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【発明の名称】 X線CT装置
【発明者】 【氏名】植松 孝明

【要約】 【課題】被検体の心拍数の変動や体動に対してもアーチファクトを抑えることができるX線CT装置を提供する。

【構成】複数列検出器により螺旋スキャンを行い、被検体の透過X線データと前記被検体の生体信号を取得する。前記生体信号は、所定の範囲で変動する周期を有する信号であって、前記生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、前記複数列検出器の計測データから単列検出器相当の計測データを作成する。この計測データと前記生体信号と該生体信号の周期が所定の周期からずれる割合とに基づいて前記生体信号の指定された位相における透過X線データを抽出し、この抽出した透過X線データを用いて指定された位相の断層像を再構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を透過したX線を検出する複数列X線検出器を有し、前記被検体を螺旋スキャンすることにより複数列の透過X線データを取得するデータ取得手段と、
前記被検体の生体信号を取得する信号取得手段と、
前記取得した複数列の透過X線データから、被検体の体軸方向の指定された位置で単列検出器を複数回転して得られる単列検出器相当の透過X線データを算出するデータ算出手段と、
前記単列検出器相当の透過X線データと前記取得した生体信号とに基づいて、生体信号の指定された位相における透過X線データを抽出するデータ抽出手段と、前記抽出した透過X線データに基づいて前記指定された位置における被検体の断層像を生成する画像生成手段とを備えたX線CT装置において、前記信号取得手段で取得する生体信号は、所定の範囲で変動する周期を有する信号であって、さらに前記生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、前記データ抽出手段は、前記単列検出器相当の透過X線データと前記取得した生体信号とこの信号の周期が所定の周期からずれる割合とに基づいて、生体信号の指定された位相における透過X線データを抽出する手段を備えたことを特徴とするX線CT装置。
【請求項2】
被検体に関し、体軸方向の指定された位置における該体軸周りに複数回転分の透過X線デ―タを取得するデータ取得手段と、
前記被検体の生体信号を取得する信号取得手段と、
前記複数回転分の透過X線データと前記取得した生体信号とに基づいて、生体信号の指定された位相における1回転分のデータを抽出するデータ抽出手段であって、単一の重み関数を重ね合せおよび正規化して生成
した重みテーブルを用いてデータを抽出するデータ抽出手段と、前記抽出された透過X線データに基づいて、前記指定された位置および位相における被検体の断層像を生成する画像生成手段とを備えたX線CT装置において、前記信号取得手段で取得する生体信号は、所定の範囲で変動する周期を有する信号であって、さらに前記生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、前記データ抽出手段は、前記複数回転分の透過X線データと前記取得した生体信号とこの信号の周期が所定の周期からずれる割合とに基づいて前記生体信号の指定された位相における1回転分のデータを単一の重み
関数を重ね合せおよび正規化して生成した重みテーブルを用いて抽出する手段を備えたことを特徴とするX線CT装置。
【請求項3】
前記周期ずれ算出手段は、前記信号取得手段で取得した生体信号の周期の平均時間間隔とこの平均時間間隔からずれた周期の時間間隔とから前記周期のずれる割合を算出する周期ずれ率算出手段と、この周期ずれ率算出手段で算出したずれ率を正規化するずれ率正規化手段とを備えて成る請求項1又は2に記載のX線CT装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明はX線CT装置に係り、特に心臓撮影における被検体の心拍の変動や体動による再構成画像のアーチファクトを低減する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、X線管とX線検出器が被検体を中心として回転しながら前記被検体の透過X線データを取得し、そのデータに基づいて断層像を再構成するX線CT装置が知られている。
【0003】
このようなX線CT装置は、X線管やX線検出器の回転速度に限界があるため、心臓のような常に動いている物体のある瞬間における画像を1回転で取得したデータから再構成することは困難であるが、心臓は心拍周期ごとにほぼ同じ動作を繰り返しているため、数回転分の計測データを取得し心電信号に基づいて心臓の特定の状態(例えば、最収縮期)におけるデータを抽出することにより、あたかも心臓が静止しているかのような画像を作成できる。これを、心電同期撮影と呼んでいる。
【0004】
この心電同期撮影において、被検体の体軸方向(スライス位置)位置を固定した状態でX線管とX線検出器を回転させて計測データを取得していたために撮影に多くの時間を要していたが、近年、X線管とX線検出器を被検体の周りに連続して回転させると共に、被検体を載置した寝台を移動させて計測する螺旋CTが開発され、さらにスライス方向に複数列のX線検出素子アレイを配列し、1回のX線曝射によって2次元のX線データを収集し、複数のCT画像が得られるマルチスライス型X線CT装置が開発されたことにより、短時間で心電同期撮影を行うことが可能となり、その例が特許文献1に開示されている。
【0005】
これは、複数列検出器の計測データから単列検出器相当の計測データを作成し、作成した計測データに単一の重み関数を加重加算および正規化した重みテーブルを掛け合わせて抽出した1回転分の計測データから断層像を再構成するものである。
【特許文献1】特開2004−337515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1の心電同期撮影を用いることにより、体動による偽像(アーチファクト) はある程度抑えることができるが、撮影中の被検体の心臓の心拍周期に変動がある場合はアーチファクトを発生しやすい。
【0007】
これは、作成した計測データに掛け合わせる上記重みテーブルの比率が同じであることによるもので、上記の従来技術は、被検体の心拍周期が一定であることを前提として重みテーブルを作成し、この重みテーブルを用いて抽出した計測データを用いて断層像を再構成するためである。
【0008】
また、被検体の心臓の心拍数が非常に多い場合やスキャナの回転速度が遅いことに起因して発生する体動によるアーチファクトの発生も上記と同じ理由によるものである。
【0009】
このように、上記特許文献1の従来技術は、被検体の心拍周期の変動や体動によるアーチファクトの低減に対しては配慮されていなかった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記問題に鑑みて成されたものであって、被検体の心拍数の変動や体動に対してもアーチファクトを抑えることができるX線CT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るX線CT装置は、被検体を透過したX線を検出する複数列X線検出器を有し、前記被検体を螺旋スキャンすることにより複数列の透過X線データを取得するデータ取得手段と、前記被検体の生体信号を取得する信号取得手段と、前記取得した複数列の透過X線データから、被検体の体軸方向の指定された位置で単列検出器を複数回転して得られる単列検出器相当の透過X線データを算出するデータ算出手段と、前記単列検出器相当の透過X線データと前記取得した生体信号とに基づいて前記生体信号の指定された位相における透過X線データを抽出するデータ抽出手段と、前記抽出した透過X線データに基づいて前記指定された位置における被検体の断層像を生成する画像生成手段とを備えたX線CT装置において、前記信号取得手段で取得する生体信号は、所定の範囲で変動する周期を有する信号であって、さらに前記生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、前記データ抽出手段は、前記単列検出器相当の透過X線データと前記取得した生体信号とこの信号の周期が所定の周期からずれる割合とに基づいて前記生体信号の指定された位相における透過X線データを抽出する手段を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第1の特徴に係るX線CT装置では、上記生体信号の周期が変動する場合であっても、前記生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、この手段で算出した生体信号の周期を考慮して断層像の再構成に必要なデータを抽出するようにしたので、生体信号のゆらぎによる断層像のアーチファクトを抑制することができる。
【0013】
また、本発明の第1の特徴に係るX線CT装置では、螺旋スキャンの方法はX線検出器を螺旋状に動かす方法に限定されるものではなく、X線検出器の回転、被検体やX線検出器の移動を組み合わせて行うようにしてよい。
このようにして、本発明の第1の特徴に係るX線CT装置では、生成された断層像のアーチファクトが抑制されて、簡単な構成で、かつ迅速に行うことができる。
なお、生体信号とは、心臓の拍動や呼吸、あるいはそれらに伴う被検体の拡張や収縮等、被検体が発する信号である。
【0014】
本発明の第2の特徴に係るX線CT装置は、被検体に関し、体軸方向の指定された位置における該体軸周りに複数回転分の透過X線デ―タを取得するデータ取得手段と、前記被検体の生体信号を取得する信号取得手段と、前記複数回転分の透過X線データと前記取得した生体信号とに基づいて、生体信号の指定された位相における1回転分のデータを抽出するデータ抽出手段であって、単一の重み関数を重ね合せおよび正規化して生成した重みテーブルを用いてデータを抽出するデータ抽出手段と、前記抽出された透過X線データに基づいて、前記指定された位置および位相における被検体の断層像を生成する画像生成手段とを備えたX線CT装置において、前記信号取得手段で取得する生体信号は所定の範囲で変動する周期を有する信号であって、さらに前記生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、前記データ抽出手段は、前記複数回転分の透過X線データと前記取得した生体信号とこの信号の周期が所定の周期からずれる割合とに基づいて前記生体信号の指定された位相における1回転分のデータを単一の重み関数を重ね合せおよび正規化して生成した重みテーブルを用いて抽出する手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の第2の特徴に係るX線CT装置では、上記生体信号の周期が変動する場合であっても、前記生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、この手段で算出した生体信号の周期を考慮して断層像の再構成に必要なデータを抽出するようにしたので、生体信号のゆらぎによる断層像のアーチファクトを抑制することができる。
また、あらかじめ用意しておいた複数の重みテーブルから断層像生成条件に応じた重みテーブルを選択したり、X線検出器の各列から得られた透過X線のデータのそれぞれに対して重みテーブルを用いてデータを抽出したりする必要が無い。
このように、本発明の第2の特徴に係るX線CT装置では、生成された断層像のアーチファクトが抑制されて、簡単な構成で、かつ迅速に行うことができる。
【0016】
なお、本発明の第2の特徴に係るX線CT装置では、単列検出器もしくは複数列検出器を用いて透過X線データを取得し、断層像を生成することができる。
【0017】
本発明の第3の特徴に係るX線CT装置は、上記本発明の第1又は第2の特徴に係るX線CT装置において、上記周期ずれ算出手段は、前記信号取得手段で取得した生体信号の周期の平均時間間隔とこの平均時間間隔からずれた周期の時間間隔とから前記周期のずれる割合を算出する周期ずれ率算出手段と、この周期ずれ率算出手段で算出したずれ率を正規化するずれ率正規化手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
被検体の生体信号の周期が所定の周期からずれる割合を算出する周期ずれ算出手段を備え、単列検出器相当の透過X線データと前記生体信号とこの信号の周期が所定の周期からずれる割合とに基づいて前記生体信号の指定された位相の透過X線データに基づいて被検体の断層像を生成するようにしたので、前記生体信号の周期が変動する場合であっても、この変動による断層像のアーチファクトを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、添付図面に従って、本発明に係るX線CT装置の好ましい実施の形態について詳説する。
図1に、本実施の形態が適用されたX線CT装置10の構成を示す。
X線CT装置10は、X線の照射を制御するX線制御部12と、X線制御部12の制御によりX線を照射するX線源14と、X線源14の照射したX線を検出するX線検出器16とを備えている。
【0020】
前記X線制御部12は、後述の操作部32で設定したX線条件(X線源14としてのX線管の陽極と陰極間に印加する直流の高電圧を発生させるための管電圧の指令値と、X線管の陽極と陰極間に流す管電流の指令値)になるように制御するX線制御信号を生成する図示省略のX線制御信号生成部と、このX線制御信号生成部で生成された制御信号に基づいて前記管電圧を発生する図示省略の高電圧発生部及び前記管電流を制御するためのX線管のフィラメントを加熱制御する図示省略のフィラメント加熱制御部とで構成され、図示省略のスリップリングとブラシから成る電力供給機構および信号伝達機構を介して図示省略の商用交流電源からの電力および前記操作部32で設定したX線条件指令信号が伝達される。
【0021】
前記X線検出器16は、図2に示すように、複数の検出器列を有しており(本実施の形態ではA、B、C、Dの4列)、チャネル方向と列方向に二次元的に配列された複数のX線検出素子を有する。
このX線検出素子は、例えばシンチレータとフォトダイオードとの組み合わせによって構成され、全体として円筒面状若しくはチャネル方向に関して折れ線状に湾曲したX線入射面を構成しており、例えばチャネル番号iは1〜1000程度である。
【0022】
前記X線検出器16には、図示省略のデータ収集装置が接続され、このデータ収集装置はX線検出器16の個々のX線検出素子の検出データを収集する。
【0023】
前記X線源14及びX線検出器16は、X線源/検出器駆動部18により駆動され、相対的な位置関係を保ちつつ回転する。これとともに、検査台駆動部22が検査台20を回転面と垂直方向に移動させる。この回転および移動により螺旋スキャンが行われ、検査台20上に載置された被検体99の透過X線データが取得される。螺旋スキャンの際には、心電計24 により被検体99の心電信号が併せて取得される。
【0024】
X線CT装置10は、また、データ取得制御部26を備えている。データ取得制御部26は、X線制御部12、X線源/検出器駆動部18、検査台駆動部22、および心電計24を制御し、操作部32が設定した条件により透過X線データと心電信号とを取得する。このデ―タ取得制御部26が取得した透過X線データ及び心電信号は前記図示省略のスリップリングとブラシから成る信号伝達機構を介してデータ処理部28に入力され、この入力された透過X線データ及び心電信号に基づいて断層像を再構成する(後述)。再構成された断層像は、表示モニタ30に画像として表示される。
【0025】
操作部32は図示しないボタンやスイッチを含み、前記X線条件、X線源14及びX線検出器16の回転速度、検査台20の移動速度、断層像再構成における再構成位置や心時相(心電信号の位相)等のスキャンや断層像再構成に必要なパラメータをユーザが設定可能に構成されている。
【0026】
次に、上記実施の形態の動作について説明する。X線CT装置10は、図3に示すフローに従って断層像の再構成を行う。
(1)まず、ステップ100で、透過X線データ及び心電信号を取得する。
本ステップでは、X線源14及びX線検出器16を回転させながらX線源14がX線を照射し、これに併せて検査台20を被検体99の体軸方向に移動させることにより螺旋スキャンを行い、X線検出器16が被検体99の透過X線データを取得する。この際、心電計24が被検体99の心電信号を取得する。
なお、心電同期撮影を行う場合、X線源14及びX線検出器16の回転周期と心電信号の周期(心拍周期)が同じであると、異なる角度情報を得ることができない。したがって、図4に示すように回転周期は心拍周期より所定の間隔(例えば、10%〜20%)ずらすことが好ましい。
【0027】
(2)次のステップ102で、前記ステップ100で取得した心電信号から心拍周期のずれを算出する(周期ずれ算出手段)。
この心拍周期のずれは、心拍周期の変動によるアーチファクトを低減するために用いるものである。
すなわち、従来の特許文献1に開示されている重みテーブルは、被検体の心拍周期に変動がない場合であるが、例えば不整脈の患者の場合の心拍周期は一定ではなく、該心拍周期は図5に示すように変動しており、このように変動するとアーチファクトを発生しやすい。
これは、従来の重みテーブルは、作成した計測データに掛け合わせる重みテーブルの比率が同じであることによるもので、本発明は前記のように心拍周期のずれも考慮して後述の重みテーブルを作成するものである。
【0028】
前記心拍周期のずれの算出は、周期のずれ率を算出し、このずれ率を正規化することによって得るものである。
前記周期のずれ率は、上記図3のフローのステップ100で計測した心電情報を用いて心拍周期のずれ率Dθ、すなわち被検体の心拍周期の平均時間間隔TAVGからずれる割合を下式により算出する(周期ずれ率算出手段)。
【数1】


ここで、TAVGは数回転分の心拍の計測によって得られた該心拍周期の平均時間間隔、Tθは計測によって取得した心拍の時間間隔である。
この処理は、体動についても同様に、理想的なサイノグラム曲線とのずれを検出することによって周期のずれ率を算出することができる。
【0029】
後述の重み関数計算では、該重み関数のレベルを合わせるために、前記ずれ率Dθを正規化したずれ係数Dθ’を用いる。正規化関数をFとすると正規化後のずれ係数Dθ’は下式で与えられる(ずれ率正規化手段)。
【数2】


【0030】
前記正規化関数Fの単純な例を示すと、Fは心拍のばらつきの実用上の範囲である閾値nに従い、以下の式で与えられる。
【数3】


【0031】
(3)次のステップ104では、操作部32を介したユーザの指示入力に基づいて再構成位置を設定し、ステップ106へ進む。再構成位置とは断層像が生成される位置であり、被検体99の体軸方向について指定される位置である。
【0032】
(4)ステップ106では、X線検出器16の各列(A、B、C、D)が取得した透過X線データから、図6に示す単列検出器相当の計測データD(複数回転分、本実施の形態では5回転分)を作成する(後述)。このデータは、再構成位置において単列検出器を複数回転して得られるようなデータである。
【0033】
(5)次のステップ108では、操作部32を介したユーザの指示入力に基づいて再構成を行う心時相を指定し、ステップ110へ進んで指定した心時相に対応する計測データ位置を選択した後にステップ112へ進む。
【0034】
(6)ステップ112では、重みテーブルTwを作成する(後述)。
この重みテーブルTwは、上記のステップ106で作成した単列検出器相当の計測データDから、上記ステップ110で指定した心時相における1回転分の計測データを抽出するために用いるものである。
【0035】
この重みテーブルTwは、X線検出器16の各列(A、B、C、D)のそれぞれに対応して作成する必要はなく、単列検出器相当の計測データDについて作成すればよい。すなわち、この単列検出器相当の計測データDを用いることにより、各列に対応した複数の重みテーブルをあらかじめ用意しておく必要が無いので、簡単な構成で、かつ迅速に断層像の再構成を行うことができるようになる。
【0036】
(7)次のステップ114では、計測データDに重みテーブルTwを掛け合わせて指定した心時相における1回転分の計測データD’を抽出し(図7参照)、ステップ116へ進む。
【0037】
(8)ステップ116では計測データD’に基づいて断層像を再構成し(図8参照)、次のステップ118において表示モニタ30に断層像を表示した後にステップ120へ進む。なお、ステップ116における断層像の再構成は、従来から知られている技術により行うことができる。
【0038】
(9)ステップ120では、心時相を再指定するか否かを判断する。この判断は、操作部32を介したユーザの指示入力により行うことができる。肯定されると、上記のステップ108からステップ118を繰り返して指定された心時相における断層像を再構成し、表示する。この場合、単列検出器相当の計測データDが既に作成されているので、心時相を指定するごとにデータ作成処理を行う必要はなく、断層像の再構成を迅速に行うことができる。
【0039】
(10)一方、ステップ120において判断が否定されるとステップ122へ進み、再構成位置を再設定するか否かを判断する。この判断は、操作部32を介したユーザの指示入力により行うことができる。肯定されるとステップ104へ戻り、否定されるとステップ124へ進む。
【0040】
(11)ステップ124では、計測データおよび心電信号を再取得するか否かを判断する。この判断は、操作部32を介したユーザの指示入力により行うことができる。肯定されるとステップ100へ戻り、否定されると本処理ルーチンを終了する。
【0041】
以上説明したように、X線CT装置10では、断層像の再構成を簡単な構成で、かつ迅速に行うことができる。
【0042】
次に、図3に示すフローのステップ106における単列検出器相当の計測データ算出処理について説明する。図9に、計測データ算出処理のフローを示す。
【0043】
(12)まず、ステップ200において、再構成位置における全周分のデータ(X線検出器1列分)を作成する。この処理は、以下のようにして行う。
【0044】
図10に示すように、時刻t0において、X線検出器のある列(ここではA列とする)が再構成位置にあるものとする。この場合、A列がデータを取得できるのは検出器のチャネル方向の広がりに相当する角度、すなわち(θ0−Δθ)から(θ0+Δθ)の範囲(実線の範囲)であり、その他の角度(点線の範囲)については、他の時刻におけるデータから補間により作成する必要がある。
【0045】
図11は、再構成位置での時刻t0における角度θ1からθ2の範囲のデータを、他の時刻におけるデータの補間により作成する様子を示すものである。
補間は、A列が角度θ1からθ2の範囲のデータを取得している時刻(ここではt0−Δtおよびt0+Δtとする)のデータを基に行う。
他の角度範囲においても、角度θ1からθ2の範囲と同様にしてデータを作成
する。これを全角度において行うことにより、再構成位置における時刻t0での全周分のデータが作成できる。なお、以上の説明は、列Aが再構成位置にある時刻、すなわちt=t0でのデータについてのものである。
【0046】
(13)次のステップ202では、X線検出器16の全列(列A、B、C、D)についてデータを作成したか否かを判断する。肯定されるとステップ204へ進み、否定されるとステップ200へ戻る。すなわち、列B、C、Dが再構成位置にある時刻(それぞれt1、t2、t3とする)はt0と異なるので、ステップ200の処理を列B、C、Dについても繰り返し、それぞれの時刻において再構成位置での全周分のデータを作成する。
【0047】
(14)ステップ204では、上記ステップ102で心拍のずれ率Dθを計算した後、図12に示すように、螺旋スキャンによって得られた多列検出器による計測データから、再構成位置(図3のフローのステップ104)を設定し、その位置における単列検出器相当の計測データを作成する。
スキャナ位置の移動によって再構成位置と各スライスの位置関係が変化し、図12の<1>の時はAスライス、<2>の時はBスライス、<3>の時はCスライス、<4>の時はD スライスへと移行し、再構成位置は同じで<1>→<2>→<3>→<4>へと時間が変化する。
【0048】
このようにして取得された各列の計測データに対して、特定の位置に対応する線形な重み関数を用意し、加重加算する。
これは取得したいAスライスとBスライスとの間の値をX、Aスライスの計測値をXA、Bスライスの計測値をXB、内積比をkとすると、Xは下式により算出される。
【数4】


【0049】
前記kは内積比であるので、通常0≦k≦1であるが、AスライスやDスライスの外側では、外積を用いて、例えば、Dと存在しない次の列のX線検出器(このX線検出器を仮想検出器と記す)データをCとDのデータとから外挿により作成し、前記Dと仮想検出器の検出データから存在しない列の検出器データを仮想的に作成することもできるよう、k>1や k<0の値もとり得る。
【0050】
このように、設定した再構成位置が各列の検出器にある時は、対応する検出器
の計測データとし、検出器間にある時、あるいは検出器外にある時は、内挿又は外挿補間により求める。
この処理を繰り返し、全周分(θ=0〜2π)のデータを作成する。
【0051】
(15)次のステップ206では、所定の回転数分(ここでは5回転とする)のデータを作成したか否かを判断する。肯定されると本処理ルーチンを終了してリターンし、否定されるとステップ204へ戻る。すなわち、所定の回転数に相当する時間において、ステップ204の処理を繰り返す。
【0052】
以上の処理により、再構成位置における単列検出器相当の計測データD(5回転分)が作成される。
【0053】
次に、図3に示すフローのステップ112における重みテーブル作成処理について説明する。
【0054】
図13に重みテーブル作成処理のフローを示す。
この図13の重みテーブル作成処理は、被検体の心拍周期の変動も考慮して作成するものである。
【0055】
(16)まず、ステップ300において、図14に示すように、心拍計測値のピーク点を中心に、180°の範囲の重みを持った、複数回転分の重み関数を作成する。
角度θでの重み関数をWθ、中心角度をθ0、次数をnとすると、重み関数Wθは下式で表される。
【数5】


前記式(5)のσは、 のとき、Wθが0にならないようにするための定数である。
【0056】
上記式(5)より、重み関数Wθは、D'θ(ステップ102で求めた心拍周期のずれ率Dθを正規化したずれ係数)に依存するため、体動が大きい位置ほど、重み関数の値は小さくなる。
【0057】
(17)次に、ステップ302において、前記ステップ300で作成した複数回転分の重み関数を1回転分に折り折り畳んで加算する。
【0058】
(18)次のステップ304では、以下の式により、対向データとの和を一定とするために、図15に示すように、180°分の計測データ量に相当する逆数データを作成し、重みテーブルに加算する。
正規化後の重み関数をW'θとすると、該W'θは下式で与えられる。
【数6】


【0059】
(19)ステップ306では、以下の式より、五回転分の正規化重み関数Ωθを作成する(図15参照)。
【数7】



なお、Cθ’は、Cθを5回転分並べた関数である。
【0060】
(20)上記ステップ306で作成した正規化重み関数ΩθはX線検出器が平面上に存在することを前提としているが、実際にはX線検出器は扇形状に配置されている(図2参照)。
そこで、次のステップ308において、平行ビームへの並び替えを行い、重みテーブルTwを作成する(図16参照)。
本ステップ308における前記平行ビームへの並び替え処理は、従来から知られている方法により行うことができる。
平行ビームへの並び替えにより重みテーブルTwを作成すると、本処理ルーチンを終了してリターンする。
【0061】
このようにして、重みテーブルTwを作成し、単列検出器相当の計測データDとを掛け合わせ、1回転分に折り畳む(図16参照)。
これにより、1回転分の特定位置の特定心時相の計測データが完成する。
後は単列検出器のデータとして、断層像を再構成すると、目的の画像を作成することができる(図16参照)。
【0062】
ここで、従来技術とを比較するために、従来の重みテーブルの例(心拍周期にずれが無く、一定であるとした場合)を図17に示す。
従来技術では、重みテーブルWθはD'θを持たなかったため、心拍や体動に関わらず、一定の重みテーブルを作成していた。
そのため、心拍の変動が大きい計測データも均等に使用し、画像にアーチファクトを生じる原因となっていた。
【0063】
なお、本実施の形態では5回転分の計測データを作成し、このデータを基に断層像の再構成を行う場合について説明したが、何回転分の計測データを作成するかは断層像の再構成等を反映して設定すれば良い。
【0064】
また、本実施の形態では、4列の検出器の例について説明したが、X線検出器は4列以上、あるいは4列以下であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明が適用されたX線CT装置の構成図。
【図2】本発明が適用されるX線CT装置のX線検出器の構成およびX線照射との関係を説明する図。
【図3】本発明の断層像再構成処理を示すフローチャート。
【図4】本発明に係る多列X線検出器の回転周期と心拍周期との関係を示す図。
【図5】本発明に係る心拍周期の変動を示す図。
【図6】本発明に係る単列検出器相当計測データ作成処理のイメージを示す図。
【図7】本発明に係る1回転分の計測データ作成処理のイメージを示す図。
【図8】本発明に係る1回転分の計測データから断層像を再構成する様子を示すイメージ図。
【図9】本発明に係る単列計測器相当の計測データ作成処理を示すフローチャート。
【図10】本発明に係るある時刻におけるデータ取得範囲を示す図。
【図11】本発明に係る補間によるデータ作成を示す図。
【図12】本発明に係る複数列検出器から得られた計測データを単列検出器相当に変換する図。
【図13】本発明に係る重みテーブル作成処理を示すフローチャート。
【図14】本発明に係る単列検出器相当の計測データを作成するための重み加算係数の例。
【図15】本発明に係る正規化重み関数の作成を示す図。
【図16】本発明に係る重みテーブルの作成から断層像作成までの様子を示す図。
【図17】従来技術による重みテーブル作成の例。
【符号の説明】
【0066】
10 X線CT装置、12 X線制御部、14 X線源、16 X線検出器、20 検査台、24 心電計、26 データ取得制御部、28 データ処理部、30 表示モニタ、32 操作部、99 被検体、D 単列検出器相当計測データ、D’ 指定心時相における計測データ、Dθ 心拍周期のずれ率、Dθ’ 正規化したずれ係数、F 正規化関数、TAVG 心拍周期の平均時間間隔、Tθ ある心拍周期の時間間隔、Tw 重みテーブル、Wθ 重み関数、Ωθ 正規化重み関数
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−11895(P2008−11895A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183006(P2006−183006)