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【発明の名称】 自走式掃除機およびプログラム
【発明者】 【氏名】栗本 和典

【氏名】江口 修

【氏名】黒山 和宏

【氏名】中谷 直史

【氏名】山浦 泉

【氏名】恩田 雅一

【要約】 【課題】清掃領域に対しての清掃時間と走行距離の決定精度を高めて未清掃領域を減らし、効率よく清掃することができる自走式掃除機を提供することを目的とする。

【構成】掃除機本体1の移動した距離を計測する走行距離計測部25と、掃除機本体の移動した軌跡を記憶する記憶部24と、記憶部に記憶された軌跡を基に掃除機本体が区域を一周したことを検知する周回検知部26と、記憶部の情報と周回検知部の情報を処理して区域の領域を算出する清掃領域算出部27と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃時間を決定する清掃時間決定部28と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃するために必要な走行距離を決定する清掃距離決定部29とを有する。これによって、清掃領域算出部27で算出した領域に対して清掃時間と走行距離を決定するので、決定精度が高まり未清掃領域を減らし、効率よく清掃することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
掃除機本体の移動した距離を計測する走行距離計測部と、掃除機本体の移動した軌跡を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された掃除機本体の移動した軌跡を基に掃除機本体が区域を一周したことを検知する周回検知部と、記憶部の情報と周回検知部の情報を処理して区域の領域を算出する清掃領域算出部と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃時間を決定する清掃時間決定部と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃するために必要な走行距離を決定する清掃距離決定部とを有する自走式掃除機。
【請求項2】
清掃時間決定部で決定した時間が経過したとき、走行距離が清掃距離決定部で決定した距離に達していない場合、清掃時間を延長する清掃時間変更部を備えた請求項1に記載の自走式掃除機。
【請求項3】
清掃時間変更部は、定期的に清掃時間決定部で決定した時間に対する清掃経過時間の割合と、清掃距離決定部で決定した距離に対する走行距離の割合を監視し、差異がある場合は清掃時間を変更する請求項2に記載の自走式掃除機。
【請求項4】
清掃時間決定部で算出する清掃時間は、記憶部で記憶した軌跡を基に算出された領域面積の大きさに応じて決定する請求項1〜3のいずれか1項に記載の自走式掃除機。
【請求項5】
表示、音または音声で報知する報知部と、清掃時間決定部で決定した清掃時間を報知部より報知する清掃時間報知部とを備えた請求項1〜4のいずれか1項に記載の自走式掃除機。
【請求項6】
表示、音または音声で報知する報知部と、清掃時間の変更を報知部より報知する清掃時間変更報知部とを備えた請求項1〜5のいずれか1項に記載の自走式掃除機。
【請求項7】
時刻を計時する時刻計時部と、清掃完了時刻を報知する清掃完了時刻報知部とを備えた請求項1〜6のいずれか1項に記載の自走式掃除機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の自走式掃除機における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、清掃機能と走行機能とを備え、自動的に清掃を行う自走式掃除機およびプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の自走式掃除機としては、例えば、複雑な制御を行うことなく効率よく作業を行うため、障害物を所定の回数分だけ回避した時の清掃移動時間の合計を基に終了までの時間を決定するというものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−49779号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、時間をパラメータにすると、同一の外周距離で、細長い部屋を掃除する場合と正方形に近い部屋を掃除する場合は、面積が異なるが、同じ清掃時間が算出されることになり、清掃時間の精度が高いとは言えず、決定した清掃時間に達したが未清掃領域が残るというケースもあった。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、清掃領域に対しての清掃時間と走行距離の決定精度を高めて未清掃領域を減らし、効率よく清掃することができる自走式掃除機およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の自走式掃除機は、掃除機本体の移動した距離を計測する走行距離計測部と、掃除機本体の移動した軌跡を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された掃除機本体の移動した軌跡を基に掃除機本体が区域を一周したことを検知する周回検知部と、記憶部の情報と周回検知部の情報を処理して区域の領域を算出する清掃領域算出部と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃時間を決定する清掃時間決定部と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃するために必要な走行距離を決定する清掃距離決定部とを有するものである。
【0006】
これによって、記憶部の情報と周回検知部の情報を処理して清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃時間と走行距離を決定するので、決定精度が高まり未清掃領域を減らし、効率よく清掃することができる。
【0007】
また、本発明の自走式掃除機のプログラムは、自走式掃除機における機能の少なくとも一部をコンピュータに実行させるためのものであり、汎用的なコンピュータを用いて自走式掃除機の全てもしくは一部を容易に実現することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の自走式掃除機およびプログラムは、清掃領域に対しての清掃時間と走行距離の決定精度を高めて未清掃領域を減らし、効率よく清掃することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、掃除機本体の移動した距離を計測する走行距離計測部と、掃除機本体の移動した軌跡を記憶する記憶部と、記憶部に記憶された掃除機本体の移動した軌跡を基に掃除機本体が区域を一周したことを検知する周回検知部と、記憶部の情報と周回検知部の情報を処理して区域の領域を算出する清掃領域算出部と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃時間を決定する清掃時間決定部と、清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃するために必要な走行距離を決定する清掃距離決定部とを有する自走式掃除機とすることにより、記憶部の情報と周回検知部の情報を処理して清掃領域算出部で算出した領域に対して清掃時間と走行距離を決定するので、決定精度が高まり未清掃領域を減らし、効率よく清掃することができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明において、清掃時間決定部で決定した時間が経過したとき、走行距離が清掃距離決定部で決定した距離に達していない場合、清掃時間を延長する清掃時間変更部を備えたことにより、絨毯などの摩擦係数が大きい場所を走行する場合に減速したり、意図的に走行速度を変更したりした場合も、必要な走行距離に達していなければ、未清掃領域があると判断して清掃時間を延長するため、未清掃領域がなくなる。
【0011】
第3の発明は、特に、第2の発明において、清掃時間変更部は、定期的に清掃時間決定部で決定した時間に対する清掃経過時間の割合と、清掃距離決定部で決定した距離に対する走行距離の割合を監視し、差異がある場合は清掃時間を変更することにより、清掃途中で清掃時間の補正を行うため、早く清掃時間が変更されたことを知ることができる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、清掃時間決定部で算出する清掃時間は、記憶部で記憶した軌跡を基に算出された領域面積の大きさに応じて決定することにより、精度良く清掃時間を決定することができる。
【0013】
第5の発明は、特に、第1〜第4のいずれか1つの発明において、表示、音または音声で報知する報知部と、清掃時間決定部で決定した清掃時間を報知部より報知する清掃時間報知部とを備えたことにより、ユーザは清掃時間を知ることができる。
【0014】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、表示、音または音声で報知する報知部と、清掃時間の変更を報知部より報知する清掃時間変更報知部とを備えたことにより、ユーザは清掃時間が清掃状況に応じて変更されたことを知ることができる。
【0015】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、時刻を計時する時刻計時部と、清掃完了時刻を報知する清掃完了時刻報知部とを備えたことにより、ユーザは清掃が完了する時刻を知ることができる。
【0016】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明における自走式掃除機の機能の少なくとも一部をコンピュータに実現させるためのプログラムとしたものである。プログラムであるので電気・情報機器、コンピュータ、サーバーなどのハードリソースを協働させて自走式掃除機の少なくとも一部を容易に実現することができる。また、記録媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布やインストール作業が簡単にできる。
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0018】
(実施の形態)
図は、本発明の実施の形態における自走式掃除機を示すものである。
【0019】
図1に示すように、掃除機本体1は、駆動走行する駆動輪2と、ノズルとブラシと吸引モータで床面にある埃やゴミを吸い取る清掃部3を備えている。また、前方の障害物を検知するために超音波センサ送信部4aが2つあり、障害物から反射した超音波を受信する超音波センサ送信部4bを3つ備えている。さらに、壁沿いの並行走行を蛇行することなく円滑に走行させるため、赤外線センサ5を本体右側面に2つ備えている。また、走行中の掃除機本体1を支えるために補助駆動輪7が複数あり(図示は1つのみ)、補助駆動輪の1つの走行状態を検知するため走行センサ6を備えている。さらに、走行方向の角度を把握するためにジャイロセンサ8がある。このジャイロセンサ8を利用してX(縦方向)、Y(横方向)の座標位置を記憶することができる。また、図示しないが、掃除機本体1の前部には万が一、障害物に衝突したときに衝突を検知する衝突検知部も備え付けられている。
【0020】
図2において、自走式掃除機は、走行制御および移動位置の算出などの入力した情報やデータを演算処理したり、制御信号、データの生成や送出したりする制御部21、障害物となる物体を検出する障害物検知部22、掃除機本体1を所望の方向に移動させる操舵兼駆動部23、掃除機本体1の位置や障害物の有無などの掃除機本体1が走行する環境の情報であるマップ情報を記憶する記憶部24がある。
【0021】
制御部21は、例えば、CPU、メモリで構成されている。掃除機本体1の動作をコントロールするために、駆動輪2を駆動する操舵兼駆動部23への制御信号を生成する。例えば、障害物検知部22の情報を使って障害物との接触を回避するように駆動させることや、記憶部24に蓄積しているマップ情報や位置情報と現在地点との相対関係から、目的の場所まで移動するための制御信号を生成する。
【0022】
構成としては、他にも、CPU、メモリを1つにした1チップマイコンや、FPGA、DSPなどの他の演算可能なものであっても構わない。また、HDDやDVDやフラッシュメモリなどの記録装置と一緒に構成することで、メモリ容量を大量に利用するような複雑な処理をすることも可能にすることができる。さらに、無線LANなどの通信装置と一緒に構成することで、掃除機本体1と外部機器との通信が可能になり、蓄積しているデータの送信や、新たな制御パターンの受信など、さらに高度な処理を可能にすることができる。
【0023】
マイクロ・コンピュータを使うことで、操舵兼駆動部23のコントロールには、駆動部として利用する装置にあわせて、PWMなどによる制御やシリアル通信による移動量の設定などのさまざまな形態の制御をさせることが可能である。また、位置の算出方法は、駆動部への命令から移動量を算出して求めることが可能であり、例えば、左右2輪の駆動部を持つ掃除機本体1の場合は、左右の駆動輪の速度設定と、設定経過時間から移動した距離と回転角度を算出することができる。さらに、操舵兼駆動部23からのエンコーダパルスのように、駆動後の結果を受信することで、移動量の精度を高めることができる。さらに、ジャイロセンサ8と組み合わせることで、移動量の算出精度を高めることができる。なお、他に加速度センサのような他の装置を用いても移動量の算出精度を高めることは可能である。
【0024】
ここで、本実施の形態のマップ情報とは、例えば、セルと呼ぶX(縦方向)、Y(横方向)座標上の四角形の位置毎に、障害物の有無の情報や時間の情報やその他のセル位置毎に保存しておきたい情報を蓄えているセルの集合体である。また、位置情報とは、例えば、X、Y(縦横)座標の情報や、セル位置の情報である。なお、本例ではマップ情報の例として、X、Y軸として定義しているが、X、Y、Z(縦横高さ)座標による3次元系や、R、Θ(半径、角度)座標による角座標系や、ラプラス空間など他の空間座標系を利用しても構わない。
【0025】
障害物検知部22は、超音波センサ送信部4aから発信した超音波の反射を利用して超音波センサ受信部4bで受信した時間や受信レベルに応じて障害物との距離や大きさを計測することが可能である。また、超音波でカーテンなど柔らかい物に対しては、赤外線センサ5で障害物との距離を検知することが可能である。
【0026】
なお、これらのセンサを自走式掃除機に複数個組み込んでおくことで、各センサの特性上検出が困難な状態などであっても検出能力の相互補間を行うことができるので、検出精度を上げることが可能になる。他にも、CCDカメラなどの映像を取り込むセンサや、レーザ、電磁波、磁力などの性質を利用したセンサを障害物の検出を行う機能として利用することが可能である。
【0027】
操舵兼駆動部23は、例えば、2つのモータと2つの駆動輪2を左右に水平に配置するように構成することで、制御部21からの制御信号によって、左右のモータの回転数を変化させることにより、駆動輪2が動作して、掃除機本体1が移動する。また、駆動輪2に回転を検出するエンコーダを備えることで、左右の駆動輪2のエンコーダが検出したパルス数を制御部21に伝えることで、移動量の算出精度を高めることができる。操舵兼駆動部23は、モータと駆動輪の組み合わせ以外にも、複数のサーボモータを組み合わせた関節型のアクチュエータを組み合わせた2本足や4本足などの多足移動可能なものや、利用するモータは、リニアモータなど物理的な動作が可能なものであれば構わない。
【0028】
記憶部24は、情報を記憶する機能を有するものであり、例えば、SDカードなどに代表されるフラッシュメモリや、CPUと組み合わせて利用するDDRメモリや、ハードディスクや、光ディスクである。さらに、これらのメモリを複数組み合わせることで、例えば、掃除機本体1から距離が近いマップ情報は、読み出し書き込み速度が速いメモリを使い、掃除機本体1から距離が遠いマップ情報は、大容量のメモリを使うことで、高速性と大容量性を両立させることが可能な構成にすることも可能である。また、無線LANや、Bluetoothなどの無線技術を利用することで、掃除機本体1の外部に設けたメモリを利用することができる。さらに、メモリを複数の掃除機本体1や、他の装置と共有して利用することで、共通のマップ情報や位置情報を利用する構成にすることも可能である。
【0029】
また、位置の記憶を行う場合に、割り当てているメモリをリング状のバッファとして扱うことで、過去の古い位置情報を削除しながら、新しい位置の記憶を継続していくことが可能となる。また、記憶する位置情報のメモリの残量が無くなった場合に、過去に記憶している位置情報から、最大値と最小値の位置以外の位置情報を削除することで、新しい位置の記憶を継続していくことも可能である。
【0030】
また、自走式掃除機は、走行センサ6の検知情報より走行距離を計測する走行距離計測部25、記憶部24に記憶された掃除機本体1の移動した軌跡を基に掃除機本体1が区域を一周したことを検知する周回検知部26、記憶部24の情報と周回検知部26の情報を処理して区域の領域を算出する清掃領域算出部27、清掃領域算出部27で算出した領域に対して清掃時間を決定する清掃時間決定部28、清掃領域算出部28で算出した領域に対して清掃するために必要な走行距離を決定する清掃距離決定部29を備えている。
【0031】
走行距離計測部25は、総走行距離や決められた時間に走行した距離などを計測することが可能である。また、周回検知部26は、掃除機本体1が最初に壁面に近づいたときのX、Y座標を記憶部24で記憶し、掃除機本体1は、壁面に沿って左回りで進み、再度、記憶したX、Y座標に一致したとき、壁際を1周したと判断する。なお、記憶したX、Y座標に一致したとき1周と判断するが、判断基準としてX、Y座標のマージンを設けても構わない。
【0032】
また、清掃領域算出部27は、1周を検知した場合、記憶部24より1周した最大および最小のX、Y座標を抽出する。この最大、最小のXY座標より清掃が必要な領域の面積を算出する。清掃領域算出部27より算出した面積に対して、清掃時間決定部28は、清掃が必要な清掃時間を、清掃距離決定部29は、清掃に必要な走行距離を決定する。清掃時間および清掃距離の決定方法については後述する。
【0033】
また、自走式掃除機は、時分の時刻を計時する時刻計時部30、清掃時間の変更を行う清掃時間変更部31、清掃時間決定部23で決定した清掃時間を報知する清掃時間報知部32、清掃時間および清掃時間の変更を表示、音または音声で報知する報知部33、清掃時間の変更を報知する清掃時間変更報知部34を備えている。
【0034】
時刻計時部30は、時刻をユーザが設定できるようにしたり、電波時計を用いて自動設定したりすることができるようにしても構わない。また、時刻計時部30の計時により、清掃完了時刻を報知する清掃完了時刻報知部(図示せず)で清掃完了を報知するようになっている。清掃時間変更部31は、1周検知後の清掃走行中において、清掃時間決定部28で決定した時間の経過時間と清掃走行距離29で決定した清掃走行距離に対して1周検知後に走行した距離より清掃時間の補正を行う。詳細説明は後述する。清掃時間報知部32は、1周検知後に清掃時間決定部28で決定した時間を、報知部33のスピーカ33aで音声ガイダンスを行い、液晶表示33bにより清掃時間が変更されたことをユーザに報知する。
【0035】
さらに、清掃時間変更部31で、清掃時間が変更された場合は、清掃時間変更報知部34より、報知部33のスピーカ33aで音声ガイダンスを行い、液晶表示33bにより清掃時間が変更されたことをユーザに報知する。なお、報知部33は、表示、音または音声の少なくとも1つで報知するものであればよく、特に限定されるものではない。
【0036】
以上のように構成された自走式掃除機について、図3〜図6を用いて、清掃時間および清掃時間の変更と報知までの動作、作用を説明する。
【0037】
図3において、自走式掃除機をスタートさせると、自走式掃除機は壁を探す。壁と認識する方法は、超音波センサ受信部4bで障害物を検知し、障害物まで2cmの距離に近づいた後、自走式掃除機は左方向に回転し、2つの赤外線センサ5の検知距離が等しくなると障害物は壁だということを認識する。もし、壁でなくて椅子の脚などの障害物であった場合は、自走式掃除機が回転をしても2つの赤外線センサ5の検知距離が等しくならないので区別が可能である。なお、壁を認識するために2cmの距離に近づくとしたが、2cmに限定されたわけではない。
【0038】
壁を検知すると(S11)、X、Y座標を原点としてX=0、Y=0とする(S12)。引き続き、自走式掃除機は、赤外線センサ5で壁との距離を一定に保持するように制御して、壁際を左周りに清掃走行する(S13)。なお、最初に壁を検知して進んだ方向をX=0でY軸のプラス方向とする。
【0039】
自走式掃除機は、ジャイロセンサ8で進行方向の角度を把握し、走行中のX、Y座標の軌跡を記憶していく。走行を続け、X=0、Y=0になれば、原点に戻ったので1周したと判断する(S14)。
【0040】
1周を検知すると、記憶した軌跡のX方向およびY方向の最大値、最小値を利用して下記の(式1)により、面積Sを算出する(S15)(S16)。
【0041】
S=(X座標のMAX値−X座標のMIN値)×(Y座標のMAX値−Y座標のMIN値) (式1)
続いて、算出した面積Sより、清掃時間Tを算出する(S17)。清掃時間Tは、算出した面積Sの領域を全て走行する時間であり、図4に示すようなグラフを用いて清掃時間Tを決定する。なお、図4のグラフは、自走式掃除機の走行速度、回転速度、清掃部3のノズル幅によって決定する。なお、60分がMAX値となっているのは、本実施の形態では、図示しないが電池を搭載した場合を想定しており、電池の容量を考慮した時間としている。
【0042】
同様に、算出した面積Sより、走行距離Dを算出する(S18)。走行距離Dは、算出した面積Sの領域を全て走行することを想定した距離であり、図5に示すようなグラフを用いて走行距離Dを決定する。なお、グラフは、例えば、図6に示すような5m×4mの長方形の部屋である場合、清掃部3のノズル幅が20cmであると、壁沿い2cmは清掃できないことを考慮すると4.56m×3.56mの面積をくまなく走行する必要がある。つまり、走行すべき距離は、(4.56×3.56/0.2=81.168m)となり、清掃部3のノズル幅によってグラフの傾きを決定していく。
【0043】
続いて、清掃時間Tをユーザに報知する(S19)。報知方法は、例えば清掃時間Tが30分であったとすると、現在時刻に30分を加算した時刻を液晶表示33aで表示し、音声ガイダンスでも同時に報知する。なお、報知方法は、時刻以外でも残り時間を報知しても構わない。
【0044】
これより清掃領域の清掃を開始するため、清掃時間t、清掃距離dを計測開始し(S20)(S21)、清掃走行を開始する(S22)。
【0045】
1分経過した時に(S23)、t/Tとd/Dを比較する。t/Tの方が大きければ、障害物が多かったり、絨毯など摩擦係数が大きく走行速度が減速したりして清掃走行に遅れが生じていると判断し、清掃時間を補正し下記の(式2)を用いて変更する(S25)。
【0046】
T ’=((t/T)/(d/D)×T)−t (式2)
補正値は、例えば、T=30で清掃開始した後、15分経過後にt/T=0.5、d/D=0.45だとすると、清掃時間を変更し残り清掃時間T’は、(式2)を利用すると((0.2/0.15)×30)−15=18.33分となる。つまり、予定通りだと残り15分で清掃完了するはずであったが、走行距離が予定通り達していないため清掃を3分ほど延長することとなる。
【0047】
また、変更した清掃時間を変更時に残り清掃時間として、報知部33のスピーカ33aで音声ガイダンスを行い、液晶表示33bにより清掃時間が変更されたことをユーザに報知する(S26)。変更報知内容としては、変更となった清掃残り時間や清掃終了時刻を1分単位で報知する。
【0048】
以後、清掃時間が終了するまで1分毎に(S23)〜(S26)を繰り返す。清掃時間が終了すると、一連の清掃は終了となる(S27)。
【0049】
以上のように、本実施の形態においては、最初に部屋を一周して把握した清掃領域に対して清掃時間と清掃走行距離を決定することで効率良く清掃できる。
【0050】
また、清掃時間決定部28で決定した時間が経過したとき、走行距離が清掃距離決定部29で決定した距離に達していない場合、清掃時間を延長する清掃時間変更部31を備えたことにより、絨毯などの摩擦係数が大きい場所を走行する場合に減速したり、意図的に走行速度を変更したりした場合も、必要な走行距離に達していなければ、未清掃領域があると判断して清掃時間を延長するため、清掃領域に自走式掃除機が走行することがなくて未清掃領域が残ってしまうということがなくなる。
【0051】
また、清掃時間変更部31は、定期的に清掃時間決定部28で決定した時間に対する清掃経過時間の割合と、清掃距離決定部29で決定した距離に対する走行距離の割合を監視し、差異がある場合は清掃時間を変更することにより、清掃途中で清掃時間の補正を行うため、早く清掃時間が変更されたことを知ることができる。
【0052】
また、清掃時間決定部28で算出する清掃時間は、記憶部24で記憶した軌跡をもとに領域面積を算出し、領域面積の大きさに応じて決定することにより、精度良く清掃時間を決定することができる。
【0053】
また、表示、音または音声で報知する報知部33を備え、周回検知部26で区域を一周検知したあと、清掃時間決定部28で決定した清掃時間を報知部33より報知する清掃時間報知部32を備えたことにより、ユーザは清掃時間を知ることができる。さらに、清掃時間の変更があれば、変更したことを報知する清掃時間変更報知部34を備えたことにより、ユーザは清掃時間が清掃状況に応じて変更されたことを知ることができる。また、報知内容としては、時間だけでなく時刻でも報知するため、清掃は自走式掃除機に任せて清掃終了時刻までユーザは他の用事をするなど事前に計画を立てることができる。
【0054】
なお、本実施の形態では、一周検知した後の清掃の走行パターンについて、規定しなかったが、縦走行と横走行を組み合わせたクロスパターン走行やランダムに向きを変えるランダム走行など、走行パターンの種類によって清掃時間を決定する算出式を変えるようにしてもよい。
【0055】
なお、清掃時間の変更タイミングとして1分毎に、清掃時間tと清掃距離dを確認し、変更の有無を判断したが、1分に限定しなくても構わない。
【0056】
また、清掃時間の変更方法として、変更内容は、1分単位の時間や時刻で報知するとしたが、頻繁に変更されるのが煩わしければ、3分単位や5分単位などにして変更幅が大きい時のみ報知するようにしてもよい。
【0057】
なお、報知部33は、液晶表示33aとスピーカ33bによる報知としたが、ブザー出力による報知や、LEDによる報知などであっても、ユーザが知ることができる手段であれば構わない。
【0058】
なお、本実施の形態は、自走式掃除機の機能の少なくとも一部をコンピュータで実行させるためのプログラムとすることにより、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したり、インターネットなどの通信回線を用いて配信したりすることで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
以上のように、本発明にかかる自走式掃除機およびプログラムは、清掃領域に対しての清掃時間と走行距離の決定精度を高めて未清掃領域を減らし、効率よく清掃することができるので、家庭用、業務要を問わず適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態における自走式掃除機を上から見た模式図
【図2】同自走式掃除機のブロック図
【図3】同自走式掃除機の清掃動作を説明するためのフローチャート
【図4】同自走式掃除機の清掃に必要な清掃時間を算出するグラフ
【図5】同自走式掃除機の清掃に必要な走行距離を算出するグラフ
【図6】同自走式掃除機により清掃する部屋のイメージを示した一例の平面図
【符号の説明】
【0061】
1 掃除機本体
2 駆動輪
3 清掃部
21 制御部
22 障害物検知部
23 操舵兼駆動部
24 記憶部
25 走行距離計測部
26 周回検知部
27 清掃領域算出部
28 清掃時間決定部
29 清掃距離決定部
30 時刻計時部
31 清掃時間変更部
32 清掃時間報知部
33 報知部
34 清掃時間変更報知部
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−23142(P2008−23142A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200314(P2006−200314)