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【発明の名称】 磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置
【発明者】 【氏名】大関 弘行

【要約】 【課題】本発明は、簡単な構成により天板をより高精度に移動させることができる磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置を得ることを目的とするものである。

【構成】天板5の裏面には、天板5の進退方向及び鉛直方向に平行な第1及び第2の溝5a,5bが形成されている。第1及び第2の溝5a,5bは、天板5の幅方向の中心から等距離の位置に形成されている。天板支持板4には、第1の溝5aに係合する第1及び第2の固定ガイド体6,7と、第2の溝5bに係合する第1及び第2の可動ガイド体8,9とが設けられている。第1及び第2の固定ガイド体6,7は、天板5の進退方向に互いに間隔をおいて配置されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台本体、
撮像空間に対して進退可能に上記寝台本体上に設けられ、上記撮像空間に対する進退方向に平行な基準面と、上記基準面に対向する対向面とが形成されている非磁性材料製の天板、
上記天板の進退方向に互いに間隔をおいて上記寝台本体に設けられ、上記天板の進退動作時に上記基準面に係合して上記天板の移動を案内する第1及び第2の固定ガイド部材、
上記天板の進退方向について上記第1及び第2の固定ガイド部材に対応する位置に設けられ、上記対向面に接離する方向へ変位可能な第1及び第2の可動ガイド部材、及び
上記第1及び第2の可動ガイド部材を上記対向面に押し付けることにより上記基準面を上記第1及び第2の固定ガイド部材に押し付ける押付手段
を備えていることを特徴とする磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置。
【請求項2】
上記第1及び第2の固定ガイド部材は、上記天板の進退動作時に上記基準面に沿って相対的に転動される第1及び第2のガイドローラであり、
上記第1及び第2の可動ガイド部材は、上記天板の進退動作時に上記対向面に沿って相対的に転動される第1及び第2の押付ローラであることを特徴とする請求項1記載の磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置。
【請求項3】
上記天板の裏面には、上記天板の進退方向に平行な第1及び第2の溝が形成されており、
上記第1の溝の側壁に上記基準面が、上記第2の溝の側壁に上記対向面がそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、非磁性材料からなる移動可能な天板を有する磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のX線診断装置用の寝台装置では、寝台固定側と天板裏面との間にリニアガイドが設けられている。そして、天板は、リニアガイドにより案内され、スライド移動される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開平8−98832号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来の寝台装置を磁気共鳴断層撮影装置に適用しようとすると、撮像空間に移動される天板を非磁性材料のみで構成する必要があり、金属製のリニアガイドを天板の裏面に設けることができない。また、FRP等の樹脂で天板を製作する場合、天板の裏面に2本のガイド溝を設けるが、2本の長尺のガイド溝を精度良く平行に設けることは困難であった。このため、天板を高精度に撮像空間内に移動させることができなかった。
【0005】
ここで、近年は、撮影室の外に設置された操作卓からの遠隔操作により、撮像した画像に基づいて天板を移動させる機能を持った磁気共鳴断層撮影装置が求められている。このような磁気共鳴断層撮影装置では、天板をより高精度に移動させることが必要となる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、簡単な構成により天板をより高精度に移動させることができる磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置は、寝台本体、撮像空間に対して進退可能に寝台本体上に設けられ、撮像空間に対する進退方向に平行な基準面と、基準面に対向する対向面とが形成されている非磁性材料製の天板、天板の進退方向に互いに間隔をおいて寝台本体に設けられ、天板の進退動作時に基準面に係合して天板の移動を案内する第1及び第2の固定ガイド部材、天板の進退方向について第1及び第2の固定ガイド部材に対応する位置に設けられ、対向面に接離する方向へ変位可能な第1及び第2の可動ガイド部材、及び第1及び第2の可動ガイド部材を対向面に押し付けることにより基準面を第1及び第2の固定ガイド部材に押し付ける押付手段を備えている。
【発明の効果】
【0008】
この発明の磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置は、天板を進退動作させる際、基準面が第1及び第2の固定ガイド部材に押し付けられているため、簡単な構成により天板をより高精度に移動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による磁気共鳴断層撮影装置(MR装置)の寝台装置を示す斜視図、図2は図1の寝台装置を示す平面図、図3は図1の寝台装置を示す側面図である。
【0010】
図において、寝台本体1は、磁気共鳴断層撮影装置のガントリ(撮影装置本体)2に隣接して設置されている。また、寝台本体1は、ベース3と、ベース3上に支持された天板支持板4とを有している。天板支持板4上には、ガントリ2に形成された撮像空間に対して水平に進退可能な天板5が設けられている。天板5は、寝台本体1上の待機位置と、撮像空間内に突出した撮像位置との間で直線的にスライド可能になっている。また、天板5は、非磁性材料、例えばFRP等の樹脂により構成されている。
【0011】
天板5の裏面には、第1及び第2の溝5a,5bが天板5の進退方向(図2のX軸方向)に沿って互いに平行に形成されている。第1及び第2の溝5a,5bは、天板5の幅方向の中心から等距離の位置に形成されている。
【0012】
天板支持板4の上面には、第1及び第2の溝5a,5bに対向する凹部4aが設けられている。凹部4aには、第1の溝5aに係合する第1及び第2の固定ガイド体6,7と、第2の溝5bに係合する第1及び第2の可動ガイド体8,9とが設けられている。
【0013】
第1及び第2の固定ガイド体6,7は、天板5の進退方向に互いに間隔をおいて配置されている。第1及び第2の可動ガイド体8,9は、天板5の進退方向に互いに間隔をおいて配置されている。第1の可動ガイド体8は、天板5の進退方向について第1の固定ガイド体6に対応する位置、即ち第1の固定ガイド体6と同じ位置に配置されている。第2の可動ガイド体9は、天板5の進退方向について第2の可動ガイド体9に対応する位置、即ち第2の可動ガイド体9と同じ位置に配置されている。
【0014】
図4は図2の天板支持板4及び天板5のIV−IV線に沿う断面図である。第1の溝5aの側壁には、天板5の撮像空間に対する進退方向及び鉛直方向(図4のZ軸方向)に平行な基準面11が形成されている。基準面11は、天板5の進退方向に連続して精度良く平滑に形成されている。第2の溝5bの側壁には、基準面11に対向する対向面12が形成されている。
【0015】
第1の固定ガイド体6は、凹部4a内に垂直に立設された第1の固定ピン13と、第1の固定ピン13の上端部に回転自在に設けられた第1の固定ガイド部材としての第1のガイドローラ14とを有している。第2の固定ガイド体7は、凹部4a内に垂直に立設された第2の固定ピン15と、第2の固定ピン15の上端部に回転自在に設けられた第2の固定ガイド部材としての第2のガイドローラ16とを有している。
【0016】
第1及び第2のガイドローラ14,16は、鉛直な回転軸を中心として回転自在である。また、第1及び第2のガイドローラ14,16は、天板5の進退動作時に基準面11に係合して天板5の移動を案内する。具体的には、第1及び第2のガイドローラ14,16は、天板5の進退動作時に基準面11に沿って相対的に転動される。
【0017】
第1の可動ガイド体8は、天板5の進退方向に平行な軸17を中心に揺動可能な第1の可動ピン18と、第1の可動ピン18の上端部に回転自在に設けられた第1の可動ガイド部材としての第1の押付ローラ19とを有している。第2の可動ガイド体9は、天板5の進退方向に平行な軸20を中心に揺動可能な第2の可動ピン21と、第2の可動ピン21の上端部に回転自在に設けられた第2の可動ガイド部材としての第2の押付ローラ22とを有している。
【0018】
第1及び第2の押付ローラ19,22は、第1及び第2の可動ピン18,21の揺動により、対向面12に接離する方向へ変位可能である。凹部4aの底部には、第1及び第2の保持部材23,24が設けられている。第1及び第2の保持部材23,24と第1及び第2の可動ピン18,21との間には、押付手段としての第1及び第2の押付ばね25,26が設けられている。
【0019】
第1及び第2の押付ばね25,26は、第1及び第2の押付ローラ19,22が対向面12に接する方向へ第1及び第2の可動ピン18,21の下端部を押圧する。また、第1及び第2の押付ばね25,26は、第1及び第2の押付ローラ19,22を対向面12に押し付けることにより、基準面11を第1及び第2のガイドローラ14,16に押し付ける。
【0020】
第1及び第2の押付ローラ19,22は、第1及び第2のばね25,26により対向面12に常時押し付けられており、天板5の進退動作時には対向面12に沿って相対的に転動される。軸17,20からばね25,26までの距離は、軸17,20から押付ローラ19,22までの距離よりも大きくなっている。天板5の溝5a,5b間の部分は、第1のガイドローラ14と第1の押付ローラ19との間、及び第2のガイドローラ16と第2の押付ローラ22との間に強固に挟持されている。
【0021】
天板支持板4と天板5との間には、天板5の幅方向の中心で天板5の進退動作を案内するリニアガイド機構27が設けられている。リニアガイド機構27は、天板5の進退動作を補助的に案内するものであり、天板5の進退動作は、主として第1及び第2のガイドローラ14,16により案内される。
【0022】
なお、天板5は、天板支持板4に設けられた天板駆動モータ(図示せず)の駆動力により移動される。
また、天板支持板4及び天板5は、ベース3に設けられた横方向駆動モータ(図示せず)の駆動力により天板5の幅方向(図2のY軸方向)に移動可能となっている。
【0023】
このような磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置では、天板5を進退動作させる際、基準面11が第1及び第2のガイドローラ14,16に押し付けられているため、簡単な構成により天板5をより高精度に移動させることができる。即ち、患者を天板5に寝載した状態でも、天板5の幅方向へのずれを、例えば±1mm以下の精度に抑えることができる。
【0024】
また、FRP等の材料を用いて天板5を製作する場合、1つの面を精度良く直線的に形成することは可能だが、平行度の高い2つの面を形成することは技術的に難しい。即ち、基準面11を直線的に形成することは可能だが、対向面12を基準面11に対して完全に平行に形成することは難しい。これに対して、実施の形態1では、押付ローラ19,22が天板5の幅方向に変位可能になっており、基準面11に対する対向面12の距離の微小な変化を吸収するようになっている。このため、対向面12の精度が粗くても天板5を精度良く移動させることができ、コストを低減することができる。
【0025】
さらに、天板5はその進退方向の2箇所で挟持されているため、天板5を案内する機構が無い撮像空間内に大部分が移動した状態でも、天板5の幅方向へのずれが防止され、直進性を維持することができる。特に、天板5をその幅方向へも移動させる機構を有する寝台装置では、天板5に横方向の力が作用するため、天板5が図2のX軸に対して斜めに変位し易いが、実施の形態1では、天板5を撮像位置に完全に移動させた状態でも天板5が2箇所で挟持されているため、直進性をより確実に維持することができる。
【0026】
さらにまた、軸17,20からばね25,26までの距離は、軸17,20から押付ローラ19,22までの距離よりも大きくなっているので、ばね25,26の押付力が可動ピン18,21により増大されることになり、より強力に基準面11をガイドローラ14,16に押し付けることができる。
【0027】
また、第1及び第2の固定ガイド部材として回転自在なガイドローラ14,16を用い、第1及び第2の可動ガイド部材として回転自在な押付ローラ19,22を用いたので、基準面11をガイドローラ14,16に強力に押し付けつつ、天板5をスムーズに移動させることができる。
【0028】
さらに、天板5の裏面に溝5a,5bを設け、これらの溝5a,5bの側壁に基準面11及び対向面12を形成したので、天板5のガイド機構を天板5の下方に配置することができ、全体をコンパクトに構成することができるとともに、意匠性を向上させることができる。
【0029】
実施の形態2.
次に、図5はこの発明の実施の形態2による寝台装置の要部を示す断面図である。この例では、可動ピン18,21を付勢するための押付手段として、実施の形態1の押付ばね25,26とは反対方向から可動ピン18,21を引っ張る第1及び第2の引張ばね28,29が用いられている。他の構成は、実施の形態1と同様である。
【0030】
このような構成によっても、簡単な構成により天板5をより高精度に移動させることができる。
【0031】
実施の形態3.
次に、図6はこの発明の実施の形態3による寝台装置の要部を示す断面図である。この例では、可動ピン18,21を付勢するための押付手段として、所定の硬度(弾性係数)を有する第1及び第2の弾性体30,31が用いられている。弾性体30,31には予圧が与えられている。即ち、弾性体30,31は、常時圧縮されており、これにより押付ローラ19,22が対向面12に常時押し付けられている。弾性体30,31としては、例えばゴムが用いられている。
【0032】
このような構成によっても、簡単な構成により天板5をより高精度に移動させることができる。また、強磁場の磁気共鳴断層撮影装置では、寝台装置の天板5以外の部品も非磁性材料で構成するのが好ましく、このような場合、金属製のばねを用いるよりも、非磁性材料からなる弾性体30,31を用いることが有効である。
【0033】
なお、この発明は、モータ等の駆動源を用いずに手動で天板を移動させるタイプの寝台装置にも適用できる。
また、上記の例では、固定ガイド部材及び可動ガイド部材として回転自在なローラを用いたが、表面が低摩擦材で構成された摺動部材であってもよい。
さらに、上記の例では、基準面及び対向面を溝の側壁に形成したが、天板の裏面に進退方向に平行な方向に連続した凸部を形成し、凸部の側面に基準面及び対向面を形成してもよい。また、天板の一方の側面を基準面として、他方の側面を対向面としてそれぞれ利用することもできる。
さらにまた、上記の例では、天板をX軸方向に移動させる機構の下に天板をY軸方向に移動させる機構を設けたが、上下逆であってもよい。
また、固定ガイド部材及び可動ガイド部材の組は、3組以上設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の実施の形態1による磁気共鳴断層撮影装置の寝台装置を示す斜視図である。
【図2】図1の寝台装置を示す平面図である。
【図3】図1の寝台装置を示す側面図である。
【図4】図2の天板支持板及び天板のIV−IV線に沿う断面図である。
【図5】この発明の実施の形態2による寝台装置の要部を示す断面図である。
【図6】この発明の実施の形態3による寝台装置の要部を示す断面図である。
【符号の説明】
【0035】
1 寝台本体、5 天板、5a 第1の溝、5b 第2の溝、11 基準面、12 対向面、14 第1のガイドローラ(第1の固定ガイド部材)、16 第2のガイドローラ(第2の固定ガイド部材)、19 第1の押付ローラ(第1の可動ガイド部材)、22 第2の押付ローラ(第2の可動ガイド部材)、25 第1の押付ばね(押付手段)、26 第2の押付ばね(押付手段)、28 第1の引張ばね(押付手段)、29 第2の引張ばね(押付手段)、30 第1の弾性体(押付手段)、31 第2の弾性体(押付手段)。
【出願人】 【識別番号】000153498
【氏名又は名称】株式会社日立メディコ
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治

【識別番号】100084010
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 秀利

【識別番号】100094695
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 憲七

【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順


【公開番号】 特開2008−6200(P2008−6200A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−181718(P2006−181718)