| 【発明の名称】 |
青紫色レーザー光が誘導の自家蛍光を指標に用いる粘膜炎の定量的評価方法とその装置 |
| 【発明者】 |
【氏名】里村 一人
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| 【要約】 |
【課題】悪性腫瘍に対する放射線治療では口内炎・粘膜炎が必発し、しかも、その程度が強い場合には当該治療の休止や中止を余儀なくされる症例が頻発している。しかし、かかる副作用・口内炎の程度の評価や対処は、医療者の主観的判断にのみ依存しているので、客観的判断の基準や手段の確立が望まれる。
【構成】(1)青紫色レーザー光を照射した粘膜炎患部において誘導ないしは励起される反照光(反射光、蛍光、自家蛍光等)の強度を指標として用いる粘膜炎・口内炎の定量的評価方法;(2)青紫色レーザー光の光源と、該レーザー光が照射された粘膜炎患部からの反照光を受光しその強度を検出する受光装置とを備え、該反照光の強度から粘膜炎を定量測定する装置等。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 青紫色レーザー光を粘膜炎患部に照射し、その粘膜炎患部から放射される波長中心が440〜560nm範囲にある反照光とその強度を検出し、該反照光の強度を指標として用いる粘膜炎の定量的評価方法。 【請求項2】 青紫色レーザー光を粘膜炎患部に照射し、その粘膜炎患部から放射される波長中心が750〜870nm範囲にある反照光とその強度を検出し、該反照光の強度を指標として用いる粘膜炎の定量的評価方法。 【請求項3】 請求項1記載及び請求項2記載の両反照光の強度を指標として用いる粘膜炎の定量的評価方法。 【請求項4】 青紫色レーザー光の波長中心が350〜470nm範囲にある、請求項1〜3のいずれかに記載の粘膜炎の定量的評価方法。 【請求項5】 反照光の強度が反照光の一次元ピーク値及び/又は反照光ピークの縦横二次元の積分値である、請求項1〜4のいずれかに記載の粘膜炎の定量的評価方法。 【請求項6】 青紫色レーザー光の光源と、該レーザー光が照射された粘膜炎患部からの反照光を受光しその強度を検出する受光装置とを備え、該反照光の強度から粘膜炎を定量測定する装置。 【請求項7】 粘膜炎が口内炎である請求項1〜5のいずれかに記載の定量的評価方法、又は請求項6記載の粘膜炎の定量測定装置。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明は、放射線治療において必発する口内炎、粘膜炎等の光学的定量方法に関し、更に詳しくは、青紫色レーザー光の照射により誘導される反射光、自家蛍光の特性を指標として用いる、粘膜炎の定量的評価方法とその装置に関するものである。 【背景技術】 【0002】 放射線治療下においては口内炎、粘膜炎が必発する。しかしながら、かかる炎症・副作用の程度の評価は、通常、共通毒性基準(NCI−CTC;非特許文献1)に基づく医療者の主観的判断によってのみ行われているのが現実である。 かかる実情に鑑み、ここ10数年来、結腸組織、気管支、腺腫等へのレーザー光の照射により誘導される蛍光あるいは自家蛍光の分光分析に関する研究が展開され、その結果が蓄積されている(非特許文献2〜4)。また、種々の特定波長のレーザー照射下で、正常・健常組織と病巣・異常組織、悪性腫瘍等がそれぞれ発する多様な特定波長の蛍光の相異あるいは差異を、疾病の診断や鑑別に用いる技術が開発されつつある(特許文献1〜4)。 【特許文献1】特表平8−511179。 【特許文献2】特表平10−505167。 【特許文献3】特表2001−501727。 【特許文献4】特表2003−533674。 【非特許文献1】National Cancer Institute−Common Toxicity Criteria(NCI−CTC)、http://ctep.info.nih.gov/CTC3/default.htm。 【非特許文献2】Gastroenterology、99、150−157、1990。 【非特許文献3】Lasers in Surgery and Medicine、11(2)、99−105、1991。 【非特許文献4】J.Photochemistry and Photobiology、14(3)、219−230、1992。 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0003】 前述した通り、悪性腫瘍に対する放射線治療中に口内炎・粘膜炎が必発し、しかも、その程度が強い場合には当該治療の休止や中止を余儀なくされる症例が多発しているにも拘わらず、かかる副作用・口内炎の程度の評価や対処は、医療者の主観的判断にのみ未だ依存している。従って、客観的判断の基準や手段の確立は、極めて重要かつ急務の課題である。 本発明者は、上記課題を解決するため、放射線性口内炎の定量的評価を確立する目的を以て、種々の試行錯誤及び研究を重ねた結果、特定波長のレーザー光の照射により誘導される特定波長の反照光の特性を指標として用いることにより、口内炎・粘膜炎の定量的評価に成功した。 【課題を解決するための手段】 【0004】 この発明は、「波長の中心が350〜470nm範囲にある青紫色レーザー光を口内炎患部に照射すると、被照射組織が、波長の中心が750〜870nm範囲及び440〜560nm範囲にある反照光(又は反射光)を発し、しかも、かかる反照光の強度が口内炎の重症度と進行度に応じて増加する」という実に驚くべき現象の発見に基づくものであり、更に、絶え間ない創意工夫と勤勉を重ね完成された。 【0005】 この発明によれば、前述の課題を解決するための手段として、次の(1)〜(7)がそれぞれ提供される。 【0006】 (1)青紫色レーザー光を粘膜炎患部に照射し、その粘膜炎患部から放射される波長中心が440〜560nm範囲にある反照光とその強度を検出し、該反照光の強度を指標として用いる粘膜炎の定量的評価方法。 【0007】 (2)青紫色レーザー光を粘膜炎患部に照射し、その粘膜炎患部から放射される波長中心が750〜870nm範囲にある反照光とその強度を検出し、該反照光の強度を指標として用いる粘膜炎の定量的評価方法。 【0008】 (3)上記(1)及び(2)の両反照光の強度を指標として用いる粘膜炎の定量的評価方法。 【0009】 (4)青紫色レーザー光の波長中心が350〜470nm範囲にある、上記(1)〜(3)のいずれかの粘膜炎の定量的評価方法。 【0010】 (5)反照光の強度が反照光の一次元ピーク値及び/又は反照光ピークの縦横二次元の積分値である、上記(1)〜(4)のいずれかの粘膜炎の定量的評価方法。 【0011】 (6)青紫色レーザー光の光源と、該レーザー光が照射された粘膜炎患部からの反照光を受光しその強度を検出する受光装置とを備え、該反照光の強度から粘膜炎を定量測定する装置。 【0012】 (7)粘膜炎が口内炎である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の定量的評価方法、又は上記(6)の粘膜炎の定量測定装置。 【発明の効果】 【0013】 (1)悪性腫瘍に対する放射線治療において必発する口内炎・粘膜炎の定量的かつ客観的評価が可能になるので、放射線医療とその副作用の予防に係る効果・精度・信用度等を高め、医療機関や医療従事者等に多大に貢献する。 (2)放射線療法の患者には、副作用の被害や苦痛からの回避・予防等の安心と安全が実現され、待望の福音をもたらす。 【発明を実施するための最良の形態】 【0014】 この発明の実施の形態に関し、次の通り説明する: 本明細書に記載の「反照光」とは、青紫色レーザー光を粘膜炎患部に照射すると、その照射下で誘導ないしは励起され、該粘膜患部から放射される光を意味する。尚、この発明は、青紫色レーザー光の照射下で被照射組織が放射する上記「反照光」の特性を利用するものであり、本明細書ではかかる「反照光」を、反射光、蛍光、又は自家蛍光と表記することがある。また、この発明に係る「定量的評価」を以下、単に「蛍光診断」と略称することがある。 【0015】 (1)青紫色レーザー光の波長 本発明で用いることができる青紫色レーザー光は、その波長の中心が約350nm〜約470nm、望ましくは約380nm〜450nm、更に望ましく約400nm〜約420nmである。 【0016】 (2)反照光の波長 本発明では次の(a)と(b)、2種類の反照光を各単独で又は両者を組合せて用いることができる:(a)波長の中心が約750nm〜約870nm、望ましくは約780nm〜840nm、更に望ましく約800nm〜約820nmである反照光;及び(b)波長の中心が約440nm〜約560nm、望ましくは約470nm〜530nm、更に望ましく約490nm〜約510nmである反照光 【0017】 (3)青紫色レーザー光の照射位置 青紫色レーザー光の照射プローブ先端の位置(照射位置)は、反照光測定プローブ(又は反射光測定プローブ)による反照光の受光を妨げない限り、適宜、設定できる。しかし、反照光プローブの受光感度に見合った反照光量の確保を考慮し、下記の反照光の測定位置に隣接した位置からの照射が望ましい。 【0018】 (4)反照光の測定位置 粘膜炎患部表面から垂直(90°)に約10mm〜約30mmの距離、望ましくは約20mmの距離に反照光測定プローブ先端を配置する。例えば、口底扁平上皮癌患者の放射線性口内炎の測定位置は、口角より下顎平面に平行に約10mm〜約20mmの位置、望ましくは約15mmの位置の頬粘膜であり、該粘膜から垂直(90°)に約10mm〜約30mmの距離、望ましくは約20mmの距離に反照光測定プローブ先端を配置する。 以下、実施例を挙げ、この発明の構成と効果を具体的に説明する。但し、この発明は、これ等の実施例だけに制限されるわけではない。 【0019】 (5)粘膜炎定量装置 粘膜炎定量装置には、例えば、次のパーツが必要である:波長中心が350〜470nm範囲にある青紫色レーザー光の光源と照射プローブ、反照光測定プローブ又は反射光測定プローブ、分光器、分光光度計、波長中心が440〜560nm範囲にある反照光の一次元ピーク値の算出用ソフトウェア、波長中心が750〜870nm範囲にある反照光ピークの縦横2次元の積分算出用ソフトウェア等。尚、これ等のパーツは市販のものを組合せて用いることができる。また、粘膜炎定量装置は、これ等のパーツをコンパクトに統合かつ搭載することにより作製される単体として提供することができる。 【実施例1】 【0020】 青紫色レーザー光による粘膜炎の定量的評価(1) 評価対象とした右側口底扁平上皮癌(T4N2bM0)患者に対する外部放射線治療は、通常分割照射、70Gy/35fractions/71daysにより行った。かかる放射線治療中に発症の粘膜炎につき、定量的評価を行った。尚、比較対照として、従来のNCI−CTCに基づく評価(粘膜炎Grade 0〜4)を併用した。 先ず波長中心が400〜420nm範囲にある青紫色レーザー光を粘膜炎患部に照射し、その被照射患部が発する反照光(波長中心が800〜820nm範囲にある蛍光)ピークの縦横2次元の積分値を計測することにより、粘膜炎の定量的評価を行った。 上記レーザー光の光源には、青紫色レーザーダイオード[日亜化学工業社(日本)製]を用いた。反射光は、反射光測定プローブ[R400−7−UV−VIS;Ocean Optics社(米国)製]を測定面(口腔内頬患部)に90°に配置して測定の後、超小型スペクトロメータ[USB2000;Ocean Optics社(米国)製]及び計測用ソフトウェア[Base32;Ocean Optics社(米国)製]を用いて蛍光波長を分析すると共に、上記の積分値を算出し、蛍光強度とした。 尚、上記の測定部位は、臨床的に粘膜炎が現れる部位とし、口角から下顎平面に平行に15mmの位置の頬粘膜とした。また、上記の青紫レーザダイオードは徳島大学大学院倫理委員会による使用承認済みを用いた。 その結果、20Gy〜26Gyの期間はGrade 2、28Gy〜70Gyの期間はGrade 3であった。これに対し、本発明に係る定量的評価(蛍光診断)では、放射線の照射開始前の反照光強度を100%とすると、20Gy照射時点では190%、更に50Gy照射時には300%まで上昇、そして、70Gy照射の時点での上昇は370%に達した。 上述結果に基づき、青紫色レーザー光を用いる蛍光診断(反照光診断)により、放射線性口内炎の重症度と進行度の両者の非侵襲的かつ定量的評価が可能であることが確認された。 【実施例2】 【0021】 測定距離の決定 被験者は健常な女性、28歳、基礎疾患や粘膜疾患はなく、口内炎も認められない。測定距離を5、10、15、及び20mmとし,それぞれの距離において実施例1の記載と同様にして各10回測定した。前記の計測用ソフトウェアによる反射光(波長中心が800〜820nm範囲にある蛍光)ピークの縦横2次元の積分値は次の通りであつた:
5mm 10mm 15mm 20mm 平均値 19660 9338 5711 3625 標準偏差 3186 1696 1292 468
その結果、5mm〜15mmでは、測定時の微妙な距離の誤差による測定値の変動が大きく、また、測定距離が20mmを超えると受光量あるいは測定値の過小化が予想されるため、測定面から垂直(90°)に20mmの位置を至適測定距離とした。 【実施例3】 【0022】 青紫色レーザー光による粘膜炎の定量的測定位置 実施例1と2の結果に基づき、青紫色レーザー光による粘膜炎の定量的測定には、爾後、口角より下顎平面に平行に約15mmの位置の頬粘膜で、該粘膜から垂直(90°)に約20mmの距離にプローブを配置し測定することとした. 【実施例4】 【0023】 青紫色レーザー光による粘膜炎の定量的評価(2) 実施例1に記載の定量において、波長中心が490〜510nm範囲にある反照光ピークの1次元の高さを計測することにより、粘膜炎の定量的評価を行った。その結果、20Gy〜26Gyの期間はGrade 2、28Gy〜70Gyの期間はGrade 3であった。これに対し、本発明に係る定量的評価(蛍光診断)では、放射線の照射開始前の反照光強度を100%とすると、10Gy照射時点では150%、更に20Gy照射時には260%まで上昇、そして、30Gy照射の時点での上昇は320%に達した。尚、放射線照射終了から14日後には130%に低下した。 上述結果に基づき、青紫色レーザー光を用いる蛍光診断(反照光診断)により、放射線性口内炎の重症度と進行度の両者の非侵襲的かつ定量的評価が可能であることが確認された。 【産業上の利用可能性】 【0024】 歯学・医学・獣医学分野の口内炎、粘膜炎の診断、予防、治療等に有用である。また、上記分野の医療機器・装置メーカー、販売店、代理店等の営業に寄与する。その規模は世界レベルが見込まれる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】304020292 【氏名又は名称】国立大学法人徳島大学
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| 【出願日】 |
平成18年6月28日(2006.6.28) |
| 【代理人】 |
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| 【公開番号】 |
特開2008−5984(P2008−5984A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月17日(2008.1.17) |
| 【出願番号】 |
特願2006−178286(P2006−178286) |
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