トップ :: A 生活必需品 :: A61 医学または獣医学;衛生学

【発明の名称】 X線診断装置、その制御方法及びプログラム
【発明者】 【氏名】田中 秀明

【氏名】石川 直史

【要約】 【課題】長尺撮影において、撮影画像の状態や撮影位置を容易に把握することを可能にする。

【構成】X線診断装置1のX線絞り4は、透視画像取得用及び撮影画像取得用の照射野をそれぞれ形成する。駆動制御部14は、撮影画像取得用の照射野のX線が照射される被検体Pの部位(撮影領域)を体軸方向2aに沿って変更する。DR装置15は、透視画像取得用の照射野のX線が照射されたときにX線検出器5から出力された検出データに基づいて、被検体の所定部位の透視画像を形成する。また、DR装置15は、各撮影領域について、撮影画像取得用の照射野のX線が照射されたときの検出データに基づいて、その撮影領域の撮影画像を形成する。演算制御部11は、透視画像を表示部17に表示させるとともに、上記所定部位と撮影領域との位置関係に基づいて、当該撮影領域の撮影画像を透視画像に重ねて表示させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝台と、
X線を発生するX線発生手段と、
前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、
前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、
前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、
前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、
表示手段と、
前記形成された画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、
を有するX線診断装置であって、
前記照射野形成手段は、前記X線の第1の照射野と、当該第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野とを切り換えて形成し、
前記駆動手段は、前記相対的な移動により、前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を前記体軸方向に沿って変更し、
前記画像形成手段は、
前記第1の照射野のX線が照射されたときに前記出力された検出データに基づいて、前記被検体の所定部位の透視画像を形成するとともに、
前記駆動手段により前記変更される前記被検体の部位のそれぞれについて、前記第2の照射野のX線が当該部位に照射されたときに前記出力された検出データに基づいて、当該部位の撮影画像を形成し、
前記表示制御手段は、
前記所定部位の前記透視画像を前記表示手段に表示させるとともに、
前記被検体の部位のそれぞれについて、前記所定部位に対する位置関係に基づいて、当該部位の前記撮影画像を前記透視画像に重ねて表示させる、
ことを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記照射野形成手段は、前記第2の照射野として、前記体軸方向の長さが前記体軸方向に直交する方向の長さよりも短い略長方形状の照射野を形成し、
前記画像形成手段は、前記被検体の部位のそれぞれの撮影画像として、前記略長方形状の照射野に対応する略長方形状の撮影画像を形成する、
ことを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記照射野形成手段により形成される照射野の前記体軸方向における長さと、前記所定部位の前記体軸方向における長さとに基づいて、前記撮影画像の撮影位置を求める演算手段を更に備え、
前記駆動手段は、前記求められた前記撮影位置に基づいて、前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位の前記変更を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記撮影画像の撮影枚数と、前記所定部位の前記体軸方向における長さとに基づいて、前記撮影画像の撮影位置を求める演算手段を更に備え、
前記駆動手段は、前記求められた前記撮影位置に基づいて、前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位の前記変更を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記演算手段は、隣接する撮影画像のそれぞれの一部が互いに重複するように、前記撮影画像の撮影位置を求める、
ことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記駆動手段は、前記相対的な移動により、前記第1の照射野のX線が照射される前記所定部位の部分領域を前記体軸方向に沿って変更し、
前記画像形成手段は、前記変更される前記部分領域のそれぞれについて、前記第1の照射野のX線が当該部分領域に照射されたときに前記出力された検出データに基づいて、当該部分領域の透視画像を形成し、
前記表示制御手段は、前記部分領域のそれぞれについて前記形成された透視画像を、前記部分領域の位置関係に基づいて前記表示手段に表示させることにより、前記所定部位の透視画像の前記表示を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項7】
操作手段を更に備え、
前記駆動手段は、前記操作手段が操作されたことに対応して、前記X線が照射される前記被検体の部位の前記変更を行う、
ことを特徴とする請求項1に記載のX線診断装置。
【請求項8】
寝台と、
X線を発生するX線発生手段と、
前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、
前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、
前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、
前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、
表示手段と、
前記被検体の透視画像を取得するための透視画像取得動作と、前記被検体の撮影画像を取得するための撮影画像取得動作とを切り換えて動作制御を行う制御手段と、
を有するX線診断装置であって、
前記制御手段は、
前記透視画像取得動作時に、前記照射野形成手段を制御して第1の照射野を形成させて、前記第1の照射野に対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるとともに、当該検出データに基づいて前記画像形成手段により形成された透視画像を前記表示手段に表示させ、
前記撮影画像取得動作時に、前記照射野形成手段を制御して前記第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野を形成させ、前記駆動手段を制御して前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を変更させて、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるとともに、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを基に前記画像形成手段により形成された撮影画像を、当該部位と前記透視画像との位置関係に基づいて、前記表示された前記透視画像に重ねて表示させる、
ことを特徴とするX線診断装置。
【請求項9】
寝台と、
X線を発生するX線発生手段と、
前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、
前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、
前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、
前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、
表示手段と、
を有し、前記被検体の透視画像を取得するための透視画像取得動作と、前記被検体の撮影画像を取得するための撮影画像取得動作とを実行するX線診断装置の制御方法であって、
前記透視画像取得動作時には、
前記照射野形成手段に第1の照射野を形成させるステップと、
前記第1の照射野に対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、
当該検出データに基づいて前記画像形成手段に透視画像を形成させるステップと、
当該形成された透視画像を前記表示手段に表示させるステップと、
を実行させ、
前記撮影画像取得動作時には、
前記第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野を前記照射野形成手段に形成させるステップと、
当該第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を前記駆動手段に変更させるステップと、
前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、
前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データに基づく撮影画像を前記画像形成手段に形成させるステップと、
当該形成された撮影画像を、当該部位と前記透視画像との位置関係に基づいて、前記表示された前記透視画像に重ねて表示させるステップと、
を実行させる、
ことを特徴とするX線診断装置の制御方法。
【請求項10】
寝台と、
X線を発生するX線発生手段と、
前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、
前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、
前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、
前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、
表示手段と、
を有し、前記被検体の透視画像を取得するための透視画像取得動作と、前記被検体の撮影画像を取得するための撮影画像取得動作とを実行するX線診断装置を制御するプログラムであって、
前記透視画像取得動作時には、
前記照射野形成手段に第1の照射野を形成させるステップと、
前記第1の照射野に対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、
当該検出データに基づいて前記画像形成手段に透視画像を形成させるステップと、
当該形成された透視画像を前記表示手段に表示させるステップと、
を実行させ、
前記撮影画像取得動作時には、
前記第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野を前記照射野形成手段に形成させるステップと、
当該第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を前記駆動手段に変更させるステップと、
前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、
前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データに基づく撮影画像を前記画像形成手段に形成させるステップと、
当該形成された撮影画像を、当該部位と前記透視画像との位置関係に基づいて、前記表示された前記透視画像に重ねて表示させるステップと、
を実行させる、
ことを特徴とするX線診断装置を制御するプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、被検体にX線を照射し、被検体を透過したX線の線量に基づく画像を形成して表示するX線診断装置、その制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
X線診断装置は、X線を被検体に照射し、被検体を透過したX線の線量を検出することにより、被検体の内部形態を画像化して表示する装置である。
【0003】
一般的なX線診断装置の外観構成を図11に示す(表示デバイスや操作デバイスを含むコンソールは図示を省略する。)。このX線診断装置は、支持基台1001によって床面上に支持される本体部1002と、被検体(図示せず)が載置される寝台1003と、X線照射装置1006を保持する保持アーム1004とを備えている。
【0004】
X線照射装置1006には、X線を発生するX線管球1006aと、このX線管球1006aから発生されたX線の照射野を形成するX線絞り1006bとが設けられている。
【0005】
寝台1003と保持アーム1004は、駆動機構1005を介して本体部1002に接続されている。駆動機構1005は、寝台1003と保持アーム1004を一体的に回動させて傾斜させるように作用する。
【0006】
寝台1003の内部或いは下面には、被検体を挟んでX線照射装置1006と対峙するようにX線検出器(図示せず)が設けられている。このX線検出器としては、イメージ・インテンシファイア(Image Intensifier)やX線平面検出器などが用いられる。
【0007】
保持アーム1004(X線照射装置1006)とX線検出器は、図示しない駆動機構によって寝台1003の長手方向(載置される被検体の体軸方向)及びそれに直交する短手方向にそれぞれ移動可能に構成されており、被検体の撮影部位を変更できるようになっている。
【0008】
X線診断装置による撮影手法として、従来から長尺撮影と呼ばれる手法が用いられている。長尺撮影とは、画像一枚の撮影領域よりも広い範囲、すなわちX線検出器の検出面(視野領域)よりも広い範囲を撮影対象とするもので、撮影部位の異なる複数の画像を順次に撮影し、得られた複数の画像をつなぎ合わせて(貼り合わせて)一つの画像の画像データを形成する手法である(たとえば特許文献1参照)。
【0009】
図11のX線診断装置を用いて行う長尺撮影について、図12、図13を参照しつつ説明する。ここでは、2枚の画像を撮影して貼り合わせる場合について説明する。ユーザが所定の操作を行って長尺撮影モードを選択すると、寝台1003の短手方向への移動が禁止され、被検体の体軸方向への移動のみが可能とされる。また、ユーザは、図13(A)に示すように、この2枚の画像の撮影領域g1、g2を設定する。ここで、撮影領域g1、g2は、画像の貼り合わせを好適に行うために重複領域g12を有するように設定される。
【0010】
図12中の矢印Aは、映像系(X線照射装置1006及びX線検出器)を2つの撮影領域g1、g2に配置させるための映像系の移動状態を表している。当該移動の前及び後における映像系の位置を、それぞれ第1の撮影位置及び第2の撮影位置と呼ぶ。X線照射装置1006には、X線管球1006aとX線絞り1006bが含まれている。図12中の符号1007aは、X線検出器の検出面の位置を表している。また、図12中の符号B1、B2は、それぞれ第1、第2の撮影位置において照射されたX線が通過する領域(X線通過領域)を表している。
【0011】
X線診断装置は、まず、第1の撮影位置に映像系を配置させ、撮影領域g1に対応する画像を撮影する。図13(B)の撮影画像G1は、この第1の撮影位置において撮影された画像を示している。この撮影画像G1の画像データには、寝台1003の長手方向における第1の撮影位置の位置情報(座標値)が付加される。
【0012】
次に、第1の撮影位置から第2の撮影位置に映像系を移動させ、撮影領域g2に対応する画像を撮影する。図13(C)の撮影画像G2は、この第2の撮影位置において撮影された画像を示している。この撮影画像G2の画像データには、寝台1003の長手方向における第2の撮影位置の位置情報(座標値)が付加される。
【0013】
続いて、X線診断装置は、撮影画像G1と撮影画像G2とを貼り合わせる。このとき、たとえば、図13(D)に示すように、重複領域g12の中央位置GMが境界となるように撮影画像G1、G2を貼り合わせる。この貼り合わせ処理は、第1、第2の撮影位置の位置情報、X線管球1006aとX線検出器の検出面との間の距離、そしてX線絞り1006bが形成するX線通過領域に基づいて貼り合わせ位置(中央位置GM)を求めて行うようになっている。
【0014】
なお、撮影画像G1、G2の撮影は、ユーザが撮影像を目視で確認しつつ撮影位置を変更してワンショット撮影を繰り返して行うようにしてもよいし、所定の撮影時間間隔(たとえば2フレーム/秒)で連続撮影を行いつつユーザが撮影位置を変更して行うようにしてもよい。
【0015】
【特許文献1】特開2004−358254号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
上記のような従来のX線診断装置を用いて長尺撮影を行う場合、次のような問題の発生が指摘される。
【0017】
長尺撮影においては、撮影画像の状態(たとえば造影剤を用いる場合における造影剤の到達状況など)や、撮影画像の撮影位置などを確認しながら撮影を行う必要があるために、各画像の撮影領域を広くして骨や血管の位置を把握できることが望ましい。
【0018】
広い撮影領域を確保するには、X線絞り1006bを開いてX線の照射角度(X線通過領域)を大きくしてX線検出器の視野領域を広くする必要がある。そうすると、被検体の体厚方向(X線照射装置1006とX線検出器とを結ぶ方向)の位置の違いにより、X線検出器の検出面1007aに結像するX線に位置ずれが発生し、撮影画像を貼り合わせるときの精度が低下するという問題が生じることになる。
【0019】
この問題について図12の位置P1、P2を参照して具体的に説明する。位置P1、P2は、被検体Pの体厚方向における位置のみが異なっている(位置P1がX線照射装置1006寄りに、位置P2が検出面1007a寄りに配置している。)。また、各画像の撮影領域を広く設定していることから、第1の撮影位置から第2の撮影位置までの間の距離、つまり映像系の体軸方向への移動距離が比較的長くなっている。
【0020】
まず、位置P1を通過するX線については、映像系を第1の撮影位置に配置させたときの結像位置と、第2の撮影位置に配置させたときの結像位置との間に、被検体Pの体軸方向の結像位置ずれΔ1が生じる。他方、位置P2を通過するX線については、同様に、被検体Pの体軸方向に結像位置ずれΔ2(<Δ1)が生じる。結像位置ずれは、X線照射装置1006に近い位置ほど大きくなる。このように、体軸方向における位置が同じであっても、体厚方向における位置が異なると、結像位置ずれの量も異なってしまうために、体軸方向における画像の貼り合わせ精度が低下してしまう。この結像位置ずれは、映像系の体軸方向への移動距離に比例して大きくなるものである。
【0021】
また、各画像の撮影領域を広く設定した場合、被検体PとX線との相互作用による散乱線が増加し、貼り合わせ部分の画像に濃度ムラが発生し、貼り合わせ精度が低下するといった問題も生じる。
【0022】
このような問題に対処するために広い撮影領域を設定したまま、映像系の体軸方向への移動距離を短くすると、隣接する画像の重複領域が増大し、被検体Pの不要被曝が増加するという新たな問題が発生する。
【0023】
この新たな問題に対処するために、たとえば図14に示すように体軸方向の長さが短い短冊状の撮影領域gj(j=1、2、・・・)を設定して撮影を行うと、前述した撮影画像の状態や撮影位置の把握が困難になり、長尺撮影を好適に行うことができない。
【0024】
この発明は、以上のような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、X線診断装置を用いた長尺撮影において、撮影画像の状態や撮影位置を容易に把握することを可能にする技術を提供することにある。
【0025】
また、この発明は、X線診断装置を用いた長尺撮影における、被検体の体厚方向の位置の違いに基づくX線の結像位置ずれに起因する撮影画像の貼り合わせ精度の低下防止を図ることを可能にする技術を提供することを別の目的としている。
【0026】
また、この発明は、X線診断装置を用いた長尺撮影における被検体の不要被曝の低減を図ることを可能にする技術を提供することを更に別の目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0027】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、寝台と、X線を発生するX線発生手段と、前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、表示手段と、前記形成された画像を前記表示手段に表示させる表示制御手段と、を有するX線診断装置であって、前記照射野形成手段は、前記X線の第1の照射野と、当該第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野とを切り換えて形成し、前記駆動手段は、前記相対的な移動により、前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を前記体軸方向に沿って変更し、前記画像形成手段は、前記第1の照射野のX線が照射されたときに前記出力された検出データに基づいて、前記被検体の所定部位の透視画像を形成するとともに、前記駆動手段により前記変更される前記被検体の部位のそれぞれについて、前記第2の照射野のX線が当該部位に照射されたときに前記出力された検出データに基づいて、当該部位の撮影画像を形成し、前記表示制御手段は、前記所定部位の前記透視画像を前記表示手段に表示させるとともに、前記被検体の部位のそれぞれについて、前記所定部位に対する位置関係に基づいて、当該部位の前記撮影画像を前記透視画像に重ねて表示させる、ことを特徴とする。
【0028】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のX線診断装置であって、前記照射野形成手段は、前記第2の照射野として、前記体軸方向の長さが前記体軸方向に直交する方向の長さよりも短い略長方形状の照射野を形成し、前記画像形成手段は、前記被検体の部位のそれぞれの撮影画像として、前記略長方形状の照射野に対応する略長方形状の撮影画像を形成する、ことを特徴とする。
【0029】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のX線診断装置であって、前記照射野形成手段により形成される照射野の前記体軸方向における長さと、前記所定部位の前記体軸方向における長さとに基づいて、前記撮影画像の撮影位置を求める演算手段を更に備え、前記駆動手段は、前記求められた前記撮影位置に基づいて、前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位の前記変更を行う、ことを特徴とする。
【0030】
また、請求項4に記載の発明は、で請求項1に記載のX線診断装置あって、前記撮影画像の撮影枚数と、前記所定部位の前記体軸方向における長さとに基づいて、前記撮影画像の撮影位置を求める演算手段を更に備え、前記駆動手段は、前記求められた前記撮影位置に基づいて、前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位の前記変更を行う、ことを特徴とする。
【0031】
また、請求項8に記載の発明は、寝台と、X線を発生するX線発生手段と、前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、表示手段と、前記被検体の透視画像を取得するための透視画像取得動作と、前記被検体の撮影画像を取得するための撮影画像取得動作とを切り換えて動作制御を行う制御手段と、を有するX線診断装置であって、前記制御手段は、前記透視画像取得動作時に、前記照射野形成手段を制御して第1の照射野を形成させて、前記第1の照射野に対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるとともに、当該検出データに基づいて前記画像形成手段により形成された透視画像を前記表示手段に表示させ、前記撮影画像取得動作時に、前記照射野形成手段を制御して前記第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野を形成させ、前記駆動手段を制御して前記第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を変更させて、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるとともに、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを基に前記画像形成手段により形成された撮影画像を、当該部位と前記透視画像との位置関係に基づいて、前記表示された前記透視画像に重ねて表示させる、ことを特徴とする。
【0032】
また、請求項9に記載の発明は、寝台と、X線を発生するX線発生手段と、前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、表示手段と、を有し、前記被検体の透視画像を取得するための透視画像取得動作と、前記被検体の撮影画像を取得するための撮影画像取得動作とを実行するX線診断装置の制御方法であって、前記透視画像取得動作時には、前記照射野形成手段に第1の照射野を形成させるステップと、前記第1の照射野に対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、当該検出データに基づいて前記画像形成手段に透視画像を形成させるステップと、当該形成された透視画像を前記表示手段に表示させるステップと、を実行させ、前記撮影画像取得動作時には、前記第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野を前記照射野形成手段に形成させるステップと、当該第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を前記駆動手段に変更させるステップと、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データに基づく撮影画像を前記画像形成手段に形成させるステップと、当該形成された撮影画像を、当該部位と前記透視画像との位置関係に基づいて、前記表示された前記透視画像に重ねて表示させるステップと、を実行させる、ことを特徴とする。
【0033】
また、請求項10に記載の発明は、寝台と、X線を発生するX線発生手段と、前記発生されたX線の照射野を形成する照射野形成手段と、前記寝台を挟んで前記X線絞りに対峙する位置に配置され、前記寝台に載置された被検体を透過したX線を検出して検出データを出力するX線検出手段と、前記寝台と、前記X線発生手段、前記照射野形成手段及び前記X線検出手段とを、前記被検体の体軸方向に沿って相対的に移動させる駆動手段と、前記出力された検出データに基づいて前記被検体の内部形態を表す画像を形成する画像形成手段と、表示手段と、を有し、前記被検体の透視画像を取得するための透視画像取得動作と、前記被検体の撮影画像を取得するための撮影画像取得動作とを実行するX線診断装置を制御するプログラムであって、前記透視画像取得動作時には、前記照射野形成手段に第1の照射野を形成させるステップと、前記第1の照射野に対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、当該検出データに基づいて前記画像形成手段に透視画像を形成させるステップと、当該形成された透視画像を前記表示手段に表示させるステップと、を実行させ、前記撮影画像取得動作時には、前記第1の照射野よりも前記体軸方向の長さが短い第2の照射野を前記照射野形成手段に形成させるステップと、当該第2の照射野のX線が照射される前記被検体の部位を前記駆動手段に変更させるステップと、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データを前記X線検出手段に出力させるステップと、前記被検体の部位のそれぞれに対応する検出データに基づく撮影画像を前記画像形成手段に形成させるステップと、当該形成された撮影画像を、当該部位と前記透視画像との位置関係に基づいて、前記表示された前記透視画像に重ねて表示させるステップと、を実行させる、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
請求項1に記載のX線診断装置は、X線の第1の照射野とこれよりも被検体体軸方向の長さが短い第2の照射野とを切り換えて形成する照射野形成手段と、第2の照射野のX線が照射される被検体の部位を体軸方向に沿って変更する駆動手段と、第1の照射野のX線が照射されたときにX線検出手段から出力された検出データに基づいて、被検体の所定部位の透視画像を形成するとともに、駆動手段により変更される第2の照射野のX線の各照射部位について、X線検出手段から出力された検出データに基づいて、当該部位の撮影画像を形成する画像形成手段とを備えている。
【0035】
そして、表示制御手段は、上記所定部位の透視画像を表示手段に表示させるとともに、第2の照射野のX線の各照射部位について形成された撮影画像を、この照射部位の上記所定部位に対する位置関係に基づいて透視画像に重ねて表示させるように作用する。
【0036】
このようなX線診断装置によれば、長尺撮影を実施するときに、各撮影画像の位置を透視画像に基づいて把握できるので、撮影画像の位置を容易に把握することが可能である。
【0037】
更に、造影剤を用いて長尺撮影を行う場合に、撮影画像の状態を確認することにより、この撮影画像の撮影領域まで造影剤が到達しているかを容易に判断できる。このような撮影画像の状態の確認は、造影剤を用いる場合だけでなく、撮影画像の状態が時間経過とともに変化するような任意の撮影態様において適用できる。
【0038】
また、請求項2に記載のX線診断装置によれば、体軸方向の長さがこれに直交する方向の長さよりも短い略長方形状の第2の照射野を形成し、この第2の照射野に対応する略長方形状の撮影画像を形成するように構成されているので、長尺撮影において取得される、隣接する撮影画像の撮影位置の差(体軸方向における距離)を小さくすることができる。したがって、或る撮影画像の撮影領域から、それに隣接する撮影画像の撮影領域に移動するときの移動量を小さくすることができる。それにより、被検体の体厚方向の位置の違いに基づくX線の結像位置ずれが小さくなり、この結像位置ずれに起因する撮影画像の貼り合わせ精度の低下を防止することが可能になる。
【0039】
また、請求項3又は請求項4に記載のX線診断装置は、撮影画像の撮影位置を演算し、この演算された撮影位置に基づいて撮影画像を取得するように構成されている。このとき、隣接する撮影画像の重複領域の体軸方向における長さが小さくなるような撮影位置を求めるように上記の演算処理を実行することができ、それにより、長尺撮影における被検体の不要被曝を低減させることが可能になる。
【0040】
また、請求項8、請求項9又は請求項10に記載の発明によれば、第1の照射野に対応してX線検出手段から出力された検出データに基づいて透視画像を形成して表示させるように動作するとともに、第1の照射野よりも体軸方向の長さが短い第2の照射野のX線の照射部位を変更し、各部位に対応してX線検出手段から出力された検出データに基づく撮影画像を形成して透視画像に重ねて表示させるように動作するように構成されているので、長尺撮影を実施するときに、各撮影画像の位置を透視画像に基づいて把握でき、撮影画像の位置を容易に把握することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態の一例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0042】
[装置構成]
図1は、この発明に係るX線診断装置の構成の一例を表している。同図に示すX線診断装置1は、図11、図12に示した従来の構成と同様に、寝台2、X線管球3、X線絞り4及びX線検出器5を備えている。また、このX線診断装置1には、従来と同様に、演算制御部11、X線制御部12、絞り制御部13、駆動制御部14、DR装置15及びユーザインターフェイス16が設けられている。なお、X線診断装置1は、たとえば図11と同様の外観構成を備えている。
【0043】
ユーザインターフェイス16には、表示部17と操作部18が設けられている。表示部17は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイや、LCD(Liquid Crystal Display)等の任意の形態の表示デバイスによって構成される。この表示部17は、演算制御部11の制御を受けて各種の画面や画像を表示する。表示部17は、この発明の「表示手段」の一例として機能するものである。
【0044】
また、操作部18は、キーボード、マウス、トラックボール、ジョイスティック、コントロールパネル等の任意の形態の操作デバイスや入力デバイスによって構成される。演算制御部11は、実施された操作に基づいて操作部18が出力する操作信号を受けて、この操作内容に対応する制御や演算を実行する。操作部18は、この発明の「操作手段」の一例として機能するものである。
【0045】
なお、図1においては、表示部17と操作部18とが別々に記載されているが、たとえばタッチパネル式のLCDやペンタブレット等のように、それらを一体的に構成することも可能である。
【0046】
寝台(の天板)2には被検体Pが載置される。被検体Pは、図11に示したように、その体軸方向を寝台2の長手方向に合わせるようにして載置される。なお、図1中の符号2aは、寝台2の長手方向(被検体Pの体軸方向)を示している。
【0047】
X線管球3は、X線を発生する真空管である。フィラメント(陰極)に加熱電流を供給して電子を放出させ、フィラメントとタングステン陽極との間に高電圧を印加して電子を加速させ、タングステン陽極に衝突させる。加速した電子がタングステン陽極に衝突するとX線が発生する。X線管球3は、この発明の「X線発生手段」の一例として機能するものである。
【0048】
X線制御部12には、図示は省略するが、従来と同様に、高電圧を発生する高電圧発生部と、この高電圧発生部を制御する制御部(マイクロプロセッサ等)とが設けられている。高電圧の印加は、たとえば、高周波数インバータ方式、すなわち50/60Hzの交流電源を整流して直流とし、それを数kHz以上の高周波数の交流に変換して昇圧するとともにそれを再度整流して印加する方式のものが適用される。
【0049】
X線管球3は、高電圧発生部により発生された高電圧の印可を受けて所定強度のX線を発生する。なお、X線管球3に印可される高電圧の電圧値や電流値は、ユーザインターフェイス16を用いてユーザが設定することもできるし、自動的に設定されるように構成することもできる。
【0050】
X線絞り4は、たとえば、図2に示すように、タングステンやモリブデン等のX線を吸収する素材で組成された板状の絞り羽根41、42、43、44を四方に配置して構成されている。絞り羽根41〜44は、その端面が、隣接する羽根の端面に対して互いに直交するように配置されており、絞り羽根41〜44の内側の端面で形成される開口は矩形状となっている。
【0051】
絞り制御部13は、X線絞り4の絞り羽根41〜44をそれぞれ移動させることにより、様々な形態(サイズ、形状)の照射野を形成させるように機能する。この絞り制御部13には、各絞り羽根41〜44を駆動するアクチュエータと、このアクチュエータを制御する制御部(マイクロプロセッサ等)が設けられている。絞り制御部13は、絞り羽根41、42を、寝台2の短手方向2b(長手方向2aに直交する方向)にそれぞれ移動させ、絞り羽根43、44を、寝台2の長手方向2aにそれぞれ移動させるようになっている(図2参照)。
【0052】
このように、絞り制御部13によって制御されるX線絞り4により、X線管球3を頂点とし、X線検出器5の検出面を底面とする、略四角錐形状のX線通過領域F(図1参照)が形成され、このX線通過領域Fに対応したX線の照射野が形成される。X線絞り4は、この発明の「照射野形成手段」の一例として機能するものである。
【0053】
ここで、照射野とは、X線通過領域と、それを横切る平面との共通領域、換言すると、当該平面に対してX線が照射される領域を意味する。たとえば、被検体Pに対するX線の照射野は、長手方向2aと短手方向2bとを含む平面であって、被検体Pを通過する平面に対してX線が照射される領域となる。また、X線検出器5の検出面に対するX線の照射野は、長手方向2aと短手方向2bとを含む平面であって、X線検出器5の検出面を通過する平面に対してX線が照射される領域となる(後述のX線検出領域に相当する。)。これらの照射野の形状は、X線通過領域Fが一定であるときには、相似の関係になっている。
【0054】
X線検出器5は、X線管球3により発生されたX線を検出し、その検出結果(検出データ)をDR装置15に出力するように作用するもので、この発明の「X線検出手段」の一例として機能するものである。このX線検出器5は、たとえばイメージ・インテンシファイアやX線平面検出器などにより構成される。
【0055】
イメージ・インテンシファイアは、シンチレータ等の蛍光面でX線を光に変換し、蛍光面と接して作られた光電面から光電子を放出させるとともに、フォーカス電極及び陽極で作られる電子レンズで集束加速させて、出力蛍光面に電子像を形成させる。更に出力蛍光面で電子像を可視像に変換してカメラで撮影することにより画像データ(検出データ)を取得するものである。
【0056】
また、X線平面検出器は、多行多列のX線検出素子を配して構成された検出面を有している。X線検出素子としては、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し、その光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換型や、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動(すなわち光導電現象)を利用した直接変換形などを用いることができる。X線平面検出器は、X線を可視光に変換して可視光の光量に応じた電荷データ(検出データ)を形成する。
【0057】
X線平面検出器は、X線検出素子の配列に従って素子単位で電荷を読み出せるようになっている。各素子から出力される検出データには、2次元的な素子配列に基づく2次元座標系による当該素子の座標情報が含まれている。
【0058】
X線管球3、X線絞り4及びX線検出器5は、一体的に移動可能とされた移動部6を形成している(たとえば、図11、図12に示した従来と同様の構成を有する。)。移動部6は、駆動制御部14により、寝台2の長手方向2a(体軸方向)及び短手方向に移動される。駆動制御部14は、この発明の「駆動手段」の一例として機能するものであり、移動部6を駆動する駆動機構と、この駆動機構の動作を制御する制御部(マイクロプロセッサ等)を含んで構成される。なお、移動部6は、[背景技術]の項にて説明した「映像系」に相当するものである。
【0059】
DR(Digital Radiography)装置15は、X線検出器5から出力された検出データをデジタル信号に変換し、更に各種の画像処理などを行って画像(画像データ)を形成するように機能するコンピュータを含んで構成される。このDR装置15は、この発明の「画像形成手段」の一例として機能するものである。
【0060】
ここで、X線絞り4は、絞り羽根41〜44が形成する開口の形状に対応する略四角錐形状のX線通過領域Fを形成し、このX線通過領域Fに対応するX線検出器5のX線検出領域は、略長方形(略正方形を含む。)の形状になることから、DR装置15により形成される画像は、当該開口の形状に対応する略長方形の形状の画像となる。
【0061】
演算制御部11は、X線診断装置1の各部の制御(特に、X線制御部12、絞り制御部13、駆動制御部14、ユーザインターフェイス16の制御)や、各種の演算処理を実行する。この演算制御部11が実行する制御や演算処理の内容については、以下の[使用形態]の項において詳述する。
【0062】
演算制御部11は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)等のマイクロプロセッサや、所定のコンピュータプログラムを格納するとともに各種データを記憶する記憶装置(メモリやハードディスクドライブ等)などを含んで構成される。マイクロプロセッサは、このコンピュータプログラムを実行することにより、この実施形態に関わる制御や演算処理を行うようになっている。このコンピュータプログラムは、この発明の「(X線診断装置を制御する)プログラム」の一例に相当するものである。
【0063】
演算制御部11は、この発明の「表示制御手段」及び「演算手段」一例としてそれぞれ機能するものである。また、演算制御部11は、この発明の「制御手段」の一例として機能するものである。
【0064】
[使用形態]
この実施形態に係るX線診断装置1の使用形態について、図3〜図9を更に参照しながら説明する。図3に示すフローチャートは、X線診断装置1の使用形態の一例を表している。
【0065】
まず、このフローチャートに示す使用形態の概要を説明する。この使用形態は、被検体Pに造影剤を投与して長尺撮影を行う場合におけるX線診断装置1の使用例である(S1、S2)。このX線診断装置1による長尺撮影は、被検体Pの透視画像(後述)を取得する段階と、撮影画像を取得する段階の二段階によって実施される。
【0066】
ここで、透視画像取得段階は、この発明の「透視画像取得動作」の一例に相当するものであり、撮影画像取得段階は、この発明の「撮影画像取得動作」の一例に相当するものである。
【0067】
透視画像取得段階においては、X線診断装置1は、移動部6の移動可能方向を長手方向2aに限定するとともに(S3)、X線絞り4が透視画像撮影用の照射野を形成し(S4)、この照射野の形態を示す情報(絞り開度情報)を記憶する(S5)。更に、この絞り開度情報に対応するX線検出器5によるX線検出領域を求める(S6)。
【0068】
ユーザは、被検体PのX線透視画像を観察して撮影範囲の設定を行う(S7、S9)。その際、X線診断装置1は、撮影の開始位置を含む透視画像と、終了位置を含む透視画像とをそれぞれ取得し(S8、S10)、取得した透視画像を貼り合わせて表示部17に表示する(S11)。
【0069】
次に、撮影画像取得段階に移行する。まず、ユーザが、長尺撮影における複数の撮影領域(の撮影位置)の設定を行う(S12)。X線診断装置1は、設定された撮影領域に対応するX線の照射野を形成するようにX線絞り4を制御する(S13)。
【0070】
X線診断装置1は、設定された複数の撮影領域のそれぞれについて、ユーザの撮影要求に応じて撮影画像を取得する。このとき、ユーザは、撮影画像を確認することにより、当該撮影領域に造影剤が到達しているか否かを判断しつつ、撮影を進める。そして、X線診断装置1は、撮影画像が取得される度毎に、その撮影画像を透視画像に重ねて表示部17に表示させる。(S14、S15、S16、S17、S18)。
【0071】
以下、これらの各ステップS1〜S18におけるX線診断装置1の動作について詳細に説明する。
【0072】
〔準備段階:S1〜S6〕
最初に、被検体Pに造影剤を投与する(S1)。なお、造影剤を投与するタイミングは、造影剤を投与してから撮影対象部位に到達するまでの時間などを考慮して適宜に決定され、たとえば撮影画像取得段階の後に造影剤を投与するようにしてもよい。なお、造影剤の到達時間は、造影剤の静注位置と撮影対象部位との距離、造影剤の種類、被検体Pの血流速度などの各種の条件に基づくものである。
【0073】
ユーザが、ユーザインターフェイス16を用いて「長尺撮影モード」を選択すると(S2)、演算制御部11は、移動部6の移動可能方向を長手方向(体軸方向)2aに限定する(つまり、短手方向2bへの移動部6の移動を禁止する)ように駆動制御部14を制御する(S3)。
【0074】
また、絞り制御部13は、演算制御部11からの制御に基づき、X線絞り4の絞り羽根41〜44を駆動させて、透視画像を取得するための照射野を形成する(S4)。この透視画像取得用の照射野は、この発明の「第1の照射野」の一例に相当するものである。
【0075】
ここで、「透視画像」とは、被検体Pの撮影範囲の設定に用いられる画像である(後述)。この透視画像は、被検体Pの診療等に供される画像(「撮影画像」と呼ぶ。透視画像は、この撮影画像の撮影範囲の設定に用いられる。)ほどの詳細さは一般に要求されない。
【0076】
このような事情を考慮し、ステップS4においては、たとえば、X線絞り4を最大限に開放した状態(開口のサイズを最大にした絞り開放状態)にして、少なくとも長手方向2aの長さが最大となるような照射野を形成するように制御を行う。なお、被検体Pの不要被曝を軽減するために、照射野の短手方向2bの長さを制限するように制御を行うことも可能である。
【0077】
演算制御部11は、ステップS4にて形成された照射野(開口)の形態を表す情報を取得する(S5)。この情報(「絞り開度情報」と呼ぶ。)には、たとえば、絞り羽根41〜44が形成する開口の長手方向2aの長さの情報が少なくとも含まれているものとする。
【0078】
このステップS5の取得処理としては、たとえば、演算制御部11が絞り制御部13を制御したときの制御内容を演算制御部11自体が記憶することにより絞り開度情報を取得する構成としてもよいし、X線絞り4を駆動した絞り制御部13が絞り開度情報を生成して演算制御部11に送るように構成してもよいし、開口の形態を検出するセンサ(たとえば絞り羽根41〜44の位置を検出する位置センサなど)によって開口の形態を直接に検出し、その検出結果を演算制御部11に送るように構成してもよい。
【0079】
更に、演算制御部11は、ステップS5にて取得された絞り開度情報に基づいて、X線検出器5がX線を検出する領域(X線検出領域)を演算する(S6)。
【0080】
ここで、X線管球3、X線絞り4及びX線検出器5は、前述のように一体的に移動するようになっており、これらの相対的な位置関係は不変とされている。特に、長手方向2a及び短手方向2bに直交する方向における、X線管球3、X線絞り4及びX線検出器5の相互間の距離は不変とされている。
【0081】
したがって、X線絞り4の開口の形態(形状やサイズ)が決定されれば、三角関数等を用いた簡単な計算により、この開口により形成されるX線通過領域Fの形態を一意的に求めることができ、更に、X線検出器5の検出面にX線が投影される領域(照射野)を一意的に求めることができる。ステップS6では、X線検出器5の検出面に対するX線の照射野について、少なくとも長手方向2aの長さをX線検出領域として演算するようになっている。
【0082】
〔撮影範囲の設定:S7〜S10〕
続いて、ユーザは、ユーザインターフェイス16を用いて、撮影画像の撮影範囲、すなわち撮影開始位置と撮影終了位置とをそれぞれ設定する(S7、S9)。このとき、X線診断装置1は、撮影開始位置、撮影終了位置を含む透視画像を取得するように動作する(S8、S10)。
【0083】
撮影範囲の設定について、図4を参照しつつ説明する。まず、演算制御部11は、X線制御部12を制御して、X線管球3に所定強度(透視画像取得用の強度;撮影画像取得用の強度と比較して低い強度として被曝量を低減することが望ましい。)のX線を発生させる。このX線は、ステップS4の透視画像用照射野を形成するものであり、寝台2上の被検体Pを透過してX線検出器5により検出される。X線検出器5は、この透過X線の検出結果である検出データをDR装置15に出力する。DR装置15は、この検出データに基づいて透視画像(の画像データ)を形成する。演算制御部11は、この透視画像を表示部17に表示させる。
【0084】
図4(A)に示す透視画像Tは、被検体Pの腹部付近から足先までの範囲における透視画像を表している。なお、DR装置15により一度に形成される透視画像の範囲は、ステップS4の透視画像取得用の照射野の範囲に対応しており、図4(A)に示す部分透視画像T1や図4(B)に示す部分透視画像T2の範囲となる。ここで、部分透視画像T1、T2の長手方向2aの長さαは、ステップS6で演算された長手方向2aの長さに相当している。
【0085】
(撮影開始位置の設定及び透視画像の取得:S7、S8)
ユーザは、ユーザインターフェイス16を用いて移動部6を長手方向2aに移動させることで被検体Pの様々な透視画像(部分透視画像)を表示させて観察することにより、撮影開始位置として適当な被検体Pの位置(透視画像における位置)を特定する。そして、所定の操作を行うことにより、この特定位置を撮影開始位置として設定する。
【0086】
撮影開始位置の設定について、図4(A)を参照しつつより具体的に説明する。ユーザは、ユーザインターフェイス16を操作して、図4(A)に示す部分透視画像T1を表示部17に表示させる。そして、たとえば「撮影開始位置設定スイッチ」を操作(マウスでクリック、コントロールパネルのボタンを押下など)すると、演算制御部11は、この部分透視画像T1の最も腹部側の位置を示す情報を求め、撮影開始位置Sを示す情報として記憶する(S7)。
【0087】
この撮影開始位置Sを示す情報(撮影開始位置情報)は、たとえば、撮影開始位置設定スイッチが操作されたときの移動部6の位置Ta1を示す情報(透視画像取得位置情報)と、ステップS5にて得られた絞り開度情報とに基づいて、前述の三角関数等を用いた簡単な計算と同様の演算処理を実行することにより求めることができる。撮影開始位置情報は、たとえば、長手方向2aにあらかじめ定義された座標における座標値として表現される。
【0088】
ここで、透視画像取得位置情報は、駆動制御部14を制御したときの制御内容を演算制御部11自体が記憶することによって取得するように構成することもできるし、移動部6を駆動した駆動制御部14から演算制御部11が取得するように構成することもできるし、移動部6の位置を検出するセンサによって移動部6の位置(たとえばX線管球3の位置)を直接に検出し、その検出結果を演算制御部11が取得するように構成することもできる。
【0089】
なお、撮影開始位置情報の演算は、透視画像取得位置情報と絞り開度情報とを用いる方法に限定されるものではない。たとえば、透視画像取得位置情報と、ステップS6にて取得したX線検出領域とに基づいて、撮影開始位置情報を求めることができる。その一例として、X線検出領域に含まれる長手方向2aの長さαの情報を利用し、透視画像取得位置情報が示す位置からα/2だけ腹部側(あらかじめ定義された長手方向2aの座標における「+」方向又は「−」方向)に変位した位置を求めて撮影開始位置Sの座標とすればよい。
【0090】
また、演算制御部11は、撮影開始位置設定スイッチが操作されたときの部分透視画像T1を取得して記憶する(S8)。このとき、部分透視画像T1の表示画像の画像データを記憶するように構成することもできるし、また、スイッチ操作に対応してX線管球3にX線を発生させるようにし、その検出データに基づいてDR装置15により形成された部分透視画像T1の画像データを記憶するように構成することもできる。
【0091】
(撮影終了位置の設定及び透視画像の取得:S9、S10)
次に、撮影終了位置の設定について、図4(B)を参照しつつ説明する。ユーザは、ユーザインターフェイス16を用いて移動部6を長手方向2aに移動させ、図4(B)に示す透視画像Tの部分透視画像T2を表示部17に表示させる。そして、所定の操作(たとえば「撮影終了位置設定スイッチ」の操作)を行うと、演算制御部11は、この部分透視画像T2の最も足先側の位置を示す情報を、撮影終了位置Eを示す情報(撮影終了位置情報;長手方向2aに定義された座標値)として求めて記憶する(S9)。
【0092】
この撮影終了位置情報を求める処理は、たとえば撮影開始位置情報の場合と同様に、撮影終了位置設定スイッチが操作されたときの移動部6の位置Ta2を示す透視画像取得位置情報と、絞り開度情報とに基づいて、前述の三角関数等を用いた簡単な計算を実行して行う(なお、透視画像取得位置情報とX線検出領域とに基づいて演算するようにしてもよい。)。
【0093】
また、演算制御部11は、撮影終了位置設定スイッチが操作されたときの透視画像Tの部分透視画像T2を取得して記憶する(S10)。この処理は、たとえばステップS8と同様にして行うことができる。
【0094】
〔透視画像の表示:S11〕
次に、演算制御部11は、ステップS8にて取得された部分透視画像T1と、ステップS10にて取得された部分透視画像T2とを貼り合わせて得られる透視画像を表示部17に表示させる(S11)。
【0095】
部分透視画像T1、T2の貼り合わせ処理について、図4を参照しつつ説明する。部分透視画像T1、T2は、それぞれ、長手方向2aの長さΔαだけ重複しているものとする。この重複領域の長さΔαは、たとえば、各部分透視画像T1、T2の透視画像取得位置情報(座標値)と、長手方向2aの長さαとに基づいて容易に算出できる。
【0096】
また、この重複領域の長手方向2aにおける中央位置を符号TMで表すものとする。長手方向2aにおける中央位置TMの座標値は、たとえば、各部分透視画像T1、T2の透視画像取得位置情報に示す座標値の中央の座標値として容易に求めることができる。
【0097】
演算制御部11は、部分透視画像T1について、撮影開始位置Sから中央位置TMまでの画像を抽出するとともに、部分透視画像T2について、中央位置TMから撮影終了位置Eまでの画像を抽出する。そして、それぞれ抽出した画像を、中央位置TMの座標を合わせて表示部17に表示させる。それにより、図5に示すように、撮影開始位置Sから撮影終了位置Eまでの範囲(撮影範囲)に相当する透視画像Uが表示されることになる。なお、この透視画像Uは、表示濃度を若干低下させた状態で表示させることが望ましい。
【0098】
〔撮影領域の設定:S12〕
続いて、ステップS7、S9で設定された撮影範囲(撮影開始位置Sから撮影終了位置Eまでの範囲)における長尺撮影を行うための各撮影画像の撮影領域(の撮影位置;特に、長手方向2aにおける位置)を設定し記憶する(S12)。ここで、撮影領域とは、長尺撮影において取得される複数の撮影画像のそれぞれの撮影範囲を意味する。
【0099】
撮影領域の設定態様についてより詳しく説明する。第1の設定態様は、撮影領域の長手方向2aの長さdを優先的に設定するものである。このとき、あらかじめ設定された長さdの値を自動的に設定するようにしてもよいし、ユーザが手作業で長さdを設定するようにしてもよい。後者の場合の一例を説明すると、表示部17に表示された所定の設定画面に対し、各撮影領域の長手方向2aの長さd(たとえば20〜50mm)を手作業で設定するように構成できる。このときの操作態様としては、キーボードで所望の数値を入力する構成、選択可能に呈示された複数の数値から所望の数値を択一的に選択する構成(プルダウンメニューやボタン等)など、長さDを手作業で設定するための任意の構成を採用することが可能である。
【0100】
なお、長さdは、撮影領域の短手方向2bの長さよりも(十分に)小さいことが望ましい。また、長さdは、透視画像T1、T2の長さαよりも(十分に)小さいことが望ましい。長さdに関するこれらの条件は、第2の設定態様においても同様である。
【0101】
また、ここでは、各撮影領域の長手方向2aの長さを全て一定としているが、この発明においてはその必要はなく、長手方向2aの長さの異なる撮影領域を設定することもできる。
【0102】
さて、撮影領域の長さdが設定されると、演算制御部11は、ステップS7、S9で設定された撮影範囲の長手方向2aの長さD(図4では、D=α+α−Δα)を、各撮影領域の長さdで除算してその商Mを求める。そして、図6に示すように、隣接する撮影領域hi、h(i+1)が所定幅Δdの重複領域hi(i+1)を有するように撮影枚数N(N>M)を求めるとともに、撮影領域hiの長手方向2aの位置(座標値)、すなわち、撮影領域hiに対応する移動部6の位置(撮影位置)を決定する(i=1〜N−1)。このとき、重複領域hi(i+1)の幅Δdをなるべく小さくすることが望ましい。なお、上記の商Mが整数でない場合には、たとえばD÷dのガウス記号[D/d]の値を求め、この値[D/d]を用いて、商Mが整数の場合と同様にして撮影枚数Nを求めることができる。
【0103】
ここで、最後(第N番目)の撮影領域hNの足先側の位置が撮影終了位置Eに一致するように、撮影枚数Nや、重複領域hiの幅Δdを設定するように構成することができる。また、撮影領域hNの長手方向2aの長さを調整することにより、この撮影領域hNの足先側の位置が撮影終了位置Eに一致するようにするように構成することもできる。また、撮影領域hNの足先側の位置が撮影終了位置Eよりも足先側に配置されていてもよい。
【0104】
他方、撮影領域の第2の設定態様は、撮影画像の撮影枚数Nを優先的に設定するものである。その設定手法は、第1の設定態様と同様に、自動的に又は手作業で設定する構成を適宜に採用することができる。また、手作業で設定する場合についても、第1の設定態様と同様に構成することができる。
【0105】
撮影枚数Nが設定されると、演算制御部11は、撮影範囲の長さDを撮影枚数Nで除算し、その商の値に基づいて、第1の設定態様と同様に、所定幅Δdの重複領域hi(i+1)を有するように、各撮影領域hiの長手方向2aの長さdを決定するとともに、その撮影位置を決定する。
【0106】
なお、第1、第2の設定態様において、各撮影領域hiの撮影位置を決定する代わりに、隣接する撮影領域hi、h(i+1)の変位(移動部6の移動距離)を決定するようにしてもよい。その場合、この移動距離を用いて、最初の撮影領域h1から順々に撮影位置を決定していくことができる。
【0107】
〔撮影画像の取得:S13〜S18〕
各撮影領域hiの撮影位置が決定されると、演算制御部11は、絞り制御部13を制御して、ステップS12で得られた各撮影領域hiの長さdに対応する照射野を形成するように、X線絞り4の絞り羽根41〜44を駆動させて開口を形成する(S13)。
【0108】
このステップS13にて形成される開口は、たとえば、X線検出器5の検出面における照射野(X線検出領域)が長さdとなるような開口であり、X線検出領域とX線絞り4の開口の形態との対応関係(前述)により求めることができる。
【0109】
続いて、演算制御部11は、駆動制御部14を制御して、最初の撮影領域h1の撮影位置に移動部6を移動させる(S14)。
【0110】
ユーザがユーザインターフェイス16を操作して撮影の要求を行うと(S15)、演算制御部11は、X線制御部12を制御してX線管球3に所定強度のX線を発生させる。この撮影用のX線は、一般に、透視画像取得用のX線よりも大きな強度を有している。
【0111】
X線管球3により発生されたX線は、ステップS13にて形成されたX線絞り4の開口を経由して、撮影領域h1に対応する被検体Pの部位を透過する。X線検出器5は、この透過X線を検出して検出データを出力する。DR装置15は、この検出データに基づいて、撮影領域h1に対応する撮影画像H1(の画像データ)を形成する(S16)。
【0112】
演算制御部11は、撮影領域h1の撮影位置を透視画像Uの対応位置(撮影位置と同じ座標値を有する位置)に合わせるようにして、撮影画像H1を透視画像Uに重ねて表示させる(S17)。図7は、透視画像Uに重ねて表示された撮影画像H1の表示態様の一例を表している。
【0113】
ここで、ユーザは、撮影画像H1を観察して造影剤が撮影領域h1に到達しているかなど、当該撮影画像H1が診断等において有効であるか否かを判断することができる。有効でない場合には、撮影領域h1における撮影を再度行って有効な画像を取得することができる。
【0114】
撮影領域h1における撮影が完了したら、ユーザは、ユーザインターフェイス16を操作し、次の撮影領域h2の撮影位置に移動部6を移動させ、撮影画像H2を取得する(S18;N、S14、S15、S16)。演算制御部11は、撮影領域h2の撮影位置に基づいて、撮影画像H2を透視画像Uに重ねて表示させる(S17)。このとき、撮影領域h1と撮影領域h2との重複領域の貼り合わせは、透視画像T1、T2の重複領域の貼り合わせと同様にして行うことができる。
【0115】
このような撮影動作を繰り返す。図8は、この撮影動作を第i番目の撮影領域hiまで繰り返し実行したときの表示画像の一例を表している。同図には、各撮影領域h1〜hiにおける撮影画像H1〜Hiが、順次に貼り合わせられて、透視画像Uに重ねて表示された状態が示されている。
【0116】
同様の撮影動作を最後(第N番目)の撮影領域hNまで反復したら(S18;Y)、長尺撮影は終了となる。図9は、このような長尺撮影により得られる表示画像の一例を表している。同図に示す撮影画像Hは、撮影画像H1〜HNを貼り合わせて得られたもので、図示しない透視画像U(図7、図8等を参照)に重畳されて表示されている。
【0117】
[作用・効果]
以上のようなX線診断装置1の作用及び効果を説明する。このX線診断装置1は、従来と同様のハードウェア構成をそなえている。特に、寝台2、X線管球3、X線絞り4、X線検出器5、駆動制御部14、DR装置15、ユーザインターフェイス16等を備えている。演算制御部11は、所定の演算処理や装置各部の制御を行うことにより、次のような長尺撮影を実現する。
【0118】
X線絞り4は、演算制御部11の制御を受けて、透視画像取得用の照射野と撮影画像取得用の照射野とを切り換えて形成する。ここで、撮影画像取得用の照射野は、透視画像取得用の照射野よりも、寝台2の長手方向(被検体Pの体軸方向)2aの長さが短くなるように設定されている。
【0119】
駆動制御部14は、移動部6(X線管球3、X線絞り4、X線検出器5;映像系)と寝台2とを、長手方向2aに相対的に移動させるものである。撮影画像を取得するとき、つまり撮影画像取得用の照射野のX線が被検体Pに照射されるときに、駆動制御部14は、演算制御部11の制御に基づき、被検体の部位を長手方向2aに沿って変更する。すなわち、駆動制御部14は、当該照射野のX線が複数の撮影領域に順々に照射されるように、移動部6と寝台2とを逐次に相対移動させるように動作する。
【0120】
DR装置15は、透視画像取得用の照射野のX線が被検体Pに照射されてX線検出器5から出力された検出データに基づいて、被検体Pの所定部位の透視画像(の画像データ)を形成する。この所定部位の透視画像は、(少なくとも)撮影画像の撮影開始位置を含む画像と、撮影終了位置を含む透視画像である。
【0121】
また、DR装置15は、駆動制御部14によって順次変更される複数の撮影領域のそれぞれについて、撮影画像取得用の照射野のX線が当該撮影領域に照射されてX線検出器5から出力された検出データに基づいて、当該撮影領域の撮影画像(の画像データ)を形成する。
【0122】
演算制御部11は、まず、上記所定部位の透視画像を表示部17に表示させる。更に、演算制御部11は、順次に取得される撮影画像について、その撮影画像と透視画像との位置関係、すなわち、透視画像を取得した上記所定部位に対する当該撮影画像の撮影領域(撮影位置)の位置関係に基づいて、その撮影画像を透視画像に重ねて表示させるように動作する。この位置関係の対応付けは、撮影画像の撮影領域(撮影位置)の座標値に対応する投影画像上の座標値を探索することにより行うことができる。
【0123】
このようなX線診断装置1によれば、長尺撮影を実施するときに、先に取得された透視画像上に撮影画像を順次に重ねて表示するように作用するので、透視画像上における各撮影画像の位置を容易に把握でき、各撮影画像の位置を容易に把握することができる。
【0124】
また、造影剤を用いて長尺撮影を行う場合に、撮影画像の状態を確認することにより、当該撮影領域まで造影剤が到達しているかを容易に判断することができる。造影剤が到達している場合、その撮影画像を当該撮影領域における撮影画像として用いればよい。他方、その造影剤が到達していない場合には、当該撮影領域における撮影画像を再度取得して造影剤の到達の有無を確認すればよい。このように、造影剤の到達状況を把握しつつ撮影を実施することにより、各撮影領域について好適な撮影画像を取得することができる。なお、このような撮影画像の状態の確認は、造影剤を用いる場合に限定されるものではなく、撮影画像の状態が時間経過とともに変化するような任意の撮影態様において適用することが可能である。
【0125】
また、このX線診断装置1は、撮影画像取得用の照射野として、長手方向2aの長さが短手方向2bの長さよりも短い略長方形状の照射野を形成し、この照射野に対応する略長方形状、つまり長手方向2aよりも短手方向2bの方が長い短冊のような形状の撮影画像を形成するようになっている。したがって、隣接する撮影領域の撮影位置の差(長手方向2aにおける距離)、すなわち、或る撮影領域から次の撮影領域に移動するときの変位が小さくなるので、被検体Pの体厚方向の位置の違いに基づくX線の結像位置ずれが小さくなる。それにより、この結像位置ずれに起因する撮影画像の貼り合わせ精度の低下を防止でき、良好な精度で隣接する撮影画像の貼り合わせを行うことができる。
【0126】
更に、このような比較的小さな撮影領域を適用することにより、被検体PとX線との相互作用に起因する散乱線を低減させることができ、撮影画像の貼り合わせ部分における濃度ムラによる貼り合わせ精度の低下の防止を図ることが可能である。
【0127】
また、このX線診断装置1は、長尺撮影における複数の撮影領域を自動的に設定できるようになっている。このとき、隣接する撮影領域の重複領域の長手方向2aの長さを、貼り合わせ処理に必要な最小限の長さ(程度)になるように撮影領域を設定するように構成することができる。このように構成することにより、長尺撮影における被検体Pの不要被曝の低減を図ることが可能になる。
【0128】
また、このX線診断装置1によれば、ユーザインターフェイス16を用いた簡単な操作を行うだけで、自動設定された各撮影領域における撮影画像を順々に取得することが可能である。
【0129】
[変形例]
以上に詳述した構成は、この発明を好適に実施するための一具体例に過ぎないものである。したがって、この発明の要旨の範囲内における任意の変形を適宜に施すことが可能である。
【0130】
上記の実施形態においては、撮影開始位置Sを含む透視画像T1と、撮影終了位置Eを含む透視画像T2の2つの透視画像を取得し、それらを貼り合わせることにより、撮影画像H1〜HNが重畳表示される透視画像Uを形成するように構成されているが、重畳表示用の透視画像の形成方法はこれに限定されるものではない。
【0131】
長尺撮影を行う撮影範囲が広く、X線絞り4が形成する開口を最大にしたとしても、たとえば図10(A)に示すように、撮影開始位置を含む透視画像T1′と、撮影終了位置を含む透視画像T2′との間に間隔が空いてしまう場合もある。その場合には、図10(B)に示すように、透視画像T1′、T2′の間の間隔を埋めるような透視画像T3′を取得すればよい。このとき、撮影画像を重畳表示させる透視画像Uは、透視画像T1′と透視画像T3′とを貼り合わせるとともに、透視画像T3′と透視画像T2′とを貼り合わせることで形成することができる(貼り合わせ処理は、上記実施形態と同様である。)。
【0132】
なお、図10においては、撮影開始位置を含む透視画像T1′と、撮影終了位置を含む透視画像T2′との間の間隔を、一枚の透視画像T3′で埋めるようになっているが、当該間隔が大きい場合には、当該間隔を埋めるのに十分な枚数の透視画像を形成すればよい。追加される透視画像の位置は、透視画像T1′、T2′の位置に基づいて容易に求めることができる(たとえば、上記実施形態における撮影領域の設定方法と同様にして求められる。)。
【0133】
上記の実施形態においては、造影剤を用いた長尺撮影を行うときに、ユーザが撮影画像を目視で確認することにより造影剤の到達の有無を判断しているが、この判断を自動的に行うように構成することができる。
【0134】
そのために、たとえば、演算処理部11は、取得された撮影画像(図3のステップS16)の各画素の画素値を解析し、所定範囲の画素値を有する画素が存在するか判断する。この所定範囲の情報は、造影剤が到達している部位を撮影したときの画素値をあらかじめ計測することにより取得することができる。
【0135】
所定範囲の画素値の画素が存在しないと判断された場合には、演算制御部11は、たとえば、当該撮影領域まで造影剤が到達していない旨のメッセージや、当該撮影領域における撮影を再度行うように促すメッセージなどを表示部17に表示させたり、或いは、撮影要求を行うためのコントロールパネル(操作部18)のボタンを点滅させたりするなどの制御を行う。
【0136】
他方、所定範囲の画素値の画素が存在すると判断された場合には、この撮影画像を当該撮影領域の撮影画像として採用する。
【0137】
なお、所定範囲の画素値の画素が存在すると判断された場合であっても、そのような画素が占める領域が狭い場合や、血流の下流側のいずれの画素の画素値も所定範囲に含まれていない場合などには、再度の撮影を促すための動作を行わせるように構成することが望ましい。
【0138】
また、造影剤の到達の有無を自動判断するように構成することにより、長尺撮影の自動化を図ることも可能になる。たとえば、造影剤が到達していないと判断されたときに、当該撮影領域の撮影を所定時間経過後に再度行うように構成するとともに、造影剤が到達したと判断されたときには、移動部6を次の撮影領域に自動的に移動させるように構成することにより、長尺撮影を自動的に行うことが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0139】
【図1】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態の全体構成の一例を表す概略ブロック図である。
【図2】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態のX線絞りの構成の一例を表す概略斜視図である。
【図3】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態による長尺撮影の使用形態の一例を表すフローチャートである。
【図4】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態による長尺撮影における透視画像の形成処理を説明するための概略説明図である。
【図5】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態による長尺撮影において表示される透視画像の一例を表す概略図である。
【図6】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態による長尺撮影における撮影領域の設定処理を説明するための概略説明図である。
【図7】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態による長尺撮影における透視画像及び撮影画像の表示態様の一例を表す概略図である。
【図8】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態による長尺撮影における透視画像及び撮影画像の表示態様の一例を表す概略図である。
【図9】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態による長尺撮影における透視画像及び撮影画像の表示態様の一例を表す概略図である。
【図10】この発明に係るX線診断装置の好適な実施の形態の変形例による長尺撮影における透視画像の形成処理を説明するための概略説明図である。
【図11】従来のX線診断装置の外観構成の一例を表す概略斜視図である。
【図12】従来のX線診断装置による長尺撮影における問題点を説明するための概略説明図である。
【図13】従来のX線診断装置による長尺撮影における問題点を説明するための概略説明図である。
【図14】従来のX線診断装置による長尺撮影における問題点を説明するための概略説明図である。
【符号の説明】
【0140】
1 X線診断装置
2 寝台
3 X線管球
4 X線絞り
41、42、43、44 絞り羽根
5 X線検出器
6 移動部
11 演算制御部
12 X線制御部
13 絞り制御部
14 駆動制御部
15 DR(Digital Radiography)装置
16 ユーザインターフェイス
17 表示部
18 操作部
2a 長手方向(体軸方向)
2b 短手方向
P 被検体
T、T1、T2、U 透視画像
S 撮影開始位置
E 撮影終了位置
h1〜hN 撮影領域
H1〜HN 撮影画像
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100081411
【弁理士】
【氏名又は名称】三澤 正義


【公開番号】 特開2008−220(P2008−220A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−170576(P2006−170576)