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【発明の名称】 電気掃除機
【発明者】 【氏名】小前 草太

【氏名】星崎 潤一郎

【氏名】古橋 拓也

【氏名】竹内 史朗

【氏名】酒井 大輔

【氏名】前田 剛志

【氏名】北古味 壮

【氏名】関口 剛徳

【要約】 【課題】集塵部に堆積した塵埃から発する不快臭を高効率で除去し、かつ圧力損失による集塵効率の低下を最小限に抑制する臭気除去手段を備えた電気掃除機を提供する。

【構成】吸引口部3は、吸引ホースとの接続口を有する。また、集塵部4は、吸引口部3に連通し、所定の大きさ以上の塵埃を捕集する金属メッシュ5を有する。また、HEPAフィルタ収納部16は、集塵部4に連通し、前記所定の大きさより小さい塵埃を捕集するHEPAフィルタ7を有する。吸引動力部9は、HEPAフィルタ収納部16に連通し、排気流を吸引して外部に排気する。脱臭部2は、吸引口部3、集塵部4、HEPAフィルタ収納部16、および吸引動力部9で構成される風路を通過する排気流の主流が直接脱臭部2を通過することで発生する圧力損失を極力抑制するように、風路の壁面に形成された凹部に収納された状態で設けられている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引ホースとの接続口を有する吸引口部と、
この吸引口部に連通し、塵埃を捕集する集塵部と、
この集塵部に連通し、塵埃を外気と共に吸引して外部に排出する吸引動力部と、
前記集塵部によって捕集された塵埃から発生する臭気を吸収する脱臭部と、を備え、
この脱臭部は、前記吸引口部、前記集塵部、および前記吸引動力部で構成される風路を流れる風の主流が通過しない位置に設けられることを特徴とする電気掃除機。
【請求項2】
前記集塵部と前記吸引動力部との間の風路に、前記集塵部で捕集できなかった塵埃を捕集するフィルタを有することを特徴とする請求項1記載の電気掃除機。
【請求項3】
前記風路の壁面は凹部を有し、
前記脱臭部は、前記凹部に収納されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電気掃除機。
【請求項4】
前記脱臭部の一方の面は、前記風路の壁面と同一の高さであることを特徴とする請求項3記載の電気掃除機。
【請求項5】
前記吸引口部は、吸引ホースとの接続口である入口と、水平断面が前記入口の開口面と垂直な開口面を持つ出口と、を有し、
前記脱臭部は、前記出口と対向する風路壁面に設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項6】
前記脱臭部は、前記吸引口部の出口と対向する位置に通風可能な状態で設置され、
前記吸引口部は、前記出口と対向する方向に前記脱臭部と外部とを連通する脱臭部清浄用風路と、この脱臭部清浄用風路の外気吸込み口に設けられ前記吸引動力部の停止時に外気を吸込み前記脱臭部を通気して前記出口の方向へ送風する送風機構と、を備えたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項7】
前記吸引口部は、前記脱臭部清浄用風路の外気吸込み口に開閉機構を備え、
この開閉機構は、前記吸引動力部の稼働時には閉じ、前記吸引動力部の停止時には開くことを特徴とする請求項6記載の電気掃除機。
【請求項8】
前記吸引口部は、前記脱臭部清浄用風路の前記脱臭部と前記送風機構の間に、前記脱臭部に対しイオンを放出するイオン放出部を備えたことを特徴とする請求項5または請求項7に記載の電気掃除機。
【請求項9】
前記イオン放出部は、イオン放出の際に放電あるいは紫外光を用いることを特徴とする請求項8記載の電気掃除機。
【請求項10】
前記集塵部は、前記吸引口部の出口と連通する入口と、この入口の開口面と同一面内に開口面を持つ出口とを有し、
前記脱臭部は、前記集塵部の出口と垂直な風路壁面に設けられることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項11】
前記集塵部は、脱着可能な集塵袋を備えたことを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項12】
前記集塵袋は、内層に化学添着剤、活性炭の少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項11記載の電気掃除機。
【請求項13】
前記脱臭部の形状がハニカム状、コルゲート状、四角状等の開口部を有する、あるいは繊維状であることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項14】
前記脱臭部が細孔構造を有する多孔体材料であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項15】
前記脱臭部は、メソ孔あるいはミクロ孔構造を有することを特徴とする請求項14記載の電気掃除機。
【請求項16】
前記脱臭部は、ゼオライト、活性炭、シリカのいずれかの1種類以上を含むことを特徴とする請求項15記載の電気掃除機。
【請求項17】
前記脱臭部は、酸性、塩基性、アルデヒドを化学結合により吸着する化学吸着剤の1種類以上を繊維に添着して構成されることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項18】
前記脱臭部は、触媒作用をもつ金属酸化物、貴金属のいずれかまたは両方を有する請求項14〜17のいずれかに記載の電気掃除機。
【請求項19】
前記脱臭部は、一方の面が開口したケースに収納かつ固定され、
前記脱臭部を収納したケースは、前記吸引口部の所定位置に脱着可能に固定されることを特徴とした請求項1〜18のいずれかに記載の電気掃除機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、塵埃から発生し、起動時(稼働開始時)に排気と共に室内などの外部に放出される不快臭を低減する手段を有した電気掃除機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気掃除機の集塵部に集塵された塵埃が不快臭の発生源となり、電気掃除機の停止時に機内に不快臭が滞留する。滞留した不快臭は電気掃除機の起動時に排気流と共に電気掃除機の外に放出される。この不快臭の低減のため、従来は排気口部や集塵室の後段といった、吸引風(電気掃除機内部を流れる風)の主流が通気する風路(以下、通風路ということもある)内に脱臭フィルタを搭載する構成が提案されている。 (例えば、特許文献1、2参照)
なお、主流とは、吸引風の主な流れを示すものであり、拡散や渦流により上記吸引風の主な流れから離散していく一部の風の流れを含まないことを意味する。
【0003】
【特許文献1】特開平5-95870号公報(図1、段落0008、0010)
【特許文献2】特許第3238055号(図1、図2、段落0022)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような、通風路に脱臭フィルタを搭載する方法では、吸引風量が大きいため脱臭フィルタと不快臭を含有する排出空気との接触時間が短く脱臭効果が小さい。また、吸引風が脱臭フィルタを通過するため、圧力損失が増加して集塵効率が低下するといった課題があった。
【0005】
本発明は、係る課題を解決するためになされたもので、塵埃から発する不快臭を高効率で除去でき、かつ圧力損失による集塵効率の低下を最小限に抑えられる臭気除去手段を備えた電気掃除機を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電気掃除機は、吸引ホースとの接続口を有する吸引口部と、吸引口部に連通し、塵埃を捕集する集塵部と、集塵部に連通し、塵埃を含む空気を吸引して外部に排出する吸引動力部と、集塵部によって捕集された塵埃から発生する臭気を吸収する脱臭部と、を備え、脱臭部は、吸引口部、集塵部、および吸引動力部で構成される風路を流れる風の主流が通過しない位置に設けられるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、吸引口部、集塵部、HEPAフィルタ収納部、吸引動力部で構成される風路の壁面に脱臭部を設けたので、従来と異なり風路を通過する吸引風の主流が脱臭部を直接通過することで発生する圧力損失がなく、集塵効率の低下を抑制でき、なお且つ、電気掃除機の停止時に集塵部内に堆積した塵埃から発生し拡散した不快臭を脱臭部によって除去することで前記掃除機内に不快臭が滞留することを防ぎ、吸引動力の起動時に排出される不快臭を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
実施の形態1.
図1は本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示す上面断面図、図2は前記電気掃除機の側面断面図であり、A−A'断面図である。掃除機本体1は、吸引ホース(図示せず)との接続口である入口と、この入口と水平断面が互いに垂直な開口部を持つ出口とを備えている吸引口部3と、
入口と出口の二つの開口部を同一の面に備え、入口が吸引口部3の出口と連通しており、出口を塞ぐ金属メッシュ5を備えた集塵部4と、
集塵部4の出口と連通した入口と、この入口と水平断面が互いに垂直な開口面を持つ出口とを備え、長手方向の背面が出口を覆う形で設置されているHEPAフィルタ(High Efficiency Particulate Air Filter)7を収納するHEPAフィルタ収納部10と、
モータで駆動されて外気を吸引し、外部空間へ排出する吸引動力部9とで構成される。
なお、HEPAフィルタについては、JIS Z 8122によって、「定格風量で粒径が0.3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子捕集率をもち、かつ初期圧力損失が245Pa以下の性能をもつエアフィルタ」と規定されており、本発明においてもこの規定に従ったものを利用している。実施の形態1については、微小な塵埃が集塵室で捕集しきれず、排気に含まれる悪臭が増加するため、HEPAフィルタ7を設置し、残存している塵埃を除去することが望ましい。
【0009】
吸引動力部9の稼働により発生する吸引風の風上側から風下側に向かって吸引口部3、集塵部4、HEPAフィルタ収納部16、吸引動力部9が順次配置され、吸引風流れる通風路を形成している。なお、通風路は、前記通風路以外に分岐路を有していても良く、分岐路は集塵部4を通らずHEPAフィルタ7に直接繋がっていても良いが、必ず金属メッシュ等の圧損体を有しているものとする。
上記に示される電気掃除機において、脱臭部2は吸引時に通風路内の吸引風の圧力損失が発生しないように吸引風の主流が通気しない位置に設置することが望ましい。例えば、脱臭部2は、図1に示すように、水平断面において吸引口部3の入口の開口面に垂直な位置であり、かつ吸引口3の出口(この出口は吸引口3の入口と垂直な位置関係にある)開口面と対向する位置であり、さらに吸引口3の出口開口面と自分(脱臭部2)の一方の面との間に吸引口3の入口を挟み、かつ吸引口3の入口にかからない位置に、脱着可能な状態で設置されている。また、風路の壁面に凹部を設け、脱臭部2をこの凹部に収納してもよい。この場合、脱臭部2が風路の壁面から張り出していると、張り出した部分が排気流の主流に当たるので、排気流の圧力損失が発生して吸引性能の劣化を招く。また、凹部に収納されている脱臭部2の一方の面が風路の壁面よりも凹んでいると、凹んでいる部分に塵埃が堆積し、脱臭部2の性能劣化を招く。従って、このような問題を解消するために、脱臭部2の一方の面を風路壁面の高さに合うように脱臭部2を凹部に取り付けるのが好ましい。
なお、上記の条件を満たすような位置であれば、図1および図2に限らず、図3および図4(図3のB−B'断面図)に示すように脱臭部2を吸引口部3の風路上部の凹部に収納しても良いし、図5および図6(図5のC−C'断面図)に示すように脱臭部2を集塵部4の風路上部の凹部に収納しても良いし、図7および図8(図7のD−D'断面図)に示すように吸引口部3の入口(吸引ホース接続口近傍)の上面、側面、下面のいずれの凹部に収納しても良い。
図9は本発明に係る電気掃除機で用いられる脱臭部2の構成を示す図である。図9に示すように脱臭部2はケース10に収納された状態で固定される。この脱臭部12が収納されたケース10を通風路の壁面または凹部にセットしてネジまたはケースと一体で成形された爪具により固定することで、脱臭部12を着脱自在に設置することができる。なお、脱臭部2はコルゲート状、ハニカム状、四角状または繊維状等の広い表面積を有する形状であることが望ましく、ゼオライト、活性炭、シリカゲル等のメソ孔(直径2〜50nmの小孔)あるいはミクロ孔(直径0.2〜0.5nmの小孔)を有する多孔質吸着剤、酸化マンガン、酸化チタン等の遷移金属を中心とした細孔構造を有する多孔質金属酸化物、および白金、パラジウム等の貴金属のうち1種類以上が担持されたペーパーセラミックもしくはコージェライト等からなるのが望ましい。ケース10は吸引口部3の底部に容易に脱着可能となるよう、爪、ネジ等で固定され、脱臭部2を固定する役割を果たす。金属メッシュ5は集塵部4の出口開口面を覆うように取り付けられている。
【0010】
次に、実施の形態1の動作について説明する。
上記図1に示す構成の電気掃除機では、吸引動力部9の起動時に、図示しない吸引ホースからの吸引風が吸引口部3、集塵部4、HEPAフィルタ7を順次流通し、吸引風に含まれる粗大な塵埃が金属メッシュ5に捕集され、集塵部4に蓄積される。金属メッシュ5で捕集されなかった微小な塵埃はHEPAフィルタ7によって捕集され、吸引動力部9には達しない。このとき集塵部4に蓄積された粗大な塵埃には食べ物のカスや毛髪やフケさらにはこれらに付着するダニやその死骸などが含まれており、吸引動力部9が稼動してない状態の時に、酸化や微生物による分解が進み不快臭を発生する。特に温度および湿度の高い夏や梅雨の季節には不快臭の発生は著しくなる。仮に脱臭部2がないと、発生した不快臭により、集塵部4とそれ以外の場所には不快臭の濃度勾配が生み出され、濃度平衡となるよう掃除機本体1の中を滞留する。このとき不快臭は、圧損体として働いている金属メッシュ5やHEPAフィルタ7に拡散を妨げられるため、拡散の妨げがない風上側に位置する、吸引口部3へと向かって拡散する。このように滞留した不快臭は吸引動力部9を再稼動させた際に、排気臭となり掃除機の外部に放出され、使用者に不快感を与える原因となる。
【0011】
そこで、本実施の形態1における電気掃除機では、集塵部4と連通する吸引口部3内(図1および図2)、集塵部4と吸引口部3の間(図3および図4)、集塵部4内(図5および図6)などに脱臭部2を設置することで、吸引動力部9が稼動していない時に、吸引口部3へ拡散した塵埃からの不快臭を吸着除去する。この脱臭作用により、不快臭の掃除機本体1への滞留を防止でき、結果的に吸引動力部9を再稼動させた際の排気臭が低減され、使用者の不快感を低減できる。また、吸引口部3内の出口と対向する位置に脱臭部2を設置することで、脱臭部2が吸引風中の塵埃に覆われることなく、また、通風路内の吸引風の流れの主流が脱臭部2を通気しないことにより吸引時の圧力損失を低減できるため、脱臭部2の設置により吸引動力部9の負荷増加による集塵効率低下を招くことなく脱臭効果を得ることができる。
【0012】
脱臭部2には、家庭用一般ゴミから排出される不快臭の主な成分として挙げられる、アンモニア、アセトアルデヒド、イソ吉草酸、二硫化メチルの吸着力、吸着総容量に優れる素材を用いる必要がある。従って、これらの成分に対し、吸着力、吸着総容量共に優れている、コルゲート状、ハニカム状、四角状または繊維状等を有する表面積が広いフィルタに、ゼオライト、活性炭、シリカゲル等のメソ孔あるいはミクロ孔を有する比表面積が大きい多孔質吸着剤を担持した物を脱臭部2に用いるのが適している。さらに、触媒作用を持たせ、触媒上での臭気成分の分解を促進させるために、酸化マンガン、酸化チタン等の遷移金属を中心とした細孔構造を有する多孔質金属酸化物、および白金、パラジウム等の貴金属が1種類以上担持されている物を用いるのが望ましい。
【0013】
次に、本実施の形態1における電気掃除機の脱臭部2の違いによる脱臭性能の差を示す。
図10は脱臭部2を設置しない状態で電気掃除機の内部に不快臭発生源を吸引させた際の集塵部4、吸引口部3、HEPA前部6およびHEPA後部8でのアセトアルデヒド濃度の時間変化を示す図である。ここで示す不快臭発生源はアセトアルデヒド溶液を吸収させた繊維状ペーパーである。妨げが無く連通している集塵部4および吸引口部3は濃度の経時変化は等しく、最初にアセトアルデヒドが放出され、急激に拡散するため一時的な濃度増加が起こり、急激に減少するが、放出が一定となり、拡散しきると濃度が安定する傾向が確認できる。しかし、金属メッシュ5に妨げられているHEPA前部6は、集塵部4および吸引口部3に対し初期の濃度増加が半減し、安定後の濃度も低い。更にHEPAフィルタ7にも遮られているHEPA後部8では殆ど濃度変動が確認できず、低濃度で安定している傾向が見られる。このことから、金属メッシュ5やHEPAフィルタ7といった圧損体として働く遮蔽物は不快臭の拡散を妨げ、脱臭に影響を及ぼすことが分かる。
【0014】
図11は集塵部4、吸引口部3、HEPAフィルタ収納部10のHEPA前部6およびHEPA後部8にそれぞれ脱臭部2を設置し、集塵部4に不快臭発生源を吸引させた際に、蔓延し、外部に流出した不快臭の濃度経時変化を示す。ここで示す不快臭発生源は図10と同様、アセトアルデヒド溶液を吸収させた繊維状のペーパーである。なお、図11において、ブランクは脱臭部2が設置されていない場合の電気掃除機からの不快臭放出量の時間変化を示している。図10の結果に示される、不快臭拡散が最も顕著に起こる集塵部4および吸引口部3に脱臭部2を設置した場合、脱臭部2への不快臭の吸着が十分に行われるため、アセトアルデヒドの掃除機外部への放出は抑制される傾向を示すが、HEPA前部6およびHEPA後部8では不快臭の拡散が妨げられるため、脱臭部2へ不快臭が到達しきらず、十分な脱臭性能を得ることが出来ない。
図12は触媒設置位置の違いにおける、吸引動力部9の回転数に対する吸引風量の変化を示す図である。通風路内の吸引風の主流が通気しない集塵部4の入口に対向する位置に脱臭部2を設置した際の回転数に対する風量増加に対し、通風路内の吸引風の主流が通気する位置に脱臭部2を設置した際の風量増加が抑制されている傾向が確認できる。特に風量増加に伴い触媒設置位置の違いによる影響は大きく現れる。吸引風量の低下は集塵効率の低下に直結するため、通風路内の吸引風の主流が通気する位置を避け、触媒を設置することが有効であることがわかる。
図13は脱臭部2の比表面積の増加に伴う脱臭部材1gのイソ吉草酸の吸着量の変化を示す図である。イソ吉草酸挿入量28mgに対し、比表面積の増加に伴う吸着量の増加が確認でき、比表面積900m2/g以上でほぼ全てを吸着する性能に達する。よって、十分な吸着性能を得るには広い比表面積を有する吸着材料を使用する必要がある。特に多孔質であり、メソ孔やミクロ孔を有する、ゼオライト、活性炭、シリカゲル等を用いるのが望ましい。
【0015】
以上のように、上記に示す電気掃除機は、吸引動力部9と、微小粒子の吸引動力部9への流入を防ぐために設けられたHEPAフィルタ7と、吸引した塵埃の吸引動力部方向への流出を防ぐために吸引風排出方向に設けられた金属メッシュ5を内部に備えている集塵部4と、脱臭部2を出口と対向する位置に有する吸引口部3とで構成されており、吸引口部3、集塵部4、HEPAフィルタ7、吸引動力部9の順に配置され、この吸引口部3、集塵部4、HEPAフィルタ7、吸引動力部9で通風路が形成されており、脱臭部2は通風路内の風の流れの主流が通気せず、吸引時の圧力損失を及ぼさない吸引口部3の入口から流入する吸引風の主流の左側で、出口に対向する位置に設置されており、コルゲート状、ハニカム状、四角上または繊維状等の表面積が広いフィルタであり、ゼオライト、活性炭、シリカゲル等のメソ孔あるいはミクロ孔を有する多孔質吸着剤、酸化マンガン酸化チタン等の遷移金属を中心とした細孔構造を有する多孔質金属酸化物、および白金、パラジウム等の貴金属がそれぞれ1種類以上担持されていることにより、吸引動力部9が稼動してない状態の時に吸引口部3へ拡散した塵埃からの不快臭を吸着除去し、不快臭の掃除機本体1への充満を防止でき、結果的に吸引動力部9を再稼動させた際の排気臭が低減され、使用者の不快感を取り除け、通風路内の風の流れの主流が通気せず、吸引時の圧力損失を低減でき、脱臭部2の設置が吸引動力部9に対する負荷増加による集塵効率低下を伴うことなく脱臭効果を得られる。
【0016】
以上より、本実施の形態1によれば、吸引口部と集塵部の間を通る通風路内の、気流に与える影響が軽微である吸引風の主流が直接通気しない位置に脱臭部を設けたので、電気掃除機の停止時に集塵部内の塵埃から発生し拡散した不快臭を除去することで前記掃除機内の不快臭の滞留を防ぐことができ、集塵効率を低下させることなく吸引動力の起動時に排出される不快臭を低減することができるという効果を奏する。
【0017】
実施の形態2.
図14は本発明に係る電気掃除機の実施の形態2を示す上断面図であり、実施の形態1記載の電気掃除機の集塵部4に集塵袋11を取り付けた場合を示している。集塵部4に集塵袋11を取り付けた場合、集塵袋11そのものが圧損体となり、吸引動力部9への塵埃の流入が防がれる。脱臭部2は集塵袋11の入口と連通し、通風路内の主流が通気せず、吸引時の圧力損失が及ばないように、通風路側面に埋め込み設置される。このように構成することにより、実施の形態1記載の電気掃除機同様、集塵効率を低下させることなく吸引動力の起動時に排出される不快臭を低減する事が可能となる。
この時、集塵袋11は脱着可能であり、ゼオライト、シリカゲル、活性炭等の吸着剤、化学添着剤、酸化マンガン、酸化チタン等の金属酸化物、白金、パラジウム等の貴金属のいずれかまたは両方を添着し、用いることで、集塵袋11内に集塵された塵埃に含まれる不快臭の放出を低減され、脱臭部2の延命を図ることができる。
【0018】
上記構成の電気掃除機の動作について説明する。
上記構成の掃除機では、吸引動力部9を稼動させると、吸引風が吸引部3、集塵部4HEPAフィルタ7を順次流通し、吸引風に含まれる粗大な塵埃が集塵袋11に遮られ、集塵部4に蓄積される構造となっている。集塵袋11は一般家庭内の2〜6週間分の塵埃を蓄積できる容積を有する。脱臭部2は集塵袋11に蓄積される塵埃から放出される不快臭を吸着する。しかし、同時に集塵袋11に対しても不快臭の付着が起こり、十分量の塵埃が集塵袋11に蓄積された際、集塵袋11そのものが不快臭を発するため、集塵袋11そのものにも脱臭機能を付与するのが望ましい。例えば、多種多様な成分に効果が認められ、多孔質で比表面積が広く臭気吸着総容量に優れている、ペーパー化加工が可能な活性炭に、活性炭のみでは吸着が難しいアンモニアやアセトアルデヒドに対応した化学添着剤を塗りこんだものが効果的である。
図15は、紙および活性炭に対する、二硫化メチル(二硫化メチルは腐ったキャベツの臭いがする)の総吸着量を示す。紙では全く吸着効果が見られないのに対し、活性炭では2週間分の塵埃から放出される二硫化メチルを殆ど吸着することが可能な吸着総容量を有することがこの結果から分かる。
図16は活性炭および紙の化学添着剤有無に対するアンモニア総吸着量の違いを示す図である。図16に示すように、活性炭のみでは自然に減衰する量と変わらず、殆ど吸着が起こらないことがわかる。また、紙のみである程度のアンモニア吸着が認められるが、2週間分の塵埃からの発生量を吸着しきるほどの性能は得られない。これに対し、化学添着剤を塗りこむことで、活性炭、紙のいずれも、2週間分の塵埃から発生するアンモニアガスを吸着する性能を得ることが可能となる。
【0019】
以上より、本実施の形態2によれば、集塵部に脱着可能な集塵袋を備えたので、不快臭の放出を低減され、脱臭部の延命を図ることができる。また、脱臭部は集塵袋の入口と連通し、通風路内の主流が通気せず、吸引時の圧力損失が及ばないように、通風路側面に埋め込み設置されるので、集塵効率を低下させることなく吸引動力の起動時に排出される不快臭を低減することが可能となるという効果を奏する。
【0020】
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、通風路はホースからの排気流を利用したものであった。しかしながら、これに限るものではなく、掃除機本体に開口部を設け、そこから通風しても良い。本実施の形態3では、このような実施の形態について説明する。図17は本発明に係る電気掃除機の実施の形態3を示す上面断面図、図18は本発明に係る電気掃除機の実施の形態3を示す側面断面図である。図19は本発明の実施の形態3における、脱臭部2と開口部で構成される通風路を示す斜視図である。
【0021】
図17〜図19に示すように、本実施の形態3では、実施の形態1に記載の電気掃除機の吸引口部3から脱臭部2の集塵部側と反対側の方向に通風路を設けている。この通風路に沿って吸引口部3から外部の方向に脱臭部2、放電電極15、ファン12、開口部13を順次配置する。脱臭部2の通風路が設置されている面の裏側は吸引口部3に連通しており、ファン12が回転することで、開口部13から空気を吸引し、放電電極15、脱臭部2を通り、吸引口部3に対し、風を流入させることが可能となる。開口部13には圧損体、弁などの開閉機能のいずれかまたは両方を有することが望ましい。
次に動作について説明する。
【0022】
上記構成の電気掃除機に示されるように脱臭部2が通風可能な形状となっており、脱臭部2の集塵部4と反対の方向に、前記通風路を妨げない形で、放電電極15、ファン12および開口部13を順次配置した別の通風路17を備える。そして、吸引動力部9が停止している際にファン12を回転することで脱臭部2に対し送風を行い、吸引動力部9の稼動時に脱臭部2の集塵部4側の面に堆積した、脱臭部2への拡散臭気の吸着作用の妨げとなる塵埃を集塵部4に向かって吹き飛ばせる。また、送風と同時に放電電極15から脱臭部2に対し放電を行うことで、脱臭部2に吸着された臭気成分を分解し洗浄することが可能となる。これらの作用により、脱臭部2の脱臭性能の長寿命化を図ることが可能となる。さらに、開口部12に圧損体、開閉機能のいずれかまたは両方を有することで、吸引動力部9稼動時の開口部からの吸引を妨げることができ、吸引風量の低下を抑制することが可能となる。
図20は脱臭部2の表面に対する塵埃の堆積による脱臭性能劣化度合を示す図である。図20に示すように、脱臭部2の塵埃の堆積量増加に伴う不快臭除去性能の劣化が起こる。従って、ファン12を回転することで脱臭部2の集塵部4と対向する2つの面の内、ファン側へ向いている面から、集塵部4側へ向く面に対し送風を行い、脱臭部2の表面に堆積していた塵埃を集塵部4に向かって吹き飛ばす。これにより、脱臭部2への塵埃の堆積による劣化を防ぐことが可能となる。
図21は十分量のアセトアルデヒドを吸着して飽和したゼオライトと酸化マンガンを担持した触媒フィルタに対し、コロナ放電により放電を行った時の触媒フィルタからの二酸化炭素発生量を示す図である。アセトアルデヒドは、コロナ放電を印加することで酸素ラジカルにより酸化され、二酸化炭素に分解される。従って、フィルタからの二酸化炭素の放出量が増加するということは、フィルタ上に吸着されたアセトアルデヒドが分解され、フィルタ表面が清浄化されていることを意味しており、脱臭部2に対し、コロナ放電等を有する放電電極15により放電を行うことで、脱臭部2の寿命を大幅に延ばすことができる。
【0023】
以上より、本実施の形態3によれば、ファンにより脱臭部表面に堆積していた塵埃をとばし、コロナ放電等を有する放電電極で放電することにより脱臭部が吸着していた臭気成分を分解するので、脱臭部の寿命を大幅に延ばすことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示す上面断面図(その1)である。
【図2】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示すA−A'断面図である。
【図3】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示す上面断面図(その2)である。
【図4】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示すB−B'断面図(その2)である。
【図5】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示す上面断面図(その3)である。
【図6】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示すC−C'断面図である。
【図7】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示す上面断面図(その4)である。
【図8】本発明に係る電気掃除機の実施の形態1を示すD−D'断面図である。
【図9】本発明の実施の形態1における脱臭部2に係る斜視図である。
【図10】本発明の実施の形態1における、脱臭部2を設置しない各位置での集塵部4からのアセトアルデヒド濃度の拡散状態の経時変化を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態1における、脱臭部2を設置した各位置での集塵部4から放出される不快臭の排出濃度経時変化を示す図である。
【図12】本発明の実施の形態1に示される位置に脱臭部2を設置した時と吸引風主流が通気する位置に脱臭部2を設置した時における、吸引動力部9の回転数に対する吸引風量の変化の違いを示す図である。
【図13】本発明の実施の形態1における、脱臭部2の比表面積の増加に伴う脱臭部材単位重量あたりのイソ吉草酸の吸着量の変化を示す図である。
【図14】本発明に係る電気掃除機の実施の形態2を示す上面断面図である。
【図15】紙および活性炭に対する、二硫化メチルの総吸着量を示す図である。
【図16】活性炭および紙の化学添着剤有無に対するアンモニア総吸着量の違いを示す図である。
【図17】本発明に係る電気掃除機の実施の形態3を示す上面断面図である。
【図18】本発明に係る電気掃除機の実施の形態3を示す側面断面図である。
【図19】本発明の実施の形態3における、脱臭部2と開口部で構成される通風路を示す斜視図である。
【図20】脱臭部2の表面に対する塵埃の堆積による脱臭性能劣化度合を示す図である。
【図21】アセトアルデヒドにより吸着破瓜している触媒フィルタに対し、放電を行った時のフィルタからの二酸化炭素発生量を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 掃除機本体、2 脱臭部、3 吸引口部、4 集塵部、5 金属メッシュ、6 HEPA前部、7 HEPAフィルタ、8 HEPA後部、9 吸引動力部、10 ケース、11 集塵袋、12 ファン、13 開口部、14 接地電極、15 放電電極、16 HEPAフィルタ収納部。

【出願人】 【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
【出願日】 平成18年8月7日(2006.8.7)
【代理人】 【識別番号】100085198
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 久夫

【識別番号】100098604
【弁理士】
【氏名又は名称】安島 清

【識別番号】100061273
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 宗治

【識別番号】100070563
【弁理士】
【氏名又は名称】大村 昇

【識別番号】100087620
【弁理士】
【氏名又は名称】高梨 範夫


【公開番号】 特開2008−36151(P2008−36151A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−214718(P2006−214718)