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【発明の名称】 超音波診断装置及び超音波画像表示プログラム
【発明者】 【氏名】神山 直久

【要約】 【課題】超音波診断装置において、平滑化画像フィルタのような画像加工を行なうことなしに、画像の画質を維持しながら、ターゲットと不要物とを分離すること。

【構成】超音波診断装置10は、超音波プローブ11及び超音波診断装置本体12を設ける。超音波診断装置本体12には、1枚の画像を表現する第1画像及び第2画像間の送受信条件に差異をもたせ、その送受信条件によって超音波の送受信を行なって第1画像に関する走査線信号と第2画像に関する走査線信号とをそれぞれ取得する超音波送受信部21と、走査線信号を基に、第1画像及び第2画像をそれぞれ再構成する画像再構成部24と、第1画像及び第2画像をステレオグラムとする表示画像を生成する表示制御部25と、表示画像を表示する表示装置14とが設けられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示する超音波診断装置において、
前記画像を表現する複数枚の部分画像間の送受信条件に差異をもたせ、前記送受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する超音波送受信部と、
前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する画像再構成部と、も設けることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記超音波送受信部は、前記複数枚の部分画像間で、前記送受信条件としての送信フォーカス及び受信フォーカスに差異をもたせることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
前記超音波送受信部は、前記複数枚の部分画像間で、前記送受信条件としての送信開口及び受信開口に差異をもたせることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項4】
前記超音波送受信部は、前記複数枚の部分画像間で、前記送受信条件としての音速パラメータに差異をもたせることを特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項5】
超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示する超音波診断装置において、
前記画像を表現する複数枚の部分画像間の受信条件に差異をもたせ、送信条件及び前記受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する超音波送受信部と、
前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する画像再構成部と、を設けることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
前記超音波送受信部は、前記複数枚の部分画像間で、前記受信条件としての受信フォーカスに差異をもたせることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項7】
前記超音波送受信部は、前記複数枚の部分画像間で、前記受信条件としての受信開口に差異をもたせることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記超音波送受信部は、前記複数枚の部分画像間で、前記受信条件としての音速パラメータに差異をもたせることを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記超音波送受信部は、1回の超音波の送信によって得られた信号に対して、異なる受信条件を与えることにより、前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得することを特徴とする請求項5に記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記複数枚の部分画像を、2枚の部分画像とすることを特徴とする請求項1及び5のうちどちらか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記複数枚の部分画像を記憶する記憶装置を設けることを特徴とする請求項1及び5のうちどちらか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記複数枚の部分画像をステレオグラムとする表示画像を生成する表示制御部と、前記表示画像を表示する表示装置とを設けることを特徴とする請求項1及び5のうちどちらか一項に記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記複数枚の部分画像を2枚の部分画像とし、前記2枚の部分画像を前記表示装置上の左右に交互表示させる前記表示制御部と、前記交互表示に同期してON/OFFを繰り返す液晶シャッター眼鏡とを有することを特徴とする請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項14】
前記複数枚の部分画像を2枚の部分画像とし、前記表示装置を、立体ディスプレイとすることを特徴とする請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項15】
前記複数枚の部分画像を2枚の部分画像とし、前記表示制御部は、前記2枚の部分画像を前記表示装置上に上下又は左右に並列表示させることを特徴とする請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記複数枚の部分画像を2枚の部分画像とし、前記表示制御部は、前記2枚の部分画像のうち第1画像を第1色、第2画像を第2色として生成し、前記第1画像及び前記第2画像を前記表示装置としてのカラーモニタに加算表示させることを特徴とする請求項12に記載の超音波診断装置。
【請求項17】
超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示するコンピュータに、
前記画像を表現する複数枚の部分画像間の送受信条件に差異をもたせ、前記送受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する機能と、
前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像表示プログラム。
【請求項18】
超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示するコンピュータに、
前記画像を表現する複数枚の部分画像間の受信条件に差異をもたせ、送信条件及び前記受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する機能と、
前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する機能と、を実現させることを特徴とする超音波画像表示プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被検体に照射した超音波のエコー信号を基に、被検体の断層像を映像化する技術に係り、特に、特に微小構造物の視認性を向上させる超音波診断装置及び超音波画像表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査が行なえる。加えて、超音波診断は、X線、X線CT(Computerized Tomography)及びMRI(Magnetic Resonance Imaging)等の装置に比べて装置規模が小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行なえるなど簡便である。また、超音波診断はX線等のように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
超音波診断においては、他の装置と同様に、検査者は取得された画像から様々な診断情報を読みとっている。例えば、視認可能な腫瘍の大きさ、心筋の壁厚、もしくは心臓の動態等から、疾病の重症度などを読みとっている。超音波診断の一つに、肝臓の硬変度の診断がある。肝細胞の破壊と再生が繰り返されると肝臓内に繊維化組織が増え、次第に肝細胞数が減り、肝臓が硬く縮小した状態は肝硬変と呼ばれている。肝硬変の初期の段階は、患者の自覚症状もない上に、画像で微小な繊維化構造を観察することは難しい。しかしながら肝硬変度が高くなるに連れ、肝臓実質のスペックルパタンの不均一さが視認できるようになるため、医療現場ではこの不均一さを目視観察することで、肝硬変の度合いを判断する基準としている。
【0004】
スペックルパタンとは、無数の散乱体が超音波の解像度以下の細かさで分布しているときに、散乱波の無数の重畳によってエコー信号強度に高い部分と低い部分とが生じる現象である。この現象は、いわゆる干渉縞に近い物理現象であり、パタン自体は臓器の構造を直接に反映するものではないことは良く知られている。上記の肝硬変の観察も、スペックルパタンが繊維化組織の構造の様子を直接は反映していない。しかし、肝硬変の重症度が増すにつれて特徴的な視覚的パタンを呈し、これが診断に利用されている。
【0005】
上述のような、医師の経験的な判断による診断が人間のどのような認識パタンの下で行なわれているのか、という疑問を客観的に且つ科学的に解明しようという研究がなされている(例えば、非特許文献1,2及び3参照。)。
【0006】
非特許文献1,2及び3によれば、肝硬変の進行に伴って発生する結節と繊維化組織が徐々に大きくなってゆく過程で、超音波パルスに対しても構造物として認知されるレベルの大きさに徐々に変化してゆくため、スペックルパタンは徐々に構造物としての情報が増えていき、これにつれてパタンが徐々に変化してゆくと考察されている。このように、画像から組織性状を観察する際には、スペックルパタン自体には情報はなく、スペックルと類似した微小構造物をスペックルと分離して視認するということが重要となる。このアプローチは、「スペックルノイズ除去 (Speckle reduction)」という分野として古くから研究がなされてきた(例えば、非特許文献4参照。)。
【0007】
以上の方法に共通するのは、スペックルは構造と無関係な干渉縞であるという特徴から、平滑化フィルタ等を利用してその描画性を低め、構造物の描画性を相対的に高める、いわゆる画像フィルタとしての方法が主となっていた。
【非特許文献1】Yamaguchi T, Hachiya H, “Modeling of the Cirrhotic Liver Considering the Liver Lobule Structure”, Jpn, J. App;. Phys. Vol.38 (1999) pp. 3382−3392
【非特許文献2】大塚、山口、蜂屋:”病変肝の超音波Bモード画像のシミュレーションによる検討”, 信学技報, US96−16 (1996−06), pp.15−22
【非特許文献3】菊池恒夫、中澤敏弘 他、”超音波診断装置のエコー波形スペクトル形状による間疾患定量診断技術の開発”, 日超医基礎技術研究会, BT−2000−31, pp.9−15 (2001)
【非特許文献4】Mustafa Karaman, et al. “An adaptive speckle suppression filter for medical ultrasonic imaging”, IEEE Trans on medical imaging, vel.14, no.2 283−292 (1995)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従来の画像フィルタによるスペックルノイズ除去の手法は、比較的大きな構造物を描出する際には有用な結果が得られている。しかし、スペックルと類似した微小な構造物は、しばしばスペックルと同じように扱われて、平滑化されてしまう場合もある。これは診断目的によって有用性が異なることを意味しており、大局的な臓器の形状を診断する際は既存の画像フィルタ法が有用であるが、びまん性肝臓疾患等、臓器実質の微妙な変化を観察する場合には、画像フィルタ法では必要な情報も欠落してしまう危険性がある。
【0009】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、画像の画質を維持しながら、ターゲット(微小構造物)と不要物(スペックル)とを分離できる超音波診断装置及び超音波画像表示プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る超音波診断装置は、上述した課題を解決するために、超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示する超音波診断装置において、前記画像を表現する複数枚の部分画像間の送受信条件に差異をもたせ、前記送受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する超音波送受信部と、前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する画像再構成部と、を設ける。
【0011】
また、本発明に係る超音波診断装置は、上述した課題を解決するために、超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示する超音波診断装置において、前記画像を表現する複数枚の部分画像間の受信条件に差異をもたせ、送信条件及び前記受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する超音波送受信部と、前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する画像再構成部と、を設ける。
【0012】
本発明に係る超音波画像表示プログラムは、上述した課題を解決するために、超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示するコンピュータに、前記画像を表現する複数枚の部分画像間の送受信条件に差異をもたせ、前記送受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する機能と、前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する機能と、を実現させる。
【0013】
また、本発明に係る超音波画像表示プログラムは、上述した課題を解決するために、超音波のエコー信号を基に、被検体の断層における画像を生成して表示するコンピュータに、前記画像を表現する複数枚の部分画像間の受信条件に差異をもたせ、送信条件及び前記受信条件によって超音波の送受信を行なって前記複数枚の部分画像毎に走査線信号をそれぞれ取得する機能と、前記走査線信号を基に、前記複数枚の部分画像をそれぞれ再構成する機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る超音波診断装置及び超音波画像表示プログラムによれば、画像の画質を維持しながら、ターゲット(微小構造物)と不要物(スペックル)とを分離できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明に係る超音波診断装置及び超音波画像表示プログラムの実施形態について、添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態における被検体の診断部位(臓器)は肝臓実質を想定しているが、実際には肝臓に限らず、腎臓、心臓及び甲状腺等、様々な領域で適用可能である。
【0016】
図1は、本発明に係る超音波診断装置及び超音波画像表示プログラムの機能の実施形態を示すブロック図である。
【0017】
図1は、被検体の断層像を表示する超音波診断装置10を示す。その超音波診断装置10には、超音波プローブ11、超音波診断装置本体12、入力装置13及び表示装置14が設けられる。
【0018】
超音波プローブ11は、大きくは、超音波診断装置本体12からの駆動信号を基に超音波を発生して被検体Pからの反射波を電気信号(エコー信号)に変換する複数の圧電振動子と、その圧電振動子に設けられる整合層と、圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材とから構成される。超音波プローブ11から被検体Pに超音波が送信されると、送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ11に受信される。受信されたエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0019】
超音波診断装置本体12には、超音波送受信部21、画像処理部22、画像生成部23、画像再構成部24、表示制御部25、コンピュータ30、通信制御装置31及び外部記憶装置32が設けられる。なお、超音波診断装置本体12に設ける超音波送受信部21、画像処理部22、画像生成部23、画像再構成部24及び表示制御部25は集積回路等のハードウェアで構成される場合について説明するが、その場合に限定されるものではない。超音波送受信部21、画像処理部22、画像生成部23、画像再構成部24及び表示制御部25の全部又は一部が、ソフトウェア的にモジュール化された超音波画像表示プログラム(ソフトウェアプログラム)として機能する場合であってもよい。
【0020】
図2は、超音波送受信部21の構成を示すブロック図である。
【0021】
図2に示した超音波送受信部21には、送信ビームフォーマ41、パルサ42、プリアンプ43及び受信ビームフォーマ44が設けられる。
【0022】
送信ビームフォーマ41は、コンピュータ30(図1に示す)から指示される送信条件、例えば送信周波数、送信バースト波数、送信駆動素子数(送信開口)及び送信フォーカス(送信遅延)等に従って、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信ビームを形成するためのレートパルスを繰り返し発生させる。このとき、Bモード等の距離分解能が優先されるモードでは、広帯域の時間的に短いパルスが発生される一方、ドプラモード等の感度が優先されるモードでは、比較的狭帯域の時間的に長いパルスが発生される。
【0023】
パルサ42は、送信ビームフォーマ41によって発生されたレートパルスを受け、超音波プローブ11の圧電振動子を実際に振動させるためのパルスを発生させる。
【0024】
プリアンプ43は、超音波プローブ11からのエコー信号を、チャンネル毎に増幅する。
【0025】
受信ビームフォーマ44は、プリアンプ43によって増幅された受信信号に、コンピュータ30(図1に示す)から指示される受信条件、例えば受信周波数、受信バースト波数、受信駆動素子数(受信開口)及び受信フォーカス(受信遅延)等を与える。受信ビームフォーマ44は、その後チャンネル毎の信号を加算して、受信ビームを電子的に形成させ、走査線信号を取得する。なお、受信信号をデジタル信号に変換して遅延をかけてもよい。
【0026】
ここで、超音波診断装置10によって生成される1枚の2次元的な画像は、走査線方向の異なる複数の1次元的な走査線信号の集まりによって構成される。例えば、1枚の部分画像の生成に必要な走査線本数をNとすると、Nは200本、300本等である。
【0027】
また、図1に示した画像処理部22には、Bモード処理部22a及びドプラ処理部22bが設けられる。
【0028】
画像処理部22のBモード処理部22aは、超音波送受信部21から走査線信号を受け取り、信号対ノイズ比(S/N比)を最適にするような受信フィルタ等を施し、診断画像に必要な信号を抽出する。近年、送信波に対して2倍の高調波成分を抽出し映像化するティッシュハーモニック映像法が採用されているが、この高調波信号の抽出も、Bモード処理部22aで行なわれる。引き続きBモード処理部22aは、対数増幅及び包絡線検波処理等を施す。
【0029】
ドプラ処理部22bは、超音波送受信部21から受け取った走査線信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散及びパワー等の血流情報を多点について求める。
【0030】
画像生成部23は、例えば、複数の画像の加算平均を施す時間スムージング処理、あるいは空間的に微分処理を施すエッジ抽出処理等、操作者の好みに応じた走査線信号を生成する。又は、画像生成部23は、ドプラ画像に関しては、平均速度画像、分散画像、パワー画像及びこれらを組み合わせた走査線信号を生成する。その後、画像生成部23は、各走査線信号をデジタル変換して、走査線情報としてコンピュータ30に記憶させる。
【0031】
画像再構成部24は、コンピュータ30に1枚の部分画像を構成する全ての走査線信号が揃うと、コンピュータ30から走査線情報を読み込み、画像再構成を行なう。
【0032】
表示制御部25は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列をテレビ等に代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換して表示画像を生成する。なお、表示画像には、診断に必要なパラメータ数値、時間情報及び患者名等の情報を合成してもよい。表示制御部25は、表示画像を表示装置14に表示させる。
【0033】
コンピュータ30は、情報処理装置(計算機)としての機能を有し、超音波診断装置本体12の動作を制御する。コンピュータ30には、制御プロセッサ(CPU:Central Processing Unit)30a、内部記憶装置30b及び画像メモリ30cが設けられる。
【0034】
制御プロセッサ30aは、操作者によって入力装置13が操作されることにより指令が入力されると、内部記憶装置30bに記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU30aは、外部記憶装置32に記憶しているプログラム、ネットワークNから転送され通信制御装置31で受信されて外部記憶装置32にインストールされたプログラム等を、内部記憶装置30bにロードして実行する。
【0035】
内部記憶装置30bは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の要素を兼ね備え、IPL(Initial Program Loading)、BIOS(Basic Input/Output System)及びデータを記憶したり、制御プロセッサ30aのワークメモリや画像の一時的な記憶に用いたりする記憶装置である。ここでは、内部記憶装置30bは、プログラムや、診断情報(患者ID及び医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件等が記憶されている。
【0036】
画像メモリ30cは、RAMとして機能し、画像生成部23から受信した走査線情報を一時的に記憶する。
【0037】
通信制御装置31は、各規格に応じた通信制御を行なう。通信制御装置31は、入力装置13、外部記憶装置32及びネットワークNに関するインターフェースである。超音波診断装置本体12によって得られた画像や解析結果等は、通信制御装置31によって、ネットワークNを介して周辺装置に転送可能である。
【0038】
外部記憶装置32としては、HD(Hard Disk)等が挙げられ、外部記憶装置32は、不揮発性の半導体メモリ等によって構成される。外部記憶装置32は、超音波診断装置本体12にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(Operating System)等も含まれる)や、画像再構成部24によって再構成された画像等を記憶する記憶装置である。また、OSに、ユーザに対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置25によって行なうことができるGUI(Graphical User Interface)を提供させることもできる。
【0039】
外部記憶装置32に記憶された画像は、例えば診断の後に操作者が呼び出すことができる。その場合、表示制御部25を介して表示装置14に表示画像を表示して、画像を静止画的に表現することが可能である一方、複数枚の表示画像を使って、画像を動画的に再生することが可能である。さらに、外部記憶装置32に記憶された画像を、通信制御装置31を介してLAN(Lacol Area Network)等のネットワークNに接続された周辺装置に転送することも可能となっている。
【0040】
入力装置13は、超音波診断装置本体12に接続され、操作者からの各種指示、条件、関心領域(ROI:Region Of Interest)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を超音波診断装置本体12にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス及びキーボード等を有している。
【0041】
表示装置14は、表示制御部25からのビデオ信号に基づいて、生体内のBモード像(形態学的情報)や、ドプラ像(血流情報)を表示する。
【0042】
ここで、超音波診断装置10は、1枚の超音波画像を表現するために異なるm(m:2以上の整数)枚(mフレーム分)の部分画像(第1画像及び第2画像)をステレオグラムとして生成して表示する。以下、便宜上、ステレオグラムとして利用される部分画像を2(m=2)枚としているが、3枚以上の部分画像をステレオグラムとして利用することもできる。
【0043】
図3は、ステレオグラムの原理を説明するための図である。
【0044】
図3(a)及び(b)には家と木が描かれた画像を示し、それらの配置が微小に異なっている(ここでは簡単のため、家と木は平面的に描いている)。図3(a)に示した画像を右目で、図3(b)に示した画像を左目で見ると(交差法)、両眼の微小なずれが実際に奥行きのある物体を見る場合の視差(両眼視差)と経験上類似するため、立体的に知覚され、家が手前に、木が奥に存在するように見える。
【0045】
図4は、2枚の部分画像のステレオグラムとの関係を説明するための図である。
【0046】
図4(a)は第1の送受信条件で生成される第1画像の一部拡大図を、図4(b)は第2の送受信条件で生成される第2画像の一部拡大図をそれぞれ示している。送受信条件を異ならせて生成した2枚の部分画像間においてスペックルの位置や形状が異なることは公知であるが、超音波送受信部21によって送受信条件を微小に異ならせると、各部分画像上のスペックルの差異も微小となる。一方、各部分画像上の微小構造物に関しては、スペックルと比較して、位置や形状の差異はより微小か、あるいは差異が全くない。
【0047】
よって、2枚の部分画像を生成してステレオグラムとして表示すれば、各部分画像上でスペックルの位置が両者で微妙に異なるため、両眼視差に起因して手前面に(飛び出して)見えたり、奥面に(奥まって)見えたりする。すなわち、知覚上、ターゲットとしての微小構造物と不要物としてのスペックルとは、あたかも異なった奥行きの別の面に存在するように見える。なお、心理的に近くされる奥行き間を図5に示す。図5に示すように、両眼視差に起因して、微小構造物が手前面に、スペックルが奥面に見える。
【0048】
本発明は、2枚の部分画像をステレオグラムとして利用するために、2種類の送受信条件にて2枚の部分画像を生成するものである(図6にて説明する。)。又は、2枚の部分画像をステレオグラムとして利用するために、2種類の受信条件にて2枚の部分画像を生成するものである(図6にて説明する。)。ここで、2枚の部分画像をステレオグラムとして利用するために必要な送受信条件の差異は非常に微小であることが望ましく、単独の画像では、その変化を視認できない程度でも効果がある。換言すれば、ステレオグラムによる奥行き間は、人間にとって非常に敏感に知覚される。
【0049】
よって、超音波送受信部21によって送受信条件を微小に異ならせると、画像処理部22からは2枚の部分画像に相当する走査線信号が画像生成部23に送られるため、画像生成部23は2枚の部分画像に相当する走査線信号をほぼ同時に取得する。又は、超音波送受信部21によって受信条件を微小に異ならせると、画像処理部22からは2枚の部分画像に相当する走査線信号が画像生成部23に送られるため、画像生成部23は2枚の部分画像に相当する走査線信号をほぼ同時に取得する。そして、画像再構成部24によって再構成された2枚の部分画像を表示装置14に表示すると、部分画像の基本的な描画性をほとんど変化させること無く、スペックルと微小構造物を知覚的に分離することが可能となる。
【0050】
続いて、本発明に係る超音波診断装置10のシーケンスについて、図6に示すフローチャートを用いて説明する。
【0051】
まず、制御プロセッサ30aによって、内部記憶装置30bに記憶されたプログラムが実行されると、指示情報の入力が要求される。操作者が入力装置13を用いて指示情報を入力することによって、ステレオグラムとして有用である2(m=2)枚の部分画像を生成するための2(m=2)種類の送受信条件が設定される(ステップS1)。
【0052】
ここで、ステップS1によるm種類の送受信条件の設定は、例えば、1)送信フォーカス及び受信フォーカス、2)送信開口及び受信開口、3)音速パラメータ、に差異をもたせることで行なわれる。
【0053】
1)送信フォーカス及び受信フォーカス
超音波送受信部21によって送信フォーカス及び受信フォーカスに差異をもたせると、第1画像を構成するn(n=1,2,…,N)本目の超音波ビーム(走査線)と、第2画像を構成するn本目の超音波ビームとに差異をもたせることができる。よって、2枚の部分画像間のスペックルの様相を容易に異ならせることができる。例えば、送信フォーカス及び受信フォーカスを、深さ5cmと5.4cmとして、2枚の部分画像間の送信フォーカス及び受信フォーカスに差異をもたせる。
【0054】
2)送信開口及び受信開口
超音波送受信部21によって超音波の送信開口及び受信開口に差異をもたせると、超音波ビームの方向に差異をもたせることができる。よって、2枚の部分画像間のスペックルの様相を容易に異ならせることができる。なお、送信開口及び受信開口を異ならせる場合、送信開口及び受信開口の位置の差異はスペックルノイズ除去法で行なう場合に比べ、より微小でよい。
【0055】
図7は、超音波ビームの差異の一例を説明する図である。
【0056】
図7に示すように、垂直方向を0°とすると、第1画像を構成する超音波ビームは、超音波ビームL1(−45°),L3(−44°),…,L89(−1°),L91(0°),…,L179(44°),L181(45°)の方向に形成される。一方、第2画像を構成する超音波ビームは、L2(−44.5°),L4(−43.5°),…,L90(−0.5°),L92(0.5°),…,L180(44.5),L182(45.5°)の方向に形成される。なお、超音波ビームの形成順序は、第1画像を構成する超音波ビームL1,L3,…,L181を順に形成した後、第2画像を構成する超音波ビームL2,L4,…,L182を順に形成してもよい。しかし、ステレオグラムに有用な2枚の部分画像を生成するためには、2枚の部分画像を略同時に生成することが望ましいので、2枚の部分画像を構成する超音波ビームを交互にL1,L2,…,L181,L182の順に形成することが好適である。
【0057】
3)音速パラメータ
超音波送受信部21は、例えば音速パラメータを1540(m/秒)と1560(m/秒)として差異をもたせる。音速パラメータに差異をもたせることによって、音波を収束させる見かけ上の深さが変化するので、スペックルの異なる2枚の部分画像が生成できる。なお、ステレオグラムに有用な2枚の部分画像を生成するためには、音速パラメータを約20(m/秒)程度異ならせることが好適である。
【0058】
超音波送受信部21は、ステップS1によって設定された2種類の送受信条件のうち第1の送受信条件に従って超音波パルスを被検体Pに送波させ、第1画像を構成するn本目の送信ビームを形成させる(ステップS2)。ステップS2では、まず、送信ビームフォーマ41によって、所定のレート周波数で、超音波の送信ビームを形成するためのレートパルスを発生させる。このとき、Bモード等の距離分解能が優先されるモードでは、広帯域の時間的に短いパルスが発生される一方、ドプラモード等の感度が優先されるモードでは、比較的狭帯域の時間的に長いパルスが発生される。次いで、パルサ42は、送信ビームフォーマ41によって発生されたレートパルスを受け、超音波プローブ11の圧電振動子を実際に振動させるためのパルスを発生させる。
【0059】
続けて、超音波送受信部21は、超音波プローブ11から送られるエコー信号に対して、ステップS1によって設定された2種類の送受信条件のうち第1の送受信条件を与え、第1画像を構成するn本目の受信ビームを形成させる(ステップS3)。ステップS2では、まず、プリアンプ43によって、超音波プローブ11からのエコー信号を、チャンネル毎に増幅する。次いで、受信ビームフォーマ44によって、プリアンプ43によって増幅された受信信号に第1の送受信条件を与え、その後チャンネル毎の信号を加算して、第1画像を構成するn本目の受信ビームを電子的に形成させ、第1画像を構成するn本目の走査線信号を取得する。
【0060】
画像処理部22のBモード処理部22aは、超音波送受信部21から第1画像を構成するn本目の走査線信号を受け取り、信号対ノイズ比を最適にするような受信フィルタ等を施し、診断画像に必要な信号を抽出する。引き続きBモード処理部22aは、対数増幅及び包絡線検波処理等を施す。又は、ドプラ処理部22bは、超音波送受信部21から第1画像を構成するn本目の走査線信号を受け取り、速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散及びパワー等の血流情報を多点について求める。
【0061】
次いで、超音波送受信部21は、ステップS1によって設定された2種類の送受信条件のうち第2の送受信条件に従って超音波パルスを被検体Pに送波させ、第2画像を構成するn本目の送信ビームを形成させる(ステップS4)。続けて、超音波送受信部21は、超音波プローブ11から送られるエコー信号に対して、ステップS1によって設定された2種類の送受信条件のうち第2の送受信条件を与え、第2画像を構成するn本目の受信ビームを形成させる(ステップS5)。
【0062】
画像処理部22のBモード処理部22aは、超音波送受信部21から第2画像を構成するn本目の走査線信号を受け取り、信号対ノイズ比を最適にするような受信フィルタ等を施し、診断画像に必要な信号を抽出する。引き続きBモード処理部22Aは、対数増幅及び包絡線検波処理等を施す。又は、ドプラ処理部22bは、超音波送受信部21から第2画像に相当するn本目の走査線信号を受け取り、速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散及びパワー等の血流情報を多点について求める。
【0063】
次いで、所要の断層に関する第1画像及び第2画像の生成に必要な走査線本数の走査線情報が画像メモリ30cに記憶されているか否か、すなわち、n=Nであるか否かを判断する(ステップS6)。ステップS6の判断にてYes、すなわち、n=Nであると判断された場合、画像再構成部24は各走査線情報を基に、第1画像及び第2画像を再構成する(ステップS7)。
【0064】
表示制御部25は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列をテレビ等に代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、第1画像及び第2画像から構成される所要の断層に関する表示画像を生成する(ステップS8)。表示制御部25は、表示画像をステレオグラムとして表示装置14に表示させる(ステップS9)。
【0065】
ここで、両眼視差によって奥行き間を知覚するステレオグラムの表示方法の例として、a)液晶シャッターによる表示方法、b)立体ディスプレイによる表示方法、c)立体視眼鏡による表示方法、d)赤青フィルム眼鏡による表示方法がある。
【0066】
a)液晶シャッター方式
液晶シャッターによる表示方法は、例えば100分の1(秒)といった時間間隔で、第1画像及び第2画像を表示装置14上の左右に交互に表示し、その表示タイミングに同期して、眼鏡のレンズ部の搭載される液晶シャッターを交互にON/OFFさせる。これにより表示装置14上に交互表示される2枚の部分画像に同期して、左右それぞれの視界を開放したり閉じたりすることで、第1画像及び第2画像を1つの画像として立体的に知覚することができる。この場合、超音波診断装置本体12には、表示装置14の交互表示に同期する液晶シャッター眼鏡を設け、表示制御部25は、第1画像及び第2画像を左右交互に表示させる。
【0067】
b)立体ディスプレイによる表示方法
表示装置14として立体ディスプレイを設け、その立体ディスプレイに第1画像及び第2画像を表示させる。よって、観察者は、特別な眼鏡を着用することなしに裸眼で、第1画像及び第2画像を1つの画像として立体的に知覚することができる。この場合の装置構成は、立体ディスプレイの仕様に依存するが、基本的には第1画像と第2画像を所定の画像フォーマットに従い、逐次立体ディスプレイに送信することで達成する。
【0068】
c)立体視眼鏡による表示方法
立体視眼鏡は、観察者がプリズムで視線を曲げた眼鏡を着用し、上下又は左右に並べた2つの視差画像を、片方を左目で、もう片方を右目で見ることによって、観察者は、第1画像及び第2画像を画像として立体的に知覚することができる。立体視眼鏡は、超音波診断装置本体12や表示装置14と同期する必要がなく簡便である。この場合、超音波診断装置本体12は、第1画像及び第2画像を表示装置14上下又は左右に並列表示することで達成する。なお、立体視眼鏡による表示方法は、特に立体視眼鏡をかけず裸眼の状態でも、ある程度練習を行なえば、立体視することが可能となるので、第1画像及び第2画像を並列表示するという装置機能も本発明の一部に含まれる。
【0069】
d)赤青フィルム眼鏡による表示方法
表示制御部25は、第1画像を第1色(青)、第2画像を第2色(赤)で生成して加算表示し、表示装置14としてのカラーモニタに表示させる。観察者が、一方の目が青、他方が赤の透過フィルムで構成される眼鏡を着用することによって、第1画像を右目で、第2画像を左目で(又はその逆に)視認することができる。赤青フィルム眼鏡は立体映画上映等にも配布使用され、非常に安価に製造できるという利点がある。
【0070】
また、ステップS9によって画像が表示された後、画像の生成及び表示を終了するか否かを判断する(ステップS10)。ステップS10の判断にてYes、すなわち、画像の生成及び表示を終了すると判断された場合、シーケンスを終了する。なお、シーケンスの終了とは、入力装置13としてのFreezeボタンの入力等による超音波スキャンの停止を指す。
【0071】
一方、ステップS6の判断にてNo、すなわち、n<Nであると判断された場合、ステップS2に戻り、超音波送受信部21は、第1画像を構成する次の送信ビームを形成させる。
【0072】
また、ステップS10の判断にてNo、すなわち、画像の生成及び表示を終了しないと判断された場合、新たな断層(新たなタイミング)における画像の生成を行なうために、ステップS2に戻る。一般には動画像を表示するため、ステップS10からステップS2に戻り、ステップS2からS9の処理を繰り返し行ない、操作者から終了の指示を受けるまで新たな断層における画像の生成及び表示を繰り返す。
【0073】
なお、送受信条件を変化させてスペックルの位置を微小に変化させる際に、実際にはスペックルの左右の移動方向はランダムであり、その結果、飛び出して見えたり奥まって見えたりする(構造物は不動)。ステレオグラムを利用しているとはいえ、スペックルが奥行き感を持って見えることが重要であり、「飛び出して見える」「奥まって見える」のどちらかは重要ではない。そこで、第1画像と第2画像の表示位置を交互に入れ替えるという方法も有効となる。例えば、c)立体視眼鏡による表示方法の場合、最初のタイミングにおける2枚の部分画像を表示する際は、第1画像を右に第2画像を左に表示し、次のタイミングにおける2枚の部分画像を表示する際は、第1画像を左に第2画像を右に表示する。これを交互に繰り返す。その結果として、スペックルは飛び出して見えると同時に奥まって見え、そのフレームレートが高速の場合、近くされる距離感は曖昧になる。その一方で、構造物は位置を変えないため、はっきりと位置を認識可能となる。
【0074】
続いて、本発明に係る超音波診断装置10のシーケンスの変形例について、図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0075】
まず、制御プロセッサ30aによって、内部記憶装置30bに記憶されたプログラムが実行されると、指示情報の入力が要求される。操作者が入力装置13を用いて指示情報を入力することによって、ステレオグラムとして有用である2(m=2)枚の部分画像を生成するための2(m=2)種類の受信条件が設定される(ステップS11)。
【0076】
ここで、ステップS11による2種類の送受信条件の設定は、図6に示したシーケンスで説明したように、例えば、1)送信フォーカス及び受信フォーカス、2)送信開口及び受信開口、3)音速パラメータ、に差異をもたせることで行なわれる。
【0077】
超音波送受信部21は、送信条件に従って超音波パルスを被検体Pに送波させ、2枚の部分画像をそれぞれ構成するn本目の送信ビームを形成させる(ステップS12)。ステップS12では、まず、送信ビームフォーマ41によって、所定のレート周波数で、超音波の送信ビームを形成するためのレートパルスを発生させる。このとき、Bモード等の距離分解能が優先されるモードでは、広帯域の時間的に短いパルスが発生される一方、ドプラモード等の感度が優先されるモードでは、比較的狭帯域の時間的に長いパルスが発生される。次いで、パルサ42は、送信ビームフォーマ41によって発生されたレートパルスを受け、超音波プローブ11の圧電振動子を実際に振動させるためのパルスを発生させる。
【0078】
次いで、超音波送受信部21は、超音波プローブ11から送られるエコー信号に対して、ステップS11によって設定された2種類の受信条件のうち第1の受信条件を与え、第1画像を構成するn本目の受信ビームを形成させる(ステップS13)。ステップS13では、まず、プリアンプ43によって、超音波プローブ11からのエコー信号を、チャンネル毎に増幅する。次いで、受信ビームフォーマ44は、プリアンプ43によって増幅された受信信号に第1の受信条件を与え、その後チャンネル毎の信号を加算して、第1画像を構成するn本目の受信ビームを電子的に形成し、第1画像を構成するn本目の走査線信号を取得する。
【0079】
ステップS13とほぼ同時に、超音波プローブ11から送られるエコー信号に対して、ステップS11によって設定された2種類の受信条件のうち第2の受信条件を与え、第2画像を構成するn本目の受信ビームを形成させる(ステップS14)。
【0080】
画像処理部22のBモード処理部22aは、超音波送受信部21から第1画像及び第2画像を構成するn本目の走査線信号を受け取り、信号対ノイズ比を最適にするような受信フィルタ等を施し、診断画像に必要な信号を抽出する。引き続きBモード処理部22aは、対数増幅及び包絡線検波処理等を施す。又は、ドプラ処理部22bは、超音波送受信部21から第1画像及び第2画像を構成するn本目の走査線信号を受け取り、速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散及びパワー等の血流情報を多点について求める。
【0081】
次いで、所要の断層に関する第1画像及び第2画像の生成に必要な走査線本数の走査線情報が画像メモリ30cに記憶されているか否か、すなわち、n=Nであるか否かを判断する(ステップS15)。ステップS15の判断にてYes、すなわち、n=Nであると判断された場合、画像再構成部24は各走査線情報を基に、第1画像及び第2画像を再構成する(ステップS16)。
【0082】
表示制御部25は、一般的には、超音波スキャンの走査線信号列をテレビ等に代表される一般的なビデオフォーマットの走査線信号列に変換し、第1画像及び第2画像から構成される所要の断層に関する表示画像を生成する(ステップS17)。表示制御部25は、表示画像をステレオグラムとして表示装置14に表示させる(ステップS18)。
【0083】
ここで、両眼視差によって奥行き間を知覚するステレオグラムの表示方法の例としては、図6に示したシーケンスで説明したように、a)液晶シャッターによる表示方法、b)立体ディスプレイによる表示方法、c)立体視眼鏡による表示方法、d)赤青フィルム眼鏡による表示方法がある。
【0084】
次いで、画像の生成及び表示を終了するか否かを判断する(ステップS19)。ステップS19の判断にてYes、すなわち、画像の生成及び表示を終了すると判断された場合、シーケンスを終了する。なお、シーケンスの終了とは、入力装置13としてのFreezeボタンの入力等による超音波スキャンの停止を指す。
【0085】
一方、ステップS15の判断にてNo、すなわち、n<Nであると判断された場合、ステップS12に戻り、超音波送受信部21は、第1画像及び第2画像を構成する次の送信ビームを形成させる。
【0086】
また、ステップS19の判断にてNo、すなわち、画像の生成及び表示を終了しないと判断された場合、新たな断層における画像の生成を行なうために、ステップS12に戻る。一般には動画像を表示するため、ステップS19からステップS12に戻り、ステップS12からS18の処理を繰り返し行ない、操作者から終了の指示を受けるまで新たな断層における画像の生成及び表示を繰り返す。
【0087】
なお、図8に示したシーケンスの場合は、電子的に受信ビームのみに差異をもたせたものであるから、図6に示したシーケンスの場合と比較して半分の超音波送受信で2枚の部分画像の生成を行なうことができ、フレームレートの低下を抑制できる。加えて、1枚の画像を表現するために多数の部分画像の生成及び表示を行なう際には、フレームレートの低下の抑制が顕著である。
【0088】
本発明に係る超音波診断装置及び超音波画像表示プログラムによれば、平滑化画像フィルタのような画像加工を行なうことなしに、画像の画質を維持しながら、人間の知覚情報(視覚心理学)を利用して、ターゲット(微小構造物)と不要物(スペックル)とを分離できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明に係る超音波診断装置及び超音波画像表示プログラムの機能の実施形態を示すブロック図。
【図2】超音波送受信部の構成を示すブロック図。
【図3】(a),(b)は、ステレオグラムの原理を説明するための図。
【図4】(a),(b)は、2枚の部分画像のステレオグラムとの関係を説明するための図。
【図5】心理的に近くされる奥行き間を示す図。
【図6】本発明に係る超音波診断装置のシーケンスを示す図。
【図7】超音波ビームの差異の一例を説明する図。
【図8】本発明に係る超音波診断装置のシーケンスの変形例を示す図。
【符号の説明】
【0090】
10 超音波診断装置
11 超音波プローブ
12 超音波診断装置本体
13 入力装置
14 表示装置
21 超音波送受信部
22 画像処理部
23 画像生成部
24 画像再構成部
25 表示制御部
30 コンピュータ
32 外部記憶装置
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】東芝メディカルシステムズ株式会社
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100078765
【弁理士】
【氏名又は名称】波多野 久

【識別番号】100078802
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 俊三

【識別番号】100077757
【弁理士】
【氏名又は名称】猿渡 章雄

【識別番号】100122253
【弁理士】
【氏名又は名称】古川 潤一


【公開番号】 特開2008−181(P2008−181A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169912(P2006−169912)