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【発明の名称】 X線診断装置及びX線撮影方法
【発明者】 【氏名】儘田 和広

【氏名】山本 修三

【要約】 【課題】被検体を載置する寝台と、X線発生器及びX線検出器を支持する回転アームとを相対的に回転させることにより、撮影時の回転速度を上げることができるX線診断装置及びX線撮影方法を提供する。

【構成】被検体を載置しこの被検体の体軸を所定の角度範囲内で回転可能な寝台と、被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが寝台を挟んで対向するように取付けられ、X線発生部とX線検出器を寝台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームと、回転アームと寝台をそれぞれ所定の角度範囲内で相対的に回転させ、その回転途中においてX線発生部からX線を照射して被検体の撮影を行う制御部と、撮影により生成された画像データを利用して医用画像を表示する表示部とを具備する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を載置し、この被検体の体軸を所定の角度範囲内で回転可能な寝台と、
被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記寝台を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記寝台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームと、
前記回転アームと前記寝台をそれぞれ所定の角度範囲内で相対的に回転させ、その回転途中において前記X線発生部からX線を照射して前記被検体の撮影を行う制御部と、
前記被検体の撮影により生成された画像データを利用して医用画像を表示する表示部と、を具備したことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記被検体に造影剤を注入する前と被検体に造影剤を注入した後とで同一の手順で撮影を行い、
前記表示部は、前記造影剤を注入する前と注入後の画像データを減算処理して得たサブトラクション画像を表示することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記寝台が水平状態にあり前記X線発生部と前記X線検出器を結ぶ軸線が寝台の水平面と直交する状態を基準にしたとき、前記寝台を前記基準の状態から第1の方向に所定の角度だけ回転させ、前記回転アームを前記第1の方向と逆の第2の方向に回転させ、前記寝台が最大回転角度の位置にあるとき、前記回転アームの前記軸線が前記寝台の面とほぼ平行になるように回転制御することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記回転アームと前記寝台の回転速度をそれぞれ変化可能であって、前記回転アームが回転している間に、前記寝台を所定の角度範囲内で反復運動させることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記寝台の回転と、前記回転アームの回転速度を任意に調整して相対的な回転速度を変化させ、相対的な回転速度が遅くなるタイミングに合わせて前記X線発生部からX線を照射することを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記回転アームは、前記被検体の体軸の周りに回転可能であり、かつアームの径方向に回動可能であることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記回転アームを固定し、前記寝台のみを回転可能にしたことを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項8】
被検体を載置し、この被検体の体軸を所定の角度範囲内で回転可能な寝台と、
前記被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記寝台を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記寝台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームと、
前記回転アームと前記寝台を所定の角度範囲内で回転させ、前記回転アームと前記寝台を互いに逆方向に回転制御可能な回転制御部と、
前記回転アームと前記寝台の回転途中における所定のタイミングで前記X線発生部からX線を照射し、前記被検体の撮影を行うX線制御部と、
前記X線制御部を制御して、前記被検体に造影剤を注入する前と被検体に造影剤を注入した後とで同一の手順で撮影を行うように制御するシステム制御部と、
前記X線検出部の検出結果に基いて生成された画像データを保存可能な記憶部を有する画像データ生成部と、
前記記憶部に記憶された造影剤を注入する前の画像データと注入後の画像データを減算処理してサブトラクション画像を取得する表示データ生成部を有する表示部と、を具備したことを特徴とするX線診断装置。
【請求項9】
被検体を立位状態で載置可能であって、被検体を体軸周りに所定の角度範囲内で回転可能な載置台と、
前記被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記被検体を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記載置台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームと、
前記回転アームと前記載置台をそれぞれ所定の角度範囲内で相対的に回転させ、その回転途中において前記X線発生部からX線を照射して前記被検体の撮影を行う制御部と、
前記被検体の撮影により生成された画像データを利用して医用画像を表示する表示部と、を具備したことを特徴とするX線診断装置。
【請求項10】
被検体を載置しこの被検体の体軸を所定の角度範囲内で回転可能な寝台と、
前記被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記寝台を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記寝台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームとを有し、
前記回転アームと前記寝台を所定の角度範囲内でそれぞれ互いに逆方向に回転させ、
前記回転アームと前記寝台の回転途中における所定のタイミングで前記X線発生部からX線を照射し、前記被検体に造影剤を注入する前と被検体に造影剤を注入した後とで同一の手順で撮影を行い、
前記造影剤を注入する前と造影剤を注入した後との撮影によって生成された画像データを記憶部に保存し、
前記記憶部に記憶された造影剤を注入する前の画像データと注入後の画像データを減算処理してサブトラクション画像を取得し、
前記サブトラクション画像を表示部に表示することを特徴とするX線撮影方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、X線診断装置及びX線撮影方法に係り、特に造影剤を使用して循環器系疾患の診断を行うX線診断装置及びX線撮影方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、循環器系のX線診断は、被検体の血管内に造影剤を注入して血管造影を行う血管造影法が用いられている。また、被検体に造影剤を注入する前の画像(マスク画像と呼ばれる)と注入後の画像(コントラスト画像又はライブ画像と呼ばれる)を減算処理することにより、血管部分を見やすく抽出したDSA(Digital Subtraction angiography)画像を得、このDSA画像を利用して診断を行うようにしている。
【0003】
循環器診断用のX線診断装置としては、例えばX線発生器とX線検出器とをCアームと呼ばれる支持機構で保持し、支持機構の中心部に配置した寝台上に被検体を載置して、所定の角度方向から撮影し、それぞれ異なる複数の方向から撮影したマスク画像とコントラスト画像とを収集して、それらの画像データの差分を抽出することで血管像を取得する例が一般的に知られている。
【0004】
たとえば特許文献1には、X線管球と二次元検出器とをC型の回転アームで保持し、回転アームを回転させてX線を曝射し、二次元検出器による検出結果をもとに投影データの収集を行い、造影剤の注入前と注入後の画像(マスク像とライブ像)データをメモリに記憶し、差分化処理を行う例が記載されている。
【0005】
ところで、上記した循環器X線診断装置においては、Cアームを回転しながら被検体を異なる方向から撮影するようにしているが、血流速度が速いため、検査部位によっては速い回転速度が求められる場合がある。しかしながらCアームの回転速度には限界がある。回転速度が遅くなる要因として、Cアームは、回転運動する部分が200Kg以上の質量があることと、アーム回転部分が回転中心から離れていること等が考えられ、さらにアーム回転時の加速、減速にかかる力が大きいことも回転速度が遅くなる一因となっている。
【0006】
また、静止状態で撮影した画像と、回転撮影した画像の解像度を比較すると、撮影部位によっては、回転撮影した画像の解像度が悪くなることがある。回転撮影した画像では十分な診断ができない場合、再度撮影し直さなければならず、その分、被曝、造影剤の注入量が増え、患者の負担になる。さらに回転撮影では、回転運動による画像のブレを生じ易く、撮影時間を短縮しようとして回転速度を速くすると画像のブレの発生を助長することになる。
【特許文献1】特開平11−113892号公報(図1,図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、循環器X線診断装置においては、Cアームを回転しながら被検体を異なる方向から撮影するようにしているが、回転角度が大きく質量が重いため、回転速度が遅く撮影時間が長くなるという不具合があった。また、撮影部位によっては、回転撮影した画像の解像度が悪くなることがあり、回転運動による画像のブレを生じることがあった。
【0008】
本発明は、被検体を載置する寝台と、X線発生器及びX線検出器を支持する回転アームとを相対的に回転させることにより、撮影時の回転速度を上げることができるX線診断装置及びX線撮影方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の本発明のX線診断装置は、被検体を載置し、この被検体の体軸を所定の角度範囲内で回転可能な寝台と、被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記寝台を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記寝台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームと、前記回転アームと前記寝台をそれぞれ所定の角度範囲内で相対的に回転させ、その回転途中において前記X線発生部からX線を照射して前記被検体の撮影を行う制御部と、前記被検体の撮影により生成された画像データを利用して医用画像を表示する表示部と、を具備したことを特徴とする。
【0010】
請求項8記載の本発明のX線診断装置は、被検体を載置し、この被検体の体軸を所定の角度範囲内で回転可能な寝台と、前記被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記寝台を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記寝台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームと、前記回転アームと前記寝台を所定の角度範囲内で回転させ、前記回転アームと前記寝台を互いに逆方向に回転制御可能な回転制御部と、前記回転アームと前記寝台の回転途中における所定のタイミングで前記X線発生部からX線を照射し、前記被検体の撮影を行うX線制御部と、前記X線制御部を制御して、前記被検体に造影剤を注入する前と被検体に造影剤を注入した後とで同一の手順で撮影を行うように制御するシステム制御部と、前記X線検出部の検出結果に基いて生成された画像データを保存可能な記憶部を有する画像データ生成部と、前記記憶部に記憶された造影剤を注入する前の画像データと注入後の画像データを減算処理してサブトラクション画像を取得する表示データ生成部を有する表示部と、を具備したことを特徴とする。
【0011】
また、請求項9記載の本発明のX線診断装置は、被検体を立位状態で載置可能であって、被検体を体軸周りに所定の角度範囲内で回転可能な載置台と、前記被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記被検体を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記載置台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームと、前記回転アームと前記載置台をそれぞれ所定の角度範囲内で相対的に回転させ、その回転途中において前記X線発生部からX線を照射して前記被検体の撮影を行う制御部と、前記被検体の撮影により生成された画像データを利用して医用画像を表示する表示部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
さらに、請求項10記載の本発明のX線撮影方法は、被検体を載置しこの被検体の体軸を所定の角度範囲内で回転可能な寝台と、前記被検体に対してX線を照射するX線発生部と被検体を透過したX線を検出するX線検出器とが前記寝台を挟んで対向するように取付けられ、前記X線発生部とX線検出器を前記寝台上の被検体の体軸周りに回転可能にした回転アームとを有し、前記回転アームと前記寝台を所定の角度範囲内でそれぞれ互いに逆方向に回転させ、前記回転アームと前記寝台の回転途中における所定のタイミングで前記X線発生部からX線を照射し、前記被検体に造影剤を注入する前と被検体に造影剤を注入した後とで同一の手順で撮影を行い、前記造影剤を注入する前と造影剤を注入した後との撮影によって生成された画像データを記憶部に保存し、前記記憶部に記憶された造影剤を注入する前の画像データと注入後の画像データを減算処理してサブトラクション画像を取得し、前記サブトラクション画像を表示部に表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、寝台と回転アームを相対的に回転させることにより、撮影時間の短縮を図って患者への負担を軽減し、また、鮮明な画像データを得ることができるX線診断装置及びX線撮影方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の一実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0015】
図1は、本発明のX線診断装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。図1において、11は被検体Pを載置するための寝台であり、12はC型の回転アームである。回転アーム12の一端部にはX線発生部13が取り付けられ、回転アーム12の他端部にはX線発生部13に対向してX線検出器14が取り付けられている。
【0016】
X線発生部13は、X線管球15を含み、X線制御部16の制御のもとに動作する。X線管球15は陰極(フィラメント)から放出された電子を高電圧によって加速してタングステン陽極に衝突させてX線を発生する。X線管球15からのX線は被検体Pを透過してX線検出器14で検出される。X線検出器14は二次元的に配列された微小な検出素子群によって構成され、X線検出器14によって検出された電荷は電圧に変換され、さらにデジタル信号に変換されて、投影データ生成部17に供給される。
【0017】
被検体Pを載置する寝台11及び回転アーム12は、それぞれ寝台制御部18と回転アーム制御部19によって、所定の角度範囲内において相対的に回転可能であり、システム制御部20によって回転角度等が制御される。また、投影データ生成部17から供給されるX線投影データは、画像データ処理部21に供給される。
【0018】
画像データ処理部21は、投影データ生成部17から供給されるX線投影データを処理して画像データを生成し、被検体に造影剤を注入する前の画像(マスク画像)と注入後の画像(コントラスト画像)を記憶部22に保存する。さらに表示部23は、表示用データ生成部24と、モニター25を有し、表示用データ生成部24では、画像データ処理部21に保存されたマスク画像とコントラスト画像の減算処理を行って表示用データを生成し、例えば血管画像などの医用画像をモニター25に表示する。
【0019】
システム制御部20は、ユーザ(医師等)によって操作可能な操作部26の操作に応答して、各部(16,17,18,19,21,23)の動作を制御する。
【0020】
図2は、回転アーム12に取り付けられたX線発生部13とX線検出器14、及び寝台11の構成を概略的に示したもので、寝台11を挟むようにX線発生部13とX線検出器14が対向しており、回転アーム12は、アーム駆動部27によって被検体Pの体軸の周りを矢印αで示すように所定角度だけ回動可能になっている。また、回転アーム12は、アームの径方向(矢印β方向)に所定の範囲で回動可能になっている。
【0021】
さらに寝台11は、図2の円Aに示すように、被検体Pを載置した状態で所定の角度θだけ回転可能になっている。
【0022】
次に図3〜図6を参照して本発明のX線診断装置の動作について説明する。本発明では、被検体に造影剤を注入する前の画像(マスク画像)と、造影剤を注入後の画像(コントラスト画像)を減算処理することにより、血管部分を抽出してDSA(Digital Subtraction angiography)画像を得るものである。以下DSA画像をサブトラクション画像と呼ぶ。
【0023】
先ず、被検体に造影剤を注入せずに、図3(a)で示すように回転アーム12を所定の角度ずつ(例えば1度ずつ)所定の範囲内で回転し、それぞれの角度位置でX線発生部13から被検体Pに対してX線を照射し、それぞれ投影画像データ(マスク画像)を得る。図3(b)はX線の照射タイミングを示すもので、例えば1秒間に30回、曝射する。図4(a)はマスク画像の一例を示すもので、造影剤を注入する前の画像であるため、骨部の画像は見えるが血管画像は見えない。
【0024】
こうしてマスク画像が取得された後、次に被検体に造影剤を注入して、先と同様に、図3(a)で示すように回転アーム12を所定の角度ずつ(例えば1度ずつ)所定の範囲内で回転し、それぞれの角度位置でX線発生部13から被検体Pに対してX線を照射し、それぞれ投影画像データ(コントラスト画像)を得る。図4(b)はコントラスト画像の一例を示すもので、造影剤を注入後であるため、骨部の画像のほかに血管画像が観られる。こうしてマスク画像用の撮影とコントラスと画像用の撮影が行われる。図4(c)は、マスク画像とコントラスト画像とを減算処理して得たサブトラクション画像を示し、差分画像である血管画像のみが抽出される。
【0025】
こうして、回転アーム12を所定の角度ずつ回転させ、被検体に造影剤を注入する前の画像と、造影剤を注入後の画像を取得し、減算処理することにより血管部分を抽出してサブトラクション画像を得る訳であるが、本発明では回転アーム12の回転に連動して寝台11を相対的に回転させる点に特徴がある。
【0026】
図5、図6は、本実施形態における回転アーム12と寝台11の回転制御を説明する図であり、図5は回転アーム12のみを回転させる場合を示し、図6は回転アーム12と寝台11を相対的に回転させる場合を示している。
【0027】
図5で示すように、回転アーム12のみを回転させる従来一般の方式では、例えば被検体Pの左側面から底面部を通って右側面までの範囲を撮影しようとすると、約200度の範囲内で回転アーム12を回転する必要がある。即ち、図5(a)は回転アーム12を時計回り方向に約100度回転させて、被検体の左側面からX線を照射して撮影する状態を示し、図5(b)は被検体の底面部からX線を照射して撮影する状態を示し、図5(c)は回転アーム12を反時計回り方向に約100度回転させて、被検体の右側面からX線を照射して撮影する状態を示している。
【0028】
つまり、図5(b)の状態を回転角度0度とすると、0度を中心に100度ずつ、計200度の角度範囲内で回転させる必要がある。したがって、回転アーム12の回転角度が大きくなつてしまう。回転アーム12はその質量が200Kgを越えるため、速く動かそうとする振動が発生したり、所定の角度で停止しようとするとオーバーランしてしまう。
【0029】
一方、図6は、本発明のX線診断装置において、回転アーム12の回転に連動して寝台11を逆方向に回転させた場合を示している。この場合、図6で示すように、例えば被検体Pの左側面から底面部を通って右側面までの範囲内を撮影しようとすると、約100度の範囲内で回転アーム12を回転させれば良く、回転アーム12の回転角度は従来の半分の回転角度で済む。
【0030】
図6(a)は被検体の左側面からX線を照射して撮影する状態を示し、回転アーム12は時計回り方向に約50度回転している。このとき寝台11が逆方向(反時計回り方向)に約45度回転するため、回転アーム12は約50度の回転で被検体Pの左側面部を撮影することができる。図6(b)は被検体の底面部からX線を照射して撮影する状態を示し、寝台11が水平状態にあり、X線発生部13とX線検出器14を結ぶ軸線aが寝台11の水平面と直交する状態にある。また、図6(c)は被検体の右側面からX線を照射して撮影する状態を示し、回転アーム12は反時計回り方向に約50度回転している。このとき寝台11が逆方向(時計回り方向)に約45度回転するため、回転アーム12は約50度の回転で被検体Pの右側面部を撮影することができる。
【0031】
図6(a),(c)に示すように、寝台11が最大回転角度の位置にあるとき、回転アーム12の軸線aは寝台11の面とほぼ平行になるような回転位置にあり、図6(b)の状態を回転角度0度(基準状態)とすると、0度を中心に左右に約50度ずつ、計100度程度の角度範囲内で回転させるだけで、必要な領域を撮影することができる。したがって、回転アーム12の回転角度を小さくすることができる。
【0032】
回転アーム12の回転角度が小さくなることにより、回転アーム12の移動距離は短くなり、回転速度が従来と同じであれば約半分の時間で撮影することができる。撮影時間が短くなる分、被検体への造影剤の注入量は少なくて済むため、患者への負担を低減することができる。特に血流速度が速い部位を撮影する場合は、撮影時間の短縮は意義がある。
【0033】
また、従来のように、回転アーム12の回転角度が大きい場合、回転アーム12の移動距離が長くなるため、撮影時間を短くしようとすると回転速度を速くする必要がある。このため回転速度が速くなる程、撮影した画像にブレを生じやすくなる。一方、本発明では、回転アーム12の移動距離が短くなるため、従来と同じ撮影時間であれば回転速度を遅くすることができ、撮影した画像のブレを少なくすることができる。
【0034】
また、回転アーム12の回転角度が小さくなったことにより、回転時の振動を抑えることができ、回転アーム12を停止しようとしたとき、制動力を高くすることができる。しかも、寝台11は回転アーム12よりも質量が小さいため、寝台11と回転アーム12を回転させたときに、回転運動する部分の質量を小さくでき、回転制御が容易になる。また、回転、停止、逆回転に必要な力が少なくて済む。このため、回転、停止、逆回転を繰り返しても、機械的な振動が生じにくくなる。
【0035】
尚、回転アーム12の回転に連動して寝台11を逆方向に回転させる場合、その回転速度はシステム制御部20によって制御可能であり、システム制御部20は、寝台制御部18及び回転アーム制御部19を制御して回転アーム12と寝台11を逆の方向に回転させる信号を出す。回転アーム12及び寝台11が回転している間にX線発生部13からはX線が曝射され、X線検出部14によって検出される。
【0036】
寝台11と回転アーム12は、例えば回転アーム12が回転している間に、寝台11を所定の角度範囲内で反復運動させることにより、相対的に回転速度を変化させることができる。また、寝台11の傾斜角を大きくした場合は、回転アーム12の回転角度を小さくすることができる。逆に寝台11の傾斜角を小さくしたい場合は、回転アーム12の回転角度を大きくすれば良く、寝台11の傾斜角と回転アーム12の回転角度によって両者の回転速度が設定される。
【0037】
曝射のタイミングは任意に設定可能であり、相対的に回転角度が速くなって撮影時間が短くなるため、X線発生部13からは例えば1度間隔でX線を曝射していたのを0.5度の間隔でX線を曝射することにより、X線検出部14からは同じ分解能の検出結果を得ることができる。
【0038】
こうして、寝台11が反復運動し回転アーム12が所定の角度範囲内で回転する間に所定のタイミングで曝射が行われ、マスク画像の生成が行われる。このあと寝台11と回転アーム12は元の状態に復帰するが、この復帰の期間、曝射は行われない。そして次に造影剤を注入した状態で同じ手順で撮影が行われ、再び寝台11を反復運動させ回転アーム12を所定の角度範囲内で回転させ、その間に所定のタイミングで曝射が行われる。これによりコントラスト画像の生成が行われる。
【0039】
尚、回転アーム12は、被検体Pの体軸の周りを回転して撮影を行うほか、アームの径方向(図2β方向)に回動させて撮影することもできる。
【0040】
以上は、回転アーム12の回転と寝台11の反復運動を組み合わせた例であるが、回転アーム12を固定し、寝台11のみを回転して撮影するようにしても良い。この場合、被検体Pの撮影範囲は狭くなるが、重量物である回転アーム12を回転させる必要がないため、操作が楽になる。
【0041】
また、寝台11の回転と、回転アーム12の回転速度を任意に調整して相対的な回転速度を変化させ、相対的な回転速度が遅くなるタイミングに合わせてX線を曝射するようにしても良い。血流速度が比較的遅い部位を撮影する場合は、回転速度を遅くしてX線を曝射することにより、撮影した画像のブレを減らすことができ、より鮮明な画像データを得ることができる。
【0042】
さらに、寝台11を回転させるため、寝台11の傾斜角度を大きくすると、患者が落ちてしまう危険性が発生する。このため、寝台11の回転角度は患者が落ちない程度の角度に設定したり、患者の落下を防ぐため締結バンドを用いて患者を寝台11に固定する等の手段を設けると良い。
【実施例2】
【0043】
図7は本発明のX線診断装置の第2の実施形態を示す構成図である。第1の実施形態の場合、寝台11の傾斜角度を大きくすると、患者が落ちてしまう危険性があるため、寝台11の回転角度を制限したり、締結バンドを用いる必要があるが、図7は被検体Pを立位で撮影できるようにしたX線診断装置である。
【0044】
即ち、図7は、被検体Pを回転可能な載置台30の上に立たせるようにし、アーム駆動部27を天井部に取り付け、アーム駆動部27によって回転アーム12を矢印αで示すように被検体Pの体軸の周りに回動可能にしたものである。この場合も、載置台30は所定の角度範囲内で回動可能になっており、回転アーム12と載置台30は互いに逆方向に回転するように制御される。
【0045】
回転アーム12には、X線発生部13とX線検出器14が対向して取り付けられ、回転アーム12は、アームの径方向(矢印β方向)に所定の範囲で回動可能になっている。この実施形態では、患者は立位で撮影可能であるため、寝台から落ちる心配がなくなる。また、患者の立位を支えるように支持板31を設け、患者が倒れるのを防ぐようにしても良い。
【0046】
こうして本発明では、寝台11(又は載置台30)と回転アーム12の回転を組み合わせることにより、撮影時間の短縮を図って患者への負担を軽減したり、より鮮明な画像データを得ることができる。尚、特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明のX線診断装置の一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態における主要部の構成を示す構成図。
【図3】同実施形態によるマスク画像とコントラス画像の生成手順を説明する説明図。
【図4】同実施形態によるサブトラクション画像の生成手順を説明する説明図。
【図5】一般的なX線診断装置における回転アームの動作を説明する説明図。
【図6】本発明のX線診断装置における回転アームと寝台の動作を説明する説明図。
【図7】本発明のX線診断装置の他の実施形態の構成を示す構成図。
【符号の説明】
【0048】
11…寝台
12…回転アーム
13…X線発生部
14…X線検出部
15…X線管球
16…X線制御部
17…投影データ生成部
18…寝台制御部
19…回転アーム制御部
20…システム制御部
21…画像データ処理部
22…記憶部
23…表示部
24…表示用データ生成部
25…モニター
26…操作部
27…アーム駆動部
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】110000235
【氏名又は名称】特許業務法人 天城国際特許事務所


【公開番号】 特開2008−347(P2008−347A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172834(P2006−172834)