとともに、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取して測定することができるバイオセンサカートリッジを提供する。

【構成】穿刺用器具14をスペーサ層13と基板12bの少なくとも一方に取り付けるようにしたので、中空反応部16を小さくすることができる。これにより、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、このとき、穿刺用器具14の少なくとも一部が基板12b或いはスペーサ層13に埋め込まれるように固定したので、穿刺位置を試料採取口16aに近づけることができる。これにより、試料採取口16aを穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取して測定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジであって、
前記穿刺用器具の少なくとも一部が前記基板または前記スペーサ層の少なくとも一方に埋設により固定されていることを特徴とするバイオセンサカートリッジ。
【請求項2】
前記穿刺用器具の少なくとも一部が前記2枚の基板のいずれか一方に埋設により固定されていることを特徴とする請求項1に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項3】
前記穿刺用器具が、前記基板に設けられた溝に固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のバイオセンサカートリッジ。
【請求項4】
互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、
前記基板を溶融樹脂で成型する際に前記穿刺用器具の少なくとも一部を埋設により固定することを特徴とするバイオセンサカートリッジの製造方法。
【請求項5】
互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、
加熱軟化した前記基板に前記穿刺用器具の少なくとも一部を押し込んで埋設により固定することを特徴とするバイオセンサカートリッジの製造方法。
【請求項6】
互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、
前記基板に溝を形成し、前記溝に前記穿刺用器具の少なくとも一部を固定することを特徴とするバイオセンサカートリッジの製造方法。
【請求項7】
互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、
前記穿刺用器具の少なくとも一部を超音波接合により基板内に固定することを特徴とするバイオセンサカートリッジの製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のバイオセンサカートリッジ、あるいは、請求項4〜7のいずれか1項に記載のバイオセンサカートリッジの製造方法により製造されたバイオセンサカートリッジと、前記バイオセンサカートリッジの検知用電極に接続して採取された試料の情報を得る測定器とを有することを特徴とするバイオセンサ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばバイオセンサカートリッジの中空反応部に収容した試薬を用いて化学物質の測定や分析を行うバイオセンサカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばバイオセンサチップとランセットを一体化したバイオセンサが開示されている(例えば特許文献1参照)。
図9(A)は特許文献1に記載されているセンサの斜視図、図9(B)はセンサの分解斜視図である。図9に示すように、ランセット一体型のセンサ100は、チップ本体101、ランセット103、保護カバー105を有している。チップ本体101は、カバー101aと基板101bとを開閉可能に有しており、カバー101aの内面には内部空間102が形成されている。内部空間102は、ランセット103を移動可能に収納できる形状をしており、カバー101aを開けることによりランセット103が交換自在となっている。
【0003】
ランセット103の先端に設けられている針104は、ランセット103の移動に伴ってチップ本体101の内部空間102の前端部に形成されている開口部102aから出没可能となっている。ランセット103は、チップ本体101の両側面を指によって押圧してランセット103の突起103aを押圧することにより、チップ本体101に固定可能となっており、この固定状態で穿刺を行う。保護カバー105は針104を挿嵌する管部105aを有しており、針104の移動に伴って管部105aもチップ本体101の内部に収納可能となっている。従って、使用前の状態では、保護カバー105を針104に被せて、針104を保護するとともに誤って使用者を傷付けないようにしている。なお、基板101bには、一対の電極端子106が設けられており、測定装置(図示省略)に電気的に接続できるようになっている。
【0004】
従って、使用時には、保護カバー105を外して、ランセット103を押して針104をチップ本体101から突出させ、チップ本体101の両側面を指で押圧して針104を固定する。この状態で被検体を穿刺した後、針104をチップ本体101内部に収納し、チップ本体101の前端に設けられている開口部102aを穿刺口に近づけて、血液を採取する。
【特許文献1】WO02−056769号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のランセット一体型センサでは、チップ本体の外側(基板の外側面)に穿刺用器具を取り付けたバイオセンサチップにおいては、内部空間の大きさを小さくすることができるものの、穿刺用器具によって穿刺されて試料が流出する穿刺口の位置と、試料を採取するバイオセンサチップの試料搾取口の位置とが離れることになるため、試料の採取ミスが生じやすくなる。また、ランセット一体型センサ100では、カバー101aと基板101bとの間の内部空間102に針104が移動可能に設けられているので、内部空間102の幅や高さを針104の外径よりも小さくすることができず、試料を収容する内部空間102が大きくなるため、試料の採取量が大きくなり、使用者の採血負担が大きくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、測定に必要な試料の採取量を少量にして使用者の負担を軽減するとともに、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取して測定することができるバイオセンサカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した目的を達成するため、本発明にかかるバイオセンサカートリッジは、互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジであって、前記穿刺用器具の少なくとも一部が前記基板または前記スペーサ層の少なくとも一方に埋設により固定されていることにある。
【0008】
このように構成されたバイオセンサカートリッジにおいては、前記穿刺用器具の少なくとも一部が前記基板またはスペーサ層の少なくとも一方に埋設により固定されているので中空反応部を小さくすることができる。これにより、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、このとき、穿刺用器具の少なくとも一部が基板又はスペーサ層の少なくとも一方に埋め込まれるように固定したので、穿刺位置を試料採取口に近づけることができる。これにより、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取して測定することができることになる。なお、穿刺用器具の半分以上を埋設するのが望ましい。これにより、穿刺用器具が基板やスペーサ層から脱落を防止することができる。尚、本発明においては、針、ランセット針、カニューレ等を総称して穿刺用器具という。
【0009】
また、本発明にかかるバイオセンサカートリッジは、前記穿刺用器具の少なくとも一部が前記2枚の基板のいずれか一方に埋設により固定されていることにある。
【0010】
このように構成されたバイオセンサカートリッジにおいては、穿刺用器具をスペーサ層ではなく基板に取り付けるようにしたので、スペーサ層の厚さを小さくすることができ、スペーサ層に設ける中空反応部を小さくすることができる。これにより、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、このとき、穿刺用器具の少なくとも一部が基板に埋め込まれるように固定したので、穿刺用器具をスペーサ層に近づけて、穿刺位置を試料採取口に近づけることができる。これにより、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取して測定することができることになる。なお、穿刺用器具の半分以上を埋設により固定するのが望ましい。これにより、穿刺用器具が基板から脱落を防止することができる。
【0011】
また、本発明にかかるバイオセンサカートリッジは、前記穿刺用器具の少なくとも一部が、前記基板に設けられた溝に固定されていることにある。
【0012】
このように構成されたバイオセンサカートリッジにおいては、基板に設けられたV溝に穿刺用器具の少なくとも一部を取り付けることにより、容易に穿刺用器具の少なくとも一部を基板に埋め込むことができ、穿刺位置を試料採取口に近づけることができる。なお、溝の深さは、穿刺用器具の半分以上が埋設される深さとするのが望ましい。また、穿刺用器具を溝に固定する方法としては、接着剤や粘着テープによる固定、基板を加熱して押し込む方法等があげられる。
【0013】
また、本発明にかかるバイオセンサカートリッジの製造方法は、互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、前記基板を溶融樹脂で成型する際に前記穿刺用器具の少なくとも一部を埋設により固定することにある。
【0014】
このように構成されたバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板を溶融樹脂により成型する際に、穿刺用器具の少なくとも一部を基板内に埋設により固定するようにしたので、容易且つ確実に穿刺用器具を基板内に埋設固定することができる。また、整列した基板に整列した穿刺用器具を一度に複数本埋め込むことができるので、製造効率がよい。これにより、スペーサ層の厚さを小さくすることができ、スペーサ層に設ける中空反応部を小さくすることができるので、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、穿刺用器具をスペーサ層に近づけて、穿刺位置を試料採取口に近づけることができるので、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取することができることになる。なお、穿刺用器具の半分以上を埋設するように配置するのが望ましい。これにより、穿刺用器具が基板から脱落を防止することができる。
【0015】
また、本発明にかかるバイオセンサカートリッジの製造方法は、互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、加熱軟化した前記基板に前記穿刺用器具の少なくとも一部を押し込んで埋設により固定することにある。
【0016】
このように構成されたバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板を加熱軟化して、穿刺用器具の少なくとも一部を押し込んで埋設により固定するので、製造された基板に後から穿刺用器具の少なくとも一部を容易に埋め込んで固定することができる。これにより、スペーサ層の厚さを小さくすることができ、スペーサ層に設ける中空反応部を小さくすることができるので、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、穿刺用器具をスペーサ層に近づけて、穿刺位置を試料採取口に近づけることができるので、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取することができることになる。なお、基板、スペーサ層の加熱軟化の方法として、基板、スペーサ層全体を加熱軟化するより、埋め込み部分のみを加熱軟化する方が中空反応部に収める反応試料として耐熱性の低い試料の使えるので好ましい。部分的な加熱方法としては、レーザにより埋め込み部分を部分的に加熱軟化したり、抵抗溶接により、熱影響の範囲を狭めることができる。
【0017】
また、本発明にかかるバイオセンサカートリッジの製造方法は、互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、前記基板に溝を形成し、前記溝に前記穿刺用器具の少なくとも一部を固定することにある。
【0018】
このように構成されたバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板に形成した溝に穿刺用器具の少なくとも一部を固定するので、容易に穿刺用器具を基板内に埋め込むことができる。これにより、スペーサ層の厚さを小さくすることができ、スペーサ層に設ける中空反応部を小さくすることができるので、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、穿刺用器具をスペーサ層に近づけて、穿刺位置を試料採取口に近づけることができるので、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取することができることになる。なお、溝の深さは、穿刺用器具の半分以上が埋設される深さとするのが望ましい。また、穿刺用器具を溝に固定する方法としては、接着剤や粘着テープや基板を加熱して押し込むによって固定することができる。
【0019】
また、本発明にかかるバイオセンサカートリッジの製造方法は、互いに対向する2枚の基板と当該2枚の基板間に挟装されるスペーサ層とを有するチップ本体と、前記チップ本体の先端部に固定され先端が突出した穿刺用器具とを有するバイオセンサカートリッジの製造方法であって、前記穿刺用器具の少なくとも一部を超音波接合により基板内に固定することにある。
【0020】
このように構成されたバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板の外側から超音波接合によって穿刺用器具の少なくとも一部を基板内に埋め込むので、基板の製造後に、加熱による影響を小さくして容易に穿刺用器具を取り付けることができる。これにより、スペーサ層の厚さを小さくすることができ、スペーサ層に設ける中空反応部を小さくすることができるので、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、穿刺用器具をスペーサ層に近づけて、穿刺位置を試料採取口に近づけることができるので、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取することができることになる。なお、加熱しながら超音波接合を行うとより効果的である。
【0021】
また、本発明にかかるバイオセンサ装置は、上述のバイオセンサカートリッジ、あるいは、上述のバイオセンサカートリッジの製造方法により製造されたバイオセンサカートリッジと、前記バイオセンサカートリッジの検知用電極に接続して採取された試料の情報を得る測定器とを有することにある。
【0022】
このように構成されたバイオセンサ装置においては、前述したバイオセンサカートリッジによって試料を採取し、試料の情報を検知電極を介して測定器に伝達することにより、短時間且つ容易に測定することができるので、被検体の負担を軽減することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、穿刺用器具を基板、或いは基板とスペーサ層との少なくとも一方に取り付けるようにしたので、中空反応部を小さくすることができる。これにより、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、このとき、穿刺用器具の少なくとも一部が基板に埋め込まれるようにしたので、穿刺用器具を穿刺位置を試料採取口に近づけることができる。これにより、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取して測定することができるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1(A)は本発明のバイオセンサカートリッジに係る第1実施形態を示す平面図、図1(B)は図1(A)中B方向から見た側面図、図1(C)は図1(A)中C方向から見た端面図、図2は(A)は本発明のバイオセンサカートリッジに係る第2実施形態を示す平面図、図2(B)は図2(A)中B方向から見た側面図、図2(C)は図2(A)中C方向から見た端面図である。
【0025】
図1(A)から(C)に示すように、本発明の第1実施形態であるバイオセンサカートリッジ10は、互いに対向する2枚の基板12a、12bとこの2枚の基板12a、12b間に挟装されるスペーサ層13とを有するチップ本体11と、チップ本体11の先端部11aに固定され先端14aが突出した穿刺用器具14とを有している。そして、穿刺用器具14の少なくとも一部が、2枚の基板12a、12bの少なくとも一方12b(以下においては、基板12bに穿刺用器具14を取り付ける場合に付いて説明する。)に埋設により固定されている。
【0026】
すなわち、2枚の基板12a、12bは全体矩形状をしており、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)で製造することができる。2枚の基板12a、12bの少なくとも1枚の基板12aのスペーサ層13側の表面には、例えば、カーボンを基板12a上に印刷等することにより検知用電極15a、15bが設けられており、先端部(図1(A)において下端部)は互いに対向する方向へL字状に曲げられて、所定間隔を保持している。チップ本体11の先端11aから、2つの検知用電極15a、15bが対向している部分にかけて、2枚の基板12a、12b及びスペーサ層13により矩形状の中空反応部16が形成されている。この中空反応部16の先端には、検体に穿刺用器具14を穿刺して採取した試料としての血液を中空反応部16に導入する試料採取口16aが開口して設けられている。
【0027】
従って、中空反応部16は、上下両面を基板12a、12bおよび検知用電極15a、15bにより形成され、所定の形状に切りかかれたスペーサ層13を側壁として矩形状の空間が形成されている。このため、中空反応部16においては、検知用電極15a、15bは露出しており、中空反応部16における検知用電極15a、15bの直上或いは近傍に、例えば酵素とメディエータを固定化し採取した血液中のグルコースと反応して電流を発生する試薬17が設けられている。従って、中空反応部16は、試料採取口16aから採取された血液等の試料が、試薬17と生化学反応する部分となる。
また、図1(A)、(B)に示すように、チップ本体11の後端部11bでは、基板12aのみが延設されており、検知用電極15a、15bが露出している。
【0028】
以上、説明したバイオセンサカートリッジ10においては、穿刺用器具14をスペーサ層13ではなく基板12a、12bに取り付けるようにしたので、スペーサ層13の厚さを小さくすることができ、スペーサ層13に設ける中空反応部16を小さくすることができる。これにより、試料Bの採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、このとき、穿刺用器具14の少なくとも一部が基板12bに埋め込まれるようにしたので、穿刺用器具14をスペーサ層13に近づけて、穿刺位置を試料採取口16aに近づけることができる。これにより、試料採取口16aを穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料Bを採取して測定することができることになる。なお、穿刺用器具14の断面の半分以上が埋設されるようにして固定するのが望ましい。これにより、穿刺用器具14が基板12bから脱落するのを確実に防止することができるとともに、穿刺用器具14による穿刺位置と試料採取口16aの距離を短くすることができ、血液の採取ミスを防止することができる。
本発明に係るバイオセンサカートリッジは、上述した実施形態の他に、穿刺用器具の少なくとも一部が2枚の基板およびスペーサ層の少なくとも一方に埋設により固定されていてもよい。
【0029】
次に、図2に基づいて、本発明の第2実施形態に係るバイオセンサカートリッジ10Bについて説明する。なお、前述した第1実施形態に係るバイオセンサカートリッジ10と共通する部位には同じ符号を付して、重複する説明を省略することとする。
図2(A)から(C)に示すように、本発明の第2実施形態であるバイオセンサカートリッジ10Bでは、穿刺用器具14の少なくとも一部が、基板12bに設けられた溝18に固定されている。溝18の形状は種々考えられる。例えば、V字状、部分円弧状、矩形状等、いずれも可能であるが、予め、穿刺用器具14を取り付ける基板12bの外側面に形成しておくのがよい。また、穿刺用器具14の固定方法としては、接着剤や粘着テープでも可能であるが、後述する種々の製造方法を適用することもできる。
【0030】
このように、基板12bの外側面に形成されている溝18に穿刺用器具14を固定することにより、容易に且つ正確な位置に穿刺用器具14を基板12bに埋め込むことができ、穿刺位置を試料採取口16aに近づけることができる。なお、溝18の深さを、穿刺用器具14の断面の半分以上が埋設される深さとするのが望ましい。これにより、穿刺用器具14が基板12bから脱落するのを防止することができる。
【0031】
次に、本発明に係るバイオセンサカートリッジの製造方法について説明する。
図3(A)および(B)には、本発明にかかる第3実施形態である第1のバイオセンサカートリッジの製造方法が示されている。このバイオセンサカートリッジの製造方法では、互いに対向する2枚の基板12a、12bと当該2枚の基板12a、12b間に挟装されるスペーサ層13とを有するチップ本体11と、このチップ本体11の先端部11aに固定され先端14aが突出した穿刺用器具14とを有するバイオセンサカートリッジ10の製造方法であって、基板12bを溶融樹脂で成型する際に穿刺用器具14の少なくとも一部を埋設により固定するものである。
【0032】
すなわち、樹脂製の基板12bを樹脂により成型する際に、基板12bを成型する型19の所定位置に穿刺用器具14を取り付けておき、溶融樹脂を型に流し込むことにより、穿刺用器具14の少なくとも一部が埋設固定された基板12bを一体成型する。
【0033】
図3(A)に示すように、複数個の基板12bを成型するために複数個の型19が並列して設けられており、複数本の穿刺用器具14を型19の所定位置に配置した状態が示されている。図3(B)に示すように、穿刺用器具14は、少なくとも一部が基板12b内に埋没するように、配置されている。このとき、穿刺用器具14の断面の半分以上が樹脂により埋設により固定されるように穿刺用器具14を配置するのが望ましい。
【0034】
以上、説明したように、この第1のバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板12bを溶融樹脂により成型する際に、穿刺用器具14の少なくとも一部を基板12b内に埋設固定するようにしたので、容易且つ確実に穿刺用器具14を基板12b内に埋設固定することができ、穿刺用器具14の断面の半分以上が埋設により固定されるようにすることも容易である。また、整列した基板12bに整列した穿刺用器具14を一度に複数本埋め込んで固定することができるので、製造効率がよい。
【0035】
次に、本発明にかかる第4実施形態である第2のバイオセンサカートリッジの製造方法について説明する。
このバイオセンサカートリッジの製造方法では、互いに対向する2枚の基板12a、12bと当該2枚の基板12a、12b間に挟装されるスペーサ層13とを有するチップ本体11と、このチップ本体11の先端部11aに固定され先端14aが突出した穿刺用器具14とを有するバイオセンサカートリッジ10の製造方法であって、加熱軟化した基板12bに穿刺用器具14の少なくとも一部を押し込んで埋設して固定するものである。
【0036】
すなわち、製造されている樹脂製の基板12bを加熱して軟化させ、軟化した部分に穿刺用器具14の少なくとも一部を押し込んで埋設して固定する。
基板12bを加熱溶融する方法としては、図4に示すように、抵抗溶接によることができる。すなわち、抵抗溶接端子21のプラス極21aおよびマイナス極21bにより、一例として金属製の穿刺用器具14に通電して穿刺用器具14を発熱させて、樹脂製の基板12bを加熱・軟化させる。同時に、穿刺用器具14に押圧力を作用させて樹脂12bの内部に押し込む。あるいは、図5に示すように、抵抗溶接端子21と穿刺用器具14との間に高抵抗金属箔22を介在させて、より効率よく発熱させて穿刺用器具14を加熱し、その熱で基板12bを軟化させることもできる。
【0037】
以上、説明したように、この第2のバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板12bを加熱軟化して、穿刺用器具14の少なくとも一部を押し込んで埋設するので、製造された基板12bに後から穿刺用器具14を容易に埋め込むことができる。また、抵抗溶接を用いて穿刺用器具14を発熱させて基板12bを溶融することにより、ピンポイントで且つ短時間で加熱させることができ、加熱によって他の部分に悪影響を与えるのを防止することができる。
【0038】
次に、本発明にかかる第5実施形態である第3のバイオセンサカートリッジの製造方法について説明する。
このバイオセンサカートリッジの製造方法では、互いに対向する2枚の基板12a、12bと当該2枚の基板12a、12b間に挟装されるスペーサ層13とを有するチップ本体11と、このチップ本体11の先端部11aに固定され先端14aが突出した穿刺用器具14とを有するバイオセンサカートリッジ10の製造方法であって、基板12bに溝18を形成し、溝18に穿刺用器具14の少なくとも一部を固定するものである。
【0039】
すなわち、図6に示すように、樹脂製の基板12bに予め溝18を形成しておき、あるいは、製造後に溝18を形成し、この溝18に穿刺用器具14を位置決めして固定する。
穿刺用器具14を溝18に固定する方法としては、接着剤や粘着テープを用いることができる。あるいは、前述した抵抗溶接を用いることにより、加熱溶融を同時に行って、溝18の内部に穿刺用器具14の少なくとも一部を押し込むこともできる。
【0040】
以上、説明したように、この第3のバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板12bに形成した溝18に穿刺用器具14の少なくとも一部を固定するので、容易に穿刺用器具14を基板12b内に埋め込んで固定することができる。また、穿刺用器具14を埋め込む深さを、溝18の深さにより容易に調整することができ、穿刺用器具14の断面の半分以上を埋設して固定することができる。さらに、加熱溶融を同時に行う場合に、穿刺用器具14の少なくとも一部を埋め込むことにより周囲に樹脂が盛り上がるのを防止して、仕上がりをきれいにすることができる。
【0041】
次に、本発明にかかる第6実施形態である第4のバイオセンサカートリッジの製造方法について説明する。
このバイオセンサカートリッジの製造方法では、互いに対向する2枚の基板12a、12bと当該2枚の基板12a、12b間に挟装されるスペーサ層13とを有するチップ本体11と、このチップ本体11の先端部11aに固定され先端14aが突出した穿刺用器具14とを有するバイオセンサカートリッジ10の製造方法であって、穿刺用器具14の少なくとも一部を超音波接合により基板12b内に固定するものである。
【0042】
すなわち、図7に示すように、樹脂製の基板12bの上に穿刺用器具14を載せ、穿刺用器具14を加圧手段23により加圧するとともに、加圧手段23をホーン24によって並行振動(図7中矢印の方向)させることにより、穿刺用器具14の少なくとも一部を基板12b内に固定する。この際、加熱溶融を同時に行うこともできる。
【0043】
以上、説明したように、この第4のバイオセンサカートリッジの製造方法においては、基板12bの外側から超音波接合によって穿刺用器具14の少なくとも一部を基板12b内に埋め込むので、基板12bの製造後に、加熱による影響を小さくして容易に穿刺用器具14を埋め込んで固定することができる。
【0044】
次に、本発明にかかる第7実施形態であるバイオセンサ装置について説明する。図8には、上述したバイオセンサカートリッジ10、10Bを用いたバイオセンサ装置30の構成が示されている。
図8に示すように、バイオセンサ装置30は、前述したバイオセンサカートリッジ10、10B、あるいは、前述したバイオセンサカートリッジの製造方法により製造されたバイオセンサカートリッジ10、10Bと、このバイオセンサカートリッジ10、10Bの検知用電極15a、15bに接続して採取された血液の情報を得る測定器31とを有している。なお、バイオセンサカートリッジ10、10Bの構成については上述したとおりであり、上述したバイオセンサカートリッジ10、10Bと共通する部位には同じ符号を付すこととして、その説明はここでは省略する。
【0045】
測定器31は電源32、制御装置33、端子挿入部34、表示部35を備え、これらが互いに接続されている。端子挿入部34にはバイオセンサカートリッジ10のチップ本体11の後端部11bが挿入されて固定されるとともに、チップ本体11の後端部11bに露出している検知用電極18a、18bが電気的に接続されるようになっている。このバイオセンサ装置30は、小型であり、例えば、被検体が片手で持つことが可能なハンディタイプである。このバイオセンサ装置30には、図示されていないが、バネ手段等によりチップ本体が移動することができる穿刺機構(ランセット)が設けられており、センサ装置30の先端に設けたキャップ36の先端に検査対象者の指を押し当てて、チップ本体11を移動させることで穿刺を行うことができる。穿刺終了後、バイオセセンサにより採血を行い、血糖値等の測定を行うことができる。
【0046】
以上、説明したバイオセンサ装置30においては、前述したバイオセンサカートリッジ10、10Bによって血液を採取し、血液の情報を検知電極15a、15bを介して測定器31に伝達することにより、短時間且つ容易に測定することができるので、被検体の負担を軽減することができる。
【0047】
なお、本発明のバイオセンサカートリッジは、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形,改良等が可能である。
例えば、前述した各実施形態においては、検知用電極15a、15bを一方の基板12aに設け、穿刺用器具14を他方の基板12bに設けた場合を例示したが、穿刺用器具14を検知用電極15a、15bと同じ基板12aに設けることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0048】
以上のように、本発明に係るバイオセンサカートリッジは、穿刺用器具をスペーサ層ではなく基板に取り付けるようにしたので、スペーサ層の厚さを小さくすることができ、スペーサ層に設ける中空反応部を小さくすることができる。これにより、試料の採取量を少なくして、使用者の負担を軽減することができる。また、このとき、穿刺用器具の少なくとも一部が基板に埋め込まれるように固定したので、穿刺用器具をスペーサ層に近づけて、穿刺位置を試料採取口に近づけることができる。これにより、試料採取口を穿刺口に近づける動作を必要とすることなく容易に穿刺口の試料を採取して測定することができるという効果を有し、カートリッジの中空反応部に収容した試薬を用いて化学物質の測定や分析を行うバイオセンサカートリッジ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】(A)は本発明のバイオセンサカートリッジに係る第1実施形態を示す平面図である。 (B)は図1(A)中B方向から見た側面図である。 (C)は図1(A)中C方向から見た端面図である。
【図2】(A)は本発明のバイオセンサカートリッジに係る第2実施形態を示す平面図である。 (B)は図2(A)中B方向から見た側面図である。 (C)は図2(A)中C方向から見た端面図である。
【図3】(A)は基板の成型時に穿刺用器具を一体的に設ける方法を示す平面図である。 (B)は側面図である。
【図4】抵抗溶接により基板を加熱軟化して穿刺用器具を埋め込んで固定する方法の一例を示す説明図である。
【図5】抵抗溶接により基板を加熱軟化して穿刺用器具を埋め込んで固定する方法の別の例を示す説明図である。
【図6】基板に設けられている溝に穿刺用器具を埋め込んで固定する方法を示す説明図である。
【図7】超音波接合により基板に穿刺用器具を埋め込んで固定する方法を示す説明図である。
【図8】本発明に係るバイオセンサ装置構成図である。
【図9】(A)は従来のバイオセンサの斜視図である。 (B)はバイオセンサの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0050】
10、10B バイオセンサカートリッジ
11 チップ本体
11a 先端部
12a、12b 基板
13 スペーサ層
14a 先端
14 穿刺用器具
18 溝
30 バイオセンサ装置
31 測定器
【出願人】 【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100116182
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 照雄

【識別番号】100135194
【弁理士】
【氏名又は名称】林 智雄


【公開番号】 特開2008−12188(P2008−12188A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188527(P2006−188527)