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【発明の名称】 管腔状組織の観察用画像作成方法、装置およびプログラム
【発明者】 【氏名】束村 智浩

【要約】 【課題】MRI画像診断システムにより得られた画像データを用いた場合でも、管腔状組織の観察用画像を適正に作成することが可能であり、かつ、観察用画像の作成過程が操作者にとって分かり易く、作成された観察用画像の適否を容易に判断することが可能な管腔状組織の観察用画像作成方法、装置およびプログラムを得る。

【構成】元画像に示された管腔状組織の長軸方向に沿って延びる経路線の一部を指定する指定操作を受けて、指定された部分の経路線に沿った経路画像を表示する経路画像表示処理(ステップS10)を行った後、経路画像に示された経路線を補正する補正操作を受けて、補正された経路線に沿った更新後の経路画像を表示する更新後経路画像表示処理(ステップS20)を、通常複数回行うことにより観察用画像を作成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の3次元画像データに基づき、観察対象とされる管腔状組織の長軸方向に亘る観察用画像を作成する管腔状組織の観察用画像作成方法であって、
元画像に示された前記管腔状組織の長軸方向に沿って延びる経路線の一部を指定する外部からの指定操作を受けて、指定された部分の前記経路線に沿った経路画像を表示する経路画像表示処理を行った後、
前記経路画像に示された前記経路線を補正する外部からの補正操作を受けて、補正された前記経路線に沿った更新後の経路画像を表示する更新後経路画像表示処理を少なくとも1回行い、
前記観察用画像を作成することを特徴とする管腔状組織の観察用画像作成方法。
【請求項2】
前記経路画像表示処理は、
前記3次元画像データに基づき、前記管腔状組織の少なくとも一部が示された前記元画像を作成する元画像作成処理と、
前記元画像上において、前記経路線を表示する経路線表示処理と、
表示された前記経路線を含んでなる経路曲面を設定する経路曲面設定処理と、
設定された前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記経路画像を作成する経路画像作成処理と、を行うものであり、
前記更新後経路画像表示処理は、
前記経路画像上において、前記補正された経路線を表示する補正後経路線表示処理と、
前記補正された経路線を含んでなる補正後の経路曲面を設定する補正後経路曲面設定処理と、
設定された前記補正後の経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記更新後の経路画像を作成する更新後経路画像作成処理と、を行うものであることを特徴とする請求項1記載の管腔状組織の観察用画像作成方法。
【請求項3】
前記経路画像に示された前記管腔状組織の観察方向を変更する外部からの変更操作を受けて、前記管腔状組織を他の方向から観察した状態が示された変更後の経路画像を表示する変更後経路画像表示処理、を行うことを特徴とする請求項1または2記載の管腔状組織の観察用画像作成方法。
【請求項4】
前記変更後経路画像表示処理は、
前記変更操作に従って前記経路曲面の向きを変更する経路曲面向き変更処理と、
向き変更後の前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記変更後の経路画像を作成する変更後経路画像作成処理と、を行うものであることを特徴とする請求項3記載の管腔状組織の観察用画像作成方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載された管腔状組織画像作成方法における各処理を、コンピュータにおいて実行せしめる各ステップを備えてなることを特徴とする管腔状組織の観察用画像作成プログラム。
【請求項6】
生体内の3次元画像データに基づき、観察対象とされる管腔状組織の長軸方向に亘る観察用画像を作成する管腔状組織の観察用画像作成装置であって、
画像処理手段と、画像表示手段と、操作手段とを備え、
前記画像処理手段は、
元画像に示された前記管腔状組織の長軸方向に沿って延びる経路線の一部を指定する、前記操作手段を介した外部からの指定操作を受けて、指定された部分の前記経路線に沿った経路画像を、前記画像表示手段に表示せしめる経路画像表示指令手段と、
前記経路画像に示された前記経路線を補正する、前記操作手段を介した外部からの補正操作を受けて、補正された前記経路線に沿った更新後の経路画像を、前記画像表示手段に表示せしめる更新後経路画像表示指令手段と、
を備えてなることを特徴とする管腔状組織の観察用画像作成装置。
【請求項7】
前記経路画像表示指令手段は、
前記3次元画像データに基づき、前記管腔状組織の少なくとも一部が示された前記元画像を作成する元画像作成手段と、
前記元画像上において前記指定操作に従った前記経路線を表示せしめる経路線表示指令手段と、
表示された前記経路線を含んでなる経路曲面を設定する経路曲面設定手段と、
設定された前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記経路画像を作成する経路画像作成手段と、を備えてなり、
前記更新後経路画像表示指令手段は、
前記経路画像上において前記補正操作に従った補正後の経路線を表示せしめる補正後経路線表示指令手段と、
前記補正後の経路線を含んでなる補正後の経路曲面を設定する補正後経路曲面設定手段と、
設定された前記補正後の経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記更新後の経路画像を作成する更新後経路画像作成手段と、を備えてなることを特徴とする請求項6記載の管腔状組織の観察用画像作成装置。
【請求項8】
前記経路画像表示指令手段は、
前記経路画像に示された前記管腔状組織の観察方向を変更する、前記操作手段を介した外部からの変更操作に基づき、前記管腔状組織を他の方向から観察した状態が示された変更後の経路画像を、前記画像表示手段に表示せしめる変更後経路画像表示指令手段、を備えてなることを特徴とする請求項6または7記載の管腔状組織の観察用画像作成装置。
【請求項9】
前記変更後経路画像表示指示手段は、
前記変更操作に従って前記経路曲面の向きを変更する経路曲面向き変更手段と、
向き変更後の前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記変更後の経路画像を作成する変更後経路画像作成手段と、を備えてなることを特徴とする請求項8記載の管腔状組織の観察用画像作成装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、画像診断を支援する技術に関するものであり、特に、MRI(magnetic
resonance imaging)、CT(computed tomography)、核医学等の画像診断システムにより得られた生体内の3次元画像データに基づき、観察対象とされる、血管、リンパ管、腸管、気管、食道管等の管腔状組織の長軸方向(長さ方向、長尺方向、延伸方向)に亘る観察用画像を作成する管腔状組織の観察用画像作成方法、装置およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CPR(curved planar reconstruction)と称される画像再構成手法が、画像診断システムにおいて広く用いられるようになっている。CPRとは、指定された任意の曲面上の3次元画像データを2次元画像に再構成する手法であり、最終的な画像の取得方法の違いにより、ProjectedCPR、StretchedCPR、StraightenedCPR等に分類される(下記非特許文献1の第380-382頁参照)。
【0003】
このCPR手法は、生体内を複雑に走行する管腔状組織の情報を2次元画像上に集約して表示するのに適しており、近年では特に、心臓の冠状血管や脳血管等の観察用画像の作成に適用され、血管内の狭窄部位の診断等に供されている。
【0004】
従来、CPR手法を用いて血管の観察用画像を作成するには、観察対象となる血管の長軸方向に沿った芯線(中心線)を、その観察対象領域の全域に亘って予め特定する必要があるとされており、そのための手法が種々提案されている(下記特許文献1、2参照)。
【0005】
下記特許文献1には、画像診断システムにより得られた各断層画像上において、観察対象となる血管内に位置する2つの点(始点および終点)を、医師や技師等の操作者(実者)が指定することにより、血管の芯線を3次元的に特定することが可能な手法が記載されている。
【0006】
一方、下記特許文献2には、画像診断システムにより得られた所定の画像上において、観察対象となる血管内の点を操作者が指定することにより、芯線の延伸方向を探索しつつ血管の芯線を3次元的に特定することが可能な手法が記載されている。
【0007】
【特許文献1】特開2004−283373号公報
【特許文献2】特開2004−313736号公報
【非特許文献1】編集 栗林幸夫、佐久間肇 心臓血管疾患のMDCTとMRI 医学書院
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1、2に記載された手法では、血管の芯線を特定するために、画像診断システムにより得られた画像の濃度値に基づく2値化処理や細線化処理等の画像処理を行うことが必要となる。このような画像処理は、CT画像のように、撮像された物質毎に画像濃度値(CT値)が予め確定されているものにおいては高精度に行うことが可能であるが、MRI画像のように、撮像条件によって物質毎の画像濃度値が変動し、また血管と隣接する脂肪等の他の生体組織との画像濃度値に基づく峻別が難しいものにおいては高精度に行うことが困難である。
【0009】
このため、管腔状組織の観察用画像を作成する技術は、CT画像診断システムにおいては実用化され診断等に利用されているのに対し、MRI画像診断システムにおいては未だ実用化に至っていない。
【0010】
また、上記特許文献1、2に記載された手法では、芯線の特定および観察用画像の作成が装置により自動的に一括して行われるため、観察用画像の作成過程が医師等の操作者にとって分かり難いという側面があり、作成された観察用画像が操作者の指定した管腔状組織を適正に表示しているのかについて、判断することが難しいという問題がある。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、MRI画像診断システムにより得られた3次元画像データを用いた場合でも、管腔状組織の観察用画像を適正に作成することが可能であり、かつ、観察用画像の作成過程が医師等の操作者にとって分かり易く、作成された観察用画像の適否を、操作者が容易に判断することが可能な管腔状組織の観察用画像作成方法、装置およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る管腔状組織の観察用画像作成方法は、生体内の3次元画像データに基づき、観察対象とされる管腔状組織の長軸方向に亘る観察用画像を作成する管腔状組織の観察用画像作成方法であって、
元画像に示された前記管腔状組織の長軸方向に沿って延びる経路線の一部を指定する外部からの指定操作を受けて、指定された部分の前記経路線に沿った経路画像を表示する経路画像表示処理を行った後、
前記経路画像に示された前記経路線を補正する外部からの補正操作を受けて、補正された前記経路線に沿った更新後の経路画像を表示する更新後経路画像表示処理を少なくとも1回行い、
前記観察用画像を作成することを特徴とする。
【0013】
前記経路画像表示処理は、
前記3次元画像データに基づき、前記管腔状組織の少なくとも一部が示された前記元画像を作成する元画像作成処理と、
前記元画像上において、前記経路線を表示する経路線表示処理と、
表示された前記経路線を含んでなる経路曲面を設定する経路曲面設定処理と、
設定された前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記経路画像を作成する経路画像作成処理と、を行うものであり、
前記更新後経路画像表示処理は、
前記経路画像上において、前記補正された経路線を表示する補正後経路線表示処理と、
前記補正された経路線を含んでなる補正後の経路曲面を設定する補正後経路曲面設定処理と、
設定された前記補正後の経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記更新後の経路画像を作成する更新後経路画像作成処理と、を行うものであるとすることができる。
【0014】
また、この管腔状組織の観察用画像作成方法において、前記経路画像に示された前記管腔状組織の観察方向を変更する外部からの変更操作を受けて、前記管腔状組織を他の方向から観察した状態が示された変更後の経路画像を表示する変更後経路画像表示処理、を行うようにすることが好ましい。
【0015】
この場合、前記変更後経路画像表示処理は、
前記変更操作に従って前記経路曲面の向きを変更する経路曲面向き変更処理と、
向き変更後の前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記変更後の経路画像を作成する変更後経路画像作成処理と、を行うものとすることができる。
【0016】
また、本発明に係る管腔状組織画像作成プログラムは、本発明に係る管腔状組織画像作成方法における各処理を、コンピュータにおいて実行せしめる各ステップを備えてなることを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る管腔状組織画像作成装置は、生体内の3次元画像データに基づき、観察対象とされる管腔状組織の長軸方向に亘る観察用画像を作成する管腔状組織の観察用画像作成装置であって、
画像処理手段と、画像表示手段と、操作手段とを備え、
前記画像処理手段は、
元画像に示された前記管腔状組織の長軸方向に沿って延びる経路線の一部を指定する、前記操作手段を介した外部からの指定操作を受けて、指定された部分の前記経路線に沿った経路画像を、前記画像表示手段に表示せしめる経路画像表示指令手段と、
前記経路画像に示された前記経路線を補正する、前記操作手段を介した外部からの補正操作を受けて、補正された前記経路線に沿った更新後の経路画像を、前記画像表示手段に表示せしめる更新後経路画像表示指令手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0018】
前記経路画像表示指令手段は、
前記3次元画像データに基づき、前記管腔状組織の少なくとも一部が示された前記元画像を作成する元画像作成手段と、
前記元画像上において前記指定操作に従った前記経路線を表示せしめる経路線表示指令手段と、
表示された前記経路線を含んでなる経路曲面を設定する経路曲面設定手段と、
設定された前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記経路画像を作成する経路画像作成手段と、を備えてなり、
前記更新後経路画像表示指令手段は、
前記経路画像上において前記補正操作に従った補正後の経路線を表示せしめる補正後経路線表示指令手段と、
前記補正後の経路線を含んでなる補正後の経路曲面を設定する補正後経路曲面設定手段と、
設定された前記補正後の経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記更新後の経路画像を作成する更新後経路画像作成手段と、を備えてなるとすることができる。
【0019】
また、この管腔状組織画像作成装置において、前記経路画像表示指令手段は、前記経路画像に示された前記管腔状組織の観察方向を変更する、前記操作手段を介した外部からの変更操作に基づき、前記管腔状組織を他の方向から観察した状態が示された変更後の経路画像を、前記画像表示手段に表示せしめる変更後経路画像表示指令手段、を備えてなるものとすることが好ましい。
【0020】
この場合、前記変更後経路画像表示指示手段は、
前記変更操作に従って前記経路曲面の向きを変更する経路曲面向き変更手段と、
向き変更後の前記経路曲面上の画像情報が担持されてなる前記変更後の経路画像を作成する変更後経路画像作成手段と、を備えてなるものとすることができる。
【0021】
上記「経路線」とは、画像上に示された管腔状組織の内部に位置しつつ、該管腔状組織の長軸方向に沿って延びる曲線(直線を含む)を意味するものであり、芯線または中心線と称される曲線のように管腔状組織の横断面の中心位置を通るものとは概念を異にするものである。ただし、経路線が芯線(中心線)に相当するものである場合を排除するものではない。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、上記構成を備えていることにより、医師や技師等の操作者による外部からの操作に従って、指定された管腔状組織を経路線に沿って順次表示しながら、その長軸方向に亘る観察用画像を作成することが可能となる。
【0023】
本発明では、経路線の指定や補正は操作者の判断に基づいて行われることになるので、観察対象とされる管腔状組織を正しく探索し得るか否かは、操作者の知見等に影響を受けることになる。しかし、画像濃度値に基づく管腔状組織の特定が困難なMRI画像においても、操作者の知見等に基づき管腔状組織を探索することが可能となるので、これまで実用化が困難とされていたMRI画像診断システムにおいても、管腔状組織の長軸方向に沿った観察用画像を適正に作成することが可能となる。
【0024】
また、操作者にとっては、経路線の指定や補正が自身の判断に基づいて行われるので、観察用画像の作成過程が分かり易く、得られた観察用画像が所望の管腔状組織を適正に表示しているかについて自ら判断することが容易となり、観察用画像の診断等への利用が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の一実施形態に係る管腔状組織の観察用画像作成装置の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示す画像作成装置は、MRI、CT、核医学等の画像診断システムにより得られた生体内の3次元画像データに基づき、観察対象とされる、血管、リンパ管、腸管、気管、食道管等の管腔状組織の長軸方向に亘る観察用画像を作成するものであり、コンピュータ等からなる、画像処理手段としての画像処理装置1と、液晶パネル等からなる表示画面を有する、画像表示手段としての画像表示装置2と、マウスやキーボード等からなる、操作手段としての操作装置3とを備えてなる。
【0027】
画像処理装置1は、各種の演算処理を行うCPUおよびRAMやROM等の記憶装置などから構成される制御部11と、画像診断システムにより得られた生体内の3次元画像データを記憶する画像データ記憶部12と、画像処理された画像を記憶する作成画像記憶部13とを備えている。また、画像処理された画像を画像表示装置2に出力する作成画像出力インタフェース14と、操作装置3からの各種の操作入力を制御部に伝達する操作入力インタフェース15と、通信や記憶媒体等を介して入力された生体内の3次元画像データを制御部11に伝達する画像データインタフェース16とを備えている。
【0028】
なお、制御部11内の記憶装置内には、後述する各処理を画像処理装置1に実行せしめるための、本発明の一実施形態に係る管腔状組織画像作成プログラムが格納されており、この管腔状組織画像作成プログラムを実行する制御部11により、本実施形態装置における経路画像表示指令手段、更新後経路画像表示指令手段、元画像作成手段、経路線表示指令手段、経路曲面設定手段、経路画像作成手段、補正後経路線表示指令手段、補正後経路曲面設定手段、更新後経路画像作成手段、変更後経路画像表示指令手段、経路曲面向き変更手段、および変更後経路画像作成手段、が構成されている。
【0029】
次に、本発明の管腔状組織画像作成方法について説明する。図2〜図5は本発明の一実施形態に係る管腔状組織画像作成方法の手順を示す図であり、図2は観察用画像作成処理のフローチャート、図3は経路画像表示処理のフローチャート、図4は変更後経路画像表示処理のフローチャート、図5は更新後経路画像表示処理のフローチャートである。なお、本実施形態に係る管腔状組織画像作成方法は、図1に示す管腔状組織画像作成装置1を用いて行われる。
【0030】
本実施形態における管腔状組織の観察用画像作成処理は、生体内の3次元画像データに基づき、観察対象とされる管腔状組織の長軸方向に亘る観察用画像を作成するものであり、まず、後述する元画像に示された管腔状組織の長軸方向に沿って延びる経路線の一部を指定する外部からの(操作者による)指定操作を受けて、指定された部分の経路線に沿った経路画像を表示する経路画像表示処理を行う(図2のステップS10)。
【0031】
次いで、経路画像に示された経路線を補正する外部からの(操作者による)補正操作を受けて、補正された経路線に沿った更新後の経路画像を表示する更新後経路画像表示処理を行う(図2のステップS20)。この更新後経路画像表示処理は、表示された更新後の経路画像を観察用画像とするという操作者からの指示があるまで繰り返し行われるが(図2のステップS30)、1回で終了する場合もある。
【0032】
図3に示すように上記経路画像表示処理では、まず、3次元画像データに基づき、管腔状組織の少なくとも一部が示された元画像を作成する元画像作成処理例が行われる(図3のステップS11)。この元画像の一例を図6に示す。図6に例示されている元画像20は、人体の心臓の3D画像であり、例えば、MRI画像診断システムを用いて、人体を断層撮影することにより得られた3次元画像データ(ボリュームデータ)に基づき、作成されたものである。なお、この元画像20は、図1に示す操作装置3において操作者が所定の操作を行うことにより、表示された心臓の観察方向を変えられるようになっており、操作者は、観察対象とする管腔状組織21(この例では冠状血管。図中斜線を付して示す)が見やすいように観察方向を調整することができる。
【0033】
次に、元画像20上において、上記経路線を表示する経路線表示処理が行われる(図3のステップS12)。この経路線表示処理は、上述のように、元画像20に示された管腔状組織21の長軸方向に沿って延びる経路線の一部を指定する、操作者による指定操作を受けて行われる。
【0034】
この指定操作の一例を図7、図8に示す。図7、図8は上記指定操作の手順を(a)、(b)、(c)の順に示すものである。なお、図7、図8では、上記管腔状組織21のみを拡大して示している。
【0035】
図7に示す指定操作は、上記操作装置3(図1参照)を用いて、元画像20上に示された矢印状のポインタ22の先端部を管腔状組織21内に位置させつつ、該管腔状組織21内を長軸方向に沿って移動させるものである。この指定操作により元画像20上には、ポインタ22の先端部の移動軌跡に沿って経路線23が表示されるようになっている。
【0036】
図8に示す他の指定操作は、元画像20上に示されたポインタ22の先端部を、上記操作装置3を用いて管腔状組織21内に移動し、該管腔状組織21内において複数のポイントを指定するものである。この指定操作により元画像20上には、指定された各ポイント(図中×印で示す)をスプライン曲線等により滑らかに繋いでなる経路線23が表示されるようになっている。
【0037】
次いで、表示された経路線23を含んでなる経路曲面を設定する経路曲面設定処理が行われる(図3のステップS13)。この経路曲面設定処理は、例えば以下のように行われる。図9は経路曲面設定処理の一例を示す図である。
【0038】
すなわち、表示された経路線23の位置を3次元的に特定し、この経路線23を含むように経路曲面24を設定する。この経路曲面24は、例えば、各々が経路線23と交わる互いに平行な直線群25(図中一部のみ図示)によって構成される。この直線群25の3次元空間上での方向を変えることにより、経路曲面24の形状および向きが変化する。後述する経路曲面24の向きを変更する処理は、例えば、直線群25の方向を変えることにより行われる。
【0039】
次に、設定された経路曲面24上の画像情報が担持されてなる経路画像を作成する経路画像作成処理が行われる(図3のステップS14)。この経路画像作成処理は、例えば、CPR(curved planar reconstruction)手法を用いて行われる。CPR手法は、指定された任意の曲面上の3次元画像データを2次元画像に再構成する手法であり、本実施形態では、経路曲面24上の3次元画像を2次元画像に再構成するために用いられる。なお、経路曲面24は、厚みを持たないものとして設定することが可能であるが、最大輝度投影法(maximum intensity projection;MIP)等を用いることにより、所定の厚みを持つものとして設定することも可能である(上掲の非特許文献1の第379頁等参照)。以下の説明において「経路曲面24上に位置する」とは、経路曲面24が所定の厚みを有するものとして設定される場合には、その厚みの範囲内に位置するという意味で用いることとする。また、本発明において「経路曲面上の」とは、上述の意味において「経路曲面上に位置する」と同義である。
【0040】
次いで、作成された経路画像が上記画像表示装置2(図1参照)の画面上に表示される(図3のステップS15)。図10は経路画像の表示例を示すものであり、この表示例では、StretchedCPR画像26、StraightenedCPR画像27、および断面画像28の3種類の画像が、画像表示装置2の画面上に表示されるようになっている。StretchedCPR画像26は、図9の経路曲面24を平面に伸展させた状態の画像であり、StretchedCPR画像26上には、経路曲面24上に位置する管腔状組織21および他の生体組織29の画像情報が、経路線23と共に表示されている。
【0041】
StraightenedCPR画像27は、StretchedCPR画像26上の経路線23が直線となるように画像を再構成したものであり、StraightenedCPR画像27上には、画像の中心部を左右方向に直線的に延びた経路線23と共に、再構成された管腔状組織21および他の生体組織29の画像情報が表示されている。また、StraightenedCPR画像27には、管腔状組織21を図中上下から挟む各一対の矢印からなる2組の位置表示線30、31が表示されている。位置表示線30、31は、管腔状組織21の長軸方向に互いに離間した2つの位置を指し示すものであり、上記操作装置3(図1参照)を用いて操作者が画面上において移動させることができるようになっている。本実施形態では、2組の位置表示線30、31を所定の2位置に移動させると、その間の距離(管腔状組織21の長軸方向に沿った2位置間の長さに相当する)が測定され、その測定値が表示されるように構成されている。なお、StretchedCPR画像26上にも2組の位置表示線30、31が表示されるように構成されており、StretchedCPR画像26とStraightenedCPR画像27との各位置の対応付けができるようになっている。
【0042】
断面画像28は、StretchedCPR画像26に示された管腔状組織21の長軸方向の所定位置において経路線23と直交する断面上の画像である。断面画像28には、管腔状組織21および他の生体組織29と共に、平面に伸展された経路曲面24の傾きを示す直線状の傾斜線32が表示されている。この傾斜線32は、上記操作装置3(図1参照)を用いて操作者が画面上において傾きを変更することができるようになっている。本実施形態では、操作者により傾斜線32の傾きが変更されると、後述する経路曲面向き変更処理が実施されるように構成されている。
【0043】
経路画像(StretchedCPR画像26、StraightenedCPR画像27)が表示されると、操作者により経路画像を変更するか否かが判断され(図3のステップS16)、変更すると判断された場合には変更後経路画像表示処理が行われる(図3のステップS40)。一方、変更しないと判断された場合には経路画像作成処理が終了し、上述の更新後経路画像表示処理(図2のステップS20)に移行する。なお、経路画像(StretchedCPR画像26、StraightenedCPR画像27)を変更するという判断がなされるのは、経路線23を補正するのに必要な情報が現経路画像上には示されていない場合等である。
【0044】
図4に示すように変更後経路画像表示処理は、経路画像(StretchedCPR画像26、StraightenedCPR画像27)に示された管腔状組織21の観察方向を変更する外部からの(操作者による)変更操作を受けて、管腔状組織21を他の方向から観察した状態が示された変更後の経路画像を表示する処理であり、本実施形態では、まず、上記変更操作に従って経路曲面24(図9参照)の向きを変更する経路曲面向き変更処理が行われる(図4のステップS41)。
【0045】
本実施形態において上記変更操作とは、図10に示す断面画像28に示された傾斜線32の傾きを、上記操作装置3(図1参照)を用いて操作者が変更する操作のことであり、この変更操作に従って図9に示す経路曲面24の向き(直線群25の方向)が変更される。
【0046】
次いで、向き変更後の経路曲面24上の画像情報が担持されてなる変更後の経路画像を作成する変更後経路画像作成処理が行われ(図4のステップS42)、作成された変更後の経路画像が上記画像表示装置2(図1参照)の画面上に表示される(図4のステップS43)。なお、変更後経路画像作成処理は、上述の経路画像作成処理と同様の手法を用いて実施される。
【0047】
図11は変更後の経路画像の表示例を示すものである。図11には、向き変更後の経路曲面24に基づき作成されたStretchedCPR画像26、StraightenedCPR画像27、および断面画像28が表示されている。なお、図11では簡略化のため、管腔状組織21のみを図示し、図10に示した他の生体組織29の図示は省略している。また、図10に示した位置表示線30、31の図示も省略している。このことは、以下の図12〜図15についても同様とする。
【0048】
図11に示されたStretchedCPR画像26およびStraightenedCPR画像27においては、図10に示されたものとは表示状態(形状、画像濃度値等)が異なる管腔状組織21が表示されている。具体的には、図10においては一部分断されて示されていた管腔状組織21が、図11では繋がって表示されている。この、管腔状組織21の表示形状の変化は、経路曲面24の向き変更に伴うものであり、向き変更前の経路曲面24上には位置していなかった画像データが、向き変更後の経路曲面24上に位置したことにより生じるものである。すなわち、断面画像28に示された傾斜線32の傾きを操作者が変更する都度、経路曲面24の向きが変更され、それに従ってStretchedCPR画像26およびStraightenedCPR画像27における管腔状組織21の表示状態が変化し、これにより経路線23を補正するのに必要な情報が得られるようになっている。
【0049】
次に、上述の更新後経路画像表示処理について説明する。図5に示すように更新後経路画像表示処理は、経路画像(StretchedCPR画像26、StraightenedCPR画像27)に示された経路線23を補正する外部からの(操作者による)補正操作を受けて、補正された経路線23に沿った更新後の経路画像を表示する処理であり、本実施形態では、まず、上記補正操作に従って補正された経路線23を表示する補正後経路線表示処理が行われる(図5のステップS21)。
【0050】
本実施形態において上記補正操作とは、図11のStretchedCPR画像26またはStraightenedCPR画像27に示された経路線23を、上記操作装置3(図1参照)を用いて操作者が補正する(延長、形状の一部修正を含む)操作のことである。この補正操作は、図7または図8に示す元画像20上での経路線23の指定操作と同様に行うことが可能である。図11のStretchedCPR画像26に、経路線23の延長部分23aを破線で示す。
【0051】
次いで、補正された経路線23を含んでなる補正後の経路曲面24を設定する補正後経路曲面設定処理が行われる(図5のステップS22)。なお、この補正後経路曲面設定処理は、上述の経路曲面設定処理と同様の手法を用いて実施される。
【0052】
次に、設定された補正後の経路曲面24上の画像情報が担持されてなる更新後の経路画像を作成する更新後経路画像作成処理が行なわれ(図5のステップS23)、作成された更新後の経路画像が上記画像表示装置2(図1参照)の画面上に表示される(図5のステップS24)。図12は更新後の経路画像の表示例を示している。なお、更新後経路画像作成処理は、上述の経路画像作成処理と同様の手法を用いて実施される。
【0053】
次いで、表示された更新後の経路画像(StretchedCPR画像26、StraightenedCPR画像27)に示された管腔状組織21の観察方向を変更するという指示が操作者によりなされたか否かが判断され(図5のステップS25)、指示がなされたと判断した場合には上述した変更後経路画像表示処理が行われる(図5のステップS40)。一方、指示がなされていないと判断した場合には1回目の更新後経路画像作成処理が終了する。
【0054】
1回目の更新後経路画像作成処理が終了すると、更新後の経路画像を観察用画像とするという指示が操作者によりなされたか否かが判断され(図2のステップ30)、指示がなされたと判断した場合には、観察用画像作成処理が終了する。一方、指示がなされていないと判断した場合には、上述の更新後経路画像作成処理が再度行われる。
【0055】
図13は観察用画像の表示例を示している。観察用画像とされたStretchedCPR画像26およびStraightenedCPR画像27には、観察対象とされた管腔状組織21の長軸方向に亘る画像が表示されており、管腔状組織21の狭窄部位の診断等に供されるようになっている。
【0056】
なお、観察用画像の作成過程における経路線23の指定は、経路曲面24(図9参照)の位置を仮指定する意味合いを持つものであって、管腔状組織21が画像上に示されているか否かに関わらず行うことが可能である。図14に経路線設定の他の例を示す。図14(a)は、StretchedCPR画像26において、一部が分断されたように示された管腔状組織21に対し、経路線23がその分断されている部分も含めて指定された例を示している。また、同図(b)は、このような経路線23の指定に従って更新された経路画像(StraightenedCPR画像27)上に、分断されていない管腔状組織21が表示され、そこで経路線23が一部修正された例を示している(修正部分23bを破線で示す)。
【0057】
このように本実施形態においては、経路線23の指定を操作者が行うとともに、指定した経路線23を、更新された経路画像上において操作者が順次補正することにより、観察対象としている管腔状組織21の観察用画像が徐々に作成されるようになっている。このため、画像濃度値に基づいて管腔状組織を特定することが困難なMRI画像においても、操作者の知見に基づき管腔状組織を探索することができるので、観察用画像を作成することが可能となる。また、操作者にとっては、経路線の指定や補正が自身の判断に基づいて行われるので、観察用画像の作成過程が分かり易いとともに、観察対象としている管腔状組織を着実に追跡しているという実感を得ることも可能となるので、得られた観察用画像の適否を自ら判断することが容易となり、観察用画像を診断等へ積極的に利用することが可能となる。
【0058】
なお、図14(b)において新たに指定された修正部分23bは、直線表示された元の経路線23と交わっていないが、このような場合でも、スプライン曲線等により修正部分23bと元の経路線23との間を補完することにより、更新後の経路曲面24(図9参照)を設定することが可能である。
【0059】
また、本実施形態において、上記説明にはない他の機能を付加することが可能である。例えば、図13のStraightenedCPR画像27(観察用画像)において、管腔状組織21の芯線(中心線)を特定し、それを表示するような機能を付加することが可能である。この場合、中心線の特定には、従来公知の手法を用いることができる。
【0060】
また、管腔状組織21を互いに異なる方向から観察した状態の複数の観察用画像を、1つの画面上に表示する機能を付加することも可能である。図15はこのような観察用画像の表示例を示している。図15に示す例では、経路線23の周りに観察方向が互いに90度ずつ異なる4つの観察用画像(StraightenedCPR画像27A〜27D)と、観察方向を示す2つの方向線33、34が示された断面画像28とが、操作者の指示に基づき図示されるように構成されている。なお、観察方向は任意の方向に設定することが可能である。
【0061】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、種々に態様を変更することが可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態では、元画像20を、画像処理により再構築された3D画像としているが、他の画像を元画像として用いてもよい。例えば、MRI画像診断システムにより得られた断層画像(原画像)を元画像として用いることも可能である。
【0063】
また、上記実施形態では、CPR手法を用いて作成されたStretchedCPR画像26およびStraightenedCPR画像27を経路画像として用いているが、例えば、ボリュームレンダリング(VR)手法を用いて作成された画像を経路画像として用いるようにすることも可能である。その場合、管腔状組織を異なる方向から観察した状態が示された変更後の経路画像を表示する変更後経路画像表示処理は、例えば、VR手法において設定される視線の方向を変更する処理として実施することが可能である。
【0064】
また、上述の説明では、本発明を心臓の冠状血管の観察用画像作成に適用しているが、本発明は脳血管などの他の部位の血管や、リンパ管、腸管、気管、食道管等の他の管腔状組織の観察用画像を作成するために用いることも可能である。
【0065】
また、本発明は、MRI画像診断システムにより得られた3次元画像データに基づいて管腔状組織の観察用画像を作成する場合に特に有用であるが、CTや核医学等の他の画像診断システムにより得られた画像データに基づき、管腔状組織の観察用画像を作成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態に係る管腔状組織画像作成装置のブロック図
【図2】観察用画像作成処理のフローチャート
【図3】経路画像表示処理のフローチャート
【図4】更新後経路画像表示処理のフローチャート
【図5】変更後経路画像表示処理のフローチャート
【図6】元画像の一例を示す図
【図7】指定操作の手順の一例を示す図
【図8】指定操作の手順の他の例を示す図
【図9】経路曲面設定処理の一例を示す図
【図10】経路画像の表示例を示す図
【図11】変更後の経路画像の表示例を示す図
【図12】更新後の経路画像の表示例を示す図
【図13】観察用画像の表示例を示す図
【図14】経路線設定の他の例を示す図
【図15】観察方向が異なる複数の観察用画像の表示例を示す図
【符号の説明】
【0067】
1 画像処理装置
2 画像表示装置
3 操作装置
11 制御部
12 画像データ記憶部
13 作成画像記憶部
14 作成画像出力インタフェース
15 操作入力インタフェース
16 画像データインタフェース
20 元画像
21 管腔状組織
22 ポインタ
23 経路線
23a 延長部分
23b 修正部分
24 経路曲面
25 直線群
26 StretchedCPR画像
27、27A〜27D StraightenedCPR画像
28 断面画像
29 他の生体組織
30、31 位置表示線
32 傾斜線
33、34 方向線
【出願人】 【識別番号】503313373
【氏名又は名称】株式会社AZE
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100097984
【弁理士】
【氏名又は名称】川野 宏


【公開番号】 特開2008−261(P2008−261A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171232(P2006−171232)