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【発明の名称】 X線CTデータ収集方法およびX線CT装置
【発明者】 【氏名】萩原 明

【氏名】西澤 賢一

【要約】 【課題】直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するための投影データを確実に収集する。

【構成】X線管及びマルチ検出器を「回転」させながら「直線移動」させて「投影データ収集」を行う時に、直線移動の開始点Zsおよび終了点Zfで「回転」のみ実行し「直線移動」は実行しない滞留時間τを設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線管及びマルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに相対回転させながら撮影対象に対して相対直線移動させて投影データを収集するスキャンを行う時に、直線移動の開始点および終了点で前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しない滞留時間τを設けることを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項2】
請求項1に記載のX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τが、前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項3】
請求項2に記載のX線CTデータ収集方法において、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記滞留時間τ1より、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項4】
請求項1に記載のX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項5】
請求項4に記載のX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記テーブル静止量Tより、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記テーブル静止量Tを大きくすることを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項6】
請求項1に記載のX線CTデータ収集方法において、前記直線移動の開始点から前記直線移動の終了点までの直線移動範囲の外側のイメージを作成できる領域をイメージ拡張領域と呼ぶとき、前記滞留時間τが、前記イメージ拡張領域幅dに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項7】
請求項6に記載のX線CTデータ収集方法において、前記イメージ拡張領域の長さLがある値L1の場合の前記滞留時間τ1より、前記イメージ拡張領域幅dが前記ある値d1より大きい値d2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項8】
請求項1に記載のX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記イメージ拡張領域幅dに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項9】
請求項8に記載のX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記イメージ拡張領域幅dがある値d1の場合の前記テーブル静止量T1より、前記イメージ拡張領域幅dが前記ある値d1より大きい値d2の場合の前記テーブル静止量T2を大きくすることを特徴とするX線CTデータ収集方法。
【請求項10】
X線管と、マルチ検出器と、前記X線管及び前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに相対回転させるための回転手段と、前記X線管及び前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象に対して相対直線移動開始点から相対直線移動終了点まで相対直線移動させるための直線移動手段と、相対直線移動開始点及び/又は相対直線移動終了点で前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集し、前記相対回転および前記相対直線移動を実行しながら投影データを収集するスキャン手段と、収集した投影データを用いて前記関心領域内の所望の画像位置でのCT画像を作成する画像再構成手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置。
【請求項11】
請求項10に記載のX線CT装置において、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CT装置。
【請求項12】
請求項11に記載のX線CT装置において、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記滞留時間τ1より、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CT装置。
【請求項13】
請求項10に記載のX線CT装置において、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CT装置。
【請求項14】
請求項13に記載のX線CT装置において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記テーブル静止量Tより、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記テーブル静止量Tを大きくすることを特徴とするX線CT装置。
【請求項15】
請求項10に記載のX線CT装置において、前記直線移動開始点から前記直線移動終了点までの直線移動範囲の外側のイメージを作成できる領域をイメージ拡張領域と呼ぶとき、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記イメージ拡張領域の長さLに依存することを特徴とするX線CT装置。
【請求項16】
請求項15に記載のX線CT装置において、前記イメージ拡張領域の長さLがある値L1の場合の前記滞留時間τ1より、前記イメージ拡張領域の長さLが前記ある値L1より大きい値L2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CT装置。
【請求項17】
請求項10に記載のX線CT装置において、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記イメージ拡張領域の長さLに依存することを特徴とするX線CT装置。
【請求項18】
請求項17に記載のX線CT装置において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記イメージ拡張領域の長さLがある値L1の場合の前記テーブル静止量Tより、前記イメージ拡張領域の長さLが前記ある値L1より大きい値L2の場合の前記テーブル静止量Tを大きくすることを特徴とするX線CT装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、X線CT(Computed Tomography)データ収集方法およびX線CT装置に関し、更に詳しくは、ヘリカルスキャン(helical scan)、ヘリカルシャトル(helical shuttle)、可変ヘリカルピッチスキャン(variable helical pitch scan)等における直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するための投影データを確実に収集できるX線CTデータ収集方法およびX線CT装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヘリカルスキャンにおける直線移動範囲すなわちX線管の撮影対象に対する螺旋軸方向の相対移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するX線CT撮像方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−137389号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
CT画像を画像再構成するためには、フルリコン(full reconstraction)では360°に渡るビュー角度範囲の投影データが必要であり、ハーフリコン(half reconstraction)では例えば240°に渡るビュー角度範囲の投影データが必要である。
しかし、上記の従来技術では、直線移動の開始点と終了点で回転と直線移動とを同時に開始したり終了したりしていたため、回転速度が遅いか又は直線移動速度が速いと、直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するために必要なビュー角度範囲の投影データを収集し終わらないうちに収集可能な位置を通り過ぎてしまう問題点があった。
そこで、本発明の目的は、ヘリカルスキャン、ヘリカルシャトル、可変ヘリカルピッチスキャン等における直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するための投影データを確実に収集できるX線CTデータ収集方法およびX線CT装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の観点では、本発明は、X線管及びマルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに相対回転させながら撮影対象に対して相対直線移動させて投影データを収集するスキャンを行う時に、直線移動の開始点および終了点で前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しない滞留時間τを設けることを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
上記構成において「相対回転」とは、X線管とマルチ検出器の中間に撮影対象を置いた状態で、撮影対象を回転させないでX線管及びマルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに回転させる場合、X線管及びマルチ検出器を回転させないで撮影対象を軸回転させる場合、撮影対象を軸回転させ且つX線管及びマルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに逆回転させる場合などを含む意味である。
また、上記構成において「相対直線移動」とは、X線管とマルチ検出器の中間に撮影対象を置いた状態で、X線管及びマルチ検出器を直線移動させないで撮影対象(が乗ったテーブル)を直線移動させる場合、撮影対象(が乗ったテーブル)を直線移動させないでX線管及びマルチ検出器を直線移動させる場合、撮影対象(が乗ったテーブル)を直線移動させ且つX線管及びマルチ検出器を逆方向に直線移動させる場合などを含む意味である。
上記第1の観点によるX線CTデータ収集方法では、直線移動の開始点および終了点で回転のみ実行し直線移動は実行しない滞留時間τを設けている。このため、滞留時間τを調節することにより、回転速度が遅いか又は直線移動速度が速い場合でも、直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するために必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0005】
第2の観点では、本発明は、前記第1の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τが、前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
直線移動の速度Vによって、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な位置を通過する時間が異なってくる。
そこで、上記第2の観点によるX線CTデータ収集方法では、直線移動の速度Vに応じて滞留時間τを調節する。これにより、直線移動の速度Vが変わっても、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0006】
第3の観点では、本発明は、前記第2の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記滞留時間τ1より、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
直線移動の速度Vが速いほど、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な位置を速く通り過ぎてしまう。
そこで、上記第3の観点によるX線CTデータ収集方法では、直線移動の速度Vが速いほど滞留時間τを長くする。これにより、直線移動の速度Vが速い場合でも、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0007】
第4の観点では、本発明は、前記第1の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
1回転時間Rおよび直線移動の速度Vによって、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な位置を通過する時間が異なってくる。
そこで、上記第4の観点によるX線CTデータ収集方法では、1回転時間Rおよび直線移動の速度Vに応じて滞留時間τを調節する。これにより、1回転時間Rおよび直線移動の速度Vが変わっても、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0008】
第5の観点では、本発明は、前記第4の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記テーブル静止量Tより、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記テーブル静止量Tを大きくすることを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
1回転時間Rが遅いほど、また、直線移動の速度Vが速いほど、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な位置を速く通り過ぎてしまう。
そこで、上記第5の観点によるX線CTデータ収集方法では、直線移動の速度Vが速いほど滞留時間τを1回転時間Rで割ったテーブル静止量Tを大きくする。これにより、1回転時間Rが遅い場合でも、また、直線移動の速度Vが速い場合でも、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0009】
第6の観点では、本発明は、前記第1の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記直線移動の開始点から前記直線移動の終了点までの直線移動範囲の外側のイメージを作成できる領域をイメージ拡張領域と呼ぶとき、前記滞留時間τが、前記イメージ拡張領域幅dに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
イメージ拡張領域幅dによって、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な時間が異なってくる。
そこで、上記第6の観点によるX線CTデータ収集方法では、イメージ拡張領域幅dに応じて滞留時間τを調節する。これにより、イメージ拡張領域幅dが変わっても、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0010】
第7の観点では、本発明は、前記第6の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記イメージ拡張領域の長さLがある値L1の場合の前記滞留時間τ1より、前記イメージ拡張領域の長さLが前記ある値L1より大きい値L2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
イメージ拡張領域幅dが大きいほど、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な時間が短くなる。
そこで、上記第7の観点によるX線CTデータ収集方法では、イメージ拡張領域幅dが大きいほど滞留時間τを長くする。これにより、イメージ拡張領域幅dが大きい場合でも、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0011】
第8の観点では、本発明は、前記第1の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記イメージ拡張領域幅dに依存することを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
1回転時間Rおよびイメージ拡張領域幅dによって、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な時間が異なってくる。
そこで、上記第8の観点によるX線CTデータ収集方法では、1回転時間Rおよびイメージ拡張領域幅dに応じて滞留時間τを調節する。これにより、1回転時間Rおよびイメージ拡張領域幅dが変わっても、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0012】
第9の観点では、本発明は、前記第8の観点によるX線CTデータ収集方法において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記イメージ拡張領域幅dがある値d1の場合の前記テーブル静止量T1より、前記イメージ拡張領域幅dが前記ある値d1より大きい値d2の場合の前記テーブル静止量T2を大きくすることを特徴とするX線CTデータ収集方法を提供する。
1回転時間Rが遅いほど、また、イメージ拡張領域幅dが大きいほど、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを収集可能な時間が短くなる。
そこで、上記第9の観点によるX線CTデータ収集方法では、イメージ拡張領域幅dが大きいほど滞留時間τを1回転時間Rで割ったテーブル静止量Tを大きくする。これにより、1回転時間Rが遅い場合でも、また、イメージ拡張領域幅dが大きい場合でも、画像再構成に必要なビュー角度範囲の投影データを確実に収集することが出来る。
【0013】
第10の観点では、本発明は、X線管と、マルチ検出器と、前記X線管及び前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象の周りに相対回転させるための回転手段と、前記X線管及び前記マルチ検出器の少なくとも一方を撮影対象に対して相対直線移動開始点から相対直線移動終了点まで相対直線移動させるための直線移動手段と、相対直線移動開始点及び/又は相対直線移動終了点で前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集し、前記相対回転および前記相対直線移動を実行しながら投影データを収集するスキャン手段と、収集した投影データを用いて前記関心領域内の所望の画像位置でのCT画像を作成する画像再構成手段とを具備したことを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第10の観点によるX線CT装置では、前記第1の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0014】
第11の観点では、本発明は、前記第10の観点によるX線CT装置において、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第11の観点によるX線CT装置では、前記第2の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0015】
第12の観点では、本発明は、前記第11の観点によるX線CT装置において、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記滞留時間τ1より、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第12の観点によるX線CT装置では、前記第3の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0016】
第13の観点では、本発明は、前記第10の観点によるX線CT装置において、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記相対直線移動の速度Vに依存することを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第13の観点によるX線CT装置では、前記第4の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0017】
第14の観点では、本発明は、前記第13の観点によるX線CT装置において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記相対直線移動の速度Vがある値V1の場合の前記テーブル静止量Tより、前記相対直線移動の速度Vが前記ある値V1より大きい値V2の場合の前記テーブル静止量Tを大きくすることを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第14の観点によるX線CT装置では、前記第5の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0018】
第15の観点では、本発明は、前記第10の観点によるX線CT装置において、前記直線移動開始点から前記直線移動終了点までの直線移動範囲の外側のイメージを作成できる領域をイメージ拡張領域と呼ぶとき、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記イメージ拡張領域幅dに依存することを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第15の観点によるX線CT装置では、前記第6の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0019】
第16の観点では、本発明は、前記第15の観点によるX線CT装置において、前記イメージ拡張領域幅dがある値d1の場合の前記滞留時間τ1より、前記イメージ拡張領域幅dが前記ある値d1より大きい値d2の場合の前記滞留時間τ2を長くすることを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第16の観点によるX線CT装置では、前記第7の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0020】
第17の観点では、本発明は、前記第10の観点によるX線CT装置において、前記相対回転のみ実行し前記相対直線移動は実行しないで投影データを収集する時間である滞留時間τが、前記相対回転の1回転時間Rおよび前記イメージ拡張領域幅dに依存することを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第17の観点によるX線CT装置では、前記第8の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【0021】
第18の観点では、本発明は、前記第17の観点によるX線CT装置において、前記滞留時間τを前記相対回転の1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとするとき、前記イメージ拡張領域幅dがある値d1の場合の前記テーブル静止量T1より、前記イメージ拡張領域幅dが前記ある値d1より大きい値d2の場合の前記テーブル静止量T2を大きくすることを特徴とするX線CT装置を提供する。
上記第18の観点によるX線CT装置では、前記第9の観点によるX線CTデータ収集方法を好適に実施できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明のX線CTデータ収集方法およびX線CT装置によれば、ヘリカルスキャン、ヘリカルシャトル、可変ヘリカルピッチスキャン等における直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するための投影データを確実に収集できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図に示す実施の形態により本発明をさらに詳細に説明する。なお、これにより本発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0024】
図1は、実施例1に係るX線CT装置100を示す構成図である。
このX線CT装置100は、操作コンソール1と、寝台装置10と、走査ガントリ20とを具備している。
【0025】
操作コンソール1は、操作者の入力を受け付ける入力装置2と、画像再構成処理などを実行する中央処理装置3と、走査ガントリ20で取得した投影データを収集するデータ収集バッファ5と、投影データから再構成したCT画像を表示するCRT6と、プログラムやデータやX線CT画像を記憶する記憶装置7とを具備している。
【0026】
寝台装置10は、撮影対象を乗せて走査ガントリ20のボア(空洞部)に入れ出しするテーブル12を具備している。テーブル12は、寝台装置10に内蔵するモータで昇降および直線移動される。
【0027】
走査ガントリ20は、X線管21と、X線コントローラ22と、コリメータ23と、マルチ検出器24と、DAS(Data Acquisition System)25と、X線コントローラ22,コリメータ23,DAS25の制御を行う回転側コントローラ26と、制御信号などを前記操作コンソール1や撮影テーブル10とやり取りする制御コントローラ29と、スリップリング30とを具備している。
【0028】
図2は、データ収集処理を示すフロー図である。
ステップA1では、スキャン条件としてユーザにより設定されたパラメータを基に滞留時間τを設定する。例えば、次のようにして滞留時間τを設定する。
図3に示すように、直線移動開始点Zsより直線移動方向(往路方向)反対側にイメージ拡張領域幅dを想定し、このイメージ拡張領域幅d内に拡張的にCT画像を得たいものとする。検出器幅をWとするとき、0<d≦W/2である。
回転を開始してから滞留時間τだけ経過後に直線移動を開始し、コーンビームCBが直進を開始してから時間Tm経過後にコーンビームCBの後端が最後端拡張スライスPの位置を通過したとすると、回転を開始してからの合計経過時間Tpは、
Tp=τ+Tm
となる。1回転時間がRなら角速度は2π/Rになるので、この角速度2π/Rを合計経過時間Tpだけ積分すると、合計経過時間Tpの間の回転角度Θになる。
Θ=∫0Tp2π/R・dt=∫0τ+Tm2π/R・dt
このΘは、フルリコンなら2π、ハーフリコンなら例えば4π/3にならなくてはいけないから、
2π=∫0τ+Tm2π/R・dt
又は
4π/3=∫0τ+Tm2π/R・dt
変形して、
1=∫0τ+Tm1/R・dt …(1f)
又は
2/3=∫0τ+Tm1/R・dt …(1h)
一方、時間Tmの間の速度Vを積分すると、コーンビームCBの後端が直進開始時の位置から最後端拡張スライスPの位置まで直線移動した距離Lになる。
L=∫0TmV・dt
ところが、距離L=(W/2)−dであるから、
(W/2)−d=∫0TmV・dt …(2)
である。
(1f)又は(1h)と(2)よりTmを消去すれば、滞留時間τを計算できる。
【0029】
もし、回転や直線移動の加速時間を無視すれば、
1=(τ+Tm)/R …(1f’)
又は
2/3=(τ+Tm)/R …(1h’)
であり、
(W/2)−d=Tm・V …(2’)
なので、
1=[τ+{(W/2)−d}/V}]/R …(1f”)
又は
2/3=[τ+{(W/2)−d}/V]/R …(1h”)
となる。変形すれば、
τ=R−{(W/2)−d}/V …(3f)
又は
τ=2R/3−{(W/2)−d}/V …(3h)
となり、滞留時間τを計算できる。
【0030】
(3f)を変形し、滞留時間τを1回転時間Rで割った値をテーブル静止量Tとすると、
d=R・V・T+W/2−R・V …(4f)
となる。
図4は、速度V1、V2、V3のときの(4f)式を表す概念図である。なお、V1<V2<V3である。
【0031】
図2に戻り、ステップA2では、例えば図5の時刻t0に示すように「投影データ収集」を開始する。
ステップA3では、例えば図5の時刻t0に示すようにX線管21とマルチ検出器24の「回転」を開始する。
ステップA4では、X線管21およびマルチ検出器24のテーブル12に対する直線移動方向を往路方向(ここでは+z方向)に設定する。
ステップA5では、例えば図5の時刻t0〜t1に示すように滞留時間τ1だけ待つ。つまり、回転だけさせ、直線移動はさせないで、滞留時間τ1だけ投影データを収集する。
【0032】
ステップA6では、例えば図5の時刻t1に示すようにテーブル12の「直線移動」を開始する。
ステップA7では、テーブル12が例えば図5に示す終了点Zfに達するまで、回転および直線移動させて投影データを収集する。テーブル12が例えば図5の時刻t4に示す終了点Zfに達したらステップA8へ進む。
ステップA8では、例えば図5の時刻t4に示すようにテーブル12の「直線移動」を終了する。
ステップA9では、例えば図5の時刻t4〜t6に示すように滞留時間τ1だけ待つ。つまり、回転だけさせ、直線移動はさせないで、滞留時間τ1だけ投影データを収集する。
ステップA10では、予定のデータ収集が終了してないならステップA11へ進み、終了したならステップA12へ進む。
【0033】
ステップA11では、テーブル12の移動方向を反転する。そして、ステップA6に戻ってデータ収集を継続する。すなわち、前回の終了点を今回の開始点とし、前回の開始点を今回の終了点とし、前回と反対方向にテーブル12を直線移動させながら投影データを収集する。
【0034】
ステップA12では、例えば図5の時刻t9に示すようにX線管21とマルチ検出器24の「回転」を終了する。
ステップA13では、例えば図5の時刻t10に示すように「投影データ収集」を終了する。
【0035】
図6は、図5と速度Vだけが異なる条件での「投影データ収集」と「回転」と「直線移動」と「X線管21およびマルチ検出器24の位置」を表すタイムチャートである。
速度V1<V2であるため、滞留時間τ2>τ1になる。
【0036】
図7は、X線管21およびマルチ検出器24の直線移動の往復を繰り返した場合に得られる通常のCT画像および拡張CT画像に対応する時間とスライス位置を示す概念図である。
【0037】
実施例1のX線CT装置100によれば、直線移動範囲より外側のスライス位置でのCT画像を画像再構成するための投影データを確実に収集することが出来る。
【実施例2】
【0038】
実施例1ではイメージ拡張領域幅dおよび1回転時間Rが同じで速度Vを変えた場合について説明したが、イメージ拡張領域幅dを変える場合および1回転時間Rを変える場合にも実施例1と同様に(1f)又は(1h)と(2)より滞留時間τを計算できる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明のX線CTデータ収集方法およびX線CT装置は、例えば Perfusion CTに利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】実施例1にかかるX線CT装置を示す構成図である。
【図2】実施例1にかかるデータ収集処理を示すフロー図である。
【図3】イメージ拡張領域幅dを示す説明図である。
【図4】テーブル静止量T=τ/Rとイメージ拡張領域幅dと速度Vと滞留時間τの関係を示すグラフである。
【図5】「投影データ収集」と「回転」と「直線移動」と「X線管およびマルチ検出器の位置」を表すタイムチャートである。
【図6】図5と速度Vだけが異なる条件での「投影データ収集」と「回転」と「直線移動」と「X線管およびマルチ検出器の位置」を表すタイムチャートである。
【図7】直線移動の往復を繰り返した場合に得られる通常のCT画像および拡張CT画像に対応する時間とスライス位置を示す概念図である。
【符号の説明】
【0041】
1 操作コンソール
2 入力装置
3 中央処理装置
5 データ収集バッファ
6 CRT
7 記憶装置
10 寝台装置
12 テーブル
20 走査ガントリ
21 X線管
24 マルチ検出器
26 回転側コントローラ
29 制御コントローラ
100 X線CT装置
【出願人】 【識別番号】300019238
【氏名又は名称】ジーイー・メディカル・システムズ・グローバル・テクノロジー・カンパニー・エルエルシー
【出願日】 平成18年6月20日(2006.6.20)
【代理人】 【識別番号】100095511
【弁理士】
【氏名又は名称】有近 紳志郎


【公開番号】 特開2008−168(P2008−168A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−169616(P2006−169616)