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【発明の名称】 整形外科手術器具セット
【発明者】 【氏名】堀江 誠

【要約】 【課題】インプラントに対する接続構造が簡易で、かつ、着脱時の作業性が良好な保持器具を備えた整形外科手術器具セットを提供する。

【構成】本発明の整形外科手術器具セットは、固定側開口41aの開口縁には、スリーブ部材30側に向き、スリーブ側係合部32との間に間隔を備えた張出内面部41tが設けられ、保持器具50は、前記間隔内に配置されたときに張出内面部41tに係合する内面係合部51bを備えた係合部材51と、固定側開口内から張出内面部へ向かう向きとは逆向きに固定部材に対し当接可能に構成された当接部52bを備えた保持部材52と、内面係合部と当接部との距離が変化するように係合部材と保持部材を相対的に移動させることにより、内面係合部が張出内面部の上記間隔内から脱出できる状態と脱出できない状態とを選択可能に構成する部材移動手段51c、52d、53と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨に係合固定される軸状部材と、
該軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、
該スリーブ部材の前記スリーブ側係合部に対して係合可能となるように一方の端部寄りに設けられた固定側係合部、及び、該固定側係合部から他方へ向けて延在する固定プレート部を有し、前記固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口を備えてなる板状の固定部材と、
前記スリーブ側係合部に前記固定側係合部を係合可能な態様で前記固定部材を装着可能に構成されてなる保持器具と、
を具備する整形外科手術器具セットであって、
前記固定側開口の開口縁には、前記スリーブ部材側に向き、前記スリーブ側係合部との間に間隔を備えた張出内面部が設けられ、
前記保持器具は、前記間隔内に配置されたときに前記張出内面部に係合する内面係合部を備えた係合部材と、前記固定側開口内から前記張出内面部へ向かう向きとは逆向きに前記固定部材に対し当接可能に構成された当接部を備えた保持部材と、前記内面係合部と前記当接部との距離が変化するように前記係合部材と前記保持部材を相対的に移動させることにより、前記内面係合部が前記間隔内から脱出できる状態と脱出できない状態とを選択可能に構成する部材移動手段と、を有することを特徴とする整形外科手術器具セット。
【請求項2】
前記張出内面部は、前記開口縁の厚み方向全体に亘り前記スリーブ部材の側に斜めに向いた傾斜内面部であることを特徴とする請求項1に記載の整形外科手術器具セット。
【請求項3】
前記固定部材は前記軸状部材の軸線方向に対して傾斜した方向に延在し、前記傾斜内面部は、前記軸状部材の軸線に沿って傾斜していることを特徴とする請求項2に記載の整形外科出術器具セット。
【請求項4】
前記張出内面部は前記スリーブ貫通孔の内面に沿った凹曲面形状を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の整形外科手術器具セット。
【請求項5】
前記固定プレート部は前記固定側係合部から前記軸状部材の軸線方向に対して鈍角を有する方向へ延在し、前記張出内面部は前記固定側開口の前記一方の端部側に設けられていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の整形外科手術器具セット。
【請求項6】
前記張出内面部は前記固定側開口の前記一方の端部側に設けられ、前記当接部が当接する前記固定部材の部位は前記一方の端部の外面部位であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の整形外科手術器具セット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は整形外科手術器具セットに係り、特に、骨に係合固定される軸状部材と、該軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、その基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、前記スリーブ側係合部に対して係合する固定側係合部、及び、該固定側係合部から延在する固定プレート部を有し、該固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口部を備えてなる固定部材と、を含むインプラントシステムを使用する際に用いる保持器具の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ラグスクリュウと呼ばれる骨ネジ等からなる軸状部材と、この軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、その基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、前記スリーブ側係合部に対して係合する固定側係合部、及び、該固定側係合部から延在する固定プレート部を有し、該固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口部を備えてなる固定部材と、を含む骨手術用のインプラントシステムが知られている(例えば、以下の特許文献1乃至3参照)。
【0003】
上記のように構成されたインプラントシステムでは、骨に係合固定される軸状部材を挿通可能に構成されたスリーブ部材と、骨の外面上に固定される固定部材とが別体に設けられていることにより、軸状部材及びスリーブ部材を先に骨に装着し、その後に固定部材をスリーブ部材に係合させることができるため、手術の低侵襲化、すなわち、手術時の切開範囲を小さくして患者の負担を軽減することが可能になるという利点があり、近年の小切開手術(MIS:Minimally Invasive Surgery)の流れに沿った最小侵襲プレート固定術(MIPO:Minimally Invasive Plate Osteosynthesis)の実施に適した構造を有するものとなっている。
【0004】
一方、このインプラントシステムでは、スリーブ部材のスリーブ側係合部と、固定部材の固定側係合部とを体内において確実に係合させる必要があるが、これらの係合作業を手作業で行うことは困難であり、また、両者が確実に係合したことを確認することも難しいという問題点がある。そこで、このようなインプラントシステムの係合作業を容易に行うことができるようにするために、スリーブ部材に取り付けられる第1の器具と、固定部材に取り付けられる第2の器具とをそれぞれ設け、第1の器具と第2の器具を第3の器具を介して位置決めすることにより、スリーブ部材と固定部材とを確実に係合させることができるように構成してなる装置が提案されている(例えば、以下の特許文献4参照)。
【特許文献1】米国特許明細書第4438762号明細書
【特許文献2】特開平8−98846号公報
【特許文献3】特開2002−65687号公報
【特許文献4】特表2005−511116号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述の固定部材に取り付けられる第2の器具を備えた装置においては、固定部材に相当する骨プレート12の固定側開口に相当するスロット40の開口縁に雌ネジ46を形成する一方、第2の器具のハウジング88の端部に突出するロッド92に雄ネジ94を形成して上記雌ネジ46と螺合可能に構成し、さらに、上記ハウジング88の端部に上記ロッド92と共にスロット40内に配置されるキータブ98を設けることにより、第2の器具と骨プレート12を接続可能にしている。したがって、固定部材と第2の器具の接続構造が複雑になるとともに、装着時に正確な位置あわせが要求され、また、着脱時に螺合操作が必要になるなど、装着や取り外しが困難になるという問題点がある。
【0006】
特に、第2の器具を取り外した後に骨プレート12をさらに操作する必要が生じた場合、或いは、骨折部が治癒して骨プレート12を抜去する場合などのように、雄ネジ94と雌ネジ46を体内(皮膚下)において螺合させなければならない状況では、第2の器具と骨プレート12を接続することがきわめて困難になる。また、骨折部が治癒した後に骨プレート12を抜去する際には仮骨が付着している等の理由により或る程度の応力を第2の器具に加える必要が生ずる場合があるが、第2の器具と骨プレート12の係合強度は必ずしも充分でないことから、両者間の装着構造が破損する虞があるという問題点もある。
【0007】
そこで本発明は上記問題点を解決するものであり、その課題は、インプラントに対する接続構造が簡易で、かつ、着脱時の作業性が良好な保持器具を備えた整形外科手術器具セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
斯かる実情に鑑み、本発明の整形外科手術器具セットは、骨に係合固定される軸状部材と、該軸状部材を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔を備え、基端側にスリーブ側係合部が設けられたスリーブ部材と、該スリーブ部材の前記スリーブ側係合部に対して係合可能となるように一方の端部寄りに設けられた固定側係合部、及び、該固定側係合部から他方へ向けて延在する固定プレート部を有し、前記固定側係合部に前記スリーブ貫通孔に連通する固定側開口を備えてなる板状の固定部材と、前記スリーブ側係合部に前記固定側係合部を係合可能な態様で前記固定部材を装着可能に構成されてなる保持器具と、を具備する整形外科手術器具セットであって、前記固定側開口の開口縁には、前記スリーブ部材側に向き、前記スリーブ側係合部との間に間隔を備えた張出内面部が設けられ、前記保持器具は、前記間隔内に配置されたときに前記張出内面部に係合する内面係合部を備えた係合部材と、前記固定側開口内から前記張出内面部へ向かう向きとは逆向きに前記固定部材に対し当接可能に構成された当接部を備えた保持部材と、前記内面係合部と前記当接部との距離が変化するように前記係合部材と前記保持部材を相対的に移動させることにより、前記内面係合部が前記張出内面部の前記スリーブ部材の側から脱出できる状態と脱出できない状態とを選択可能に構成する部材移動手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、部材移動手段により係合部材と保持部材の相対的位置関係を適宜に設定することにより、内面係合部を張出内面部のスリーブ部材の側にある間隔内に配置し、この状態で部材移動手段により係合部材と保持部材を相対的に移動させ、固定側開口内から前記張出内面部へ向かう向きとは逆向きに保持部材の当接部を固定部材に対して当接させることで、上記内面係合部が上記間隔内から脱出不能となるように構成して保持器具を固定部材に保持することができる。
【0010】
したがって、本発明によれば、部材移動手段によって係合部材と保持部材とを相対的に移動させることで、内面係合部が張出内面部に係合する状態が維持されたり、維持されなくなったりするようになっているので、きわめて簡易な構造で足り、また、装着時において精密な位置あわせが不要になるとともに着脱時の螺合操作も不要になるから、保持器具と固定部材の着脱作業が容易になる。
【0011】
本発明において、前記張出内面部は、前記開口縁の厚み方向全体に亘り前記スリーブ部材の側に斜めに向いた傾斜内面部であることが好ましい。張出内面部としては、スリーブ部材の端部に平行に張り出した部分の内側に設けられた、スリーブ部材に正対する内面部で構成してもよく、また、スリーブ部材の側に斜めに向いた傾斜内面部で構成してもよいが、特に、上記の張出内面部を開口縁の厚み方向全体に亘りスリーブ部材の側に斜めに向いた傾斜内面部で構成することにより、張出内面部と、そのスリーブ部材の側に設けられる間隔を確保するための部分との間に段差を設ける必要がなくなり、一体で連続的な傾斜面を設けるだけで上記間隔を確保することが可能になるので、応力集中をきたす部位を低減することができ、また、張出内面部近傍の実質的な断面積も増大させることができるから、固定部材の一方の端部の剛性を高めることができるとともに、保持器具と固定部材の係合強度を高めることも可能になる。
【0012】
本発明において、前記固定部材は前記軸状部材の軸線方向に対して傾斜した方向に延在し、前記傾斜内面部は前記軸状部材の軸線に沿って傾斜していることが好ましい。これによれば、軸状部材の基端側が固定側開口を通過可能となるように構成した場合でも、傾斜内面部が軸状部材の軸線方向に沿って傾斜していることにより、固定側開口の開口範囲をいたずらに拡大する必要がなくなるため、固定部材の剛性を高めることが可能になる。
【0013】
本発明において、前記傾斜内面部は前記スリーブ貫通孔の内面に沿った凹曲面形状を有することが好ましい。これによれば、傾斜内面部が前記スリーブ貫通孔の内面に沿った凹曲面形状を有することで、上記固定部材の剛性をさらに高めることができるとともに、固定部材と保持器具の係合強度をより高めることができる。なお、この場合に、内面係合部を上記凹曲面形状に嵌合する凸曲面形状を有するものとすれば、上記係合強度をさらに高めることができるとともに、その嵌合度合に応じて固定部材に対する保持器具の取り付け姿勢の規制を行うことも可能になる。
【0014】
本発明において、前記固定プレート部は前記固定側係合部から前記軸状部材の軸線方向に対して鈍角を有する方向へ延在し、前記張出内面部は前記固定側開口の前記一方の端部側に設けられていることが好ましい。これによれば、軸状部材の軸線が固定部材の延在方向に対して鈍角に設定されているので、固定側開口の一方の端部側に設けられた張出内面部が軸状部材の基端側に抵触しにくくなるから、軸状部材の基端側が固定側開口を通過可能となるように構成した場合でも、固定側開口の開口範囲をいたずらに拡大する必要がなくなるため、固定部材の剛性を高めることができる。
【0015】
本発明において、前記張出内面部は前記固定側開口の前記一方の端部側に設けられ、前記当接部が当接する前記固定部材の部位は前記一方の端部の外面部位であることが好ましい。これによれば、保持器具を固定部材の一方の端部側に取り付けることができるので、手術時の切開範囲を低減することができるなど、低侵襲化により患者の負担を軽減することが可能になる。
【0016】
なお、前記部材移動手段は、前記保持部材を基準として前記係合部材に螺合する送りネジ機構であることが好ましい。部材移動手段としては、保持部材と係合部材を相対的に移動させ、その結果、内面係合部が張出内面部のスリーブ部材の側から脱出できるか否かを選択できるように構成されているものであれば如何なるものであってもよいが、保持部材を基準として係合部材に螺合する送りネジ機構とすることで、保持部材に対して係合部材が送りネジの軸線方向に移動するため、保持部材と係合部材の相対的移動をきわめて簡易な構造で実現でき、しかも、確実かつ精密に移動させることが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。最初に、図4乃至図7を参照して本発明に係る軸状部材、スリーブ部材、及び、固定部材からなるインプラントシステムについて説明する。図4(a)はこのインプラントシステムの組み立て状態を示す側面図、図4(b)は同組み立て状態の正面図、図5(a)はスリーブ部材及び固定部材の分解正面図、図5(b)は同分解底面図、図6(a)は上記インプラントシステムの分解縦断面図、図6(b)は固定部材の背面図、図6(c)は固定部材の平面図、図6(d)は固定部材の底面図、図6(e)はスリーブ部材の縦断面図である。
【0018】
このインプラントシステムは、骨内に導入された状態で骨に係合固定される、例えば骨ネジ(ラグスクリュウ)等で構成される軸状部材10と、この軸状部材10を軸線方向に移動可能に収容するスリーブ貫通孔30aを備え、その基端側にスリーブ側係合部32が設けられたスリーブ部材30と、このスリーブ部材30のスリーブ側係合部32に対して係合可能となるように一方の端部寄りに設けられた固定側係合部41、及び、この固定側係合部41から他方へ向けて軸状部材10の軸線方向に対して鈍角を有する方向に延在する固定プレート部42を有し、前記固定側係合部41にスリーブ貫通孔に連通する固定側開口41aを備えてなる板状の固定部材40と、を含む。これらの各部材は生体適合性を有する素材、例えば、ステンレス鋼、純チタン、チタン合金等によって構成することが好ましい。
【0019】
この軸状部材10は、先端にスクリュウ11を有するとともに基端に工具係合部12を有し、先端から基端まで一様に伸びる軸孔10aを備えたものである。スクリュウ11は、骨の内部に係合するタッピングネジであり、骨に螺入された状態で骨に対して軸状部材10を軸線方向に固定するようになっている。また、工具係合部12には端部に開口する係合穴12aが設けられ、この係合穴12aが図示しない回転工具に係合した状態で回転駆動されるようになっている。軸孔10aは図示しないガイドワイヤを挿通可能にするためのものである。この軸孔10aを用いて当該ガイドワイヤを挿通させた状態で、軸状部材10は上記ガイドワイヤに案内されながら骨に螺入されるようになっている。
【0020】
なお、この軸状部材10は図示例の場合には骨ネジとして構成されているが、骨内に導入されて骨に係合固定される軸状の部材であれば如何なるものであってもよく、例えば、骨に係合固定される拡径可能又は膨張可能な先端係合部を備えたもの、或いは、骨に打ち込まれて係合固定される種々の断面を有する骨釘などで構成することも可能である。
【0021】
スリーブ30部材は、筒状部31と、この筒状部31の端部に接続された鍔状のスリーブ側係合部32とを有している。スリーブ部材30には筒状部31及びスリーブ側係合部32を貫通するスリーブ貫通孔30aが設けられ、このスリーブ貫通孔30aは軸状部材10の工具係合部12及び軸部13が挿通可能となるように構成されている。図6(e)に示すように、筒状部31の先端部にはスリーブ貫通孔30aの内径が他よりも小径となるように構成された抜け止め部31aが形成され、この抜け止め部31aは軸状部材10の工具係合部12が通過できないように構成されている。これによって、図示例の場合には軸状部材10とスリーブ部材30とが図4(a)及び図6(a)に示す状態で出没自在に、しかしながら相互に分離しないように組み立てられている。
【0022】
また、抜け止め部31aの内面には、図6(e)に示すように、軸線を挟んで両側に一対の平坦な内面部31bが形成されている。この内面部31bは軸状部材10の軸部13に設けられた一対の外面部13aに係合することにより、軸状部材10が軸線周りに回転しないように規制する。ただし、軸状部材10の工具係合部12が上記抜け止め部31aに係合して、軸状部材10がスリーブ部材30より最も突出した状態とされたときには、抜け止め部31aの内面が軸状部材10の小径のネック部13bに対向し、これによって内面部31bによる軸状部材10の回転止め作用が解除されて、軸状部材10がスリーブ30部材に対して回転自在に構成されるようになっている。
【0023】
また、スリーブ30部材のスリーブ側係合部32は図示上下方向にスライドさせることにより固定部材40の固定側係合部41と係脱可能となるように構成されている。ここで、図5(a)に示すように、スリーブ貫通孔30aのスリーブ側係合部32に設けられた開口縁には係合マーク32tが形成されている。この係合マーク32tは図示例の場合には固定側開口41aを取り巻く閉曲線状に構成され、好ましくは固定側開口41aに沿った形状、例えば、楕円若しくは長円状に形成される。係合マーク32tは、スリーブ部材30の表面を覆う表面被膜(例えば、純チタン又はチタン合金の酸化被膜)をレーザ光等で除去することによって形成されることが望ましい。
【0024】
スリーブ側係合部32と固定側係合部41は図5及び図6に示すようにテーパ状の係合面32sと41sを有し、スリーブ部材30と固定部材40を図示上下方向にスライドさせることにより厚み方向に重なった状態で係合する。具体的には、スリーブ側係合部32には逆台形状の凸部が厚み方向に突設され、この凸部の外周側面に上記係合面32sが形成されている。また、固定側係合部41には逆台形状の凹部が厚み方向に上記凸部と嵌合する形状に形成され、この凹部の内周側面に上記係合面41sが形成されている。係合面32sと41sはそれぞれ平面視U字型に形成されており、広範囲に亘ってスリーブ部材30と固定部材40が厚み方向に離脱しないように規制している。また、スリーブ側係合部32と固定側係合部41とは平面的な重なり範囲内でほぼ等しい幅を有し、両係合部の境界線が両係合部の重ね合わせ部分の側部にのみ表れるように構成されている。
【0025】
固定部材40は、上記固定側係合部41と、この固定側係合部41から伸びる固定プレート部42とを有している。固定側係合部41には、スリーブ部材30と固定部材40とが係合した状態でスリーブ部材30のスリーブ貫通孔30aと連通するように形成された固定側開口41aが設けられている。この固定側開口41aは、上記組み立て状態において軸状部材10の工具係合部12若しくは軸部13の基端側が通過できるように構成されている。スリーブ部材30と固定部材40とを図4に示すように完全に係合させたとき、固定側開口41aの内側に上記の係合マーク32tが隠れたり視認されたりするように構成されており、これによってスリーブ側係合部32と固定側係合部41とが完全に係合しているか否かを確認できるようになっている。図示例の場合、スリーブ側係合部32と固定側係合部41の完全な係合状態において図4に示すように係合マーク32tが隠れるように構成されているが、完全な係合状態において係合マーク32tが固定側開口41aの内縁に沿って視認されるように構成してもよい。すなわち、係合マーク32tはスリーブ側係合部32と固定側係合部41の完全な係合状態が判別できるものであればよい。
【0026】
上記固定側開口41aの開口範囲は固定部材40の延長方向に沿って延長された延長形状(楕円状若しくは長円状)に構成されている。固定側開口41aは上記スリーブ部材30のスリーブ貫通孔30aと連通し、固定側開口41aの開口範囲の少なくとも一部は、スリーブ貫通孔30aの軸線に沿って見たときにスリーブ貫通孔30aの開口範囲と一致する開口範囲を有するように構成されている。すなわち、軸状部材10の基端側(工具係合部12と軸部13)がスリーブ貫通孔30aから固定側係合部41側へ突出しても、固定側係合部41に抵触せずに固定側開口41aを通過できるように構成されている。ここで、固定側開口41aの内面のうち、一方の端部(図4の上端)側の内面部及び他方の端部(図4の下端)側の内面部(後述する対向内面部)は共に上記スリーブ貫通孔30aの軸線と平行に傾斜している。特に、一方の端部側の内面部は、固定側開口41aの開口縁の厚み方向全体に亘ってスリーブ部材30の側に斜めに向いた傾斜内面部41tとなっている。そして、上記組み立て状態において傾斜内面部41tとスリーブ側係合部32(の正面側端面若しくはこれに開口するスリーブ貫通孔30aの開口面)との間には間隔が存在する。また、図示例の場合、傾斜内面部41tはスリーブ貫通孔30aの内面に沿った、そして好ましくは組み立て状態において当該内面と連続した、凹曲面状に構成されている。なお、この傾斜内面部41tは、後述する保持器具50の係合部材51に係合可能とされていればよいので、スリーブ部材30の側に向き、スリーブ側係合部32との間に間隔を有する張出内面部となっていればよい。例えば、スリーブ側係合部32に対して正対した姿勢で間隔を有して対向する面であってもよい。
【0027】
固定側開口41aの開口縁が上記のように構成されている理由は、固定部材40の一方の端部近傍には、軸状部材10に加えられる応力(大腿骨の骨頭部に軸状部材10が導入される場合には、図4の下方へ向けて加わる患者の体重に起因する応力)がスリーブ部材30を介して伝達されるので、上記応力に耐えうる剛性を確保するために、固定側開口41aの開口縁のうち一方の端部側の開口縁部分を特に肉厚に構成する必要があるためである。すなわち、固定側開口41aを上記軸状部材10の基端側が通過可能となるように固定部材40の一方の端部の剛性を確保するには、軸状部材10の通過を妨げない範囲で傾斜内面部41tの張出量を大きくとることが要求される。この場合、一方の端部の剛性を確保する上で最も好ましい態様は、傾斜内面部41tを図示例のように厚み方向全体に亘り傾斜した内面部分で構成し、しかも、傾斜内面部41tがスリーブ貫通孔30aの内面と連続するもの(なお、図示例では間に僅かな段差が生ずる。)である。
【0028】
また、本実施形態では固定側係合部41から固定プレート部42が軸状部材10の軸線10xに対して鈍角となる方向に延在しているので、傾斜内面部41t等の張出内面部を固定側開口41aの固定部材40の一方の端部側に設けることは、固定部材の剛性を高める上で有利である。この場合には、軸状部材10の基端側が固定側開口41aを通過できるように構成しても張出内面部の張出量を充分に確保でき、特に、傾斜内面部41tを軸線10xに沿って傾斜させるとともに、スリーブ貫通孔30aに連続するように形成すれば、固定部材40の一方の端部の肉厚を充分に確保できるからである。さらに、傾斜内面部41tをスリーブ貫通孔30aの内面に沿った凹曲面状とすれば、固定部材40の剛性をなおさら高めることができる。
【0029】
一方、固定プレート部42には複数のネジ孔42aが形成されている。これらのネジ孔42aは図示しない骨ネジの軸部を通過させたときに当該骨ネジの頭部に係合するように構成され、この骨ネジによって固定プレート部42が骨の外側面上に固定される。
【0030】
上記のように構成されたインプラントシステムは、大腿骨の骨頭部近傍の骨折を治療する場合には例えば以下のように用いられる。まず、大腿骨の外側面から骨頭部内へ向けて図示しないガイドワイヤを刺入し、このガイドワイヤを案内手段としてリーマ等の穿孔器具で骨に穴を開ける。このとき、骨に開けられた穴は、奥の部分が軸状部材10に対応する小さな穴径を有し、浅い部分がスリーブ部材30の筒状部31の外径に対応するより大きな穴径を有する段付穴形状とされる。その後、上記ガイドワイヤを図6(a)に示す軸状部材10とスリーブ部材30の組み立て体に挿通させ、このガイドワイヤを案内手段として軸状部材10を骨に導入(螺入)する。そして、図示しない回転工具の先端の回転操作部をスリーブ貫通孔30aに挿入し、軸状部材10の工具係合部12と係合させる。このとき、スリーブ部材30を回転工具の手元側に引き出しておき、上記ネック部13bが筒状部31の抜け止め部31a及び平坦部31bに対向することで軸状部材10がスリーブ部材30に対して回転自在に構成されるようにする。
【0031】
上記の状態で回転工具を回転させて軸状部材10を骨に導入(螺入)していく。軸状部材10が十分な深さに導入された(ねじ込まれた)こと(すなわち、スクリュウ11の先端が骨頭部内の皮質近傍に到達したこと)をX線画像等の透視画像などで確認してから、導入作業を終了する。
【0032】
しかる後に、スリーブ部材30を骨内に押し込み、筒状部31の内面部31bが軸状部材10の外面部13aと係合し、軸状部材10とスリーブ部材30とが軸線周りに固定されるようにする。そして、スリーブ部材30のスリーブ側係合部32の裏面を骨面に密着させる。その後、固定部材40を体内に挿入し、大腿骨の外側面に沿って固定側係合部41をスリーブ部材30のスリーブ側係合部32にスライド係合させる。最後に、固定部材40の固定プレート部42を図示しない骨ネジによって大腿骨の外表面上に(管状骨の長手方向に沿って)固定する。
【0033】
本実施形態では、上記のように軸状部材10の外面部13aとスリーブ部材30の内面部31bが回転方向に係合することによって軸状部材10がスリーブ部材30に対して軸線10x方向にはスライド可能であるが、回転不能の状態になる。ただし、軸状部材10の回転による骨頭部の回旋を防止する必要がなければ、上述の軸状部材10とスリーブ部材30の回転方向の係合構造は不要であり、この場合には両者は常に回転自在に連結された状態とされる。
【0034】
また、本実施形態では、スリーブ側係合部32と固定側係合部41が内部に配置された係合構造(凸部と凹部)によって厚み方向に係合しているため、スリーブ側係合部32と固定側係合部41の重ね合わせ部分が小型化(狭幅化)され、特に、大腿骨のサイズが小さい東洋人や骨の強度が弱い高齢者に対する手術でも患者への負担を軽減することができるという効果が得られる。
【0035】
さらに、本実施形態では、スリーブ側係合部32の幅や長さを低減できるため、手術時の切開範囲を低減して、手術の低侵襲性を向上させることができる。特に、本実施形態のインプラントシステムでは、スリーブ部材30と固定部材40を別体とし、これらを着脱可能に構成することで、手術の低侵襲化を図ることに成功しているが、さらに、スリーブ部材30のスリーブ側係合部32の長さ(図5(a)における上下方向の寸法)及び幅(図5(a)における左右方向の寸法)を小さくすることで、切開範囲をより低減することができ、手術の低侵襲性をいっそう向上させることができる。
【0036】
図7は上記インプラントシステムの変形例を大腿骨に装着した様子を示す縦断面図である。ここで、図示例のインプラントシステムでは、固定部材40′の構造が上記実施形態と異なるのみであり、他の軸状部材10及びスリーブ部材30は上記実施形態と同一の構造を有する。また、大腿骨に対する軸状部材10の係合固定状態や固定部材40′の固定プレート部42の大腿骨の外側面上への骨ネジ48を用いた固定態様は先の実施形態と同様である。
【0037】
固定部材40′は、先の実施形態と同様の固定側係合部41及び固定プレート部42とを備えているが、さらに、固定側係合部41から固定プレート部42とは反対側に伸びる延長部43を備えている点で上記実施形態と異なる。この延長部43には1又は複数のネジ孔43aが設けられ、このネジ孔43aに他の骨ネジ(ラグスクリュウ)47を挿通させ、係合保持することができるようになっている。このような構造は、特に、大腿骨の近位端に複雑な骨折が生じている場合に、複数の骨片を確実に固定することができる点で好ましく、或いはまた、大腿骨の骨頭部が軸状部材10(ラグスクリュウ)を中心に回旋してしまうことを防止することができる点でも好ましい。
【0038】
次に、上記インプラントシステムに用いることができる保持器具の構造について詳細に説明する。図1は本発明に係る整形外科手術システムの一部を構成する保持器具50の概略斜視図、図2は保持器具50の装着部の拡大部分側面図、図3(a)は保持器具50の部分断面図、図3(b)は保持器具50の主要部の変形例を示す分解断面図である。
【0039】
保持器具50は、装着部50Aと、この装着部50Aの基端に接続された把持部50Bとを有し、装着部50Aは、係合部材51と、保持部材52と、係合部材51と保持部材52を相対的に移動させるための移動部材53とを備えている。また、把持部50Bは、上記保持部材51に固定された軸体部54と、この軸体部54の基端に固定されたグリップ部55とを備えている。
【0040】
係合部材51は、端部51a(図示下端)に上記固定部材40に係合する楔状の内面係合部51bを備えている。この内面係合部51bは、上記傾斜内面部41tとほぼ整合する形状の係合外面部51sを有している。係合外面部51sは、図示例の場合上記傾斜内面部41tの傾斜面に対応する厚み方向に傾斜した外面形状を備え、より具体的には、スリーブ貫通孔30aの内面に沿った凹曲面状の傾斜内面部41tに嵌合する凸曲面状に構成されている。また、この端部51aは上記固定側開口41a内に導入可能に構成され、固定側開口41aの開口範囲の延長方向と対応する方向に延長された延長形状(例えば、楕円状若しくは長円状)を有している。さらに、係合部材51の基端側にはネジ孔51cが設けられ、このネジ孔51cが設けられた部分は保持部材52の内部に収容されている。なお、固定部材40に保持器具50を装着した状態で、端部51aの端面は固定部材40の固定側開口41aの開口面と平行な平坦面となっており、また、当該状態でスリーブ部材30に干渉せずに固定部材40の取り外しを可能とするに充分な程度に係合部材51が保持部材52に対し移動できるように構成されている。なお、係合部材51の端部51aは、その内面係合部51bが張出内面部41tに係合するように上記間隔内に配置した状態において、保持器具50を固定部材40に着脱する過程で係合部材51がスリーブ部材30に干渉しないように構成されていればよい。
【0041】
保持部材52は先端部に平坦な端面52aと、この端面52aの端縁から突出する当接部52bとを有している。当接部52bの内側には当接内面部52sが設けられている。この当接内面部52sは上記固定部材40の一方の端部の外面部位に嵌合する凹曲面状の内面形状を備えている。上記端面52aには係合部材51の基部を収容する収容穴52cが開口している。この収容穴52cは、端部51aが端面52aから突出する態様となるように係合部材51を収容し、また、上記係合部材51の係合外面部51sと、保持部材52の当接内面部52sとの距離が増減する方向に係合部材51が移動可能になるように余裕をもって形成されている。さらに、保持部材52には上記収容穴52cに連通する段付形状の挿通孔52dが設けられている。
【0042】
移動部材53は、係合部材51のネジ孔51cに螺合する雄ネジ部53aと、保持部材52の上記挿通孔52dに係合する肩部を備えた頭部53bとを有するネジ形状を有している。頭部53bは保持部材52から外側へ突出し、頭部53bを回転操作することで係合部材51に対する螺合深さを変えることができるように構成されている。頭部53bには、例えば六角形状の凹穴等で構成される工具係合部53cが設けられ、この工具係合部53cにより図示しないレンチ等の工具を用いて移動部材53を回転操作することができるように構成されていることが好ましい。図3(a)の実線は係合外面部51sが当接内面部52sに対して接近したときの係合部材51の位置を示しているが、移動部材53の頭部53bを軸線53x周りに回転操作することで係合部材51のネジ孔51cに対する雄ネジ部53aの螺合深さを浅くしていくと、図示破線で示すように当接内面部52sに対して係合外面部51sが離反していく方向に係合部材51が移動する。逆に、移動部材53に対する回転操作の回転方向を逆転させることで、上記とは逆に図示破線で示す状態から図示実線で示す状態に係合部材51を移動させることができる。
【0043】
図示例の場合、移動部材53の軸線53xが上記端部51aの端面や上記端面52aに対して傾斜していることにより、頭部53bが斜め外側へ突出した状態となるので、頭部53bに対する回転操作が容易になっている。また、軸線53xは係合部材51の軸線51xと直交し、この係合部材51の軸線51xは上記係合外面部51sの傾斜方向と平行になるように構成されている。これにより、係合部材51が移動して係合外面部51sが傾斜内面部41tに係合したときの係合力を大きくすることができる。また、係合外面部51sの傾斜方向は、保持器具50を固定部材40に装着したとき、上記傾斜内面部41tの傾斜方向と平行になるように構成されている。これにより、係合外面部51sが傾斜内面部41tに係合したときの両者の接触面積が増大するので、係合強度を高めることができる。
【0044】
図3(a)の図示破線で示す位置に係合部材51が配置された状態では、係合外面部51sと当接内面部52sの距離が離間しているため、内面係合部51bを固定側開口41aから脱出させることができ、また、逆に内面係合部51bを外部から固定側開口41a内に導入することができるようになっている。一方、図3(a)の図示実線で示す位置に係合部材51が配置された状態では、係合外面部51sと当接内面部52sの距離が接近しているため、内面係合部51bを固定側開口41aから脱出させることができず、また、逆に内面係合部51bを外部から固定側開口41a内に導入することができないようになっている。
【0045】
したがって、図示破線の状態で係合部材51の端部51aを固定側開口41a内に導入し、その後、移動部材53を操作して係合部材51を図示実線で示す位置まで移動させると、内面係合部51bが傾斜内面部41tに係合するとともに当接内面部52sが固定部材40に当接して端部51aが固定側開口41aから脱出不可能な状態となるので、保持器具50が固定部材40に保持された状態とされる。
【0046】
本実施形態では、係合部材51の係合内面部51sは傾斜内面部41tの凹曲面形状に嵌合する凸曲面状に構成されているので、係合内面部51sを傾斜内面部41tに密接させることにより、保持器具50に装着された固定部材40の保持姿勢を規制することができる。もっとも、係合部材51の端部51aは固定側開口41aの延長形状の開口範囲に嵌合しうる延長形状を有するので、係合内面部51sが傾斜内面部41tに密接しなくても、係合部材51の端部51aが固定側開口41a内に挿入されるだけで、保持器具50に対する固定部材40の姿勢は概略規制される。
【0047】
なお、図3(b)に示すように、係合部材51と保持部材52との間にコイルスプリング等の弾性部材56を介在させ、この弾性部材56によって常に係合部材51と保持部材52とが相互に離間する方向に付勢されるように構成することで、保持部材52に対する係合部材51の移動動作をより確実に得ることができる。すなわち、保持部材52に対する係合部材51の位置を移動部材53により確実に設定することができる。ここで、図3(a)に示す図示実線の位置から図示破線の位置に係合部材51を移動させる際には上記弾性部材56の弾性力が駆動力となる。
【0048】
以上説明した上記の保持器具50は図4乃至図6に示す固定部材40に適合したものであるが、図7に示す変形例の固定部材40′を用いる場合には、保持部材52の当接部52bの位置及び当接内面部52sの形状等を延長部43の先端に適合するように変更することで対応可能である。なお、上記の係合部材51のネジ孔51c、挿通孔52d、及び、雄ネジ53aや頭部53bを備えた移動部材53、さらには必要に応じて使用される上記弾性部材56は、上記の部材移動手段を構成する。
【0049】
図8乃至図10は、上記保持器具50を用いて手術を行う際の作業手順を示す概略工程図である。最初に、体表面を切開して図8に示す皮膚開口a及び切開範囲Aを形成する。切開範囲Aは皮膚開口aから軸状部材10の軸線10xに沿って大腿骨の外側面に至るまで斜めに形成される。切開範囲Aの傾斜角度は大腿骨の外側面に対して通常130〜150度程度の角度範囲(これは、上記軸状部材10の軸線10xと固定プレート部42の延在方向との角度(上記の鈍角)に対応する。)であり、皮膚開口aの位置及び上記傾斜角度は予め角度テンプレート(アングルチェッカー)等の位置決め器具(図示せず)を用いるなどの方法でX線画像等の透視画像に基づいて設定される。その後、前述のように大腿骨の外側面から、ガイドピンの導入、段付穴を形成するためのリーマ加工、軸状部材10の導入を順次に実施し、図8に示すように軸状部材10及びスリーブ部材30を骨に導入する。
【0050】
次に、図8に示すように固定部材40を保持器具50に装着して、固定プレート部42の先端を皮膚開口aから体内に導入し、図9に示すように大腿骨の外側面に沿って固定プレート部42を遠位側へ挿入し、一旦、固定部材40の固定側係合部41がスリーブ部材30のスリーブ側係合部32よりも遠位側に配置される状態とする。その後、図10に示すように大腿骨の外側面に沿って固定部材40を近位側へスライドさせて固定側係合部41をスリーブ側係合部32に係合させる。
【0051】
上記のようにしてスリーブ部材30と固定部材40とが係合したら、保持器具50を固定部材40より取り外す。なお、スリーブ部材30と固定部材40とを完全に係合させるために必要に応じて適宜のインパクタ等を用いて固定部材40にスライド嵌合方向に衝撃を与えてもよい。その後、固定部材40の固定プレート部42の少なくとも一つのネジ孔42aに骨ネジを挿通して大腿骨に導入することで、固定部材40を固定する。このとき、固定プレート部42のいずれかのネジ孔42aに対して最初の骨ネジを挿入して骨に螺入させると当該骨ネジの頭部によってネジ孔42aの近位側の開口縁が押圧され、固定部材40が近位側に圧迫されるようにすることで、スリーブ側係合部32と固定側係合部41とが完全に係合した状態(スライド係合構造が最も深く係合した状態)を確実に得ることができる。
【0052】
保持器具50はインプラントシステムを体内から取り外す場合にも用いることができる。この場合には、固定部材40に保持器具50を装着し、骨ネジ等が抜去された状態で保持器具50を用いて固定部材40をスライドさせてスリーブ部材30から取り外し、その後、軸状部材10及びスリーブ部材30を抜去する。このようにすると、抜去時の皮膚開口aや切開範囲Aを小さくすることができ、患者に与える負担を軽減できる。このとき、本実施形態の保持器具50では固定部材40に対する装着作業を従来よりも容易に行うことができるため、体内に埋設された固定部材40に対して保持器具50を装着することに困難が生ずることはない。また、本実施形態の保持器具50では固定部材40に対する係合強度(取付剛性)を従来のネジ結合などを用いたものに比べて高めることができるため、固定部材40を取り外す際に仮骨形成等に起因する抜去抵抗により装着構造が破壊されるなどの事故を防止することができる。
【0053】
なお、上記の実施形態では、係合部材51の内面係合部51bを固定側開口41aの内部に配置し、傾斜内面部41tに係合させるとともに、保持部材52の当接部52bを固定部材40の一方の端部の外面部位に当接させることで、保持器具50が固定部材40を保持できるように構成しているが、保持部材52を固定側開口41aの上記傾斜内面部41tとは反対側の対向内面部に当接するように構成してもよい。すなわち、保持部材52に上記対向内面部に当接する当接部を設け、この当接部と係合部材51の内面係合部51bとが固定側開口41aの開口縁を内側から押し広げるようにして固定部材40が保持される構造であってもよい。この場合、対向内面部は図示例のように正面側に開くように傾斜した内面部ではなく、固定側開口41aの開口面に対して垂直な面、或いは、スリーブ部材30の側に傾斜した面で構成されることが好ましい。
【0054】
また、上記実施形態では、係合部材51と保持部材52の相対的移動を可能にする部材移動手段として、移動部材53やネジ孔51cを主要構造とする送りネジ機構が設けられているが、部材移動手段は上記実施形態に限定されるものではなく、公知のスライド式の移動機構、回動式の移動機構など、種々の移動機構で構成できる。さらに、軸状部材の軸線と固定部材の延在方向との間の角度は鈍角に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】実施形態の整形外科手術器具セットの保持器具の概略斜視図。
【図2】同保持器具の装着部を示す拡大部分側面図。
【図3】同保持器具を固定部材と共に示す部分縦断面図。
【図4】実施形態のインプラントシステムの組み立て状態を示す側面図(a)及び正面図(b)。
【図5】同インプラントシステムのスリーブ部材と固定部材の分解正面図(a)及び底面図(b)。
【図6】同インプラントシステムの分解断面図(a)、固定部材の背面図(b)、固定部材の平面図(c)、固定部材の底面図(d)及びスリーブ部材の断面図(e)。
【図7】異なるインプラントシステムの構造及び使用態様を示す縦断面図。
【図8】同保持器具の使用状態1を示す概略工程図。
【図9】同保持器具の使用状態2を示す概略工程図。
【図10】同保持器具の使用状態3を示す概略工程図。
【符号の説明】
【0056】
10…軸状部材、30…スリーブ部材、30a…スリーブ貫通孔、31…筒状部、32…スリーブ側係合部、40…固定部材、41…固定側係合部、41a…固定側開口、41t…傾斜内面部、42…固定プレート部、50…保持器具、51…係合部材、51a…端部、51b…内面係合部、51s…係合外面部、51c…ネジ孔、52…保持部材、52a…端面、52b…当接部、52s…当接内面部、53…移動部材、53a…雄ネジ
【出願人】 【識別番号】393024186
【氏名又は名称】株式会社ホムズ技研
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100100055
【弁理士】
【氏名又は名称】三枝 弘明


【公開番号】 特開2008−12006(P2008−12006A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185156(P2006−185156)