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【発明の名称】 磁気共鳴イメージング装置および画像処理装置
【発明者】 【氏名】市之瀬 伸保

【要約】 【課題】読影をより正確に行えるように補助する。

【構成】再構成部13は、被検体Pから放射される磁気共鳴信号に基づいて拡散強調(DWI)画像を生成する。制御部17は、拡散強調画像のうちで拡散係数が閾値未満である領域を他の領域に対して際立たせて表した読影用画像を生成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体から放射される磁気共鳴信号に基づいて拡散強調画像を生成する手段と、
前記拡散強調画像のうちで拡散係数が閾値未満である領域を他の領域に対して際立たせて表した読影用画像を生成する読影用画像生成手段とを具備したことを特徴とする磁気共鳴イメージング装置。
【請求項2】
操作者により任意に指定された値を前記閾値として設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項3】
前記読影用画像生成手段は、前記操作者により前記閾値として新たな値が指定されたことに応じて、その新たな閾値を用いて前記読影用画像を新たに生成することを特徴とする請求項2に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項4】
前記読影用画像生成手段は、
前記拡散強調画像に関する部分毎での拡散係数を表した拡散係数画像を生成する手段と、
前記拡散係数が前記閾値未満である領域を表す低領域画像を生成する低領域画像生成手段と、
前記拡散強調画像に前記低領域画像を合成して前記読影用画像を生成する合成手段とを具備することを特徴とする請求項1に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項5】
前記低領域画像生成手段は、前記拡散係数画像のうちで前記拡散係数が前記閾値未満である領域に前記拡散強調画像とは異なる色を付けた画像として前記低領域画像を生成することを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項6】
前記低領域画像生成手段は、前記拡散係数画像を前記閾値で2値化して前記低領域画像を生成し、
前記合成手段は、前記低領域画像により前記拡散強調画像をマスクして前記読影用画像を生成することを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項7】
前記読影用画像生成手段によって複数のスライスに関してそれぞれ生成される複数の読影用画像を最大値投影した最大値投影画像を生成する手段をさらに備えることを特徴とする請求項6に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項8】
前記低領域画像生成手段は、複数の閾値を使用して複数の低領域画像を生成し、
前記合成手段は、前記拡散強調画像に複数の前記低領域画像をそれぞれ合成して複数の読影用画像を生成することを特徴とする請求項4に記載の磁気共鳴イメージング装置。
【請求項9】
被検体から放射される磁気共鳴信号に基づいて生成された拡散強調画像のうちで拡散係数が閾値未満である領域を他の領域に対して際立たせて表した読影用画像を生成する読影用画像生成手段を備えたことを特徴とする画像処理装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、拡散強調画像法(diffusion weighted imaging)により得られる拡散強調画像(以下、DWI画像と称する)および拡散係数(apparent diffusion coefficient)画像(以下、ADC画像と称する)を生成する磁気共鳴イメージング装置およびDWI画像およびADC画像を取り扱う画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
磁気共鳴イメージングは、静磁場中に置かれた被検体の原子核スピンをそのラーモア周波数の高周波信号で磁気的に励起し、この励起に伴って発生するMR信号から画像を再構成する撮像法である。
【0003】
拡散強調画像法はこの磁気共鳴イメージングの分野における撮像法の1つであり、組織内における水分子の拡散の様子(速さや方向など)を表したDWI画像を得る。DWI画像は、体幹部などで腫瘍の判別に用いられ、他の撮像に比べて高感度で高コントラストであるという利点がある。なお、この拡散強調画像法は、非特許文献1乃至非特許文献3によって知られている。
【0004】
しかしながらDWI画像では、T2値が大きい組織は、腫瘍でなくても高信号で描出される特徴(いわゆるT2 shine-through)があり(非特許文献4を参照)、読影には注意が必要である。また、DWI画像をMIP(maximum intensity projection)処理する場合には、高信号の正常組織に腫瘍が隠れてしまう場合がある。さらに、b値の異なるDWI画像から作成されるADC画像にてADC値を計測することにより、腫瘍との判別がある程度可能ではあるが、ADC値は見かけの拡散係数であり絶対的な値ではないためADC値だけでは判断できないこと、ADC画像だけでは組織自体の判断がわかりづらいこと、DWIとADCとは別々の画像であるために両者を見比べるのには手間がかかる、といった不具合があった。
【非特許文献1】Le Bihan D, MRM 19(2):221-227 (1991)
【非特許文献2】Takahara T, Radiat Med 22(4):275-282 (2004)
【非特許文献3】西村恒彦 他, diffusion・perfusion MRI一望千里, メジカルビュー社, 2006
【非特許文献4】Burdette JH, Radiology 212:333-339(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したように、DWI画像であっても、ADC画像であっても、個別の画像だけでは正確な読影が困難であった。
【0006】
DWI画像とADC画像とを見比べることでより正確な読影が可能になるが、DWI画像とADC画像とは別々の画像であるために両者を見比べるのには手間がかかるという不具合があった。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたものであり、その目的とするところは、読影をより正確に行えるように補助することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以上の目的を達成するために本発明は、被検体から放射される磁気共鳴信号に基づいて拡散強調画像を生成する手段と、前記拡散強調画像のうちで拡散係数が閾値未満である領域を他の領域に対して際立たせて表した読影用画像を生成する読影用画像生成手段とを磁気共鳴イメージング装置に備えた。
【0009】
前記の目的を達成するために本発明は、被検体から放射される磁気共鳴信号に基づいて生成された拡散強調画像のうちで拡散係数が閾値未満である領域を他の領域に対して際立たせて表した読影用画像を生成する読影用画像生成手段を画像処理装置に備えた。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、読影をより正確に行えるように補助することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は本実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の構成を示す図である。この図1に示すMRI装置は、静磁場磁石1、傾斜磁場コイル2、傾斜磁場電源3、寝台4、寝台制御部5、RFコイルユニット6a,6b,6c、送信部7、選択回路8、受信部9および計算機システム10を具備する。
【0013】
静磁場磁石1は、中空の円筒形をなし、内部の空間に一様な静磁場を発生する。この静磁場磁石1としては、例えば永久磁石、超伝導磁石等が使用される。
【0014】
傾斜磁場コイル2は、中空の円筒形をなし、静磁場磁石1の内側に配置される。傾斜磁場コイル2は、互いに直交するX,Y,Zの各軸に対応する3種のコイルが組み合わされている。傾斜磁場コイル2は、上記の3種のコイルが傾斜磁場電源3から個別に電流供給を受けて、磁場強度がX,Y,Zの各軸に沿って傾斜する傾斜磁場を発生する。なお、Z軸方向は、例えば静磁場と同方向とする。X,Y,Z各軸の傾斜磁場は、例えば、スライス選択用傾斜磁場Gs、位相エンコード用傾斜磁場Geおよびリードアウト用傾斜磁場Grにそれぞれ対応される。スライス選択用傾斜磁場Gsは、任意に撮影断面を決めるために利用される。位相エンコード用傾斜磁場Geは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の位相を変化させるために利用される。リードアウト用傾斜磁場Grは、空間的位置に応じて磁気共鳴信号の周波数を変化させるために利用される。
【0015】
被検体Pは、寝台4の天板4aに載置された状態で傾斜磁場コイル2の空洞(撮影口)内に挿入される。寝台4は、寝台制御部5により駆動され、天板4aをその長手方向(図1中における左右方向)および上下方向に移動する。通常、この長手方向が静磁場磁石1の中心軸と平行になるように寝台4が設置される。
【0016】
RFコイルユニット6aは、1つまたは複数のコイルを円筒状のケースに収容して構成される。RFコイルユニット6aは、傾斜磁場コイル2の内側に配置される。RFコイルユニット6aは、送信部7から高周波パルス(RFパルス)の供給を受けて、高周波磁場を発生する。
【0017】
RFコイルユニット6b,6cは、天板4a上に載置されたり、天板4aに内蔵されたり、あるいは被検体Pに装着される。そして撮影時には、被検体Pとともに傾斜磁場コイル2の空洞内に挿入される。RFコイルユニット6b,6cとしては、アレイコイルが利用される。すなわちRFコイルユニット6b,6cは、それぞれ複数の要素コイルを備える。RFコイルユニット6b,6cに備えられた要素コイルはそれぞれ、被検体Pから放射される磁気共鳴信号を受信する。要素コイルのそれぞれの出力信号は、個別に選択回路8に入力される。受信用のRFコイルユニットは、RFコイルユニット6b,6cに限らず、様々なタイプのものが任意に装着可能である。また受信用のRFコイルユニットは、1つまたは3つ以上が装着されても良い。
【0018】
送信部7は、発振部、位相選択部、周波数変換部、振幅変調部および高周波電力増幅部を有している。発振部は、静磁場中における対象原子核に固有の共鳴周波数の高周波信号を発生する。位相選択部は、上記高周波信号の位相を選択する。周波数変換部は、位相選択部から出力された高周波信号の周波数を変換する。振幅変調部は、周波数変調部から出力された高周波信号の振幅を例えばシンク関数に従って変調する。高周波電力増幅部は、振幅変調部から出力された高周波信号を増幅する。そしてこれらの各部の動作の結果として送信部7は、ラーモア周波数に対応するRFパルスをRFコイルユニット6aに供給する。
【0019】
選択回路8は、RFコイルユニット6b,6cから出力される多数の磁気共鳴信号のうちのいくつかを選択する。そして選択回路8は、選択した磁気共鳴信号を受信部9へ与える。どのチャネルを選択するかは、計算機システム10から指示される。
【0020】
受信部9は、前段増幅器、位相検波器およびアナログディジタル変換器を有する処理系を複数チャネル備えている。これら複数チャネルの処理系へは、選択回路8が選択する磁気共鳴信号がそれぞれ入力される。前段増幅器は、磁気共鳴信号を増幅する。位相検波器は、前置増幅器から出力される磁気共鳴信号の位相を検波する。アナログディジタル変換器は、位相検波器から出力される信号をディジタル信号に変換する。受信部9は、各処理系により得られるディジタル信号をそれぞれ出力する。
【0021】
計算機システム10は、インタフェース部11、データ収集部12、再構成部13、記憶部14、表示部15、入力部16および制御部17を有している。
【0022】
インタフェース部11には、傾斜磁場電源3、寝台制御部5、送信部7、受信部9および選択回路8等が接続される。インタフェース部11は、これらの接続された各部と計算機システム10との間で授受される信号の入出力を行う。
【0023】
データ収集部12は、受信部9から出力されるディジタル信号を収集する。データ収集部12は、収集したディジタル信号、すなわち磁気共鳴信号データを、記憶部14に格納する。
【0024】
再構成部13は、記憶部14に記憶された磁気共鳴信号データに対して、後処理、すなわちフーリエ変換等の再構成を実行し、被検体P内の所望核スピンのスペクトラムデータあるいは画像データを求める。再構成部13は、DWI画像を生成する機能を備える。
【0025】
記憶部14は、磁気共鳴信号データと、スペクトラムデータあるいは画像データとを、患者毎に記憶する。
【0026】
表示部15は、スペクトラムデータあるいは画像データ等の各種の情報を制御部17の制御の下に表示する。表示部15としては、液晶表示器などの表示デバイスを利用可能である。
【0027】
入力部16は、オペレータからの各種指令や情報入力を受け付ける。入力部16としては、マウスやトラックボールなどのポインティングデバイス、モード切替スイッチ等の選択デバイス、あるいはキーボード等の入力デバイスを適宜に利用可能である。
【0028】
制御部17は、図示していないCPUやメモリ等を有しており、本実施形態のMRI装置を総括的に制御する。制御部17は、ADC画像、低ADC値領域画像(低領域画像)、読影用画像およびMIP画像を生成する機能を備える。
【0029】
以上が本実施形態に係るMRI装置の構成である。本実施形態における特徴は、DWI撮像を行った場合における画像処理にある。そこで以下に、この画像処理について詳細に説明する。
【0030】
(第1の実施形態)
図2は第1の実施形態における制御部17の処理手順を示すフローチャートである。
【0031】
DWI法を使用した診断を実行する必要が生じたならば制御部17は、図2に示す処理を開始する。
【0032】
ステップSa1において制御部17は、DWI撮像を行うように各部を制御する。このDWI撮像は、従来より行われている方法により行うことができる。そしてこのDWI撮像のなかで、再構成部13によって複数スライス分のDWI画像が生成される。図3はDWI画像の一例を示す図である。ステップSa2において制御部17は、DWI画像のそれぞれに関するADC画像を生成する。このADC画像の生成も、従来より行われている方法により行うことができる。ADC画像は、DWI画像における各画素の見かけの拡散係数を画素値として持つ画素を配列した画像である。なおDWI画像において有意な情報を有していない画素(被検体Pの外の領域に対応する画素など)に対応するADC画像の画素は、画素値が「0」にされる。図4はADC画像の一例を示す図である。
【0033】
ステップSa3において制御部17は、閾値を設定する。ここで設定する閾値は、操作者により指定される値としても良いし、デフォルトの値としても良い。ステップSa4において制御部17は、高いADC値を閾値処理してADC画像を2値化する。すなわち制御部17は、閾値以上である画素値を「0」に、閾値未満である画素値を「1」にそれぞれ置き換えることにより、ADC画像を2値化する。ただし、もともと「0」である画素値は、そのまま「0」とする。図5はここで得られる2値画像の一例を示す図である。ただし、もともと「0」である画素値をそのまま「0」とする処置を行わずに、単純に2値化することも可能である。
【0034】
ステップSa5において制御部17は、画素値が「1」である画素に対して、例えば「赤」などのカラー情報を割り付けて、低領域画像を生成する。すなわち低領域画像は、ADC値が閾値未満である領域のみにカラー情報を持った画像となる。ステップSa6において制御部17は、DWI画像に低領域画像を重ねることによって読影用画像を生成する。具体的には例えば、低領域画像においてカラー情報を持つ各画素は、当該カラー情報が表す色で、かつDWI画像における画素値に応じた画素値を持つ画素とし、低領域画像における画素値が「0」である各画素は、DWI画像における画素値に応じた画素値を持つ白黒画素とする。制御部17は、ステップSa4乃至ステップSa6の処理を、DWI撮像を行った複数のスライスのそれぞれに関して行う。従って、複数の読影用画像が生成される。
【0035】
ステップSa7において制御部17は、複数の読影用画像のうちで操作者により選択された1つまたは複数を表示部15に表示させる。制御部17は、操作者の指示に応じて表示させる読影用画像を変更する。複数の読影用画像の全てを並べて表示部15にて表示するようにしても良い。
【0036】
このように読影用画像を表示した状態で制御部17はステップSa8およびステップSa9において、閾値の変更が指定されるか、あるいは読影用画像の確定が指示されるのを待ち受ける。この待ち受け状態にあるときに操作者が入力部16にて閾値の変更を指定する操作を行ったならば、制御部17はステップSa8からステップSa10へ進む。
【0037】
ステップSa10において制御部17は、操作者の指示に応じて閾値を再設定する。そしてこののちに制御部17は、ステップSa10からステップSa4へ戻り、ステップSa4以降を再度実行する。すなわち制御部17は、再設定した閾値を使用して読影用画像を生成し直す。
【0038】
ステップSa8およびステップSa9の待ち受け状態にあるときに操作者が入力部16にて読影用画像の確定を指示したならば、制御部17はステップSa9からステップSa11へ進む。ステップSa11において制御部17は、最も新しく生成された読影用画像を保存する。ここでの読影用画像の保存先は、記憶部14であっても良いし、外部の画像サーバなどであっても良い。
【0039】
図6は読影用画像の一例を示す図である。図6は白黒で表しているために分かりづらいが、図6において図5に示した2値画像において白く示される領域に相当する領域は、例えば赤く着色されている。例えば円C1の中に存在する高画素値の領域は着色されているが、円C2,C3の中にそれぞれ存在する高画素値の領域は着色されていない。そして、図6に示した画像における画素値はDWI画像の画素値に対応し、着色の有無はADC値が閾値未満であるか否かを表す。腫瘍は、DWI画像における画素値が大きく、かつADC値が小さくなるので、円C1の中に存在する領域のように高画素値でかつ着色された領域が腫瘍である可能性がある。これに対してT2 shine-throughは、DWI画像における画素値が大きいが、ADC値も大きくなるので、円C2,C3の中に存在する領域のように高画素値であるが着色されない領域がT2 shine-throughである可能性がある。このように第1の実施形態で生成される読影用画像によれば、DWI画像が持つ情報とADC画像が持つ情報とを同時に確認しながら読影を行うことが可能であるので、読影を正確かつ簡易に行えるように支援することができる。
【0040】
また第1の実施形態では、閾値を操作者が任意に設定することができるため、患者や撮像条件などによってADC値が変化しても、それに対応して最適な閾値を設定することができる。
【0041】
また第1の実施形態では、閾値が変更された場合には、その変更された閾値を用いての読影用画像の生成を自動的に行って、表示する読影用画像も更新するため、操作者は読影用画像を確認しながら適切な閾値を設定することが可能となる。
【0042】
(第2の実施形態)
図7は第2の実施形態における制御部17の処理手順を示すフローチャートである。
【0043】
DWI法を使用した診断を実行する必要が生じたならば制御部17は、図7に示す処理を開始する。
【0044】
ステップSb1において制御部17は、DWI撮像を行うように各部を制御する。このDWI撮像は、従来より行われている方法により行うことができる。そしてこのDWI撮像のなかで、再構成部13によって複数スライス分のDWI画像が生成される。ステップSb2において制御部17は、DWI画像のそれぞれに関するADC画像を生成する。このADC画像の生成も、従来より行われている方法により行うことができる。
【0045】
ステップSb3において制御部17は、閾値を設定する。ここで設定する閾値は、操作者により指定される値としても良いし、デフォルトの値としても良い。ステップSb4において制御部17は、低いADC値を閾値処理してADC画像を2値化する。すなわち制御部17は、閾値以上である画素値を「1」に、閾値未満である画素値を「0」にそれぞれ置き換えることにより、ADC画像を2値化する。図8はここで得られる2値画像の一例を示す図である。
【0046】
ステップSb5において制御部17は、ステップSb4で得られた2値化画像を使用してDWI画像をマスク処理することによって読影用画像を生成する。具体的には、上記の2値化画像において画素値が「1」である画素に相当するDWI画像の画素の画素値を「0」に置き換える。上記の2値化画像において画素値が「0」である画素に相当するDWI画像の画素の画素値は変更しない。図9は読影用画像の一例を示す図である。制御部17は、ステップSb4およびステップSb5の処理を、DWI撮像を行った複数のスライスのそれぞれに関して行う。従って、複数の読影用画像が生成される。ステップSb6において制御部17は、上記の複数の読影用画像をMIP処理してMIP画像を生成する。図10はMIP画像の一例を示す図である。
【0047】
ステップSb7において制御部17は、MIP画像および複数の読影用画像のうちで操作者により選択された1つまたは複数を表示部15に表示させる。制御部17は、操作者の指示に応じて表示させる読影用画像を変更する。MIP画像および複数の読影用画像の全てを並べて表示部15にて表示するようにしても良い。
【0048】
このようにMIP画像や読影用画像を表示した状態で制御部17はステップSb8およびステップSb9において、閾値の変更が指定されるか、あるいは読影用画像の確定が指示されるのを待ち受ける。この待ち受け状態にあるときに操作者が入力部16にて閾値の変更を指定する操作を行ったならば、制御部17はステップSb8からステップSb10へ進む。
【0049】
ステップSb10において制御部17は、操作者の指示に応じて閾値を再設定する。そしてこののちに制御部17は、ステップSb10からステップSb4へ戻り、ステップSb4以降を再度実行する。すなわち制御部17は、再設定した閾値を使用して読影用画像およびMIP画像を生成し直す。
【0050】
ステップSb8およびステップSb9の待ち受け状態にあるときに操作者が入力部16にて読影用画像の確定を指示したならば、制御部17はステップSb9からステップSb11へ進む。ステップSb11において制御部17は、最も新しく生成された読影用画像およびMIP画像を保存する。ここでの読影用画像およびMIP画像の保存先は、記憶部14であっても良いし、外部の画像サーバなどであっても良い。
【0051】
読影用画像およびMIP画像では、ADC値が閾値以上である領域の画素については画素値「0」によってマスクされ、その他の領域の画素はDWI画像における画素値を持つ。このため、ADC値が大きくなるT2 shine-throughは、画素値「0」によってマスクされる可能性が高いが、ADC値が小さくなる腫瘍はマスクされずに残る。このため読影用画像では図9に示す円C4の中に存在する高画素値の領域のように、またMIP画像では図10に示す円C5の中に存在する高画素値の領域のように、腫瘍に相当する可能性が高い領域が際立って表される。このように第2の実施形態で生成される読影用画像によれば、DWI画像が持つ情報とADC画像が持つ情報とを同時に確認しながら読影を行うことが可能であるので、読影を正確かつ簡易に行えるように支援することができる。
【0052】
また第2の実施形態では、閾値を操作者が任意に設定することができるため、患者や撮像条件などによってADC値が変化しても、それに対応して最適な閾値を設定することができる。
【0053】
また第2の実施形態では、閾値が変更された場合には、その変更された閾値を用いての読影用画像およびMIP画像の生成を自動的に行って、表示する読影用画像およびMIP画像も更新するため、操作者は読影用画像やMIP画像を確認しながら適切な閾値を設定することが可能となる。
【0054】
この実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0055】
前記第1の実施形態において、複数の閾値を用いて複数群の読影用画像を生成しておき、操作者が指定した閾値に関する読影用画像を表示するようにしても良い。あるいは、この複数群の読影用画像を画像サーバなどに出力し、ビューワにおいて選択的に表示させるようにしても良い。
【0056】
前記第2の実施形態において、複数の閾値を用いて複数群の読影用画像および複数のMIP画像を生成しておき、操作者が指定した閾値に関する読影用画像およびMIP画像を表示するようにしても良い。あるいは、この複数群の読影用画像および複数のMIP画像を画像サーバなどに出力し、ビューワにおいて選択的に表示させるようにしても良い。
【0057】
前記第1の実施形態におけるステップSa2乃至ステップSa11の処理またはステップSa3乃至ステップSa11の処理を、MRI装置から独立したコンピュータにおいて実行させることにより、MRI装置で撮像されたDWI画像から前記第1の実施形態における読影用画像を生成する画像処理装置として実現することもできる。
【0058】
前記第2の実施形態におけるステップSb2乃至ステップSb11の処理またはステップSb3乃至ステップSb11の処理を、MRI装置から独立したコンピュータにおいて実行させることにより、MRI装置で撮像されたDWI画像から前記第2の実施形態における読影用画像およびMIP画像を生成する画像処理装置として実現することもできる。
【0059】
前記第2の実施形態において、MIP画像の生成は省略することもできる。
【0060】
読影用画像は、前記第1または第2の実施形態に示したものに限定されず、DWI画像をADC値が低い領域ほど際立たせて表した画像であれば、どのような画像であっても良い。
【0061】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施形態に係る磁気共鳴イメージング装置(MRI装置)の構成を示す図。
【図2】図1中の制御部17の第1の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図3】DWI画像の一例を示す図。
【図4】ADC画像の一例を示す図。
【図5】第1の実施形態における2値画像の一例を示す図。
【図6】第1の実施形態における読影用画像の一例を示す図。
【図7】図1中の制御部17の第2の実施形態における処理手順を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態における2値画像の一例を示す図。
【図9】第2の実施形態における読影用画像の一例を示す図。
【図10】MIP画像の一例を示す図。
【符号の説明】
【0063】
1…静磁場磁石、2…傾斜磁場コイル、3…傾斜磁場電源、4…寝台、5…寝台制御部、6a,6b,6c…RFコイルユニット、7…送信部、8…選択回路、9…受信部、10…計算機システム、11…インタフェース部、12…データ収集部、13…再構成部、14…記憶部、15…表示部、16…入力部、17…制御部。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−12172(P2008−12172A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188284(P2006−188284)