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【発明の名称】 カプセル内視鏡
【発明者】 【氏名】沢地 洋一

【要約】 【課題】凹凸状態が確認しやすい立体撮影を行うことのできるカプセル内視鏡を得る。

【構成】被写体を撮像するための撮像素子34と、撮像素子34を駆動させる駆動/サンプリング部(図示省略。)と、撮像素子34の撮像領域に被写体像を結像させる結像光学系36と、を備え、本体内部に所定の回転軸Lを中心として回転可能に設けられた撮像部30に対して、当該回転に伴って撮像素子34が回転軸Lを中心として回転するように撮像素子34が回転軸Lから偏位した位置に設けられる一方、制御部12により、回転軸Lを中心として撮像部30を回転駆動するモータ40による撮像部30の回転動作及び前記駆動/サンプリング部による撮像素子34の撮像動作を制御する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像するための撮像素子と、
前記撮像素子を駆動させる撮像駆動手段と、
前記撮像素子の撮像領域に被写体像を結像させる結像光学系と、
本体内部に所定の回転軸を中心として回転可能に設けられ、当該回転に伴って前記撮像素子が前記回転軸を中心として回転するように当該撮像素子が前記回転軸から偏位した位置に設けられた回転部材と、
前記回転軸を中心として前記回転部材を回転駆動する回転駆動手段と、
前記回転駆動手段による前記回転部材の回転動作及び前記撮像駆動手段による前記撮像素子の撮像動作を制御する制御手段と、
を備えたカプセル内視鏡。
【請求項2】
前記結像光学系は、光軸方向が前記撮像素子による撮像方向前方の前記回転軸の軸線方向を向くように傾斜されている
請求項1記載のカプセル内視鏡。
【請求項3】
前記撮像素子は、撮像領域の中心位置が前記本体内における前記結像光学系の光軸中心より外側に位置されるように設けられている
請求項1又は請求項2記載のカプセル内視鏡。
【請求項4】
前記回転部材の回転駆動時における重量上のバランスをとるように当該回転部材に設けられたバランス調節部材を更に備えた
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載のカプセル内視鏡。
【請求項5】
前記回転部材の回転駆動時に当該回転部材の回転方向と逆方向に回転される第2の回転部材を更に備えた
請求項1乃至請求項4の何れか1項記載のカプセル内視鏡。
【請求項6】
被写体に対して光を照射する発光素子を更に備えた
請求項1乃至請求項5の何れか1項記載のカプセル内視鏡。
【請求項7】
前記発光素子から射出された光を被写体に向けて集光する集光手段、又は前記発光素子から射出された光を被写体に向けて拡散する拡散手段を更に備えた
請求項6記載のカプセル内視鏡。
【請求項8】
前記集光手段又は前記拡散手段と前記結像光学系は、一体形成されたものである
請求項7記載のカプセル内視鏡。
【請求項9】
前記制御手段は、前記回転部材を回転角度が360度の範囲内で回転駆動させるように前記回転駆動手段を制御する
請求項1乃至請求項8の何れか1項記載のカプセル内視鏡。
【請求項10】
前記回転部材は、円形とされ、かつ前記撮像素子が端部近傍に設けられる基板を有する
請求項1乃至請求項9の何れか1項記載のカプセル内視鏡。
【請求項11】
前記回転部材は、前記撮像素子が一端部に設けられる矩形状とされ、かつ前記一端部の辺が前記撮像素子の対応する辺の長さに略一致するものとされた基板を有する
請求項1乃至請求項10の何れか1項記載のカプセル内視鏡。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、カプセル内視鏡に係り、特に、立体撮影(複眼撮影)を行うことのできるカプセル内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カプセル内視鏡として適用できる技術として、特許文献1には、体内観察用のカプセル型の超小型カメラが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、各種機能手段を備えた医療用カプセル装置において、回転自在に支持された回転部材を有し、その回転部材が回転することによって電気エネルギーを発生する発電手段と、前記回転部材に偏心した状態で固着された偏心体と、前記発電手段からの電力を蓄え、前記各種機能手段に電力を供給する蓄電手段と、を設けた技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−15515号公報
【特許文献2】特開平9−327447号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、カプセル内視鏡は、その主な目的が内臓等の体内における異常部位の発見にあるため、カプセル内視鏡による撮影では、体内の内壁等における凹凸状態が確認しやすい立体画像を撮影できることが望まれている。
【0005】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2に開示されている技術では、複数のカプセルを一体構成として用いることによって立体撮影を行うことはできるものの、必ずしも上記のような凹凸状態が確認しやすい立体撮影を行うことができるとは限らない、という問題点があった。
【0006】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、凹凸状態が確認しやすい立体撮影を行うことのできるカプセル内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のカプセル内視鏡は、被写体を撮像するための撮像素子と、前記撮像素子を駆動させる撮像駆動手段と、前記撮像素子の撮像領域に被写体像を結像させる結像光学系と、本体内部に所定の回転軸を中心として回転可能に設けられ、当該回転に伴って前記撮像素子が前記回転軸を中心として回転するように当該撮像素子が前記回転軸から偏位した位置に設けられた回転部材と、前記回転軸を中心として前記回転部材を回転駆動する回転駆動手段と、前記回転駆動手段による前記回転部材の回転動作及び前記撮像駆動手段による前記撮像素子の撮像動作を制御する制御手段と、を備えている。
【0008】
請求項1に記載のカプセル内視鏡によれば、被写体を撮像するための撮像素子が撮像駆動手段により駆動される。また、この際、前記撮像素子の撮像領域には、結像光学系により被写体像が結像される。なお、上記撮像素子には、CCDエリアセンサ、CMOSイメージ・センサ等の固体撮像素子が含まれる。
【0009】
ここで、本発明では、本体内部に所定の回転軸を中心として回転可能に設けられた回転部材に対して、当該回転に伴って前記撮像素子が前記回転軸を中心として回転するように当該撮像素子が前記回転軸から偏位した位置に設けられる一方、回転駆動手段により、前記回転軸を中心として前記回転部材が回転駆動されるものとされており、制御手段により、前記回転駆動手段による前記回転部材の回転動作及び前記撮像駆動手段による前記撮像素子の撮像動作が制御される。
【0010】
このように、請求項1に記載のカプセル内視鏡によれば、被写体を撮像するための撮像素子と、前記撮像素子を駆動させる撮像駆動手段と、前記撮像素子の撮像領域に被写体像を結像させる結像光学系と、を備え、本体内部に所定の回転軸を中心として回転可能に設けられた回転部材に対して、当該回転に伴って前記撮像素子が前記回転軸を中心として回転するように当該撮像素子が前記回転軸から偏位した位置に設けられる一方、前記回転軸を中心として前記回転部材を回転駆動する回転駆動手段による前記回転部材の回転動作及び前記撮像駆動手段による前記撮像素子の撮像動作を制御しているので、凹凸状態が確認しやすい立体撮影を行うことができる。
【0011】
なお、本発明の前記結像光学系は、請求項2に記載の発明のように、光軸方向が前記撮像素子による撮像方向前方の前記回転軸の軸線方向を向くように傾斜されているものとしてもよい。これにより、近接した被写体に対する立体撮影を良好に行うことができる。
【0012】
また、本発明の前記撮像素子は、請求項3に記載の発明のように、撮像領域の中心位置が前記本体内における前記結像光学系の光軸中心より外側に位置するように設けられているものとしてもよい。これにより、近接した被写体に対する立体撮影を、より良好に行うことができる。
【0013】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記回転部材の回転駆動時における重量上のバランスをとるように当該回転部材に設けられたバランス調節部材を更に備えてもよい。これにより、回転部材の回転動作を安定化することができる結果、撮像素子を高精度で位置決めすることができる。
【0014】
また、本発明は、請求項5に記載の発明のように、前記回転部材の回転駆動時に当該回転部材の回転方向と逆方向に回転される第2の回転部材を更に備えてもよい。これにより、回転部材の回転動作を、より安定化することができる結果、撮像素子を、より高精度で位置決めすることができる。
【0015】
また、本発明は、請求項6に記載の発明のように、被写体に対して光を照射する発光素子を更に備えてもよい。これにより、被写体の明るさを好適なものとすることができる。
【0016】
特に、請求項6に記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、前記発光素子から射出された光を被写体に向けて集光する集光手段、又は前記発光素子から射出された光を被写体に向けて拡散する拡散手段を更に備えてもよい。これにより、より適切に被写体に対して光を照射することができる。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項8に記載の発明のように、前記集光手段又は前記拡散手段と前記結像光学系が、一体形成されたものとしてもよい。これにより、小型化及び低コスト化することができる。
【0018】
また、本発明の前記制御手段は、請求項9に記載の発明のように、前記回転部材を回転角度が360度の範囲内で回転駆動させるように前記回転駆動手段を制御するものとしてもよい。これにより、立体撮影を行う際の全ての撮影角度を網羅しつつ、回転部材から他の部位に対して何らかの配線を有する場合の当該配線の過度の捩れを防止することができる。
【0019】
また、本発明の前記回転部材は、請求項10に記載の発明のように、円形とされ、かつ前記撮像素子が端部近傍に設けられる基板を有するものとしてもよく、請求項11に記載の発明のように、前記撮像素子が一端部に設けられる矩形状とされ、かつ前記一端部の辺が前記撮像素子の対応する辺の長さに略一致するものとされた基板を有するものとしてもよい。これにより、撮像素子を本体の外周面の近傍に位置させることができる結果、より接近した被写体の撮影を行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、凹凸状態が確認しやすい立体撮影を行うことができる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
まず、図1を参照して、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10の全体的な構成を説明する。なお、図1(A)はカプセル内視鏡10の平面図(一部断面図)であり、図1(B)及び図1(C)は各々後述する撮像部30が異なる回転角度とされた状態のカプセル内視鏡10の正面図である。
【0023】
本実施の形態に係るカプセル内視鏡10は、カプセル外壁50により密閉された状態とされており、カプセル外壁50の内部に、カプセル内視鏡10の全体的な動作を司る制御基板20と、被写体を撮像する撮像部30と、を備えている。なお、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、カプセル外壁50として、一端が半球形状とされ、かつ開口する他端に半球形状のキャップ50Aが取り付けられて当該開口が閉塞された円筒形状とされたものを適用しているが、これに限らず、例えば、球状のものや、断面視楕円状のもの等、他の形状のものを適用する形態とすることもできる。
【0024】
撮像部30は、基板32と、被写体を撮像するための撮像素子34と、撮像素子34の撮像領域に被写体像を結像させる結像光学系36と、バランサー42と、を備えている。
【0025】
なお、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、撮像素子34としてCCDエリアセンサを適用しているが、例えば、CMOSイメージ・センサ等の他の撮像素子を適用できることは言うまでもない。また、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、結像光学系36として単一の結像レンズのみを適用しているが、例えば、当該結像レンズに加えて、焦点調整用の機構やズーミング用の機構等を設けて、焦点調整やズーミング等の機能を有する形態とすることもできる。
【0026】
基板32は、予め定められた回転軸Lを中心として回転可能に設けられている。なお、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、基板32として正面視矩形状のものを適用しており、回転軸Lとして基板32の中心位置を適用している。
【0027】
一方、撮像素子34は、基板32の回転軸Lから偏位した位置(本実施の形態では、基板32の一端部)に設けられている。また、バランサー42は、基板32における撮像素子34が設けられている位置の中心軸Lを中心とした略対象の位置に、撮像部30の回転駆動時における重量上のバランスをとるように設けられている。これにより、撮像部30の回転動作を安定化することができる結果、撮像素子34を高精度で位置決めすることができる。なお、バランサー42の形状及び材質には特に制限はなく、カプセル内視鏡10の形状やサイズ等に応じたものであれば、如何なるものも適用することができる。
【0028】
また、基板32の回転軸Lを中心点とした、撮像素子34及びバランサー42の配設部位を結ぶ直線と直交する直線上の略点対称となる2位置には、各々被写体に対して光を照射する発光素子38A及び発光素子38Bが設けられている。なお、ここでいう「略点対称」とは、製造上の誤差、環境条件の変化に伴って発生する誤差、経時変化による誤差等のやむを得ず発生する誤差を含んで点対称、ということを意味する。また、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、発光素子38A,38Bとして発光ダイオードを適用しているが、これに限らず、豆電球、有機EL等の他の発光体を適用することができることは言うまでもない。
【0029】
一方、基板32には、撮像素子34を取り囲むように外周壁31Aが立設されており、当該外周壁31Aの基板32が設けられている側とは反対側に結像光学系36が設けられている。ここで、結像光学系36は正面視円形状とされており、結像光学系36の外周部と外周壁31Aとの間は前面壁31Bにより覆われている。従って、撮像素子34は、基板32、外周壁31A、結像光学系36、及び前面壁31Bにより略密閉された状態とされている。
【0030】
ここで、結像光学系36は、光軸方向が撮像素子34による撮像方向前方の前記回転軸Lの軸線方向を向くように傾斜されている。これにより、近接した被写体に対する立体撮影を良好に行うことができる。
【0031】
一方、制御基板20は、カプセル外壁50の内部に固定されており、カプセル内視鏡10の全体的な動作を司る制御部12と、一例として図2に示される情報処理装置(ここでは、パーソナル・コンピュータ)60等の外部装置との間の通信動作を司る送受信部14と、カプセル内視鏡10の内部の各部に駆動用の電力を供給する電源部18と、回転軸Lを中心として基板32(撮像部30)を回転駆動するモータ40と、が設けられている。
【0032】
モータ40は、その回転軸が基板32の回転軸Lに取り付けられており、撮像部30を回転駆動する役割を有している。なお、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、モータ40としてステッピング・モータを適用しているが、これに限らず、例えば、直流モータ、超音波モータ等の他のモータを適用することもできる。但し、カプセル内視鏡10では、撮像部30の回転角度を所望の角度に高精度に位置決めしたいため、ステッピング・モータを適用することが好ましい。
【0033】
また、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、送受信部14として所定の通信規格にて無線通信を行うものが適用されている。また、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、電源部18における給電源として、1次電池として構成されたボタン電池を適用しているが、これに限らず、例えば、2次電池等の他の電池を適用する形態や、外部からの電磁誘導によって電力が供給されるものを適用する形態とすることもできる。
【0034】
次に、図2を参照して、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10の電気系の要部構成を説明する。
【0035】
同図に示されるように、カプセル内視鏡10には、撮像素子34に対応して設けられ、撮像素子34を駆動させる一方、これに応じて撮像素子34から出力された被写体像を示す画像データをサンプリングして出力する駆動/サンプリング部39が備えられている。また、カプセル内視鏡10には、制御端子が制御部12に電気的に接続され、当該制御端子に対して入力された制御信号に応じて2つの端子間の接続/切断(開閉動作)を行う3つのスイッチSW1〜SW3が備えられている。
【0036】
なお、駆動/サンプリング部39及びスイッチSW1,SW2は、基板32及び制御基板20の何れに設けてもよいが、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、制御基板20に設けられている。また、スイッチSW3は制御基板20に設けられている。更に、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、基板32に設けられている各部と制御基板20に設けられている各部との間の各種信号の送受信は有線で行うものとされている。このため、撮像部30の回転角度は所定基準角度を0度として0度から360度までの範囲内に制限されている。
【0037】
撮像素子34、駆動/サンプリング部39、発光素子38A、及び発光素子38Bの駆動用の電力を入力する入力端子には、スイッチSW1を介して電源部18の電力供給端子が電気的に接続されている。従って、制御部12は、撮像素子34、駆動/サンプリング部39、発光素子38A、及び発光素子38Bに対する駆動用の電力の供給及び供給停止を制御することができる。
【0038】
また、駆動/サンプリング部39は撮像素子34に電気的に接続されると共に、スイッチSW2を介して送受信部14に電気的に接続されている。従って、駆動/サンプリング部39によってサンプリングされた画像データは、スイッチSW2が接続状態とされているときに限り、送受信部14を介して外部に送信することができる。
【0039】
なお、スイッチSW1及びスイッチSW2の各制御端子は、共通の接続線により制御部12に電気的に接続されている。従って、制御部12は、撮像素子34、駆動/サンプリング部39、発光素子38A、及び発光素子38Bへの給電状態の制御と、駆動/サンプリング部39の送受信部14との間の接続/切断の制御を単一の制御信号により行うことができる。
【0040】
一方、モータ40の回転駆動用の電力を入力する入力端子には、スイッチSW3を介して電源部18の電力供給端子が電気的に接続されている。従って、制御部12は、モータ40に対する駆動用の電力の供給及び供給停止を制御することができる。
【0041】
また、モータ40の制御端子には制御部12が電気的に接続されている。従って、制御部12は、モータ40の作動(回転駆動)の制御を行うことができる。更に、電源部18及び送受信部14の各々の制御端子にも制御部12が電気的に接続されている。従って、電源部18及び送受信部14の作動もまた制御部12により制御される。
【0042】
なお、同図に示されるように、電源部18には、当該電源部18により供給される電力の電圧値を検出する電圧検出部18Aが備えられている。従って、制御部12は、当該電圧値を把握することもできる。
【0043】
ところで、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10は、送受信部14が対応している通信規格に対応して無線通信することができる機能を備えた情報処理装置(ここでは、パーソナル・コンピュータ)60からの指示に応じた動作を実行することのできる遠隔操作機能が搭載されている。
【0044】
ここで、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、上記遠隔操作機能において実行することのできる動作として、撮像部30の指示された方向(時計回り及び反時計回りの何れかの方向)に対する所定角度(ここでは、5度)の回転動作、及び立体撮影動作の2種類の動作を適用している。なお、上述したように、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10では、撮像部30の回転角度が所定基準角度から360度までの範囲内に制限されているため、撮像部30を回転する際には、その時点における撮像部30の回転角度が、指示された回転方向に上記所定角度だけ回転させても上記所定基準角度から360度までの範囲内に収まるか否かを判定し、収まる場合にのみ撮像部30を回転させるようにする。
【0045】
なお、遠隔操作機能により外部装置からの指示に応じた動作を行う場合に制御部12は、全てのスイッチSW1〜SW3を接続状態とし、結像光学系36、撮像素子34、及び駆動/サンプリング部39の組み合わせにより構成される撮像光学系を駆動させつつ、当該撮像光学系によって得られた画像データを連続的に外部に送信するように駆動/サンプリング部39及び送受信部14の各部を制御する。そして、以上の動作によりカプセル内視鏡10から送信された画像データは情報処理装置60によって受信され、情報処理装置60では、例えば、情報処理装置60に設けられたハードディスク装置やメインメモリ等の記憶手段への記憶、情報処理装置60に設けられた表示手段による撮像画像の表示等といった各種処理が実行されることになる。
【0046】
次に、図3を参照して、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10の作用を説明する。なお、図3は、不図示の電源スイッチがオン状態とされている際にカプセル内視鏡10の制御部12により実行される立体撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは制御部12に内蔵された不図示のメモリに予め記憶されている。
【0047】
まず、ステップ300では、全てのスイッチSW1,SW2,SW3を接続状態とし、次のステップ302では、撮像素子34による撮像動作を開始するように駆動/サンプリング部39を制御する。これにより、駆動/サンプリング部39から当該撮像によって得られた画像データがリアルタイムで送受信部14に出力される。
【0048】
そこで、次のステップ304では、駆動/サンプリング部39から入力された画像データをリアルタイムで送信するように送受信部14を制御する。
【0049】
以上の処理により、情報処理装置60は、当該画像データがリアルタイムで受信されるため、受信された画像データにより示される画像を情報処理装置60に備えられた表示手段によりリアルタイムで表示する。
【0050】
従って、ユーザは、表示手段に表示された画像を参照することにより、カプセル内視鏡10による撮像画像を把握することができるため、当該撮像画像の撮影角度が意図するものでない場合は撮像部30の回転動作を指示する指示情報を、回転方向を示す情報と共に送信し、立体撮影を行う場合は立体撮影動作を指示する指示情報を送信するように、情報処理装置60を操作する。
【0051】
なお、このように、上記ステップ302及びステップ304の処理によって開始される撮像画像を示す画像データの送信は、リアルタイムでの表示を目的としたものであるので、駆動/サンプリング部39では、所定画素毎に画素データを間引いた画像データを送信するようにしている。
【0052】
次のステップ306では、外部装置からの指示情報の受信待ちを行い、次のステップ308では、受信した指示情報が回転動作を指示する情報であったか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップ310に移行して、撮像部30が、受信した情報によって示される回転方向へ上記所定角度だけ回転するようにモータ40を制御し、その後に上記ステップ306に戻る。なお、上記ステップ310では、その時点における撮像部30の回転角度が、指示された回転方向に上記所定角度だけ回転させても上記所定基準角度から360度までの範囲内に収まるか否かを判定し、収まる場合にのみ撮像部30を回転させるようにする。
【0053】
一方、上記ステップ308において否定判定となった場合には、受信した指示情報が立体撮影動作の実行を指示する情報であったものと見なしてステップ312に移行し、撮影を実行する旨を示す指示情報を駆動/サンプリング部39に送信する。これに応じて、駆動/サンプリング部39は、撮像素子34によって得られた画像データを間引くことなく送受信部14に出力する。
【0054】
そこで、次のステップ314では、駆動/サンプリング部39から入力された画像データを送信するように送受信部14を制御する。
【0055】
以上のステップ312及びステップ314の処理により、情報処理装置60では、立体撮影における一方の画像データが受信されるため、受信された画像データ(以下、「一方の画像データ」という。)を情報処理装置60に設けられたハードディスク装置やメインメモリ等の記憶手段に記憶する。
【0056】
次のステップ316では、撮像部30を、その時点の回転角度を基準として180度回転させるようにモータ40を制御し、次のステップ318では、上記ステップ312と同様に、撮影を実行する旨を示す指示情報を駆動/サンプリング部39に送信する。これに応じて、駆動/サンプリング部39は、撮像素子34によって得られた画像データを間引くことなく送受信部14に出力する。
【0057】
そこで、次のステップ320では、駆動/サンプリング部39から入力された画像データを送信するように送受信部14を制御し、その後に上記ステップ306に戻る。
【0058】
以上のステップ318及びステップ320の処理により、情報処理装置60では、上記一方の画像データとの併用により立体画像を構成することができる画像データが受信されるため、受信された画像データ(以下、「他方の画像データ」という。)を情報処理装置60に設けられたハードディスク装置やメインメモリ等の記憶手段に記憶する。
【0059】
そして、以上のように記憶手段に記憶した一方の画像データ及び他方の画像データを用いることにより、本立体撮影処理プログラムによって撮影された立体画像の表示等を行うことができる。なお、他方の画像データは、そのままの状態では画像が一方の画像データにより示される画像の上下反転したものとなっているため、記憶手段に記憶する際か、又は記憶手段に記憶されたものを用いる際に、画像が上下反転される状態に変換する。
【0060】
以上詳細に説明したように、本実施の形態では、被写体を撮像するための撮像素子(ここでは、撮像素子34)と、前記撮像素子を駆動させる撮像駆動手段(ここでは、駆動/サンプリング部39)と、前記撮像素子の撮像領域に被写体像を結像させる結像光学系(ここでは、結像光学系36)と、を備え、本体内部に所定の回転軸を中心として回転可能に設けられた回転部材(ここでは、撮像部30)に対して、当該回転に伴って前記撮像素子が前記回転軸を中心として回転するように当該撮像素子が前記回転軸から偏位した位置に設けられる一方、前記回転軸を中心として前記回転部材を回転駆動する回転駆動手段(ここでは、モータ40)による前記回転部材の回転動作及び前記撮像駆動手段による前記撮像素子の撮像動作を制御しているので、凹凸状態が確認しやすい立体撮影を行うことができる。
【0061】
また、本実施の形態では、前記結像光学系が、光軸方向が前記撮像素子による撮像方向前方の前記回転軸の軸線方向を向くように傾斜されているものとしているので、近接した被写体に対する立体撮影を良好に行うことができる。
【0062】
また、本実施の形態では、前記回転部材の回転駆動時における重量上のバランスをとるように当該回転部材に設けられたバランス調節部材(ここでは、バランサー42)を備えているので、回転部材の回転動作を安定化することができる結果、撮像素子を高精度で位置決めすることができる。
【0063】
また、本実施の形態では、被写体に対して光を照射する発光素子(ここでは、発光素子38A,38B)を更に備えているので、被写体の明るさを好適なものとすることができる。
【0064】
更に、本実施の形態では、前記回転部材を回転角度が360度の範囲内で回転駆動させるように前記回転駆動手段を制御しているので、立体撮影を行う際の全ての撮影角度を網羅しつつ、回転部材から他の部位に対して何らかの配線を有する場合の当該配線の過度の捩れを防止することができる。
【0065】
なお、本実施の形態では、撮像部30の回転動作を安定化するために、バランサー42を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、一例として図4に示されるように、撮像部30の回転駆動時に当該撮像部30の回転方向と逆方向に回転される回転バランサー46を設ける形態とすることもできる。
【0066】
ここで、図4に示す例では、回転バランサー46を撮像部30と逆方向に回転させるために、反転ギヤ44がモータ40の回転軸と回転バランサー46との間に介在されている。これによっても、撮像部30の回転動作を安定化することができる結果、撮像部30を高精度で位置決めすることができる。
【0067】
また、本実施の形態では、近接した被写体に対する立体撮影を良好に行うことができるようにするために、結像光学系36を、光軸方向が撮像素子34による撮像方向前方の前記回転軸Lの軸線方向を向くように傾斜させた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図5に示すように、結像光学系36を傾斜させることなく、撮像素子34を、撮像領域の中心位置が結像光学系36の光軸中心より外側に位置されるように設ける形態とすることもできる。これによっても、近接した被写体に対する立体撮影を良好に行うことができる。
【0068】
また、本実施の形態では、撮像素子34を、撮像面がカプセル内視鏡10の正面を向くように配置した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、一例として図6に示すように、結像光学系36と同一の傾斜角度で、かつ撮像領域の中心位置が結像光学系36の光軸位置と一致するように撮像素子34を配置する形態とすることもできる。この場合、撮像素子34により被写体を歪むことなく撮像することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、基板32に設けられている各部と制御基板20に設けられている各部との間の各種信号の送受信を有線で行う場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、各基板に無線通信部を設け、当該無線通信部を介して無線で行う形態とすることもできる。この場合、本実施の形態のように、撮像部30の回転角度範囲を制限する必要がなくなるため、本実施の形態に比較して、撮像部30に対する制御上の利便性を向上させることができる。
【0070】
また、本実施の形態では、発光素子38A及び発光素子38Bから射出された光を集光したり、拡散したりする部材を設ける点については言及しなかったが、これらの部材を設ける形態とすることもできることは言うまでもない。
【0071】
図7には、集光光学系を新たに設けた場合の各部の構成の一例が示されている。図7(A)に示すように、この例では、結像光学系36と、集光光学系37A,37Bが樹脂(一例として、プラスチック樹脂)によって一体成形したものを、光学ユニット35として適用している。
【0072】
ここで、集光光学系37Aは、発光素子38Aから射出された照明光を被写体に向けて集光するものであり、集光光学系37Bは、発光素子38Bから射出された照明光を被写体に向けて集光するものである。
【0073】
そして、この形態では、一例として図7(B)に示されるように、以上のように構成された光学ユニット35を適用して撮像部30Bを構成し、当該撮像部30Bが、図1に示される状態と略同様の状態で、カプセル内視鏡10のカプセル外壁50内に収容される。
【0074】
この形態では、発光素子(ここでは、発光素子38A,38B)から射出された光を被写体に向けて集光する集光手段(ここでは、集光光学系37A,37B)を備えているので、より適切に被写体に対して光を照射することができる。
【0075】
また、この形態では、前記集光手段と前記結像光学系を、一体形成されたものとしているので、より小型化及び低コスト化することができる。
【0076】
なお、ここでは、集光光学系37A,37Bを適用した場合の形態について説明したが、当該集光光学系37A,37Bに代えて、拡散光学系を適用する形態とすることもできる。この場合の形態例は、図7に示した集光光学系37A,37Bに代えて、当該集光光学系37A,37Bと同様の形状、かつ他部に対する相対的な位置関係とされた状態で拡散光学系を用いる形態を例示することができる。この場合も、集光光学系37A,37Bを適用した場合と同様の効果を奏することができる。
【0077】
また、基板32の形状は、本実施の形態で示したものに限定されるものではなく、例えば、一例として図8(A)に示されるように、撮像素子34が一端部に設けられる矩形状とされ、かつ前記一端部の辺が撮像素子の対応する辺の長さに略一致するものとする形態や、一例として図8(B)に示されるように、円形とする形態とすることもできる。これらの場合、撮像素子をカプセル内視鏡本体の外周面の近傍に位置させることができる結果、より接近した被写体の撮影を行うことができる。
【0078】
その他、本実施の形態に係るカプセル内視鏡10の構成(図1,図2参照。)は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【0079】
また、本実施の形態において説明した立体撮影処理プログラムの処理の流れ(図3参照。)も一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において、各ステップの処理順序の変更、処理内容の変更、不要なステップの削除、新たなステップの追加等を行うことができることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】実施の形態に係るカプセル内視鏡の全体的な構成を示す図であり、(A)はカプセル内視鏡の平面図(一部断面図)であり、(B)及び(C)は各々撮像部が異なる回転角度とされた状態のカプセル内視鏡の正面図である。
【図2】実施の形態に係るカプセル内視鏡の電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図3】実施の形態に係る立体撮影処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】実施の形態に係るカプセル内視鏡の変形例の全体的な構成を示す平面図(一部断面図)である。
【図5】実施の形態に係るカプセル内視鏡の他の変形例の全体的な構成を示す平面図(一部断面図)である。
【図6】実施の形態に係るカプセル内視鏡の他の変形例の全体的な構成を示す平面図(一部断面図)である。
【図7】実施の形態に係るカプセル内視鏡における撮像部の変形例を示す図であり、(A)は当該撮像部により用いられる光学ユニットの構成を示す正面図であり、(B)は当該撮像部の全体構成を示す正面図である。
【図8】実施の形態に係るカプセル内視鏡で用いられている基板の変形例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0081】
10,10B,10’,10’’ カプセル内視鏡
12 制御部(制御手段)
14 送受信部
18 電源部
20 制御基板
30,30B 撮像部(回転部材)
32,32’ 基板
34 撮像素子
35 光学ユニット
36 結像光学系
37A,37B 集光光学系(集光手段)
38A,38B 発光素子
39 駆動/サンプリング部(撮像駆動手段)
40 モータ(回転駆動手段)
42 バランサー(バランス調節部材)
46 回転バランサー(第2の回転部材)
50 カプセル外壁
60 情報処理装置
SW1〜SW3 スイッチ
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−12108(P2008−12108A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−187060(P2006−187060)