| 【発明の名称】 |
X線CT装置、X線CT装置の制御方法、及びX線CT装置の制御プログラム |
| 【発明者】 |
【氏名】宮下 修
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| 【要約】 |
【課題】被検体の体動に影響されることなく造影剤濃度を監視して本スキャン開始のタイミングを計ることが可能なX線CT装置を提供する。
【構成】このX線CT装置は、造影剤濃度を監視するためにプレップスキャンを実行して監視用画像を取得する。変位方向算出部84は、監視用画像上に設定された固定ROI内のCT値の増減に基づいて、監視用画像上に設定された監視用ROIの位置を基準として、監視用ROIの新たな設定位置の方向を求める。移動量算出部85は、固定ROI内のCT値の変化量に基づいて、監視用ROIが設定された位置を基準として、監視用ROIの新たな設定位置までの距離を求める。CT値監視部7は、新たに設定された監視用ROI内のCT値を監視する。X線CT装置は、監視用ROI内のCT値が閾値以上になると、プレップスキャンを中止して本スキャンを開始する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視手段と、 前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御手段と、 前記監視用画像上であって、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算手段と、 を有し、 前記監視手段は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置。 【請求項2】 前記第2の関心領域のCT値の増減と移動方向とを対応付けて予め記憶するとともに、前記第2の関心領域内のCT値の変化量と移動距離とを対応付けて予め記憶する設定情報記憶手段を更に有し、 前記演算手段は、前記第2の関心領域のCT値の増減と、前記設定情報記憶手段に記憶されている前記移動方向の対応付けとに基づいて、前記第1の関心領域が設定された位置を基準位置として、前記第1の関心領域の新たな設定位置の方向を求め、さらに、前記第2の関心領域内のCT値の変化量と、前記設定情報記憶手段に記憶されている移動距離との対応付けとに基づいて、前記第1の関心領域が設定された位置を基準位置として、前記第1の関心領域の新たな設定位置までの距離を求めることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。 【請求項3】 前記第2の関心領域は、前記監視用画像の複数箇所に設定され、 前記演算手段は、各第2の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求めることを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。 【請求項4】 造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視手段と、 前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御手段と、 前記監視用画像から、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内の画像に類似した領域を検出し、その類似した領域の位置と、前記第1の関心領域の設定位置と前記第2の関心領域の設定位置との相対的な位置関係と、に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算手段と、 を有し、 前記監視手段は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置。 【請求項5】 造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域のCT値を監視する監視ステップと、 前記監視用画像上であって、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算ステップと、 前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するスキャンステップと、 を含み、 前記監視ステップでは、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御方法。 【請求項6】 前記演算ステップでは、 前記第2の関心領域のCT値の増減と、前記第2の関心領域のCT値の増減と移動方向との対応付けと、に基づいて、前記第1の関心領域が設定された位置を基準位置として、前記第1の関心領域の新たな設定位置の方向を求め、さらに、前記第2の関心領域内のCT値の変化量と、前記第2の関心領域内のCT値の変化量と移動距離との対応付けと、に基づいて、前記第1の関心領域が設定された位置を基準位置として、前記第1の関心領域の新たな設定位置までの距離を求めることを特徴とする請求項5に記載のX線CT装置の制御方法。 【請求項7】 造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視ステップと、 前記監視用画像から、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内の画像に類似した領域を検出し、その類似した領域の位置と、前記第1の関心領域の設定位置と前記第2の関心領域の設定位置との相対的な位置関係と、に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算ステップと、 前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するスキャンステップと、 を含み、 前記監視ステップでは、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御方法。 【請求項8】 造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域のCT値を監視する監視機能と、 前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御機能と、 前記監視用画像上であって、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算機能と、 をコンピュータに実行させ、 前記監視機能は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御プログラム。 【請求項9】 前記演算機能は、 前記第2の関心領域のCT値の増減に基づいて、前記第1の関心領域が設定された位置を基準位置として、前記第1の関心領域の新たな設定位置の方向を求め、さらに、前記第2の関心領域内のCT値の変化量に基づいて、前記第1の関心領域が設定された位置を基準位置として、前記第1の関心領域の新たな設定位置までの距離を求めることを特徴とする請求項8に記載のX線CT装置の制御プログラム。 【請求項10】 造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視機能と、 前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御機能と、 前記監視用画像から、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内の画像に類似した領域を検出し、その類似した領域の位置と、前記第1の関心領域の設定位置と前記第2の関心領域の設定位置との相対的な位置関係と、に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算機能と、 をコンピュータに実行させ、 前記監視機能は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御プログラム。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 この発明はX線CT装置に関し、特に、造影検査などの撮影において、所定のタイミングでスキャンすることで、造影材の陰影を含んだ画像を再構成する技術に関する。 【背景技術】 【0002】 いわゆる造影検査において、点滴又は血管注射によって被検体の血管内に注入された造影剤は血流に乗って体内を移動し、目的臓器に達する。造影剤が浸透する際の造影効果の有無もしくは程度の違いの観察、造影部位の形状の観察などにより、病変又は臓器の異常を発見することが可能になる。しかしながら、造影剤は流動性を有しており、血流に乗って迅速に移動して拡散するので、経過時間とともに目的臓器から流れ去ってしまう。このため、造影剤の濃度が減少し、造影効果が減少するという欠点がある。また、造影剤が目的の臓器に到達するまでの所要時間や造影効果の程度には個人差がある。 【0003】 X線CT装置の造影剤撮影では、造影剤注入後に造影剤が目的臓器に流入しているタイミングを計ってスキャン(以下、「本スキャン」と称する場合がある)を開始し、画像データを取得することが重要である。そのため、従来においては、次のような手法が採られている。 【0004】 すなわち、本スキャンの前に、造影剤が注入された被検体の関心領域の造影剤濃度の変化を観察するためのスキャン(以下、「プレップスキャン」と称する場合がある)を実行する。このプレップスキャンは、被検体のX線投影データを収集しながら同時に画像再構成を行い、スキャンを行ないながら画像を表示するスキャン方法である。そして、このプレップスキャンにより得られた画像に基づいて、関心領域の造影剤の濃度を判断し、造影剤濃度がある程度高くなった時点で、プレップスキャンを中止して本スキャンを開始することが行われている。関心領域の造影剤濃度は、撮影技師が判断する場合のほか、画像処理により自動的に判断することも行われている。 【0005】 また、造影剤濃度を自動的に判断する場合に、撮影技師などにより指定された関心領域内についてのCT値に基づいて造影剤濃度を判断することも行われている。さらには、自動的に判断した造影剤濃度が閾値以上になると、自動的に本スキャンを開始する機能(以下、「リアルプレップスキャン」と称する場合がある)も実現されている。 【0006】 被検体に造影剤を注入した直後においては、関心領域には造影剤は流入しないため、関心領域内におけるCT値は低い。さらに時間が経過すると、造影剤が関心領域に流入してCT値が変化(増加)する。この関心領域のCT値が所定の閾値を超えると、目的臓器にも造影剤が流入していると考えられ、この時点で本スキャンを開始するタイミング信号を発生するようにしている。これにより、自動的に本スキャンが開始され、造影剤が目的臓器に流入した時期に撮影を開始することが可能となる。 【0007】 ところが、関心領域内の画像に基づいて関心領域の造影剤濃度を自動判断する場合、被検体の体動により画像中における関心領域の位置が変化してしまう。従来においては、最初に関心領域として指定された画像中の領域についてのCT値により造影剤濃度を監視しているため、画像中における関心領域の位置が変化した場合には、関心領域からずれた領域の造影剤濃度を監視していることになる。このため、造影剤濃度を適切に監視することができなくなってしまうおそれがある。例えば、関心領域に含めた臓器が監視している範囲外に移動してしまうと、この臓器への造影剤の流入を考慮した造影剤濃度の監視は行えなくなってしまう。 【0008】 上記のように造影剤濃度を監視することができなくなってしまうと、プレップスキャンを利用することができなくなってしまう問題があった。そして、プレップスキャンを中止し、再度、造影剤を被検体に注入して、造影剤濃度の監視をやり直す必要があったため、患者の負担になっていた。 【0009】 上記の問題を解決するため、従来においては、画像のパターンマッチング処理を行い、患者の体動に追従して関心領域を新たに設ける提案がなされている(例えば特許文献1)。 【0010】 【特許文献1】特開2005−305024号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0011】 しかしながら、被検体に造影剤を注入した後は、造影剤が刻々と流入してくるため、画像のパターンマッチング処理によって患者の体動を検出し、患者の体動に応じて関心領域を追従させることは容易ではないと考えられる。 【0012】 この発明は上記の問題を解決するものであり、被検体の体動に影響されることなく造影剤濃度を監視して本スキャン開始のタイミングを計ることが可能なX線CT装置、X線CT装置の制御方法、及びX線CT装置の制御プログラムを提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0013】 請求項1に記載の発明は、造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視手段と、前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御手段と、前記監視用画像上であって、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算手段と、を有し、前記監視手段は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置である。 【0014】 請求項4に記載の発明は、造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視手段と、前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御手段と、前記監視用画像から、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内の画像に類似した領域を検出し、その類似した領域の位置と、前記第1の関心領域の設定位置と前記第2の関心領域の設定位置との相対的な位置関係と、に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算手段と、を有し、前記監視手段は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置である。 【0015】 請求項5に記載の発明は、造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域のCT値を監視する監視ステップと、前記監視用画像上であって、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算ステップと、前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するスキャンステップと、を含み、前記監視ステップでは、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御方法である。 【0016】 請求項7に記載の発明は、造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視ステップと、前記監視用画像から、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内の画像に類似した領域を検出し、その類似した領域の位置と、前記第1の関心領域の設定位置と前記第2の関心領域の設定位置との相対的な位置関係と、に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算ステップと、前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するスキャンステップと、を含み、前記監視ステップでは、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御方法である。 【0017】 請求項8に記載の発明は、造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域のCT値を監視する監視機能と、前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御機能と、前記監視用画像上であって、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算機能と、をコンピュータに実行させ、前記監視機能は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御プログラムである。 【0018】 請求項10に記載の発明は、造影剤が投与された被検体に対してプレップスキャンを実行することで得られる監視用画像に設定された第1の関心領域内のCT値を監視する監視機能と、前記第1の関心領域内のCT値の変化に基づいて、前記プレップスキャンとスキャン条件が異なる本スキャンを開始するタイミングを制御するスキャン制御機能と、前記監視用画像から、前記第1の関心領域とは異なる位置に設定された第2の関心領域内の画像に類似した領域を検出し、その類似した領域の位置と、前記第1の関心領域の設定位置と前記第2の関心領域の設定位置との相対的な位置関係と、に基づいて、前記監視用画像上における前記第1の関心領域の新たな設定位置を求める演算機能と、をコンピュータに実行させ、前記監視機能は、前記新たな設定位置に設定された第1の関心領域内のCT値を監視することを特徴とするX線CT装置の制御プログラムである。 【発明の効果】 【0019】 この発明によると、患者の体動に応じて、造影剤濃度を監視するための第1の関心領域(監視用ROI)を追従させることが可能となる。これにより、患者の体動があっても造影剤濃度を適切に監視することができ、プレップスキャンを中止してプレップスキャンをやり直す必要がないため、患者の被曝量の増加を抑制して患者の負担を軽減することが可能となる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 [第1の実施の形態] この発明の第1の実施形態に係るX線CT装置の構成について図1及び図2を参照して説明する。図1は、この発明の第1の実施形態に係るX線CT装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、演算部の概略構成を示すブロック図である。 【0021】 第1の実施形態に係るX線CT装置は演算部8に特徴があり、プレップスキャンを実行することで得られた監視用画像上に設定された関心領域(ROI)内のCT値の変位に基づいて、本スキャンを開始するタイミングを計るための監視用ROIの新たな設定位置を求める。 【0022】 第1の実施形態に係るX線CT装置は、シングルスライスX線CT装置であってもよく、マルチスライスX線CT装置であってもよい。つまり、検出素子を1列に並べて構成したX線検出器を用いてもよく、アレイ状に複数配列したX線検出器を用いてもよい。 【0023】 まず、図1を参照して第1の実施形態に係るX線CT装置の全体の構成を説明し、次に、図2を参照して演算部8の構成を説明する。 【0024】 第1の実施形態に係るX線CT装置は、架台装置1、コンソール部2、及び寝台装置3を備えて構成されている。架台装置1は、X線管球及びX線検出器を格納した回転架台(ガントリ)を備え、被検体に関するX線投影データを収集する。そのX線投影データはコンソール部2に出力され、画像再構成処理などの処理に供される。また、寝台装置3は、被検体を載置するための寝台31を備えている。 【0025】 架台装置1には、X線管球12と、そのX線管球12と対になるX線検出部13が設けられている。X線検出器13は、例えば1000チャンネルの検出素子を1列に並べて構成してもよく、検出素子を互いに直交する2方向(スライス方向とチャンネル方向を成す)それぞれにアレイ状に複数子配列し、これにより2次元のX線検出器を構成してもよい。また、高電発生部11は、スキャン制御部5からの制御信号に従って、X線を照射させるための高電圧をX線管球12に供給する。 【0026】 X線検出器13にはデータ収集部(DAS)14が設けられている。データ収集部14は、X線検出器13の各検出素子と同様にアレイ状に配列されたデータ収集素子を有し、X線検出器13により検出されたX線(検出信号)を、スキャン制御部5から出力されたデータ収集制御信号に対応させて収集する。この収集されたデータがX線投影データとなる。そして、データ収集部14は、X線検出器13の各チャンネルの電流信号を電圧に変換し、増幅し、デジタル信号に変換する。 【0027】 そして、X線管球12から照射され被検体Pを透過したX線はX線検出器13で検出され、その検出信号はデータ収集部14で増幅され、デジタル信号に変換されてX線投影データとして収集される。X線管球12、X線絞り(図示しない)、X線検出器13、及びデータ収集部14は、回転架台(図示しない)に一体的に固定されている。 【0028】 架台駆動部4は、スキャン制御部5から出力された架台制御信号に基づいて、回転架台(図示しない)を回転させる。これにより、回転架台は回転中心を中心として回転させられる。 【0029】 前処理部61は、データ収集部14で検出されたデータに対して、感度補正やX線強度補正などを施す。前処理部61にて感度補正などの処理が施されたX線投影データは、再構成処理部62に出力される。 【0030】 再構成処理部62は、前処理部61にて補正処理が施されたX線投影データを逆投影処理することにより、画像データを再構成する。これにより、被検体の断層像データが生成される。再構成処理部62から出力された画像データは、画像記憶部63にて一時的に保持される。 【0031】 画像処理部64は、入力装置(図示しない)にて入力された操作者の指示に従って、画像データに対して様々な画像処理を施す。画像処理部64は、例えば、ボリュームレンダリング処理やMPR処理などを施して3次元画像データやMPR画像データ(任意断面の画像データ)を生成して表示制御部65に出力する。表示制御部65は、画像処理部64から出力された画像データに基づく画像を、液晶ディスプレイやCRTなどの表示部66に表示させる。 【0032】 スキャン制御部5は、スキャン(データ収集)に際して、回転架台を一定の速度で安定的に回転させるために架台制御部4に回転制御信号を供給する。また、スキャン制御部5は、X線発生を制御するX線発生制御信号を高電圧発生部11に出力し、X線の検出のタイミングを示す検出制御信号をデータ収集部14に出力する。 【0033】 寝台31は、被検体を載置するための寝台天板と、寝台天板を支持する寝台基台とを備えている。寝台天板は、寝台駆動部32により被検体の体軸方向(スライス方向)に移動可能となっている。寝台基台は、寝台駆動部32により寝台天板を上下方向に移動させることが可能となっている。 【0034】 また、入力装置(図示しない)は、操作者が例えば本スキャン条件やプレップスキャン条件などの様々な情報や各種の指示を入力するために設けられている。 【0035】 以上のように構成されたX線CT装置は、スキャン制御部5の制御の下で、回転架台を回転させながらX線投影データを収集する。そして、この実施形態に係るX線CT装置は、リアルプレップスキャンを実行することで本スキャンを開始するタイミングを計り、適切なタイミングで本スキャンを実行する。 【0036】 なお、リアルプレップスキャンに先だって、撮影スライスの位置決めや、プレップスキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間、ヘリカルピッチなど)、本スキャン条件(管電圧、管電流、スキャン時間、ヘリカルピッチなど)、リアルプレップ条件(閾値など)の設定が行われる。これらの設定条件は、図示しない記憶部に記憶される。 【0037】 リアルプレップスキャンを実行する場合、スキャン制御部5の制御の下、プレップスキャン条件に従って、リアルプレップスキャンが行なわれる。つまり、位置決めされたスライスに関してX線管球12及びX線検出器13が被検体の周囲を連続的に回転しながら、プレップスキャン条件に従ってX線管球12からX線が発生され、データ収集が繰り返される。 【0038】 そして、プレップスキャンと並行して、スキャン制御部5は、再構成処理部62を制御して、プレップスキャンにより得られたX線投影データから断層像画像データ(以下、「監視用画像データ」と称する場合がある)を再構成させる。スキャン制御部5は、このプレップスキャンによって得られた監視用画像を表示部66に表示させる。 【0039】 CT値監視部7は、リアルプレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データから、事前に設定された監視用ROI内の複数画素のCT値を抽出する。例えば、CT値監視部7は、監視用ROI内の複数画素のCT値の和を求めたり、その平均値を求めたりする。 【0040】 ここで、監視用画像上に設定された監視用ROIについて、図3を参照して説明する。図3は、監視用画像上に設定された関心領域(ROI)を示す画像の図である。この監視用ROI101は、操作者によって監視用画像100上に予め設定された関心領域(ROI)であり、CT値監視部7は、この監視用ROI100内のCT値の変化に基づいて、本スキャンを開始するタイミングを求める。 【0041】 そして、CT値監視部7は、リアルプレップスキャンに先だって設定された閾値(リアルプレップ条件)と、監視用ROI内のCT値とを比較し、監視用ROI内のCT値が閾値以上となったか否かを判断する。なお、CT値監視部7が、この発明の「監視手段」に相当し、監視用ROIがこの発明の「第1の関心領域」に相当する。 【0042】 監視用ROI内のCT値が閾値以上になった場合、CT値監視部7は、本スキャン開始の指示をスキャン制御部5に出力する。つまり、監視用ROI内のCT値が閾値以上になった場合、造影剤が目的臓器内に流入してきたと考えられるため、プレップスキャンを中止して、本スキャンを実行する。 【0043】 一方、監視用ROI内のCT値が閾値未満の場合は、スキャン制御部5は、プレップスキャンを継続して実行する。そして、CT値監視部7によって、監視用ROI内のCT値が閾値以上になったと判断されるまで、スキャン制御部5はプレップスキャンを継続して実行する。 【0044】 スキャン制御部5は、CT値監視部7から本スキャン開始の指示を受けると、プレップスキャンを中止し、本スキャン条件に従って本スキャンを実行する。 【0045】 次に、図2を参照して演算部8の構成を説明する。 【0046】 演算部8は、CT値算出部81、CT値比較部82、変位算出部83、及び設定情報記憶部86を備えて構成されている。この演算部8は、被検体に体動が発生したか否かを判断し、さらに、体動が発生した場合には、その体動に追従させて監視用ROIの新たな設定位置を求める。なお、演算部8が、この発明の「演算手段」に相当する。 【0047】 CT値算出部81は、リアルプレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データを再構成処理部62から受けて、事前に設定された固定ROI内の複数画素のCT値と、固定ROIの周辺に設定された周辺ROI内の複数画素のCT値を抽出する。例えば、CT値算出部81は、固定ROI内の複数画素のCT値の和を求め、さらに、周辺ROI内の複数画素のCT値の和を求める。また、CT値算出部81は、固定ROI内の複数画素のCT値の平均値を求め、さらに、周辺ROI内の複数画素のCT値の平均値を求めてもよい。 【0048】 ここで、固定ROIと周辺ROIについて図3及び図4を参照して説明する。図4は、監視用画像上に設定された関心領域(ROI)を示す画像の図であり、図3の一部を拡大した図である。 【0049】 図3に示す固定ROI102は、操作者によって監視用画像100上に予め設定された関心領域(ROI)であり、被検体に体動が発生したか否かの判断に用いられる関心領域(ROI)である。この固定ROI102は、操作者が入力装置(図示しない)を用いて任意の位置に設定される。この固定ROI102は、例えば、骨の画像103の領域内などに設定することが好ましい。骨の画像103のCT値は周囲部位のCT値よりも大きく、被検体の体動の有無を判断するのに適しているからである。 【0050】 図4に示す周辺ROI104a、104b、及び104cは、固定ROI102の周辺に設定される関心領域(ROI)である。この周辺ROI104a、104b、及び104cは、被検体に体動が発生した場合に、監視用ROIの新たな設定位置を求める処理に用いられる関心領域(ROI)である。周辺ROIは、操作者が入力装置(図示しない)を用いて任意の位置に設定してもよく、固定ROIから所定の距離離れた位置に自動的に設定するようにしてもよい。なお、周辺ROIが、この発明の「第2の関心領域」に相当する。 【0051】 図4に示す例では、3つの周辺ROIが設定されている。これら周辺ROIは、CT値が高い部位と低い部位との境界を跨いで設定されることが好ましい。例えば、図4に示すように、周辺ROI104a、104b、及び104cは、CT値が高い骨の画像103と、CT値が低い周辺部位の画像との境界に設定されることが好ましい。なお、図4に示す例では、3つの周辺ROIが設定されているが、3つ以上の周辺ROIを設定してもよい。 【0052】 そして、CT値算出部81は、固定ROI内のCT値と各周辺ROI内のCT値を求めて、各CT値をCT値比較部82に出力する。 【0053】 CT値比較部82は、CT値算出部81から固定ROI内のCT値を受けると、そのCT値に変化があったか否かを判断し、CT値に変化があった場合、CT値比較部82は、被検体に体動が発生したと判断する。 【0054】 また、CT値比較部82は、CT値算出部81から固定ROI内のCT値を受けると、予め設定された閾値とその固定ROI内のCT値とを比較し、CT値が閾値以上になったか否かを判断してもよい。この閾値は、被検体に体動があったか否かを判断する基準値である。そして、固定ROI内のCT値が閾値以上になった場合、CT値比較部82は、被検体に体動があったと判断してもよい。 【0055】 被検体に体動があったと判断した場合(固定ROI内のCT値に変化があった場合)、CT値比較部82は、固定ROI内のCT値が変化する前における周辺ROIのCT値と、変化した後における周辺ROIのCT値との差分(変化量)を算出する。CT値比較部82は、各周辺ROI内のCT値について、変化前と変化後の差分(変化量)を求め、各周辺ROIについて求めたCT値の差分(変化量)を変位算出部83に出力する。 【0056】 変位算出部83は、CT値比較部82によって求められた各周辺ROIについての差分(変化量)に基づいて、監視用ROIが設定された位置を基準位置として、監視用ROIを新たに設定すべき位置を求める。具体的には、変位算出部83は、変位方向算出部84と移動量算出部85を備えて、監視用ROIを新たに設定すべき位置を求める。 【0057】 以下、変位方向算出部84と移動量算出部85の処理内容について、図5を参照して説明する。図5は、監視用画像上に設定された関心領域(ROI)を示す画像であり、図3の一部を拡大した図である。 【0058】 まず、設定情報記憶部86に記憶されている設定情報について説明する。設定情報記憶部86には、変位算出部83にて、監視用ROIの変位方向と移動距離を求めるための設定情報が予め記憶されている。変位方向を求めるための設定情報として、各周辺ROI内のCT値の増減と移動方向とが対応付けられて設定情報記憶部86に予め記憶されている。また、移動距離を求めるための設定情報として、周辺ROI内のCT値の変化量と移動距離とが対応付けられて設定情報記憶部86に予め記憶されている。なお、設定情報記憶部86が、この発明の「設定情報記憶手段」に相当する。 【0059】 変位方向算出部84は、CT値比較部82によって求められた各周辺ROIについてのCT値の差分(変位量)と、変位方向を求めるための設定情報(CT値の増減と移動方向との対応付け)とに基づいて、監視用ROIが設定された位置を基準位置にして、監視用ROIを新たに設定する位置の方向を求める。 【0060】 ここで、周辺ROIについてのCT値の差分(変位量)と移動方向との関係について、図5を参照して説明する。例えば、図5(a)に示すように、監視用画像100中の骨の画像103に対して、周辺ROI104a、104b、及び104cが設定されている状態において、被検体に体動が発生して、図5(b)に示すように、監視用画像100が矢印X1に移動した場合、周辺ROI104a内のCT値は増加し、周辺ROI104c内のCT値は減少する。つまり、この実施形態では、周辺ROI104a内のCT値が増加し、周辺ROI104c内のCT値が減少すれば、監視用画像100は矢印X1の方向に移動したことを意味している。 【0061】 この実施形態では、周辺ROI104a内のCT値の増加と、矢印X1の方向とを対応付けて設定情報記憶部86に予め記憶しておく。また、周辺ROI104c内のCT値の減少と、矢印X1の方向とを対応付けて設定情報記憶部86に予め記憶しておく。これにより、周辺ROI104a内のCT値が増加した場合は、変位方向算出部84は、監視用ROIの新たな設定位置の方向を矢印X1の方向と決定する。 【0062】 また、被検体に体動が発生して、図5(c)に示すように、監視用画像100が矢印X2の方向に移動した場合、周辺ROI104a内のCT値は減少し、周辺ROI104c内のCT値は増加する。つまり、この実施形態では、周辺ROI104a内のCT値が減少し、周辺ROI104c内のCT値が増加すれば、監視用画像100は矢印X2の方向に移動したことを意味している。 【0063】 この実施形態では、周辺ROI104a内のCT値の減少と、矢印X2の方向とを対応付けて設定情報記憶部86に予め記憶しておく。また、周辺ROI104c内のCT値の増加と、矢印X2の方向とを対応付けて設定情報記憶部86に予め記憶しておく。これにより、周辺ROI104a内のCT値が減少した場合は、変位方向算出部84は、監視用ROIの新たな設定位置の方向を矢印X2の方向と決定する。 【0064】 以上のように、周辺ROI104aなどのCT値の増減によって、監視用画像100が移動した方向が求められる。また、矢印X1、X2に直交する方向(図5中、上下方向)については、周辺ROI104b内のCT値の増減に基づいて、監視用画像100が移動した方向を求めることができる。 【0065】 移動量算出部85は、CT値比較部82によって求められた各周辺ROIについての差分(変化量)と、移動距離を求めるための設定情報(CT値の変化量と移動距離との対応付け)とに基づいて、監視用ROIが設定された位置を基準位置として、監視用ROIを新たに設定する位置までの距離を求める。各周辺ROI内のCT値の差分(変化量)が大きくなるほど、移動距離が長くなる。 【0066】 変位方向算出部84によって求められた方向が、監視用ROIが設定された位置を基準位置として、監視ROIを新たに設定すべき位置の方向に相当する。また、移動量算出部85によって求められた移動距離が、監視ROIが設定された位置(基準位置)から、監視用ROIを新たに設定すべき位置までの距離に相当する。 【0067】 そして、変位算出部83は、方向と移動距離を示す情報をCT値監視部7に出力する。CT値監視部7は、変位算出部83から方向と移動距離を示す情報を受けると、監視用ROIが最初に設定された位置(基準位置)から、その方向にその移動距離だけずらした位置に監視用ROIを新たに設定する。そして、CT値監視部7は、新たに設定した監視用ROI内のCT値を監視する。また、スキャン制御部5は、新たな位置に設定された監視用ROIを監視用画像に重畳させて表示部66に表示させる。 【0068】 また、演算部8は、変位算出部83によって求められた方向と移動距離に従って、固定ROIと周辺ROIを新たな位置に設定する。以後、演算部8は、新たな位置に設定した固定ROIと周辺ROIのCT値の変化に基づいて、被検体の体動を検知し、更に、変位方向と移動距離を求める。また、スキャン制御部5は、新たな位置に設定された固定ROIと周辺ROIを監視用画像に重畳させて表示部66に表示させる。 【0069】 なお、CT値算出部81、CT値比較部82、及び変位算出部83は、物理的なハードウェアで構成されていてもよく、ソフトウェアで構成されていてもよい。例えば、CT値算出部81、CT値比較部82、及び変位算出部83をCPUで構成し、図示しない記憶部にプログラムを記憶しておき、CPUがそのプログラムを実行することで、CT値算出部81、CT値比較部82、及び変位算出部83の機能を実行する。 【0070】 また、演算部8は、X線CT装置に組み込まれていてもよく、X線CT装置の外部に設置されているコンピュータなどであってもよい。 【0071】 (動作) 次に、この発明の第1の実施形態に係るX線CT装置による一連の動作について、図6を参照して説明する。図6は、この発明の第1の実施形態に係るX線CT装置による一連の動作を示すフローチャートである。 【0072】 (ステップS01) まず、スキャン制御部5の制御の下、プレップスキャン条件に従って、リアルプレップスキャンが行なわれる。そして、プレップスキャンと並行して、スキャン制御部5は、再構成処理部62を制御して、プレップスキャンにより得られたX線投影データから監視用画像データを再構成させる。 【0073】 (ステップS02) そして、スキャン制御部5は、プレップスキャンにより得られた監視用画像を表示部66に表示させる。 【0074】 (ステップS03) CT値算出部81は、リアルプレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データを再構成処理部62から受けて、事前に設定された固定ROI内の複数画素のCT値と、周辺ROI内の複数画素のCT値を抽出する。例えば、図3に示すように、固定ROI102は、骨の画像103の領域内に設定され、周辺ROI104a、104b、104cは、骨の画像103と周辺部位との境界に設定される。そして、CT値算出部81は、固定ROI102内のCT値と、周辺ROI104a内などのCT値を求める。 【0075】 (ステップS04) そして、CT値比較部82は、CT値算出部81から固定ROI102内のCT値を受けると、そのCT値に変化があったか否かを判断する。 【0076】 (ステップS04、ステップS05) そして、固定ROI102内のCT値に変化があった場合(ステップS04、Yes)、CT値比較部82は、固定ROI102内のCT値が変化する前における周辺ROIのCT値と、変化した後における周辺ROIのCT値との差分(変化量)を算出する(ステップS05)。図4に示す例では、CT値比較部82は、周辺ROI104a内のCT値の差分(変化量)、周辺ROI104b内のCT値の差分(変化量)、及び、周辺RO104c内のCT値の差分(変化量)を求める。そして、CT値比較部82は、各周辺ROI内のCT値の差分(変化量)を変位算出部83に出力する。 【0077】 (ステップS06) 変位方向算出部84は、各周辺ROIについて求められたCT値の差分(変化量)と、設定情報記憶部86に記憶されている、変位方向を求めるための設定情報(CT値の増減と移動方向との対応付け)とに基づいて、監視用ROIを新たに設定する位置の方向を求める。例えば、周辺ROI104a内のCT値が増加した場合、図5(b)に示すように、変位方向算出部84は、監視用ROIの新たな設定位置の方向を矢印X1の方向と決定する。一方、周辺ROI104a内のCT値が減少した場合、図5(c)に示すように、変位方向算出部84は、監視用ROIの新たな設定値の方向を矢印X2の方向と決定する。 【0078】 また、移動量算出部85は、各周辺ROIについて求められたCT値の差分(変化量)と、設定情報記憶部86に記憶されている、移動距離を求めるための設定情報(CT値の変化量と移動距離との対応付け)とに基づいて、監視用ROIを新たに設定する位置までの距離を求める。 【0079】 変位方向算出部84によって求められた方向が、監視用ROIを新たに設定すべき位置に相当し、移動量算出部85によって求められた移動距離が、監視用ROIを新たに設定すべき位置までの距離に相当する。 【0080】 (ステップS07) CT値監視部7は、変位算出部83から方向と移動距離を示す情報を受けると、監視用ROIが最初に設定された位置(基準位置)から、その方向にその移動距離だけずらした位置に監視用ROIを新たに設定する。また、演算部8は、変位算出部83によって求められた方向と移動距離に従って、固定ROIと周辺ROIを新たな位置に設定する。以後、演算部8は、新たな位置に設定した固定ROIと周辺ROIのCT値の変化に基づいて、被検体の体動を検知し、更に、変位方向と移動距離を求める。 【0081】 また、スキャン制御部5は、新たな位置に設定された監視用ROI、固定ROI、及び周辺ROIを監視用画像に重畳させて表示部66に表示させる。 【0082】 (ステップS08) そして、CT値監視部7は、監視用ROI内のCT値を監視する。ステップS07にて、監視用ROIが新たな位置に設定された場合、CT値監視部7は、その新たな位置に設定された監視用ROI内のCT値を監視する。 【0083】 一方、ステップS04にて、固定ROI内のCT値に変化がない場合は(ステップS04、No)、CT値監視部7は、最初に設定された監視用ROI内のCT値を監視する。 【0084】 (ステップS08、ステップS09) そして、CT値監視部7によって、監視用ROI内のCT値が閾値以上になったと判断された場合(ステップS08、Yes)、CT値監視部7は、本スキャン開始の指示をスキャン制御部5に与える。これより、スキャン制御部5は、プレップスキャンを終了する(ステップS09)。 【0085】 (ステップS10) そして、スキャン制御部5は、本スキャン条件に従って、本スキャンを開始する(ステップS10)。 【0086】 一方、監視用ROI内のCT値が閾値未満の場合は(ステップS08、No)、スキャン制御部5は、プレップスキャンを継続して実行する。つまり、監視用ROI内のCT値が閾値以上になるまで、ステップS01からステップS08を繰り返して実行する。 【0087】 以上のように、周辺ROI内のCT値の差分(変化量)に基づいて、監視用ROIの新たな設定位置を求めることにより、被検体の体動に応じて監視用ROIを追従して設定することが可能となる。これにより、プレップスキャンを途中で中止することなく、造影剤が目的臓器に流入してきたタイミングで本スキャンを開始することが可能となるため、患者の被曝量の増加を抑制して患者の負担を軽減することが可能となる。 【0088】 [第2の実施の形態] 次に、この発明の第2の実施形態に係るX線CT装置について、図7及び図8を参照して説明する。図7は、この発明の第2の実施形態に係るX線CT装置の一部の構成を示すブロック図である。図8は、固定ROIを複数設定した例を示す画像の図である。 【0089】 第2の実施形態に係るX線CT装置では、第1の実施形態に係る演算部8の代わりに演算部8Aを設けた。演算部8A以外の構成は、第1の実施形態に係るX線CT装置の構成と同じである。 【0090】 演算部8Aは、パターンマッチング処理により、監視用画像上において、固定ROI内の画像に類似した領域を検出する。そして、演算部8Aは、類似した領域の位置と、監視用ROIと固定ROIとの相対的な位置関係とに基づいて、監視用画像上における監視用ROIの新たな設定位置を求める。演算部8Aの具体的な構成を以下に説明する。 【0091】 検出部87は、プレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データを再構成処理部62から受けて、事前に設定された固定ROI内のピクセルパターンをテンプレートパターンとして抽出し、そのテンプレートパターンを図示しない記憶部に記憶する。そして、検出部87は、新たにプレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データを再構成処理部62から受けると、上記テンプレートパターンと最も特徴が類似するピクセルパターンをもつ領域を探索する。この探索には、例えば周知のパターンマッチング法を利用することができる。 【0092】 例えば図8に示すように、3つの固定ROI102a、102b、及び102cが監視用画像100上に設定された場合について説明する。この場合、検出部87は、新たな監視用画像が得られると、3つの固定ROI102a、102b、及び102cのそれぞれについて、テンプレートパターンと特徴が類似するパターンを持つ領域を探索する。探索された領域が、各固定ROIの新たな設定位置となる。そして、検出部87は、各固定ROIの新たな設定位置(座標)を示す情報を変位算出部88に出力する。 【0093】 変位算出部88は、検出部87から各固定ROIの新たな設定位置(座標)を示す情報を受けると、その新たな固定ROIの設定位置と、操作者によって設定された固定ROIと監視用ROIとの相対的な位置関係とに基づいて、監視用ROIの新たな設定位置(座標)を求める。図8に示す例では、変位算出部88は、固定ROI102a、102b、及び102cの新たな設定位置と、固定ROI102a、102b、及び102cと監視用ROI101との相対的な位置関係とに基づいて、監視用ROIの新たな設定位置を求める。 【0094】 プレップスキャン実行時に、操作者が、固定ROIと監視用ROIを入力装置(図示しない)で設定すると、演算部8Aは、固定ROIと監視用ROIとの相対的な位置関係を求め、その相対的な位置関係を設定情報記憶部89に記憶する。例えば、演算部8Aは、固定ROIの設定位置を基準位置として、監視用ROIの方向と距離(ベクトル情報)を求め、そのベクトル情報(相対的な位置関係)を設定情報記憶部89に記憶する。 【0095】 図8に示す例では、監視用ROI101、固定ROI102a、102b、及び102cが設定されると、演算部8Aは、固定ROI102a、102b、及び102cのそれぞれを基準位置として、各固定ROIに対する監視用ROI101の相対的な位置(ベクトル情報)を求める。つまり、演算部8Aは、固定ROI102aに対する監視用ROI101の相対的な位置(ベクトル情報)を求め、固定ROI102bに対する監視用ROI101の相対的な位置(ベクトル情報)を求め、更に、固定ROI102cに対する監視用ROI101の相対的な位置(ベクトル情報)を求める。そして、演算部8Aは、各固定ROIと監視用ROIとの相対的な位置関係(ベクトル情報)を設定情報記憶部89に記憶する。 【0096】 このように設定情報記憶部89には、固定ROIの位置を基準位置とした、監視用ROIの方向と距離(ベクトル情報)が予め記憶されているため、変位算出部88は、新たな固定ROIの位置を基準位置として、そのベクトル情報が示す方向と距離の位置にある領域を新たな監視用ROIとする。そして、変位算出部88は、新たな監視用ROIの位置情報(座標情報)を、CT値監視部7に出力する。CT値監視部7は、変位算出部88から新たな監視用ROIの位置情報(座標情報)を受けると、その新たな監視用ROI内のCT値を監視する。また、スキャン制御部5は、新たな位置に設定された監視用ROIを監視用画像に重畳させて表示部66に表示させる。 【0097】 また、演算部8Aは、パターンマッチング処理で求めた固定ROIを新たな位置に設定する。以後、演算部8Aは、新たな位置に設定した固定ROI内の画像に基づいて、パターンマッチング処理を行う。また、スキャン制御部5は、新たな位置に設定された固定ROIを監視用画像に重畳させて表示部66に表示させる。 【0098】 以上のように、パターンマッチング処理を行うことで、監視用ROIを被検体の体動に追従させて設定することができる。また、固定ROI内の画像のみをパターンマッチング処理の対象としているため、演算量は少なくて済む。その結果、演算の速度が速くなるため、被検体の体動に対してリアルタイムに監視用ROIを追従させて設定することができる。 【0099】 また、複数の固定ROIを設け、それら複数の固定ROIと監視用ROIとの相対的な位置関係に基づいて、監視用ROIの新たな設定位置を求めることにより、被検体にひねり等の体動が発生した場合であっても、被検体の体動に追従して、監視用ROIの新たな設定位置を求めることができる。被検体にひねり等の体動が発生すると、固定ROI内のCT値に変動がない場合があるが、複数の固定ROIを用いて被検体の体動を検知することで、被検体の体動に追従して、監視用ROIの新たな設定位置を求めることができる。 【0100】 (動作) 次に、この発明の第2の実施形態に係るX線CT装置による一連の動作について、図9を参照して説明する。図9は、この発明の第2の実施形態に係るX線CT装置による一連の動作を示すフローチャートである。 【0101】 (ステップS20) まず、スキャン制御部5の制御の下、プレップスキャン条件に従って、リアルプレップスキャンが行なわれる。そして、プレップスキャンと並行して、スキャン制御部5は、再構成処理部62を制御して、プレップスキャンにより得られたX線投影データから監視用画像データを再構成させる。 【0102】 (ステップS21) そして、スキャン制御部5は、プレップスキャンにより得られた監視用画像を表示部66に表示させる。 【0103】 (ステップS22) 操作者は、表示部66に表示された監視用画像を参照し、入力装置(図示しない)を用いて監視用画像上に固定ROIと監視用ROIの設定位置を指定する。これにより、監視用画像上に固定ROIと監視用ROIが設定される。例えば、図8に示すように、監視用画像100上に、監視用ROI101と、3つの固定ROI102a、102b、及び102cを設定する。監視用ROIの設定位置(座標)を示す情報は、CT値監視部7と演算部8Aに出力され、固定ROIの設定位置(座標)を示す情報は、演算部8Aに出力される。 【0104】 (ステップS23) 演算部8Aは、固定ROIと監視用ROIの設定位置(座標)の情報を受けると、固定ROIと監視用ROIとの相対的な位置関係(ベクトル情報)を求める。そして、演算部8Aは、相対的な位置関係を設定情報記憶部89に記憶する。図8に示す例では、演算部8Aは、3つの固定ROI102a、102b、及び102cのそれぞれについて、監視用ROI101との相対的な位置関係(ベクトル情報)を求め、それぞれの相対的な位置関係を設定情報記憶部89に記憶する。 【0105】 (ステップS24) 検出部87は、リアルプレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データを再構成処理部62から受けて、事前に設定された固定ROI内のピクセルパターンをテンプレートパターンとして抽出し、そのテンプレートパターンを図示しない記憶部に記憶する。図8に示す例では、3つの固定ROI102a、102b、及び102cが操作者によって監視用画像100に設定されているため、検出部87は、固定ROI102a、102b、及び102cのそれぞれについて、テンプレートパターンを抽出して記憶部に記憶する。 【0106】 (ステップS25) そして、検出部87は、新たにプレップスキャンを実行することで得られた監視用画像データを再構成処理部62から受けると、記憶部(図示しない)に記憶されているテンプレートパターンと最も特徴が類似するピクセルパターンをもつ領域を探索する。図8に示す例では、検出部87は、3つの固定ROI102a、102b、及び102cのそれぞれについて、それぞれのテンプレートパターンと特徴が類似するパターンを持つ領域を探索する。探索された領域が、各固定ROIの新たな設定位置となる。そして、検出部87は、各固定ROIの新たな設定位置(座標)を示す情報を変位算出部88に出力する。 【0107】 (ステップS26) 変位算出部88は、検出部87から各固定ROIの新たな設定位置(座標)を示す情報を受けると、その新たな固定ROIの設定位置と、記憶部(図示しない)に記憶されている、固定ROIと監視用ROIとの相対的な位置関係(ベクトル情報)とに基づいて、監視用ROIの新たな設定位置(座標)を求める。 【0108】 図8に示す例では、記憶部には、固定ROI102a、102b、及び102cのそれぞれの設定位置と、監視用ROIの設定位置との相対的な位置関係(ベクトル情報)が記憶されているため、変位算出部88は、固定ROI102a、102b、及び102cの新たな設定位置と、相対的な位置関係とに基づいて、監視用ROIの新たな設定位置を求める。そして、変位算出部88は、監視用ROIの新たな設定位置を示す情報をCT値監視部7に出力する。 【0109】 (ステップS27) CT値監視部7は、変位算出部88から監視用ROIの新たな設定位置を示す情報を受けると、その新たな設定位置に監視用ROIを設定する。また、演算部8Aは、パターンマッチング処理で求めた固定ROIを新たな位置に設定する。以後、演算部8Aは、新たな位置に設定した固定ROI内の画像に基づいて、パターンマッチング処理を行う。また、スキャン制御部5は、新たな位置に設定された監視用ROIと固定ROIを監視用画像に重畳させて表示部66に表示させる。 【0110】 (ステップS28) そして、CT値監視部7は、監視用ROI内のCT値を監視する。ステップS27にて、監視用ROIが新たな位置に設定された場合、CT値監視部7は、その新たな位置に設定された監視用ROI内のCT値を監視する。 【0111】 (ステップS28、ステップS29) そして、CT値監視部7によって、監視用ROI内のCT値が閾値以上になったと判断された場合(ステップS28、Yes)、CT値監視部7は、本スキャン開始の指示をスキャン制御部5に与える。これにより、スキャン制御部5は、プレップスキャンを終了する(ステップS29)。 【0112】 (ステップS30) そして、スキャン制御部5は、本スキャン条件に従って、本スキャンを開始する(ステップS30)。 【0113】 一方、監視用ROI内のCT値が閾値未満の場合は(ステップS28、No)、スキャン制御部5は、プレップスキャンを継続して実行する。つまり、監視用ROI内のCT値が閾値以上になるまで、ステップS20からステップS28を繰り返して実行する。 【0114】 以上のように、パターンマッチング処理を行うことで、監視用ROIを被検体の体動に追従させて設定することができる。また、固定ROI内の画像のみをパターンマッチング処理の対象としているため、パターンマッチング処理の速度が速くなり、被検体の体動に対してリアルタイムに監視用ROIを追従させて設定することができる。 【0115】 また、第1の実施形態に係るX線CT装置の演算部8も、パターンマッチング処理を行って、監視用ROIの新たな設定位置を求めてもよい。この場合、演算部8は、周辺ROI内のCT値の変動に基づいて監視用ROIの設定位置を求める処理と、パターンマッチング処理とを実行する。このように、2つの処理を実行することで、監視用ROIの新たな設定位置をより正確に求めることができる。 【図面の簡単な説明】 【0116】 【図1】この発明の第1の実施形態に係るX線CT装置の概略構成を示すブロック図である。 【図2】演算部の概略構成を示すブロック図である。 【図3】監視用画像上に設定された関心領域(ROI)を示す画像の図である。 【図4】監視用画像上に設定された関心領域(ROI)を示す画像の図であり、図3の一部を拡大した図である。 【図5】監視用画像上に設定された関心領域(ROI)を示す画像であり、図3の一部を拡大した図である。 【図6】この発明の第1の実施形態に係るX線CT装置による一連の動作を示すフローチャートである。 【図7】この発明の第2の実施形態に係るX線CT装置の一部の構成を示すブロック図である。 【図8】固定ROIを複数設定した例を示す画像の図である。 【図9】この発明の第2の実施形態に係るX線CT装置による一連の動作を示すフローチャートである。 【符号の説明】 【0117】 7 CT値監視部 8、8A 演算部 81 CT値算出部 82 CT値比較部 83、88 変位算出部 84 変位方向算出部 85 移動量算出部 86、89 設定情報記憶部 87 検出部
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003078 【氏名又は名称】株式会社東芝 【識別番号】594164542 【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社 【識別番号】594164531 【氏名又は名称】東芝医用システムエンジニアリング株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年6月26日(2006.6.26) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100081411 【弁理士】 【氏名又は名称】三澤 正義
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| 【公開番号】 |
特開2008−499(P2008−499A) |
| 【公開日】 |
平成20年1月10日(2008.1.10) |
| 【出願番号】 |
特願2006−174769(P2006−174769) |
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