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【発明の名称】 眼科装置
【発明者】 【氏名】滝井 通浩

【要約】 【課題】眼圧測定用のノズルを通さずにスリット光束を投影し、広い範囲の角膜断面画像を精度良く得て角膜厚を測定できる眼科装置を提供する。

【構成】被検眼眼圧を測定する眼圧測定手段と、被検眼角膜に光束を投影し、その反射光を検出して角膜の厚さを測定する角膜厚測定手段と、を備える眼科装置において、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検眼角膜にノズルから圧縮流体を吹き付け、角膜が所定変形になったことを光学的に検知して眼圧を測定する眼圧測定手段と、被検眼角膜に光束を投影し、その反射光を検出して角膜の厚さを光学的に測定する角膜厚測定手段と、を備える眼科装置において、
前記角膜厚測定手段は、被検眼の斜め方向の第1軸から被検眼角膜にスリット光束を投影するスリット及び投影レンズを持つ投影光学系であって、スリット光束が前記ノズルの中心軸方向から被検眼角膜に投影されたときと同じとなるように、前記スリット及び投影レンズがシャインプルーフの原理に基づいて配置された投影光学系と、
被検眼の斜め方向の第2軸から被検眼角膜に投影されたスリット断面像を検出する撮影レンズ及び撮像素子を持つ検出光学系であって、スリット断面像に対して前記撮影レンズ及び撮像素子がシャインプルーフの原理に基づいて配置された検出光学系と、を備え、
前記撮像素子により撮像されたスリット断面像に基づいて角膜厚を求めることを特徴とする眼科装置。
【請求項2】
請求項1の眼科装置において、前記投影光学系の第1軸及び前記ノズルの中心軸が含まれる平面に対して、前記第2軸及び前記ノズルの中心軸が含まれる平面が垂直となるように前記検出光学系が配置されていることを特徴とする眼科装置。
【請求項3】
請求項1の眼科装置において、前記スリットは、角膜のカーブに沿ったスリット像が投影されるように、曲面形状のスリット板に形成されていることを特徴とする眼科装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被検眼の眼圧と角膜厚を非接触で測定する眼科装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検眼角膜へ向けてノズルから空気等の流体を加圧して噴出し、噴出された流体による角膜の変形状態を検出して眼圧を測定する非接触眼圧計に、被検眼角膜に光束を投影し、その反射光を検出して角膜の厚さを光学的に測定する角膜厚測定手段を設け、角膜厚に基づいて眼圧の測定値を補正する装置が提案されている(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0003】
また、角膜厚を非接触で測定可能な装置としては、被検眼の正面方向からスリット光束を投影し、被検眼の斜め方向からスリット断面像をシャインプルーフの原理に基づいて配置された撮像光学系により撮像し、広い範囲の角膜厚を精度良く求めるようにしたものが知られている(特許文献3)。
【特許文献1】特表平8−507463号公報
【特許文献2】特開2000−60801号公報
【特許文献3】特開昭63−197433号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
角膜厚測定用のスリット光束を投影する際、スリット光束は角膜に一様に投影し、且つ角膜厚を測定する角膜断面に沿って投影することが好ましい。この場合、特許文献3のように、角膜に対して正面方向からスリット光束を投影することが最も簡便な方法である。
【0005】
しかしながら、非接触式眼圧計に角膜厚測定手段を設けた装置においては、スリット光束を被検眼の正面方向から投影しようとすると、流体を吹き付けるノズル及びこのノズルを保持する光学部材があるため、スリット光束がノズルによりけられ、また、ノズルを保持する光学部材によりスリット光束の結像性能が低下し、ノズルの径より広い範囲の角膜厚を精度良く測定できない問題がある。また、ノズルの軸線方向からスリット光束を投影しようとすると、眼圧測定手段及び観察手段の光学部材がノズルの軸線方向にあり、光量損失が大きくなる。
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、眼圧測定用のノズルを通さずにスリット光束を投影し、広い範囲の角膜断面画像を精度良く得て角膜厚を測定できる眼科装置を提供することを技術課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
【0008】
(1) 被検眼角膜にノズルから圧縮流体を吹き付け、角膜が所定変形になったことを光学的に検知して眼圧を測定する眼圧測定手段と、被検眼角膜に光束を投影し、その反射光を検出して角膜の厚さを光学的に測定する角膜厚測定手段と、を備える眼科装置において、
前記角膜厚測定手段は、被検眼の斜め方向の第1軸から被検眼角膜にスリット光束を投影するスリット及び投影レンズを持つ投影光学系であって、スリット光束が前記ノズルの中心軸方向から被検眼角膜に投影されたときと同じとなるように、前記スリット及び投影レンズがシャインプルーフの原理に基づいて配置された投影光学系と、
被検眼の斜め方向の第2軸から被検眼角膜に投影されたスリット断面像を検出する撮影レンズ及び撮像素子を持つ検出光学系であって、スリット断面像に対して前記撮影レンズ及び撮像素子がシャインプルーフの原理に基づいて配置された検出光学系と、を備え、
前記撮像素子により撮像されたスリット断面像に基づいて角膜厚を求めることを特徴とする。
(2) (1)の眼科装置において、前記投影光学系の第1軸及び前記ノズルの中心軸が含まれる平面に対して、前記第2軸及び前記ノズルの中心軸が含まれる平面が垂直となるように前記検出光学系が配置されていることを特徴とする。
(3) (1)の眼科装置において、前記スリットは、角膜のカーブに沿ったスリット像が投影されるように、曲面形状のスリット板に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、眼圧測定用のノズルを通さずにスリット光束を投影し、広い範囲の角膜断面画像を精度良く得て角膜厚を測定できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、角膜厚測定手段と眼圧測定手段を持つ眼科装置の光学系を上から見たときの概略図である。図2は流体噴射機構の側方概略及び、角膜厚検出光束投影光学系を示した図である。
【0011】
<観察光学系> 観察光学系10は上下左右方向のアライメント用の指標(後述する)を検出する指標検出光学系を兼ねる。観察光学系10の光路上には気体を噴出するノズル6がガラス板8a,8bに保持されて配置され、ノズル6の中心軸L1と観察光学系10の光軸とは一致している。ノズル6の内径は、直径2.4mmである。中心軸L1と一致する観察光軸上には、ビームスプリッタ11、対物レンズ12、ビームスプリッタ14、フィルタ15、CCDカメラ16が配置されている。フィルタ15は、アライメント指標光学系(後述)の光を透過し、可視光及び距離指標投影光学系(後述)の光に対して不透過の特性を持つ。CCDカメラ16に結像した像はモニタ17に表示される。
【0012】
<固視光学系> 固視光学系25は、可視光(波長550nm)を発する光源26、固視標板27、投影レンズ28を持つ。光源26の点灯により固視標板27を出射した光束は、投影レンズ28を通過後、ビームスプリッタ14によって反射されて被検眼Eに向かう。
【0013】
<アライメント指標投影光学系> 30はアライメント指標投影光学系を示す。中央指標投影用赤外LED31を出射した光束は、投影レンズ32を介してビームスプリッタ11により反射され、被検眼角膜Ecに照射される。角膜Ecで鏡面反射される光束により、アライメント指標i1が形成され、CCDカメラ16に指標i1の像が撮像される。
【0014】
<距離指標投影・検出光学系> 50は距離指標投影光学系である。赤外LED51を出射した光は投影レンズ52によって平行光束とされ、角膜Ecに投光される。60は距離指標検出光学系である。LED51により照射された光により、指標i6が形成される。指標i6の光束は受光レンズ61、LED31の光に対して不透過の特性を持つフィルタ62、ビームスプリッタ56を介し一次元位置検出素子63に入射する。制御部100(図3参照)は検出素子63で検出される受光位置に基づいて作動距離情報を得る。距離指標投影光学系50は、角膜変形検出用の投光光学系を兼ねる。
【0015】
<角膜変形検出光学系> 55は角膜変形検出光学系である。角膜で反射した光は受光レンズ61、フィルタ62を通過した後、ビームスプリッタ56で反射し、ピンホール板57を通過して光検出器58に受光される。この検出光学系55は、被検眼が所定の変形状態のときに光検出器58の受光量が最大になるように配置されている。
【0016】
<角膜厚検出光束投影光学系> 図2における70は角膜厚測定手段の角膜厚検出光束投影光学系を示す。L70は光学系70の光軸である。スリット投影用光源71を出射した光(波長460nm)は、集光レンズ72、紙面に向かって左右方向(図2上の水平方向)にスリット幅の長辺側を有するスリット73を照明する。スリット73は平板に形成されている。スリット73を出射したスリット光束は、投影レンズ75を通過後、被検眼の斜め方向の光軸L70から被検眼角膜Ecに投影される。中心軸L1と光軸L70との成す角度は、好ましくは45度である。スリット73は、投影レンズ75を介して被検眼角膜Ecと略共役位置に置かれている。スリット73の幅はできるだけ細く、角膜上の結像位置で100μm以下が好ましい。一方、スリット光束はできるだけ光量を確保できることが好ましい。例えば、本実施形態では50μmの幅となるように形成されている。また、スリット73の長さは、角膜曲率を精度良く検出可能にするために、ノズル6の直径より長く、角膜上で3mm以上確保することが好ましい。この例では、角膜上で4mmの長さとなるように形成されている。
【0017】
ここで、光学系70は、スリット光束がノズル6の中心軸L1(正面)方向から被検眼角膜Ecに投影されたときと同じとなるように、角膜に形成されるスリット像に対してスリット73及び投影レンズ75がシャインプルーフの原理に基づいて配置された投影光学系とされている。すなわち、スリット73のスリット面、投影レンズ75の主平面及びスリット73の結像面の延長面が、1本の交線で交わるような配置とされている。なお、この実施形態においては、スリット光束が被検眼角膜に対して上下方向(図2においては、紙面と平行な方向)を長辺側として投影されるように、スリット73が配置されている。
【0018】
<角膜厚検出光学系> 図1における90aおよび90bは、スリット断面像を撮像して角膜厚を検出するための角膜厚検出光学系である。L90a、L90bはそれぞれ、光学系90a、90bの光軸である。光軸L90a、90bは、それぞれ被検眼の斜め方向から被検眼角膜に投影されたスリット断面像を撮像するように配置されている。光軸L90a、L90bは中心軸L1を挟んで対称に配置され、中心軸L1に対して光軸L90aが成す角度、中心軸L1に対して光軸L90bが成す角度は、それぞれ好ましくは45度である。また、光軸L90a、L90b及び中心軸L1は同一平面内に配置され、この平面と、投影光学系70の光軸L70及び中心軸L1が成す平面(光軸L70と中心軸L1とが含まれる平面)と、は互いに垂直となるように配置されている。
【0019】
91a及び91bは撮影レンズ、92a及び92bは撮像素子としての2次元CCDである。検出光学系90aは、先述のスリット73によるスリット光束(図1においては、紙面に対して垂直方向を長辺側として投影される)による光断面、撮影レンズ91aの主平面、及びCCD92aの結像面の延長面が1本の交線で交わるような、シャインプルーフの原理に基づく配置とされている。被検眼角膜に対してCCD92aは、共役位置に置かれる。角膜厚検出光学系90bも光学系90aと同様な配置である。検出光学系は1つで良いが、被検眼に対して斜め方向から撮像するため、被検者の鼻等により検出光が遮られたときにもう一方の検出光学系を使用できるように2つ設けている。すなわち、右眼測定の選択時は検出光学系90bが使用され、左眼測定の選択時は検出光学系90aが使用される。
【0020】
以上のように、投影光学系70と、検出光学系90a,90bの双方をシャインプルーフ光学系で構成することで、より鮮明な断面像を取得することが可能となる。
【0021】
図2において、80はノズル6を介して圧縮流体(空気)を角膜に噴射する流体空気噴射機構である。1は空気圧縮用のシリンダ部であり、眼圧計本体の水平線に対して傾斜して設けられている。2はピストン、3はロータリソレノイドであり、ロータリソレノイド3に駆動エネルギである電荷(電流、電圧)が付与されると、アーム4、コネクティングロッド5を介してピストン2をシリンダ1に沿って上に押し上げる。ノズル6の背面に設けられたガラス板9は、ガラス板8a及び8bと同様に透明であり、背後には先述した観察光学系やアライメント光学系等が配置される(図示は略す)。7はシリンダ部1の内部圧力を検出する圧力センサである(詳しくは、本出願人による特開平2003−250765号公報を参照)。
【0022】
[制御系] 図3に装置の制御系の要部構成図を示す。100は制御部、101はCCDカメラ16に接続された画像処理部である。81は文字情報や図形等を生成する表示部、82はCCDカメラ16からの画像と表示部81からの表示データとを合成する合成部である。84は測定開始の信号を入力する測定スイッチである。制御部100は画像処理部101により処理されて検出される指標像を基に上下左右のアライメント情報を得る。また、制御部100は一次元位置検出素子63からの信号により、作動距離方向のアライメント情報を得る。104は被検眼に対して図1及び2の光学系及び流体空気噴射機構等が配置された測定部を移動させる3次元移動機構である。
【0023】
2次元CCD92a,92bは画像処理部131に接続され、画像処理部131により前眼部の断面像が処理されて角膜厚が検出される。画像処理部131は制御部100に接続されている。また、制御部100には、測定結果を記憶するメモリ134、角膜厚を基に眼圧を補正するための眼圧補正式を記憶するメモリ135、各種のスイッチを持つスイッチ部83が接続されている。スイッチ部83は、被検眼の眼圧値として決定するための眼圧補正式を選択するスイッチ、オートアライメントの選択スイッチ、角膜厚と眼圧測定を連続して自動的に行うモードを選択するスイッチ等の各種のスイッチを備える。スイッチ部83としては、モニタ17に付加したタッチパネル式とすると都合が良い。
【0024】
以上のような構成を備える装置において、以下にその動作を説明する。ここで、角膜厚測定後、眼圧測定を自動的に行うモードが選択されている場合を説明する。
【0025】
検者は、被検眼に対して図1に示した光学系のアライメントを行う。CCDカメラ16により撮像される指標i1に基づいて左右上下方向のアライメント状態が検出される。一次元位置検出素子63の出力に基づいて作動距離方向のアライメント状態が検出される。制御部100はこれらのアライメント情報に基づき三次元移動機構104を作動させ、光学系のアライメントをする。
【0026】
光学系のアライメントが完了すると、制御部100はトリガ信号を自動的に発して角膜厚測定を行う。スリット投影用光源71の点灯により被検眼角膜にスリット光が投影される。ここで、投影光学系70によるスリット光束はノズルを通さずに、装置の下方の斜め方向から投影されるが、投影光学系70がシャインプルーフの原理に基づく配置とされているため、正面方向からスリット光束が投影されたときと同じように、スリット光束が一様に角膜前面に投影される。
【0027】
図4は、スリット73と角膜に投影されるスリット像73sの結像関係を説明する図である。図4(a)は投影光学系70がシャインプルーフの原理に基づく配置の場合であり、図4(b)は光学系70の光軸L70に対してスリット73が直交する方向に配置された場合を示したものである。
【0028】
図4(a)のシャインプルーフの原理に基づく投影光学系70の配置においては、光軸L70上に位置するスリット73の中心S0と角膜前面付近(標準的な眼の角膜前面と角膜後面の中間)は共役とされている。そして、スリット73の両端S1及びS2から発した光も、ほぼ角膜Ecの前面付近に結像する。これを角膜の正面から見ると、図5(a)に示すように、正面方向からスリット光束を投影した場合と同様に、一様に細く、シャープなスリット像73Sが形成される。
【0029】
一方、図4(b)の投影光学系の配置においては、光軸L70上に位置するスリット73の中心S0と角膜前面付近は共役であるが、スリット73の両端S1及びS2から発した光は、角膜Ecの前面付近に結像せず、ぼけたスリット像が形成されることになる。これを、角膜の正面から見ると、図5(b)に示すように、角膜中心から離れるに従ってボケたスリット像73Sとして形成される。スリット像の結像性能が低下すると、その光切断面画像の性能も低下することになる。
【0030】
シャインプルーフの原理に基づく投影光学系70にて一様なスリット光束が角膜に投影され、そのスリット光束により光切断された角膜断面像は、CCD92a又は92bに撮像される。検出光学系90a、90bもシャインプルーフの原理に基づく配置とされているため、奥行き方向(軸L1方向)においてもピントが合った像として撮像される。
【0031】
CCD92aの画像信号は画像処理部131に入力される。図6は、CCD92a(又は92b)により撮像された角膜断面画像の例である。図6における角膜組織内部121の散乱光、角膜前面122及び角膜後面123の反射光が画像処理部131にて検出される。図6は、シャインプルーフの原理によって生ずる位置に対する倍率変化を補正した像である。ここで、角膜前面122については実際の断面像であるが、角膜後面123は角膜前面による屈折の影響を受けているため、屈折後の見かけの像である。したがって、この断面画像における角膜前面122及び角膜後面123の位置関係は相対的なものであり、実際の角膜の厚みを得るためには、角膜後面の位置を補正することが必要となる。
【0032】
図7は、角膜後面の位置補正を説明する図である。スリット光の光断面は、軸L1に沿って紙面に垂直な平面とする。見かけ上の後面上の点B0から出た光は、角膜前面Pで屈折され、あたかも点B1から出たように光線LO(撮影光軸)上を進む。ここで、点P上の屈折は、入射点Pでの法線と入射角θ及び角膜の屈折率nを与えることにより、スネルの法則を使って求めることができる。入射点Pでの入射角θは設計的に既知であり、角膜の屈折率も既知の値を使用できる。入射点Pでの法線は、角膜前面122の曲率半径rが分かれば得られる。角膜前面122の曲率半径r(及びその曲率中心O)は、CCD92a(又は92b)により撮像された図6の断面画像を画像処理することにより近似的に求められる。点B0が求められれば、角膜前面122の軸L1上の点Aとの距離により、補正された実際の角膜厚t1(軸L1上の角膜厚)を得ることができる。
【0033】
角膜厚測定が終了すると、角膜厚t1はメモリ134に記憶される。制御部100はアライメント状態の確認後、流体噴射機構80を作動させる。被検眼の角膜Ecは圧縮空気の吹き付けによって徐々に変形を生じ、圧平(所定の変形状態)されると、光検出器58の受光量が最大になる。制御部100は、空気を噴射してから角膜が圧平検出されたときの時間又は噴射した空気の圧力検知を基に眼圧値を算出する。算出された眼圧値はメモリ134に記憶される。そして、制御部100は、測定により眼圧値(測定眼圧値とする)が得られると、メモリ135に記憶された眼圧補正式を使用し、角膜厚t1及び測定眼圧値により補正眼圧値を算出する(例えば、特表平8−507463号公報を参考にされたい)。
【0034】
また、本装置の角膜厚測定においては、角膜頂点を基準にした軸L1上の角膜厚のみでなく、ノズル6の直径より広い範囲の角膜厚が得られる。すなわち、補正後の角膜後面123が分かれば、図6の角膜断面画像をモニタに表示させ、角膜上の任意の点Pnを指定することにより、角膜前面122の曲率中心Oと点Pnを結ぶ線分方向の角膜厚tnを求めることができる。また、角膜断面の全周において角膜厚を求めることより、最も角膜厚が薄い位置とその角膜厚を制御部100が自動的に算出し、その結果をモニタ17に表示することもできる。角膜厚の情報を広い範囲で知ることにより、この情報を屈折矯正等に利用することができる。
【0035】
図8は、本発明の他の実施形態を説明する図である。この実施形態において、図1にて角膜厚検出光学系90a及び90bが配置されていた部分に、代わりとして2組の角膜厚検出光束投影光学系70a及び70bを配置したものである。L70a、L70bはそれぞれ、光学系70a、70bの光軸である。71a及び71bはスリット投影用光源(波長460nm)、72a及び72bは集光レンズ、73a及び73bは紙面に向かって左右方向(紙面上で水平方向)に長辺側を有するスリット、75a及び75bは投影レンズである。被検眼角膜Ecに対してスリット73a及び73bは共役位置に置かれる。
【0036】
ここで、投影光学系70aは、スリット光束がノズル6の中心軸L1(正面)方向から被検眼角膜Ecに投影されたときと同じとなるように、角膜に投影されるスリット像に対してスリット73a及び投影レンズ75aがシャインプルーフの原理に基づいて配置された投影光学系とされている。すなわち、投影光学系70aは、スリット73aの面、投影レンズ75aの主平面、及び被検眼角膜Ecの結像面の延長面が1本の交線で交わるような配置とされている。被検眼角膜Ecに投影されるスリット光束は、図8上の上下方向(被検眼に対して左右方向)にスリット幅の長辺側を有している。光学系70aおよび70bは軸L1を挟んで左右方向に対称的に配置され、投影光学系70bも投影光学系70aと同様な配置である。投影光学系は1つで良いが、被検眼に対して左右の斜め方向からスリット光束が投影されるため、被検者の鼻等により投影光が遮られたときにもう一方の光学系を使用できるように2つ設けている。すなわち、右眼測定の選択時は光学系70bが使用され、左眼測定の選択時は光学系70aが使用される。
【0037】
図9は、図8の実施形態における流体噴射機構の側方概略及び、角膜厚検出光学系を示した図である。図9では、図2で投影光学系70が配置されていた部分に、代わりとして角膜厚検出光学系90を配置したものである。L90は、光学系90の光軸である。光軸L70a、L70b及びL1は同一平面内に位置している。この平面と、光軸L90とL1を含む平面と、は互いに垂直な位置関係に配置されている。91は撮影レンズ、92は2次元CCDである。角膜厚検出光学系90は、先述のスリット73aもしくは73bによるスリット光束(図9においては、紙面に対して垂直方向を長辺側として投影されるスリット光束)による光断面、撮影レンズ91の主平面、及びCCD92の結像面の延長面が1本の交線で交わるような、シャインプルーフの原理に基づく配置とされている。また、被検眼角膜Ecに対して、CCD92は共役位置に置かれる。
【0038】
この例の場合も、投影光学系70a又は70bにより、ノズル6を通することなく、一様なスリット光束が角膜に投影される。そして、スリット光束により光切断された角膜断面像が、シャインプルーフの原理に基づく配置とされた検出光学系90のCCD92により撮像される。これにより、広い範囲に亘って精度の良い角膜断面像を得て角膜厚を測定できる。
【0039】
以上説明したように、軸L1を基準として、投影光学系の光軸と検出光学系の光軸が垂直な位置関係に配置されていれば、本発明は先述の構成(図1及び2、図8及び9)に限定されるものではない。しかしながら開瞼を苦手とする被検者の場合、被検眼の上方より光束を投影あるいは検出することは瞼によるケラレが生じやすいために好ましくない。
【0040】
また、これまで平板に長方形の切り込みの入ったスリットについて述べたが、これに限るものではない。例えば、図10(a)、(b)に示すように、平均的な曲率を持つ角膜Ecのカーブに沿ったスリット像が投影されるように、投影レンズ75による結像関係を基に製作した曲面SKを持つスリット板173にスリット173Kを形成する。このスリット173を、図2のスリット73に代えて配置する場合を図10(c)に示す。スリット板173の凸面カーブを図10(c)の下向きにかつ、スリット中心O173を(スリット板73に接する面に位置すべく)光軸L70上に配置させる。このようなスリット板173のスリットを用いることにより、角膜前面によりピントの合ったスリット光束を投影し、角膜を光切断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の眼科装置の光学系を上から見たときの図である。
【図2】流体噴射機構の側方及び角膜厚検出光束投影光学系を示す図である。
【図3】制御系を示す図である。
【図4】スリットとスリット像の結像関係を説明する図である。
【図5】スリット像の例を説明する図である。
【図6】角膜断面画像を説明する図である。
【図7】角膜後面の位置補正を説明する図である。
【図8】本発明の変容例の光学系を上から見たときの図である。
【図9】本発明の変容例を横から見た図である。
【図10】スリット板の変容例を説明する図である。
【符号の説明】
【0042】
6 ノズル
10 観察光学系
17 モニタ
73 スリット
75 投影レンズ
91a、91b 撮影レンズ
92a、92b 2次元CCD
100 制御部
134 メモリ



【出願人】 【識別番号】000135184
【氏名又は名称】株式会社ニデック
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−11878(P2008−11878A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−182844(P2006−182844)