| 【発明の名称】 |
断層撮影装置および断層撮影方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】森田 尚孝
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| 【要約】 |
【課題】全ての撮影角度において被検体の全体が視野からはみ出してしまう場合であっても、撮影によって収集される投影データに基づいて再構成される断層像に偽像が発生することを抑制することができる断層撮影装置および断層撮影方法を提供する。
【構成】断層撮影装置は、本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された、CT画像を記憶する記憶部23と、X線の視野に被検体Mの全体が納まっていない撮影で収集された実投影データを不完全投影データとして、CT画像を参照してこの不完全投影データを補完処理する補完部25とを備えている。このため、実投影データが全て不完全投影データであっても補完処理を行うことができる。よって、再構成部27は、視野から被検体Mがはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被検体の関心領域の断層像を作成する断層撮影装置において、(1)X線を照射する照射手段と、X線を検出する検出手段と、少なくとも被検体の関心領域が視野に納まるように前記照射手段および前記検出手段を対向配置して回転させる回転手段と、を備えて、複数の撮影角度から被検体の撮影を行う撮像系と、(2)前記検出手段の検出結果から実投影データを収集する収集手段と、(3)本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された、少なくとも被検体の輪郭を識別できる参照情報を記憶する記憶手段と、(4)前記視野に被検体の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを不完全投影データとして、この不完全投影データを前記参照情報に基づいて補完処理する補完手段と、(5)前記補完手段から得られた補完投影データと、前記視野に被検体の全体が納まっている撮影で収集された実投影データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する再構成手段と、を備えていることを特徴とする断層撮影装置。 【請求項2】 請求項1に記載の断層撮影装置において、前記実投影データは全て不完全投影データであり、前記再構成手段は前記補完投影データのみに基づいて再構成処理を行うことを特徴とする断層撮影装置。 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の断層撮影装置において、前記別体機器は、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、ポジトロンCT装置、および、シングルフォトンECT装置の少なくともいずれか1つであることを特徴とする断層撮影装置。 【請求項4】 請求項1または請求項2に記載の断層撮影装置において、前記別体機器はX線CT装置であり、前記参照情報はCT画像であり、前記補完手段は、前記CT画像に対応する参照投影データのうち、前記視野からはみ出した被検体に応じた参照投影データを、前記不完全投影データに補完することを特徴とする断層撮影装置。 【請求項5】 請求項4に記載の断層撮影装置において、前記補完手段は、前記実投影データに投影され、かつ、前記参照投影データにおいて識別可能な被検体の注目部位の位置に基づいて、前記実投影データに対して前記参照投影データの位置合せを行うことを特徴とする断層撮影装置。 【請求項6】 請求項5に記載の断層撮影装置において、前記注目部位は被検体の骨部または臓器であることを特徴とする断層撮影装置。 【請求項7】 請求項1または請求項2に記載の断層撮影装置において、前記別体機器はX線CT装置であり、前記参照情報はCT画像であり、前記補完手段は前記CT画像において識別される輪郭を楕円形に近似させた仮想モデルを算出し、この仮想モデルに対応する仮想投影データを用いて前記不完全投影データを補完処理することを特徴とする断層撮影装置。 【請求項8】 請求項7に記載の断層撮影装置において、前記仮想モデルの楕円形内に分布するCT値の積分値は、前記CT画像において識別される輪郭内に分布するCT値の積分値と略等しいことを特徴とする断層撮影装置。 【請求項9】 請求項1から請求項3のいずれかに記載の断層撮影装置において、前記補完手段は、前記参照情報に基づいて被検体の推定投影データを算出し、この推定投影データのうち、前記視野からはみ出した被検体に応じた推定投影データを、前記不完全投影データに補完することを特徴とする断層撮影装置。 【請求項10】 請求項9に記載の断層撮影装置において、前記補完手段は、前記参照情報において識別される輪郭に応じた外形を有し、この外形内にCT値を分布させた推定モデルを推定し、この推定モデルに対応する推定投影データを算出することを特徴とする断層撮影装置。 【請求項11】 被検体の関心領域の断層像を作成する断層撮影装置において、(1)X線を照射する照射手段と、X線を検出する検出手段と、少なくとも被検体の関心領域が視野に納まるように前記照射手段および前記検出手段を対向配置して回転させる回転手段と、を備えて、複数の撮影角度から被検体の撮影を行う撮像系と、(2)前記検出手段の検出結果から実投影データを収集する収集手段と、(3)前記装置に配備され、撮影角度に応じて前記視野からはみ出す部材のCT値分布に関する部材情報を記憶する記憶手段と、(4)前記視野に前記部材の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを部材欠損投影データとして、この部材欠損投影データを前記部材情報に基づいて補完処理する補完手段と、(5)前記補完手段から得られた補完投影データと、前記視野に前記部材の全体が納まっている撮影で収集された実投影データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する再構成手段と、を備えていることを特徴とする断層撮影装置。 【請求項12】 請求項11に記載の断層撮影装置において、前記実投影データは全て部材欠損投影データであり、前記再構成手段は前記補完投影データのみに基づいて再構成処理を行うことを特徴とする断層撮影装置。 【請求項13】 請求項11または請求項12に記載の断層撮影装置において、前記部材は被検体を載置する天板であることを特徴とする断層撮影装置。 【請求項14】 被検体の関心領域の断層像を作成する断層撮影装置において、(1)X線を照射する照射手段と、X線を検出する検出手段と、少なくとも被検体の関心領域が視野に納まるように前記照射手段および前記検出手段を対向配置して回転させる回転手段と、を備えて、複数の撮影角度から被検体の撮影を行う撮像系と、(2)前記検出手段の検出結果から実投影データを収集する収集手段と、(3)本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された、少なくとも被検体の輪郭を識別できる参照情報と、前記装置に配備され、撮影角度に応じて前記視野からはみ出す部材のCT値分布に関する部材情報を記憶する記憶手段と、(4)前記視野に被検体の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを不完全投影データとして、この不完全投影データを前記参照情報に基づいて補完処理するとともに、前記視野に前記部材の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを部材欠損投影データとして、この部材欠損投影データを前記部材情報に基づいて補完処理する補完手段と、(5)前記補完手段から得られた補完投影データと、前記視野に被検体の全体および前記部材の全体が納まっている撮影で収集された実投影像データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する再構成手段と、を備えていることを特徴とする断層撮影装置。 【請求項15】 少なくとも被検体の関心領域を視野に納めてX線撮影を行って得られた複数の実投影データに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する断層像作成方法において、被検体の全体が視野に納まっていない状態でX線撮影が行われたときは、本装置と異なるモダリティの別体機器によって取得された、少なくとも被検体の輪郭を識別できる参照情報に基づいて前記実投影データを補完処理する第1工程と、被検体の全体が納まっている撮影で得られた実投影データ、および、前記第1工程で補完処理された補完投影データに基づいて再構成処理を行う第2工程と、を備えていることを特徴とする断層像作成方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、断層撮影装置および断層撮影方法に係り、特に、視野から被検体がはみ出した撮影で収集された実投影データを補完する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、スライス面における被検体の画像を作成する装置として、図13に示すようなX線CT装置がある。X線CT装置の撮像系41は、ガントリ58内にX線管51とX線検出器53とが互いに対向させて設けられている。このX線管51およびX線検出器53をガントリ58内に沿って回転させつつ(例えば360度)、X線を照射することで、ガントリ58の中空部59に載置される被検体Mに対して種々の撮影角度から撮影を行う。X線CT装置の画像処理部43は、X線検出器53から被検体Mの実投影データを収集する収集部61と、複数の実投影データに基づいて再構成処理を行う再構成部67と備え、被検体MのCT画像を作成する。作成されたCT画像は、適宜モニタ45に表示される。なお、本明細書では、X線CT装置によって得られる画像をCT画像と記載し、後述する断層撮影装置によって得られる画像を断層像と記載して両者を区別する。 【0003】 ここで、各実投影データは全て被検体Mの全体が投影されたものでなければ、適切な再構成処理を行うことができない。すなわち、被検体Mの全部がX線検出器53に投影されていない実投影データが含まれていると、CT画像に偽像が生じる。例えばCT画像のフラットネスが悪化する。なお、被検体Mの一部である関心領域のみについてCT画像を作成する場合であっても、CT画像に応じたスライス面における被検体Mの全体(以下、単に「被検体の全体」という)が投影されていなければ、CT画像に偽像が生じてしまう。 【0004】 このため、X線CT装置の撮像系41は、比較的大きなX線検出器53を備え、被検体MがX線検出器53からはみ出して投影されることがないよう、十分広い視野を確保している。しかし、このような撮像系41であっても、被検体Mの全体が視野に納まらない場合がある。そこで、X線CT装置の画像処理部43において実投影データを補完処理する補完部65を備えて構成したものがある。 【0005】 具体的には、被検体Mの全体が視野に納まっていない撮影で得られる実投影データ(以下、単に「不完全投影データ」と呼ぶ)について、別の撮影角度で収集された、被検体Mの全体が投影されている実投影データ(以下、単に「完全投影データ」と呼ぶ)を用いて補完処理を行う。補完処理は、スライス面における被検体Mの全体が投影された投影データに分布するCT値を積分した値は撮影角度に関わらず一定となる関係を利用して、完全投影データのCT値に基づいて不完全投影データのCT値を補正する。 【0006】 図14は、不完全投影データが含まれる実投影データのサイノグラムである。図示するように、サイノグラムの上段側と下段側とにそれぞれ不完全投影データが含まれている。点線は、不完全投影データに補われた範囲を示す。 【0007】 このように、補完処理によって得られた補完投影データに基づいて再構成処理を行うことで、CT画像に偽像が生じることを抑制することができる(例えば、特許文献1参照)。 【特許文献1】特開2004−65706号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0008】 しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。 すなわち、従来のX線CT装置によれば、不完全投影データの補完処理は、被検体Mの全体が視野に納まっている撮影が少なくとも1度は行われていることが前提である。言い換えれば、いずれの撮影角度で撮影しても不完全投影データしか収集されない場合は、不完全投影データを補完処理することができないという不都合がある。 【0009】 このような不都合は、以下に説明する断層撮影装置においてはより顕著になる。すなわち、断層撮影装置は、X線管とX線検出器とがC字状アームに保持され、このC字状アームを回転させることで被検体の周りをX線管およびX線検出器が回転(例えば180度)可能に構成される。このように、断層撮影装置は、X線CT装置と異なるモダリティでありながら、X線CT装置と同種の投影データを収集可能な撮像系を有する。ただし、X線検出器の面積はX線CT装置に比べて視野が狭いため、いかなる撮影角度から撮影しても被検体の全体が投影された投影データを得ることができない場合が多い。このような場合には、断層撮影装置が上述した補完処理を行う補完部を備えていても、不完全投影データを補完することはできない。 【0010】 また、視野が狭いため、被検体を載置する天板等、装置に配備される部材を常に視野内に納めることが困難であり、視野に入ったり、はみ出したりする。このような場合には、投影データに含まれる天板等に応じたCT値分布が、断層像に偽像を生じさせる。 【0011】 この発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、全ての撮影角度において被検体の全体が視野からはみ出してしまう場合であっても、撮影によって収集される投影データに基づいて再構成される断層像に偽像が発生することを抑制することができる断層撮影装置および断層撮影方法を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0012】 この発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。 すなわち、請求項1に記載の発明は、被検体の関心領域の断層像を作成する断層撮影装置において、(1)X線を照射する照射手段と、X線を検出する検出手段と、少なくとも被検体の関心領域が視野に納まるように前記照射手段および前記検出手段を対向配置して回転させる回転手段と、を備えて、複数の撮影角度から被検体の撮影を行う撮像系と、(2)前記検出手段の検出結果から実投影データを収集する収集手段と、(3)本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された、少なくとも被検体の輪郭を識別できる参照情報を記憶する記憶手段と、(4)前記視野に被検体の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを不完全投影データとして、この不完全投影データを前記参照情報に基づいて補完処理する補完手段と、(5)前記補完手段から得られた補完投影データと、前記視野に被検体の全体が納まっている撮影で収集された実投影データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する再構成手段と、を備えていることを特徴とするものである。 【0013】 [作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された参照情報に基づいて、不完全投影データを補完処理する補完手段を備えているので、不完全投影データを好適に補完処理を行うことができる。そして、補完手段から得られる補完投影データに基づいて再構成処理を行うことで、視野から被検体がはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【0014】 上述した発明において、前記実投影データは全て不完全投影データであり、前記再構成手段は前記補完投影データのみに基づいて再構成処理を行うことが好ましい(請求項2)。補完処理の際、本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された参照情報を参照するので、実投影データが全て不完全投影データであっても好適に補完処理を行うことができる。 【0015】 上述した発明において、前記別体機器は、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、ポジトロンCT装置、および、シングルフォトンECT装置の少なくともいずれか1つであることが好ましい(請求項3)。X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、ポジトロンCT装置、および、シングルフォトンECT装置によって得られる各情報は、被検体の輪郭を好適に識別することができる。 【0016】 上述した発明において、前記別体機器はX線CT装置であり、前記参照情報はCT画像であり、前記補完手段は、前記CT画像に対応する参照投影データのうち、前記視野からはみ出した被検体に応じた参照投影データを、前記不完全投影データに補完することが好ましい(請求項4)。補完投影データを、被検体の全体が視野に納まった投影データとみなすことができる。 【0017】 上述した発明において、前記補完手段は、前記実投影データに投影され、かつ、前記参照投影データにおいて識別可能な被検体の注目部位の位置に基づいて、前記実投影データに対して前記参照投影データの位置合せを行うことが好ましい(請求項5)。位置合せを好適に行うことができる。 【0018】 上述した発明において、前記注目部位は被検体の骨部または臓器であることが好ましい(請求項6)。位置合せを精度よく行うことができる。 【0019】 上述した発明において、前記別体機器はX線CT装置であり、前記参照情報はCT画像であり、前記補完手段は前記CT画像において識別される輪郭を楕円形に近似させた仮想モデルを算出し、この仮想モデルに対応する仮想投影データを用いて前記不完全投影データを補完処理することが好ましい(請求項7)。補完処理を簡素化することができる。 【0020】 上述した発明において、前記仮想モデルの楕円形内に分布するCT値の積分値は、前記CT画像において識別される輪郭内に分布するCT値の積分値と略等しいことが好ましい(請求項8)。より再構成処理に好適な仮想モデルを得ることができる。 【0021】 上述した発明において、前記補完手段は、前記参照情報に基づいて被検体の推定投影データを算出し、この推定投影データのうち、前記視野からはみ出した被検体に応じた推定投影データを、前記不完全投影データに補完することが好ましい(請求項9)。補完投影データを、被検体の全体が視野に納まった投影データとみなすことができる。 【0022】 上述した発明において、前記補完手段は、前記参照情報において識別される輪郭に応じた外形を有し、この外形内にCT値を分布させた推定モデルを推定し、この推定モデルに対応する推定投影データを算出することが好ましい(請求項10)。より再構成処理に好適な推定モデルを得ることができる。 【0023】 また、請求項11に記載の発明は、被検体の関心領域の断層像を作成する断層撮影装置において、(1)X線を照射する照射手段と、X線を検出する検出手段と、少なくとも被検体の関心領域が視野に納まるように前記照射手段および前記検出手段を対向配置して回転させる回転手段と、を備えて、複数の撮影角度から被検体の撮影を行う撮像系と、(2)前記検出手段の検出結果から実投影データを収集する収集手段と、(3)前記装置に配備され、撮影角度に応じて前記視野からはみ出す部材のCT値分布に関する部材情報を記憶する記憶手段と、(4)前記視野に前記部材の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを部材欠損投影データとして、この部材欠損投影データを前記部材情報に基づいて補完処理する補完手段と、(5)前記補完手段から得られた補完投影データと、前記視野に前記部材の全体が納まっている撮影で収集された実投影データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する再構成手段と、を備えていることを特徴とするものである。 【0024】 [作用・効果]請求項11に記載の発明によれば、撮影角度に応じて前記視野からはみ出す部材のCT値分布に関する部材情報を参照して、部材欠損投影データを補完する補完手段を備えているので、部材が視野からはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【0025】 上述した発明において、前記実投影データは全て部材欠損投影データであり、前記再構成手段は前記補完投影データのみに基づいて再構成処理を行うことが好ましい(請求項12)。部材情報を参照して補完処理を行うので、実投影データが全て部材欠損投影データであっても好適に補完処理を行うことができる。 【0026】 上述した発明において、前記部材は被検体を載置する天板であることが好ましい(請求項3)。天板が視野からはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【0027】 また、請求項14に記載の発明は、被検体の関心領域の断層像を作成する断層撮影装置において、(1)X線を照射する照射手段と、X線を検出する検出手段と、少なくとも被検体の関心領域が視野に納まるように前記照射手段および前記検出手段を対向配置して回転させる回転手段と、を備えて、複数の撮影角度から被検体の撮影を行う撮像系と、(2)前記検出手段の検出結果から実投影データを収集する収集手段と、(3)本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された、少なくとも被検体の輪郭を識別できる参照情報と、前記装置に配備され、撮影角度に応じて前記視野からはみ出す部材のCT値分布に関する部材情報を記憶する記憶手段と、(4)前記視野に被検体の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを不完全投影データとして、この不完全投影データを前記参照情報に基づいて補完処理するとともに、前記視野に前記部材の全体が納まっていない撮影で収集された前記実投影データを部材欠損投影データとして、この部材欠損投影データを前記部材情報に基づいて補完処理する補完手段と、(5)前記補完手段から得られた補完投影データと、前記視野に被検体の全体および前記部材の全体が納まっている撮影で収集された実投影像データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する再構成手段と、を備えていることを特徴とするものである。 【0028】 [作用・効果]請求項14に記載の発明によれば、参照情報および部材情報に基づいて、不完全投影データを補完処理する補完手段を備えているので、不完全投影データを好適に補完処理を行うことができる。よって、視野から被検体と部材とがはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【0029】 また、請求項15に記載の発明は、少なくとも被検体の関心領域を視野に納めてX線撮影を行って得られた複数の実投影データに基づいて再構成処理を行い、関心領域の断層像を作成する断層像作成方法において、被検体の全体が視野に納まっていない状態でX線撮影が行われたときは、本装置と異なるモダリティの別体機器によって取得された、少なくとも被検体の輪郭を識別できる参照情報に基づいて前記実投影データを補完処理する第1工程と、被検体の全体が納まっている撮影で得られた実投影データ、および、前記第1工程で補完処理された補完投影データに基づいて再構成処理を行う第2工程と、を備えていることを特徴とするものである。 【0030】 [作用・効果]請求項15に記載の発明によれば、本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された参照情報に基づいて、不完全投影データを補完処理する第1行程を備え、第2行程では補完処理された補完投影データに基づいて再構成処理を行うので、視野から被検体がはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【0031】 なお、本明細書は、次のような断層撮影装置に係る発明も開示している。 【0032】 (1)請求項10に記載の断層撮影装置において、前記推定モデルの外形は、前記参照情報により識別される被検体の輪郭を近似した楕円形であることを特徴とする断層撮影装置。 【0033】 前記(1)に記載の発明によれば、補完処理を簡素化することができる。 【0034】 (2)請求項9または請求項10に記載の断層撮影装置において、前記参照情報において、さらに実投影データに投影されている被検体の注目部位の位置が識別可能であり、前記補完手段は前記注目部位の位置に基づいて、前記実投影データに対して前記推定投影データの位置合せを行うことを特徴とする断層撮影装置。 【0035】 前記(2)に記載の発明によれば、位置合せを好適に行うことができる。 【0036】 (3)前記(2)に記載の断層撮影装置において、前記注目部位は被検体の骨部または臓器であることを特徴とする断層撮影装置。 【0037】 前記(3)に記載の発明によれば、位置合せを精度よく行うことができる。 【0038】 (4)請求項10に記載の断層撮影装置において、前記外形内に与えられるCT値は、一律に水のCT値に相当する値であることを特徴とする断層撮影装置。 【0039】 前記(4)に記載の発明によれば、人体のCT値に近似させることができる。 【0040】 (5)請求項10に記載の断層撮影装置において、前記外形内に与えられるCT値は、少なくとも被検体の軟部組織と骨部とに応じて異なることを特徴とする断層撮影装置。 【0041】 前記(5)に記載の発明によれば、より、人体のCT値に近似させることができる。 【発明の効果】 【0042】 この発明に係る断層撮影装置によれば、本装置と異なるモダリティの別体機器によって予め取得された参照情報に基づいて、不完全投影データを補完処理する補完手段を備えているので、不完全投影データを好適に補完処理を行うことができる。そして、補完手段から得られる補完投影データに基づいて再構成処理を行うことで、視野から被検体がはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【実施例1】 【0043】 以下、図面を参照してこの発明の実施例1を説明する。 図1は、実施例1に係る断層撮影装置を示す全体構成図である。断層撮影装置は、大きく、撮像系1と画像処理部3とモニタ5とに分けられる。 【0044】 撮像系1は、X線管11とフラットパネル型X線検出器(以下、「FPD」と略記する)13とC字状アーム15と天板17とを備えている。X線管11は、天板17に載置される被検体MにX線を照射する。FPD13は、被検体Mを透過したX線を検出する。このとき、少なくとも被検体Mの関心領域RはX線の視野に納まっている。C字状アーム15は、その両端側でX線管11とFPD13とを対向するように保持する。さらに、このC字状アーム15を回転中心P周りで回転移動させる図示省略の駆動機構を備えている。 【0045】 C字状アーム15の回転により、X線管11およびFPD13は正逆方向に回転する。これらX線管11およびFPD13が回転する平面がスライス面である。このほかに、撮像系1はX線を照射するタイミングを制御するX線管制御部(図示省略)を備えている。X線管11とFPD13とC字状アーム15とは、この発明における照射手段と検出手段と回転手段とに相当する。 【0046】 画像処理部3は、収集部21と記憶部23と補完部25と再構成部27とを有する。収集部21は、FPD13の検出結果から実投影データを収集する。記憶部23は、本断層撮影装置と異なるモダリティの別体機器であるX線CT装置によって、予め取得された被検体MのCT画像を記憶している。CT画像としては、検査/手術計画を立てるために前もって取得されるものが例示される。ただし、記憶部23に格納されるCT画像には、スライス面における被検体Mの全体(輪郭を含む)が識別可能に現れているものとする。補完部25は、記憶部23のCT画像を参照して、実投影データについて所定の補完処理を行う。再構成部27は、実投影データおよび/または補完部25によって補完された補完投影データとに基づいて再構成演算処理を行い、スライス面における被検体Mの関心領域Rの断層像を作成する。モニタ5は、再構成部27で作成された断層像を表示する。なお、本明細書では、X線CT装置によって得られる画像をCT画像と記載し、断層撮影装置によって得られる画像を断層像と記載して両者を区別する。 【0047】 この画像処理部3は、所定のプログラムを読み出して実行する中央演算処理装置(CPU)や、各種情報を記憶するRAM(Random-Access Memory)や固定ディスク等の記憶媒体等で実現される。記憶部23と補完部25と再構成部27は、それぞれこの発明における記憶手段と補完手段と再構成手段に相当する。 【0048】 次に、実施例1に係る断層撮影装置の動作について、図2を参照して説明する。図2は、撮像系による撮影および画像処理部による処理の手順を示すフローチャートである。 【0049】 <ステップS1> 被検体を撮影する C字状アーム15の回転中心P近傍に被検体Mの関心領域Rが位置するように、被検体Mを天板17に載置する。図示省略の駆動機構によって、C字状アーム15はX線管11とFPD13とを回転させる。この際、X線管11は所定のタイミングでX線を照射し、複数の撮影角度から被検体Mを撮影する。FPD13は、被検体Mを透過したX線を検出する。 【0050】 図3を参照する。図3は、スライス面から見た撮像系において撮影角度に応じた視野を模式的に示す図である。図3には、被検体Mに対して鉛直上方、および、水平側方(図3では左側)から照射する2つの撮影角度を例示している。図示するように、双方とも視野には関心領域Rが含まれているが、スライス面における被検体Mの全体は納まっていない。なお、以下では「スライス面における被検体Mの全体(あるいは、一部)」を、単に「被検体Mの全体(あるいは、一部)」と略記する。 【0051】 <ステップS2> 実投影データを収集する 収集部21は、FPD13の出力結果から実投影データを収集する。ここで、図3に例示するように、被検体Mの全体が視野に納まっていない撮影で収集された実投影データを特に不完全投影データと呼ぶ。 【0052】 図3には、実投影データのプロファイルを併せて図示している。プロファイルは、スライス面に沿ったFPD13の1検出ライン分の実投影データである。また、図3において、実投影データが検出される範囲を検出範囲と明示するとともに、検出範囲を外れる、すなわち、視野からはみ出した被検体Mに応じた仮想的なプロファイルを点線で示す。 【0053】 <ステップS3> 不完全投影データを補完する 補完部25は、収集部21によって収集された各不完全投影データについて補完処理を行う。ここでは、実投影データが全て不完全投影データである場合を例にとって説明する。 【0054】 図4は、実投影データが全て不完全投影データである場合のサイノグラムの模式図を示す。図4において、縦軸は撮影角度であり、横軸は検出ラインの座標であり、併せて検出範囲を明示する。図示するように、いずれの撮影角度においても、検出範囲内に被検体Mの輪郭に相当するサインカーブが納まっていない。ただし、便宜上図中に明示していないが、全ての撮影角度において検出範囲内に関心領域Rが投影されているものとする(すなわち、関心領域Rに応じたCT値が分布しているものとする)。また、図中に明示する領域Aは被検体Mの骨部が投影されている領域であり、領域Bは視野内に納まった被検体M(骨部を除く)が投影された領域を明示している。 【0055】 補完部25は、まず記憶部23に記憶される被検体MのCT画像を参照し、このCT画像を各撮影角度から撮影したならば得られるであろう、参照投影データを算出する。ここで、参照するCT画像において骨部が識別できる場合、参照投影データにおいても骨部が投影される領域が識別可能に現れる。 【0056】 図5は参照投影データのサイノグラムの模式図である。図示するように、サイノグラムには、被検体Mの輪郭に相当する2本のサインカーブc1、c2、被検体Mの骨部に相当する領域a、および、被検体Mの全体(骨部を除く)に相当する領域bが識別可能に現れている。 【0057】 次に、補完部25は、実投影データに投影されており、かつ、参照投影データにおいて識別可能な骨部の各領域B、bの位置を一致させることで、実投影データに対して参照投影データの位置合せを行う。 【0058】 さらに、参照投影データのうち、不完全投影データの検出範囲外における参照投影データを、不完全投影データに補完して補完投影データを得る。ここで、不完全投影データに付加される参照投影データは、視野からはみ出した被検体Mに応じたものに相当する。 【0059】 図6は、不完全投影データに参照投影データを補完した補完投影データのサイノグラムの模式図である。図示するように、各撮影角度において検出範囲内の不完全投影データ(領域A、B)と検出範囲外の参照投影データ(領域bの一部)とが合成されており、スライス面における被検体Mの全体が投影されているとみなすことができる。 【0060】 <ステップS4> 再構成処理を行う 再構成部27は、補完部25から得られた補完投影データのみに基づいて再構成処理を行い、関心領域Rの断層像を作成する。再構成処理としては、例えば適当な再構成関数を用いて畳み込み積分を行うと共に、畳み込み積分結果を逆投影する処理が挙げられる。 【0061】 <ステップS5> 断層像を表示する モニタ5は、オペレータの指示等に基づいて適宜、断層像を表示する。 【0062】 このように、実施例1に係る断層撮影装置によれば、本装置とは別体のX線CT装置によって予め取得されているCT画像を参照して、不完全投影データを補完処理する補完部25を備えているので、実投影データが全て不完全投影データであっても好適に補完処理を行うことができる。そして、この補完処理によって得られる補完投影データに基づいて再構成処理を行うことで、偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【0063】 また、CT画像は、同じ被検体Mについて得られたものであるので、参照投影データ(のサイノグラムのサインカーブC1、C2)によって、視野からはみ出した被検体Mに応じた投影データの範囲(輪郭)を精度よく推定することができる。また、CT画像もCT値の分布データである点では不完全投影データと同じであるので、参照投影データ(のサイノグラムの領域b)によって、実投影データの検出範囲外の投影データを精度よく推定することができる。よって、補完投影データは、スライス面における被検体Mの全体が投影されたならば得られるであろう投影データを、精度よく推定することができる。よって、得られる断層像の精度も向上させることができる。 【0064】 また、補完部25は、CT値が急峻に変化し、先鋭にその位置がわかる骨部に基づいて、実投影データと参照投影データとの位置合せを行うように構成したので、位置合せを精度よく行うことができる。 【実施例2】 【0065】 次に、この発明の実施例2を説明する。なお、実施例2の装置構成は実施例1と同様である(図1参照)。 【0066】 実施例2の補完部25は、記憶部23に記憶されるCT画像を参照して仮想モデルを算出する。そして、得られた仮想モデルを参照して、実投影データについて所定の補完処理を行う。 【0067】 次に、実施例2に係る断層撮影装置の動作について、図7を参照して説明する。図7は、撮像系による撮影および画像処理部による処理の手順を示すフローチャートである。なお、実施例1と同じ処理については説明を簡略する。 【0068】 <ステップS1〜S2> 被検体を撮影する/実投影データを収集する C字状アーム15はX線管11とFPD13とを回転させるとともに、X線管11はX線を照射し、複数の撮影角度から被検体Mを撮影する。FPD13は、被検体Mを透過したX線を検出する。収集部21は、FPD13の出力結果から実投影データを収集する。 【0069】 <ステップS11> モデルを算出する 補完部25は、まず記憶部23に記憶される被検体MのCT画像を参照して、CT画像において識別される輪郭を、これに近似する楕円形に置き換える。そして、この楕円形内に分布するCT値の積分値が、CT画像の輪郭内に分布するCT値の積分値と等しくなるように、楕円形内のCT値を補正する。CT値の補正は関心領域R以外であることが好ましく、楕円形の周縁部のCT値のみを補正することがより好ましい。本明細書では、このようにして得られる楕円形のCT値分布を仮想モデルと呼ぶ。 【0070】 <ステップS12> 不完全投影データを補完する 次に、補完部25は、上述の仮想モデルを参照して、この仮想モデルに対応した投影データを算出する(以下、算出される投影データを「仮想投影データ」と記載する)。そして、不完全投影データに対して仮想投影データの位置合せを行い、不完全投影データに仮想投影データを補完する。 【0071】 <ステップS5〜S6> 再構成処理を行う/断層像を表示する 再構成部27は、補完部25から得られた補完投影データと、スライス面における被検体Mの全体が投影された実投影データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域Rの断層像を作成する。モニタ5は、オペレータの指示等に基づいて適宜、断層像を表示する。なお、実投影データの全てが不完全投影データの場合は、補完投影データのみに基づいて再構成処理を行う。 【0072】 このように、実施例2に係る断層撮影装置によれば、CT画像を簡略化した仮想モデルを算出する補完部25を備えるので、仮想投影データを算出する処理は、実施例1のようにCT画像から参照投影データを算出する処理に比べて簡素である。 【0073】 また、視野から被検体Mがはみ出すことに起因する偽像は、フラットネスの悪化といった変化の滑らかなアーチファクトであるので、被検体Mの輪郭を楕円形に近似しても十分に診断可能な断層像を得ることができる。 【実施例3】 【0074】 以下、この発明の実施例3を説明する。実施例3の装置構成は実施例1と同様である(図1参照)。ただし、記憶部23には本断層撮影装置と異なるモダリティの別体機器である、磁気共鳴イメージング装置(以下、単に「MRI装置」と略記する)によって、予め取得された被検体MのMRI画像を記憶している。ただし、MRI画像には、スライス面における被検体Mの全体(輪郭を含む)が識別可能に現れているものとする。補完部25は、記憶部23に記憶されたMRI画像を参照して、推定モデルを算出する。そして、算出された推定モデルを参照して、実投影データについて所定の補完処理を行う。 【0075】 次に、実施例3に係る断層撮影装置の動作について説明する。なお、処理の手順は実施例2と同じであるので図7を参照することとし、実施例2と処理内容が異なるステップS3、S4についてのみ説明する。 【0076】 <ステップS11> モデルを算出する 実施例3に係る補完部25は、まず記憶部23に記憶される被検体MのMRI画像を参照して、MRI画像から識別される被検体Mの輪郭および骨部の位置情報を取得する。そして、骨部の領域内には第1のCT値を与え、骨部を除く輪郭内の領域(以下、単に軟部組織という)には第2のCT値を与える。骨部のCT値としては、人体の骨部の統計的に得られている値を用い。また、軟部組織には水のCT値を用いる。このように、輪郭と同形状の外形を有し、この外形内に骨部と軟部組織に応じて異なるCT値を分布させた推定モデルを算出する。 【0077】 <ステップS12> 不完全投影データを補完する 補完部25は、算出した推定モデルを参照して、この推定モデルに対応した投影データを算出する(以下、算出される投影データを「推定投影データ」と記載する)。そして、骨部の位置に基づいて、不完全投影データに対して推定投影データを位置合せし、不完全投影データに推定投影データを補完する。 【0078】 このように、実施例3に係る断層撮影装置によれば、補完部25は、MRI画像からCT値が分布する推定モデルを算出するので、記憶部23にMRI画像が記憶されている場合であっても、補完部25は不完全投影データを好適に補完処理することができる。 【実施例4】 【0079】 次に、この発明の実施例4を説明する。実施例4の構成は、実施例1と同様である(図1参照)。ただし、記憶部23には、CT画像に加えて、天板17のCT値分布に関する部材情報が記憶されている。具体的には、スライス面における天板17のCT画像である。なお、天板17内部のCT値が一律とみなすことができれば、天板17のCT画像に替えて、天板17の3次元位置情報およびCT値を記憶するように構成してもよい。 【0080】 補完部25は、記憶部23のCT画像と部材情報を参照して、実投影データについて所定の補完処理を行う。 【0081】 次に、実施例4に係る断層撮影装置の動作について説明する。なお、処理の手順は実施例1と同じであるので図2を参照することとし、実施例1と同じ処理については説明を簡略する。 【0082】 <ステップS1〜S2> 被検体を撮影する/実投影データを収集する C字状アーム15はX線管11とFPD13とを回転させるとともに、X線管11はX線を照射し、複数の撮影角度から被検体Mを撮影する。FPD13は、被検体Mを透過したX線を検出する。収集部21は、FPD13の出力結果から実投影データを収集する。 【0083】 図8を参照する。図8は、スライス面における撮像系において撮影角度に応じた視野を模式的に示す図である。図8には、被検体Mに対して鉛直上方、および、水平側方(図8では左側)から照射する2つの撮影角度を例示している。図示するように、双方とも視野には関心領域Rが含まれているが、スライス面における被検体Mの全体は納まっていない。また、視野に天板17の全体も納まっていない。なお、装置構成によっては、図8において水平側方から照射する場合のように、スライス面における天板17の全体が視野から外れる場合がある。しかしながら、天板17は被検体Mの背後に位置するため、全ての撮影角度で視野外になることはない(図8において鉛直方向の照射角度の場合を参照)。ここで、視野に天板17の全体が納まっていない撮影で収集される実投影データを、特に部材欠損投影データと呼ぶ。 【0084】 図8には、実投影データのプロファイルを併せて図示している。プロファイルは、スライス面に沿ったFPD13の1検出ライン分の実投影データである。また、視野からはみ出した被検体Mと天板17に応じた仮想的なプロファイルを点線で示す。 【0085】 <ステップS3> 不完全投影データを補完する 補完部25は、収集部21によって収集された各不完全投影データについて補完処理を行う。ここでは、実投影データが全て不完全投影データであり、かつ、部材欠損投影データである場合を例にとって説明する。 【0086】 図9は、実投影データが全て不完全投影データであり、かつ、部材欠損投影データである場合のサイノグラムの模式図を示す。図示するように、検出範囲内に被検体Mの全体が投影されている撮影角度はない。なお、関心領域Rが投影されている領域は便宜上明示していないが、検出範囲内に納まっているものとする。この図9において、点線で示される曲線D1、D2は、天板17の輪郭に相当する曲線であり、これら曲線D1および曲線D2によって囲まれる領域は、被検体Mと天板17の両者が投影されている領域である。具体的には、図9において、領域Aは、被検体Mの骨部が投影されている領域であり、領域Abは検体Mの骨部と天板17とが投影されている領域である。また、領域Bは視野内の納まった被検体M(骨部を除く)が投影されている領域であり、領域Bbは視野内の納まった被検体M(骨部を除く)と天板17とが投影されている領域である。 【0087】 まず、補完部25は記憶部23に記憶されている被検体MのCT画像を参照し、このCT画像を各撮影角度から撮影したならば得られるであろう、参照投影データを算出する。図10に参照投影データのサイノグラムを例示する。図示するように、参照投影データのサイノグラムには、被検体Mの輪郭に相当する2本のサインカーブc1、c2、被検体Mの骨部に相当する領域a、および、被検体Mの全体に相当する領域bが識別可能に現れている。 【0088】 また、補完部25は、記憶部23に記憶されている部材情報を参照して、天板17を各撮影各度から撮影したならば得られるであろう、部材計算投影データを算出する。図11に部材計算投影データのサイノグラムを例示する。図示するように、部材計算投影データのサイノグラムには、天板17が投影されている領域eと、天板17の輪郭に相当する2本のサインカーブd1、d2が識別可能に現れている。 【0089】 次に、補完部25は、骨部が投影された領域A、Abと、骨部に相当する領域aに基づいて、不完全投影データに対して参照投影データを位置合せする。また、天板17の輪郭に相当する曲線D1、D2、d1、d2に基づいて、不完全投影データに対して部材計算投影データの位置合せを行う。そして、検出範囲外における参照投影データおよび検出範囲外における部材計算投影データを不完全投影データに補完する。これらの補完処理によって補完投影データを得る。 【0090】 図12は、全てが不完全投影データであり、かつ、部材欠損投影データである実投影データに、参照投影データおよび部材計算投影データを補完した補完投影データのサイノグラムの模式図である。図示するように、各撮影角度において検出範囲内の不完全投影データ(領域A、Ab、B、Bb)と検出範囲外の参照投影データ(領域bの一部)および部材計算投影データ(領域eの一部)が合成されている。 【0091】 <ステップS4〜S5> 再構成処理を行う/断層像を表示する 再構成部27は、補完部25から得られた補完投影データと、スライス面における被検体Mの全体が投影された実投影データとに基づいて再構成処理を行い、関心領域Rの断層像を作成する。モニタ5は、オペレータの指示等に基づいて適宜、断層像を表示する。 【0092】 このように、実施例4に係る断層撮影装置によれば、天板17のCT値分布に関する部材情報を参照して、不完全投影データを補完する補完部25を備えているので、実投影データが全て部材欠損投影データであっても好適に補完処理を行うことができる。そして、この補完処理によって得られる補完投影データに基づいて再構成処理を行うことで、天板17が視野からはみ出すことに起因する偽像が抑制された断層像を得ることができる。 【0093】 この発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。 【0094】 (1)上述した実施例1と実施例4では、CT画像に対応した参照投影データをそのまま用いたが、これに限られない。たとえば、CT画像にスムージング処理を施し、この平滑化されたCT画像に対応した参照投影データを得るようにしてもよい。これにより、実投影データと参照投影データの位置合せがずれてしまった場合に、そのずれが顕在化することを防止することができる。 【0095】 (2)上述した実施例1から実施例4では、被検体Mの骨部を注目部位として、不完全投影データに対する参照投影データ(または仮想投影データあるいは推定投影データ)の位置合せを行ったが、これに限られない。たとえば、位置合せは、その他の被検体Mの部位、たとえば臓器等の位置に基づいて行うようにしてもよい。また、被検体M以外の物、例えば天板17や専ら位置合せのためのマーカーを利用して位置合せを行ってもよい。 【0096】 (3)上述した実施例1から実施例4では、実投影データの全てが不完全投影データであったが、これに限られない。すなわち、スライス面における被検体Mの全体が投影された実投影データが含まれていてもよい。この場合、補完部25は、このような不完全投影データに該当しない実投影データに対しては補完処理を行わず、再構成部27に出力するとともに、再構成部27は、スライス面における被検体Mの全体が投影された実投影データと、不完全投影データを補完した補完投影データとに基づいて再構成処理を行う。 【0097】 (4)上述した実施例2では、CT画像において識別される輪郭を楕円形に置き換えたが、これに限られず、円、多角形、その他の形状に置き換えるように変更してもよい。 【0098】 (5)上述した実施例2では、楕円形内のCT値の補正は、楕円形内に分布するCT値の積分値が、CT画像の輪郭内に分布するCT値の積分値と等しくなるようにするものであったが、これに限られない。たとえば、その他の関係に基づいて、楕円形のCT値を補正してもよいし、このCT値の補正を省いて、CT画像において識別される輪郭を楕円形に置き換える処理のみを行うように変更してもよい。 【0099】 (6)上述した実施例3において、本断層撮影装置と異なるモダリティの別体機器であるMRI装置によって、予め取得された被検体MのMRI画像を記憶していたが、これに限られない。たとえば、ポジトロンCT装置またはシングルフォトンECT装置であってもよい。また、X線CT装置、磁気共鳴イメージング装置、ポジトロンCT装置、および、シングルフォトンECT装置のうち、2以上の別体機器で得られた複数種類の参照情報を記憶するように構成してもよい。 【0100】 (7)上述した実施例3において、推定モデルは、その輪郭内の領域全体にCT値を分布させたものだが、これに限られない。たとえば、不完全投影データに補完される推定投影データは検出範囲外の推定投影データのみであるので、推定モデルは検出範囲外のみの領域にCT値を分布させたものでもよい。 【0101】 (8)上述した実施例3において、推定モデルに分布するCT値は、骨部と軟部組織で2値化処理したものであるが、これに限られない。たとえば、3つ以上の異なるCT値を分布させて推定モデルを算出してもよい。この場合、統計的に得られた人体のCT値分布モデルを用いて推定モデルを算出してもよい。 【0102】 (9)上述した実施例3において、軟部組織に水のCT値を与えたが、これに限られない。水以外の物質、または空気のCT値を用いてもよい。 【0103】 (10)上述した実施例4では、部材計算投影データと不完全投影データとの位置合せは、天板17の輪郭の位置に基づいておこなったが、これに限られない。たとえば、天板17の輪郭以外のその他の部位、専ら位置合せのためのマーカー、または、被検体Mの位置に基づいて位置合せを行うようにしてもよい。 【0104】 (11)上述した実施例4では、天板17の部材情報をそのまま用いたが、これに限られない。たとえば、部材情報にスムージング処理を施し、この平滑化された部材情報に対応した部材計算投影データを得るようにしてもよい。これにより、位置合せがずれてしまった場合に、そのずれが顕在化することを防止することができる。 【0105】 (12)上述した実施例4において、実投影データの全てが部材欠損投影データであったが、これに限られない。すなわち、天板17の全体が投影された実投影データが含まれていてもよい。この場合、補完部25は、このような部材欠損投影データに該当しない実投影データに対しては補完処理を行わない。 【0106】 (13)上述した実施例4において、補完部25は、不完全投影データに該当すれば参照投影データに基づいて補完処理を行い、部材欠損投影データに該当すれば部材計算投影データに基づいて補完処理を行ったが、これに限られない。たとえば、実投影データがたとえ不完全投影データに該当したとしても参照投影データに基づく補完処理を省略して、部材計算投影データに基づく補完処理のみを行うように変更してもよい。 【0107】 (14)上述した実施例4において、部材欠損投影データは、視野に天板17の全体が納まっていない撮影で収集される実投影データであったが、これに限られない。たとえば、その他の断層撮像装置に配備される医療器具等であって、撮影角度に応じて視野からはみ出すものについて、補完処理を行うように変更してもよい。 【0108】 (15)上述した実施例4において、補完部25は、記憶部23に記憶されるCT画像を参照して得られる参照投影データに基づいて、不完全投影データを補完処理したが、これに限られない。たとえば、実施例2で説明したように、補完部25が、CT画像から仮想投影データを算出し、この仮想投影データに基づいて補完処理を行うように構成してもよい。また、記憶部23にMRI画像を記憶するように変更して、実施例3で説明したように、補完部25がMRI画像から推定投影データを算出し、この推定投影データに基づいて補完処理を行うように構成してもよい。 【0109】 (16)上述した各実施例では、FPD13を用いているが、この発明としては、イメージインテンシファイアや多列検出器などを用いるものでも良い。 【0110】 (17)上述した実施例では、断層撮像装置は医用であったが、これに限られない。たとえば、非破壊検査、RI(Radio Isotope)検査、および光学検査などの工業分野や、原子力分野などに用いられるX線撮像装置にも適用できる。なお、各実施例において、被検体Mと記載したが、被検体Mは人体に限られるものではない。 【図面の簡単な説明】 【0111】 【図1】実施例1に係る断層撮影装置を示す全体構成図である。 【図2】撮像系による撮影および画像処理部による処理の手順を示すフローチャートである。 【図3】スライス面から見た撮像系において撮影角度に応じた視野を模式的に示す図である。 【図4】実投影データが全て不完全投影データである場合のサイノグラムの模式図である。 【図5】参照投影データのサイノグラムの模式図である。 【図6】不完全投影データに参照投影データを補完した補完投影データのサイノグラムの模式図である。 【図7】撮像系による撮影および画像処理部による処理の手順を示すフローチャートである。 【図8】スライス面における撮像系において撮影角度に応じた視野を模式的に示す図である。 【図9】実投影データが全て不完全投影データであり、かつ、部材欠損投影データである場合のサイノグラムの模式図である。 【図10】参照投影データのサイノグラムの模式図である。 【図11】部材計算投影データのサイノグラムの模式図である。 【図12】不完全投影データに参照投影データを補完し、かつ、部材欠損投影データに部材計算投影データを補完した補完投影データのサイノグラムの模式図である。 【図13】従来例に係るX線CT装置を示す全体構成図である。 【図14】不完全投影データが含まれる実投影データのサイノグラムの模式図である。 【符号の説明】 【0112】 1 …撮像系 3 …画像処理部 11 …X線管 13 …フラットパネル型X線検出器(FPD) 15 …C字状アーム 17 …天板 21 …収集部 23 …記憶部 25 …補完部 27 …再構成部 M …被検体 R …関心領域
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| 【出願人】 |
【識別番号】000001993 【氏名又は名称】株式会社島津製作所
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| 【出願日】 |
平成18年7月5日(2006.7.5) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100093056 【弁理士】 【氏名又は名称】杉谷 勉
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| 【公開番号】 |
特開2008−12027(P2008−12027A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月24日(2008.1.24) |
| 【出願番号】 |
特願2006−185388(P2006−185388) |
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