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【発明の名称】 X線診断装置およびX線診断装置におけるデータ処理方法
【発明者】 【氏名】永井 清一郎

【要約】 【課題】IVRにおいて診断上有用であるにも関わらず、X線画像上に表示させることが困難な画像情報をコントラストの高い参照画像として付加的に表示させることにより、術者の画像認識を支援しX線検査の効率を向上させることが可能なX線診断装置およびX線診断装置におけるデータ処理方法を提供することである。

【構成】X線診断装置20は、被検体Pの3次元画像データから仮想的なX線診断装置のX線検出器の検出面に投影される模擬X線画像を生成する模擬X線画像生成手段33と、X線撮影を実行することによって被検体PのX線画像を収集するX線画像収集手段21、22、23、24、25、26、27、28と、X線画像および模擬X線画像を表示させる表示手段30とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体の3次元画像データから仮想的なX線診断装置のX線検出器の検出面に投影される模擬X線画像を生成する模擬X線画像生成手段と、
X線撮影を実行することによって前記被検体のX線画像を収集するX線画像収集手段と、
前記X線画像および前記模擬X線画像を表示させる表示手段と、
を有することを特徴とするX線診断装置。
【請求項2】
前記模擬X線画像生成手段は、前記X線撮影において前記被検体に照射されるX線ビームの照射方向を投影方向として前記模擬X線画像を生成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項3】
前記模擬X線画像生成手段は、
前記3次元画像データ内の各ボクセルに臓器の属性情報を割当てる臓器割当部と、
前記臓器の属性情報に基づいて、臓器を構成する元素の組成情報から前記3次元画像データ内の前記各ボクセルに元素の構成を示す元素構成情報を割当てる構成元素割当部と、
前記元素構成情報と元素のX線吸収特性とに基づいて前記3次元画像データ内の前記各ボクセルにX線吸収特性を割当てる吸収特性割当部と、
前記X線撮影に用いられるX線のエネルギスペクトルおよび前記X線の投影方向を取得する撮影条件取得手段と、
前記X線のエネルギスペクトル、前記X線の投影方向、前記各ボクセルに割当てられた前記X線吸収特性に従って、前記模擬X線画像を生成する画像作成部と、
を備えることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項4】
前記模擬X線画像生成手段は、前記3次元画像データおよび前記仮想的なX線診断装置が備えられる仮想空間と前記X線撮影が実行される実空間との間で位置あわせを行った後、前記模擬X線画像を生成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項5】
前記模擬X線画像生成手段は、前記X線撮影における撮影条件から求められるX線のスペクトルと同等に分布するスペクトルおよび前記撮影条件から求められる前記X線のスペクトルよりも低エネルギ側に分布するスペクトルのいずれかのスペクトルを用いて前記模擬X線画像を生成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項6】
前記模擬X線画像生成手段は、前記X線撮影における撮影条件から求められるX線のスペクトルの平均エネルギと同等の平均エネルギを有するスペクトルおよび前記撮影条件から求められる前記X線のスペクトルの平均エネルギよりも小さい平均エネルギを有するスペクトルのいずれかのスペクトルを用いて前記模擬X線画像を生成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項7】
前記模擬X線画像生成手段は、前記X線画像との一致度が十分になるように前記模擬X線画像のマッチングを行うように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項8】
前記模擬X線画像生成手段は、前記X線画像との一致度が十分になるように前記模擬X線画像の平行移動、回転移動、投影方向の変更およびワープの少なくとも1つを伴うマッチングを行うように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項9】
前記模擬X線画像生成手段は、前記X線撮影における撮影条件から求められるX線のスペクトルからマッチング用の模擬X線画像を作成し、前記X線撮影における撮影条件から求められるX線のスペクトルとは別のスペクトルから得られる模擬X線画像の位置を、前記マッチング用の模擬X線画像と前記X線画像との一致度が十分になるための条件を示す修正情報を用いて修正するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項10】
前記模擬X線画像生成手段は、X線の散乱線成分と直接線成分とを所定の混合比にて加算することによって前記模擬X線画像を作成し、かつ前記X線画像との一致度が十分になるように前記模擬X線画像のマッチングを行うように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項11】
前記模擬X線画像生成手段は、X線の散乱線成分と直接線成分とを所定の混合比にて加算することによってマッチング用の模擬X線画像を作成し、前記直接線成分のみから作成された模擬X線画像の位置を、前記マッチング用の模擬X線画像と前記X線画像との一致度が十分になるための条件を示す修正情報を用いて修正するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項12】
前記模擬X線画像生成手段は、投影方向の変更指示があった場合に変更後の投影方向を用いて前記模擬X線画像を作成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項13】
前記模擬X線画像生成手段は、前記模擬X線画像の計算において、関心のある臓器および関心のない臓器の少なくとも一方を構成する元素の組成、密度および吸収係数の少なくとも1つを所定の割合で増減させることによって、前記関心のある臓器のコントラストが強調された模擬X線画像を作成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項14】
前記模擬X線画像生成手段は、前記模擬X線画像の計算において、前記3次元画像データ上の指定されたボクセルに対応する前記模擬X線画像上の画素が強調されるように前記模擬X線画像を作成するように構成されることを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項15】
前記模擬X線画像生成手段は、心電同期下で収集された3次元画像データから心電位相ごとに複数の模擬X線画像を生成するように構成される一方、
前記表示手段は、心電同期下で撮影されたX線画像の心電位相と同位相の模擬X線画像を同じタイミングで表示するように構成される
ことを特徴とする請求項1記載のX線診断装置。
【請求項16】
X線撮影を実行することによって被検体のX線画像を収集するX線画像収集手段と、
前記X線撮影における撮影条件に基づいて前記被検体の3次元画像データを処理する画像処理手段と、
を有することを特徴とするX線診断装置。
【請求項17】
被検体の3次元画像データから仮想的なX線診断装置のX線検出器の検出面に投影される模擬X線画像を生成するステップと、
X線撮影を実行することによって収集された前記被検体のX線画像とともに前記模擬X線画像を表示させるステップと、
を有することを特徴とするX線診断装置におけるデータ処理方法。
【請求項18】
被検体のX線撮影における撮影条件を取得するステップと、
前記撮影条件に基づいて前記被検体の3次元画像データを処理するステップと、
を有することを特徴とするX線診断装置におけるデータ処理方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体にX線を曝射し、被検体を透過したX線を検出することによりX線画像を診断用に収集するX線診断装置およびX線診断装置におけるデータ処理方法に係り、特に、別途収集された3次元画像データを用いて被検体の模擬X線画像を生成し、生成した模擬X線画像をX線診断により得られるX線画像とともに表示させるX線診断装置およびX線診断装置におけるデータ処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、X線診断装置等の放射線診断装置を用いた治療がIVR(interventional radiology)として知られている。IVRは、一般のX線診断と異なり、手術室と同等の設備を備えた撮影室にて、専用のX線診断装置を用いて行われる。すなわち、IVR検査は、主にX線透視により得られるX線透視画像を観察することにより行われている。
【0003】
図23は、IVRに用いられる従来のX線診断装置の構成図である(例えば特許文献1参照)。
【0004】
従来のX線診断装置1では、寝台2に被検体Pがセットされた状態で、入力デバイス3から寝台2およびCアーム形スタンド4の移動指令がシステムコントローラ5に入力されると、システムコントローラ5は、寝台制御部6およびスタンド制御部7に制御信号を与えて制御する。そうすると、寝台制御部6は、システムコントローラ5からの制御信号に従って、寝台2を移動させて位置を制御する。一方、スタンド制御部7は、システムコントローラ5からの制御信号に従って、Cアーム形スタンド4のアングルを制御する。
【0005】
この結果、Cアーム形スタンド4の両端部において互いに対向して設けられたX線発生源8とX線検出器9との間に被検体Pの診断部位が配置される。次に、入力デバイス3からX線の曝射条件および画像の収集条件がシステムコントローラ5に入力されると、システムコントローラ5は、X線の曝射条件を高電圧発生器10に与える一方、画像の収集条件をX線検出器9に与える。高電圧発生器10は、X線の曝射条件に従って所定の管電圧で所定のパルス幅の管電流をX線発生源8が備えるX線管に供給する。これによりX線発生源8からは、所望のエネルギのX線が被検体Pの診断部位に向けて曝射される。そして、X線発生源8のX線管から曝射され、被検体Pを透過したX線は、X線検出器9によって検出される。
【0006】
X線検出器9によって検出されたX線は、画像データとなってシステムコントローラ5に出力される。システムコントローラ5がX線検出器9から得た画像データは、X線画像としてモニタ11に出力される。また、画像データは、必要に応じて画像処理部12に与えられ、入力デバイス3の操作によって各種画像処理が行われる。画像処理後の被処理画像データは、システムコントローラ5に与えられ、モニタ11に出力される。さらに、保存する必要のある画像データは、システムコントローラ5から画像記憶部13に書き込まれて保存される。
【0007】
そして、術者は、モニタ11に表示されたX線画像を診ながら患者である被検体Pの治療を行う。
【特許文献1】特開2001−56382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来のX線透視検査では、被検体Pの体厚が厚い場合に、X線検出器9への透過X線の入射線量を確保するために、X線管に供給される管電流の大きさおよびパルス幅、管電圧を制御することによって、曝射されるX線の出力が増加される。通常、管電流の大きさおよびパルス幅のみの制御によって増加可能なX線の出力には限界があるため、管電圧も増加される。
【0009】
しかしながら、X線管への管電圧を増加させると、曝射されるX線のスペクトルが高エネルギ側にシフトし、収集されるX線画像のコントラストが低下するという問題がある。
【0010】
また従来のX線診断装置1では、被検体Pの被曝を低減するために、X線管から発生するX線の低エネルギ成分をカットするX線フィルタが用いられている。しかしながら、X線フィルタによるX線の低エネルギ成分のフィルタリングよってもX線のスペクトルが高エネルギ側にシフトし、X線画像のコントラストの低下に繋がる。
【0011】
加えて、被検体Pの体厚が厚い場合には、被検体P内部において散乱するX線(散乱X線)が増加し、散乱X線の影響によってX線画像のコントラストが低下するという問題もある。
【0012】
また、X線画像はX線の焦点からX線検出器9の入射面への一種の投影画像であると言える。このため、X線画像からはX線検出器9の入射面に対して垂直な方向の情報を得ることができず、血管に沿ってIVRを進めるような場合には必要な診断情報が得られないという不都合が生じる恐れがある。これに対し、磁気共鳴イメージング(MRI: magnetic resonance imaging)のような撮像方法によって予め被検体P内の3次元画像が得られている場合には、3次元画像を診ることによって血管内の病変部の位置を把握することができる。
【0013】
しかしながら、X線検査中に例えば血管内の病変部を治療するためにステント等の器具を血管内に留置するような場合には、X線画像上において病変部の位置を知ることは術者の判断に頼らざるを得ない。この結果、病変部の位置の判断が正確であるか否かについては、術者の経験や技量に依存することとなっている。
【0014】
本発明はかかる従来の事情に対処するためになされたものであり、IVRにおいて診断上有用であるにも関わらず、X線画像上に表示させることが困難な画像情報をコントラストの高い参照画像として付加的に表示させることにより、術者の画像認識を支援しX線検査の効率を向上させることが可能なX線診断装置およびX線診断装置におけるデータ処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係るX線診断装置は、上述の目的を達成するために、請求項1に記載したように、被検体の3次元画像データから仮想的なX線診断装置のX線検出器の検出面に投影される模擬X線画像を生成する模擬X線画像生成手段と、X線撮影を実行することによって前記被検体のX線画像を収集するX線画像収集手段と、前記X線画像および前記模擬X線画像を表示させる表示手段とを有することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明に係るX線診断装置は、上述の目的を達成するために、請求項16に記載したように、X線撮影を実行することによって被検体のX線画像を収集するX線画像収集手段と、前記X線撮影における撮影条件に基づいて前記被検体の3次元画像データを処理する画像処理手段とを有することを特徴とするものである。
【0017】
また、本発明に係るX線診断装置におけるデータ処理方法は、上述の目的を達成するために、請求項17に記載したように、被検体の3次元画像データから仮想的なX線診断装置のX線検出器の検出面に投影される模擬X線画像を生成するステップと、X線撮影を実行することによって収集された前記被検体のX線画像とともに前記模擬X線画像を表示させるステップとを有することを特徴とするものである。
【0018】
また、本発明に係るX線診断装置におけるデータ処理方法は、上述の目的を達成するために、請求項18に記載したように、被検体のX線撮影における撮影条件を取得するステップと、前記撮影条件に基づいて前記被検体の3次元画像データを処理するステップとを有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るX線診断装置およびX線診断装置におけるデータ処理方法においては、IVRにおいて診断上有用であるにも関わらず、X線画像上に表示させることが困難な画像情報をコントラストの高い参照画像として付加的に表示させることにより、術者の画像認識を支援しX線検査の効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係るX線診断装置およびX線診断装置におけるデータ処理方法の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0021】
図1は本発明に係るX線診断装置の第1の実施形態を示す構成図である。
【0022】
X線診断装置20は、X線発生源21、X線検出器22、寝台23、寝台制御部24、Cアーム形スタンド25、スタンド制御部26、高電圧発生器27、システムコントローラ28、入力デバイス29、モニタ30、画像処理部31、画像記憶部32および模擬X線画像生成装置33を備えている。X線発生源21およびX線検出器22は、Cアーム形スタンド25の両端部にそれぞれ設けられ、互いに対向配置される。X線発生源21とX線検出器22との間には、寝台23が設けられ、寝台23には被検体Pがセットされる。そして、X線発生源21が備えるX線管から曝射され、被検体Pを透過したX線をX線検出器22によって検出できるように構成される。
【0023】
X線発生源21には高電圧発生器27が接続される。高電圧発生器27からX線発生源21のX線管に管電流が供給されることによってX線発生源21からX線が曝射される。また、高電圧発生器27は、X線管に供給される管電圧、管電流を制御することによって、被検体Pに曝射されるX線のエネルギを制御することができる。高電圧発生器27は、システムコントローラ28と接続される。高電圧発生器27は、X線管に供給した管電圧、管電流等のX線情報をシステムコントローラ28に出力する一方、システムコントローラ28からの制御信号によって制御される。
【0024】
X線検出器22は、システムコントローラ28と接続される。X線検出器22は、X線を検出することによって画像データを収集し、収集した画像データをシステムコントローラ28に出力する一方、システムコントローラ28から指示された画像収集条件に従って画像データを収集するように構成される。
【0025】
寝台23には寝台制御部24が設けられる。そして、寝台23は、寝台制御部24からの制御によって移動できるように構成される。寝台制御部24は、システムコントローラ28と接続される。寝台制御部24は、システムコントローラ28に寝台23の位置等の寝台情報を出力する一方、システムコントローラ28からの制御信号によって制御される。
【0026】
Cアーム形スタンド25にはスタンド制御部26が設けられる。そして、Cアーム形スタンド25は、スタンド制御部26からのアングル制御によって被検体Pに対するアングルを任意に変えることができるように構成されている。スタンド制御部26は、システムコントローラ28と接続される。スタンド制御部26は、システムコントローラ28にCアーム形スタンド25の位置等の支持器情報を出力する一方、システムコントローラ28からの制御信号によって制御される。
【0027】
システムコントローラ28には、入力デバイス29、モニタ30、画像処理部31、画像記憶部32が接続される。システムコントローラ28は、入力デバイス29から受けたX線の曝射条件および画像の収集条件に従って、X線検出器22、高電圧発生器27、寝台制御部24およびスタンド制御部26に制御信号を与えて制御する機能を備えている。また、システムコントローラ28は、X線検出器22または画像処理部31から取得した画像データを画像処理部31、画像記憶部32、モニタ30に出力する機能を備えている。モニタ30は、CRT(Cathode-Ray Tube)等の表示器で構成することができる。
【0028】
画像処理部31は、X線検出器22からシステムコントローラ28を介して取得した画像データに対して様々な画像処理を行う機能と、画像処理後の画像データをシステムコントローラ28に出力する機能を備えている。
【0029】
模擬X線画像生成装置33は、ネットワーク34を介してMRI装置やCT(computed tomography)装置等の3次元画像診断装置35や3次元画像サーバ36と接続される。模擬X線画像生成装置33は、MRI装置やCT装置等の3次元画像診断装置35または3次元画像サーバ36から予め収集された被検体Pの3次元画像データを取得して、3次元画像データから被検体Pの模擬X線画像を作成する機能と、作成した模擬X線画像をモニタ30に表示させる機能を有する。ここで、模擬X線画像とは、仮想のX線診断装置に備えられるX線検出器22の検出面への被検体PのX線投影画像である。模擬X線画像の津尾栄方向は任意に設定することができるが、X線透視撮影において被検体Pに照射されるX線ビームの照射方向とすれば、診断上有効な画像となる。
【0030】
図2は図1に示す模擬X線画像生成装置33の機能ブロック図である。
【0031】
模擬X線画像生成装置33は、3次元画像取得部40、構成元素データベース41、セグメンテーション部42、構成元素割当部43、散乱断面積取得部44、X線情報変換部45、エネルギ別模擬直接線画像生成部46、直接線加算画像生成部47、画像レベル調整・ガンマ変換部48および模擬X線画像表示処理部49を備えている。セグメンテーション部42、構成元素割当部43、散乱断面積取得部44、X線情報変換部45、エネルギ別模擬直接線画像生成部46、直接線加算画像生成部47、画像レベル調整・ガンマ変換部48および模擬X線画像表示処理部49はコンピュータにプログラムを読みこませることにより構築することができる。ただし、これらの一部または全部を回路によって構成してもよい。
【0032】
3次元画像取得部40は、ネットワーク34を介して3次元画像診断装置35や3次元画像サーバ36に保存された3次元画像データを検索してX線透視診断の対象となる被検体Pの模擬X線画像データの作成に必要な3次元画像データを取得する機能と、取得した3次元画像データをセグメンテーション部42に与える機能とを有する。
【0033】
構成元素データベース41には、様々な臓器を構成する物質の組成情報が構成元素データとして保存される。構成元素データには、少なくとも各臓器を構成する物質の密度が含まれる。
【0034】
セグメンテーション部42は、3次元画像取得部40から受けた3次元画像データの各位置における体積要素(ボクセル)に、体積要素がどの臓器であるかを示すインデックスを割当てる機能と、インデックスを付加した3次元画像データを構成元素割当部43に与える機能とを有する。
【0035】
構成元素割当部43は、構成元素データベース41に保存された臓器の構成元素データを参照することによって、セグメンテーション部42から受けた臓器のインデックス付きの3次元画像データに各臓器を構成する物質の組成情報を割当てる機能と、物質の組成情報を割当てた3次元画像データをエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える機能とを有する。
【0036】
散乱断面積取得部44は、X線を構成する光子と臓器を構成する各元素との間の相互作用を表す散乱断面積を取得する機能と、取得した散乱断面積をエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える機能とを有する。
【0037】
X線情報変換部45は、システムコントローラ28から模擬X線画像の作成に必要な撮影条件を取得する機能、取得した撮影条件に基づいて被検体Pが存在しない場合にX線管からX線検出器22上の1画素に入射するX線のフォトン数を計算する機能および計算して得られたX線のフォトン数を撮影条件とともにエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える機能を有する。
【0038】
エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、散乱断面積取得部44から受けた各元素の散乱断面積、構成元素割当部43から受けた物質の組成情報を割当てた3次元画像データおよびX線情報変換部45から受けたX線透視撮影における撮影条件、被検体Pが存在しない場合にX線管からX線検出器22上の1画素に入射するX線のフォトン数に基づいて、エネルギ別の直接線の模擬X線画像を生成する機能と、生成したエネルギ別の直接線の模擬X線画像を直接線加算画像生成部47に与える機能を有する。
【0039】
直接線加算画像生成部47は、エネルギ別模擬直接線画像生成部46から受けたエネルギ別の直接線の模擬X線画像をエネルギごとに重み付け加算することによって、直接線の模擬X線画像を生成する機能と、生成した直接線の模擬X線画像を画像レベル調整・ガンマ変換部48に与える機能とを有する。
【0040】
画像レベル調整・ガンマ変換部48は、直接線加算画像生成部47から受けた直接線の模擬X線画像の画像レベルの調整およびガンマ変換を行う機能と、画像レベルの調整およびガンマ変換後の直接線の模擬X線画像を模擬X線画像表示処理部49に与える機能とを有する。
【0041】
模擬X線画像表示処理部49は、画像レベル調整・ガンマ変換部48から受けた直接線の模擬X線画像をモニタ30に与えて表示させる機能を有する。
【0042】
次にX線診断装置20の動作および作用について説明する。
【0043】
図3は、図1に示すX線診断装置20により模擬X線画像を生成し、生成した模擬X線画像をX線画像とともに表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。
【0044】
まず、X線透視検査に先立って予めMRI装置やCT装置等の3次元画像診断装置35によって、被検体Pの3次元画像データが収集される。収集された3次元画像データは必要に応じて画像処理され、画像サーバに保存される。
【0045】
そして、ステップS1において、X線診断装置20の模擬X線画像生成装置33によって、3次元画像データが取得される。すなわち、3次元画像取得部40は、ネットワーク34を介して3次元画像診断装置35や3次元画像サーバ36に保存された3次元画像データを検索し、X線透視診断の対象となる被検体Pの模擬X線画像データの作成に必要な3次元画像データを取得する。そして、3次元画像取得部40は、取得した3次元画像データをセグメンテーション部42に与える。
【0046】
次に、ステップS2において、セグメンテーション部42は、3次元画像取得部40から受けた3次元画像データS(x, y, z)の各位置(x, y, z)における体積要素(dx, dy, dz)に、体積要素(dx, dy, dz)がどの臓器であるかを示すインデックスOrg(x, y, z)を割当てる。これにより、3次元画像データは臓器の種類ごとにセグメント化される。インデックスOrg(x, y, z)は、例えば式(1)のように定義することができる。
[数1]
Org(x, y, z)
=1:血液
=2:血管壁
=3:脳灰白質
=4:脳白質
(1)
【0047】
セグメンテーション部42は、臓器のインデックスOrg(x, y, z)を付加した3次元画像データS(x, y, z)を構成元素割当部43に与える。
【0048】
次に、ステップS3において、構成元素割当部43は、構成元素データベース41に保存された臓器の構成元素データを参照することによって、臓器のインデックスOrg(x, y, z)を付加した3次元画像データS(x, y, z)に各臓器を構成する物質の組成情報を割当てる。
【0049】
図4は、図2に示す構成元素データベース41に保存される構成元素データの一例を示す図である。
【0050】
図4に示すように、様々な臓器の密度(g/cm3またはatom/cm3)、構成要素となる原子の原子番号および重量構成比等の物性値が構成元素データとして構成元素データベース41に保存される。構成元素データは、一般に公開されているものもあり、例えば、米国国立標準技術研究所(NIST: National Institute of Standards and Technology)により公表されている。
【0051】
構成元素割当部43は、3次元画像データS(x, y, z)の各位置(x, y, z)に割当てられた臓器のインデックスOrg(x, y, z)に基づいて構成元素データベース41に保存された臓器の構成元素データから対応する臓器を構成する原子番号Zの元素の密度ρZを取得する。そして、構成元素割当部43は、3次元画像データの各位置(x, y, z)における体積要素(dx, dy, dz)に元素の密度ρZ(x, y, z)を割当てる。構成元素割当部43は、密度ρZ(x, y, z)を割当てた3次元画像データS(x, y, z)をエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える。
【0052】
一方、ステップS4において、散乱断面積取得部44は、X線を構成するエネルギEの光子と臓器を構成する各元素Zの間で起こるコンプトン散乱、光電効果、電子陽電子対生成、レーリー散乱等の相互作用を表す散乱断面積σZ(E)(cm2/atom)を取得する。散乱断面積σZ(E)は、一般に公表されているデータベースから取得することができる。
【0053】
例えば、NISTからは、原子番号が100以下の元素の散乱断面積σZ(E)を、光子のエネルギ1keVから100GeVの範囲で求めるためのパーソナルコンピュータ用評価済光子断面積データベースとしてXCOMが公表されている。
【0054】
図5は、図2に示す散乱断面積取得部44において求められた炭素の散乱断面積σZ(E)を表す図である。
【0055】
図5において、横軸は光子のエネルギ(MeV)を示し、縦軸は炭素の断面積 (barns/atom)示す。尚、1 barn=10-24cm2の関係があるため、断面積の単位は(barns/atom)から(cm2/atom)に変換することもできる。
【0056】
また図5中の実線は、干渉性散乱によるトータルの減衰を示す散乱断面積σZ(E)、点線は、干渉性散乱断面積、一点鎖線は非干渉性散乱断面積、二点鎖線は光電吸収断面積を示す。
【0057】
散乱断面積取得部44は、取得した各元素の散乱断面積をエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える。
【0058】
一方、ステップS5において、X線が被検体Pに曝射されることにより、X線透視撮影が行われる。すなわち、寝台23に被検体Pがセットされた状態で、入力デバイス29から寝台23およびCアーム形スタンド25の移動指令がシステムコントローラ28に入力されると、システムコントローラ28は、寝台制御部24およびスタンド制御部26に制御信号を与えて制御する。そうすると、寝台制御部24は、システムコントローラ28からの制御信号に従って、寝台23を移動させて位置を制御する。一方、スタンド制御部26は、システムコントローラ28からの制御信号に従って、Cアーム形スタンド25のアングルを制御する。
【0059】
この結果、Cアーム形スタンド25の両端部において互いに対向して設けられたX線発生源21とX線検出器22との間に被検体Pの診断部位が配置される。次に、入力デバイス29からX線の曝射条件および画像の収集条件がシステムコントローラ28に入力されると、システムコントローラ28は、X線の曝射条件を高電圧発生器27に与える一方、画像の収集条件をX線検出器22に与える。高電圧発生器27は、X線の曝射条件に従って所定の管電圧で所定のパルス幅の管電流をX線発生源21が備えるX線管に供給する。これによりX線発生源21からは、所望のエネルギのX線が被検体Pの診断部位に向けて曝射される。そして、X線発生源21のX線管から曝射され、被検体Pを透過したX線は、X線検出器22によって検出される。
【0060】
X線検出器22によって検出されたX線は、画像データとなってシステムコントローラ28に出力される。
【0061】
次にステップS6において、システムコントローラ28がX線検出器22から得た画像データは、X線画像としてモニタ30に出力される。また、画像データは、必要に応じて画像処理部31に与えられ、入力デバイス29の操作によって各種画像処理が行われる。画像処理後の被処理画像データは、システムコントローラ28に与えられ、モニタ30に出力される。さらに、保存する必要のある画像データは、システムコントローラ28から画像記憶部32に書き込まれて保存される。
【0062】
一方、ステップS7において、X線情報変換部45は、X線透視撮影におけるX線の曝射条件等の各種撮影条件をシステムコントローラ28から取得する。そして、撮影条件に基づいて仮に被検体Pが存在しない場合にX線発生源21のX線管からX線検出器22上の1画素(xd,yd)に入射するエネルギEのX線のフォトン数Nx0_calc(E, xd,yd)を求める。
【0063】
X線のフォトン数を求める際に用いられる撮影条件としては、X線の管電圧、管電流、X線パルス幅等のX線の曝射条件の他、装置ごとの条件が挙げられる。装置ごとの条件としては、X線管の陽極物質、X線焦点のサイズ、撮影視野、X線のフィルタ条件、X線グリッドに関する条件、幾何学的条件が挙げられる。X線のフィルタ条件としては、X線管におけるX線の濾過条件やX線絞り装置固有のX線の濾過条件やX線フィルタによる濾過条件が挙げられる。また、幾何学的条件としては、X線の焦点から各画素(xd,yd)の中心までの距離、X線の焦点から画素(xd,yd)を形成する平面との方向余弦、画素(xd,yd)の面積が挙げられる。
【0064】
尚、撮影条件のうち、X線の管電流およびX線パルス幅は、作成目的となっている模擬X線画像の全体的な画像レベルに影響するだけである。また、模擬X線画像の画像レベルは模擬X線画像を表示させる際に調整することができる。従って、X線のフォトン数Nx0_calc(E, xd,yd)を求める際に用いられるX線の管電流およびX線パルス幅は、大雑把な値を仮定してもよい。
【0065】
X線管の陽極物質がタングステンの場合におけるX線発生スペクトルは、TASMIP(tungsten anode spectral model using interpolating polynomials)等の計算コードを利用して求めることができる。TASMIPの詳細については、Boone JM, Seibert JA.Med Phys. 1997 Nov;24(11):1661-70に記載されている。また、X線管やX線絞り装置固有の濾過やX線フィルタによるX線の減衰量は、フィルタ等の減衰物質の厚さとNISTから公表されているXCOMにより散乱断面積σZ(E)(cm2/atom)と元素の密度ρ(atom/cm2)とからX線の減衰率を計算し、濾過前のX線のフォトン数に減衰率を掛けることにより求めることができる。
【0066】
X線情報変換部45は、システムコントローラ28から取得した撮影条件とともに被検体Pが存在しない場合にX線検出器22上の1画素(xd,yd)に入射するエネルギEのX線のフォトン数Nx0_calc(E, xd,yd)をエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える。
【0067】
次に、ステップS8において、エネルギ別模擬直接線画像生成部46により、エネルギ別の直接線の模擬X線画像が生成される。そのために、まずエネルギ別模擬直接線画像生成部46は、X線の焦点からX線検出器22上の1画素(xd,yd)を見込む四角錐の中に含まれるX線吸収体全体を構成する元素の単位面積あたりの全原子数(Natom)を求める。X線吸収体の例としては、X線フィルタや被検体Pが挙げられる。X線吸収体の構成元素の単位面積あたりにおける全原子数(Natom)の計算には、X線情報変換部45から受けたX線透視撮影における撮影条件が用いられる。
【0068】
具体的には、X線管およびX線絞り装置の固有の濾過やX線フィルタのフィルタ条件、X線の焦点とX線検出器22上の画素間における距離、画素の面積、X線の焦点から画素を形成する平面への方向余弦、X線の焦点と被検体Pとの間における距離、X線の焦点から被検体Pに向かう方向(X線の照射角度)等の撮影条件がX線吸収体の構成元素の単位面積あたりにおける全原子数(Natom)の計算に用いられる。
【0069】
ここで、X線の焦点からX線検出器22上の1画素(xd,yd)を見込む四角錐の中に含まれる位置(x, y, z)の体積要素(dx, dy, dz)が、その体積の内のa(x, y, z)%だけ四角錐内に含まれているとする。そうすると、四角錐内の体積要素(dx, dy, dz)に含まれる元素Zの原子数dNatom_Zは密度ρZ(x, y, z)を用いて式(2)により計算することができる。 [数2]
dNatom_Z = ρZ(x, y, z)×dx×dy×dz×a(x, y, z)/100 (2)
【0070】
同様に、四角錐内に含まれるすべての体積要素(dx, dy, dz)に含まれる元素Zの原子数dNatom_Zを求めて加算すると四角錐内に含まれる元素Zの総原子数Natom_Zを算出することができる。尚、元素Zの総原子数Natom_Zの計算には、構成元素割当部43から受けた物質の組成情報を参照することができる。
【0071】
そうすると、四角錐内におけるエネルギEの光子の被検体Pによる全吸収量ATTpat(E)は、式(3)のように求めることができる。すなわち、散乱断面積取得部44から受けた元素Zの散乱断面積σZ(E)と総原子数Natom_Zとから元素Zによる吸収係数を求め、求めた吸収係数を全元素Zについて加算することにより被検体Pによる全吸収量ATTpat(E)が計算される。このような全吸収量ATTpat(E)の計算をX線スペクトルのエネルギEごとに、例えば1keVごとに行う。
[数3]
ATTpat(E)=ΣZσZ(E)×Natom_Z (3)
但し、式(3)において、ΣZは元素Zに関する総和を示す。
【0072】
そうすると。四角錐のエネルギEの光子に対する透過率Tpat(E)はエネルギEの光子の被検体Pによる全吸収量ATTpat(E)を用いて式(4)のように表すことができる。
[数4]
Tpat(E)=exp{−ATTpat(E)} (4)
【0073】
一方、被検体Pが無い場合のX線検出器22上の1画素(xd,yd)に入射するエネルギEのX線のフォトン数Nx0_calc(E, xd,yd)は、上述したようにX線情報変換部45において、X線管の管電圧、管電流、X線パルス幅、画素の面積、X線フィルタの透過率を考慮して計算することができる。そして、被検体Pが無い場合のX線のフォトン数Nx0_calc(E, xd,yd)は、X線情報変換部45からエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与えられる。
【0074】
また、被検体Pを透過してX線検出器22上の1画素(xd,yd)に入射するエネルギEのX線フォトン数Nx_calc(E, xd,yd)は、被検体Pが無い場合のフォトン数Nx0_calc(E, xd,yd)と被検体Pによる全吸収量ATTpat(E)とから、式(5)のように求めることができる。
[数5]
Nx_calc(E, xd,yd)= Nx0_calc(E, xd,yd)×Tpat(E) (5)
式(5)により求められるエネルギEのX線フォトン数Nx_calc(E, xd,yd)は、エネルギ別の直接線の模擬X線画像に相当する。エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、以上のような計算によって生成したエネルギ別の直接線の模擬X線画像を直接線加算画像生成部47に与える。
【0075】
次に、ステップS9において、直接線加算画像生成部47は、式(6)に示すようにエネルギ別模擬直接線画像生成部46から受けたエネルギ別の直接線の模擬X線画像をエネルギごとに重み付け加算することによって、直接線の模擬X線画像を生成する。
[数6]
Nx_calc(xd,yd)=ΣENx_calc(E, xd,yd)×w(E) (6)
但し、式(6)において、
ΣE:エネルギEに関する総和
w(E):エネルギEに応じた重み関数
を示す。
【0076】
重み関数w(E)は任意の重み関数とすることができるが、実用的な例としてX線検出器22のX線吸収特性を反映した重み関数を用いることができる。
【0077】
そして、直接線加算画像生成部47は生成した直接線の模擬X線画像を画像レベル調整・ガンマ変換部48に与える。
【0078】
次に、ステップS10において、画像レベル調整・ガンマ変換部48は、直接線加算画像生成部47から受けた直接線の模擬X線画像を適正な画像レベル(輝度レベル)で表示させるために、式(7)に示すように予め決定された関心領域(ROI: region of interest)における平均の画像レベルが目標となる所定の画像レベルとなるように画像レベルを補正する。
[数7]
補正後の画像レベル
=補正前の画像レベル×目標となる画像レベル/ROI内の平均の画像レベル (7)
【0079】
ところで、肺野や体側等の被検体Pの厚さが薄い部分ではX線の吸収量が少ない。このため、被検体Pの厚さが薄い部分では、直接線の模擬X線画像の画像レベルが高くなる。そこで、画像レベル調整・ガンマ変換部48は、画像レベルが高くなりすぎるのを抑えるため、直接線の模擬X線画像に対して一般にガンマカーブと呼ばれる非線形な入出力特性をもつガンマ変換をおこなう。
【0080】
そして、画像レベル調整・ガンマ変換部48は、画像レベルの調整およびガンマ変換後における直接線の模擬X線画像を模擬X線画像表示処理部49に与える。
【0081】
次に、ステップS11において、模擬X線画像表示処理部49は、画像レベル調整・ガンマ変換部48から受けた直接線の模擬X線画像をモニタ30に与えて表示させる。模擬X線画像は、X線透視撮影によって得られたX線画像とともに表示させることができる。模擬X線画像の表示方法としては、模擬X線画像をX線画像に重畳表示させる方法や模擬X線画像をX線画像と並べて並列表示させる方法が挙げられる。模擬X線画像とX線画像とを並列表示させる場合には、模擬X線画像とX線画像とを共通のモニタ30に表示させてもよいし、それぞれ別のモニタに表示させてもよい。
【0082】
また、ステップS5において、撮影条件が時間的に変化すると、ステップS6からステップS11までの処理が再び繰り返され、撮影条件に応じたX線画像および模擬X線画像がそれぞれモニタ30に表示される。
【0083】
そして、術者は、モニタ30に表示された模擬X線画像を参照しつつX線画像を診ながら患者である被検体Pの治療を行うことができる。
【0084】
つまり以上のようなX線診断装置20は、X線透視撮影に先立って予めMRI装置やCT装置等の3次元画像診断装置35によって収集された3次元画像データから管電圧、管電流、X線パルス幅等のX線曝射条件、X線管焦点間距離(SID: source image distance)や患者間距離(PID: patient image distance)等の幾何学的条件およびX線フィルタ等の装置条件に合わせて模擬X線画像を生成し、生成した模擬X線画像を参照画像としてX線透視撮影によって得られたX線画像とともに表示するようにしたものである。
【0085】
このため、以上のようなX線診断装置20によれば、X線透視撮影によって得られたX線画像のコントラストが不十分であり、被検体Pの構造の認識が困難となる場合であっても、術者は、参照画像として表示された模擬X線画像を参照することによって、状況を把握してより安全に検査を進めることができる。特に被検体Pの体厚が大きい場合であってもX線画像を介して観察している領域の人体構造をより分かり易く術者に表示させ、検査の効率を向上させることができ。また、生成される模擬X線画像には、散乱線の影響が含まれないため、コントラストの高い画像となる。
【0086】
図6は本発明の第2の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0087】
図6に示された、X線診断装置20Aでは、模擬X線画像生成装置33Aに位置合わせ部50を設けた構成が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Aの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0088】
模擬X線画像生成装置33Aの位置合わせ部50は、直接線加算画像生成部47から受けた直接線の模擬X線画像とシステムコントローラ28から受けたX線画像とから直接線の模擬X線画像のX線画像に対する位置ずれ量を位置修正情報として求める機能と、求めた位置修正情報をエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える機能とを有する。
【0089】
また、エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、位置合わせ部50から位置修正情報を受けた場合に、位置修正情報に従ってX線画像に対する位置ずれ量が十分に小さくなるように位置補正を行った上でエネルギ別の直接線の模擬X線画像を生成するように構成される。
【0090】
そして、X線診断装置20Aでは、X線検査に先立って所定の方向、SID、PIDで所定の部位のX線撮影を実施し、実在のX線診断装置20Aや被検体Pが存在する実空間と、模擬X線画像を得るための仮想的なX線診断装置および仮想的な被検体が存在する3次元モデルの仮想空間との間の位置合わせを位置合わせ部50によって行うことができるように構成される。
【0091】
次にX線診断装置20Aの動作および作用について説明する。
【0092】
図7は、図6に示す模擬X線画像生成装置33Aにより模擬X線画像の位置修正情報を生成するまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図3のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する。
【0093】
まず、ステップS1からステップS9において、3次元画像データの取得、X線透視撮影等の実施により直接線の模擬X線画像が生成される。ただし、X線透視撮影は、X線検査に先立つ位置合わせ用の撮影とされる。従って、通常は、基準となる単一の所定の撮影条件に対応するX線画像および模擬X線画像が作成される。
【0094】
次に、ステップS20において、位置合わせ部50は、直接線加算画像生成部47から受けた位置合わせ用の直接線の模擬X線画像とシステムコントローラ28から受けた位置合わせ用のX線画像とから直接線の模擬X線画像のX線画像に対する位置ずれ量を位置修正情報として求める。
【0095】
ここで、3次元の仮想空間のモデルにおいて、重心が原点にあって位置が決まっており、かつ被検体Pの正面方向が既知で被検体Pの足側から頭側に向かう体軸方向がz軸に沿っているものとする。そうすると、直接線の模擬X線画像とX線画像とからX線ビーム方向のずれ量(Δθ_3d、Δφ_3d)、X線焦点位置のずれ量(Δx_f_3d, Δy_f_3d, Δz_f_3d)およびX線検出器22における検出面の中心位置のずれ量(Δx_d_3d, Δy_d_3d, Δz_d_3d)を求めることができる。尚、X線ビーム方向は、X線の焦点とX線検出器22の検出面の中心とを結ぶ方向である。
【0096】
これらのずれ量は、実空間のX線焦点位置(x_f, y_f, z_f)、実空間のX線ビーム方向(θ、φ) 、実空間のX線検出器22における検出面の中心位置(x_d, y_d, z_d)と仮想空間のX線焦点位置(x_f_3d, y_f_3d, z_f_3d)、仮想空間のX線ビーム方向(θ_3d、φ_3d)、仮想空間のX線検出器における検出面の中心位置(x_d_3d, y_d_3d, z_d_3d)とのそれぞれの間におけるずれ量を修正するための位置修正情報として用いることができる。尚、被検体Pの中心位置(0,0,0)を実空間および仮想空間の原点とした。
【0097】
すなわち、位置修正情報を用いれば、SID、PIDは変わらないように維持しつつ、仮想空間における3次元モデルにより得られる模擬X線画像と撮影によって得られるX線画像との一致度が最大になるように仮想空間のX線焦点位置、X線ビーム方向、X線検出器における検出面の中心位置を修正することが可能となる。
【0098】
そこで、位置合わせ部50は、求めた位置修正情報を記憶しておく。そして、X線検査においてステップS8で仮想空間の対応するエネルギ別の模擬X線画像を算出する際に、位置合わせ部50は、位置修正情報をエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える。
【0099】
そして、X線検査中のステップS8では、エネルギ別模擬直接線画像生成部46が位置合わせ部50から受けた位置修正情報に基づいて、実空間におけるX線診断装置20および被検体Pの位置から仮想空間におけるX線診断装置および被検体の位置を求める。そして、エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、求めた仮想空間におけるX線診断装置および被検体の位置を用いてエネルギ別の直接線の模擬X線画像を生成する。そして、図3に示すフローチャートと同様に、ステップS9、ステップS10、ステップS11を経て、模擬X線画像が表示される。
【0100】
つまり以上のようなX線診断装置20Aは、模擬X線画像と実際に撮像されるX線画像間において最大の一致度が得られるように、模擬X線画像の生成に用いられる幾何学条件を修正するようにしたものである。そのために、X線診断装置20Aでは、仮想空間の位置修正情報が記憶される。そして、位置修正情報に従って修正された模擬X線画像が実空間のX線画像とともに参照画像として表示される。
【0101】
このため、X線診断装置20Aによれば、模擬X線画像とX線画像との間における一致度を向上させることができる。
【0102】
図8は本発明の第3の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置の機能を説明する図である。
【0103】
第3の実施形態に係るX線診断装置20Bでは、模擬X線画像生成装置33BにおけるX線情報変換部45の詳細機能が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Bの機能を説明するための図のみ図示し、同一の構成および作用については説明を省略する。
【0104】
図8において横軸は、光子のエネルギ(keV)であり、縦軸は光子の強度(。相対値)を示す。また、図8中の実線は、第1の実施形態に係るX線診断装置20において模擬X線画像を作成するために用いられるX線のスペクトルS1であり、図8中の点線は第3の実施形態に係るX線診断装置20Bにおいて模擬X線画像を作成するために用いられるX線のスペクトルS2である。
【0105】
すなわち、第1の実施形態に係るX線診断装置20において模擬X線画像を作成するために用いられるX線のスペクトルS1は、X線管の陽極物質、X線管の管電圧、管電流およびX線パルスの幅からなるX線曝射条件並びにX線管およびX線絞り装置の固有の濾過およびX線フィルタ等のX線フィルタ条件から求められるスペクトルである。従って。このスペクトルS1は実際にX線診断装置20において得られるスペクトルと同等となる。
【0106】
しかしながら、図5で示されるようにX線のエネルギが大きくなると、X線の散乱断面積が小さくなる傾向がある。このため、X線のエネルギが小さい程、X線画像のコントラストが良好になることが知られている。
【0107】
一方、被検体Pの体厚が大きい場合には、被検体Pを透過してX線検出器22に入射するX線の線量の低下分を補うため、管電流の増加あるいは管電流のパルス幅が広げられる。さらに、それでもX線検出器22へのX線の入射線量が不足する場合には、管電圧が増加される。すなわち、X線管から出力されるX線の線量は管電圧の3〜5乗に比例することから管電圧を増加させれば、X線の線量を増加させることができる。しかしながら、管電圧の増加に伴ってX線のエネルギが大きくなると、上述したようにX線画像のコントラストが低下するという問題がある。
【0108】
そこで、第3の実施形態に係る模擬X線画像生成装置33BのX線情報変換部45は、模擬X線画像の計算に用いるX線のスペクトルS2として、図8中の点線で示すように、X線診断装置20Bの両極物質、X線管の管電圧、X線管とX線絞り装置の固有の濾過、X線フィルタ等の条件から決定されるX線診断装置20Bのスペクトルよりも低エネルギ側に分布するスペクトルを決定する。ただし、模擬X線画像の計算に用いるX線のスペクトルS2を、その平均エネルギがX線診断装置20Bのスペクトルの平均エネルギよりも低エネルギとなるようなスペクトルとしてもよい。
【0109】
そして、X線情報変換部45は、模擬X線画像の計算に用いるために実際のX線管から曝射されるX線のスペクトルとは独立に決定したX線のスペクトルS2をエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える。これに対し、エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、X線情報変換部45から受けた模擬X線画像の計算用のX線のスペクトルS2を用いてエネルギ別の模擬X線画像を作成する。この結果、模擬X線画像の計算用のX線のスペクトルS2から作成された模擬X線画像が実際に撮影されたX線画像とともに参照画像として表示される。
【0110】
このため、以上のような第3の実施形態に係るX線診断装置20Bによれば、被検体Pの体厚が厚い場合のように曝射されるX線のエネルギが大きい場合であっても、コントラストの良好な模擬X線画像を得ることができる。これにより、X線画像にほとんどコントラストがなく被検体Pの構造を認識することが困難である場合であっても、術者は模擬X線画像により状況を知り安全に検査を進めることが可能となる。
【0111】
図9は本発明の第4の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0112】
図9に示された、X線診断装置20Cでは、模擬X線画像生成装置33Cに変形修正部60を設けた構成が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Cの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0113】
模擬X線画像生成装置33Cの変形修正部60は、直接線加算画像生成部47から受けた直接線の模擬X線画像とシステムコントローラ28から受けたX線画像とから直接線の模擬X線画像のX線画像に対する変形による位置ずれ量を変形修正情報として求める機能と、求めた変形修正情報に従って直接線の模擬X線画像を変形修正することによって変形による画像歪を修正し、変形修正後の直接線の模擬X線画像を画像レベル調整・ガンマ変換部48に与える機能とを有する。
【0114】
これに対し、画像レベル調整・ガンマ変換部48は、変形修正後の直接線の模擬X線画像に対して画像レベルの調整およびガンマ変換を行うように構成される。
【0115】
次にX線診断装置20Cの動作および作用について説明する。
【0116】
図10は、図9に示す模擬X線画像生成装置33Cにより変形修正を施した模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図3のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する。
【0117】
まず、ステップS1からステップS9において、3次元画像データの取得、X線透視撮影等の実施により直接線の模擬X線画像が生成される。
【0118】
次に、ステップS30において、変形修正部60は、直接線加算画像生成部47から受けた位置合わせ用の直接線の模擬X線画像とシステムコントローラ28から受けた位置合わせ用のX線画像とから直接線の模擬X線画像のX線画像に対する変形による歪量を変形修正情報として求める。そして、変形修正部60は、求めた変形修正情報に従って直接線の模擬X線画像の変形による画像歪を修正する。すなわち、直接線の模擬X線画像を歪ませることによって直接線の模擬X線画像の各位置をX線画像の対応する各位置にマッチングする。
【0119】
具体的には、エネルギにつき重み付け加算した模擬X線画像をX線画像と比較し、一致度が最大になるように、模擬X線画像の回転移動、平行移動、投影方向の修正およびワープを行う。模擬X線画像の一致度Mは例えば式(8)のように定義することができる。
[数8]
M=Σimage{Nx(xd,yd) - Nx_calc(xd,yd)}2 (8)
但し、式(8)において、
Nx(xd,yd) :X線画像
Nx_calc(xd,yd):模擬X線画像
Σimage:画像内の全画素についての総和
である。
【0120】
尚、式(8)で求められる一致度Mの値が最小になることが、一致度が最大になることに相当する。従って、式(8)に示す一致度Mの値が最小になるように模擬X線画像の回転移動および平行移動を行えばよい。
【0121】
ここまでは、X線画像と模擬X線画像のそれぞれのマトリクスサイズが互いに同じであると仮定したが、X線画像と模擬X線画像のそれぞれのマトリクスサイズが互いに異なる場合には、一致度Mを計算する前処理として、X線画像および模擬X線画像の一方または双方のマトリクスサイズの変換を行えばよい。マトリクスサイズの縮小変換は、マトリクスサイズの縮小変換後における画像上の画素値を、マトリクスサイズの縮小変換前における画像上の対応する画素に近い4つの画素を使用した補間演算により算出することにより行うことができる。
【0122】
また、模擬X線画像の回転移動、平行移動は模擬X線画像平面内での回転移動および平行移動となる。投影方向の修正は、システムコントローラ28から撮影条件としてX線情報変換部45に入力された被検体Pに対するX線の照射方向をオリジナルの投影方向として修正するものである。ワープは模擬X線画像を歪ませる処理である。ワープは複数の画像を重ね合わせる目的で考案されている技術であり、その詳細は例えばIshida T, et al, Iterative image warping technique for temporal subtraction of sequential chest radiographs to detect interval change. Med Phys 26: 1320-1329, 1999に記載されている。
【0123】
尚、模擬X線画像の変形修正のための計算量を低減させるために、模擬X線画像の回転移動、平行移動およびワープのみを行うことにより画像マッチングを行っても良い。
【0124】
そして、変形修正部60は、変形修正後における直接線の模擬X線画像を画像レベル調整・ガンマ変換部48に与える。
【0125】
次に、ステップS10において、画像レベル調整・ガンマ変換部48は、変形修正後の直接線の模擬X線画像に対して画像レベルの調整およびガンマ変換を行う。また、ステップS11では、変形修正後の直接線の模擬X線画像が表示される。
【0126】
つまり以上のようなX線診断装置20Cは、被検体Pの変形を考慮して、模擬X線画像の変形修正を行うようにしたものである。尚、図2に示すX線診断装置20Aは、位置修正情報を用いて模擬X線画像の位置ずれを修正するものである。すなわち、X線診断装置20Aにおいて用いられる位置修正情報は、仮想的なX線診断装置および仮想的な被検体の3次元モデルが変形しないことを前提として実際に撮影されるX線画像と模擬X線画像の位置ずれを3次元モデルの位置ずれとして修正するための情報である。
【0127】
しかしながら、被検体Pの3次元モデルは、3次元画像データを収集した時点と、X線検査を行う時点との間において通常は変形している。従って、図2に示すX線診断装置20Aにおける位置ずれの修正のみでは、模擬X線画像の精度が不十分となる恐れがある。特に、模擬X線画像を他の計算によって得られた画像と重畳表示させるような場合には、模擬X線画像の精度不足が問題となる。
【0128】
これに対し、X線診断装置20Cでは、X線画像と模擬X線画像とを比較して、模擬X線画像を歪ませることによって、模擬X線画像の各位置がX線画像の対応する位置に合わせられるため、被検体Pが変形した場合であっても、より良好な位置精度で模擬X線画像を得ることができる。
【0129】
図11は本発明の第5の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0130】
図11に示された、X線診断装置20Dでは、模擬X線画像生成装置33Dに第1の模擬X線画像生成部70A、第2の模擬X線画像生成部70Bおよび変形修正部60を設けた構成並びにX線情報変換部45の詳細機能が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Dの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0131】
模擬X線画像生成装置33DのX線情報変換部45は、図8に示すように、実際のX線診断装置20DのX線のスペクトルと同等となるように撮影条件から求められるX線のスペクトルおよび撮影条件から求められるX線のスペクトルよりも低エネルギ側にシフトさせたスペクトルの双方を作成する機能を備えている。そして、X線情報変換部45は、撮影条件から求められるX線のスペクトルを第1の模擬X線画像生成部70Aに与える一方、低エネルギ側にシフトさせたX線のスペクトルを第2の模擬X線画像生成部70Bに与えるように構成される。
【0132】
第1の模擬X線画像生成部70Aは、第1のエネルギ別模擬直接線画像生成部46Aおよび第1の直接線加算画像生成部47Aによって形成され、図2に示すエネルギ別模擬直接線画像生成部46および直接線加算画像生成部47と同等な機能を有する。すなわち、第1のエネルギ別模擬直接線画像生成部46Aは、X線情報変換部45から受けた、撮影条件から求められるX線のスペクトルを用いてエネルギ別の直接線の模擬X線画像を生成する機能と、生成した直接線の模擬X線画像を第1の直接線加算画像生成部47Aに与える機能とを有する。第1の直接線加算画像生成部47Aは、エネルギ別の直接線の模擬X線画像をエネルギごとに重み付け加算することによって、直接線の模擬X線画像を作成する機能と、撮影条件から求められるX線のスペクトルを用いて作成された直接線の模擬X線画像を変形修正部60に与える機能とを有する。
【0133】
第2の模擬X線画像生成部70Bは、第2のエネルギ別模擬直接線画像生成部46Bおよび第2の直接線加算画像生成部47Bによって形成される。第2のエネルギ別模擬直接線画像生成部46Bは、X線情報変換部45から受けた、低エネルギ側にシフトさせたX線のスペクトルを用いてエネルギ別の直接線の模擬X線画像を生成する機能と、生成した直接線の模擬X線画像を第2の直接線加算画像生成部47Bに与える機能とを有する。第2の直接線加算画像生成部47Bは、エネルギ別の直接線の模擬X線画像をエネルギごとに重み付け加算することによって、直接線の模擬X線画像を作成する機能と、低エネルギ側にシフトさせたX線のスペクトルを用いて作成された直接線の模擬X線画像を変形修正部60に与える機能とを有する。
【0134】
変形修正部60は、第1の直接線加算画像生成部47Aから受けた、撮影条件から求められるX線のスペクトルに基づく直接線の模擬X線画像とシステムコントローラ28から受けたX線画像とから直接線の模擬X線画像のX線画像に対する変形による位置ずれ量を変形修正情報として求める機能と、求めた変形修正情報に従って第2の直接線加算画像生成部47Bから受けた低エネルギ側にシフトさせたX線のスペクトルに基づく直接線の模擬X線画像の変形修正を行う機能を有する。また、変形修正後の直接線の模擬X線画像は、変形修正部60から画像レベル調整・ガンマ変換部48に与えられる。
【0135】
次にX線診断装置20Dの動作および作用について説明する。
【0136】
図12は、図11に示す模擬X線画像生成装置33Dにより変形修正を施した模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図3のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する。
【0137】
まず、ステップS1からステップS9において、3次元画像データの取得、X線透視撮影等の実施により直接線の第1の模擬X線画像が生成される。ただし、直接線の第1の模擬X線画像は、撮影条件から求められるX線のスペクトルから作成される。作成された第1の模擬X線画像は、第1の直接線加算画像生成部47Aから変形修正部60に与えられる。
【0138】
次に、ステップS40において、変形修正部60は、第1の直接線加算画像生成部47Aから受けた、撮影条件から求められるX線のスペクトルに基づく直接線の第1の模擬X線画像とシステムコントローラ28から受けたX線画像とから直接線の模擬X線画像のX線画像に対する変形による位置ずれ量を変形修正情報として求める。
【0139】
一方、ステップS41において、ステップS8と同様に第2のエネルギ別模擬直接線画像生成部46Bによりエネルギ別の直接線の第2の模擬X線画像が生成される。ただし、エネルギ別の直接線の第2の模擬X線画像は、低エネルギ側にシフトさせたX線のスペクトルから作成される。作成されたエネルギ別の第2の模擬X線画像は、第2のエネルギ別模擬直接線画像生成部46Bから第2の直接線加算画像生成部47Bに与えられる。
【0140】
次に、ステップS42において、ステップS9と同様に第2の直接線加算画像生成部47Bによる重み付け加算により低エネルギ側にシフトさせたX線のスペクトルに基づく直接線の第2の模擬X線画像が生成される。生成された第2の模擬X線画像は、第2の直接線加算画像生成部47Bから変形修正部60に与えられる。
【0141】
次に、ステップS43において、変形修正部60は、第1の模擬X線画像を用いて作成した変形修正情報に従って、第2の直接線加算画像生成部47Bから受けた第2の模擬X線画像の回転移動、平行移動、投影方向の修正およびワープ等の変形修正を行う。変形修正後の第2の模擬X線画像は、変形修正部60から画像レベル調整・ガンマ変換部48に与えられる。
【0142】
次に、ステップS10における画像レベル調整およびガンマ変換を経てステップS11において第2の模擬X線画像がX線画像とともに表示される。
【0143】
つまり以上のようなX線診断装置20Dは、図9に示すX線診断装置20Cと同様に画像マッチングを行うための変形修正情報の作成には、実際のX線診断装置20DにおけるX線のエネルギスペクトルと同等なエネルギスペクトルを用いて作成される第1の模擬X線画像を用いる一方、実際のX線診断装置20DにおけるX線のエネルギスペクトルより低エネルギ側にシフトしたエネルギスペクトルを用いて作成される第2の模擬X線画像に対して変形修正情報に従って、回転移動、平行移動、投影方向の修正およびワープ等の変形修正を行うようにしたものである。
【0144】
このため、X線診断装置20Dによれば、撮影条件に基づく、より現実に即したX線のスペクトルを用いて作成された第1の模擬X線画像を利用して画像マッチングを行うための変形修正情報を精度よく求めつつ、参照画像としては低エネルギ側にシフトしたエネルギスペクトルを用いてコントラストの良好な第2の模擬X線画像を得ることができる。
【0145】
図13は本発明の第6の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0146】
図13に示された、X線診断装置20Eでは、模擬X線画像生成装置33Eにエネルギ別模擬散乱線画像生成部80、散乱線加算画像生成部81、混合画像作成部82を設けた構成が図9に示すX線診断装置20Cと相違する。他の構成および作用については図9に示すX線診断装置20Cと実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Eの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0147】
模擬X線画像生成装置33Eのエネルギ別模擬散乱線画像生成部80は、散乱断面積取得部44から受けた各元素の散乱断面積、構成元素割当部43から受けた物質の組成情報を割当てた3次元画像データおよびX線情報変換部45から受けたX線透視撮影における撮影条件、被検体Pが存在しない場合にX線管からX線検出器22上の1画素に入射するX線のフォトン数に基づいて、エネルギ別の散乱線の模擬X線画像を生成する機能と、生成したエネルギ別の散乱線の模擬X線画像を散乱線加算画像生成部81に与える機能を有する。
【0148】
散乱線加算画像生成部81は、エネルギ別模擬散乱線画像生成部80から受けたエネルギ別の散乱線の模擬X線画像をエネルギごとに重み付け加算することによって、散乱線の模擬X線画像を生成する機能と、生成した散乱線の模擬X線画像を混合画像作成部82に与える機能とを有する。
【0149】
混合画像作成部82は、直接線加算画像生成部47から受けた直接線の模擬X線画像と散乱線加算画像生成部81から受けた散乱線の模擬X線画像とを混合する機能と、混合によって生成された散乱線を含む模擬X線画像を変形修正部60に与える機能とを有する。また、混合画像作成部82は、必要に応じて直接線および散乱線の模擬X線画像の混合に先立って、X線グリッドのグリッド特性値を用いて直接線および散乱線のX線グリッドに対する透過量を計算するように構成される。
【0150】
そして、変形修正部60は、混合画像作成部82から受けた散乱線を含む模擬X線画像とシステムコントローラ28から受けたX線画像とから散乱線を含む模擬X線画像のX線画像に対する変形による位置ずれ量を変形修正情報として求め、求めた変形修正情報に従って散乱線を含む模擬X線画像の変形修正を行うように構成される。
【0151】
次にX線診断装置20Dの動作および作用について説明する。
【0152】
図14は、図13に示す模擬X線画像生成装置33Eにより変形修正を施した模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図10のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する。
【0153】
まず、ステップS1からステップS9において、3次元画像データの取得、X線透視撮影等の実施により直接線の模擬X線画像が生成される。作成された直接線の模擬X線画像は、直接線加算画像生成部47から混合画像作成部82に与えられる。尚、直接線の模擬X線画像Nx_calcP(xd,yd)は、式(9)に示すようにエネルギEに応じた重み関数w(E)およびエネルギ別の直接線の模擬X線画像Nx_calcP(E,xd,yd)から計算することができる。すなわち、エネルギ別に計算された直接線の模擬X線画像Nx_calcP(xd,yd)に重み関数w(E)を掛けてエネルギに関する総和を直接線の模擬X線画像Nx_calcP(E,xd,yd)として求める。
[数9]
Nx_calcP(xd,yd)=ΣENx_calcP(E,xd,yd)×w(E) (9)
【0154】
次にステップS50において、エネルギ別模擬散乱線画像生成部80は、散乱断面積取得部44から取得した各元素の散乱断面積、構成元素割当部43から取得した物質の組成情報を割当てた3次元画像データおよびX線情報変換部45から取得したX線透視撮影における撮影条件、被検体Pが存在しない場合にX線管からX線検出器22上の1画素に入射するX線のフォトン数に基づいて、エネルギ別の散乱線の模擬X線画像を生成する。
【0155】
X線と物質の相互作用は、散乱断面積にて記述される確率過程である。そしてこの確率過程をシミュレーションする方法が例えばNational Research Council of Canada Report NRC-PIRS-0436、National Laboratory for High Energy Physics Report KEK Internal 94-4、Stanford Linear Accelerator Center Report SLAC-PUB-6499に公表されている。
【0156】
そこで、X線管から発生したX線フォトンの被検体P内における散乱を公表されている手法でシミュレーションし、散乱線を計算することができる。実際にはシミュレーションの結果は、直接線および散乱線として算出される。尚、直接線とは、X線の焦点から散乱を受けずにX線検出器22へ直接到達するX線である。
【0157】
エネルギ別模擬散乱線画像生成部80は、生成したエネルギ別の散乱線の模擬X線画像を散乱線加算画像生成部81に与える。
【0158】
次にステップS51において、散乱線加算画像生成部81は、式(10)に示すようにエネルギ別模擬散乱線画像生成部80から受けたエネルギ別の散乱線の模擬X線画像Nx_calcS(E,xd,yd)をエネルギEごとに重み関数w(E)を用いて重み付け加算することによって、散乱線の模擬X線画像Nx_calcS(xd,yd)を生成する。すなわち、エネルギ別に計算された散乱線の模擬X線画像Nx_calcS(xd,yd)に重み関数w(E)を掛けてエネルギに関する総和を散乱線の模擬X線画像Nx_calcS(E,xd,yd)として求める。
[数10]
Nx_calcS(xd,yd)=ΣENx_calcS(E,xd,yd)×w(E) (10)
【0159】
散乱線加算画像生成部81は、生成した散乱線の模擬X線画像を混合画像作成部82に与える。
【0160】
次にステップS52において、混合画像作成部82は、直接線加算画像生成部47から受けた直接線の模擬X線画像と散乱線の模擬X線画像とを混合する。そのために、混合に先立ってX線グリッドのグリッド特性値が参照され、X線グリッドによる直接線および散乱線の透過量が求められる。
【0161】
X線診断装置20Eに使用されるX線グリッドはX線検出器22に入射する直接線および散乱線のうち直接線を選択的に透過させることを目的としている。X線グリッドのグリッド特性値としては、コントラスト改善度K、露出倍数B、選択度Σ、一次線の透過率Tpが明らかとなっている。コントラスト改善度Kは、散乱線および直接線を含む全X線の透過率に対する直接線の透過率の割合であり、式(11−1)により求められる。露出倍数Bは、全X線透過率の逆数であり、式(11−2)により求められる。選択度Σは、散乱線の透過率に対する直接線の透過率の割合であり、式(11−3)により求められる。また、一次線の透過率Tpは、式(11−4)により求められる。
[数11]
K=Tp/Tt (11-1)
B=It/It' (11-2)
Σ=Tp/Ts (11-3)
Tp=Ip'/Ip (11-4)
ただし、
Tt:全X線のX線グリッドに対する透過率
Tp:直接線のX線グリッドに対する透過率
Ts:散乱線のX線グリッドに対する透過率
It:全X線のX線グリッドに対する入射量
It’: 全X線のX線グリッドに対する透過量
Ip:直接線のX線グリッドに対する入射量
Ip’: 直接線のX線グリッドに対する透過量
である。
【0162】
従って、式(12)に示すように、X線グリッドに入射する直接線、すなわち直接線の模擬X線画像Nx_calcP(xd,yd)に直接線のX線グリッドに対する透過率Tpを乗じれば、X線検出器22に入射する直接線をX線グリッド透過後における直接線の模擬X線画像Nx_calcPG(xd,yd)として計算することができる。
[数12]
Nx_calcPG(xd,yd)=Nx_calcP(xd,yd)×Tp (12)
【0163】
同様に、式(13)に示すように、X線グリッドに入射する散乱線、すなわち散乱線の模擬X線画像Nx_calcS(xd,yd)に散乱線のX線グリッドに対する透過率Ts=Tp/Σを乗じれば、X線検出器22に入射する散乱線をX線グリッド透過後における散乱線の模擬X線画像Nx_calcSG(xd,yd)として計算することができる。
[数13]
Nx_calcSG(xd,yd)=Nx_calcS(xd,yd)×Tp/Σ (13)
【0164】
そして、式(14)に示すように、X線グリッド透過後における直接線の模擬X線画像Nx_calcPG(xd,yd)および散乱線の模擬X線画像Nx_calcSG(xd,yd)の合計を散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)として算出することができる。
[数14]
Nx_calcG(xd,yd)=Nx_calcPG(xd,yd)+Nx_calcSG(xd,yd) (14)
【0165】
このように作成された散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)は、混合画像作成部82から変形修正部60に与えられる。
【0166】
次に、ステップS30において、変形修正部60は、混合画像作成部82から受けた散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)とシステムコントローラ28から受けたX線画像とから散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)のX線画像に対する変形による歪量を変形修正情報として求める。そして、変形修正部60は、求めた変形修正情報に従って散乱線を含むX線の模擬X線画像の変形による画像歪を修正する。すなわち、散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)を歪ませることによって散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)の各位置をX線画像の対応する各位置にマッチングする。これにより変形修正された散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcGT(xd,yd)が得られる。
【0167】
ここで、X線画像に対して最大の画像マッチングを得る、すなわち位置の一致度が最大となる変形修正後の模擬X線画像Nx_calcGT(xd,yd)を、散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)から求めるための平行移動量、回転移動量、投影方向の修正情報、ワープ情報等の変形修正情報を変形修正部60に保存させることができる。変形修正部60に保存される変形修正情報は、式(15)に示すように散乱線を含むX線の模擬X線画像Nx_calcG(xd,yd)から変形修正後の最適な模擬X線画像Nx_calcGT(xd,yd)を求めるための過程を示す関数Fとして表現することができる。
[数15]
Nx_calcGT(xd,yd)=F(Nx_calcG(xd,yd)) (15)
【0168】
変形修正部60は、変形修正後の最適な模擬X線画像Nx_calcGT(xd,yd)を画像レベル調整・ガンマ変換部48に与える。
【0169】
次に、ステップS10における模擬X線画像Nx_calcGT(xd,yd)の画像レベル調整およびガンマ変換を経てステップS11において変形修正後の模擬X線画像Nx_calcGT(xd,yd)がX線画像とともに表示される。
【0170】
尚、参照画像として変形修正後における散乱線を含まない直接線だけの模擬X線画像Nx_calcPGT(xd,yd)を表示しても良い。この場合には、式(16)に示すように、変形修正を行うための関数Fにより、X線グリッド透過後における直接線の模擬X線画像Nx_calcPG(xd,yd)から変形修正後における直接線の模擬X線画像Nx_calcPGT(xd,yd)を計算することができる。
[数16]
Nx_calcPGT(xd,yd) =F(Nx_calcPG(xd,yd)) (16)
【0171】
そして、式(16)によって求められた変形修正後における直接線の模擬X線画像Nx_calcPGT(xd,yd)に対して画像レベルの調整およびガンマ変換を行った後、変形修正後における直接線の模擬X線画像Nx_calcPGT(xd,yd)が表示器に表示される。
【0172】
つまり以上のようなX線診断装置20Eは、模擬X線画像を生成する際に、直接線成分のみならず、散乱線成分の模擬X線画像を生成し、直接線成分と散乱線成分の模擬X線画像を所定の混合比にて加算して得られる模擬X線画像を用いてX線画像をマッチングするようにしたものである。
【0173】
このため、X線診断装置20Eによれば、画像マッチングの対象となる模擬X線画像を現実のX線画像により近付けることが可能となり、模擬X線画像とX線画像との一致度を向上させることができる。
【0174】
図15は本発明の第7の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0175】
図15に示された、X線診断装置20Fでは、模擬X線画像生成装置33Fに投影方向変更部90および視野変更部91を設けた構成が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Fの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0176】
模擬X線画像生成装置33Fの投影方向変更部90は、X線情報変換部45からX線検出器22に入射するX線のフォトン数および撮影条件を取得し、入力装置92からの指示情報に従って撮影条件のうちX線の投影方向を任意に変更する機能と、変更後の撮影条件をX線検出器22に入射するX線のフォトン数とともに視野変更部91に与える機能とを有する。
【0177】
視野変更部91は、投影方向変更部90からX線検出器22に入射するX線のフォトン数および撮影条件を取得し、入力装置92からの指示情報に従って撮影条件のうち撮影視野を任意に変更する機能と、変更後の撮影条件をX線検出器22に入射するX線のフォトン数とともにエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える機能とを有する。
【0178】
そして、エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、投影方向変更部90および視野変更部91による変更後のX線の投影方向および視野を含む撮影条件に従ってエネルギ別の直接線の模擬X線画像を生成するように構成される。
【0179】
次にX線診断装置20Fの動作および作用について説明する。
【0180】
図16は、図15に示す模擬X線画像生成装置33Fにより模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図3のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する。
【0181】
まず、ステップS1からステップS7において、臓器の構成元素の割当、元素およびエネルギ別の散乱断面積の取得、撮影条件の取得およびX線情報の計算がそれぞれ実行される。撮影条件およびX線情報は、X線情報変換部45から投影方向変更部90に与えられる。
【0182】
次に、ステップS60において、入力装置92からのX線の投影方向の変更指示が投影方向変更部90に与えられると、投影方向変更部90は、X線情報変換部45から取得した撮影条件のうちX線の投影方向を指定された投影方向に変更する。そして、投影方向変更部90は、変更後の撮影条件をX線情報とともに視野変更部91に与える。
【0183】
次に、ステップS61において、入力装置92からの撮影視野の変更指示が視野変更部91に与えられると、視野変更部91は、投影方向変更部90から取得した撮影条件のうち撮影視野を指定された撮影視野に変更する。そして、視野変更部91は、変更後の撮影条件をX線情報とともにエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与える。
【0184】
次に、ステップS8において、エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、投影方向変更部90および視野変更部91による変更後のX線の投影方向および視野を含む撮影条件に従ってエネルギ別の直接線の模擬X線画像を生成する。続いてステップS9からステップS11までの重み付け加算処理、画像レベル調整およびガンマ変換を経て作成された模擬X線画像が表すなわち撮影条件に含まれる変更後の視野情報を利用して、指定された視野のみの模擬X線画像が生成される。そして、模擬X線画像の生成後の各種処理も指定された視野内のみの計算とされる。
【0185】
つまり以上のようなX線診断装置20Fは、X線検査前後またはX線検査中に術者からの指示情報に従ってX線の投影角度および撮影視野の一方または双方を実際のX線診断装置20FにおけるX線の投影方向および撮影視野から変更し、変更後のX線の投影角度および撮影視野の模擬X線画像を作成して表示できるようにしたものである。
【0186】
このため、X線診断装置20Fによれば、模擬X線画像を計算するためのX線の投影方向を術者の入力装置92の操作によって変更することにより、所望の方向の模擬X線画像を表示させることが可能となる。X線診断装置20Fによれば、特にX線画像の観察中に術者がX線検出器22の投影面に対して奥行き方向の情報を確認したい場合に、必要となる奥行き方向の情報を模擬X線画像として分かり易く術者に提示することができる。これにより、IVRを効率的に行うことができる。
【0187】
加えて、X線診断装置20Fによれば、模擬X線画像を計算するための撮影視野を入力装置92の操作によって変更することにより、所望の視野の模擬X線画像を表示させることが可能となる。従って、X線画像の視野を変更した場合には、視野の変更に追従して模擬X線画像の視野も変更させることができる。
【0188】
一方、模擬X線画像の視野の大きさを実際のX線画像の視野と異なるものに変更することもできる。従って、模擬X線画像の視野のみをX線画像とは独立して変更することも可能である。例えば、実際のX線画像よりも広い視野を模擬X線画像の視野として指定することにより、X線を照射している領域よりも広い範囲の模擬X線画像を表示させることができる。
【0189】
図17は本発明の第8の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0190】
図17に示された、X線診断装置20Gでは、模擬X線画像生成装置33Gに関心臓器強調度指定部100を設けた構成が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Gの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0191】
模擬X線画像生成装置33Gの関心臓器強調度指定部100は、入力装置92から関心臓器および関心臓器の強調度の指示情報を受けた場合に、構成元素データベース41から指示された関心臓器の構成元素データを取得して、関心臓器を構成する元素の密度に所定の係数を掛けることによって補正密度を求める機能と、求めた補正密度を構成元素割当部43に与える機能とを有する。
【0192】
そして、構成元素割当部43は、構成元素データベース41に保存された臓器の構成元素データおよび関心臓器強調度指定部100から受けた補正密度を用いて臓器のインデックス付きの3次元画像データに各臓器を構成する物質の組成情報を割当てるように構成される。
【0193】
次にX線診断装置20Gの動作および作用について説明する。
【0194】
図18は、図17に示す模擬X線画像生成装置33Gにより模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図3のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する。
【0195】
ステップS70において、操作者が入力装置92の操作によって関心臓器および強調度の指示情報を関心臓器強調度指定部100に入力すると、関心臓器強調度指定部100は、構成元素データベース41から指示された関心臓器の構成元素データを取得して、関心臓器を構成する元素Zの密度ρZに強調度に応じて決定される係数k(>0)を掛けることによって補正密度kρZを求める。そして、関心臓器強調度指定部100は、求めた元素Zの補正密度kρZを構成元素割当部43に与える。
【0196】
そうすると、ステップS3において、構成元素割当部43は、3次元画像データの位置(x,y,z)における臓器のインデックスOrg(x,y,z)が指定された関心臓器のインデックスである場合に、関心臓器を構成する元素Zの補正密度kρZ’(x,y,z)を割当てる。一方、構成元素割当部43は、関心臓器以外の臓器のインデックスOrg(x,y,z)が付された位置(x,y,z)には、構成元素データベース41から取得した密度ρZ(x,y,z) を割当てる。
【0197】
そして、他のステップにおいて、図3の各ステップと同様な処理が行われて模擬X線画像がX線画像とともに表示される。
【0198】
従って、X線診断装置20Gにより表示される模擬X線画像は、関心臓器の密度が強調度に応じて変更されて作成されるため、関心臓器が強調または抑制された画像となる。具体的には、0<k<1の場合には模擬X線画像上において関心臓器によるX線吸収が減ったように見える。また、k>1の場合には模擬X線画像上において関心臓器によるX線吸収が増えたように見える。従って、0<k<1の場合およびk>1の場合のいずれの場合であっても、関心臓器とその周辺とのコントラストが良好になるため、関心臓器の視認性を改善することができる。
【0199】
つまり以上のようなX線診断装置20Gは、3次元画像データから模擬X線画像を作成する際に、関心臓器または関心の無い臓器を構成する元素の密度を所定の割合で減少あるいは増加させることにより、関心臓器のコントラストが強調されるようにしたものである。
【0200】
尚、元素Zの密度ρZに所定の係数kを掛ける際、関心臓器を構成する全て構成元素Zの密度ρZに所定の係数k(>0) を掛けてもよいし、X線吸収の大きい構成元素Zの密度ρZのみに所定の係数k(>0) を掛けてもよい。X線吸収の大きい構成元素Zの密度ρZのみに所定の係数k(>0) を掛ける場合、各元素ZのX線吸収の大きさは、元素Zの散乱断面積σz(E)と原子数Natom_zの積σz(E)×Natom_zにて見積もることができる。そこで、関心臓器中に含まれる全ての元素Zについて積σz(E)×Natom_zを計算してX線吸収を見積もることにより、X線吸収の大半を占める単一または複数の元素Zを選定することができる。
【0201】
また、関心臓器または関心の無い臓器を構成する元素の密度のみならず、元素の組成やX線の吸収係数に所定の係数を乗じるようにしてもよい。
【0202】
図19は本発明の第9の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0203】
図19に示された、X線診断装置20Hでは、模擬X線画像生成装置33Hに関心部位指定部110を設けた構成並びに構成元素割当部43およびエネルギ別模擬直接線画像生成部46の機能が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Hの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0204】
模擬X線画像生成装置33Hの関心部位指定部110は、3次元画像取得部40から被検体Pの3次元画像データを取得してモニタ30に表示させる機能と、入力装置92から関心部位の指定情報を受けた場合に、指定された関心部位の領域情報を構成元素割当部43またはエネルギ別模擬直接線画像生成部46に通知する機能を有する。
【0205】
そして、構成元素割当部43は、関心部位指定部110から関心部位の領域情報が通知された場合に、関心部位における元素の密度に所定の係数を掛けるように構成される。また、エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、関心部位指定部110から関心部位の領域情報が通知された場合に、X線の焦点からX線検出器22上の1画素を見込む四角錐に含まれる関心部位におけるX線吸収体の吸収量に所定の係数を掛けるように構成される。
【0206】
そして、関心部位では、構成元素割当部43によって所定の係数を掛けられた密度或いはエネルギ別模擬直接線画像生成部46によって所定の係数を掛けられたX線吸収体の吸収量を用いて模擬X線画像が生成されるように構成される。この結果、関心部位のコントラストを向上させた模擬X線画像を生成することが可能となる。
【0207】
次にX線診断装置20Hの動作および作用について説明する。
【0208】
図20は、図19に示す模擬X線画像生成装置33Hにより模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図3のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する。
【0209】
まず、ステップS1において、被検体Pの3次元画像データが3次元画像取得部40によって取得され、関心部位指定部110に与えられる。
【0210】
そして、ステップS80において、X線検査に先立って、関心部位が設定される。すなわち、関心部位指定部110は、3次元画像取得部40から取得した被検体Pの3次元画像データをモニタ30に表示させる。これに対し、術者は、モニタ30に表示された3次元画像データを観察し、入力装置92を操作することによって、関心部位を指定する。関心部位の例としては、血管内にプラークが蓄積されている部分が挙げられる。そうすると、入力装置92から関心部位の指定情報が関心部位指定部110に与えられる。
【0211】
関心部位指定部110は、関心部位の指定情報に従って関心部位の領域情報を作成する。関心部位指定部110は、例えば、体積要素の位置(x,y,z)が関心部位内である場合には、Flag(x,y,z)=1となり逆に体積要素の位置(x,y,z)が関心部位内にない場合には、Flag(x,y,z)=0となるような関数Flag(x,y,z)を作成する。そして、関心部位指定部110は、作成した関数Flag(x,y,z)を関心部位の領域情報として構成元素割当部43またはエネルギ別模擬直接線画像生成部46に通知する。
【0212】
一方、ステップS2において、3次元画像データの各ボクセルに臓器のインデックスが割り当てられる。
【0213】
次に、ステップS81において、構成元素割当部43は、セグメント化された臓器のボクセルに物質の組成情報を割当てる。すなわち、構成元素割当部43は、被検体Pの位置(x, y, z)における体積要素(dx, dy, dz)に被検体Pを構成する元素Zの密度ρZ(x,y,z)を割当てる。ただし、構成元素割当部43は、関心部位指定部110から関心部位の領域情報が通知された場合には、関心部位における元素Zの密度ρZ(x,y,z)に所定の係数を掛ける。
【0214】
具体的には、式(17)に示すように関心部位の領域を表す関数Flag(x,y,z)の値に応じて元素Zの密度ρZ(x,y,z)に所定の係数j(>0)を掛ける。
[数17]
ρZ_flag(x,y,z)=ρZ(x,y,z)×j (Flag(x,y,z)=1のとき)
=ρZ(x,y,z)×1 (Flag(x,y,z)=0のとき)
(17)
【0215】
すなわち、Flag(x,y,z)=1となる関心部位における元素Zの密度ρZ(x,y,z)には所定の係数jを掛ける一方、Flag(x,y,z)=0となる関心部位外における元素Zの密度ρZ(x,y,z)には1を掛ける。そして、係数を掛けた補正密度ρZ_flag(x,y,z)を割当てた3次元画像データが構成元素割当部43からエネルギ別模擬直接線画像生成部46に与えられる。
【0216】
従って、他のステップにおいて、図3に示すステップと同様の処理が行われれば、元素の補正密度を用いて作成された模擬X線画像が表示されることとなる。このため、3次元画像データ上で指定した関心部位に対応する画素の画像レベルが関心部位外における画素の画像レベルとは異なるレベルとなる。この結果、関心部位を模擬X線画像上にて認識することが可能となる。
【0217】
また、関心部位指定部110が関数Flag(x,y,z)を関心部位の領域情報として構成元素割当部43に通知する代わりにエネルギ別模擬直接線画像生成部46に通知した場合には、ステップS82において、関心部位におけるX線吸収体の吸収量に所定の係数が掛けられる。すなわち、関数Flag(x,y,z) による関心部位の強調が、エネルギ別の直接線の模擬X線画像の生成過程において実施される。
【0218】
まず、エネルギ別模擬直接線画像生成部46によってX線の焦点からX線検出器22上の1画素(xd,yd)を見込む四角錐の中に含まれるX線フィルタ、被検体P等の全てのX線吸収体を構成する元素Zの単位面積あたりの全原子数Natom_Zが求められる。そして、式(18)に示すように、各元素Zの散乱断面積σZ(E)と全原子数Natom_Zとから、X線スペクトルの各エネルギEごとのX線の被検体Pによる吸収量ATTtot(E)を計算する。
[数18]
ATTtot(E)=σ1(E)×Natom_1+σ2(E)×Natom_2+σ3(E)×Natom_3+… (18)
【0219】
次に、エネルギ別模擬直接線画像生成部46は、関数Flag(x,y,z)の値を参照することによって、四角錐中に含まれる体積要素が関心部位に含まれるか否かを判定する。そして、式(19)に示すようにFlag(x,y,z)=1となる関心部位におけるX線の吸収量ATTtot(E)には所定の係数j’(>0)を掛ける一方、Flag(x,y,z)=0となる関心部位外におけるX線の吸収量ATTtot(E)には1を掛ける。
[数19]
ATTtot_flag(E)=ATTtot(E)×j (Flag(x,y,z)=1のとき)
=ATTtot(E)×1 (Flag(x,y,z)=0のとき)
(19)
【0220】
そして、このように計算される補正後のX線の吸収量ATTtot_flag(E)から他のステップにおいて模擬X線画像が作成されて表示される。このため、3次元画像データ上で指定した関心部位に対応する画素の画像レベルが関心部位外における画素の画像レベルとは異なるレベルとなる。この結果、関心部位を模擬X線画像上にて認識することが可能となる。
【0221】
つまり以上のようなX線診断装置20Hは、3次元画像データ上で観察者により指定された関心部位のボクセルに対応する模擬X線画像上の画素を強調表示できるようにしたものである。
【0222】
このため、X線診断装置20Hによれば、関心部位に対応する模擬X線画像上の位置をX線検査中においてX線画像と関連付けて参照することができる。例えば、X線検査に先立つ他の検査で予め判明している病変部の位置を、X線検査中にX線画像上で把握できるように模擬X線画像を表示させることができる。
【0223】
図21は本発明の第10の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図である。
【0224】
図21に示された、X線診断装置20Iでは、心電計120を設けた構成および模擬X線画像生成装置33Iに心電同期部121を設けた構成が図1に示すX線診断装置20と相違する。他の構成および作用については図1に示すX線診断装置20と実質的に異ならないため模擬X線画像生成装置33Iの機能ブロック図のみ図示し、同一の構成については同符号を付して説明を省略する。
【0225】
模擬X線画像生成装置33Iの心電同期部121は、心電計120により計測された被検体Pの心電波形を取得する一方、模擬X線画像表示処理部49から模擬X線画像の心電位相情報を取得して、模擬X線画像が被検体Pの心電波形に同期して表示されるようにタイミング情報を模擬X線画像表示処理部49に与える機能を有する。
【0226】
これに対し、模擬X線画像表示処理部49は、心電同期部121から受けたタイミング情報に従って、心電位相ごとの模擬X線画像を心電波形に同期してモニタ30に表示させるように構成される。
【0227】
次にX線診断装置20Iの動作および作用について説明する。
【0228】
図22は、図21に示す模擬X線画像生成装置33Iにより模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャートであり、図中Sに数字を付した符号はフローチャートの各ステップを示す。尚、図3のステップと同等なステップには同符号を付して説明を省略する
まず予め3次元画像診断装置35により心電同期撮影によって心電位相ごとの3次元画像データが収集される。心電位相ごとの3次元画像データは、必要に応じて画像サーバに保存される。
【0229】
そして、ステップS1において、被検体Pの心電位相ごとの3次元画像データが3次元画像取得部40によって取得される。3次元画像取得部40は、取得した3次元画像データをセグメンテーション部42に与える。
【0230】
次にステップS2からステップS10において、X線画像が撮影される一方、被検体Pの心電位相ごとの模擬X線画像が作成される。作成された心電位相ごとの模擬X線画像は模擬X線画像表示処理部49に与えられる。
【0231】
また、ステップS90において、心電計120によってX線検査中における被検体Pの心電波形が取得される。心電同期部121は、心電計120により計測された被検体Pの心電波形を取得する。一方、心電同期部121は、模擬X線画像表示処理部49から模擬X線画像の心電位相情報を取得する。そして、心電同期部121は、心電位相情報を参照し、模擬X線画像が被検体Pの心電波形に同期して表示されるようにタイミング情報を作成する。心電同期部121は、作成したタイミング情報を模擬X線画像表示処理部49に与える。
【0232】
次に、ステップS90において、模擬X線画像表示処理部49は、心電同期部121から受けた心電同期用のタイミング情報に従って、心電位相ごとの模擬X線画像を心電波形に同期してモニタ30に表示させる。
【0233】
また、X線撮影が心電同期下で行われている場合には、X線画像の心電位相と同じ位相の模擬X線画像が同じタイミングで表示される。
【0234】
つまり、以上のようなX線診断装置20Iは、模擬X線画像を心電波形に同期して表示できるようにしたものである。このため、X線診断装置20Iによれば、X線撮影が心電同期下で行われるような場合に、適切なタイミングで模擬X線画像を表示させることができる。
【0235】
尚、図22のステップS1からステップS4までの撮影条件を必要としない処理については、X線検査に先立って行ってもよい。ステップS1からステップS4までの処理をX線検査に先立って行うようにすれば、X線検査中にリアルタイム処理の対象となる処理の計算量を低減することができる。
【0236】
以上の各実施形態におけるX線診断装置20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H、20Iの諸機能のなかから必要な機能を組み合わせて単一のX線診断装置を構成してもよい。また、構成元素データベース41等の一部の構成要素を模擬X線画像生成装置33、33A,33B、33C、33D、33E、33F、33G、33H、33Iに設ける代わりに、模擬X線画像生成装置33、33A,33B、33C、33D、33E、33F、33G、33H、33Iの外部からネットワークにより構成元素データ等の必要な情報を模擬X線画像生成装置33、33A,33B、33C、33D、33E、33F、33G、33H、33Iが取得するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0237】
【図1】本発明に係るX線診断装置の第1の実施形態を示す構成図。
【図2】図1に示す模擬X線画像生成装置の機能ブロック図。
【図3】図1に示すX線診断装置により模擬X線画像を生成し、生成した模擬X線画像をX線画像とともに表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図4】図2に示す構成元素データベースに保存される構成元素データの一例を示す図。
【図5】図2に示す散乱断面積取得部において求められた炭素の散乱断面積σZ(E)を表す図。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図7】図6に示す模擬X線画像生成装置により模擬X線画像の位置修正情報を生成するまでの流れを示すフローチャート。
【図8】本発明の第3の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置の機能を説明する図。
【図9】本発明の第4の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図10】図9に示す模擬X線画像生成装置により変形修正を施した模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図11】本発明の第5の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図12】図11に示す模擬X線画像生成装置により変形修正を施した模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図13】本発明の第6の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図14】図13に示す模擬X線画像生成装置により変形修正を施した模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図15】本発明の第7の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図16】図15に示す模擬X線画像生成装置により模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図17】本発明の第8の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図18】図17に示す模擬X線画像生成装置により模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図19】本発明の第9の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図20】図19に示す模擬X線画像生成装置Hにより模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図21】本発明の第10の実施形態に係るX線診断装置の模擬X線画像生成装置を示す機能ブロック図。
【図22】図21に示す模擬X線画像生成装置により模擬X線画像を表示させるまでの流れを示すフローチャート。
【図23】IVRに用いられる従来のX線診断装置の構成図。
【符号の説明】
【0238】
20、20A、20B、20C、20D,20E、20F、20G、20H、20I X線診断装置
21 X線発生源
22 X線検出器
23 寝台
24 寝台制御部
25 Cアーム形スタンド
26 スタンド制御部
27 高電圧発生器
28 システムコントローラ
29 入力デバイス
30 モニタ
31 画像処理部
32 画像記憶部
33、33A,33B、33C、33D、33E、33F、33G、33H、33I 模擬X線画像生成装置
34 ネットワーク
35 3次元画像診断装置
36 3次元画像サーバ
40 3次元画像取得部
41 構成元素データベース
42 セグメンテーション部
43 構成元素割当部
44 散乱断面積取得部
45 X線情報変換部
46 エネルギ別模擬直接線画像生成部
46A 第1のエネルギ別模擬直接線画像生成部
46B 第2のエネルギ別模擬直接線画像生成部
47 直接線加算画像生成部
47A 第1の直接線加算画像生成部
47B 第2の直接線加算画像生成部
48 画像レベル調整・ガンマ変換部
49 模擬X線画像表示処理部
50 位置合わせ部
60 変形修正部
70A 第1の模擬X線画像生成部
70B 第2の模擬X線画像生成部
80 エネルギ別模擬散乱線画像生成部
81 散乱線加算画像生成部
82 混合画像作成部
90 投影方向変更部
91 視野変更部
92 入力装置
100 関心臓器強調度指定部
110 関心部位指定部
120 心電計
121 心電同期部
P 被検体
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
【識別番号】594164531
【氏名又は名称】東芝医用システムエンジニアリング株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三


【公開番号】 特開2008−190(P2008−190A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169994(P2006−169994)