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マイクロニードル型医療用ボーリング装置 - 特開2008−6226 | j-tokkyo
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【発明の名称】 マイクロニードル型医療用ボーリング装置
【発明者】 【氏名】大平 猛

【要約】 【課題】生体への浸襲を小さく抑えたまま、腫瘍部分などの生体組織を穿ち、膿瘍、素胞、膿胞等の生体組織液を吸引して、生体組織を完全に除去するためのマイクロニードル型医療用ボーリング装置を提供する。

【構成】近位端から遠位端までを連通する内腔を有する円筒状の針31と、該針31の内腔内で長手方向を軸にして回転するスクリューカッター32と、該スクリューカッター32近位端と着脱自在に連結される回転駆動装置35を備えるマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
近位端から遠位端までを連通する内腔を有する円筒状の針と、該針の内腔内で長手方向を軸にして回転するスクリューカッターと、該スクリューカッター近位端と着脱自在に連結される回転駆動装置を備えるマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【請求項2】
スクリューカッターの近位端と回転駆動装置とがディファレンシャル機構を介して連結される請求項1に記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【請求項3】
針の近位端に、さらに陰圧装置が接続されている、請求項1又は2に記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【請求項4】
針の内周面にフッ素樹脂の被覆膜又はフッ素樹脂の突起が設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【請求項5】
針の外直径が5mm以下である請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【請求項6】
スクリューカッターの遠位端は、穿刺可能なように尖っている、請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【請求項7】
スクリューカッターは生体組織液を砕壊することができる、請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、腫瘍等の生体組織を除去するためのマイクロニードル型医療用ボーリング装置に関する。特に本発明は、生体への浸襲を小さく抑えたまま、腫瘍部分などの生体組織を穿ち、膿瘍、素胞、膿胞等の生体組織液を吸引して、生体組織を除去するためのマイクロニードル型医療用ボーリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡下手術は、開腹せずに腹腔鏡で腹腔内の様子をビデオスクリーンに写しだし、この画面を見ながら特殊な器具を使って手術を行う方法である。腹腔鏡下手術ではお腹に5から10mm程度の小さな穴を数箇所開けるだけで手術が行われる。腹腔鏡下手術では、このように傷が小さいため、術後の痛みが少ない上、傷はほとんど見えなくなるので美容上の利点がある。また、短期間の入院ですみ、社会復帰も早い。
【0003】
従来、腹腔内臓器患部の腫瘍部分から膿胞等の摘出は切除用鉗子等で行われていたが、最近、腹腔鏡下手術用の吸引装置に吸引用針を取りつけ、それによって患部の腫瘍部分から膿胞等の生体組織液を吸引して且つその術後の患部を洗浄消毒する方法が普及してきている。
【0004】
生体組織液の吸引を行う方法としては、パイプに陰圧をかけて液体を吸引し、移送する方法が知られている。生体への浸襲を小さくするためにパイプは極細のものが使用される。ところが、この方法では、腫瘍部分から膿胞などの生体組織を吸引している途中で吸引力が低下し、生体組織を完全に吸引して取り除くことができない。そのためにその患部の洗浄作業時間の増大、消毒液の使用量の増大の傾向があった。
【0005】
このような吸引力の低下を補う装置として、特許文献1には、両端に導入口と吐出口とを有する極細径の円筒状の針と、その針の内腔に軸芯方向に沿って回転自在に収納された回転体があるスクリューポンプが提案されている。該回転体は、複数の糸状体を縒り合わせた回転体であって、この回転体が回転させられることにより、前記導入口から前記吐出口へと前記針内を液体が移送させられるようになっている。
【特許文献1】特開2001−70438号公報
【0006】
また、構造が類似した生体組織の切除装置として、特許文献2には、円錐形の回転体を先端に有するカニューレを備えた切除装置が提案されている。先端の回転体には組織を剥がすための切開口が複数設けられていて、剥がされた組織がその切開口からカニューレの内腔に導入される。導入された組織は、アルキメデススクリューによって内腔内をカニューレ長手方向に沿って移送されるようになっている。
【特許文献2】特表2002−539883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来技術に開示されている装置等によって、単なる陰圧によるだけの生体組織の除去に比べ、除去効率が若干高くなるものの、生体への浸襲を極力低下させるためにパイプを極細にすると、やはり、吸引力が低下し、生体組織を完全に吸引除去するには至らなかった。
本発明の課題は、生体への浸襲を小さく抑えたまま、腫瘍部分などの生体組織を穿ち、膿瘍、素胞、膿胞等の生体組織液を吸引して、生体組織を完全に除去するためのマイクロニードル型医療用ボーリング装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するために、鋭意検討した結果、生体組織を単に吸引し、ポンプで運ぶというだけではなく、生体組織を砕壊し、移送される液体の粘度を下げることが必要であることに思い至った。
その結果、吸引針の内腔に、生体組織液を砕壊可能なスクリューカッターを設けたマイクロニードル型医療用ボーリング装置を用いることによって、生体への浸襲を小さく抑えたまま、腫瘍部分などの生体組織を穿ち、膿瘍、素胞、膿胞等の生体組織液を吸引して、生体組織を完全に除去できることを見出した。本発明は、これらの知見に基づきさらに検討した結果完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
(1)近位端から遠位端までを連通する内腔を有する円筒状の針と、該針の内腔内で長手方向を軸にして回転するスクリューカッターと、該スクリューカッター近位端と着脱自在に連結される回転駆動装置を備えるマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
(2)スクリューカッターの近位端と回転駆動装置とがディファレンシャル機構を介して連結される(1)に記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
(3)針の近位端に、さらに陰圧装置が接続されている、(1)又は(2)に記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
(4)針の内周面にフッ素樹脂の被覆膜又はフッ素樹脂の突起が設けられている(1)〜(3)のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
(5)針の外直径が5mm以下である(1)〜(4)のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
(6)スクリューカッターの遠位端は、穿刺可能なように尖っている、(1)〜(5)のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
(7)スクリューカッターは生体組織液を砕壊することができる、(1)〜(6)のいずれかに記載のマイクロニードル型医療用ボーリング装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置は、吸引針の内腔に、回転自在のスクリューカッターが設けられていて、そのスクリューカッターを回転させながら、腫瘍などの生体組織に針を穿つと、スクリューカッター遠位端において生体組織が砕壊され、吸引される生体組織液の粘度が低下する。この粘度低下によって、吸引針内腔の圧損失が低下し、吸引力が上がる。さらにスクリューカッターの近位端側にアルキメデススクリュー形状を設けることによって、液体の移送が補助される。
また、従来の吸引装置と同様に、造影剤、消毒剤、止血剤などを注入して各種処置を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置の遠位端部分の構造の一例を示す図である。図3は、本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置の一例を示す図である。本発明のボーリング装置を構成する針1は、円筒状を成していて、近位端Bから遠位端Aまでを連通する内腔を有している。遠位端Aの口から、生体組織液が導入され、近位端Bの口から生体組織液が吐出される。近位端側には吸引装置などの陰圧装置36を接続することによって、生体組織液を吸引移送することができる。針の遠位端は、その形状によって特に制限されないが、生体組織に低浸襲で穿刺容易にするために、先が尖った形状をしていることが好ましい。
【0013】
針の太さ、長さは特に制限されないが、生体への浸襲を小さく抑えるために、外直径を好ましくは5mm以下、さらに好ましくは3mm以下にする。長さは、手術内容に応じて適宜選択される。
また、針の材質も特に制限されず、例えば、チタンや鉄などの金属又は合金が挙げられる。針の内周面にフッ素樹脂の被覆膜又はフッ素樹脂の突起が設けられていることが好ましい。フッ素樹脂被覆膜又は突起によって、摩擦抵抗率を低下させることができ、後述するスクリューカッターの回転をスムーズにすると共に、生体組織液の流れを良くする効果がある。
【0014】
本発明のボーリング装置を構成するスクリューカッター32は、前記針の内腔内で長手方向を軸にして回転可能なものである。
スクリューカッターの構造は、生体組織液を砕壊することができるものであれば、特に制限されない。例えば、螺旋状スクリューに刃を付けたもの2(ドリルの刃形状)〔図1〕、線材の表面に鋭利な突起が複数設けられたもの12(バーブドワイヤ(有刺鉄線)状)〔図2〕、などが挙げられる。
スクリューカッターの遠位端は穿刺可能なように尖っていることが好ましい。またスクリューカッターの近位端側には砕壊された生体組織液の移送を補助するために、アルキメデススクリュー形のポンプ〔スクリューポンプ〕を設けてもよい。スクリューカッターは、生体組織液を砕壊可能な硬い材料で形成されている。そのような材料としては、例えば、ステンレス鋼、チタンなどの金属が挙げられる。
【0015】
特許文献1に記載されるようなスクリューポンプを内挿しただけのものでは、生体組織液の固まりが針内腔に導入されたときに針内腔を詰まらせ、スクリューポンプが空回りするだけで生体組織液を移送することができなくなる。これに対して本発明のボーリング装置では、大きな固まり状の生体組織液が導入されてきたときでも、その固まりを砕壊して、詰まりを防ぎ、生体組織液の移送を円滑に行うことができる。
【0016】
本発明のボーリング装置には、前記スクリューカッターを回転させるための回転駆動装置35が備えられている。この回転駆動装置は、スクリューカッター近位端と着脱自在に連結でき、連結したときにスクリューカッターに回転力を伝えることができるものであれば、特に制限されない。例えば、直流モーター、交流モーターなどが挙げられる。
【0017】
回転駆動装置と、スクリューカッター近位端との連結は、例えば、ワイヤ、金属棒等の細線材からなるシャフト34を介して行うことができる。細線材からなるシャフトは、腹腔内での取りまわしなどの操作性の観点から弾力性のあるフレキシビリティのあるものが好ましい。スクリューカッター近位端とシャフトとの連結手段37は特に限定されず、溶接によって接続してもよいし、筒状の接続具を噛み潰して接続するものであってもよい。また、ディファレンシャル(差動)機構を回転駆動装置とスクリューカッターとの間に介してもよい。
【0018】
前述の針の近位端側は、前記細線材に合わせてフレキシビリティのある材料で形成された管33が接続されていてもよい。針の近位端側の管の材料としては、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、フッ素系樹脂又はゴム、ポリウレタン、アクリル樹脂などの高分子材料が挙げられる。
【0019】
本発明の一実施態様を構成する回転駆動装置には、陰圧装置36を取り付けるための吸引口が設けられている。この吸引口から、回転駆動装置内を経由して前述の針の近位端までを、気密された管によって繋ぐ。この管を介して、針の遠位端導入口から吸入された生体組織液を外部に排出できる。また陰圧装置を取り外し、該吸引口から造影剤、消毒剤、止血剤などの液体を注入することによって、管33、針31を経て、遠位端Aに、それら液体を移送することができ、これによって各種処置を患部に施すことができる。
【実施例】
【0020】
図3は、本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置の一実施例を示す図である。
遠位端Aと近位端Bとを連通する内腔を有する、外直径0.3mmの金属チタン製の針(内周面がフッ素樹脂でコーティングされている)31と、その針の内腔に挿入された、スクリューカッター(螺旋状刃を持つドリル刃)32とを備えている。スクリューカッターは針の内腔内で高速度で回転できるようになっている。
【0021】
針の近位端には、フレキシビリティのある樹脂製の管33の一端が接続されている。その管33の他端は、モーター35を内包する駆動装置の接続口と着脱自在に連結できる。
スクリューカッターの近位端は連結手段37を介してステンレス製ワイヤからなる駆動シャフト34の一端と連結されている。駆動シャフトの他端はモーターの回転軸と連結されている。モーターの回転力を、シャフトを介してスクリューカッターに伝えることができるようになっている。
【0022】
駆動装置の手元側には、管33の内腔と連通する吸引口があり、この吸引口に陰圧装置36を接続することができる。陰圧装置を稼動させることによって、駆動装置、管33、針31を通して、患部生体組織から液体を吸引することができるようになっている。
【0023】
本発明のボーリング装置の遠位端部分(針部分)を、腹腔カニューレを通して腹腔内に挿入し、針部分を腫瘍などの生体組織に付け、駆動装置を稼動させスクリューカッターを回転させると、針部分先端(遠位端)が接する生体組織が砕壊され、針が生体組織内に余分な力を要せずに差し込むことができる。そして、陰圧装置を稼動させると、生体組織内の、膿瘍、素胞、膿胞、脂肪などの生体組織液が吸引される。生体組織内の組織液は砕壊され、細かくなっているので、粘度が低く、流れやすい液体になっているので、針又は管で詰まることなく、円滑に吸引することができる。また該吸引操作を行っているときに動脈等に触れて出血した場合でも、該駆動装置の吸引口から陰圧装置を取り外し、それに換えて、又は三方コックのような切替弁で止血剤等の充てんされたシリンジを繋ぎ、管33及び針31を通して出血患部に止血剤を注入することができる。
【0024】
以上のように、本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置は、生体組織液を円滑に移送することができるので、腫瘍、脂肪塊などの生体組織にある膿瘍、素胞、膿胞、脂肪等の生体組織液を効率的に吸引でき、患部の処置を短時間に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置の遠位端部分の構造の一例を示す図。
【図2】本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置の遠位端部分の構造の別の一例を示す図。
【図3】本発明のマイクロニードル型医療用ボーリング装置の全体を示す概念図。
【符号の説明】
【0026】
A:遠位端(導入口)
B:近位端(吐出口)
1,11,31:針
2,12,32:スクリューカッター
37:連結手段(ディファレンシャル機構であってもよい)
34:駆動シャフト
33:管
35:モーター
36:陰圧装置
【出願人】 【識別番号】505246789
【氏名又は名称】学校法人自治医科大学
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100109508
【弁理士】
【氏名又は名称】菊間 忠之


【公開番号】 特開2008−6226(P2008−6226A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182648(P2006−182648)