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【発明の名称】 内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法
【発明者】 【氏名】丸山 義則

【要約】 【課題】内視鏡に用いられる二つの部品の一方に形成された孔に他方の端部を差し込んでから二つの部品を互いにぐらつかない状態にするための仮止め固定を、低コストでしかも孔に差し込まれる部品を変形させることなく確実かつ容易に行うことができる内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法を提供すること。

【構成】一方の部品4に形成された孔9の開口部に隣接して一方の部品4の表面に溝10,20を形成することにより、孔9の開口部と溝10,20との間に薄肉の隔壁11を形成しておき、孔9に他方の部品5の端部を差し込んでから、溝10,20内に工具100の先端を差し込んで隔壁11を他方の部品5側に傾いた状態に塑性変形させることにより、二つの部品4,5が仮止め固定されるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内視鏡に用いられる二つの部品の一方に形成された孔に他方の端部を差し込んでから上記二つの部品を互いに固着する際に、その固着作業を行うのに先立って上記二つの部品を互いにぐらつかない状態に仮止め固定するための内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法において、
上記一方の部品に形成された上記孔の開口部に隣接して上記一方の部品の表面に溝を形成することにより、上記孔の開口部と上記溝との間に薄肉の隔壁を形成しておき、上記孔に上記他方の部品の端部を差し込んでから、上記溝内に工具の先端を差し込んで上記隔壁を上記他方の部品側に傾いた状態に塑性変形させることにより、上記二つの部品が仮止め固定されるようにしたことを特徴とする内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項2】
上記他方の部品がパイプ状の部品である請求項1記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項3】
上記他方の部品が配管パイプである請求項1記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項4】
上記溝が直線溝である請求項1、2又は3記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項5】
上記直線溝が相違する向きに複数形成されている請求項4記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項6】
上記直線溝が略90°相違する向きに二つ形成されている請求項5記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項7】
上記直線溝が略60°ずつ相違する向きに三つ形成されている請求項5記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項8】
上記溝が上記孔の外縁に沿って環状に形成されている請求項1、2又は3記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【請求項9】
上記隔壁の基部と上記溝の底面とをつなぐ壁面が円弧状に形成されている請求項1、2又は3記載の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、内視鏡又は内視鏡部品を製造する際の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡又は内視鏡部品を製造する際には、二つの部品をロー付け、半田付け或いは接着等で連結固着する作業が非常に多く必要とされ、送気送水又は吸引等のための配管パイプをその相手方部品である操作弁等に接続する場合には、相手方部品に形成された孔に配管パイプの端部を差し込んだ状態で銀ロー付け等で固着している。
【0003】
ただし多くの場合、操作弁に対する配管パイプの突出方向は非常に厳密さが求められるので、ロー付けによる固着作業を行うのに先立って配管パイプを操作弁に対して設計通りの向きに仮止め固定して、固着作業の際に動かないようにしておく必要がある。
【0004】
そこで従来は、配管パイプが差し込まれる孔側にレーザによる肉盛溶接等で突起を形成したり、孔の縁部をポンチでかしめ(矢弦かしめ)て変形させることで、配管パイプを操作弁に仮止め固定していた(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2005−95586、段落〔0058〕〜〔0069〕
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述のように配管パイプが差し込まれる孔側にレーザによる肉盛溶接等で突起を形成するのは、「仮止め固定」という補助的な工程のために大きなコストがかかって好ましくない。また、孔の縁部をポンチでかしめる作業を行うと、作業に非常に時間がかかるだけでなく、仮止め固定の対象である配管パイプをポンチで変形させてしまう場合がある。
【0006】
そこで本発明は、内視鏡に用いられる二つの部品の一方に形成された孔に他方の端部を差し込んでから二つの部品を互いにぐらつかない状態にするための仮止め固定を、低コストでしかも孔に差し込まれる部品を変形させることなく確実かつ容易に行うことができる内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するため、本発明の内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法は、内視鏡に用いられる二つの部品の一方に形成された孔に他方の端部を差し込んでから二つの部品を互いに固着する際に、その固着作業を行うのに先立って二つの部品を互いにぐらつかない状態に仮止め固定するための内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法において、一方の部品に形成された孔の開口部に隣接して一方の部品の表面に溝を形成することにより、孔の開口部と溝との間に薄肉の隔壁を形成しておき、孔に他方の部品の端部を差し込んでから、溝内に工具の先端を差し込んで隔壁を他方の部品側に傾いた状態に塑性変形させることにより、二つの部品が仮止め固定されるようにしたものである。
【0008】
なお、他方の部品がパイプ状の部品であってもよく、それが配管パイプであってもよい。また、溝が直線溝であってもよく、直線溝が相違する向きに複数形成されて、例えば略90°相違する向きに二つ、或いは略60°ずつ相違する向きに三つ形成されていてもよい。
【0009】
また、溝が孔の外縁に沿って環状に形成されていてもよく、隔壁の基部と溝の底面とをつなぐ壁面が円弧状に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、一方の部品に形成された孔の開口部に隣接して一方の部品の表面に溝を形成して孔の開口部と溝との間に薄肉の隔壁を形成し、孔に他方の部品の端部を差し込んでから溝内に工具の先端を差し込んで隔壁を他方の部品側に傾いた状態に塑性変形させることで、二つの部品が仮止め固定されるようにしたことにより、仮止め固定を、低コストでしかも孔に差し込まれる部品を変形させることなく確実かつ容易に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
内視鏡に用いられる二つの部品の一方に形成された孔に他方の端部を差し込んでから二つの部品を互いに固着する際に、その固着作業を行うのに先立って二つの部品を互いにぐらつかない状態に仮止め固定するための内視鏡の部品どうしの仮止め固定方法において、一方の部品に形成された孔の開口部に隣接して一方の部品の表面に溝を形成することにより、孔の開口部と溝との間に薄肉の隔壁を形成しておき、孔に他方の部品の端部を差し込んでから、溝内に工具の先端を差し込んで隔壁を他方の部品側に傾いた状態に塑性変形させることにより、二つの部品が仮止め固定されるようにする。
【実施例】
【0012】
図面を参照して本発明の実施例を説明する。
図2において、1は内視鏡の操作部であり、その上半部前面には送気送水操作弁2と吸引操作弁3が並んで配置されている。
【0013】
吸引操作弁3のシリンダ体4はステンレス鋼等で形成されて操作部1内に配置されていて、シリンダ体4の側面及び底面に接続されたステンレス鋼管製の配管パイプ5に可撓性の配管チューブ6が接続され、配管パイプ5と配管チューブ6との接続部は固定環7により接続状態が固定されている。
【0014】
図3は配管パイプ5とシリンダ体4との接続部を示しており、シリンダ体4に形成された孔9に配管パイプ5の端部が差し込まれた状態で、シリンダ体4と配管パイプ5とが例えば銀ロー付けにより互いに固着されている。
【0015】
図4は、製造に際してシリンダ体4の孔9に配管パイプ5が固着される前の状態を示しており、固着作業を行うのに先立って、シリンダ体4と配管パイプ5とを互いにぐらつかない状態に仮止め固定するために、シリンダ体4には、孔9の開口部に隣接して直線溝10が形成され、それによって、孔9の開口部と直線溝10との間に薄肉の隔壁11が形成されている。
【0016】
図5は、孔9と直線溝10を正面から見た状態を示している。直線溝10は略90°相違する向きに二つ形成されており、IV−IV断面(二箇所)がいずれも前出の図4に図示される状態に形成されている。
【0017】
各直線溝10は、VI−VI断面(二箇所)を図示する図6に示されるように、一つのカッターでシリンダ体4の表面から円弧状に掘り下げ加工することで、極めて容易に低コストで形成することができる。
【0018】
図4に戻って、配管パイプ5の直径が例えば3〜5mm程度の場合、直線溝10の深さdと幅wは、例えばd=0.5〜1.0mm程度、w=0.5〜1.0mm程度の範囲にあるのが適当であり、隔壁11の厚みtはt=0.05〜0.3mm程度の範囲にあるのがよい。
【0019】
本発明においては、このように構成された実施例のシリンダ体4と配管パイプ5とを銀ロー付けで固着する前に、図4に示される状態から図1に示されるように、シリンダ体4の孔9に配管パイプ5を差し込んだら、直線溝10内に例えばマイナスドライバー状の工具100の先端を差し込んで、隔壁11を配管パイプ5側に傾いた状態に塑性変形させる。それによって、配管パイプ5の端部が側方から隔壁11で押圧されて配管パイプ5がシリンダ体4に対して仮止め固定された状態になる。
【0020】
このような仮止め固定方法においては、直線溝10を形成加工するだけで形成された薄肉の隔壁11を、工具100で変形させるだけの作業で配管パイプ5をシリンダ体4に対して仮止め固定することができるので、簡単な作業で低コストで実施することができ、仮止め固定するための力の調節が容易なので、配管パイプ5を変形させる恐れもない。
【0021】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、例えば図7に示されるように直線溝10が一つだけ形成されたもの、或いは、図8に示されるように、直線溝10が略60°ずつ相違する向きに三つ形成されたもの等であってもよい。
【0022】
また、図9に示されるように、隔壁11を形成するための溝として、孔9の外縁に沿う環状溝20を形成してもよい。また、図10に示されるように、隔壁11の基部と直線溝10の底面とをつなぐ壁面12を円弧状に形成すれば、隔壁11を塑性変形させる際に隔壁11の基部がひび割れする可能性等を小さくすることができる。
【0023】
また、本発明は吸引操作弁3のシリンダ体4に対する配管パイプ5の接続固着部に限らず、送気送水操作弁2やその他の部分の二つの部品の接続固着部に適用することができ、ロー付け以外の半田付け、溶接或いは接着等により固着が行われる部分の仮止め固定にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の第1の実施例のシリンダ体と配管パイプの仮止め工程の側面断面図である。
【図2】本発明の実施例の内視鏡の操作部の配管部分の略示図である。
【図3】本発明の第1の実施例のシリンダ体と配管パイプの接続固着部の側面断面図である。
【図4】本発明の第1の実施例のシリンダ体に配管パイプが接続される前の状態の側面断面図(図5におけるIV−IV断面図)である。
【図5】本発明の第1の実施例の孔と直線溝を正面から見た状態の平面図である。
【図6】本発明の第1の実施例の直線溝の長手方向の断面図(図5におけるVI−VI断面図)である。
【図7】本発明の第2の実施例の孔と直線溝を正面から見た状態の平面図である。
【図8】本発明の第3の実施例の孔と直線溝を正面から見た状態の平面図である。
【図9】本発明の第4の実施例の孔と環状溝を正面から見た状態の平面図である。
【図10】本発明の第5の実施例のシリンダ体に配管パイプが接続される前の状態の側面断面図である。
【符号の説明】
【0025】
3 吸引操作弁
4 シリンダ体(一方の部品)
5 配管パイプ(他方の部品)
9 孔
10 直線溝
11 隔壁
12 隔壁の基部と直線溝の底面とをつなぐ壁面
20 環状溝
100 工具
【出願人】 【識別番号】000000527
【氏名又は名称】ペンタックス株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100091317
【弁理士】
【氏名又は名称】三井 和彦


【公開番号】 特開2008−303(P2008−303A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172085(P2006−172085)