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【発明の名称】 暖房便座とそれを搭載したトイレ装置
【発明者】 【氏名】古林 満之

【氏名】白井 滋

【氏名】島田 良治

【要約】 【課題】便座の消費電力を低減し極めて省エネルギーであるとともに、絶縁性に優れた安全な便座暖房を提供する。

【構成】着座時に人体が触れる着座面26の一部を金属で形成した便座22と、着座面26の裏側内面に設けられたヒータ線28とヒータ線被覆29とからなる線状発熱体30と、トイレ内に使用者が入室したことを検知する人体検知センサ24と、着座面26の温度を検知する温度検知センサ34と、線状発熱体30への通電量を制御する制御部35とを備えた暖房便座において、着座面26とヒータ線28の間に2層以上の絶縁層を設けたことにより、短時間で便座暖房が可能であるとともに、長年の使用において絶縁性能に優れた安全な暖房便座を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
着座時に人体が接触する着座面の少なくとも一部を金属で形成した便座と、前記着座面の裏側内面に設けられたヒータ線とヒータ線被覆とからなる線状発熱体と、トイレ内に使用者が入室したことを検知する人体検知センサと、前記着座面の温度を検知する温度検知センサと、前記線状発熱体への通電量を制御する制御部とを備えた暖房便座において、前記着座面と前記ヒータ線の間に2層以上の絶縁層を設けたことを特徴とする暖房便座。
【請求項2】
絶縁層は、同じ種類の合成樹脂を用いて2層構造としたことを特徴とした請求項1記載の暖房便座。
【請求項3】
絶縁層は、異なる種類の合成樹脂を用いて2層構造としたことを特徴とした請求項1項記載の暖房便座。
【請求項4】
絶縁層の一部は、フッ素樹脂を用いて形成することを特徴とした請求項1〜3のいずれか1項記載の暖房便座。
【請求項5】
絶縁層は、ポリイミド樹脂を用いたヒータ線被覆を含むことを特徴とした請求項1〜4のいずれか1項記載の暖房便座。
【請求項6】
着座面はアルミニウムで構成し、前記着座面裏側にアルマイト層を形成し、前記アルマイト層を絶縁層の一部とした請求項1〜5のいずれか1項記載の暖房便座。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、暖房機能を有する便座に関するもので、特に使用者が着座するまでの短時間に最適な温度まで昇温可能である暖房便座に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の暖房便座では、図6に示すように瞬間暖房式の暖房便座が提案されている。これはステンレス製の着座面1の裏面に絶縁部材2を介して面状発熱体3、断熱材4、反射体5を加熱押圧して便座本体6に固着形成したものである。面状発熱体3はステンレスをパターニングして繰り返し蛇行するように這わせて、均一な加熱を実現し、また、断熱材4、反射体5を設けることにより、熱の散逸を防止し、着座面6に効果的に伝熱させ、着座面6が早く温度上昇するので、電力消費量を低減することができるというものであった(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−125981号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、短時間で着座面の温度を昇温させるために高出力の発熱体が必要となり、発熱体自体が高温となるので、発熱体を覆う絶縁部材に熱衝撃による経年劣化が生じやすく、長年の使用により絶縁性能が低下するという懸念があった。
【0004】
本発明は前記従来の課題を解決するもので、長期にわたって安心安全に使用できる絶縁性能に優れた暖房便座を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の暖房便座は、着座時に人体が接触する着座面の少なくとも一部を金属で形成した便座において、着座面と線状発熱体の間に2層以上の絶縁層を設けた構成としたものである。特に、使用者が着座するまでの短時間に最適な温度まで昇温可能な暖房便座であり、非常に熱負荷の大きい構造となるが、絶縁層を多層構造とすることで、1層目の絶縁層の絶縁性能が経年劣化により低下しても、2層目以降の絶縁層によって線状発熱体と着座面との間の絶縁性能を確保することができる。
【発明の効果】
【0006】
本発明の暖房便座は、絶縁性能を確保することで長年にわたって安心安全に使用できる暖房便座を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第1の発明は、着座時に人体が接触する着座面の少なくとも一部を金属で形成した便座において、着座面とヒータ線の間に2層以上の絶縁層を設けた構成とした。これによって、1層目の絶縁層の絶縁性能が経年劣化により低下しても、2層目以降の絶縁層によって絶縁性能を確保することができる。そのため、長年にわたって安心安全に使用できる暖房便座を提供することができる。
【0008】
第2の発明は、特に第1の発明において、絶縁層は同じ種類の合成樹脂を用いて2層構造とした。例えば、ヒータ線の被覆を2重とし、これを同じ種類の合成樹脂を用いて形成するもの、着座部裏面の被覆と、ヒータ線の被覆を同じ種類の合成樹脂とする場合がある。これによって、ヒータ線被覆にピンホールなどの欠陥が存在した場合でも、2層の絶縁体でピンホールを遮蔽し、絶縁性能を確保することができる。そのため、絶縁性能が良好
で安全な暖房便座を得ることができる。同種の樹脂材料であれば、密着性もよく、また加工性もよいのでヒータ線と着座面との密着性が確実になる。
【0009】
第3の発明は、特に第1の発明において、絶縁層は異なる種類の合成樹脂を用いて2層構造とした。例えばヒータ線被覆を異なる材料で2重に形成する、又は、着座部裏面の被覆と、ヒータ線の被覆を異なる材料でそれぞれ形成するなどの場合がある。これによって、例えば、ヒータ線への密着度により耐熱性を変えて、樹脂同志の密着性なども考慮して、適材を用いてコストや、加工費を削減することができる。もちろん2層であるので、ピンホールなどの欠陥が存在した時に、2層の絶縁体でピンホールを遮蔽し、絶縁性能を確保することができる。そのため、絶縁性能が良好で安全な暖房便座を得ることができる。
【0010】
第4の発明は、特に第1〜3のいずれか1つの発明において、絶縁層の一部にフッ素樹脂を用いた層を設ける構成とした。これによって、耐熱性に優れた絶縁層を形成できる。そのため、高出力の線状発熱体の発熱に対しても絶縁性能が良好で安全な暖房便座を得ることができる。
【0011】
第5の発明は、特に第1〜3のいずれか1つの発明において、ヒータ線被覆にポリイミド樹脂を用い、絶縁層の一部とするものである。これによって、ヒータ線被覆材という最も耐熱性が要求される部位に用いて、絶縁層の耐熱性を向上させる。そのため、高出力の線状発熱体の発熱に対しても絶縁性能が良好で安全な暖房便座を得ることができる。
【0012】
第6の発明は、特に第1〜5のいずれか1つの発明において、着座面はアルミニウムで構成し、着座面裏側にアルマイト層を形成し、アルマイト層を絶縁層の一部としたものである。これによって、絶縁性能を確保すると共に、着座面の防食効果を期待することができる。そのため、長年にわたって使用可能な暖房便座を得ることができる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の第一の実施の形態における暖房便座の概略構成図であり、図2は斜視図であり、図3は線状発熱体からなる発熱体ユニットの概略構成図、図4は着座面の断面図である。
【0015】
図1から図4において、便器20に本体21が取り付けられており、この本体21に便座22および便蓋23が回動自在に設けられている。また、本体21の袖部にはトイレ空間の人体の有無を赤外線により検知する人体検知センサ24が設けられている。便座22は、合成樹脂製の便座ベース25とアルミニウムで形成された金属製の着座面26からなり、2つの部材をそれぞれの内周縁および外周縁で接合することによって形成している。
【0016】
着座面26の裏面には、発熱体ユニット27が配設されている。この発熱体ユニット27は、ヒータ線28のヒータ線被覆29をフッ素樹脂とした線状発熱体30を便座22の形状に収まるように配設し、線状発熱体30の上下両面を2枚のアルミ箔31で接着した構成としている。アルミ箔31の代わりに銅箔などの熱伝導が良好な金属箔を用いても良い。線状発熱体30はフッ素樹脂により絶縁性及び耐熱性が確保されている。ここで、フッ素樹脂の代わりに、ポリイミド樹脂を用いても良い。ポリイミド樹脂を用いた場合は、更に耐熱性がよくなり優れた絶縁性及び耐熱性が確保される。また、その他の材料を用いても絶縁性や耐熱性が確保できるなら何ら問題ない。絶縁性や耐熱性の度合いは求められる暖房便座の性能によって変化する。着座面26の裏側は、アルマイト処理によりアルマイト層30を形成して絶縁性能を更に高めている。また、アルマイト層30を形成させる
代わりに、ポリイミドやPETなどをフィルム状にしたものを貼付して絶縁性能を高めるという方法でも何ら問題ない。また、着座面26にアルミニウムを用いない場合は、アルマイト層32を形成させることができないので、ポリイミドやPETなどをフィルム状にしたものを貼付して絶縁性能を高めるという方法でも何ら問題ない。
【0017】
このように、1層目の絶縁層をヒータ線被覆29であるフッ素樹脂、2層目の絶縁層を着座面26の裏側に形成したアルマイト層32の2層構成にすることにより、1層目のフッ素樹脂がヒータ線28の発熱による熱衝撃や経年劣化によって絶縁性能が低下、更には絶縁破壊に至っても、2層目のアルマイト層32で絶縁性能を確保することができる。そのため、長年にわたって安心安全に使用可能な暖房便座を提供することができる。
【0018】
また、着座面26となるアルミニウムの表面には、外観効果のために塗装した表面化粧層33が形成してある。着座面26の外側表面に施した表面化粧層33は染色処理にすることもできるが、少なくとも着座面26の外側表面に塗装を施せば、防食効果だけでなくアルミなどの金属便座であっても見た感じ冷たい感じを払拭でき、たとえば、真珠のようなパール塗装等によって、やわらかいイメージや高級なイメージを演出することができる。便座22の着座面26に金属しかもアルミニウムのプレス(絞り)加工品を用いたことにより、熱伝導率が約200W/(m・K)と高いため、昇温されると同時に、すばやく着座面26の外側表面つまり表面化粧層33まで熱伝達することができる。しかも、熱伝導率の高いアルミニウムであるため、温度分布をより均一にする均熱効果が得られる。また、アルミニウムのプレス(絞り)加工により加工硬化により板厚を薄くしても必要な強度を確保することができる。たとえば、樹脂の場合は強度の面から3mm程度の肉厚が必要なのに対し、アルミ板の絞り加工品であれば半分の1.5mm以下で十分である。薄くすればするほど、熱容量を少なくできるため、昇温に要する熱量および時間を少なくすることができる。実験の結果、強度と昇温時間の面から、アルミニウムの板厚は0.8〜1.2mmが好ましいという結論を得た。
【0019】
さらに、着座面26の裏面には、着座面26の温度を検知するために温度検知センサであるサーミスタ34が取り付けられている。サーミスタ34からの信号は制御部33に伝達され、これらの信号に基づいて採暖面である着座面26の温度が所定の温度になるよう、線状発熱体28への通電が制御されるようになっている。人体検知センサ24はトイレに人が入室したことを検知すると、着座面26の加熱を開始するとともに、便蓋23を開けるように、制御部35へ信号を伝達する。また、本体21の中央部には、便座22への着座を赤外線により検知する着座検知センサ36を有している。たとえば、温水洗浄機能を有した暖房便座では、人の着座を検知した時にのみ、洗浄機能が動作する。
【0020】
上述した構成によって、使用者がトイレに入室した場合には、人体検知センサ24が入室を検知し、その信号が制御部35に送られ、制御部35は線状発熱体30への通電を開始する。制御部35は、通電開始直前のサーミスタ34の温度信号をもとに、便座22の着座面26が適温になるように演算を行い、線状発熱体30への通電を制御する。
【0021】
ここで、アルミニウムの板厚を1.0mmとし、線状発熱体30に1200W印加した場合、着座面26の昇温速度は2.5K/sほどである。また、調査によって、使用者がトイレのドアを開けてから着座するまでの所要時間は平均10秒、また、着座面26の温度が29℃以上であれば、着座時に冷感や不快感は覚えないという結果を得た。つまり、冬期のトイレ内が室温5℃であっても、入室と同時に便座を昇温させると、入室から10秒後には着座面26の温度は30℃となり、着座面26の温度を座っても冷たく感じない温度まで昇温させることができる。着座面26に熱伝導が良好なアルミニウムを用いることによって、使用者が便座22に着座するまでの短時間に加温することが可能であるため、使用者が入室していない場合には線状発熱体28に通電する必要がなく、非常に省エネに
なるとともに、着座面26の均一な加熱が可能であるので快適に使用できる。また、着座時には、着座面26が冷たくない温度まで加温されているので、冷たさを感じることなく快適に使用できる。また、着座面26にアルミニウムの変わりにステンレスを用いることも可能である。ステンレスはアルミに比べて強度が強いため、ステンレスの板厚を薄くすることができるので、熱容量を小さくすることができ、より短時間で加温できるため、更に省エネに優れた暖房便座を実現することができる。
【0022】
次に、使用者が便座22に着座すると、着座検知センサ36の信号により線状発熱体30への通電量をゼロまたは着座面26の温度が過昇しないところまで低減し、適温になるように着座面26の保温を行う。このように着座中も適温に保温されるので快適に使用できる。
【0023】
上記説明したように、本実施の形態におけるヒータ線の使用状態は、便座使用の度にON−OFFを繰り返すという熱サイクルの頻度が高く、熱衝撃を大きく受ける。そして、ヒータの内側の被覆材については、特に負荷がかかる。本実施の形態の構成にすることで、絶縁層自体の劣化期間を従来よりも長くして信頼性向上を図ることができる。
【0024】
(実施の形態2)
図5は、本発明の実施の形態2における着座面26の断面図である、本実施の形態は、実施の形態1の発明と基本的な構成は同じである。異なるのはヒータ線被覆29の構成についてである。
【0025】
図5に示すように、ヒータ線被覆29は、第1の絶縁層37と第2の絶縁層38からなり、2層の絶縁層を有している。この構成によって、第1の絶縁層37にピンホールなどの欠陥が存在した場合、第2の絶縁層38でピンホールを遮蔽し、絶縁性能を確保することができる。そのため、絶縁性能が良好で安全な暖房便座を得ることができる。アルマイト層32を設けることにより3層の絶縁層として、絶縁性能を高めている。また、アルマイト層32は設けなくてもよいが、設けた場合は絶縁性能が高くなるし、防食性も向上する。設けない場合は絶縁層が1層少なくなるので、着座面26の昇温性能を更に向上させることができる。
【0026】
また、第1の絶縁層37と第2の絶縁層38の2層ともに同じ合成樹脂、例えばフッ素樹脂を用いると、フッ素樹脂は耐熱性が高いため、熱による絶縁破壊を防止することもでき絶縁性能が良好で安全な暖房便座を得ることができる。また、同じ樹脂を用いているので、材料調達も行いやすくなり生産性がよくなる。
【0027】
また、第1の絶縁層37にポリイミド樹脂、第2の絶縁層38にフッ素樹脂を用いると、ポリイミド樹脂はフッ素樹脂よりも耐熱性が優れているため、更に高出力のヒータ線28に対しても、熱による絶縁破壊を防止することもでき絶縁性能が良好で安全な暖房便座を得ることができる。
【0028】
例えば、銅線に絶縁被覆されているマグネットワイヤーに絶縁層を付加することで、非常に熱容量が小さいので昇温性能に優れ、絶縁性能にも優れた線状発熱体30を実現できる。
【0029】
ここでは、絶縁層として、他の材料を用いても絶縁性や耐熱性が確保できるなら何ら問題なく、絶縁性や耐熱性の度合いは求められる暖房便座の性能によって変化する。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、本発明の暖房便座は、着座面と線状発熱体の間に絶縁層を2層以上設け
ることで、絶縁性を高め、安全に使用し得る暖房便座が得られ、使用者が着座する機器の暖房技術として適用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1における暖房便座の概略構成図
【図2】同実施の形態1における暖房便座の斜視図
【図3】同実施の形態1における線状発熱体からなる発熱体ユニットの概略構成図
【図4】同実施の形態1における着座面の断面図
【図5】同実施の形態2における着座面の断面図
【図6】従来の暖房便座の着座面の断面図
【符号の説明】
【0032】
22 便座
24 人体検知センサ
26 着座面
28 ヒータ線
29,37,38 ヒータ線被覆
30 線状発熱体
32 アルマイト層
34 サーミスタ(温度検知センサ)
35 制御部
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−36064(P2008−36064A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−213158(P2006−213158)