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【発明の名称】 超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラム
【発明者】 【氏名】鷲見 篤司

【氏名】潟口 宗基

【氏名】坂口 文康

【氏名】掛江 明弘

【氏名】滝本 雅夫

【要約】 【課題】撮影視野や空間分解能を維持しつつ関心領域をより良好なフレームレートで観察することが可能な超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムを提供することである。

【構成】超音波診断装置は、関心領域Rおよび関心領域R以外の領域R2の走査を行う第1のスキャンを実行する第1のスキャン実行手段と、関心領域Rのみの走査を行う第2のスキャンを実行する第2のスキャン実行手段と、第2のスキャンにより得られた画像データI3に関心領域R以外の領域R2における画像データI5を合成する画像合成手段と、第1のスキャンにより得られた画像データI1、I2、I4および画像合成手段により合成された画像データI6を表示する画像表示手段とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関心領域および関心領域以外の領域の走査を行う第1のスキャンを実行する第1のスキャン実行手段と、
前記関心領域のみの走査を行う第2のスキャンを実行する第2のスキャン実行手段と、
前記第2のスキャンにより得られた画像データに前記関心領域以外の領域における画像データを合成する画像合成手段と、
前記第1のスキャンにより得られた画像データおよび前記画像合成手段により合成された画像データを表示する画像表示手段と、
を有することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記関心領域を検出する関心領域検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項3】
入力装置から与えられたトリガ信号に同期して前記関心領域を検出する関心領域検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記関心領域を複数回に亘って検出する関心領域検出手段と、
前記関心領域を順次更新する関心領域更新手段をさらに備え、
前記第2のスキャン実行手段は、更新された関心領域のみの走査を行う前記第2のスキャンを複数回に亘って実行するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
指定した時間間隔で前記関心領域を複数回に亘って検出する関心領域検出手段と、
前記関心領域を順次更新する関心領域更新手段をさらに備え、
前記第2のスキャン実行手段は、更新された関心領域のみの走査を行う前記第2のスキャンを複数回に亘って実行するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項6】
前記第1のスキャンによって得られた互いに異なるフレーム間における画像データの変化量を求め、前記変化量の閾値判定により前記変化量が所定の値を超える部分および前記変化量が所定の値以上となる部分のいずれかを含む領域を前記関心領域として検出する関心領域検出手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記第2のスキャン実行手段は、前記関心領域の深さに応じた送信パルス繰り返し周波数で走査を行うように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記画像合成手段は、前記第1のスキャンによって得られた互いに異なるフレームにおける画像データのフレーム間補間によって前記関心領域以外の領域における前記画像データを生成するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記画像合成手段は、前記第1のスキャンによって得られた前記関心領域および前記関心領域以外の領域の画像データのうち前記関心領域以外の領域における前記画像データを前記第2のスキャンにより得られた前記画像データに合成するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記画像表示手段は、走査時間から算出した表示レートと同期して前記第1のスキャンにより得られた前記画像データおよび前記画像合成手段により合成された前記画像データを表示するように構成されることを特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項11】
コンピュータを、
関心領域および関心領域以外の領域の走査を行う第1のスキャンを実行するための送信レートとして第1の制御信号を作成する第1の送信レート作成手段、
前記関心領域のみの走査を行う第2のスキャンを実行するための送信レートとして第2の制御信号を作成する第2の送信レート作成手段、および
前記第2のスキャンにより得られた画像データに前記関心領域以外の領域における画像データを合成する画像合成手段、
として機能させることを特徴とする超音波診断装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、フレームレートが改善されるようにフレームごとに走査領域を変更した画像を合成表示する超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置は、被検体内に超音波を送受信することによって、被検体内の組織の断層像を無侵襲に得る画像診断装置である。この超音波診断装置において、心臓の弁のように被検体内の構造物の速い動きを観察する場合、高いフレームレートが必要となる。フレームレートとは、動画やリアルタイム画像において毎秒表示される画像の枚数である。従って、超音波診断装置におけるフレームレートは、単位時間に収集される画像の枚数と言うこともできる。
【0003】
一方で、超音波診断装置を用いて高画質なTHI(Tissue Harmonic Imaging)画像を得る手法として、複数回に亘って得られた同一走査線上の複数の受信信号を合成して映像化する技術がPulseInversion法またはPulseSubtraction法として知られている。THIは、基本波となる超音波を生体組織中に送信することによって発生する、基本波の整数倍、主に2倍の周波数の高調波信号を受信して画像化する技術である。このTHIによれば、アーチファクトを低減させた画像を得ることができる。
【0004】
しかし、PulseInversion法では、同一走査線上に複数回に亘って超音波を送受信することから、送信レート数が増加するという性質がある。この送信レート数の増加は、フレームレートの低下の要因となっており、十分なフレームレートが得られない場合がある。
【0005】
このように、フレームレートの向上は、超音波診断装置による様々な撮像に関わる課題である。フレームレートは1フレーム内の送信レート数で決定される。すなわち、1フレーム内の送信レート数を低減させる程、フレームレートを向上させることができる。
【0006】
そこで、送信レート数を減らすために、走査線本数(走査線密度)を減らす、或いはスキャン幅を狭くするといった対策がしばしばとられている。しかし、走査線本数(走査線密度)を減らすと隣接する走査線間の間隔より細かな変化を検出することができなくなるため、方位分解能が劣化するというデメリットがある。また、スキャン幅を狭くすると視野幅が狭くなるというデメリットがある。
【0007】
このような、デメリットを低減させる技術として、関心領域を指定し、関心領域以外は関心領域よりも粗い走査線密度でスキャンする技術が考案されている(例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3参照)。この技術によれば、関心領域における分解能を維持しつつ、フレームレートを改善することができる。
【0008】
また、フレームレートを向上させる別の技術として並列同時受信が挙げられる。並列同時受信は、1回の超音波送信で複数の走査線上に生じた超音波エコー信号を同時に受信する技術である。並列同時受信によれば、単位時間当たりの走査線数が増加するため、フレームレートを改善することができる。
【0009】
さらに、フレームレートを向上させる別の技術としてフレーム補間によって得られた補間画像を断続的に収集された画像間に挿入して表示させる技術が挙げられる。この技術によれば、見かけ上のフレームレートを向上させることができる。フレーム補間の応用として、異なるタイミングで収集された複数の画像から動きベクトルを検出し、補間画像の挿入によって動きを滑らかに表示する方法がある。
【特許文献1】特開平6−217981号公報
【特許文献2】特開平9−192130号公報
【特許文献3】特開2000−232978号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の関心領域以外は関心領域よりも粗い走査線密度でスキャンする方法では、関心領域以外も常にスキャンすることとなる。このためフレームレートが十分に改善しない上に、走査線密度を粗くした部分の方位分解能が劣化するという欠点がある。
【0011】
また、並列同時受信を行えば、走査線本数やスキャン幅を維持しつつフレームレートを向上させることができる。しかし、並列同時受信の同時受信本数を過剰に増加させると、位相の歪みによるアーチファクトが発生するという問題がある。従って、並列同時受信の同時受信本数には、限界が存在する。
【0012】
また、フレーム補間によって見かけ上のフレームレートを上げる方法では、生体内の構造物の移動距離が大きい場合や、構造物が変形した場合に、正確な補間画像を生成することが困難であるという問題がある。
【0013】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、撮影視野や空間分解能を維持しつつ関心領域をより良好なフレームレートで観察することが可能な超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る超音波診断装置は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、関心領域および関心領域以外の領域の走査を行う第1のスキャンを実行する第1のスキャン実行手段と、前記関心領域のみの走査を行う第2のスキャンを実行する第2のスキャン実行手段と、前記第2のスキャンにより得られた画像データに前記関心領域以外の領域における画像データを合成する画像合成手段と、前記第1のスキャンにより得られた画像データおよび前記画像合成手段により合成された画像データを表示する画像表示手段とを有することを特徴とするものである。
【0015】
また、本発明に係る超音波診断装置の制御プログラムは、上述の目的を達成するために、請求項11に記載したように、コンピュータを、関心領域および関心領域以外の領域の走査を行う第1のスキャンを実行するための送信レートとして第1の制御信号を作成する第1の送信レート作成手段、前記関心領域のみの走査を行う第2のスキャンを実行するための送信レートとして第2の制御信号を作成する第2の送信レート作成手段、および前記第2のスキャンにより得られた画像データに前記関心領域以外の領域における画像データを合成する画像合成手段として機能させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムにおいては、撮影視野や空間分解能を維持しつつ関心領域をより良好なフレームレートで観察することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明に係る超音波診断装置および超音波診断装置の制御プログラムの実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0018】
図1は本発明に係る超音波診断装置の実施の形態を示すブロック図である。
【0019】
超音波診断装置1は、超音波プローブ2、送受信部3、画像処理部4、画像メモリ5、表示処理部6、モニタ7、関心領域検出部8、関心領域更新部9、レート制御部10、表示タイミング制御部11および入力装置12を備えている。各構成要素は、回路やコンピュータにプログラムを読み込ませたシステムにより構築することができる。
【0020】
超音波プローブ2は、超音波を送受信するための複数の超音波振動子を備えている。そして、超音波プローブ2は、送受信部3から電気信号として与えられた送信信号を超音波として被検体内に送信する一方、被検体内において生じた超音波エコーを受信して電気信号としてのエコー信号に変換するように構成される。
【0021】
送受信部3は、レート制御部10から与えられるパルス繰り返し周波数(PRF: pulse repetition frequency)や送受位置情報等の条件に従って超音波プローブ2から所望の超音波が送受信されるように超音波プローブ2に送信信号を与える回路である。そして、PRFによって、超音波を送受信するレートが決定される。また、送受信部3は、超音波プローブ2からエコー信号を受けて画像処理部4に与える機能を有する。
【0022】
画像処理部4は、送受信部3から受けたエコー信号の振幅に応じて、エコー信号を輝度情報に変換することによってBモード画像データを生成する機能と、送受信部3から受けたエコー信号からカラードプラ像等の様々な画像データを生成する機能を有する。生成されたBモード画像データやカラードプラ像等の画像データは、画像処理部4から画像メモリ5に書き込まれて保存されるように構成されている。
【0023】
表示処理部6は、画像メモリ5に保存された画像データを読み込んで、必要に応じて画像データの合成処理を行うことにより、モニタ7に表示させるための表示画像データを作成する機能を有する。また、表示処理部6は、表示タイミング制御部11から受けた表示タイミングに従って、表示画像データをモニタ7に与えて表示させる機能を有する。また、表示画像データは、必要に応じて画像メモリに適宜保存される。
【0024】
関心領域検出部8は、画像メモリ5に保存された画像データを元に動きのある領域を関心領域として検出する機能と、検出した関心領域を関心領域情報として関心領域更新部9に与える機能とを有する。関心領域の検出タイミングは、入力装置12から関心領域検出部8に指示することができる。
【0025】
関心領域更新部9は、関心領域検出部8から関心領域情報を受け取る度に、既に関心領域検出部8から受け取った関心領域情報を更新する機能と、更新後の関心領域情報をレート制御部10に与える機能とを有する。
【0026】
レート制御部10は、PRFや送受位置情報等の条件を送受信部3に与えることにより、所望の送受位置において所望PRFでスキャンを実行させる機能を有する。特に、レート制御部10は、関心領域更新部9から受けた更新後の関心領域情報に基づいて、関心領域のみを走査する送信レートを所定のタイミングで挿入する制御を送受信部3に対して行う機能と、関心領域のみを走査する送信レートのタイミングを表示タイミング制御部11に通知する機能が備えられる。関心領域のみを走査する送信レートのタイミングは、入力装置12からレート制御部10に指示することができる。
【0027】
表示タイミング制御部11は、レート制御部10から受けた関心領域のみを走査する送信レートのタイミングに基づいて、各表示画像データが一定の間隔でモニタ7に表示されるように表示処理部6に表示タイミングを指示する機能を有する。
【0028】
次に、超音波診断装置1の動作および作用について説明する。
【0029】
図2は、図1に示す超音波診断装置1によるスキャンの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0030】
まずステップS1において、予め定められた所定フレーム分の超音波が送受信される。超音波は、少なくとも2フレーム分送受信される必要があるため、ここでは、2フレーム分の超音波が送受信されるものとする。
【0031】
すなわち、レート制御部10から、Bモード画像として表示させる全範囲を超音波の送受位置として所定のPRFで超音波が送受されるように制御信号が送受信部3に与えられる。送受信部3は、レート制御部10から与えられたPRFや送受位置情報等の条件に従って超音波プローブ2から所望の超音波が送受信されるように超音波プローブ2に送信信号を与える。
【0032】
超音波プローブ2は、送受信部3から電気信号として与えられた送信信号を各超音波振動子から超音波として被検体内の各送受位置に所定のPRFで送信する。そして、被検体内の各送受位置において生じた超音波エコーが超音波プローブ2により受信され、超音波プローブ2は、超音波エコーをエコー信号に変換する。エコー信号は、超音波プローブ2から送受信部3を介して画像処理部4に与えられる。
【0033】
このようなエコー信号の収集は、1枚のBモード画像として表示させる全範囲について指定された走査線密度で行われ、1フレーム分のエコー信号が先に収集される。そして、画像処理部4では、Bモード画像データが作成され、作成されたBモード画像データは画像メモリ5に書き込まれて保存される。
【0034】
そして、表示処理部6は、画像メモリ5に保存された1フレーム目のBモード画像データを読み込んで、モニタ7に表示させる。
【0035】
図3は、図1に示す超音波診断装置1によるスキャンによって収集される画像データ、関心領域の検出処理および画像合成処理を説明する図である。
【0036】
図3に示すように、スキャンによって1フレーム目のエコー信号が収集されて、例えば中央部に心臓が描出されたBモード画像データI1がモニタ7に表示される。
【0037】
次に、1フレーム目と同様に2フレーム目のエコー信号が収集され、2フレーム目のBモード画像データI2が作成される。そして、2フレーム目のBモード画像データI2がモニタ7に表示される。例えば心臓の弁のように動きのある部位は、1フレーム目と2フレーム目とで位置が移動する。
【0038】
次にステップS2において、関心領域検出部8は、画像メモリ5に保存された画像データを元に関心領域Rを検出する。具体的には、関心領域検出部8は、1フレーム目および2フレーム目のBモード画像データI1、I2を元に、例えば自己相関を行って1フレーム目と2フレーム目との間におけるBモード画像データI1、I2の変化量を算出する。そして、Bモード画像データI1、I2の変化量が、予め設定された閾値以上となる部分あるいは予め設定された閾値を超える部分を包含する領域を関心領域Rとして検出する。すなわち、関心領域検出部8により、閾値処理によってBモード画像データI1、I2の変化量が多い部分を含む領域が動きの速い関心領域Rとして検出される。
【0039】
ただし、関心領域の検出方法は他の方法により行ってもよい。例えば、ユーザが入力装置12の操作によって設定することもできる。また、臓器や器官の位置情報から関心領域Rを決定してもよい。
【0040】
関心領域検出部8は、検出した関心領域Rを関心領域情報として関心領域更新部9に与える。関心領域更新部9は、過去に関心領域検出部8から関心領域情報を受け取っている場合には、関心領域情報を更新し、更新後の関心領域情報をレート制御部10に与える。
【0041】
次にステップS3において、レート制御部10は、関心領域更新部9から受けた更新後の関心領域情報に基づいて、更新後における関心領域Rのみを走査するスキャン条件を作成する。
【0042】
次にステップS4において、関心領域Rの走査が行われ、関心領域Rから収集されたエコー信号を用いてBモード画像が作成される。すなわち、レート制御部10から、関心領域Rを超音波の送受位置として所定のPRFで超音波が送受されるように制御信号が送受信部3に与えられる。これにより、1フレーム目および2フレーム目のBモード画像データI1、I2と同様に、図3に示すような動きが速い関心領域RのみにおけるBモード画像データI3が3フレーム目のBモード画像データとして作成される。関心領域におけるBモード画像データI3は、画像メモリ5に保存される。
【0043】
次にステップS5において、ステップS1と同様に関心領域Rを含む全領域のBモード画像データを作成するための走査が少なくとも1フレーム分行われる。そして、全領域の走査によって、例えば、図3に示すように4フレーム目のBモード画像データI4が作成されて、画像メモリ5に保存される。
【0044】
次にステップS6において、3フレーム目の関心領域RにおけるBモード画像データI3に関心領域Rとされなかった領域R2(非関心領域)におけるBモード画像データI5が合成される。すなわち、表示処理部6は、画像メモリ5から2フレーム目、3フレーム目、4フレーム目の各Bモード画像データI2、I3、I4を読み込む。そして、図3に示すように3フレーム目で走査を行わなかった非関心領域R2におけるデータ(収集されなかったエコー信号)を2フレーム目と4フレーム目の対応する部位におけるデータ(エコー信号)から補間処理により求める。すなわち、表示処理部6は、2フレーム目と4フレーム目の各Bモード画像データI2、I4からフレーム間補間によって、3フレーム目における非関心領域R2のデータを求める。
【0045】
そして、表示処理部6は、フレーム間補間によって得られた3フレーム目における非関心領域R2のデータを走査によって得られた3フレーム目の関心領域RにおけるBモード画像データI3と合成する。このように作成された3フレーム目の全領域におけるBモード画像データI6は、モニタ7に与えられて表示される。続いて、4フレーム目のBモード画像データI4も表示処理部6からモニタ7に与えられて表示される。
【0046】
以降同様にして関心領域の検出および画像の合成処理が繰り返し行われる。すなわち、画像メモリ5に保存された2フレーム目と4フレーム目のBモード画像データI2、I4から関心領域Rが検出される。次に、検出された関心領域Rに従って、関心領域更新部9において関心領域情報が更新される。そして、更新後の関心領域Rのみの走査が5フレーム目のBモード画像データの作成のために実施される。
【0047】
図3に示す例では、偶数番目のフレーム分のBモード画像データの作成用には全領域が走査され、奇数番目のフレーム分のBモード画像データの作成用には過去の偶数フレーム目のBモード画像データから検出した関心領域のみが走査される。すなわち、偶数番目のフレームのBモード画像データからは動きが遅い領域が検出される。そして、奇数番目のフレームでは、動きが遅い領域を含まない部分のみのスキャンが行われる。次に、スキャンされなかった奇数フレーム目の非関心領域におけるデータは、前後のフレームのBモード画像データからフレーム間補間によって生成する。そして、フレーム間補間によって生成された補間画像データが奇数フレーム目の関心領域におけるBモード画像データと合成され、表示用の画像データとされる。
【0048】
このため、ユーザは、視野を維持したまま関心領域のフレームレートを上げて画像を観察することが可能となる。
【0049】
一般的に、フレーム間補間は、構造物が変形したり、構造物の動きが速い場合に、補間の精度が劣化することが予想される。しかし、比較的変化が少ない非関心領域に対してのみフレーム間補間を行うので、フレーム間補間画像の劣化量は、十分に低減されることとなる。
【0050】
尚、ここまでの例では、奇数フレーム目における非関心領域の画像データを前後のフレームの画像データからフレーム補間によって生成する場合について説明したが、フレーム間補間によらない方法で奇数フレーム目における非関心領域の画像データを生成してもよい。例えば、非関心領域の画像データがない奇数フレーム目よりも前の任意のフレームにおいて走査によって得られた全領域における画像データを画像メモリ5に保持し、保持した画像データのうち非関心領域に対応する画像データを奇数フレーム目において収集した関心領域の画像データとの合成用に用いてもよい。
【0051】
上述したように、動きが遅い領域を含む非関心領域をフレームごとに間欠的にスキャンすることで、動きが速い部分を含む関心領域におけるスキャンのフレームレートを向上させることができる。一方、動きが遅い領域を含む非関心領域はフレームごとに間欠的にスキャンされるが、前後のスキャンにおいて収集された画像データからフレーム間補間により間欠時の画像データが生成されるため、視野幅を維持することができる。従って、視野幅を維持しつつ、動きが速い生体内の構造物を、良好なフレームレートかつ高分解能で撮像すること可能となる。
【0052】
図4は図1に示す超音波診断装置1によるスキャンのフレームレートを従来の超音波診断装置によるスキャンのフレームレートを比較した図である。
【0053】
図4において横軸は時間を示す。また図4において上段は、従来の超音波診断装置によるスキャンのフレームレートを示し、下段は、図1に示す超音波診断装置1によるスキャンのフレームレートを示す。また、図4の実線は、全領域を走査するフレームを示し、点線は、関心領域のみを走査するフレームを示す。さらに、三角記号は、関心領域を検出および更新するレートを示している。
【0054】
図4の上段に示すように、従来の超音波診断装置によるスキャンでは、関心領域と非関心領域の双方を含む全領域について一定の間隔でn回スキャンが実行される。これにより1フレーム目からnフレーム目の画像データが収集される。これに対し、図4の下段に示すように1フレーム目を除く奇数フレーム目のスキャンは、関心領域のみをスキャンするため、全領域をスキャンする場合に比べて短い時間で終了する。図4は、関心領域の走査時間が全領域の走査時間の1/3になる場合の例を示している。
【0055】
また、実線で示す偶数フレーム目のスキャンにおいて、関心領域が検出および更新される。
【0056】
図4の例によれば、従来の超音波診断装置を用いたスキャンで10フレーム分の画像データを表示するために要する時間内に、図1に示す超音波診断装置1によるスキャンによって14フレーム分の画像データを表示することができるのが分かる。
【0057】
また、関心領域のみを走査するスキャンと全領域を走査するスキャンとは、必ずしも交互に行う必要はなく、各スキャンをそれぞれ任意数続けて実行してもよい。
【0058】
図5は図1に示す超音波診断装置1により、関心領域のみを走査するスキャンを3回続けて実行する場合におけるフレームレートを従来の超音波診断装置によるスキャンのフレームレートと比較した図である。
【0059】
図5において横軸は時間を示す。また図5において上段は、従来の超音波診断装置によるスキャンのフレームレートを示し、下段は、図1に示す超音波診断装置1によるスキャンのフレームレートを示す。また、図5の実線は、全領域を走査するフレームを示し、点線は、関心領域のみを走査するフレームを示す。さらに、三角記号は、関心領域を検出および更新するレートを示している。
【0060】
図5の下段に示すように、超音波診断装置1により1フレーム目および2フレーム目で全領域の走査が行われ、1フレーム目および2フレーム目の各画像データから関心領域が検出される。次に、3フレーム目、4フレーム目および5フレーム目では、2フレーム目において検出された関心領域のみの走査が続けて行われる。そして、6フレーム目において再び全領域の走査が行われ、2フレーム目と6フレーム目において収集された画像データから関心領域が検出される。これにより関心領域情報が更新され、7フレーム目、8フレーム目および9フレーム目では、更新後の関心領域のみの走査が続けて行われる。
【0061】
図5に示すように、関心領域のみ走査するフレームを続けて行えば、スキャン時間が短くなるため、関心領域をより良好なフレームレートで観察することが可能となる。
【0062】
尚、3フレーム目、4フレーム目および5フレーム目における非関心領域の画像データは、2フレーム目における非関心領域の画像データを用いることができる。すなわち画像メモリ5に2フレーム目における非関心領域の画像データが保持され、保持された非関心領域の画像データと、3フレーム目、4フレーム目および5フレーム目における関心領域の画像データとが合成されて表示用の画像データとされる。同様に、7フレーム目、8フレーム目および9フレーム目における非関心領域の画像データは、6フレーム目における非関心領域の画像データを用いることができる。このような画像合成により視野を維持することが可能となる。
【0063】
図4や図5の例では、関心領域の検出および更新は一定の時間間隔で行われているが、関心領域の検出および更新の時間間隔は、入力装置12から関心領域検出部8に指示情報を与えることにより任意に指定することができる。
【0064】
また、操作者が入力したトリガと同期して関心領域の検出および更新を行うようにしてもよい。この場合、入力装置12から関心領域検出部8に関心領域を検出するためのトリガ信号が与えられ、関心領域検出部8はトリガ信号に応答して関心領域を検出するように構成される。そして、操作者が次にトリガを入力するまでの間、関心領域情報が更新されずに関心領域検出部8に保持されることとなる。
【0065】
上述した関心領域の更新方法の他、一旦、検出された関心領域を更新せずに用いてもよい。
【0066】
さらにここまでは、関心領域を一定のスキャン角の範囲内として検出する方法について説明したが、表示深さ方向についても関心領域を設定することができる。
【0067】
図6は、図1に示す超音波診断装置1において、表示深さ方向に関心領域を設定した例を示す図である。
【0068】
関心領域が表示深さに対して浅い場合には、図6に示すように関心領域を表示深さ方向にも設定することができる。そして、関心領域の走査に必要な送信PRFにより関心領域のみ走査すれば、関心領域のみの走査時間が短縮され、関心領域におけるフレームレートをさらに向上させることができる。
【0069】
ところで、図4および図5に示すように関心領域のみのスキャンと、全領域のスキャンにそれぞれ要する時間は異なるため、画像メモリ5に画像データが書き込まれるタイミングは一定とはならない。しかし、モニタ4には、一定の更新速度(表示レート)で画像データを更新させることがスムースな動きを描出する上で重要となる。
【0070】
そこで、表示タイミング制御部11は、レート制御部10から関心領域のみを走査する送信レートのタイミングを取得して、関心領域のみを走査するフレームが何フレーム目であるかを検出する。さらに、関心領域のみの走査時間および全領域の走査時間から、1フレームの画像データの平均取得時間を表示画像データの表示レートとして計算する。そして、表示タイミング制御部11は、計算によって得られた表示レートを表示処理部6に与える。これにより、表示処理部6は、表示レートと同期して表示画像データを一定の間隔でモニタ4に表示させることができる。
【0071】
つまり以上のような超音波診断装置1は、関心領域を検出し、間欠的に関心領域のみ走査するスキャンによって得られた関心領域の走査画像を、非関心領域の画像とを合成表示させるようにしたものである。すなわち、超音波診断装置1によれば、動きに適応して生体の動きの遅い非関心領域が間欠的にスキャンされ、フレーム間補間によってスキャンが行われなかった非関心領域における画像データが補完される。
【0072】
このため、超音波診断装置1によれば、フレームレートの改善を図ることができる。また、関心領域以外の部分は、フレーム間補間もしくは最後に走査して得られた画像データを保持して合成表示されるため、視野の制約を受けることがない。
【0073】
さらに、フレーム間で変化の大きい部分を関心領域として設定することで、動きの速い部分を選択的に高いフレームレートで観察することができる。一方、関心領域以外の部分の動きは遅いため、間欠的にスキャンを行っても、関心領域以外の部分を表示するためにフレーム間補間を行えば、補間の精度を維持できる。また、最後にスキャンした非関心領域における画像データを保持して関心領域の画像データと合成する場合には、時相ずれを低減することができる。
【0074】
また、関心領域以外の部分が関心領域と同じ走査線密度でスキャンされるため、空間分解能を維持することができる。ただし、関心領域における走査線密度と、関心領域以外の部分における走査線密度を変えてもよい。特に、従来考案されているように関心領域以外の部分における走査線密度を関心領域における走査線密度よりも粗く設定すれば、さらにフレームレートを改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明に係る超音波診断装置の実施の形態を示すブロック図。
【図2】図1に示す超音波診断装置によるスキャンの流れを示すフローチャート。
【図3】図1に示す超音波診断装置によるスキャンによって収集される画像データ、関心領域の検出処理および画像合成処理を説明する図。
【図4】図1に示す超音波診断装置によるスキャンのフレームレートを従来の超音波診断装置によるスキャンのフレームレートを比較した図。
【図5】図1に示す超音波診断装置により、関心領域のみを走査するスキャンを3回続けて実行する場合におけるフレームレートを従来の超音波診断装置によるスキャンのフレームレートと比較した図。
【図6】図1に示す超音波診断装置において、表示深さ方向に関心領域を設定した例を示す図。
【符号の説明】
【0076】
1 超音波診断装置
2 超音波プローブ
3 送受信部
4 画像処理部
5 画像メモリ
6 表示処理部
7 モニタ
8 関心領域検出部
9 関心領域更新部
10 レート制御部
11 表示タイミング制御部
12 入力装置
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100122253
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 潤一


【公開番号】 特開2008−12141(P2008−12141A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−187548(P2006−187548)