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【発明の名称】 内視鏡用処置具
【発明者】 【氏名】杉田 憲幸

【要約】 【課題】内視鏡の処置具挿通チャンネルに通したままの状態で、先端処置部材の突出長を処置対象の患部の状態にピッタリ適合する長さに容易に調整することができ、しかも極めてシンプルで実用性の高い低コストの構成でそれを達成することができる内視鏡用処置具を提供すること。

【構成】複数の素線を撚り合わせて形成された撚り線2,2′を操作ワイヤ2の少なくとも先端近傍部分に用いると共に、撚り線2,2′の外周面に圧接されて押し潰された状態に弾性変形する軟質圧接部材4を可撓性シース1の先端近傍に設けて、操作ワイヤ2を操作部20側からの操作で軸線周りに回転操作することにより、撚り線2,2′が軟質圧接部材4との圧接係合により軸線周りに回転しながら軸線方向に進退し、それによって可撓性シース1の先端からの先端処置部材3の突出長が変化するようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シースの先端から前方に向かって突没する先端処置部材が、上記可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤの先端に連結され、上記可撓性シースの基端に連結された操作部から上記操作ワイヤを操作することにより、上記可撓性シースの先端からの上記先端処置部材の突出長を変化させることができるように構成された内視鏡用処置具において、
複数の素線を撚り合わせて形成された撚り線を上記操作ワイヤの少なくとも先端近傍部分に用いると共に、上記撚り線の外周面に圧接されて押し潰された状態に弾性変形する軟質圧接部材を上記可撓性シースの先端近傍に設けて、上記操作ワイヤを上記操作部側からの操作で軸線周りに回転操作することにより、上記操作ワイヤの先端近傍部分を形成する上記撚り線が上記軟質圧接部材との圧接係合により軸線周りに回転しながら軸線方向に進退し、それによって上記可撓性シースの先端からの上記先端処置部材の突出長が変化するようにしたことを特徴とする内視鏡用処置具。
【請求項2】
上記先端処置部材が高周波電極である請求項1記載の内視鏡用処置具。
【請求項3】
上記先端処置部材が、上記操作ワイヤの先端近傍部分を形成する撚り線の素線の一部を延出させて形成されている請求項1又は2記載の内視鏡用処置具。
【請求項4】
上記操作ワイヤが全長にわたって一つの撚り線で形成されている請求項1、2又は3記載の内視鏡用処置具。
【請求項5】
上記操作ワイヤの上記軟質圧接部材と圧接係合する部分付近とそれより基端寄りの部分とがピッチの異なる撚り線で形成されて、それら複数の撚り線が直列に連結されている請求項1、2又は3記載の内視鏡用処置具。
【請求項6】
上記操作ワイヤの上記軟質圧接部材と圧接係合する部分付近が、それより基端寄りの部分よりピッチの大きな撚り線で形成されている請求項5記載の内視鏡用処置具。
【請求項7】
上記操作ワイヤの上記軟質圧接部材と圧接係合する部分より基端寄りの部分が回転伝達能の大きなトルクワイヤで形成されている請求項5又は6記載の内視鏡用処置具。
【請求項8】
上記軟質圧接部材が、チューブ状の部材である請求項1ないし7のいずれかの項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項9】
上記軟質圧接部材が、中実の棒状の部材である請求項1ないし7のいずれかの項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項10】
上記軟質圧接部材が、上記操作ワイヤの周囲を囲む環状の部材である請求項1ないし7のいずれかの項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項11】
上記軟質圧接部材が、上記可撓性シースの内周面と上記操作ワイヤの外周面とで押し潰されて弾性変形した状態で上記可撓性シースの先端近傍内に圧入配置されている請求項1ないし10のいずれかの項に記載の内視鏡用処置具。
【請求項12】
上記軟質圧接部材が上記操作ワイヤの先端近傍部分を形成する撚り線と係合しない位置に移動するのを規制するための圧接部材移動規制手段が設けられている請求項11記載の内視鏡用処置具。
【請求項13】
上記圧接部材移動規制手段が上記可撓性シースの先端部分に取り付けられている請求項12記載の内視鏡用処置具。
【請求項14】
上記圧接部材移動規制手段が上記可撓性シース自体を変形させて形成されている請求項12記載の内視鏡用処置具。
【請求項15】
上記圧接部材移動規制手段が、上記軟質圧接部材の外周面の上記撚り線と接触せず上記可撓性シースと接触する領域に施された表面処理である請求項12記載の内視鏡用処置具。
【請求項16】
上記圧接部材移動規制手段が上記操作ワイヤに取り付けられている請求項12記載の内視鏡用処置具。
【請求項17】
上記操作部に、上記可撓性シースに対して上記操作ワイヤを軸線周りに回転操作するための手段と軸線方向に進退操作するための手段とが併設されている請求項1ないし16のいずれかの項に記載の内視鏡用処置具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに通して使用される内視鏡用処置具に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡用処置具は一般に、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シースの先端から前方に向かって突没する先端処置部材が軸線方向に進退自在に設けられて、可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤの先端に先端処置部材が連結され、操作ワイヤを軸線方向に進退操作することにより可撓性シースの先端からの先端処置部材の突出長を変化させることができるように構成されている(例えば、特許文献1、2)。
【0003】
ただし、先端処置部材を可撓性シースの先端から適当な長さ突出した状態に調整することができるだけでその状態の維持が不安定な構成では、使用中に粘膜面等から受ける力等で先端処置部材の突出長が変化してしまい、却って危険な状態になりかねない。
【0004】
そこで特許文献1に記載された発明では、先端処置部材の突出長を調整するためのネジ部材を可撓性シースの先端部分に取り付けている。また、可撓性シースが可撓性チューブで形成された特許文献2に記載された発明では、先端処置部材の基部に可撓性チューブの内径より大きな幅広部分を形成して、その幅広部分が可撓性チューブを押し広げることにより生じる摩擦抵抗で、先端処置部材の突出長を安定して維持することができるようにしている。
【特許文献1】特開2002−113016
【特許文献2】特開2005−270240
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に記載された発明のように、先端処置部材の突出長を調整するためのネジ部材を可撓性シースの先端部分に取り付ける構造では、直径が2mm程度の内視鏡用処置具としては装置が複雑で実用的でないだけでなく、可撓性シースの先端が体腔内にある状態では突出長の調整を行えないので、突出長調整を行う必要が生じる度に内視鏡の処置具挿通チャンネルから処置具を引き出さなければならないという大きな不都合がある。
【0006】
また、特許文献2に記載された発明のように、先端処置部材の基部に形成された幅広部分で可撓性チューブを押し広げる構成にすると、先端処置部材の製造コストが高くつくだけでなく、可撓性シースの先端からの先端処置部材の突出長を変化させる際には操作ワイヤを軸線方向に進退操作することになるので、突出長の微細な調整をするのは困難であり、先端処置部材の突出長を処置対象の患部の状態にピッタリ適合する長さに調整することができない場合が少なくない。
【0007】
そこで本発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに通したままの状態で、先端処置部材の突出長を処置対象の患部の状態にピッタリ適合する長さに容易に調整することができ、しかも極めてシンプルで実用性の高い低コストの構成でそれを達成することができる内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡用処置具は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シースの先端から前方に向かって突没する先端処置部材が、可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤの先端に連結され、可撓性シースの基端に連結された操作部から操作ワイヤを操作することにより、可撓性シースの先端からの先端処置部材の突出長を変化させることができるように構成された内視鏡用処置具において、複数の素線を撚り合わせて形成された撚り線を操作ワイヤの少なくとも先端近傍部分に用いると共に、撚り線の外周面に圧接されて押し潰された状態に弾性変形する軟質圧接部材を可撓性シースの先端近傍に設けて、操作ワイヤを操作部側からの操作で軸線周りに回転操作することにより、操作ワイヤの先端近傍部分を形成する撚り線が軟質圧接部材との圧接係合により軸線周りに回転しながら軸線方向に進退し、それによって可撓性シースの先端からの先端処置部材の突出長が変化するようにしたものである。
【0009】
なお、先端処置部材が高周波電極であってもよく、先端処置部材が、操作ワイヤの先端近傍部分を形成する撚り線の素線の一部を延出させて形成されていてもよい。また、操作ワイヤが全長にわたって一つの撚り線で形成されていてもよい。
【0010】
また、操作ワイヤの軟質圧接部材と圧接係合する部分付近とそれより基端寄りの部分とがピッチの異なる撚り線で形成されて、それら複数の撚り線が直列に連結されていてもよく、その場合、操作ワイヤの軟質圧接部材と圧接係合する部分付近が、それより基端寄りの部分よりピッチの大きな撚り線で形成されていてもよく、操作ワイヤの軟質圧接部材と圧接係合する部分より基端寄りの部分が回転伝達能の大きなトルクワイヤで形成されていてもよい。
【0011】
なお、軟質圧接部材が、チューブ状の部材であってもよく、中実の棒状の部材であってもよく、或いは操作ワイヤの周囲を囲む環状の部材であってもよい。
そして、軟質圧接部材が、可撓性シースの内周面と操作ワイヤの外周面とで押し潰されて弾性変形した状態で可撓性シースの先端近傍内に圧入配置されていてもよく、その場合、軟質圧接部材が操作ワイヤの先端近傍部分を形成する撚り線と係合しない位置に移動するのを規制するための圧接部材移動規制手段が設けられていてもよい。
【0012】
そのような圧接部材移動規制手段は可撓性シースの先端部分に取り付けられていてもよい。また、圧接部材移動規制手段が可撓性シース自体を変形させて形成されていてもよく、或いは、圧接部材移動規制手段が、軟質圧接部材の外周面の撚り線と接触せず可撓性シースと接触する領域に施された表面処理であってもよい。また、圧接部材移動規制手段が操作ワイヤに取り付けられていてもよい。
【0013】
また、操作部に、可撓性シースに対して操作ワイヤを軸線周りに回転操作するための手段と軸線方向に進退操作するための手段とが併設されていてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、複数の素線を撚り合わせて形成された撚り線を操作ワイヤの少なくとも先端近傍部分に用いると共に、撚り線の外周面に圧接されて押し潰された状態に弾性変形する軟質圧接部材を可撓性シースの先端近傍に設けて、操作ワイヤを操作部側からの操作で軸線周りに回転操作することにより、操作ワイヤの先端近傍部分を形成する撚り線が軟質圧接部材との圧接係合により軸線周りに回転しながら軸線方向に進退し、それによって可撓性シースの先端からの先端処置部材の突出長が変化するようにしたことにより、内視鏡用処置具を内視鏡の処置具挿通チャンネルに通したままの状態で、先端処置部材の突出長を処置対象の患部の状態にピッタリ適合する長さに容易に調整することができ、しかも極めてシンプルで実用性の高い低コストの構成でそれを達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される可撓性シースの先端から前方に向かって突没する先端処置部材が、可撓性シース内に挿通配置された操作ワイヤの先端に連結され、可撓性シースの基端に連結された操作部から操作ワイヤを操作することにより、可撓性シースの先端からの先端処置部材の突出長を変化させることができるように構成された内視鏡用処置具において、複数の素線を撚り合わせて形成された撚り線を操作ワイヤの少なくとも先端近傍部分に用いると共に、撚り線の外周面に圧接されて押し潰された状態に弾性変形する軟質圧接部材を可撓性シースの先端近傍に設けて、操作ワイヤを操作部側からの操作で軸線周りに回転操作することにより、操作ワイヤの先端近傍部分を形成する撚り線が軟質圧接部材との圧接係合により軸線周りに回転しながら軸線方向に進退し、それによって可撓性シースの先端からの先端処置部材の突出長が変化するようにする。
【実施例】
【0016】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図5は本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具の全体構成を示しており、図示されていない内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱される例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等のような可撓性チューブからなる可撓性シース1内に、導電性を有する例えばステンレス鋼線の撚り線からなる操作ワイヤ2が、可撓性シース1に対して軸線周りに回転自在に且つ軸線方向に進退自在に全長にわたって挿通配置されている。
【0017】
操作ワイヤ2の先端には導電性を有する細い真っ直ぐなロッド状の高周波電極が先端処置部材3として一体的に連結されて、可撓性シース1の先端から前方に向かって突没する状態に配置されている。先端処置部材3は、操作ワイヤ2の先端部分と共に可撓性シース1に対して軸線周りに回転自在且つ軸線方向に進退自在である。
【0018】
20は操作部であり、可撓性シース1の基端に連結された操作部本体21の後端部に固定指掛22が形成され、操作部本体21に摺動自在に配置された可動指掛23に操作ワイヤ2の基端2aが連結固定されていて、図示されていない高周波電源コードが接続される接続端子24が操作ワイヤ2に導通して可動指掛23に配置されている。
【0019】
そして、高周波電源コードを接続端子24に接続することにより、導電性の操作ワイヤ2を経由して先端処置部材3に高周波電流を通電し、先端処置部材3に触れる生体組織に対して高周波処置を行うことができる。
【0020】
10は、可撓性シース1の基端に固着された摘みであり、図6に示されるように、操作部本体21の先端部分に形成された軸受孔21aに軸線周りに回転自在に(ただし、軸線方向には移動できない状態に)係合するシース基端口金11が、摘み10に連結固着されている。26は、可動指掛23が軸線方向に摺動自在に係合するように操作部本体21に形成されたスリットである。
【0021】
そのような構成により、図5に矢印Aで示されるように、可動指掛23を軸線方向に移動操作すれば、操作ワイヤ2が可撓性シース1内で軸線方向に移動して、矢印Bで示されるように先端処置部材3が可撓性シース1の先端から突没し、摘み10を指先で保持して矢印Cで示されるように操作部20全体を軸線周りに回転操作すれば、可撓性シース1内で操作ワイヤ2が軸線周りに回転して、矢印Dで示されるように先端処置部材3が可撓性シース1の先端で軸線周りに回転すると同時に軸線方向に微小に移動する螺動運動をする。
【0022】
図1は可撓性シース1の先端付近を示しており、図2の斜視図にも示されるように、先端処置部材3は、複数の素線を撚り合わせて形成された撚り線からなる操作ワイヤ2の中の例えば一本の芯線等のような一部の素線を延出させた部分で構成されて、操作ワイヤ2に対して継ぎ目なく形成されている。
【0023】
この実施例の操作ワイヤ2は、全長にわたって、例えばステンレス鋼線製の7本の素線を撚り合わせたいわゆる1×7本撚りの一つの撚り線で一つながりに形成されている。ただし、回転伝達能の大きないわゆるトルクワイヤ等で操作ワイヤ2を形成してもよい。
【0024】
図1に示されるように、可撓性シース1の先端近傍内には、撚り線である操作ワイヤ2の外周面に圧接されて押し潰された状態に弾性変形する軟質圧接部材4が圧入配置されている。この実施例の軟質圧接部材4は例えば四フッ化エチレン樹脂チューブ等のようなチューブ状部材であり、断面形状が円形の素材チューブを、III−III断面を図示する図3に示されるように、可撓性シース1の内周面と操作ワイヤ2の外周面とで押し潰されて、操作ワイヤ2で押し潰された部分が窪んだ形状に弾性変形した状態に配置されている。
【0025】
この実施例の軟質圧接部材4は、可撓性シース1の先端側から可撓性シース1内に押し込まれた状態に配置されているだけで可撓性シース1に対して固着されていない。したがって、低コストで極めて容易に製造することができる。
【0026】
このような構成により、操作部20側からの操作で図4に示されるように操作ワイヤ2を軸線周りに回転操作すると(矢印C)、可撓性シース1の先端付近で軟質圧接部材4が操作ワイヤ2に圧接した状態に係合していることにより、操作ワイヤ2が軸線周りに回転すると同時に軸線方向に移動する螺動運動をし、それと共に先端処置部材3が螺動運動をして(矢印D)、可撓性シース1の先端からの先端処置部材3の突出長を微小に変化させることができる。
【0027】
これは、柔軟性のある軟質圧接部材4に対して撚り線である操作ワイヤ2が圧接した状態に係合していることによるものであるが、前述の図3に図示されるように、操作ワイヤ2と軟質圧接部材4との接触面積より軟質圧接部材4と可撓性シース1との接触面積の方が遙かに大きいことにより、可撓性シース1内で操作ワイヤ2に作用する摩擦抵抗より軟質圧接部材4に作用する摩擦抵抗の方が大きくて、軟質圧接部材4が可撓性シース1に対して殆ど移動しないからでもある。
【0028】
その結果、ネジ部材等を一切用いることなく一般的な撚り線からなる操作ワイヤ2を利用して、軟質圧接部材4を可撓性シース1内に圧入するだけの簡単で低コストな構成により、内視鏡用処置具を内視鏡の処置具挿通チャンネルに通したままの状態で、先端処置部材3の突出長を微細に調整して処置対象の患部の状態にピッタリ適合した長さにすることができる。
【0029】
また、操作部20において操作ワイヤ2を軸線方向に進退操作することもできるので、先端処置部材3の突出長の粗調は進退方向で行って、最後の微調だけを回転操作で行うようにすることもできる。
【0030】
そして、操作ワイヤ2は、軟質圧接部材4が圧接した状態に係合して両者間に摩擦抵抗が付与されていることにより、何も操作されてない状態の時は可撓性シース1内に軽く固定された状態になっているので、先端処置部材3が体内粘膜に触れた程度では先端処置部材3の突出長が変化せず、最適の状態に調整された突出長を安定して保つことができる。
【0031】
なお、図1に示されるように、この実施例の可撓性シース1の先端には、操作ワイヤ2の先端面が当接することで可撓性シース1の先端からの先端処置部材3の最大突出長を規制する、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)樹脂製の丸棒状の前方ストッパ部材5が圧入固定されて、その軸線位置に形成された貫通孔内を先端処置部材3が緩く通過している。
【0032】
また、軟質圧接部材4が可撓性シース1の先端から前方に抜け出すようなことがあると、操作ワイヤ2と係合することができなくなるが、前方ストッパ部材5はそのようなことを防止する圧接部材移動規制手段の機能も有している。
【0033】
なお、図7に示される第2の実施例のように、前方ストッパ部材5を単独の部品として設けずに、可撓性シース1の先端部分を熱成形等で細く絞って前方ストッパ部材5を形成してもよい。
【0034】
図8は、本発明の第3の実施例の内視鏡用処置具の軟質圧接部材4部分の軸線に垂直な断面を示している。この実施例では、軟質圧接部材4として材料自体が弾力性を有する中実の棒状の部材を用いており、例えばシリコン樹脂やシリコンゴム等で形成することができる。その他の構成は前述の第1の実施例と同じであり、第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0035】
図9は、本発明の第4の実施例の内視鏡用処置具の可撓性シース1の先端付近を示している。この実施例では、軟質圧接部材4として、撚り線である操作ワイヤ2の外周面に圧接されて押し潰された状態に弾性変形する環状(円筒状)の部材を用いている。
【0036】
このように構成した場合は、軟質圧接部材4が操作ワイヤ2と共動し易いので接着又は機械的な手段等により軟質圧接部材4を可撓性シース1に固定することが望ましい。他の構成は前述の第1の実施例と同じであり、第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0037】
図10は、本発明の第5の実施例の内視鏡用処置具の可撓性シース1の先端付近を示している。この実施例では、軟質圧接部材4が軸線方向に移動するのを規制するための内方突起6(圧接部材移動規制手段)が、軟質圧接部材4の前後の位置で可撓性シース1自体を内方に窪んだ状態に変形させて形成され、それによって軟質圧接部材4が操作ワイヤ2と係合しない位置に移動するのを規制している。他の構成は前述の第1の実施例と同じであり、第1の実施例と同様の作用効果を得ることができる。
【0038】
図11は、本発明の第6の実施例の操作ワイヤ2と軟質圧接部材4を示しており、軟質圧接部材4と可撓性シース1の内周面との間の摩擦抵抗を増加させるための表面処理8(圧接部材移動規制手段)を、軟質圧接部材4の外周面の操作ワイヤ2(撚り線)と接触せず可撓性シース1と接触する領域に施したものである。
【0039】
このような表面処理8は強酸等を用いて化学的に容易に行うことができ、軟質圧接部材4が可撓性シース1に対して移動し難くして、軟質圧接部材4が操作ワイヤ2と係合しない位置に移動するのを安定的に規制することができる。
【0040】
図12は、本発明の第7の実施例の可撓性シース1の先端部分を示しており、操作ワイヤ2の軟質圧接部材4と圧接係合する部分付近の撚り線2′とそれより基端寄りの部分の撚り線2″とをピッチの異なる撚り線で形成して、その二つの撚り線2′,2″を直列に連結したものである。9は、二つの撚り線2′,2″を接続固着する接続パイプであり、その他の構成は前述の第1の実施例と同じである。
【0041】
軟質圧接部材4と圧接係合する部分付近の撚り線2′としては、例えば図13に断面が示されるような1×3本撚り程度で、基端寄りの部分の撚り線2″より素線径が太くてピッチの大きな撚り線が使用されている。
【0042】
このように構成することにより、操作ワイヤ2の回転角度に対する先端処置部材3の軸線方向進退量を大きくすることができる。そして、基端寄りの部分の撚り線2″としてトルクワイヤ等を用いれば、軟質圧接部材4と圧接係合する部分付近の撚り線2′を操作部20側から追従性よく回転操作することができる。なお、操作ワイヤ2を全長にわたって1×3本撚り程度の撚り線で形成すると、操作ワイヤ2に曲がり癖がつき易くなって好ましくない場合が多い。
【0043】
図14は、本発明の第8の実施例の可撓性シース1の先端部分を示しており、軟質圧接部材4と圧接係合する部分付近の撚り線2′の前後を、各々接続パイプ9で先端処置部材3及び基端寄りの部分の撚り線2″と連結固着し、各接続パイプ9を外径が可撓性シース1の内径に沿う程度の大きさに形成して、軟質圧接部材4が軸線方向に移動するのを規制するための圧接部材移動規制手段になるようにしたものである。その他の構成は前述の第1の実施例と同様である。
【0044】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば、軟質圧接部材4の具体的構成は各種の態様を採ることができ、また先端処置部材3に高周波電流を通電しないような内視鏡用処置具にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【図2】本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の部分斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具の図1におけるIII−III断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の動作状態を示す側面断面図である。
【図5】本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具の全体構成を示す外観図である。
【図6】本発明の第1の実施例の内視鏡用処置具の操作部の部分断面図である。
【図7】本発明の第2の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【図8】本発明の第3の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の軸線に垂直な断面図である。
【図9】本発明の第4の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【図10】本発明の第5の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【図11】本発明の第6の実施例の内視鏡用処置具の軟質圧接部材と操作ワイヤの部分斜視図である。
【図12】本発明の第7の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【図13】本発明の第7の実施例の内視鏡用処置具の図12におけるXIII−XIII断面図である。
【図14】本発明の第8の実施例の内視鏡用処置具の先端部分の側面断面図である。
【符号の説明】
【0046】
1 可撓性シース
2 操作ワイヤ(撚り線) 2′ 撚り線
3 先端処置部材
4 軟質圧接部材
5 前方ストッパ部材(圧接部材移動規制手段)
6 内方突起(圧接部材移動規制手段)
8 表面処理(圧接部材移動規制手段)
9 接続パイプ(圧接部材移動規制手段)
10 摘み
20 操作部
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100091317
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦


【公開番号】 特開2008−310(P2008−310A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172259(P2006−172259)