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【発明の名称】 体組成計
【発明者】 【氏名】小栗 一也

【要約】 【課題】身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より内蔵脂肪面積を演算することで精度よく内臓脂肪面積を求めることができると共に構成も簡略化できる。

【構成】手や脚に接触させる電極1と、前記電極1に印加した電流から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定手段2と、赤外光や可視光を発する発光部3と発光した光を受ける受光部4を備えた皮下脂肪厚を測定する皮下脂肪厚測定手段5と、被験者の身体データ入力や前記インピーダンス測定手段2や皮下脂肪厚測定手段5を操作する操作手段6と、前記入力値、測定値から身体の各体組成値を演算する演算手段7と、測定値や演算値、入力値を表示する表示手段8と、測定値や演算値、入力値、演算式を記憶する記憶手段9とを備えた体組成計10である。身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より内蔵脂肪の指標を演算する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
手や脚に接触させる電極と、前記電極に印加した電流から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定手段と、赤外光や可視光を発する発光部と発光した光を受ける受光部を備えた皮下脂肪厚を測定する皮下脂肪厚測定手段と、被験者の身体データ入力や前記インピーダンス測定手段や皮下脂肪厚測定手段を操作する操作手段と、前記入力値、測定値から身体の各体組成値を演算する演算手段と、測定値や演算値、入力値を表示する表示手段と、測定値や演算値、入力値、演算式を記憶する記憶手段とを備えた体組成計であって、身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より内蔵脂肪の指標を演算手段により演算して演算結果を表示手段で表示することを特徴とする体組成計。
【請求項2】
上記身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より演算される内蔵脂肪の指標が内臓脂肪面積であることを特徴とする請求項1記載の体組成計。
【請求項3】
内蔵脂肪面積を求める演算式が、
F=(a×Z)+(b×T)+(c×BMI)+(d×年齢)+e
F:内蔵脂肪面積
Z:生体インピーダンス
T:皮下脂肪厚
BMI:BMI値(=体重/身長
a、b、c、d、e:定数
であることを特徴とする請求項2記載の体組成計。
【請求項4】
性別により定数a、b、c、d、eを変えることを特徴とする請求項3記載の体組成計。
【請求項5】
上記演算式において用いる皮下脂肪厚が腹部外周に沿った複数個所の皮下脂肪厚を測定することにより求められたものであることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の体組成計。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の電極と、皮下脂肪厚を赤外線や可視光で測定できる皮下脂肪厚測定手段を備え、身体データと、測定した生体インピーダンス及び皮下脂肪厚から内臓脂肪の指標を演算できる体組成計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の体組成計として、体重計と、体重計の上面に設けられた脚用電極と、両手で保持する操作表示部の両脇の手用電極により手脚用の生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定手段を備え、入力した性別、年齢、身長等の身体データにより体脂肪率等の複数の体組成数値を演算するものが特許文献1などにより知られている。
【0003】
体脂肪の演算方法としては、性別、年齢、身長、体重等の個人データに基づいて生体インピーダンスを測定し、該生体インピーダンスに基づいて体脂肪を演算により求めるようにしている。例えば、全身の体脂肪量を測定する場合は、手脚間全体のインピーダンスを測定することにより行っている。しかしながら、このようにして全身の体脂肪量を求めただけでは内臓脂肪を求めることはできない。そこで、上記特許文献1に示された従来例にあっては、体幹部分に高周波電流を流して体幹部分のインピーダンスを測定するに当り、表面近くの皮下脂肪層を主に流れる周波数の高周波電流と、皮下脂肪層より深いところを主に流れる周波数の高周波電流との2種類の周波数の高周波電流を切り換えて流し、この2種類の周波数におけるインピーダンスの差を測定することにより内臓脂肪量を求めるようにしている。
【0004】
しかしながら、上記従来の方法では、内臓脂肪量を求めるために、手と脚用の8個の電極を設け、この手と脚用の8個の電極への高周波の通電方法を変え、体幹部分のインピーダンスを演算したり、複数の高周波を供給するために回路構成が複雑になり、また、電子部品点数が多くなってしまう。更に、演算の処理や周波数を切り換えて測定するなど、内臓脂肪を求めるのに時間がかかるという問題があった。また、2種類の周波数の高周波電流を切り換えて流し、2種類の周波数におけるインピーダンスの差を測定することにより内臓脂肪量を求めるものにおいは、十分な精度が得られないという問題があった。
【0005】
ところで、近年、内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の急増が問題となっている。このメタボリックシンドロームの診断基準として、2005年4月の日本内科学会総会により「内臓脂肪型肥満は、臍レベル腹部断面での内臓脂肪面積100平方cm以上とする。」と定められ、病院等の医療機関においてCTやMRI等により腹部の断面映像を撮像し、この腹部の断面映像により内臓脂肪面積(内臓脂肪断面積)を求め、上記メタボリックシンドロームの診断基準に基づいて内臓脂肪面積を評価するようになっている。
【0006】
このように、内臓脂肪の指標として近年内臓脂肪面積が大きくクローズアップされているが、内臓脂肪面積を測定するには従来は医療機関においてCTやMRI等で測定しなければならず、被験者に対して時間、費用の点で大きな負担がある。
【0007】
一方、上記特許文献に示される従来例のような家庭で簡易に使用できる体組成計においては、一般に内臓脂肪の指標として内臓脂肪量を演算により求め、求めた内臓脂肪量を体組成計を販売しているメーカ毎に独自に数十段階のレベル(例えば30段階)に分けて、求めた内臓脂肪量がメーカ毎に独自に設定した何段階のレベルであるかを表示するようになっているにすぎない。このメーカ毎に設定した内臓脂肪量のレベル表示は、内臓脂肪面積そのものを表示するものでないので、上記したメタボリックシンドロームの診断基準に基づく評価ができなかった。このように、従来にあっては、簡易に内臓脂肪面積を測定する体組成計はなかった。このため、現在、医療機関に出かけて行ってCTやMRI等で測定しなくても、簡単に内臓脂肪面積を測定することができる体組成計が強く要望されている。
【特許文献1】特許第3211118号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、身長、体重、年齢、性別、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より内蔵脂肪面積を演算することで精度よく内臓脂肪の指標、特に内臓脂肪面積を求めることができると共に、構成も簡略化できる体組成計を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明に係る体組成計は、手や脚に接触させる電極1と、前記電極1に印加した電流から生体インピーダンスを測定するインピーダンス測定手段2と、赤外光や可視光を発する発光部3と発光した光を受ける受光部4を備えた皮下脂肪厚を測定する皮下脂肪厚測定手段5と、被験者の身体データ入力や前記インピーダンス測定手段2や皮下脂肪厚測定手段5を操作する操作手段6と、前記入力値、測定値から身体の各体組成値を演算する演算手段7と、測定値や演算値、入力値を表示する表示手段8と、測定値や演算値、入力値、演算式を記憶する記憶手段9とを備えた体組成計10において、身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より内蔵脂肪の指標を演算手段7により演算して演算結果を表示手段8で表示することを特徴とする特徴とするものである。
【0010】
このように、被験者個人の身長、体重、年齢の身体データと、インピーダンス測定手段2により測定した生体インピーダンスに加えて、皮下脂肪厚測定手段5により直接皮下脂肪厚を測定して、内臓脂肪の指標を演算するので、皮下脂肪厚を直接測定することで内臓脂肪の指標を演算により求める項目を減らすことができ、簡単に精度よく内臓脂肪の指標を求めることができる。
【0011】
また、上記身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より演算される内蔵脂肪の指標が内臓脂肪面積であることが好ましい。
【0012】
このように、被験者個人の身長、体重、年齢の身体データと、インピーダンス測定手段2により測定した生体インピーダンスに加えて、皮下脂肪厚測定手段5により皮下脂肪厚を直接測定して内臓脂肪面積を求めることができるので、CTやMRIによって求める真値としての断面画像(断面画像により求める内臓脂肪面積)により近似した精度の高い内臓脂肪面積を求めることができ、医療機関でCTやMRIにより撮像するということをしなくても、手軽に内臓脂肪面積を求めて内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の診断基準に基づく評価ができる。
【0013】
また、内蔵脂肪面積を求める演算式が、F=(a×Z)+(b×T)+(c×BMI)+(d×年齢)+eであることが好ましい。ここで、F:内蔵脂肪面積、Z:生体インピーダンス、T:皮下脂肪厚、BMI:BMI値(=体重/身長)、a、b、c、d、e:定数である。
【0014】
このような構成とすることで、簡単な演算式で内臓脂肪面積を求めることができ、演算する回路構成も簡略化することができる。
【0015】
そして、性別により上記定数a、b、c、d、eを変えることが好ましい。
【0016】
このように演算式の定数を性別により変えることにより、脂肪のつき方が大きく異なる男女の差を分別でき、男女それぞれにおいて精度の高い内臓脂肪面積を求めることができて、CTやMRIによって求める真値としての断面画像(断面画像により求める内臓脂肪面積)によりいっそう近似した精度の高い内臓脂肪面積を求めることができ、簡単な構成の体組成計でありながらより正確に内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の診断基準に基づく評価ができる。
【0017】
また、上記演算式において用いる皮下脂肪厚が腹部外周に沿った複数個所の皮下脂肪厚を測定することにより求められたものであることが好ましい。
【0018】
このような構成とすることで、腹部断面の各方向において皮下脂肪のつき方が個人毎に異なるが、このような個人毎のばらつきを測定数値として入力できるため、より精度の高い皮下脂肪面積を求めることができて、CTやMRIによって求める真値としての断面画像(断面画像により求める内臓脂肪面積)によりいっそう近似した精度の高い内臓脂肪面積を求めることができ、簡単な構成の体組成計でありながらより正確に内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の診断基準に基づく評価ができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、身長、体重、年齢の入力と、インピーダンス測定手段による直接測定した生体インピーダンスと、皮下脂肪厚測定手段で直接測定した皮下脂肪厚とに基づいて内蔵脂肪面積を演算するので、簡単且つ精度よく内臓脂肪の指標を求めることができ、演算により求める項目を減らすことが出来て、精度の高い内臓脂肪の指標を求めることができると共に回路構成を簡略化できるという利点がある。
【0020】
また、求める内臓脂肪の指標が内臓脂肪面積であることで、簡単な構成の体組成計で、CTやMRIによって求める真値としての内臓脂肪面積に近似した精度の高い内臓脂肪面積を求めることができるという利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0022】
図1には本発明の一実施形態の体組成計10の一実施形態の斜視図が示してある。図1に示す実施形態においては、体組成計10は、体重計11と測定ユニット12とで構成してあり、体重計11と測定ユニット12とは体重計11と測定ユニット12の間で通信を行う通信手段であるケーブル18で接続してあり、体重計11と測定ユニット12との間で測定データや操作入力の通信ができるようになっている。なお、ケーブルに変えて無線で通信するようにしてもよい。
【0023】
体重計11は外郭を構成する載置板13と、四隅に脚部14を備えた裏板15とで主体が構成してあり、載置板13と裏板15とは1乃至複数の荷重センサ30を介して連結材により連結してあり、この荷重センサ30と後述の制御部20で体重測定手段を構成している。載置板13の上面部には体重計11側の電極1(電流印加用電極1a、電圧計測用電極1b)が設けてあり、具体的には載置板13の上面部の前部の両側に電流印加用電極1aを設けると共に後部の両側に電圧計測用電極1bが設けてあり、被験者は両足の裏側における足先側部分を対応する電流印加用電極1a上に載せると共に踵側部分を対応する電圧計測用電極1bに載せた状態で載置板13に載れるようになっている。また、体重計11の前端部には測定ユニット12を着脱自在に収納するための収納用凹部16が設けてある。
【0024】
上記体重計11の収納用凹部16に着脱自在に収納される測定ユニット12は扁平な矩形板状、詳しくは矩形板状をしており、長辺側の両側端部は把持部17となっており、被験者はこの両側の把持部17を両手で把持することで測定ユニット12を保持できるようになっている。測定ユニット12には測定ユニット12側の電極1として長手方向の両端部の把持部17の前後にそれぞれ電流印加用電極1Aと電圧印加用電極1Bが設けてあり、これら測定ユニット12に設けた電極1と体重計11に設けた電極1と制御部20により被験者の生体インピーダンスを測定するためのインピーダンス測定手段2が構成してある。
【0025】
扁平な測定ユニット12の表裏面は前後左右の側面に比べ面積の広い面となっているが、この面積の広い面である裏面部には被験者の被測定部位の皮下脂肪厚を計測するための皮下脂肪厚測定手段5が設けてある。この皮下脂肪厚測定手段5は赤外光や可視光を発する発光部3と、発光部3から照射されて被験者の被測定部位に当たって反射した光を受光する受光部4を備えている。
【0026】
この皮下脂肪厚測定手段5は例えば次のように構成してある。測定ユニット12の裏面部の被験者の身体表面に接する80cm程度の測定面19に1つの発光部3と複数(図示例では2つ)の受光部4を設け、発光部3と各受光部4の距離を皮下脂肪厚が0〜60mm程度の測定が可能となるように各受光部4を発光部3から約15〜45mm離れた位置に配置してあり、また発光部3として波長850nm付近の近赤外線を発するLEDを用いている。ここで、受光部4を複数設けたのは皮膚の色素の差を補正する等して精度の高い測定をするためである。なお上記測定面19を反射率の低い黒色としても良く、この場合、皮下脂肪厚の測定時に外部からの光の影響を受けにくくできる。また測定面19は平坦な面であっても良いし、被験者の被測定部位に合わせて湾曲した弧状の曲面であっても良い。
【0027】
図3は皮下脂肪厚測定手段5による皮下脂肪厚測定の原理を示す説明図である。
【0028】
皮下脂肪厚測定の原理は、発光部3から照射された赤外光は皮膚23表面に入射する。生体は近赤外もしくは可視光にとって散乱体であるから、光は散乱しながら皮下脂肪層21に入射する。皮下脂肪層21に入った光は更に散乱、拡散を続けながら広がっていき、一部は筋肉層22に到達する。筋肉層22は血液や水分が多いと共に筋繊維の影響で、光が大きく吸収されてしまう。筋肉層22に到達せず皮下脂肪層21を広がっていく光はほとんど減衰することなく伝播していく。皮下脂肪層21が厚い場合は、ほとんど筋肉層22の影響で減衰することなく光は伝播していくため受光部4で受光する光は多いが、皮下脂肪層21が薄い場合は多くの光が筋肉層に到達して減衰してしまうため、受光部4に到達する光が減少する。このようにして受光部4での光の受光量により皮下脂肪厚を求めるのである。
【0029】
また、扁平な測定ユニット12の面積の広い表面部には中央部に測定値や演算値、入力値を表示するための表示手段8を構成する液晶表示部8aが設けてあり、また、扁平な測定ユニット12の表面部の表示手段8と両端部の把持部17との間に、身長、年齢、性別等の被験者の身体データの入力、インピーダンス測定手段2や皮下脂肪厚測定手段5等の操作、表示切替等を行うための操作手段6を構成する複数の操作部6aが設けてある。
【0030】
また本発明の体組成計10には演算手段7と記憶手段9とを備えた制御部20が設けてあり、この制御部20は体重計11に内装してもよく、あるいは測定ユニット12に内装してもよい。演算手段7は上記操作手段6により入力された入力値、測定値(荷重センサ30、インピーダンス測定手段2、皮下脂肪厚測定手段5等により測定した測定値)から身体の各体組成値を演算するようになっており、記憶手段9は測定値や演算値、入力値、演算式を記憶するようになっている。
【0031】
そして、上記の構成の体組成計10において、本発明においては、入力値、測定値から身体の各体組成値を演算手段7で演算して求め、表示手段8で表示するようになっているのであるが、この場合、身体の各体組成値の演算、表示としては少なくとも身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より内蔵脂肪の指標を演算して表示手段8で内臓脂肪の指標を表示するようになっている。
【0032】
次に、本発明の体組成計10を用いて被験者の皮下脂肪の指標を含む体組成値を計測する計測方法につき、図4に代表的な例を説明する。
【0033】
まず電源スイッチ26をオンにして、操作手段6を構成する操作部6aにより被験者の性別、年齢、身長等の身体データを入力する。入力が完了すると測定準備が完了し、被験者は床に載置した体重計11の載置板13上に各電極1に足裏を接触させた状態で載ると共に、測定ユニット12の両把持部17を両手で把持した状態(即ち各電極1に手を接触させた状態)で測定ユニット12を保持する。これにより荷重センサ30では荷重を検出し、この求めた荷重が被験者の体重のデータとして制御部20に入力される。また測定ユニット12や体重計11に設けた電流印加用電極1A、1a間において所定の交流電流が流され、この時の特定の電圧計測用電極1B、1b間に発生する電圧が測定される。そしてこれら荷重センサ30や電極1の測定値(出力値)は演算手段に入力され、体重と生体インピーダンスが求められる。ここで電極1によって検出されるインピーダンス値としては、測定ユニット12の電極1を利用して得られる被験者の両手間のインピーダンス値や体重計11の電極1を利用して得られる被験者の両足間のインピーダンス値、また測定ユニット12の計測用電極1Aと体重計11の電圧計測用電極1bを利用して得られる手足間のインピーダンス値等が挙げられる。
【0034】
次に被験者は皮下脂肪厚測定手段5により腹部の皮下脂肪厚を計測する。皮脂厚計測手段での計測は、把持部17を把持して測定ユニット12の測定面19を被験者の腹部周囲の測定箇所に接触させ、発光部4から光を照射すると共に受光部4で受光情報を検出させることにより行う。測定箇所は、人体の腹部の臍の高さを測定する。
【0035】
測定が終わると、その結果を表示手段8で表示する。生体インピーダンスや皮下脂肪厚などの直接的な測定結果と共に、記憶手段9に記憶された演算式により体脂肪量、体脂肪率、内臓脂肪に関する指標、BMI、筋肉量などが演算され、その結果を表示手段8で表示する。このようにして内臓脂肪に関する指標を含む複数種類の体組成値を計測するのであるが、内臓脂肪に関する指標としては、内臓脂肪面積、内臓脂肪量等があり、これらの内臓脂肪の指標の一つまたは複数を測定して表示する。測定結果の確認が終わると電源スイッチ26をオフにする。
【0036】
上記演算手段7による演算は、操作手段6でから入力された年齢、性別により、複数の計算式の中から演算する式を選択し、測定した体重とインピーダンス値、入力した身長データを計算式に代入して体脂肪量、体脂肪率、内臓脂肪に関する指標、BMI、筋肉量などを演算して求め、演算結果を表示手段8に出力して表示する。なお、演算式は、パラメータとして年齢、性別毎に予め統計的手法によって導き出した相関式を基にしている。
【0037】
上記相関式は記憶手段9に記憶されているが、この相関式として、以下、内臓脂肪面積を求める相関式につき説明する。
【0038】
(比較例の内臓脂肪面積を求める相関式)
年齢、性別毎の多数の被験者を標本とし、各標本の身長、体重、性別、腹部の断面映像(CTやMRIによる)で求めた皮下脂肪面積、内臓脂肪面積、生体インピーダンスを基に、統計的手法により内臓脂肪面積を算出するための相関式を求めると、次のような式(1)となる。
【0039】
=(a×Z)+(c×BMI)+(d×年齢)+e……………式(1)
:内臓脂肪面積 Z:生体インピーダンス
BMI:BMI値(体重/身長
、b、c、d、e:定数
人体に存在している脂肪は体脂肪と称しているが、この体脂肪は大まかに皮膚と筋肉の間に存在する皮下脂肪と内臓の周囲に存在する内臓脂肪に分類される。脂肪のつき方は個人毎に異なるが、身長、体重、年齢、性別、生体インピーダンスによりおおよその割合で分けることが統計的にできる。つまり、体脂肪全体は生体インピーダンスにより測定できるので、統計的な割合を利用して内臓脂肪面積と皮下脂肪面積に分け、これにより内臓脂肪面積を算出するための相関式を求めることができる。
【0040】
(本発明の内臓脂肪面積を求める相関式)
一方、本発明にあっては、被験者各個人の皮下脂肪厚を直接測定することが可能であるため、相関式は次のような式(2)となる。
【0041】
=(a×Z)+(b×T)+(c×BMI)+(d×年齢)+e……(2)
:内臓脂肪面積 Z:生体インピーダンス
T:皮下脂肪厚 BMI:BMI値(体重/身長
、b、c、d、e:定数
上記定数の具体的な数値は表1のようにする。
【0042】
【表1】


【0043】
上記式(1)のCT画像に対する相関を示すグラフを図6(a)(b)に示し、式(2)のCT画像に対する相関を示すグラフを図7(a)(b)に示す。
【0044】
比較例においては、生体インピーダンスより求められる体脂肪から、統計的割合により皮下脂肪と内臓脂肪に分割していたが、本発明は生体インピーダンスより求められる体脂肪から直接測定した皮下脂肪を引いて内臓脂肪面積を求めることとなるので、図6(a)(b)、図7(a)(b)から明らかなように、比較例に比べて真値としてのCTやMRIによる断面画像に近い数値を求めることができ、相関が高くなる。
【0045】
上記のようにして、CTやMRIによって求める真値としての断面画像(断面画像により求める内臓脂肪面積)により近似した精度の高い内臓脂肪面積を求めて表示手段8により表示することで、医療機関でCTやMRIにより撮像しなくても、家庭で手軽に被験者の内臓脂肪面積を知ることができるので、内臓脂肪面積が100平方cm以上であるか、未満であるかといったことが一目で判り、これにより、家庭で手軽に内臓脂肪症候群(メタボリックシンドローム)の診断基準に基づく評価ができる。
【0046】
勿論本発明において、身長、体重、年齢、生体インピーダンス、皮下脂肪厚より演算して求める内蔵脂肪の指標として上記内臓脂肪面積だけでなく、内臓脂肪量を求めてこれを表示手段8により表示するようにしてもよい。もちろん、内臓脂肪面積、内臓脂肪量の両方を表示するようにしてもよい。
【0047】
次に、本発明の他の実施形態につき説明する。
【0048】
図5は人体の臍の高さの腹部断面における脂肪のつき方の模式図であり、図5中、21は皮下脂肪層、22は筋肉層、23は皮膚、24は内臓脂肪層、25は内臓、27は臍を示している。皮下脂肪のつき方は、臍側、体側、背中側により異なり、また、個人によりその分布の仕方も様々である。このため、ある1点だけの測定においては、皮下脂肪全体を把握することは困難である。このため、腹部断面に対しては例えば腹部の周囲の4点を測定してそれぞれの皮下脂肪厚を演算式に利用すると、より精度の高い内臓脂肪面積を求めることができる。
【0049】
つまり、上記した式(2)の演算式において、皮下脂肪厚をTとしているが、複数個所の皮下脂肪を測定することで、皮下脂肪厚Tは次のように表すことができる。
【0050】
T=(A×t+A×t+A×t+………A×t)/n
:各測定部の皮下脂肪厚
n:測定回数
:定数
このように多くの点を測定すればより正確に皮下脂肪厚の分布を知ることができるが、測定する手間と測定する位置の再現性が問題となる。そこで、臍の高さを基準として、臍の横(約5cm)、右か左の体側(わき腹部)、背中側の背骨の横(約5cm)の3点として、基本的には左右対称で脂肪が分布していると考え、上記3点を測定すれば断面のほぼ全体の皮下脂肪厚の分布の仕方を把握することができる。
【0051】
また、皮下脂肪厚測定手段5で測定した上記複数の各測定点の皮下脂肪厚を表示手段8で表示するように制御することにより、被験者が自分の体型をより正確に認識することができ、部分やせの効果確認などの利用の仕方もできることになる。
【0052】
なお、上記した実施形態では体重計11と測定ユニット12とで体組成計10を構成し、体重を直接測定し、直接測定した体重のデータを各体組成の値を求めるためのデータの一つとして利用している例を示しているが、測定ユニット12のみにより体組成計10を構成してもよい。この場合は、操作手段6を用いて被験者の身長、年齢、性別といっしょに入力する。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態の体組成計の斜視図である。
【図2】同上の測定ユニットを示し、(a)は表面側から見た斜視図であり、(b)は裏面側から見た斜視図である。
【図3】同上の皮下脂肪厚測定の原理図である。
【図4】同上の体組成計の制御ブロック図である。
【図5】人体の腹部断面の脂肪のつき方の模式図である。
【図6】比較例におけるCT画像に対する相関を示すグラフを示し、(a)は男子の場合のグラフであり、(b)は女子の場合のグラフである。
【図7】本発明におけるCT画像に対する相関を示すグラフを示し、(a)は男子の場合のグラフであり、(b)は女子の場合のグラフである。
【符号の説明】
【0054】
1 電極
2 インピーダンス測定手段
3 発光部
4 受光部
5 皮下脂肪厚測定手段
6 操作手段
7 演算手段
8 表示手段
9 記憶手段
10 体組成計
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−6222(P2008−6222A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182473(P2006−182473)