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【発明の名称】 モップ用払拭体
【発明者】 【氏名】中谷 馨

【要約】 【課題】もつれ防止用の布テープ材が固着された平面束を備えているにも拘わらず、平面束が撓みやすく払拭性能のよいモップ用払拭体の提供。

【構成】モップ用払拭体1は、並列する多数の払拭条2,2,2,・・・を平面状に束ねてなる2つの平面束5A,5Bを積重し、積重した平面束5A,5Bの払拭条長手方向(矢印S方向)の略中央部(1点鎖線Cで示す位置)を、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部6に固着し、柄装着用帯部6の両側において積重された上下に隣合う平面束5A,5Bの束間に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材8,8をそれぞれ配置して前記隣合う平面束5A,5Bに固着したものである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
並列する多数の払拭条を平面状に束ねてなる平面束を複数束積重し、積重した複数の平面束の払拭条の末端部を、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部に固着し、隣合う平面束の束間に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材を配置して前記隣合う平面束に固着したことを特徴とするモップ用払拭体。
【請求項2】
並列する多数の払拭条を平面状に束ねてなる平面束を複数束積重し、積重した複数の平面束の払拭条長手方向略中央部を、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部に固着し、柄装着用帯部の両側において積重された隣合う平面束の束間に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材をそれぞれ配置して前記隣合う平面束に固着したことを特徴とするモップ用払拭体。
【請求項3】
払拭条を多数回巻き回して扁平コイル状に形成された扁平コイル条体の、コイル内における払拭条長手方向略中央部から1対の杆体までの両側位置に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材をそれぞれ配置して扁平コイル条体に固着する工程を経たのち、扁平コイル条体の払拭条長手方向両端部を切断するコイル条体切断工程と、扁平コイル条体の払拭条長手方向略中央部に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部を固着する柄装着用帯部固着工程とを備えていることを特徴とする請求項2に記載されたモップ用払拭体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、床面などの払拭作業に用いるモップ用の払拭体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のモップ用払拭体としては図8および図9に示したものが知られている。各図に示したモップ用払拭体51は、並列する多数の払拭条2,2,2,・・・を平面状に束ねた平面束5Aを有している。平面束5Aの払拭条長手方向(矢印S方向)の略中央部には、例えばアクリル布製の柄装着用帯部6が払拭条長手方向と略直交する方向に延在して配置され、縫目7で示すように平面束5Aと一体に縫着されている。払拭条2は、その柄装着用帯部6近傍部分が末端部3であり、先端部分が自由端4となっている。このモップ用払拭体51は、柄装着用帯部6がモップ柄52付きの挟持具53で挟持されて床拭き作業などに使用される。
【0003】
ところで、モップ用払拭体が柄装着用帯部6と平面束5A,5Bだけで構成されている場合は、床拭き作業時や洗濯時に平面束5A,5Bの払拭条2,2,2,・・・がもつれてしまう。このような場合、もつれた払拭条2,2,2,・・・を櫛で解くことが考えられるが、櫛で解く作業は極めて面倒であり櫛で解けないことも多々ある。
そこで、モップ用払拭体51では、平面束5Aの払拭条2の末端部3から自由端4までの途中位置に、2枚の布テープ材8,8がそれぞれ払拭条長手方向と略直交する方向に配置されて平面束5Aを挟んでいる。布テープ材8,8は縫目7で示すように平面束5Aと一体に縫着されている。これにより、床拭き作業時や洗濯時に払拭条2,2,2,・・・のもつれや絡まりを抑制して、作業効率と払拭体寿命の向上化を図るようにしている。前記のように平面束の両側面に布テープ材を固着してなるモップ用払拭体は、例えば下記の特許文献1に開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−166857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一般にモップ用払拭体に使用される布テープ材は、糸条や紐条のもつれを抑制するために糸条や紐条よりも硬い素材のものが採用される。また、モップ用払拭体51では1つの平面束5Aにつき2枚の布テープ材8が使用されている。そのために、床拭き作業や洗濯の際に平面束が払拭条長手方向と略直交の方向に撓みにくい。また、布テープ材8の外面Hは周囲の払拭条2,2,2,・・・よりも内向きに陥没した状態となっている。これらに起因して、布テープ材8の外面Hが床面などに接触しにくいことから払拭に寄与していない。すなわち、床拭き作業により払拭条2,2,2,・・・が汚れたにも拘わらず、布テープ材8の外面Hは比較的清浄であった。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題点に鑑みてなされたものであって、もつれ防止用の布テープ材が固着された平面束を備えているにも拘わらず、平面束が撓みやすく払拭性能のよいモップ用払拭体の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係るモップ用払拭体は、並列する多数の払拭条を平面状に束ねてなる平面束を複数束積重し、積重した複数の平面束の払拭条の末端部を、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部に固着し、隣合う平面束の束間に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材を配置して前記隣合う平面束に固着した構成にしてある。
【0008】
また、並列する多数の払拭条を平面状に束ねてなる平面束を複数束積重し、積重した複数の平面束の払拭条長手方向略中央部を、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部に固着し、柄装着用帯部の両側において積重された隣合う平面束の束間に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材をそれぞれ配置して前記隣合う平面束に固着したものである。
【0009】
そして、本発明の請求項2に係るモップ用払拭体の製造方法は、払拭条を多数回巻き回して扁平コイル状に形成された扁平コイル条体の、コイル内における払拭条長手方向略中央部から1対の杆体までの両側位置に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材をそれぞれ配置して扁平コイル条体に固着する工程を経たのち、扁平コイル条体の払拭条長手方向両端部を切断するコイル条体切断工程と、扁平コイル条体の払拭条長手方向略中央部に、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部を固着する柄装着用帯部固着工程とを備えているものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係るモップ用払拭体によれば、隣合う平面束が1枚の布テープ材で固着されているので、従来技術と比べて平面束が布テープ材の長手方向に撓みやすくなる。これにより、布テープ材固着位置の外面領域が床面と接触しやすくなって床面を確実に擦ることができる。加えて、布テープ材固着位置の外面領域には払拭条が表出しているため、この外面領域による払拭性能を向上化させることもできる。
【0011】
また、柄装着用帯部を中心としてその両側に、複数の平面束がそれぞれ積重配置され、積重されて隣合う平面束の束間に、布テープ材がそれぞれ配置されて前記隣合う平面束に固着された構成の場合は、柄装着用帯部の両側の積重平面束を同時に使用できるので、保水量の多いモップ用払拭体を提供することができる。
【0012】
そして、本発明に係るモップ用払拭体の製造方法によれば、払拭条を巻いてなる扁平コイル条体のコイル内に、布テープ材を配置して扁平コイル条体に固着したのち、扁平コイル条体の払拭条長手方向両端部を切断する工程と、扁平コイル条体の払拭条長手方向略中央部に柄装着用帯部を固着する工程とを経るようにしたので、カッター刃などに代表される切断手段やミシンなどに代表される固着手段といった簡素な構成を用いて簡単な操作を行なうだけで請求項2に記載のモップ用払拭体を容易に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の最良の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下に述べる実施形態は本発明を具体化した一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものでない。ここに、図1は本発明の一実施形態に係るモップ用払拭体の外観図、図2は前記モップ用払拭体を折り畳んで重ねた状態の一部断面を含む側断面図である。但し、図8および図9に示した従来のモップ用払拭体51と同一の構成要素には、同一の符号を付すとともにその詳細な説明を省略することがある。
各図において、この実施形態に係るモップ用払拭体1は、1点鎖線C(図1)の方向に沿って並列する多数の払拭条2,2,2,・・・を平面状に束ねた2束の平面束5A,5Bを備えている。これらの平面束5A,5Bは上下に積重されている。
【0014】
重ね合わされた平面束5A,5Bの払拭条長手方向(矢印S方向、以下同じ)の略中央部(1点鎖線Cが通る部分)には、例えばアクリル布製の柄装着用帯部6が払拭条長手方向と略直交する方向(1点鎖線C方向)に延在して巻きつけられたのち縫製により平面束5A,5Bと一体に固着されている。符号7は縫製による縫目を示している(以下同じ)。この場合、払拭条2の柄装着用帯部6近傍部分が末端部3であり、先端部分が自由端4となっている。柄装着用帯部6の両側において、払拭条2の末端部3から自由端4までの途中位置であって隣合う平面束5A,5Bの束間には、払拭条長手方向と略直交する方向に延在する布テープ材8,8がそれぞれ装入配置されている。装入された布テープ材8,8はそれぞれ縫製により平面束5A,5Bとともに一体に固着されている。尚、構成をわかりやすくするために、布テープ材8の端部は平面束5A,5Bの束間から露出した形態で図示(図1)してある。但し、モップ用払拭体の実施品において、平面束5A,5Bの束間から飛び出した布テープ材8の端部は、平面束5Aまたは平面束5Bの外側に折り返されて平面束5Aまたは平面束5Bの内層へ差し込まれたのちに一体に縫着されるという末端処理が施されている。そして、上記の払拭条2は例えば50〜60本の30番綿糸を撚り合せた紐条からなっており、このモップ用払拭体1では平面束1束につき約500本の紐条が使用されている。
【0015】
上記のように構成されたモップ用払拭体1は、柄装着用帯部6が1点鎖線Cで示す位置で折り返されて使用される。すなわち、モップ用払拭体1は、折り返された状態の柄装着用帯部6がモップ柄52付きの挟持具53で挟持され、モップとして床拭き作業などに使用される。このモップ用払拭体1においては、2つの平面束5A,5Bが1枚の布テープ材8で固着されているので、従来のモップ用払拭体51(図8,9)と比べて平面束5A,5Bが1点鎖線Cに沿う方向に撓みやすくなる。従って、モップ用払拭体1における布テープ材8の固着位置の外面領域Gが床面を確実に擦ることができる。加えて、前記外面領域Gには払拭条2,2,2,・・・が表出しているため、この外面領域Gによる拭き取り性能も向上する。因みに、払拭作業後に前記外面領域Gの払拭条2,2,2,・・・は著しく汚れていた。これらより、モップ用払拭体1はビル清掃などの業務用モップ払拭体として好適に使用することができる。
【0016】
上記のモップ用払拭体1は、図3および図4に示したように製造される。まず、平行に離間配置された1対の杆体9,9間に、払拭条2が多数回巻き回されることにより扁平コイル条体Aが形成される(扁平コイル条体形成工程)。扁平コイル条体Aの払拭条2は杆体軸心方向(矢印F方向)に螺進するように巻き回される。そして、扁平コイル条体Aのコイル内B(上側の払拭条2Aと下側の払拭条2Bとの間)であって、払拭条長手方向(矢印S方向)の略中央部(1点鎖線Cで示す位置)から両側の杆体9,9までの途中位置に、布テープ材8,8がそれぞれ払拭条長手方向と略直交する方向に配置される(図4(a)参照)。前記のように配置された布テープ材8,8と扁平コイル条体Aとがミシン10で縫製により一体に固着される(布テープ材固着工程、同図(b)参照)。
【0017】
次に、扁平コイル条体Aの払拭条2の両端部2E,2Eが杆体9,9近傍位置で切断装置11によりそれぞれ切断される。切断装置11としては、刃を用いるものでもレーザ光を用いるものでも構わない。これにより、払拭条2,2,2,・・・は直線状となり、それぞれの切断部分が自由端4,4,4,・・・となる(扁平コイル条体切断工程、同図(c)参照)。直線状となった払拭条2,2,2,・・・は払拭条長手方向の略中央部分に柄装着用帯部6があてがわれる。柄装着用帯部6はミシン10で縫製により払拭条2,2,2,・・・に一体に固着される(柄装着用帯部固着工程、同図(d)参照)。このようにして、上側の払拭条2A,2A,2A,・・・が平面束5Aとなり、下側の払拭条2B,2B,2B,・・・が平面束5Bとなって、モップ用払拭体1が完成する。すなわち、モップ用払拭体1は杆体9,9、ミシン10、および切断装置11といった簡素な構成と簡単な操作手順により製造することができる。
【0018】
上記した扁平コイル条体Aは1対の杆体9,9を用いることにより容易に形成することができる。また、扁平コイル条体Aは杆体9,9の存在により布テープ材8,8を容易に装入できる広いコイル内Bの空間を確保することができ、布テープ材8,8はそれらの装入位置で位置ズレすることなく安定して保持される。
【0019】
尚、上記の製造方法では、1対の杆体9,9を用いて扁平コイル条体Aを形成するようにしたが、この扁平コイル条体形成工程を省略し、外部から入手した出来合いの扁平コイル条体Aを用いることも可能である。また、上記では、布テープ材固着工程を経たのちに扁平コイル条体切断工程を実施し、次に柄装着用帯部固着工程を実施するようにしたが、本発明においては、布テープ材固着工程の後に柄装着用帯部固着工程を実施し、その後扁平コイル条体切断工程を実施するようにしても構わない。
【0020】
そして、図5および図6に示すように、モップ用払拭体1の構成における柄装着用帯部6の上下面に、払拭条長手方向と略直交する方向の筒部12,12を設けたモップ用払拭体1aも本発明に含まれる。このモップ用払拭体1aでは、上側に配置した筒部12の筒開口13からパイプ材14を筒内に装入し、パイプ材14を装入した筒部12の外側面をモップの挟持具53で挟持させて使用するようになっている。
【0021】
また、図7に示すように、平面束5A,5Bを構成する直線状の払拭条2,2,2,・・・の末端部3,3,3,・・・を払拭条長手方向と略直交する方向に延在する柄装着用帯部6で固着し、これら2束の平面束5A,5Bの束間に1枚の布テープ材8を払拭条長手方向と略直交の方向に装入し縫製などで固着してなるモップ用払拭体1bも本発明に含まれる。このモップ用払拭体1bは保水量がモップ用払拭体1,1aと比べて小さいが、構成が簡素であり布テープ材8の固着位置の外面領域G,Gにおける払拭性能も見劣りしない。
【0022】
そして、本発明に用いる払拭条、柄装着用帯部、布テープ材の材質、構造は上記した例に限るものでない。また、積重される平面束の数は上記した2束に限らず、3束以上でも構わない。また、上記したモップ用払拭体1,1a,1bでは、平面束5A,5Bを構成する払拭条2の自由端4として切断端の例を示したが、本発明はそれに限定されない。例えば、ループ状の自由端を有する払拭条で構成された平面束を有するモップ用払拭体(図示省略)も本発明に含まれる。かかるループ状の自由端を有する平面束は、例えば扁平コイル条体から製造する場合(図4参照)に、切断装置を用いることなく扁平コイル条体のループ部を残すことにより得られる。無論、ループ状の自由端を有するモップ用払拭体を得る方法は図4に示した製造方法に限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の一実施形態に係るモップ用払拭体の外観図である。
【図2】前記モップ用払拭体を折り畳んで重ねた状態の一部断面を含む側断面図である。
【図3】前記モップ用払拭体を製造する態様を示す概略斜視図である。
【図4】前記モップ用払拭体を製造する手順を示し、(a)は図3に対応して側面から見た説明図、(b)は扁平コイル条体と2つの布テープ材とを固着した状態を示す説明図、(c)は2つの布テープ材外方の両端位置で扁平コイル条体を切断した状態を示す説明図、(d)は2つの布テープ材間の平面束に柄装着用帯部を固着した状態を示す説明図である。
【図5】本発明の別の実施形態に係るモップ用払拭体の外観図である。
【図6】前記別のモップ用払拭体を使用する態様を示す部分側断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るモップ用払拭体の一部断面を含む側断面図である。
【図8】従来のモップ用払拭体をモップ柄に取り付けた状態を示す外観図である。
【図9】前記従来のモップ用払拭体の一部断面を含む側断面図である。
【符号の説明】
【0024】
1,1a,1b モップ用払拭体
2 払拭条
2E 両端部
3 末端部
5A,5B 平面束
6 柄装着用帯部
8 布テープ材
10 ミシン
11 切断装置
A 扁平コイル条体
B コイル内
C 1点鎖線
G 外面領域
S 矢印
【出願人】 【識別番号】591188310
【氏名又は名称】中谷 馨
【出願日】 平成18年8月25日(2006.8.25)
【代理人】 【識別番号】100076406
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 勝徳


【公開番号】 特開2008−48959(P2008−48959A)
【公開日】 平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願番号】 特願2006−229304(P2006−229304)