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【発明の名称】 X線診断装置
【発明者】 【氏名】池田 重之

【要約】 【課題】X線制御をプリフォワードする。

【構成】被検体にX線を照射するX線管球5と、このX線管球5を床面より移動されたFPD6を含むX線映像手段により、前記被検体の透過X線を収集し、その収集された透過X線より前記被検体の体厚情報を算出する体厚算出部12と、前記算出された体厚情報に基づいて前記被検体へ照射するX線の条件を設定する透視条件算出部13とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体にX線を照射するX線源と、
前記X線源と対向配置され、前記被検体の透過X線を検出するX線検出器と、
前記X線源の焦点から前記X線検出器の面上の中心を結ぶ軸に対して直交する平面に沿って移動可能に前記X線源を支持するアームと、
前記アームにより前記X線源を移動した際に、その対向配置関係が維持されるように前記X線検出器を移動する移動手段とを備えたX線診断装置において、
前記アームによりX線源を、前記移動手段によりX線検出器をそれぞれ移動し、
前記被検体の透過X線を検出し、その検出された透過X線より前記被検体の体厚情報を算出する手段と、
前記算出された体厚情報に基づいて前記被検体へ照射するX線の照射条件を設定する手段と、
を備えたことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記算出された被検体の体厚情報を体厚の分布情報として表示する手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記算出された被検体の体厚情報を用いて、X線絞りもしくは、減弱フィルタもしくは、表示ガンマの設定を一つ以上X線照射以前に行うことを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載のX線診断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、X線画像診断装置に係り、特にX線の発生条件を予め求めた被検体の体厚情報により直ちに設定し、被検体への照射線量の低被曝化のための技術である。
【背景技術】
【0002】
近年、X線透視を行いながら治療を同時に行うインターベンショナルラジオロジー(以後IVRと記す)IVRの手技が広く行われるようになってきた。特に透視撮影台は天板が広いことなどから広く使われる。特許文献1にはX線撮影装置ではX線管球と支柱を天井から吊り下げ、X線平面検出器(Flat Panel Detector FPDと記す)を天板内に配置して被検者の左右のスペースを確保すると共に、被検者を動かさずに撮像系を移動させて透視撮影することが記載されている。上記発明には記載されていないが、透視X線制御を行う為にFPDによって取得された透視画像の画像特徴量を算出し、そのデータを用いて透視X線制御を行っている。
【特許文献1】特開2003-10163号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、治療機器、治療技術の進歩により 更に高度は治療が行われ、透視時間が増える傾向にあり、透視X線制御はリアルタイムにFPDから得られえる画像を用いて画像特徴量を算出し、その特徴量が目標値に近づくようにX線条件を制御して良好な画像が得られるようにしているが、X線照射直後から上記特徴量を使用して最適なX線条件に設定されるまでの間は、線量不足であったり、線量過多であったりする期間が依然として存在し、この期間を短縮することで被検者の被曝を更に低減するためのニーズがあった。
本発明の目的は、X線制御をプリフォワード制御が可能なX線診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的は、被検体にX線を照射するX線源と、前記X線源と対向配置され、前記被検体の透過X線を検出するX線検出器と、前記X線源の焦点から前記X線検出器の面上の中心を結ぶ軸に対して直交する平面に沿って移動可能に前記X線源を支持するアームと、前記アームにより前記X線源を移動した際に、その対向配置関係が維持されるように前記X線検出器を移動する移動手段とを備えたX線診断装置において、前記アームによりX線源を、前記移動手段によりX線検出器をそれぞれ移動し、前記被検体の透過X線を検出し、その検出された透過X線より前記被検体の体厚情報を算出する手段と、前記算出された体厚情報に基づいて前記被検体へ照射するX線の照射条件を設定する手段とを備えたことによって達成される。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、X線制御をプリフォワード制御することができる。
また、検査時間の短縮により被曝を低減することも可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下、本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1に映像系が移動するX線診断装置の例を示す。図中1は寝台、2は支柱、3はアーム支持部、4は管球支持アーム、5はX線管球、6はFPD、7はFPD支持アーム、8は映像系スライドレール、9はアーム支持部を示す。X線管球5はX線管球支持アーム4により支持され、アーム支持部3により支柱2に固定されている。一方、FPD6はFPD支持アーム7により支持され、アーム支持部9により支柱2に固定されている。これらの映像系はスライドレール8上を動くことにより寝台1上に寝た被検者の治療に必要とする領域の画像化を可能とする。映像画像のスライドレール8上の移動は、手動又は電動で行われその機構はスライドギヤなど公知のものである。
【0007】
図2にFPD画像と特徴量抽出方法の1例を示す。
図中10はFPDにより得られた画像、11は画像特徴量を算出するためのクラスタを示す。FPDによって得られた画像10を複数のクラスタ11に分けて、夫々のクラスタの画像平均値、最大値、最小値などの特徴量を算出しX線制御を行っている。図3に従来システムにおけるX線制御システムの構成例を示す。図中6はFPD、12は体厚算出部、13は透視条件算出部、14はX線発生器を示す。図2で示したクラスタによって得られたデータは、被検者の体厚データとしてクラスタごとに体厚算出部12によって計算され、その結果は透視条件算出部13に送られ、そのデータを用いて最適X線条件を算出してX線発生器14を制御することにより最適X線条件がX線発生器14に設定される。
体厚データは随時計算され、FPD6が移動すると新たな場所で計算されるものであるが、 本発明ではこの体厚データを保管しておくことを特徴としている。
【0008】
図4〜図6に体厚データ収集方法を示す。図中10はFPDによって得られた画像、11は画像特徴量を算出するためのクラスタ、15は被検者の位置を模式的に示したものである。図4は被検者15の肺野分部の透視画像、図5は腹部の透視画像、図6は骨盤分部の透視画像と夫々のFPD6により撮影された位置を、被検者15を模式的に表したものと重ねた画像である。FPD6をずらしながら1画像の透視画像を肺野部分(図4)から腹部部分(図5)、骨盤部分(図6)とずらして透視を行い、連続的な体厚データを収集する。
【0009】
図7は連続的に被検者15を収集したときのクラスターデータを示す。図中15は被検者の位置を模式的に示したもの、16は連続的に収集したときのクラスタ11の位置関係を示す。IVRで透視を行う可能性のある領域を順次1画像透視取り込みを行い、最終的に全てのクラスタ11のデータを作成する。
【0010】
図8にクラスタにデータを記録した例、すなわち被検者15の体厚マップを示す。図8では、体厚が大きくなるに従って輝度値が小さく(暗く)なるように表現した。骨の部分の輝度値は小さくなり、体の外側、すなわち直接X線が入射する部分は白くなっており、肺野部分は中間色となっている。
【0011】
上記では色で表現したが、実際のシステムではデジタル値によって表現される。検査に先立ち、図4〜図6の位置の透視を行うことになるが、1フレームの透視取り込みで終了するため、IVR実施時における被曝低減効果に比べれば十分少ない被曝となる。
【0012】
以上の処理を実現するシステムの構成図を図9に示す。
図中6はFPD、12は体厚算出部、13は透視条件算出部、14はX線発生器、17はX線絞り、18は減弱フィルタ、19は支持器、20は体厚マップ、21は本発明の制御を行う制御部、22はその操作部を示す。体厚マップ20の作成方法を、図9を用いて説明する。図4に示された位置へFPDを設置し、予め設定されたX線条件にて1画像の透視を行い、FPD画像を体厚算出部12が取得する。体厚算出部12はクラスタ11毎にそのクラスタの体厚を算出する。
【0013】
制御部21は支持器19からの位置情報、絞り17の挿入、及び減弱フィルタ18の挿入情報を用いて、体厚保算出部12にて得られたデータを体厚マップ20の所定のアドレスに記録する。体厚マップは半導体メモリにて構成される。X線絞り17や減弱フィルタ18は体厚マップ作成時は視野内から退避することで算出の精度が向上する。操作器22によって図5に示すような位置に支持器19がFPD6を移動し、同様に1画像の透視を来ない同様に体厚マップ20に記録する。図6に示す位置でも同様に体厚マップ20に記録することで図8に示すような体厚マップ20が完成する。頭部からつま先まで測定すれば全身体厚マップを作成することも可能である。
【0014】
次にこの体厚マップ20を用いたX線制御に関して説明する。図10は体厚マップ20作成後に透視を行った例を示し、図11はその時の体厚マップを示す。図中23はFPD6におけるX線照射領域、24は体厚マップの対応する領域を示す。この時のX線条件の追従を図12に示す。従来方式(フィードバック制御)では予め決定された初期値のX線条件から図3に示された系によって制御が行われ、最終的には最適条件に近づいて行く。一方本発明の方法では予め体厚マップ20により最適X線条件が求まっているので、最初から最適条件にて透視を行うことができるため、従来方法にて追従する過程でX線条件が不足して良好な画像にならない部分を取り除くことにより無効被曝を低減することが可能となる。X線照射領域23は、図9における支持器19、X線絞りの情報からX線を照射する前に知ることが可能である。
【0015】
次に透視領域を移動させて透視を行う場合に例に関して図13〜15を用いて説明する。
図中15は被検者を模式的に表したもの、25は最初にFPD6が設置された領域、26は移動後のFPD6が設置された領域を示し、27及び28は夫々の体厚マップの対応する領域を示す。図10〜図12で示した方法で25の領域で透視を行った後に、透視を出さずに領域を26へ移動し、透視を行った場合を示している。25は脊椎部分を含んでおり、26は肺及び体側を含んでいるため25の領域より最適X線条件は少ない線量に設定される。図15に制御の方法を示している。従来方法(フィードバック制御)では、直前のX線条件が初期値となり、透視開始後にフィードバック制御が行われ連続的にX線条件が減少して最終的に最適条件に設定される。従って、最初の数画像は最適条件より高いX線条件となり、画像にハレーションが発生することも考えられる。一方、本発明では最初から最適条件となるので、ハレーションなどが発生しない上に、無効被曝を無くすことが可能となる。
【0016】
次に、透視を出しながら連続的にFPD6を移動した場合を説明する。図16はFPD位置を連続的29⇒30⇒31と移動した例を示し、図17は体厚マップを示す。32は体厚マップ、33,34,35はそれぞれの体厚マップ20上の対応する領域を示す。従来方法(フィードバック制御)では、移動時は体厚を求めてX線制御に反映させるときにはFPD6は移動してしまっており、最適なX線条件になるのは31の領域に移動して領域が確定してからとなる。これに対し、本発明では演算時間が必要なく、動き方向を予測することでX線発生器14での制御遅延を含めたプリフォワード制御も可能となる。IVR実施時は内視鏡の根元から先端まで透視下で観察することが多く、食道、肺、腹部と連続的に視野が移動するため本発明により安定した画像を提供できることは、検査を安全に行うことが可能となる他に、効率よく検査が行えるため透視時間が短くなり更に被曝低減が可能となる。
【0017】
第二の実施例を図18〜図20を用いて説明する。
第一の実施例ではX線制御を行ったが、透視を行う前に体厚マップにより体厚がわかっているため、透視画像の画像処理のや高画質化もX線条件の最適化と合せて実施可能となる。図18及び図19に透視を行う場合を示す。図中37はFPD6の領域、37は体厚マップの領域を示す。図10〜図12で示したように最適X線条件が求まるが、予め体厚マップより画像右端部に被写体がなく直接線が入る領域があることがわかり、更に肺の端部があるので、ハレーションしやすい領域もあることが事前にわかるので、図20に示したようにX線絞り17を操作して絞り領域39に設置し、減弱フィルタ40の挿入によるハレーション防止も同時に行うことが可能である。更に、このような輝度分布がわかる場合、画像処理での表示ガンマカーブの最適化を同時に行うことも可能である。このような制御を行うシステムの構成図を図21に示す。図中6はFPD、12は体厚算出部、13は透視条件算出部、14はX線発生器、17はX線絞り、18は減弱フィルタ、19は支持器、20は体厚マップ、21は本発明の制御を行う制御部、22はその操作部、41は画像処理部、42は表示部、43は表示器を示す。制御部21は支持器19に対してX線絞り及び減弱フィルタ18の設置位置を出力し、表示部42に適切なガンマカーブの情報を出力することにより実現できる。
【0018】
また、上記実施例では検査に先立ち体厚マップを作成するために1画像ずつ透視を行い算出したが、従来方法にて透視を行いながら体厚マップ20を作成することも可能である。
その方法を図22〜図24を用いて説明する。当初、従来方法によるX線制御を用いて透視を行いながら、透視を行った領域で得られた体厚マップを順次作成している方法である。
44の領域で透視を行った時に、その領域のクラスタの体厚を計算して図24に示した領域のデータを記録する。次に45の位置で透視を行った時に同47の領域の体厚マップを記録する。透視を続けるなかでマップの領域が記録された時点から制御を本発明の方法に切り替えることが可能である。また、透視で選ばれた領域に体厚マップの有無によって制御方式を切り替えても良い。
また、作成された体厚マップを表示し、その表示された体厚マップに基づいてX線条件を設定しても良い。
【0019】
以上説明した実施形態は、所謂「床置きのスライド方式」の透視台で説明したが、移動方向がX線源の焦点からX線検出器の面上の中心を結ぶ軸に対して直交する平面に沿っていればよいので、その他の態様として、天井走行型のCアーム方式、(Cアームの両端部にはX線源とX線検出器が取り付けてある)、又は天井走行型のX線源と床置きのX線検出器の組み合わせの方式であっても、本発明に開示した技術を適応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】映像系が移動するX線診断装置の例を示す図。
【図2】FPD画像と特徴量抽出方法の1例を示す図。
【図3】従来システムにおけるX線制御システムの構成例を示す図。
【図4】体厚データ収集方法を示す図。
【図5】体厚データ収集方法を示す図。
【図6】体厚データ収集方法を示す図。
【図7】連続的に被検者15を収集したときのクラスターデータを示す図。
【図8】被検者15の体厚マップを示す図。
【図9】システムの構成図。
【図10】体厚マップ20作成後に透視を行った例を示す図。
【図11】体厚マップを示す図。
【図12】X線条件の追従を示す図。
【図13】透視領域を移動させて透視を行う場合に例を示した図。
【図14】透視領域を移動させて透視を行う場合に例を示した図。
【図15】制御の方法を示した図。
【図16】FPD位置を連続的に移動した例を示した図。
【図17】体厚マップを示す図。
【図18】透視を行うFPDの位置を示す図。
【図19】体厚マップを示す図。
【図20】X線絞り、減弱フィルタ、表示ガンマの設定を示す図。
【図21】システム構成図。
【図22】透視を行った時のFPD位置を示す図。
【図23】透視を行って位置を移動した時のFPD位置を示す図。
【図24】体厚マップを記録する過程を示した図。
【符号の説明】
【0021】
1 寝台、2 支柱、3 アーム支持部、4 管球支持アーム、5 X線管球、6 FPD、7 FPD支持アーム、8 映像系スライドレール、9 アーム支持部、10 はFPDにより得られた画像、11 画像特徴量を算出するためのクラスタ、12 体厚算出部、13 透視条件算出部、14 X線発生器、15 被検者の位置を模式的に示したもの、16 クラスタ11の位置、17 X線絞り、18 減弱フィルタ、19 支持器、20 体厚マップ、21 本発明の制御を行う制御部、22 21の操作部、23 FPD6におけるX線照射領域、24 体厚マップの対応する領域、25 最初にFPD6が設置された領域、26 移動後のFPD6が設置された領域、27 体厚マップの対応する領域、28 夫々の体厚マップの対応する領域、29 最初にFPD6が設置された領域、30 移動後のFPD6が設置された領域、31 移動後のFPD6が設置された領域、32 体厚マップ、33 体厚マップの対応する領域、34 体厚マップの対応する領域、35 体厚マップの対応する領域、36 最初にFPD6が設置された領域、37 体厚マップの対応する領域、38 透視画像、39絞り領域、40 減弱フィルタ領域、41 画像処理部、42 表示部、43 表示器
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成18年7月3日(2006.7.3)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−11894(P2008−11894A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−183005(P2006−183005)