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【発明の名称】 内視鏡挿入部
【発明者】 【氏名】佐藤 栄二郎

【氏名】鶴岡 薫

【要約】 【課題】必要かつ適切な湾曲作動が可能となると共に内蔵物の損傷が防止されている内視鏡挿入部を提供する。

【構成】この内視鏡挿入部は、可撓管部16と、可撓管部16の先端部に接続され、湾曲作動される湾曲部14と、湾曲部14及び可撓管部16に挿通され、進退操作されて湾曲部14を湾曲作動させる操作ワイヤ36aと、操作ワイヤ36aの先端側に外装され、一部分が湾曲部14に固定されている先端側ワイヤガイド40aと、操作ワイヤ36aの基端側に外装され、一部分が可撓管部16に固定されている基端側ワイヤガイド40bと、先端側ワイヤガイド40aの基端部に設けられている先端側当接部44aと、基端側ワイヤガイド40bの先端部に設けられ、操作ワイヤ36aが後退されて湾曲部14が湾曲される場合に先端側当接部44aに当接される基端側当接部44bと、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓管部と、
前記可撓管部の先端部に接続され、湾曲作動される湾曲部と、
前記湾曲部及び前記可撓管部に挿通され、進退操作されて前記湾曲部を湾曲作動させる操作ワイヤと、
前記操作ワイヤの先端側に外装され、一部分が前記湾曲部に固定されている先端側ワイヤガイドと、
前記操作ワイヤの基端側に外装され、一部分が前記可撓管部に固定されている基端側ワイヤガイドと、
前記先端側ワイヤガイドの基端部に設けられている先端側当接部と、
前記基端側ワイヤガイドの先端部に設けられ、前記操作ワイヤが後退されて前記湾曲部が湾曲される場合に前記先端側当接部に当接される基端側当接部と、
を具備することを特徴とする内視鏡挿入部。
【請求項2】
前記先端側当接部及び基端側当接部は、夫々、前記操作ワイヤの長手方向に略直交し互いに当接される先端側平面部及び基端側平面部により形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡挿入部。
【請求項3】
前記先端側当接部及び基端側当接部は、夫々、互いに当接係合される先端側係合部及び基端側係合部により形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡挿入部。
【請求項4】
前記先端側当接部及び基端側当接部の少なくとも一方の当接部は、半田あるいは接着剤を用いて形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡挿入部。
【請求項5】
前記先端側当接部及び基端側当接部の少なくとも一方の当接部は、前記ワイヤガイドの端部に当接部材を設けることにより形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡挿入部。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の内視鏡挿入部を具備することを特徴とする内視鏡。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、湾曲作動される湾曲部を有する内視鏡挿入部に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡の挿入部は、先端硬質部と、湾曲作動される湾曲部と、長尺の可撓管部とを先端側から順に連結することにより形成されている。そして、挿入部には、進退操作されて湾曲部を湾曲作動させる操作ワイヤが挿通されている。操作ワイヤは、少なくとも可撓管部においてワイヤガイドに挿通されており、操作ワイヤと内蔵物との摩擦による内蔵物の損傷を防止している。
【0003】
特許文献1の内視鏡では、可撓管部から湾曲部内へとワイヤガイドが延長されており、ワイヤガイドの先端部は湾曲部において固定されている。操作ワイヤを後退させて湾曲部を湾曲させる場合には、ワイヤガイドは突っ張り棒として機能して、湾曲部の湾曲を規制する。即ち、湾曲部において、ワイヤガイドの配置されている部分では湾曲が生じず、ワイヤガイドの配置されていない部分で湾曲が生じるようになっている。
【特許文献1】特開2006−68393号公報
【特許文献2】特開平6−30892号公報
【特許文献3】特開平10−5172号公報
【特許文献4】特開平8−243169号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の内視鏡挿入部では、ワイヤガイドは、突っ張り棒として機能するように挿入部内に押込まれている。このため、ワイヤガイドにおいて押込みに対する反発力が生じることとなり、この反発力によって湾曲部に不必要な湾曲が生じてしまう可能性がある。このような湾曲は、ワイヤガイドを可撓管部の先端部において固定することにより防止することが可能である。しかしながら、ワイヤガイドを湾曲部と可撓管部とにおいて固定すると、湾曲部を湾曲した際に、両固定部分を両端としてワイヤガイドが湾曲部の弧形状に対して弦形状をなすように湾曲部の中心軸に向かって移動され、挿入部の内蔵物を押し潰してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、その目的とするところは、必要かつ適切な湾曲作動が可能となると共に内蔵物の損傷が防止されている内視鏡挿入部を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施態様の内視鏡挿入部は、可撓管部と、前記可撓管部の先端部に接続され、湾曲作動される湾曲部と、前記湾曲部及び前記可撓管部に挿通され、進退操作されて前記湾曲部を湾曲作動させる操作ワイヤと、前記操作ワイヤの先端側に外装され、一部分が前記湾曲部に固定されている先端側ワイヤガイドと、前記操作ワイヤの基端側に外装され、一部分が前記可撓管部に固定されている基端側ワイヤガイドと、前記先端側ワイヤガイドの基端部に設けられている先端側当接部と、前記基端側ワイヤガイドの先端部に設けられ、前記操作ワイヤが後退されて前記湾曲部が湾曲される場合に前記先端側当接部に当接される基端側当接部と、を具備することを特徴とする。
【0007】
本発明の第2実施態様の内視鏡挿入部は、第1実施態様の内視鏡挿入部において、前記先端側当接部及び基端側当接部は、夫々、前記操作ワイヤの長手方向に略直交し互いに当接される先端側平面部及び基端側平面部により形成されている、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の第3実施態様の内視鏡挿入部は、第1実施態様の内視鏡挿入部において、前記先端側当接部及び基端側当接部は、夫々、互いに当接係合される先端側係合部及び基端側係合部により形成されている、ことを特徴とする。
【0009】
本発明の第4実施態様の内視鏡挿入部は、第1実施態様の内視鏡挿入部において、前記先端側当接部及び基端側当接部の少なくとも一方の当接部は、半田あるいは接着剤を用いて形成されている、ことを特徴とする。
【0010】
本発明の第5実施態様の内視鏡挿入部は、第1実施態様の内視鏡挿入部において、前記先端側当接部及び基端側当接部の少なくとも一方の当接部は、前記ワイヤガイドの端部に当接部材を設けることにより形成されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1実施態様の内視鏡挿入部では、操作ワイヤを後退させて湾曲部を湾曲させる場合には、先端側当接部及び基端側当接部が互いに当接され、先端側ワイガイドが突っ張り棒として機能して湾曲部の湾曲を規制する。また、操作ワイヤが前進される場合には、先端側ワイヤガイドは、基端側ワイヤガイドに引っ張られることなく、その固定部分の移動に追従して移動されるため、先端側ワイガイドが湾曲部の中心軸に向かって移動されることが防止される。さらに、先端側ワイヤガイドは、挿入部内に押込まれるような形態となっておらず、先端側ワイヤガイドに生じる押し込みに対する反発力によって湾曲部に不要な湾曲が生じることが防止されている。このように、本実施態様の内視鏡挿入部では、必要かつ適切な湾曲作動が可能となると共に内蔵物の損傷が防止されている。
【0012】
本発明の第2実施態様の内視鏡挿入部では、互いに当接される先端側平面部及び基端側平面部は、操作ワイヤの長手方向に略直交しているため、長手方向に対して傾斜している場合と比較して、当接時に互いにずれてしまうことが少なくなっている。このため、先端側ワイヤガイド及び基端側ワイヤガイドの突っ張り棒としての機能が充分に確保される。
【0013】
本発明の第3実施態様の内視鏡挿入部では、先端側係合部及び基端側係合部は当接時に互いに係合されるため、先端側係合部及び基端側係合部が当接時に互いにずれてしまうことが充分に防止されている。このため、先端側ワイヤガイド及び基端側ワイヤガイドの突っ張り棒としての機能が十全に確保される。
【0014】
本発明の第4実施態様の内視鏡挿入部では、半田あるいは接着剤を用いて当接部を形成しているため、別体的な部材をワイヤガイドに取り付けることにより当接部を形成する場合と比較して、取り付けのための機構を省略することでき、当接部の大型化を回避することが可能となっている。
【0015】
本発明の第5実施態様の内視鏡挿入部では、ワイヤガイドの端部に当接部材を設けることにより当接部を形成しているため、複雑な形状の当接部を容易に形成することが可能となっている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態を図1乃至図6Bを参照して説明する。
【0017】
図1を参照し、本実施形態の内視鏡10は、体腔内に挿入される細長い挿入部12を有する。この挿入部12は、先端硬質部13と、湾曲作動される湾曲部14と、長尺の可撓管部16を先端側から順に連結することにより形成されている。挿入部12の基端部には、操作者に把持操作される操作部18が連結されている。この操作部18の先端部には、処置具を挿入するための処置具挿入口20が配設されている。操作部18の中間部は、操作者に把持される把持部22となっている。操作部18の基端部には、湾曲部14を湾曲操作するための湾曲操作ノブ24、挿入部12の先端部から送気、送液を行うための送気送液ボタン26が配設されている。そして、操作部18の基端部からユニバーサルケーブル28が延出されており、このユニバーサルケーブル28によって内視鏡10が光源装置、ビデオプロセッサ、送気送液装置に接続される。
【0018】
図1乃至図3を参照し、湾曲部14の湾曲機構を説明する。
【0019】
湾曲部14では、略円筒状の多数の湾曲駒30が互いに回動可能に共軸に並設されている。即ち、各湾曲駒30の両端面には湾曲駒30の中心軸に対称に一対の舌片部が突設されており、隣り合う両湾曲駒30の一対の舌片部同士が重ね合わされてリベット止めにより回動可能に接続されている。隣り合う両湾曲駒30間の回動方向は全ての両湾曲駒30間で共通しており、湾曲部14は上下の二方向に湾曲可能である。なお、最先端の湾曲駒30は、先端硬質部13を形成する先端硬質部材32に連結されており、最基端の湾曲駒30は、可撓管部16の先端部の接続リング34に連結されている。
【0020】
挿入部12には、湾曲部14を上方向及び下方向に夫々湾曲作動させるための上方向操作ワイヤ36a及び下方向操作ワイヤ36bが挿通されている。
【0021】
上方向操作ワイヤ36aの先端部は、最先端の湾曲駒30に固定されている。上方向操作ワイヤ36aは、湾曲部14の先端側では、湾曲駒30において概ね上の位置に形成されているワイヤ挿通孔38に挿通されガイドされている。そして、上方向操作ワイヤ36aは、湾曲部14の基端側では先端側ワイヤガイド40aに挿通されており、可撓管部16では基端側ワイヤガイド40bに挿通されている。本実施形態では、先端側ワイヤガイド40a及び基端側ワイヤガイド40bはコイルシースによって形成されている。代わって、ワイヤガイド40を樹脂チューブ等によって形成するようにしてもよい。そして、先端側ワイヤガイド40aの先端部は、湾曲部14の中間部の湾曲駒30の内周面に固定されており、基端側ワイヤガイド40bの先端部は、可撓管部16の先端部の接続リング34の内周面に固定されている。
【0022】
先端側ワイヤガイド40aの基端部及び基端側ワイヤガイド40bの先端部には、夫々、先端側当接部及び基端側当接部として、上方向操作ワイヤ36aの長手方向に略直交している先端側平面部44a及び基端側平面部44bが配設されている。本実施形態では、コイルシースの一部分に半田あるいは接着剤を付与して固化させ、この部分を切断して切断面を平面処理することで、先端側平面部44a及び基端側平面部44bを形成している。接着剤としては、好ましくはエポキシ系接着剤が用いられる。先端側平面部44a及び基端側平面部44bは、通常時は互いに極僅かだけ離間している(図2では、クリアランスを強調して描いている)。一方、先端側平面部44a及び基端側平面部44bは、上方向操作ワイヤ36aを後退操作した場合に、互いに当接されて先端側ワイヤガイド40aと基端側ワイヤガイド40bとを連結する。この結果、先端側ワイヤガイド40aと基端側ワイヤガイド40bとは突っ張り棒として機能し、湾曲部14の湾曲を規制するため、湾曲部14において、先端側ワイヤガイド40aの配置されている基端側では上方向への湾曲作動は生じない。このように、上方向操作ワイヤ36aの後退操作により、湾曲部14は比較的小さな曲率半径で上方向に湾曲される。
【0023】
一方、下方向操作ワイヤ36bの先端部も、最先端の湾曲駒30に固定されている。この下方向操作ワイヤ36bは、湾曲部14では、湾曲駒30の概ね下の位置に形成されているワイヤ挿通孔38に挿通されている。そして、下方向操作ワイヤ36bは、可撓管部16では、ワイヤガイド40に挿通されている。本実施形態では、ワイヤガイド40はコイルシースによって形成されている。ワイヤガイド40の先端部は、可撓管部16の先端部の接続リング34の内周面に固定されている。ここで、下方向操作ワイヤ36bを後退操作した場合には、上方向操作ワイヤ36aの先端側ワイヤガイド40aは、基端側ワイヤガイド40bに引っ張られることなく、先端側ワイヤガイド40aが固定されている湾曲駒30に追従して移動し、湾曲部14の全体が下方向に湾曲作動される。このように、下方向操作ワイヤ36bの後退操作により、湾曲部14は比較的大きな曲率半径で下方向に湾曲される。
【0024】
以下、挿入部12のその他の内蔵物について説明する。
【0025】
先端硬質部13の先端面部には、照明レンズ46がその先端面が露出するように組み込まれており、照明レンズ46の基端面には、照明光を伝達するライトガイド48の先端部が接続されている。このライトガイド48は、挿入部12、操作部18、ユニバーサルケーブル28を挿通されて、光源装置に接続されるようになっており、光源装置からの照明光がライトガイド48を介して照明レンズ46まで伝達される。
【0026】
また、先端硬質部13の先端面部には、対物レンズ群50がその先端面が露出するように組み込まれており、対物レンズ群50の基端面には、観察象を伝達するイメージガイド52の先端部が接続されている。このイメージガイド52は、挿入部12、操作部18を挿通されて、操作部18内の撮像ユニットに接続されている。この撮像ユニットは、観察像を撮像し、ユニバーサルケーブル28に挿通されている信号線を介して、画像信号をビデオプロセッサに出力する。
【0027】
さらに、先端硬質部13には、処置具チャンネル54を形成するチャンネルチューブ56の先端部が固定されている。この処置具チャンネル54は、挿入部12、操作部18を挿通されて、操作部18の処置具挿入口20に接続されている。なお、処置具チャンネル54は、挿入部12において送気送液用のチャンネルを兼ねている。即ち、操作部18において、チャンネルチューブ56は分岐されており、一方の分岐チューブは処置具挿入口20に接続されており、他方の分岐チューブはユニバーサルケーブル28を挿通されて、送気送液装置に接続されるようになっている。
【0028】
ここで、湾曲部14は、夫々異なった曲率半径で二方向に湾曲されるが、処置具チャンネル54は、小さな曲率半径で湾曲される際に外側に配置されるように位置されている。即ち、処置具チャンネル54は、挿入部12の横断面において下側に配置されている。このため、湾曲部14が小さな曲率半径で湾曲される際にも、処置具チャンネル54の曲率半径はそれほど小さくはならない。
【0029】
図4を参照し、処置具チャンネル54と対物レンズ群50とは、先端硬質部13の横断面において、湾曲方向に対して、処置具チャンネル54の中心軸と対物レンズ群50の中心軸との間の距離が短くなるように配置されている。即ち、処置具チャンネル54と対物レンズ群50とは、上下方向へと並設されておらず、処置具チャンネル54の斜め上方に対物レンズ群50が配置されている。このため、処置具チャンネル54からの処置具の突出位置が対物レンズ群50の中心軸により近づくこととなり、観察視野において処置具が観察視野の中心により近づくこととなる。
【0030】
図5を参照し、可撓管部16では、可撓管部16の長手方向に所定距離だけ離間して、内蔵物48,52,56の捩れを規制する規制部材58が配設されている。この規制部材58は、肉厚円筒形状の内周面に凹凸形状を形成した形態を有し、凹凸形状に内蔵物48,52,56が嵌り込むことで内蔵物48,52,56の捩れが規制される。なお、可撓管部16の全長にわたって規制部材58を設けるようにしてもよいし、内蔵物48,52,56側に凹凸形状を形成することにより、内蔵物48,52,56の捩れを規制するようにしてもよい。
【0031】
また、可撓管部16の内径は、先端側から基端側へと徐々に大きくなっている。このため、可撓管部16の基端側では、可撓管内において、可撓管内周面及び複数の内蔵物48,52,56間のクリアランスが大きくなっている。
【0032】
次に、本実施形態の内視鏡挿入部12の作用について説明する。
【0033】
図6Aを参照し、湾曲部14を上方向に湾曲作動させる場合には、湾曲操作ノブ24を操作して、上方向操作ワイヤ36aを後退操作する。この結果、先端側ワイヤガイド40aの先端側平面部44aが基端側ワイヤガイド40bの基端側平面部44bに当接されて、両ワイヤガイド40が連結される。上方向操作ワイヤ36aをさらに後退操作すると、先端側ワイヤガイド40aと基端側ワイヤガイド40bとが突っ張り棒として機能するため、湾曲部14において、先端側ワイヤガイド40aの配置されている基端側では湾曲が生じず、先端側ワイヤガイド40aの配置されていない先端側で湾曲が生じる。このようにして、湾曲部14は、比較的小さな曲率半径で上方向に湾曲される。
【0034】
図6Bを参照し、湾曲部14を下方向に湾曲作動させる場合には、湾曲操作ノブ24を操作し、下方向操作ワイヤ36bを後退操作して、湾曲部14の全体を下方向に湾曲作動させる。この際、先端側ワイヤガイド40aは、基端側ワイヤガイド40bに引っ張られることなく、先端側ワイヤガイド40aが固定されている湾曲駒30に追従して移動されるため、先端側ワイヤガイド40aが湾曲部14の中心軸に向かって移動してしまうことがない。このようにして、湾曲部14は、比較的大きな曲率半径で下方向に湾曲される。
【0035】
なお、先端側ワイヤガイド40aは、挿入部12内に押し込まれるような形態となっておらず、先端側ワイヤガイド40aには押し込みに対する反発力は生じず、反発力によって湾曲部14に不要な湾曲が生じることはない。
【0036】
湾曲部14の湾曲作動時には、先端硬質部13に先端部が組み付けられている複数の内蔵物48,52,56が挿入部12内で挿入部12の軸方向に進退される。ここで、可撓管部16の内径は、先端側から基端側へと徐々に大きくなっており、可撓管部16の基端側では、可撓管内周面及び複数の内蔵物48,52,56間のクリアランスが大きくなっているため、挿入部12内での内蔵物48,52,56の進退が円滑に行われる。また、可撓管部16では、規制部材58によって内蔵物48,52,56の捩れが規制されるため、進退操作において内蔵物48,52,56に捩れが生じることが少なく、挿入部12内での内蔵物48,52,56の進退がさらに円滑に行われる。
【0037】
内視鏡観察下、患部に処置を行う場合には、処置具59を処置具挿入口20に挿入し、処置具チャンネル54を挿通して、先端硬質部13から処置具59の先端部を突出させる。ここで、湾曲部14が上方向に湾曲される場合には、湾曲部14の曲率半径は比較的小さくなるが、処置具チャンネル54は外側に配置されるため、処置具チャンネル54の曲率半径はそれほど小さくはならない。このため、処置具を湾曲部14の基端側から先端側へと円滑に挿通することができ、また、処置具59を湾曲部14に挿通している状態で湾曲部14を湾曲作動させる際にも、処置具59に無理な力が負荷されない。
【0038】
そして、先端硬質部13から処置具59の先端部を突出させ、処置具59と患部とを観察しながら処置を行う。ここで、処置具チャンネル54の内径は処置具59の外径よりも大きく、湾曲部14が湾曲されている場合には、処置具59の直線状に戻ろうとする力により、処置具59は、挿入部12の中心軸に平行には突出せず、斜めに突出することとなる。湾曲部14が下方向に湾曲され、処置具チャンネル54が内側に配置された場合には、処置具59は処置具チャンネル54よりも内側に配置されている対物レンズ群50の観察視野の中心へと接近するように突出される(図6B参照)。一方、湾曲部14が上方向に湾曲され、処置具チャンネル54が外側に配置された場合には、処置具59は対物レンズ群50の観察視野の中心から離間するように突出される(図6A参照)。湾曲方向に対して、処置具チャンネル54の中心軸と対物レンズ群50の中心軸との間の距離は短くなっており、処置具チャンネル54からの処置具59の突出位置は対物レンズ群50の中心軸に近くなっているため、処置具59が対物レンズ群50の観察視野の中心から離間するように突出される場合であっても、処置具59は観察視野の中心から離れすぎることはない。
【0039】
従って、本実施形態の内視鏡挿入部12は次の効果を奏する。
【0040】
本実施形態の内視鏡挿入部12では、上方向操作ワイヤ36aを後退させて湾曲部14を湾曲させる場合には、先端側平面部44a及び基端側平面部44bが互いに当接され、先端側ワイガイド40aが突っ張り棒として機能して湾曲部14の湾曲を規制している。また、上方向操作ワイヤ36aが前進される場合には、先端側ワイヤガイド40aは基端側ワイヤガイド40bに引っ張られることなく移動されるため、先端側ワイガイド40aが湾曲部14の中心軸に向かって移動されることが防止されている。さらに、先端側ワイヤガイド40aは、挿入部12内に押込まれるような形態となっておらず、先端側ワイヤガイド40aに生じる押し込みに対する反発力によって湾曲部14に不要な湾曲が生じることが防止されている。このように、本実施態様の内視鏡挿入部12では、必要かつ適切な湾曲作動が可能となると共に、内蔵物48,52,56の損傷が防止されている。
【0041】
また、互いに当接される先端側平面部44a及び基端側平面部44bは、上方向操作ワイヤ36aの長手方向に略直交しているため、長手方向に対して傾斜している場合と比較して、当接時に互いにずれてしまうことが少なくなっている。このため、先端側ワイヤガイド40a及び基端側ワイヤガイド40aの突っ張り棒としての機能が充分に確保される。
【0042】
さらに、半田あるいは接着剤を用いて先端側平面部44a及び基端側平面部44bを形成しているため、別体的な部材を先端側ワイヤガイド40a及び基端側ワイヤガイド40bに取り付けることにより形成する場合と比較して、取り付けのための機構を省略することでき、先端側平面部44a及び基端側平面部44bの大型化を回避することが可能となっている。
【0043】
特に、ワイヤガイド40をコイルシースによって形成する場合には、コイルシースを単に切断しただけでは、素線の切断部が露出されることとなるため、コイルシースの切断部を当接部として用いることはできない。これに対して、コイルシースの一部分に半田あるいは接着剤を付与して固化させ、この部分を切断して切断面を平面処理することで、最適な当接部を得ることができる。
【0044】
加えて、可撓管部16の内径は、先端側から基端側へと徐々に大きくなっており、可撓管部16の基端側では、可撓管内周面及び複数の内蔵物48,52,56間のクリアランスが大きくなっている。また、可撓管部16では、規制部材58によって、内蔵物48,52,56に捩れが生じることが防止されている。このため、湾曲部14の湾曲作動時には、挿入部12内での内蔵物48,52,56の進退を円滑に行うことが可能となっており、内蔵物48,52,56同士の摩擦や内蔵物48,52,56の折れ等が回避され、湾曲作動時における内蔵物48,52,56の損傷が防止されている。
【0045】
そしてまた、処置具チャンネル54は、湾曲部14が小さな曲率半径で湾曲される際に外側に配置され、処置具チャンネル54の曲率半径がそれほど小さくはならないようになっている。このため、湾曲部14の湾曲時において、処置具59を円滑に挿通することができ、また、処置具59に無理な力が負荷されないようになっている。
【0046】
加えてまた、湾曲方向に対して、処置具チャンネル54の中心軸と対物レンズ群50の中心軸との間の距離が短くなっている。湾曲部14が湾曲され、処置具チャンネル54が外側に配置された場合には、処置具59は対物レンズ群50の観察視野の中心から離間するように突出されることとなるが、処置具チャンネル54からの処置具59の突出位置は対物レンズ群50の中心軸に近くなっているため、処置具59が観察視野の中心から離れすぎることはない。従って、処置具59を確実に視認することが可能となっている。
【0047】
本実施形態では、湾曲部14が小さな曲率半径で湾曲される際に、処置具チャンネル54が外側に配置されるようにして、処置具チャンネル54の曲率半径がそれほど小さくならないようにしている。代わって、湾曲部14が小さな曲率半径で湾曲される際に、イメージガイド52が外側に配置されるようにして、イメージガイド52の曲率半径がそれほど小さくならないようにしてもよい。この場合には、湾曲作動により比較的損傷しやすく、損傷によりその機能が劣化しやすいイメージガイド52を適切に保護することが可能となる。
【0048】
図7は、本発明の第2実施形態を示す。第1実施形態と同様な機能を有する構成には、同一の参照符号を付して説明を省略する。
【0049】
本実施形態では、先端側当接部及び基端側当接部として、互いに当接係合される先端側係合部60a及び基端側係合部60bを用いている。これら先端側係合部60a及び基端側係合部60bは、先端側ワイヤガイド40aの基端部及び基端側ワイヤガイド40bの先端部に、夫々、先端側当接部材及び基端側当接部材としての略円筒形状の先端側係合部材62a及び基端側係合部材62bを外挿固定することにより形成されている。先端側係合部60aの基端部は半円状の凸形状をなし、基端側係合部60bの先端部は半円状の凹形状をなしている。そして、上方向操作ワイヤ36aが後退操作される場合には、凸形状と凹形状とが互いに当接係合されて、両ワイヤガイド40a,40bが連結される。
【0050】
従って、本実施形態の内視鏡挿入部12は次の効果を奏する。
【0051】
本実施形態の内視鏡挿入部12では、先端側係合部60a及び基端側係合部60bは当接時に互いに係合されるため、先端側係合部60a及び基端側係合部60bが当接時に互いにずれてしまうことが充分に防止されている。このため、先端側ワイヤガイド40a及び基端側ワイヤガイド40bの突っ張り棒としての機能が十全に確保される。
【0052】
また、先端側ワイヤガイド40a及び基端側ワイヤガイド40bの端部に、夫々、先端側係合部材62a及び基端側係合部材62bを設けることにより先端側係合部60a及び基端側係合部60bを形成しているため、複雑な形状の先端側係合部60a及び基端側係合部60bを容易に形成することが可能となっている。
【0053】
図8は、本発明の第2実施形態の変形例を示す。本変形例では、先端側係合部60aの基端部は三角形状の凸形状をなし、基端側係合部60bの先端部は三角形状の凹形状をなしている。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第1実施形態の内視鏡を示す斜視図。
【図2】本発明の第1実施形態の内視鏡の挿入部を示す縦断面図。
【図3】本発明の第1実施形態の内視鏡の挿入部の観察光学系を示す縦断面図。
【図4】本発明の第1実施形態の内視鏡の挿入部の先端硬質部を示す正面図。
【図5】本発明の第1実施形態の内視鏡の挿入部の可撓管部を示す横断面図。
【図6A】本発明の第1実施形態の内視鏡の湾曲部の比較的小さな曲率半径での湾曲作動を示す模式図。
【図6B】本発明の第1実施形態の内視鏡の湾曲部の比較的大きな曲率半径での湾曲作動を示す模式図。
【図7】本発明の第2実施形態の内視鏡の先端側ワイヤガイド及び基端側ワイヤガイドを示す縦断面図。
【図8】本発明の第2実施形態の変形例の内視鏡の先端側ワイヤガイド及び基端側ワイヤガイドを示す縦断面図。
【符号の説明】
【0055】
12…挿入部、14…湾曲部、16…可撓管部、36a…操作ワイヤ、40a…先端側ワイヤガイド、40b…基端側ワイヤガイド、44a;60a…先端側当接部、44b;60b…基端側当接部。
【出願人】 【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−437(P2008−437A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173982(P2006−173982)