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【発明の名称】 画像表示装置
【発明者】 【氏名】守屋 禎之

【要約】 【課題】ユーザに複数の医用画像それぞれに示された病巣などの変化を確実に認識させることができる画像表示装置を提供する。

【構成】被写体を撮影した複数の医用画像それぞれに対し、注目領域を設定する注目領域設定部と、注目領域設定部によって設定された複数の注目領域それぞれに対応した複数の画像部分相互の差分を表わす差分画像を生成する差分画像生成部と、複数の画像部分を互いに並べて表示するとともに差分画像も表示する画像表示部とを備えた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮影した複数の医用画像それぞれに対し、注目領域を設定する注目領域設定部と、
前記注目領域設定部によって設定された複数の注目領域それぞれに対応した複数の画像部分相互の差分を表わす差分画像を生成する差分画像生成部と、
前記複数の画像部分を互いに並べて表示するとともに前記差分画像も表示する画像表示部とを備えたことを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記注目領域設定部は、前記複数の医用画像のうちの一部の医用画像に対しては、操作に応じた領域を前記注目領域として設定し、その一部の医用画像を除く他の医用画像に対しては、その操作に応じた領域に対応する領域を見つけて前記注目領域として設定するものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項3】
前記注目領域設定部で設定された複数の領域間における画像の位置ずれを補正する位置ずれ補正部を備え、
前記差分画像生成部が、前記位置ずれ補正部によって位置ずれが補正された画像を用いて前記差分画像を生成するものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項4】
前記差分画像生成部は、前記差分画像を生成するとともに、該差分画像とは濃度が反転した反転画像も生成するものであり、
前記画像表示部は、前記差分画像と前記反転画像とを並べて表示するものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項5】
前記画像表示部は、前記医用画像を表示するとともに、その医用画像中の注目領域に並べて、他の医用画像に設定された注目領域の画像部分を表示するものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項6】
前記複数の医用画像は、同一被写体について異なる時期に撮影されたものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項7】
前記医用画像は、前記被写体を所定方向に沿って複数の切断位置で切断したときの断面画像群を構成する1つの断面画像に相当するものであり、
前記複数の医用画像は、別々の断面画像群を構成する、互いに切断位置が共通の複数の断面画像からなるセットに相当するものであり、
前記注目領域設定部は、前記複数の切断位置それぞれにおける複数のセットのうち1つのセット中の断面画像に対して前記注目領域を設定するとともに、他のセット中の断面画像に対しては、その設定された領域に対応する領域を前記注目領域として設定するものであり、
前記画像表示部は、一時には1つのセットについて、該セット中の複数の断面画像それぞれの注目領域の画像部分と、該画像部分相互の差分画像とを並べて表示するとともに、変更操作を受けて、別のセット中の複数の断面画像それぞれの注目領域の画像部分と、該画像部分相互の差分画像とを並べて表示するものであることを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【請求項8】
前記画像表示部に表示された差分画像の階調を操作に応じて調整する階調調整部を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮影した医用画像を表示する画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野においては、放射線等を使って被験者の体内を撮影した医用画像を、被験者の病状の診断等に利用することが広く行われている。医用画像を診断に利用することにより、被験者に外的なダメージを与えることなく、被験者の病状の進行状態などを把握することができ、治療方針の決定などに必要な情報を手軽に得ることができる。
【0003】
また、近年では、放射線を使ってデジタルの医用画像を得るCR(Computed Radiography)装置や、放射線を使って被験者の断層像を得るCT装置(Computerized Tomography)、および強磁場を使って被験者の断層像を得るMRI装置(Magnetic Resonance Imaging)などが広く用いられてきており、従来のX線フィルム等を使った医用画像に替えて、デジタルの医用画像が一般的に利用されてきている。医用画像のデジタル化によって、被験者の医用画像をデジタル化されたカルテなどと一緒にまとめて管理し、それらをネットワークを介して複数の病院等で共有することができ、診療部門や病院が変わっても、それまでの病歴が示された医用画像やカルテを流用することができる。
【0004】
また、医用画像がデジタル化されたことにより、医用画像に画像処理を施すことが容易となり、同一の被験者について異なる時期に撮影された複数の医用画像をモニタ上に並べて表示したり、医用画像上の、病巣と推測される注目領域の画像部分を切り出してモニタ上に拡大表示することなども行われてきている。しかし、複数の医用画像を並べて表示したり、それらの注目領域の画像部分を拡大表示しても、病巣の増減が僅かである場合などには、その変化がわかりにくいという問題がある。
【0005】
この点に関し、特許文献1には、複数の医用画像相互の差分を表わす差分画像をモニタ上に表示する技術について記載されている。モニタ上に表示された差分画像を確認することにより、医師や被験者は、病巣の増減の程度を容易に確認することができる。
【0006】
しかし、相互に異なる時期に、ぴったりと同じ位置で被験者を撮影することは大変困難であり、特許文献1に記載された技術では、複数の医用画像相互間の被験者の位置の微妙なずれが差分画像に表れてしまって、病巣の変化による差分と、位置ずれによる差分とが混在してしまうという問題がある。
【0007】
また、特許文献2には、複数の画像間の位置を合わせる方法について記載されている。特許文献2に記載された技術を使って複数の医用画像それぞれの位置を合わせてから差分画像を生成することにより、位置ずれなどが差分画像に表れてしまう不具合を軽減することができる。
【特許文献1】特開2004−96417号公報
【特許文献2】特開平6−175245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1および特許文献2に記載された技術を適用しても、位置ずれ補正処理だけでは補正することが困難な被験者の姿勢の微妙なずれや、被験者の体格の変化などが差分画像に表れてしまうため、結局は、差分画像には、病巣の変化だけではなく、各種要因による差分が混在してしまう。このため、差分画像を確認したり、複数の医用画像を見比べても病巣の変化がわかりにくい。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、ユーザに複数の医用画像それぞれに示された病巣などの変化を確実に認識させることができる画像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する本発明の画像表示装置は、被写体を撮影した複数の医用画像それぞれに対し、注目領域を設定する注目領域設定部と、
注目領域設定部によって設定された複数の注目領域それぞれに対応した複数の画像部分相互の差分を表わす差分画像を生成する差分画像生成部と、
複数の画像部分を互いに並べて表示するとともに差分画像も表示する画像表示部とを備えたことを特徴とする。
【0011】
本発明の画像表示装置によると、複数の医用画像それぞれに対して注目領域が設定されると、それら複数の注目領域に対応した複数の画像部分が並べて表示されるとともに、それら複数の画像部分相互の差分を表わす差分画像も表示される。ユーザは、複数の画像部分を比較することによって、それらの大まかな変化を認識することできるとともに、差分画像を確認することによって、複数の画像部分を見比べるだけでは気づきにくい詳細な相違箇所も確実に認識することができる。
【0012】
また、本発明の画像表示装置において、上記注目領域設定部は、複数の医用画像のうちの一部の医用画像に対しては、操作に応じた領域を注目領域として設定し、その一部の医用画像を除く他の医用画像に対しては、その操作に応じた領域に対応する領域を見つけて注目領域として設定するものであることが好適である。
【0013】
本発明の好適な画像表示装置によると、複数の医用画像それぞれに対して逐一注目領域を操作する手間を省くことができる。
【0014】
尚、「操作に応じた領域に対応する領域」は、単に、操作に応じた領域と同じ座標の領域であってもよく、画像マッチング処理などによって位置合わせを行った領域であってもよい。
【0015】
また、本発明の画像表示装置において、
「上記注目領域設定部で設定された複数の領域間における画像の位置ずれを補正する位置ずれ補正部を備え、
差分画像生成部が、位置ずれ補正部によって位置ずれが補正された画像を用いて差分画像を生成するものである」
という形態も好ましい。
【0016】
従来から、複数の画像相互間の位置ずれを補正する画像マッチング処理が広く知られている。この画像マッチング処理などを使って位置ずれが補正された後の画像を用いて差分画像を生成することにより、ユーザに、複数の画像部分相互の相違箇所を正確に認識させることができる。
【0017】
また、本発明の画像表示装置において、
「上記差分画像生成部は、差分画像を生成するとともに、差分画像とは濃度が反転した反転画像も生成するものであり、
画像表示部は、差分画像と反転画像とを並べて表示するものである」
という形態が好ましい。
【0018】
差分画像と反転画像とが並べて表示されることにより、複数の画像相互間で増加した部分と減少した部分との双方を確実に認識することができる。
【0019】
また、本発明の画像表示装置において、上記画像表示部は、医用画像を表示するとともに、その医用画像中の注目領域に並べて、他の医用画像に設定された注目領域の画像部分を表示するものであることが好ましい。
【0020】
医用画像中の注目領域に並べて、他の医用画像に設定された注目領域の画像部分が表示されることによって、それら注目領域の、医用画像中の位置を認識することができる。
【0021】
また、本発明の画像表示装置において、複数の医用画像は、同一被写体について異なる時期に撮影されたものであることが好適である。
【0022】
本発明の好適な画像表示装置によると、被写体の病巣の大きさの変化などを容易に認識することができる。
【0023】
また、本発明の画像表示装置において、
「上記医用画像は、被写体を所定方向に沿って複数の切断位置で切断したときの断面画像群を構成する1つの断面画像に相当するものであり、
上記複数の医用画像は、別々の断面画像群を構成する、互いに切断位置が共通の複数の断面画像からなるセットに相当するものであり、
上記注目領域設定部は、複数の切断位置それぞれにおける複数のセットのうち1つのセット中の断面画像に対して注目領域を設定するとともに、他のセット中の断面画像に対しては、その設定された領域に対応する領域を前記注目領域として設定するものであり、
上記画像表示部は、一時には1つのセットについて、そのセット中の複数の断面画像それぞれの注目領域の画像部分と、それら画像部分相互の差分画像とを並べて表示するとともに、変更操作を受けて、別のセット中の複数の断面画像それぞれの注目領域の画像部分と、画像部分相互の差分画像とを並べて表示するものである」
という形態が好ましい。
【0024】
表示するセットを操作に応じて変更することによって、ユーザは、様々な切断位置における画像部分や差分画像を容易に確認することができ、病巣の立体的な形状や大きさなどを認識することができる。
【0025】
また、本発明の画像表示装置において、上記画像表示部に表示された差分画像の階調を操作に応じて調整する階調調整部を備えたことが好ましい。
【0026】
差分画像の階調を調整することにより、画像部分の相違点を見落とすことなく発見することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、ユーザに複数の医用画像それぞれに示された病巣などの変化を確実に認識させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態が適用された医療診断システムの概略構成図である。
【0030】
図1に示す医療診断システムは、被験者の体内を撮影して医用画像を生成する画像生成装置10と、医用画像やカルテなどを保存する管理サーバ20と、医用画像を表示する診断装置30とで構成されており、画像生成装置10と管理サーバ20、および管理サーバ20と診断装置30は、ネットワーク回線を介して接続されている。
【0031】
この医療診断システムでは、初診の被験者に対して、各被験者を識別するための識別番号が割り当てられ、その識別番号と、被験者の氏名や年齢や病歴などが示されたカルテとが対応付けられて管理サーバ20に登録される。
【0032】
画像生成装置10には、被写体に放射線を照射し、被写体を透過してきた放射線を読み取ってデジタルの医用画像を生成するCR装置11や、強磁場と電波とを使って被写体の断層画像を生成するMRI装置12や、放射線を使って被写体の断層画像を生成するCT装置(図示しない)や、超音波のエコーを読み取って医用画像を生成する超音波装置(図示しない)などが含まれる。画像生成装置10で生成された医用画像は、その医用画像の被写体である被験者を識別する識別番号とともに管理サーバ20に送られる。
【0033】
管理サーバ20は、画像生成装置10から医用画像と識別番号とが送られてくると、その医用画像を識別番号と対応付けて記憶する。すなわち、管理サーバ20には、識別番号と、その識別番号が割り当てられた被験者のカルテと、被験者の医用画像とが対応付けられて登録される。
【0034】
診断装置30は、外観構成上、本体装置31、その本体装置31からの指示に応じて表示画面32a上に画像を表示する画像表示装置32、本体装置31に、キー操作に応じた各種の情報を入力するキーボード33、および、表示画面32a上の任意の位置を指定することにより、その位置に表示された、例えばアイコン等に応じた指示を入力するマウス34を備えている。
【0035】
ユーザが診断装置30のマウス34等を使って被験者の氏名や識別番号などを入力すると、その入力内容が管理サーバ20に伝えられる。管理サーバ20は、診断装置30から伝えられた被験者の氏名や識別番号と対応付けられた医用画像とカルテを診断装置30に向けて送る。診断装置30では、表示画面32a上に、管理サーバ20から送られてきた医用画像が表示される。診断装置30の表示画面32a上に表示された医用画像を確認することにより、ユーザは、被験者に外的なダメージを与えることなく、被験者の病状を診断することができる。
【0036】
ユーザは、診断装置30の表示画面32aに表示された医用画像を見て被験者の病状を診断し、マウス34やキーボード33を使ってカルテを編集する。編集後のカルテは、管理サーバ20に送られ、管理サーバ20に記憶されているカルテが診断装置30から送られてきた新たなカルテに更新される。
【0037】
図1に示す医療診断システムは、基本的には以上のように構成されている。
【0038】
ここで、医療診断システムにおける本発明の一実施形態としての特徴は、診断装置30で実行される処理内容にある。以下、診断装置30について詳しく説明する。
【0039】
図2は、診断装置30のハードウェア構成図である。
【0040】
診断装置30の本体装置31の内部には、図2に示すように、各種プログラムを実行するCPU301、ハードディスク装置303に格納されたプログラムが読み出されCPU301での実行のために展開される主メモリ302、各種プログラムやデータ等が保存されたハードディスク装置303、FD41が装填され、そのFD41をアクセスするFDドライブ304、CD−ROM42をアクセスするCD−ROMドライブ305、管理サーバ20から画像データ等を受け取り、管理サーバ20に各種指示データを送るI/Oインタフェース306が内蔵されており、これらの各種要素と、さらに図1にも示す画像表示装置32、キーボード33、マウス34は、バス307を介して相互に接続されている。
【0041】
ここで、CD−ROM42には、診断装置30内に本発明の画像表示装置の一実施形態を構築するための医用画像表示プログラム100(図3参照)が記憶されている。
【0042】
図3は、CD−ROM42を示す概念図である。
【0043】
図3に示すように、CD−ROM42に記憶された医用画像表示プログラム100は、画像取得部110、注目領域指定部120、注目領域設定部130、位置ずれ補正部140、差分画像生成部150、切断位置切替部160、画像表示部170、および階調調整部180で構成されている。
【0044】
CD−ROM42は、診断装置30のCD−ROMドライブ305に装填され、CD−ROM42に記憶された医用画像表示プログラム100が診断装置30にアップロードされてハードディスク装置303に記憶される。そして、この医用画像表示プログラム100が起動されて実行されることにより、診断装置30内に本発明の画像表示装置の一実施形態である医用画像表示装置200(図4参照)が構築される。
【0045】
尚、上記では、医用画像表示プログラム100を記憶する記憶媒体としてCD−ROM42が例示されているが、医用画像表示プログラム100を記憶する記憶媒体はCD−ROMに限られるものではなく、それ以外の光ディスク、MO、FD、磁気テープなどの記憶媒体であってもよい。また、医用画像表示プログラム100は、記憶媒体を介さずに、I/Oインタフェース306を介して直接に診断装置30に供給されるものであってもよい。
【0046】
医用画像表示プログラム100の各部の詳細については、医用画像表示装置200の各部の作用と一緒に説明する。
【0047】
図4は、医用画像表示装置200の機能ブロック図である。
【0048】
医用画像表示装置200は、画像取得部210と、注目領域指定部220と、注目領域設定部230と、位置ずれ補正部240と、差分画像生成部250と、切断位置切替部260と、画像表示部270と、および階調調整部280とを有している。
【0049】
医用画像表示装置200を構成する、画像取得部210と、注目領域指定部220と、注目領域設定部230と、位置ずれ補正部240と、差分画像生成部250と、切断位置切替部260と、画像表示部270と、階調調整部280は、図3の医用画像表示プログラム100を構成する、画像取得部110、注目領域指定部120、注目領域設定部130、位置ずれ補正部140、差分画像生成部150、切断位置切替部160、画像表示部170、および階調調整部180にそれぞれ対応する。
【0050】
図4の各要素は、コンピュータのハードウェアとそのコンピュータで実行されるOSやアプリケーションプログラムとの組合せで構成されているのに対し、図3に示す医用画像表示プログラム100の各要素はそれらのうちのアプリケーションプログラムのみにより構成されている点が異なる。
【0051】
図5は、図4に示す医用画像表示装置200において、管理サーバ20から医用画像を取得し、その取得した医用画像を表示するまでの一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【0052】
以下、図5のフローチャートに従って、図4に示す医用画像表示装置200の各要素の動作について説明することによって、図3に示す医用画像表示プログラム100の各要素も併せて説明する。
【0053】
ユーザが図1に示すマウス34やキーボード33を使って、診断を行う被験者の氏名や識別番号を入力すると、その入力内容が図2のI/Oインタフェース306を介して管理サーバ20に伝えられる。管理サーバ20では、診断装置30から伝えられた氏名や識別番号と対応付けられた医用画像とカルテが診断装置30に向けて送られる。
【0054】
管理サーバ20から送られてきた医用画像は、図4に示す画像取得部210で取得される(図5のステップS1)。
【0055】
図6は、管理サーバ20から送られてくる医用画像のイメージを示す図である。
【0056】
図1に示すMRI装置12では、被写体Pを胸から足の付け根まで複数の切断位置X0〜Xnで切断したときの各断面が撮影される。本実施形態では、相互に異なる時期に、MRI装置12を使って同じ被写体Pが2度撮影され、それら各撮影において、複数の断面画像で構成される断面画像群310,320が生成されて、管理サーバ20に記憶されている。画像取得部210では、これら2回分の断面画像群310,320が取得され、取得された断面画像群310,320が画像表示部270、および注目領域設定部230に伝えられる。
【0057】
画像表示部270は、画像取得部210から伝えられた断面画像群310,320が含まれた断面画像表示画面410(図7参照)を図1に示す表示画面32a上に表示する。画像表示部270は、本発明にいう画像表示部の一例に相当する。
【0058】
図7は、断面画像表示画面の一例を示す図である。
【0059】
図7に示す断面画像表示画面410には、断面画像群310,320を構成する断面画像のうち、1つの切断位置X0における断面画像310_X0,320_X0が表示されており、さらに、それら断面画像310_X0,320_X0の切断位置や、撮影日や、被験者名などが表示されている。
【0060】
2つの断面画像310_X0,320_X0は、相互に異なる時期に、同じ被写体の同じ切断位置の断面が撮影された画像であり、それらを見比べることによって、病巣などの変化を確認することができるが、病巣の増減が小さい場合には、これらを見比べるだけでは変化が分かりにくいという問題がある。
【0061】
本実施形態の医用画像表示装置200では、まず、断面画像310_X0,320_X0上の、病巣であると思われる注目領域が以下のように設定される(図5のステップS2)。ユーザが断面画像表示画面410中の断面画像310_X0,320_X0を確認し、図1に示すマウス34を使って、断面画像310_X0,320_X0のうちの一方の画像上で病巣であると推測される注目部分をクリックすると、図4に示す注目領域指定部220から注目領域設定部230に、クリックされた位置の情報が伝えられる。
【0062】
注目領域設定部230は、断面画像310_X0,320_X0のうちの、注目部分が指定された画像については、その指定された注目部分を中心として所定の範囲内の領域を注目領域と仮決定し、注目部分が指定されなかった画像については、他方の画像に対して仮決定された注目領域と同じ位置の領域を注目領域に仮決定する。注目領域設定部230は、本発明にいう注目領域設定部の一例に相当する。仮決定された注目領域の位置は、画像表示部270に伝えられる。
【0063】
尚、図5のステップS2において、ユーザが、断面画像表示画面410中の断面画像310_X0,320_X0双方の画像上でそれぞれに注目部分を指定した場合には、その指定された注目部分それぞれに基いて注目領域が仮決定される。
【0064】
画像表示部270は、図7に示す断面画像表示画面410上の、注目領域設定部230で仮決定された注目領域を枠で取り囲む。
【0065】
図8は、注目領域が枠で取り囲まれた断面画像表示画面410の一例を示す図である。
【0066】
図8に示すように、断面画像表示画面410の断面画像310_X0,320_X0は、注目領域として仮決定された領域が枠Rで取り囲まれている。枠Rで囲まれた領域に病巣が含まれていない場合などには、ユーザは、図1に示すマウス34等を使って、枠Rの位置を調整する。ユーザが決定ボタン411を押すと、注目領域指定部220から注目領域設定部230に、現時点で、枠Rで取り囲まれた領域の位置が伝えられる。
【0067】
注目領域設定部230は、断面画像310_X0,320_X0に対して、注目領域指定部220から伝えられた位置を注目領域に決定するとともに、それら断面画像310_X0,320_X0が含まれる断面画像群310,320中の全ての断面画像に対して、決定された注目領域と同じ位置の領域を注目領域に決定する。決定された注目領域の位置と、断面画像群310,320は、位置ずれ補正部240に伝えられる。
【0068】
位置ずれ補正部240は、現時点で表示されている切断位置X0の断面画像310_X0,320_X0のセットに対し、そのセット中の断面画像310_X0,320_X0それぞれに設定された注目領域の画像部分を切り出して(以下では、切り出した画像を切出画像と称する)、それら切出画像の位置ずれを補正する(図5のステップS3)。位置ずれ補正部240は、本発明にいう位置ずれ補正部の一例に相当する。画像間の位置ずれを補正する技術については、複数の画像間の位置ずれを補正する画像マッチング処理といった技術が従来から広く知られているため、本明細書では、詳細な説明を省略する。位置ずれが補正された切出画像は、画像表示部270および差分画像生成部250に伝えられる。
【0069】
差分画像生成部250では、位置ずれ補正部240から伝えられた2つの切出画像のうち、撮影日の新しい断面画像310_X0の切出画像から撮影日の古い断面画像320_X0の切出画像を引いた差分画像と、逆に、撮影日の古い断面画像320_X0の切出画像から撮影日の新しい断面画像310_X0の切出画像を引いた反転画像とを生成し、生成した差分画像と反転画像を画像表示部270に伝える。差分画像生成部250は、本発明にいう差分画像生成部の一例に相当する。
【0070】
画像表示部270は、図8に示す断面画像表示画面410上に、位置ずれ補正部240から伝えられた2つの切出画像を並べて表示するとともに、差分画像生成部250から伝えられた差分画像と反転画像も並べて表示する(図5のステップS4)。
【0071】
図9は、切出画像、差分画像、および反転画像が表示された断面画像表示画面410の一例を示す図である。
【0072】
図9に示す断面画像表示画面410には、同じ切断位置X0の断面画像310_X0,320_X0が表示されており、さらに、それら断面画像310_X0,320_X0それぞれにおける注目領域Rが切り出された切出画像511_X0,512_X0と、それら切出画像511_X0,512_X0の差分画像521_X0と、差分画像521_X0の濃度が反転した反転画像522_X0が並べて表示されている。切出画像511_X0,512_X0が並べて表示されることによって、病巣の大まかな変化を容易に確認することができる。また、差分画像521_X0は、病巣の増加した部分が黒く表示され、病巣の減少した部分が白く表示されており、反転画像522_X0は、差分画像521_X0とは逆に、病巣の減少した部分が黒く表示され、病巣の増加した部分が白く表示されている。人間にとっては、画像中の白い部分よりも黒い部分の方が認識が容易であり、差分画像521_X0と反転画像522_X0との双方が表示されることによって、病巣の増加と減少との双方を容易に確認することができる。この例では、差分画像521_X0の黒く表示された部分を確認することにより、病巣の増加程度を容易に確認することができ、反転画像522_X0の黒く表示された部分を確認することにより、病巣の減少程度を容易に確認することができる。
【0073】
また、マウス34の右ボタンをクリックすると、差分画像521_X0および反転画像522_X0の階調を表わす階調曲線が表示される。ユーザがマウス34を使って階調曲線を補正すると、補正後の階調曲線が図4の階調調整部280から画像表示部270に伝えられる(図5のステップS5:Yes)。階調調整部280は、本発明にいう階調調整部の一例に相当する。
【0074】
画像表示部270は、差分画像521_X0と反転画像522_X0の階調を階調調整部280から伝えられた階調曲線に従って補正し、補正後の差分画像521_X0と反転画像522_X0を断面画像表示画面410上に表示しなおす(図5のステップS6)。
【0075】
図10は、階調が調整された差分画像のイメージを示す図である。
【0076】
図10のパート(A)に示すように、階調調整前の差分画像521_X0は、切出画像511_X0,512_X0の差分が「0」に近く、病巣の変化が少ないグレー表示部分と、病巣が増加した黒表示部分との濃度が近いため、それらの差が見た目にわかりにくい。階調曲線を調整して、グレー表示部分の濃度を下げることにより、図10のパート(B)に示すように、黒表示部分が認識しやすくなり、病巣の増加を確実に発見することができる。
【0077】
図9に示す表示の状態で、ユーザがマウス34のホイールを回すと、図4に示す切断位置切替部260から位置ずれ補正部240に切断位置の切り替えが指示される(図5のステップS7:Yes)。
【0078】
位置ずれ補正部240は、現時点で表示されている断面画像310_X0,320_X0のセットの切断位置X0から、ホイールの回転量に応じた距離だけ、ホイールの回転方向に応じた方向に離れた切断位置Xmの断面画像310_Xm,320_Xmのセットにおける切出画像を生成し、それら切出画像間の位置ずれを補正する(図5のステップS3)。位置ずれが補正された2つの切出画像は、差分画像生成部250と画像表示部270に伝えられ、差分画像生成部250では、2つの切出画像を使って差分画像と反転画像とが生成され、画像表示部270では、切出画像、差分画像、反転画像が断面画像表示画面410上に表示される(図5のステップS4)。
【0079】
図11は、切断位置X1における切出画像、差分画像、および反転画像が表示された断面画像表示画面410の一例を示す図である。
【0080】
この例では、図5のステップS7において、ユーザによって切断位置を1つ分だけ先に進めるようにマウス34のホイールが回転されており、図11では、図9に示す切断位置X0から1つ分だけ先に進んだ切断位置X1における断面画像310_X1,320_X1と、それら断面画像310_X1,320_X1の注目領域Rが切り出された切出画像511_X1,512_X1と、切出画像511_X1,512_X1の差分画像521_X1と、差分画像521_X1の反転画像522_X1とが表示されている。このように、ユーザの指示によって切断位置を切り替えて表示することによって、様々な切断位置で病巣を確認することができ、病巣の形や大きさ等を立体的に把握することができる。
【0081】
以上のように、本実施形態の医用画像表示装置200によると、ユーザに複数の医用画像それぞれに示された病巣などの変化を確実に認識させることができる。
【0082】
以上で、本発明の第1実施形態の説明を終了し、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第1実施形態と第2実施形態とでは、切出画像の表示方法のみが異なるため、同じ要素については同じ符号を付して説明を省略し、それらの相違点についてのみ説明する。
【0083】
本実施形態の医用画像表示装置では、図4に示す画像表示部270において、位置ずれ補正部240で生成された切出画像と、差分画像生成部250で生成された差分画像および反転画像とを表示する位置が第1実施形態とは異なる。
【0084】
図12は、切出画像、差分画像、および反転画像が表示された断面画像表示画面410´の一例を示す図である。
【0085】
第1実施形態の断面画像表示画面410では、図9に示すように、断面画像310_X0,320_X0に重ならないように、切出画像511_X1,512_X1、差分画像521_X1、および反転画像522_X1が表示されていたが、図12に示すように、本実施形態の断面画像表示画面410´では、断面画像310_X0,320_X0が表示されるとともに、一方の断面画像310_X0の注目領域Rの隣に、他方の断面画像320_X0の注目領域Rが切り出された切出画像512_X0が並べて表示されている。このように、一方の断面画像の注目領域Rに並べて、他方の断面画像の切出画像を表示することによって、断面画像上における注目領域Rの位置を確認しながら、2つの断面画像の注目領域Rを見比べることができる。
【0086】
ここで、上記では、2つの医用画像の差分画像を表示する例について説明したが,本発明にいう画像表示部は、3つ以上の医用画像相互の差分を表わす複数の差分画像を表示するものであってもよい。
【0087】
また、上記では、医用画像上でユーザが病巣と推測される注目領域を手動で指定する例について説明したが、本発明にいう注目領域設定部は、医用画像中の、サンプル画像と似ている画像パターンを有する領域を画像処理によって検索し、その検索された領域を注目領域として設定するものであってもよい。
【0088】
また、上記では、一方の画像部分から他方の画像部分を引くことによって差分画像を生成し、その逆に、引かれた側の画像部分から引いた側の画像部分を引くことによって反転画像を生成する例について説明したが、本発明にいう差分画像生成部は、複数の画像部分相互の差分を表わす差分画像を生成し、その差分画像の濃度を反転させることによって反転画像を生成するものであってもよい。
【0089】
また、上記では、本発明の画像表示装置を診断装置に適用する例について説明したが、本発明の画像表示装置は、管理サーバなどに適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の一実施形態が適用された医療診断システムの概略構成図である。
【図2】診断装置のハードウェア構成図である。
【図3】CD−ROMを示す概念図である。
【図4】医用画像表示装置の機能ブロック図である。
【図5】図4に示す医用画像表示装置において、管理サーバから医用画像を取得し、その取得した医用画像を表示するまでの一連の処理の流れを示すフローチャート図である。
【図6】管理サーバから送られてくる医用画像のイメージを示す図である。
【図7】断面画像表示画面の一例を示す図である。
【図8】注目領域が枠で取り囲まれた断面画像表示画面の一例を示す図である。
【図9】切出画像、差分画像、および反転画像が表示された断面画像表示画面の一例を示す図である。
【図10】階調が調整された差分画像のイメージを示す図である。
【図11】切断位置X1における切出画像、差分画像、および反転画像が表示された断面画像表示画面の一例を示す図である。
【図12】切出画像、差分画像、および反転画像が表示された断面画像表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0091】
10 画像生成装置
11 CR装置
12 MRI装置
20 管理サーバ
30 診断装置
31 本体装置
32 画像表示装置
33 キーボード
34 マウス
301 CPU
302 主メモリ
303 ハードディスク装置
304 FDドライブ
305 CD−ROMドライブ
306 I/Oインタフェース
100 医用画像表示プログラム
110 画像取得部
120 注目領域指定部
130 注目領域設定部
140 位置ずれ補正部
150 差分画像生成部
160 切断位置切替部
170 画像表示部
180 階調調整部
200 医用画像表示装置
210 画像取得部
220 注目領域指定部
230 注目領域設定部
240 位置ずれ補正部
250 差分画像生成部
260 切断位置切替部
270 画像表示部
280 階調調整部
【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100094330
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 正紀

【識別番号】100079175
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 佳男

【識別番号】100109689
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 結


【公開番号】 特開2008−536(P2008−536A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175302(P2006−175302)