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【発明の名称】 医用画像表示装置
【発明者】 【氏名】緒方 与志也

【要約】 【課題】ウィンドウ処理などのような特定の画像表示機能の調整機構を持ったX線透視診断装置において、その調整機構の設置スペースを気にすることなく、かつその画像表示機能を直感的で迅速に調整できるX線透視診断装置を提供する。

【構成】画像データを画像として表示することが可能な医用画像表示装置である。この装置において、タッチパネルディスプレイ35と、このディスプレイ上を接触体で摺動した際の移動距離を求める軌跡演算手段37と、軌跡演算手段37の演算結果に応じて、変数により規定される特定の画像表示機能の変数を変更して画像データを可変出力する表示内容制御手段38とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する医用画像表示装置であって、
表示された画像に所定の画像処理を行うための情報を入力するタッチパネルディスプレイと、
このディスプレイ上を接触体で摺動した際の移動距離を求める軌跡演算手段と、
軌跡演算手段の演算結果に応じて、変数により規定される特定の画像表示機能の変数を変更して画像を可変表示させる表示内容制御手段とを備え、
前記画像表示機能には、ウィンドウレベル調整、ウィンドウ幅調整および画像のページ送りの少なくとも一つが含まれることを特徴とする医用画像表示装置。
【請求項2】
前記タッチパネルディスプレイには、前記摺動動作で操作される操作部の模式イメージが表示され、
この操作部の表示領域に接触体が接触することで摺動動作を行うよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項3】
前記タッチパネルディスプレイの画面を複数の分割エリアに分割し、軌跡演算手段は、各分割エリアにおける摺動距離に基づいて全摺動距離を演算するように構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の医用画像表示装置。
【請求項4】
画像表示機能として、第一の画像表示機能と第二の画像表示機能とを備え、
タッチパネルディスプレイのX軸方向への摺動で第一の画像表示機能の変数を変更させ、そのY軸方向への摺動で第二の画像表示機能の変数を変更させるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の医用画像表示装置。
【請求項5】
画像を表示する読影モードが選択可能に構成され、その読影モード時、タッチパネルディスプレイの点灯表示を制限する点灯制限手段を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の医用画像表示装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、医用画像表示装置に関するものである。特に、ジョグダイヤルの模式イメージをタッチパネルに表示し、このジョグダイヤルをタッチパネルに接触することで操作して、モニタに表示される画像のウィンドウレベルやウィンドウ幅などを調整できる医用画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線透視撮像装置として、非特許文献1に記載の装置がある。この装置は、被検体が載せられる天板と、X線を被検体に照射するX線発生部と、被検体を透過したX線を検出するX線検出部とを有する。このX線発生部とX線検出部とはCアームで連結されると共に、このCアームが天井から吊下げられている。このような装置の動作は、撮像装置の設置された検査室とは別の操作室に操作卓を設け、その操作卓からの指令により行われる。そして、X線検出部で検出されたX線は、画像データとして出力され、そのデータが操作卓上または画像処理装置上のモニタに表示画像として表される。
【0003】
この装置の画像診断時における動作の一つとして、画像データに対するウィンドウ処理がある。ウィンドウ処理は、表示画像のコントラストと輝度とを観察したい部位に適するよう調整する画像処理であり、観察する濃度範囲をウィンドウ幅、その幅の中心レベルをウィンドウレベルという。
【0004】
これらのウィンドウ処理値の調整には、非特許文献1に示すように、ジョグシャトルダイヤルが用いられることがある。例えば、ジョグダイヤルでウィンドウレベルを調整し、ジョグダイヤルの外周にあるシャトルダイヤルでウィンドウ幅の調整を行う。その他、図15に示すように、モニタの画面上の一部にスライドバー500と呼ばれるGUI(Graphical User Interface)を表示して、ウィンドウレベルやウィンドウ幅の調整を行う場合もある。例えば、ウィンドウレベルは左右の三角510、520と真ん中の三角530の計3つの三角を一体として左右に移動させることで調整し、ウィンドウ幅は左右の三角510、520の間隔を変化させることで調整する。このスライドバーの動作には、マウスを用い、マウスポインタで所定の三角をドラッグすることでウィンドウレベル(幅)の調整を行っている。
【0005】
【非特許文献1】技術レポート「大視野FPD搭載天井走行式IVRシステム PARTIRE」 小田和幸 清水正巳著 MEDIX VOL.40 36-41頁 2004年3月 株式会社日立メディコ発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、ジョグシャトルダイヤルを用いる構成では、次のような問題があった。
ジョグシャトルダイヤルは、ハードウェアなので、ソフトウェアによるウィンドウ処理値の調整手段に比べて製造コストがかかる。その上、同ダイヤルの設置スペースが問題になることがある。例えば、操作卓や画像処理装置の卓上にジョグシャトルダイヤルを配置することが考えられるが、通常、これら卓上にはジョイスティック、操作ボタン、各種スイッチ類など他の操作部が配置されており、ジョグシャトルダイヤルの配置スペースの確保が難しい。また、この配置スペースが確保できた場合でも、画像診断時以外では卓上のジョグシャトルダイヤルが邪魔になることが多い。
【0007】
一方、スライドバーを用いる構成では、次のような問題があった。
スライドバーを操作する場合は、マウスポインタを正確にスライドバーの所定位置に合わせる必要上、モニタの表示画像から目を離さなければならない。そのため、表示画像を見ながらスライドバーを操作することは事実上できない。また、通常、画面上に表示されるスライドバーのサイズは限られるため、マウスポインタを微細に動作して正確な値を設定することが難しい。例えば、ウィンドウレベルやウィンドウ幅の値は、高々10cm程度の間隔に数千以上もの値を設定する必要がある。そのため、マウスポインタを僅かに動かしただけでも値が大きく変化してしまい、この値の微妙な調整をマウスで行うことが難しい。
【0008】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、その目的の一つは、ウィンドウ処理などのような特定の画像表示機能の調整機構を持った医用画像表示装置において、その調整機構の設置スペースを気にすることなく、かつその画像表示機能を直感的で迅速に調整できる医用画像表示装置を提供することにある。
【0009】
また、本発明の他の目的は、特定の画像表示機能の微妙な調整を容易に実現することができる医用画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、例えばタッチパネルディスプレイにジョグダイヤルと同様の画像を表示し、ソフトウェアによりハードウェアのジョグダイヤルと同様の機能を実現することで上記の目的を達成する。
【0011】
本発明装置は、画像を表示する医用画像表示装置である。この装置において、本発明は、表示された画像に所定の画像処理を行うための情報を入力するタッチパネルディスプレイと、このディスプレイ上を接触体で摺動した際の移動距離を求める軌跡演算手段と、軌跡演算手段の演算結果に応じて、変数により規定される特定の画像表示機能の変数を変更して画像可変表示させる表示内容制御手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
本発明装置によれば、タッチパネルディスプレイ上に接触体を摺動させることで、ソフトウェアにより、ハードウェアによるジョグシャトルダイヤルと同様の機能を実現することができる。それに伴い、ウィンドウレベルやウィンドウ幅などの特定の画像表示機能の値を直感的な動作で容易に調整することができる。
【0013】
また、タッチパネルディスプレイを用いた画像表示機能の調整は、ソフトウェアの変更により、種々の画像表示機能の調整に容易かつ低コストに対応できる。そのため、ハードウェアによるジョグシャトルダイヤルに比べて、高い自由度でタッチパネルディスプレイにより実現される機能をカスタマイズすることができる。
【0014】
さらに、タッチパネルディスプレイは画像表示機能の調整以外の機能を実現することにも利用でき、特定の画像表示機能に対応したタッチパネルディスプレイ上の表示は、その画像表示機能の調整を行わないときには画面上から消すこともできる。そのため、専ら特定の機能調整にしか対応できないハードウェアによるジョグシャトルダイヤルに比べて、タッチパネルディスプレイの利用度は高く、同ディスプレイで実現できる機能に対する配置スペースは、個々の機能毎に操作機構を持つ場合に比べて非常に小さくすることができる。
【0015】
タッチパネルディスプレイは、一般に、画面への接触体の接触位置を検出する機能を有し、その接触によりコンピュータに所定の指令を与えることができるディスプレイである。その画面への接触の感知には、例えば感圧式と静電式がある。前者は圧力の変化を感知し、後者は静電気による電気信号を感知する。接触体としては、操作者の指や操作者が持つ専用ペンなどが挙げられる。
【0016】
軌跡演算手段は、タッチパネルディスプレイ上を接触体で摺動した際の移動量を演算する。例えば、単位時間当たりの摺動距離を演算して積算することで移動量(全摺動距離)を求める。ここでの単位時間は、演算処理速度に遅延を引き起こさない限り、微小な時間に設定することが好ましい。この単位時間が微小であれば、単位時間内における接触体の摺動軌跡を実質的に直線状に抽出でき、積算した摺動距離を正確に求めることができる。
【0017】
この摺動距離に基づいて、表示内容制御手段により画像データを可変出力する。具体的には、軌跡演算手段の演算結果に応じて、変数により規定される特定の画像表示機能の変数を変更する。この画像表示機能の具体例としては、ウィンドウレベル調整、ウィンドウ幅調整、複数画像のページ送りなどが挙げられる。これらはいずれも変数により規定される画像表示機能であり、この変数を変更することで画像データを可変出力し、そのデータに応じた画像で変更表示することができる。
【0018】
通常、軌跡演算手段は、摺動距離の演算の他、摺動方向も検知する。摺動距離に加えて、摺動方向の検知を行うことで、画像表示機能の変数を増加させるか減少させるかを明確に規定できる。検知する摺動方向の具体例としては、ディスプレイの画面上の上下方向および左右方向の少なくとも一方が挙げられる。摺動方向は、単位時間当たりの摺動範囲における始点と終点を結ぶベクトルなどを利用して容易に判別できる。なお、摺動方向を判断せず、専ら摺動距離のみで画像表示機能の変数の変更を行なうことも考えられる。例えば、タッチパネルディスプレイ上をどの方向に摺動しても、画像表示機能の変数の可変方向を一定とし、この変数が最大値(最小値)に達したら最小値(最大値)に戻って順次変数を増加(減少)させるようにしてもよい。
【0019】
このような本発明装置において、さらに好ましい態様を以下に説明する。
【0020】
本発明装置において、さらに、変数により規定される特定の画像表示機能を選択する機能選択手段を設けることが好ましい。この機能選択手段は、画像表示機能が複数ある場合、そのうちのいずれかを選択する。そして、表示内容制御手段は、選択された画像表示機能の変数の変更を行なう。例えば、タッチパネルディスプレイ上に複数の選択ボタンF1、F2、F3…を表示し、ボタンF1を押せばウィンドウレベルが選択され、ボタンF2を押せばウィンドウ幅が選択されるというようにすればよい。
【0021】
また、本発明装置において、タッチパネルディスプレイには、前記摺動動作で操作される操作部の模式イメージが表示され、この操作部の表示領域に接触体が接触することで摺動動作を行うよう構成することが好適である。操作部は、摺動動作でコンピュータへ所定の指令を行うために、ディスプレイ上に表示される機器やGUIである。その具体例としては、ハードウェアとして既に知られている各種の操作器や入力デバイスが挙げられる。後述するように、タッチパネルディスプレイには、何も表示しない状態で接触体の摺動動作を行うようにしても良いが、摺動動作で操作される操作部の模式イメージを表示すれば、その操作部の表示領域を摺動動作の目標とでき、容易に摺動動作を行なうことができる。この操作部の模式イメージの具体例としては、ジョグダイヤルが挙げられる。もちろん、操作部は、ジョグダイヤルにシャトルダイヤルを組み合わせてジョグシャトルダイヤルとしてもよい。
【0022】
本発明装置のタッチパネルディスプレイは、画像を表示するモニタと兼用でも良いし、このモニタとは別に設けてもよい。画像を表示するモニタとタッチパネルディスプレイを兼用にすれば、従来から操作卓上に設けられているモニタをタッチパネルディスプレイに代えて利用すればよく、新たな部材の設置スペースを考慮する必要がない。この場合、画像表示機能の調整が必要なときには、画面上の任意の位置を接触体で摺動することで、その表示機能の調整を行ったり、前述した操作部の模式イメージを画像上に重ねて又は画像と重ならない位置に表示して、その操作部を摺動することで、前記表示機能の調整を行うことができる。一方、画像を表示するモニタとタッチパネルディスプレイを独立させた場合、画像と操作部とが重ならないため、画像の視認性や摺動動作の操作性に優れる。また、タッチパネルディスプレイ自体はある程度の面積を有するが、このディスプレイを立てた状態に配置すると、卓上を占有する面積は小さくて済む。
【0023】
また、本発明装置において、タッチパネルディスプレイの画面を複数の分割エリアに分割し、軌跡演算手段は、各分割エリアにおける摺動距離に基づいて全摺動距離を演算するように構成されていることが好ましい。
【0024】
この構成によれば、各分割エリアごとに摺動距離を求め、それら摺動距離を積算することで全摺動距離を求めることができ、実際の摺動軌跡を容易に近似的に求めることができる。
【0025】
タッチパネルディスプレイの画面の分割は、画面の中心から放射状の複数エリアに分割することが好ましい。具体的な分割の仕方としては、「×」状や「+」状に4分割したり、さらに放射状に6分割、8分割などすることが挙げられる。その場合、各分割エリアでは、例えば、水平方向の摺動距離と上下方向の摺動距離の一方しか演算しない場合と、これら双方向の摺動距離を演算する場合との2つの演算方式が挙げられる。
【0026】
ディスプレイの画面を複数の分割エリアに分割する代表例には、タッチパネルディスプレイの画面を×状に上下左右の4つの分割エリアに分割し、各分割エリアのうち対向する2つのエリアは上下の摺動距離を、残る2つのエリアは左右の摺動距離を演算するように構成することが好ましい。
【0027】
この構成によれば、一対の分割エリアは上下の摺動距離のみを、残る一対の分割エリアは左右の摺動距離のみを演算するため、例えば上下の摺動距離を演算するエリアでは、左右方向にも摺動が行われていても、この左右方向の摺動距離は無視される。そのため、演算で求められる摺動距離は実際の摺動軌跡から若干ずれるが、摺動距離の演算は簡易に行うことができ、演算処理速度を向上させることができる。
【0028】
このエリアの分割の仕方は、例えば、円形のジョグダイヤルの場合、その中心を通る2本の交差線でジョグダイヤルを4つの扇形の分割エリアに分割することが挙げられる。その場合、上下の分割エリアの中心角は、左右の分割エリアの中心角よりも小さくすることが好ましい。
【0029】
また、本発明装置において、タッチパネルディスプレイにジョグダイヤルの模式イメージを表示する場合、このジョグダイヤル表示領域を接触体が摺動した際に、単位時間当たりの摺動速度を演算する速度演算手段と、ジョグダイヤルから接触体が離れた後、前記摺動速度に応じた速度でジョグダイヤルが減速して停止されるまでの間における画像表示機能の変数変化量を調整する慣性表示制御手段とを有することが好ましい。
【0030】
ハードウェアによるジョグダイヤルの場合、ダイヤルを早く回転すれば、ダイヤルは手を離した後、慣性で長い時間回転してから停止し、ダイヤルをゆっくり回転すれば、ダイヤルは手を離した後、短時間で停止に至る。上記の速度演算手段と慣性表示制御手段とを具備すれば、ジョグダイヤルの慣性運動を再現でき、ハードウェアによるジョグダイヤルと同様の使い勝手をソフトウェアにより実現することができる。
【0031】
より具体的には、速度演算手段でディスプレイから接触体が離れる直前の摺動速度を求める。一方、この直前の摺動速度に応じて、その速度から減速して速度が0になるまでの減速距離を設定しておき、ディスプレイ上に接触体を摺動させた移動距離に、この減速距離を加算して、積算された摺動距離とすればよい。そして、この積算された摺動距離に基づいて画像表示機能の変数を変更すると共に、ディスプレイから手を離した後、減速距離に相当する距離だけジョグダイヤルが回転するようにディスプレイにダイヤルを表示すればよい。
【0032】
さらに、本発明装置において、画像表示機能として、第一の画像表示機能と第二の画像表示機能とを備え、タッチパネルディスプレイのX軸方向への摺動で第一の画像表示機能の変数を変更させ、そのY軸方向への摺動で第二の画像表示機能の変数を変更させるように構成することが好ましい。
【0033】
各画像表示機能の具体例としては、第一の画像表示機能をウィンドウレベルとし、第二の画像表示機能をウィンドウ幅とすることが挙げられる。その場合、接触体がディスプレイの画面上を水平または垂直に摺動することでウィンドウレベルとウィンドウ幅の一方を、同画面上を斜めに摺動することでウィンドウレベルとウィンドウ幅を同時に調整することができる。
【0034】
その他、本発明装置において、タッチパネルディスプレイには、画像表示機能を規定する変数の最小値から最大値までのうち、現在設定されている値を表示するインジケータを表示することが好ましい。
【0035】
このインジケータを設けることで、現在の設定値を容易に把握でき、さらにどの程度の摺動動作を行えば、変数が最小値または最大値に達するかを認識できる。特に、このインジケータは、点灯域または消灯域をバー状に伸縮させて表示するバーグラフ式インジケータとすれば、最小値-最大値間における現在の設定値の概略位置を直感的に把握することができる。
【0036】
また、本発明装置のディスプレイには、上述したように、操作部の模式イメージを表示することができるが、この操作部の模式イメージを表示しないようにしてもよい。画像の診断は、読影室と呼ばれる特別な部屋で行われる場合がある。通常、読影室は、モニタに表示される画像の微妙な陰影を区別するため、画像が周りの照明等の明かりに影響されないよう、真っ暗にされている。ところが、画像を表示するモニタと画像表示機能を調整するためのタッチパネルディスプレイとが独立していると、ディスプレイの光がモニタに表示された画像を読影する際の邪魔になることが予想される。そこで、読影に支障を来たすことなくタッチパネルディスプレイを用いた画像表示機能の調整ができるよう、タッチパネルディスプレイの表示を制限することが好適である。
【0037】
例えば、本発明装置において、画像を表示する読影モードが選択可能に構成され、その読影モード時、タッチパネルディスプレイの点灯表示を制限する点灯制限手段を有することが望ましい。
【0038】
この構成によれば、読影モードが選択されたとき、ディスプレイの点灯表示が制限されるため、ディスプレイからの光の影響を極力排してモニタ画像の読影を行なうことができる。
【0039】
ここで、ディスプレイの表示は、(1)操作部の表示がないのみならずGUIを含む何らの表示も行わない、(2)操作部は表示されないが、変数で規定される特定の画像表示機能の種類・値や摺動動作のガイド、変数の増加・減少方向を示す矢印など、制限された情報は表示する、といったことができる。ディスプレイがバックライト式のディスプレイで、画面上に何らの表示も行わない場合、バックライトの点灯も行わないことが好ましい。
【0040】
また、この読影モードの選択が可能な本発明装置において、読影モード時、軌跡演算手段はタッチパネルディスプレイのどこを摺動しても単位時間当たりの摺動距離を演算して積算するように構成されていることが好ましい。
【0041】
この構成によれば、操作部の表示の有無に関わらず、ディスプレイ上の任意の位置を摺動すれば画像表示機能の変数を可変することができる。そのため、摺動動作をディスプレイの特定の領域に対して行う必要がないため、読影に集中することができる。
【0042】
さらに、読影モードの選択が可能な本発明装置において、読影モード時、タッチパネルディスプレイに対する接触回数と接触時間の少なくとも一方により画像表示機能を選択するように構成することが好ましい。
【0043】
画像表示機能が複数あれば、タッチパネルディスプレイ上に複数の選択ボタンを表示することでいずれかの画像表示機能を選択することが可能であることは既に述べたとおりである。一方で、モニタの画像を読影する際、上述したようにディスプレイの点灯表示は制限されている方が好ましく、上記の選択ボタンも表示されてない方が望ましい場合がある。そのような場合、ディスプレイに対する接触回数と接触時間の少なくとも一方により画像表示機能を選択可能とすれば、選択ボタンをディスプレイに表示しなくても画像表示機能の選択を行なうことができる。
【0044】
例えば、ディスプレイ上の任意の位置を1回タッチすればウィンドウレベルを調整でき、2回タッチすればウィンドウ幅を調整でき、3回タッチすれば画像のページを更新できるようにすること等が挙げられる。
【0045】
なお、本発明医用画像表示装置は、医用に用いられる画像表示装置であれば、あらゆる画像表示装置に利用できる。例えば、X線装置、MRIまたはCTなどの画像表示装置として本発明装置を利用することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明の医用画像表示装置によれば、タッチパネルディスプレイ上に接触体を摺動させることで、ハードウェアによるジョグシャトルダイヤルと同様の機能をソフトウェアで実現することができる。それに伴い、ウィンドウレベルやウィンドウ幅などの特定の画像表示機能の値を直感的な動作で容易に調整することができる。また、タッチパネルディスプレイは、特定の画像表示機能の値を調整する場合以外の制御にも利用でき、かつ設置スペースも小さくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0048】
(実施の形態1:ジョグダイヤル)
ここではX線診断装置を例として本発明を説明する。この診断装置は、X線装置本体(図1参照)、操作卓および画像処理装置(図2参照)を備えている。
【0049】
そのうち、X線装置本体1は、図1に示すように、天板11、基体12、X線発生部13、X線検出部14および支柱15を備える。
【0050】
天板11には、被検体Pが載せられる。この天板11は、床面上に設置される基体12を介して支持されており、操作卓からの操作により、基体12に対して回転することで起倒動などの動作が可能に構成されている。
【0051】
X線発生部13は、天板11に載せられた被検体にX線を照射する。この発生部13は、X線を発生するX線管と、発生されたX線の照射範囲を規制するX線絞りとを有する。このX線管へは、図3に示す高電圧発生装置から所定の電力が供給される。また、このX線発生部13は、支柱15に沿って昇降自在に支持され、天板11の上方に位置される。
【0052】
X線検出部14は、被検体Pを透過したX線を検出して、画像データに変換出力する。ここでは、X線検出部14として、FPD(フラットパネルディテクタ)を用いている。このX線検出部14は、支柱の下端部に連結されて、天板11の下方においてX線発生部13と対向配置されている。FPDから出力された画像データは、図3に示す画像処理装置3で所定の画像処理が施された後、モニタ32などの表示手段に撮影画像として表示される。X線検出部14としては、FPDの代わりにイメージインテンシファイヤとTVカメラを組み合わせたものも利用できる。
【0053】
支柱15は、上述したようにX線発生部13およびX線検出部14を支持しており、天板11に対してスライド自在に支持されている。支柱15をスライド自在とすることで、発生部13および検出部14は、互いに対向された状態で天板11の長手方向に移動される。
【0054】
操作卓2は、X線装置本体1の操作を行うための機構である。図2に示すように、この操作卓2上には操作ボタン(図示略)やジョイスティック21が設置され、これらを操作することで、撮影条件の設定、天板11の起倒動やX線発生部13の昇降、あるいはX線発生部13・X線検出部14の天板長手方向へのスライドなどを行なうことができる。この操作卓2は、主として天板11の駆動などの制御などを行う制御装置22と、X線条件の制御を行うX線制御装置23とを備えている(図3参照)。
【0055】
一方、画像処理装置3は、通常、操作卓2に近接して配置され、撮影で得られた画像データを保存すると共に、このデータに対して所定の画像処理を施し、可視化するための機構である。この処理装置は、図2、図3に示すように、画像処理が可能な処理装置本体31(コンピュータ)にテーブルを一体化したような構造で、そのテーブル上に画像を表示するモニタ32が設けられている。画像処理装置3に対する操作は、テーブル上のキーボード33およびマウス34を利用して行われる。
【0056】
さらに、本発明医用画像表示装置では、この画像処理装置にモニタ32とは別のタッチパネルディスプレイ35を設け、このディスプレイ35の画面上を指やペンなどの接触体で摺動することにより、ウィンドウレベルやウィンドウ幅など、変数により規定される画像表示機能の設定値を調整可能にしている。
【0057】
そのタッチパネルディスプレイ35の画面表示を図4に示す。このディスプレイ35には、機能選択ボタン351と、ジョグダイヤルの模式イメージ352と、インジケータ353とが表示される。
【0058】
機能選択ボタン351は、ジョグダイヤル352の操作により調整される画像表示機能の種類を選択するためのボタンである。画面上におけるボタン351の表示箇所に接触することで、所望する画像表示機能を選択する。図4では、F1〜F7まで7つのボタン351を示しているが、ここではF1がウィンドウ幅、F2がウィンドウレベルを選択するボタンである。残りのボタンには、適宜な画像表示機能を当てはめれば良い。
【0059】
ジョグダイヤル352は、このダイヤル352が表示された画面上を指などで円弧状の軌跡を描くように摺動することで、ハードウェアのジョグダイヤルを操作するのと同様の感覚で選択した画像表示機能の設定値を調整可能にする。ここでは、円形のジョグダイヤル352で、その表面には摺動動作の始点の目印となる始点マーカ352Sが表示されている。この始点マーカ352Sは、ジョグダイヤル352内の外周寄りに設けられた小円である。始点マーカ352S上を指で押さえて画面上を摺動すると、ジョグダイヤル352は摺動に伴って回転し、始点マーカ352Sの位置もダイヤル352の回転に同期して移動される。この同期動作は、例えばタッチパネルディスプレイ35における現在の接触位置とジョグダイヤル352の中心を結ぶ線の角度に基づいて行えばよい。画像表示機能の設定値の調整は、ジョグダイヤル352の表示領域に対する摺動動作で行うが、この表示領域から指が外れた場合でも、画像表示機能を調整可能にしても良い。それにより、モニタ31の画像から目を離すことなく、ジョグダイヤル352の摺動動作を行うことができる。
【0060】
一方、インジケータ353は、選択された画像表示機能の現在の設定値が、設定可能な下限値・上限値の間のどの程度に位置しているかを直感的に認識できるように表示する。ここでは、いわゆるバーグラフ式インジケータを採用している。インジケータ353の左端が設定値の下限を示し、右端が設定値の上限を示している。そして、バーグラフの点灯エリア(図4において黒く表示した箇所)の右端が現在の設定値を示している。
【0061】
画像処理装置3内には、ウィンドウ処理を行う階調処理部が存在し、この階調処理部において、ディスプレイ上の指などによる摺動に伴う画像表示機能の設定値の調整を行う。具体的には、この階調処理部は、図5に示すように、タッチパネルディスプレイ35の他、機能選択手段36、軌跡演算手段37および表示内容制御手段38を備えている。
【0062】
機能選択手段36は、機能選択ボタンの入力により、そのボタンに対応した画像表示機能を選択する。例えば、ボタンF1が押されれば、ジョグダイヤルの操作によりウィンドウ幅の調整が可能になる。そして、機能選択手段36は、後述する表示内容制御手段38に対して、選択されている機能の種類を指令する。
【0063】
軌跡演算手段37は、ジョグダイヤルの表示された画面上を指などで摺動した際、その摺動距離を演算して求める。この演算手順にはいくつかの手法が考えられる。その第一の手法を図6に基づいて説明する。ここでは、図6(A)に示すように、タッチパネルディスプレイの中心にジョグダイヤル352に表示し、ディスプレイの画面をその対角線で4つの領域に放射状に分割している。分割された各領域をL、U、R、Dとする。ここで、領域Lと領域Rは画面の垂直方向の摺動距離のみを検出し、領域Uと領域Dは画面の水平方向の摺動距離のみを検出する。また、各領域では摺動の方向(ダイヤルの回転方向)も検出する。摺動の方向は、摺動動作の始点と終点の位置から判別できる。領域Lでは上側を+、領域Uでは右側を+、領域Rでは下側を+、領域Dでは左側を+とし、各々の逆方向を-としている。さらに、単位時間当たりの移動量の始点と終点は、ディスプレイ上における指で押圧された領域の、例えば重心を単位時間ごとに順次求めて、画面に指が接触した際の重心を始点、画面から指が離れる直前の重心を終点とすればよい。
【0064】
このような画面において、ジョグダイヤルを始点マーカ352Sが実線の位置から破線の位置まで移動するように単位時間中に回転させたとする。その場合、領域Lでは長さLvが検出され、領域Uでは長さLhが検出される。その際、Lv、Lhの値が正の値であることから摺動動作が右回転でされていることもわかる。そして、このLvを高さとしLhを底辺とする直角三角形の斜辺の長さを求め、その斜辺の長さを、この摺動における摺動距離とする。この演算手法によれば、実際の摺動軌跡が円弧であるのに対して直線状に摺動距離の演算を行っているが、演算処理が簡易であり、かつある程度の精度で近似的に摺動距離を求めることができる。
【0065】
さらに、この手法において、3つ以上の領域をまたいで摺動動作が行われる場合、隣接する一対の領域ごとに直角三角形の斜辺の長さを求めて、それらの長さを積算すればよい。例えば、図6(B)に示すように、Lv1を高さとしLh1を底辺とする直角三角形の斜辺の長さを求め、さらにLv2を高さとしLh2を底辺とする直角三角形の斜辺の長さを求める。その際、摺動軌跡と各領域の分割線との交点を利用してLv1、Lh1、Lv2、Lh2を求める。そして、これら斜辺の合計長さを、この摺動動作の摺動距離とする。なお、この演算手法において、画面を分割する分割線上に摺動動作の終点が位置した場合、この終点を含む領域における摺動距離は、斜辺の長さを求める代わりに、摺動軌跡とその領域の分割線との交点間の垂直距離または水平距離を求める。
【0066】
次に、この4分割した軌跡演算手法の変形例として、画面を放射状に8分割した演算手法を図7に基づいて説明する。この手法では、摺動軌跡と各分割領域A1〜A8ごとの交点を用いて各分割領域を通過する直線距離を求め、順次この直線距離を積算することで摺動距離を求める。ここでは、図6で説明した手法とは異なり、いずれの分割領域でも垂直方向および水平方向の摺動距離を検出することができる。例えば、単位時間内に、このダイヤルを始点マーカ352Sが実線から破線の位置まで移動するように円弧状に摺動したとする。その際、摺動軌跡が各分割領域を通過する直線距離L1〜L3を求める。直線距離L1〜L3は個々の直線距離の垂直成分と水平成分からピタゴラスの定理により求めることができる。そして、これら直線距離L1〜L3を積算して、この摺動動作における移動距離とする。
【0067】
この手法において、ジョグダイヤル352の回転方向は、始点がどの領域に属しているかということと、最初の直線距離L1がどのような垂直(水平)成分を有するかで決定すればよい。例えば、領域A1に始点が属する場合、その始点から伸びる最初の直線距離L1が上側の垂直成分を有していればダイヤルを右側に回転していると認識する。同様に、領域A2内を始点として伸びる最初の直線距離が上側の垂直成分を有していればダイヤルを右側に回転していると認識する。さらに、領域A6内を始点として伸びる最初の直線距離が上側の垂直成分を有していればダイヤルを左側に回転していると認識する。
【0068】
図7の手法によれば、画面(ジョグダイヤル)をより細かな領域に分割し、各分割領域を通過する直線距離を積算することで、図6の手法よりも実際の摺動軌跡に近い摺動距離を求めることができる。
【0069】
さらに別の手法を図8に基づいて説明する。この手法でも図6の手法と同様に画面を4つの領域L、U、R、Dに分割している。ただし、この手法ではいずれの分割領域でも垂直方向および水平方向の摺動距離を検出することができ、かつ単位時間を極めて短い時間としている。
【0070】
例えば、図8(A)に示すように、このダイヤルを始点マーカ352Sが実線から破線の位置まで移動するように円弧上に摺動したとする。その際、同図(B)に示すように、微視的に見れば、単位時間当たりに実線の小矢印ごとに摺動が行われたことになる。この小矢印は、同図(C)に示すように、実質的に直線とみなすことができるので、単位時間当たりの移動量c(小矢印)は、小矢印の垂直成分aと水平成分bからピタゴラスの定理により求めることができる。このとき、単位時間当たりの移動量の始点と終点は、ディスプレイ上における指で押圧された領域の、例えば重心を単位時間ごとに順次求めて、最初の重心を始点、最後の重心を終点とすればよい。そして、単位時間当たりの移動量が演算できれば、この移動量を積算することで摺動の開始から終了までの摺動距離を求めることができる。摺動の開始は、例えばディスプレイのジョグダイヤル352が表示される領域に指が接触された時点とし、摺動の終了は、例えばディスプレイのジョグダイヤルが表示される領域から指が離れる直前とする。
【0071】
この手法においても、ジョグダイヤル352の回転方向は、始点がどの領域に属しているかということと、最初の直線距離(小矢印)がどのような垂直(水平)成分を有するかで決定すればよい。例えば、領域Lに始点が属する場合、その始点から伸びる最初の直線距離が上側の垂直成分を有していればダイヤル352を右側に回転していると認識する。同様に、領域U内を始点として伸びる最初の直線距離が右側の水平成分を有していればダイヤルを右側に回転していると認識する。さらに、領域D内を始点として伸びる最初の直線距離が右側の水平成分を有していればダイヤルを左側に回転していると認識する。
【0072】
また、最初の直線距離(小矢印)がどのような垂直(水平)成分を有するかを利用してダイヤルの回転方向を決定すると、タッチパネルディスプレイの画面上に指を載せた際、指先にわずかな揺らぎが生じると、ダイヤルを右回転に摺動しているのに、最初の小矢印のみは左回転の判定を行う垂直(水平)成分を有する可能性がある。そのため、画面に接触してから複数個分(2〜5個分程度)の小矢印の垂直または水平方向を合算し、その合算された垂直(水平)成分を利用してダイヤルの回転方向を判断してもよい。
【0073】
この図8の手法により摺動距離を求めれば、曲線状の摺動軌跡の長さと実質的に等しい長さを求めることが可能になる。
【0074】
一方、表示内容制御手段38は、前述した軌跡演算手段37の演算結果に基づいて選択された画像表示機能の設定値を変更させ、変更後の設定値に応じた画像をモニタに表示させる。例えば、ウィンドウ幅の調整の場合、ジョグダイヤル352を右に回転するとウィンドウ幅が広がり、左に回転するとウィンドウ幅が狭まるように調整される。ウィンドウレベルの調整の場合、ジョグダイヤルを右に回転するとウィンドウレベルが上げられ、左に回転するとウィンドウレベルが下げられる。ウィンドウ幅を狭くするとコントラストは向上するが、視覚上のノイズが増える。ウィンドウ幅を広げるとノイズは減少するが、微妙なコントラストを表現できない。ウィンドウレベルは観察対象の濃度幅(ウィンドウ幅)の中心に合わせることが好ましい。
【0075】
また、軌跡演算手段37で求めた摺動距離と画像処理機能の設定値の変更の関係は、実際の操作感覚を考慮して決定すればよい。例えば、大きな摺動距離でも微細にしか画像処理機能の設定値を変更しないようにすれば、正確な設定値の微調整を容易に行うことができる。逆に、小さな摺動距離でも大きく画像処理機能の設定値を変更するようにすれば、この設定値の変更を素早く行うことができる。
【0076】
このように、本発明装置によれば、ジョグダイヤル352をタッチパネルディスプレイ35上に表示し、そのダイヤル352に対して摺動動作を行うことで、ハードウェアのジョグダイヤルとほぼ同様な感覚でウィンドウ幅やウィンドウレベルの調整を行うことができる。特に、ジョグダイヤル352は、タッチパネルディスプレイ35から指を離すことなく連続的に摺動動作を行うことで大きな摺動距離を得ることができ、大幅なウィンドウ幅(レベル)の調整も容易に行うことができる。さらに、タッチパネルディスプレイ35は立てた状態で利用されるため、その設置スペースも小さくて済む。
【0077】
(実施の形態2:慣性再現式ジョグダイヤル)
次に、実施の形態1の構成に加えて、ジョグダイヤルを回転させた際、その回転に慣性運動を再現できる実施形態を図9に基づいて説明する。本実施形態の基本的な構成は実施の形態1と共通しているが、さらに速度演算手段と慣性表示制御手段とを有する点が主な相違点である。以下、この相違点を中心に説明する。
【0078】
本実施形態において、タッチパネルディスプレイ35のジョグダイヤル352は、そのダイヤル352から指が離れた後、摺動速度に応じた速度でジョグダイヤル352を減速して停止されるように表示される。
【0079】
ここで、速度演算手段39Aは、単位時間当たりの摺動速度を演算する。例えば、ジョグダイヤルから指が離れる直前の単位時間における摺動速度を演算で求める。
【0080】
慣性表示制御手段39Bは、ジョグダイヤルから接触体が離れた後、前記摺動速度に応じた速度でジョグダイヤルが減速して停止されるまでの間にジョグダイヤルが進行する距離(減速距離)を求める。例えば、速度演算手段39Aで求められる摺動速度と、前記減速距離との関係を予め記憶手段に記憶させておく。通常、摺動速度が速いほど、減速距離は大きく、摺動速度が小さいほど減速距離は小さい。次に、速度演算手段39Aで求められた摺動速度に応じた減速距離を記憶手段から読み出し、この減速距離を軌跡演算手段37で求めた摺動距離に加算して、その摺動動作における見かけ上の摺動距離とする。そして、表示内容制御手段38により、この見かけ上の摺動距離に応じて画像表示機能の設定値の変更を行ない、変更後の設定値に合った画像をモニタに表示させる。
【0081】
以上の本実施形態によれば、ジョグダイヤル352を回転させた際に、そのダイヤルに慣性運動を再現できるため、ハードウェアによるジョグダイヤルと実質的に同一の操作感覚で画像処理機能の設定値を調整することができる。特に、この設定値を変更するに際して、常にタッチパネルディスプレイ35の画面上を摺動する必要がなく、画面から指が離れてもある程度は設定値が変化されるため、迅速な設定値の変更が可能になる。
【0082】
(実施の形態3:二重ジョグダイヤル)
次に、実施の形態1とは異なる画面表示のジョグダイヤルが表示される本発明実施の形態を図10に基づいて説明する。本実施形態の基本構成は実施の形態1と同様であり、タッチパネルディスプレイ上に表示されるジョグダイヤルの模式イメージとその機能が異なるだけであるため、以下の説明は、この相違点を中心に行う。
【0083】
このジョグダイヤルは内側ダイヤル352iと外側ダイヤル352oとを有する二重ジョグダイヤルになっている。ここでは、内側ダイヤル352iでウィンドウ幅を、外側ダイヤル352oでウィンドウレベルを調整する。つまり、実施の形態1と同様に内側ダイヤル352i・外側ダイヤル352oの各々を右または左に回転するように画面上を摺動することで、各画像表示機能の設定値を調整できる。本実施形態の場合、両ダイヤルを操作することで、機能選択ボタン351によりウィンドウ幅とウィンドウレベルの画像表示機能の切替を行わなくても、これら両者の調整を行なうことができる。
【0084】
その他、調整できる画像表示機能を一つとし、内側ダイヤル352iで粗調整、外側ダイヤル352oで微調整ができるようにしてもよい。例えば、設定値が1〜4096まである画像表示機能を調整する場合、内側ダイヤル352iが外側ダイヤル352oの10倍の速さで設定値を増減するようにすれば、内側ダイヤル352iで迅速な粗調整を行い、その後、外側ダイヤル352oで微調整を行うことができる。その際、外側ダイヤル352oの方が内側ダイヤル352iよりも同じ回転角であれば摺動距離が長いため、外側ダイヤルを画像表示機能の設定値の微調整に利用することが好適である。
【0085】
(実施の形態4:横向きジョグダイヤル)
次に、実施の形態1や3とは異なるジョグダイヤルが表示される本発明実施の形態を図11に基づいて説明する。本実施形態では、ジョグダイヤルを平面視したイメージではなく、外周面側から見たイメージとして表示している。さらに、このジョグダイヤル352U、352Dを2つ設け、機能選択ボタン351およびインジケータ353も各ダイヤルに対応して2セットづつ設けている。
【0086】
つまり、このダイヤル352U、352Dは、回転軸が図11の上下方向に延びており、図11の右側または左側に向けて画面上を指などで水平方向に摺動動作することで、画像表示機能の設定値を変更することができる。このジョグダイヤル352U、352Dは、ダイヤルの表示幅が限られ、1回の摺動距離がダイヤルの表示幅に制限されるため、長い摺動距離を得て設定値を大きく変更させるには、摺動動作を複数回繰り返す必要がある。しかし、この摺動動作は水平方向のみの繰り返し動作で良いため、円弧運動を行う実施の形態1のジョグダイヤルに比べれば、ダイヤルから指がずれることなく容易に摺動動作を行なうことができる。
【0087】
(実施の形態5:X-Yスライド式タッチパネル)
次に、タッチパネルディスプレイの画面をX方向にスライドすることでウィンドウ幅を、Y方向に摺動することでウィンドウレベルを調整できる本発明実施形態を図12に基づいて説明する。本実施形態のタッチパネルディスプレイ35も実施の形態1と同様のX線診断装置の一部として設けられている。そして、タッチパネルディスプレイ35の画面を指などで摺動することで、その摺動軌跡に応じてウィンドウ幅、ウィンドウレベルを調整できる点は実施の形態1と共通であるため、ここでは、タッチパネルディスプレイ35の画面表示と、その表面を指で摺動した場合の動作を中心に説明する。
【0088】
本実施形態のタッチパネルディスプレイ35には、何も表示されていない。説明の便宜上、図12の画面は白く表示されているが、実際には真っ暗である。このようなディスプレイ35の画面において、画面底辺近傍の位置をX方向(水平方向)に摺動するとウィンドウ幅を可変することができる。例えば、画面の右側に摺動するとウィンドウ幅を広げることができ、左側にスライドすると同幅を狭めることができる。
【0089】
一方、ディスプレイ35の画面における左辺近傍をY方向(垂直方向)に摺動すると、ウィンドウレベルを可変することができる。例えば、画面の上側に摺動するとウィンドウレベルの設定値を上げることができ、下側にスライドすると同設定値を下げることができる。
【0090】
さらに、ディスプレイ35の画面左下の角部から斜め方向に画面上を摺動すると、ウィンドウ幅とウィンドウレベルを同時に可変することができる。例えば、この摺動軌跡の画面底辺に対する角度が45°未満ではウィンドウ幅を大きく可変させ、ウィンドウレベルを小さく可変させることができ、同角度を45°超とすればウィンドウ幅を小さく可変させ、ウィンドウレベルを大きく可変させることができる。
【0091】
本実施の形態によれば、タッチパネルディスプレイ35に何も表示されていなくても、摺動方向によりウィンドウ幅とウィンドウレベルとを同時にまたは個別に可変させることができる。
【0092】
(実施の形態6:ジョグダイヤル非表示式タッチパネル)
次に、円弧状の摺動軌跡を描くことで画面表示機能の設定値を可変とするが、タッチパネルディスプレイにはジョグダイヤルの模式イメージが表示されない実施形態を図13、図14に基づいて説明する。本実施形態のタッチパネルディスプレイ35も実施の形態1と同様のX線診断装置の一部として設けられている。また、タッチパネルディスプレイ35の画面上を指などで円弧状に摺動することで、その摺動軌跡に応じて特定の画像表示機能の設定値を調整できる点も実施の形態1と共通である。ただし、ここでの画像表示装置は、図13に示すように、モード選択手段31Aと点灯制限手段31Bとを有している。
【0093】
モード選択手段31Aは、画像処理装置3の処理装置本体31に設けられ、既に撮影された画像を表示する読影モードの選択を可能にする。
【0094】
一方、点灯制限手段31Bは、読影モードの選択時、タッチパネルディスプレイ35の点灯表示を制限する。ここでのタッチパネルディスプレイ35では、図14に示すように、画像表示機能の種類、摺動動作のガイド354およびインジケータ353のみが表示され、その表示箇所以外は黒く表示されている。
【0095】
摺動動作のガイド354とは、摺動動作を行いやすくするために画面上に表示される目標で、画面の中心を示す点や、線で表示された円などが挙げられる。本実施形態ではガイド354として、画面の中心に星型枠を、さらにその周りに円形枠を細線で表示している。摺動動作を行う場合、この星型枠や円形枠を目安とすればよい。もっとも、このタッチパネルディスプレイ35は、その画面上の任意の位置を摺動することで画像表示機能の設定値の変更が可能となるため、このガイド354から指がずれても、画像表示機能の設定値の変更はできる。
【0096】
また、ここでのインジケータ353は、図4や図11に記載のものとは異なり、点灯表示される箇所を極力小さくできる構成としている。つまり、インジケータ353の全体を細長い矩形枠で表示し、現在の画面表示機能の設定値の位置を逆三角枠で示している。矩形枠や三角枠はいずれも線表示できるため、画面上の点灯領域を極力小さくすることができる。
【0097】
読影は、画像表示装置の設置空間を暗くして行われることがある。その際、本実施形態によれば、タッチパネルディスプレイ35の点灯表示を画像表示機能の種類、摺動動作のガイド354およびインジケータ353に制限することで、そのディスプレイ35の画面を極力暗くすることができる。それにより、タッチパネルディスプレイ35からの光がモニタ32(図3参照)に表示された画像の読み取りの障害となることを可及的に回避することができる。
【0098】
本実施形態において、調整する画像表示機能の切替は、タッチパネルディスプレイ35の任意の位置または特定の位置に接触する回数や時間で行うことが好適である。例えば、図14では画面左上の角部に「ウィンドウ幅」との表示を行い、現在選択されている画像表示機能がウィンドウ幅であることを示している。このとき、この表示領域に一度接触するとウィンドウレベルに切り替わり、二度接触するとページ送りに切り替わり、さらにもう一度接触すると再度ウィンドウ幅に戻るようにすることが挙げられる。あるいは、タッチパネルディスプレイ上の特定箇所を一定以上の長時間接触することで画像表示機能が切り替わるようにしてもよい。このようにタッチパネルディスプレイの任意の位置または特定の位置に接触する回数や時間で行うことは前述の実施の形態5にも適用できる。
【0099】
なお、本実施形態では、タッチパネルディスプレイ35の画面上に画像表示機能の種類、摺動動作のガイド354、インジケータ353が表示される構成を示したが、これらが一切表示されず、タッチパネルディスプレイ35が真っ暗な画面となるようにしてもよい。その場合でも、画面の任意の位置を摺動することで、所定の画像表示機能の値を調整することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明の医用画像表示装置は、X線による撮影や透視により得られた画像の表示に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0101】
【図1】本発明装置が用いられるX線装置本体の概略斜視図である。
【図2】操作卓と画像処理装置の概略模式図である。
【図3】本発明装置が用いられるX線装置の機能ブロック図である。
【図4】タッチパネルディスプレイの表示例を示す平面図である。
【図5】画像処理装置の機能ブロック図である。
【図6】ジョグダイヤルの摺動軌跡の演算手順を示す説明図である。
【図7】画面を8分割した場合におけるジョグダイヤルの摺動軌跡の演算手順を示す説明図である。
【図8】図6とは別のジョグダイヤルの摺動軌跡の演算手順を示す説明図である。
【図9】慣性運動を再現できる画像処理装置の機能ブロック図である。
【図10】内側と外側の二重のジョグダイヤルを示す模式平面図である。
【図11】タッチパネルディスプレイの表示例として、2連のジョグダイヤルを示す模式平面図である。
【図12】タッチパネルディスプレイの表示例として、水平方向や垂直方向への摺動で画像表示機能の設定値の調整を行う場合を示す説明図である。
【図13】点灯表示制限手段を有する本発明装置の機能ブロック図である。
【図14】点灯表示が制限されたタッチパネルディスプレイの表示例を示す平面図である。
【図15】従来装置に表示されるスライドバーの概略構成図である。
【符号の説明】
【0102】
1 X線装置本体
11 天板 12 基体 13 X線発生部 14 X線検出部 15 支柱
2 操作卓
21 ジョイスティック 22 制御装置 23 X線制御装置
3 画像処理装置
31 処理装置本体 31A モード選択手段 31B 点灯表示制限手段
32 モニタ 33 キーボード 34 マウス
35 タッチパネルディスプレイ 36 機能選択手段 37 軌跡演算手段
38 表示内容制御手段 39A 速度演算手段 39B 慣性表示制御手段
351 機能選択ボタン 352 ジョグダイヤルの模式イメージ 352S 始点マーカ
352i 内側ジョグダイヤル 352o 外側ジョグダイヤル
352U、352D ジョグダイヤル 353 インジケータ 354 ガイド
500 スライドバー 510、520、530 三角
P 被検体
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】 【識別番号】100100147
【弁理士】
【氏名又は名称】山野 宏


【公開番号】 特開2008−11935(P2008−11935A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183906(P2006−183906)