トップ :: A 生活必需品 :: A47 家具;家庭用品または家庭用設備;コ−ヒ−ひき;香辛料ひき;真空掃除機一般




【発明の名称】 炊飯器
【発明者】 【氏名】由良 政樹

【氏名】広田 正宣

【要約】 【課題】浸水工程の早い段階で炊飯量を判定し、適切な浸水工程を実行し、適度な吸水と加熱によりおいしいご飯に炊き上げることができる炊飯器を提供することを目的とする。

【構成】鍋1と、蓋4と、鍋の底部を加熱する鍋加熱手段2と、鍋1の底面の温度を検知する鍋底温度検知手段9と、鍋1の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において鍋1の側面の温度を検知する鍋側面温度検知手段10と、鍋加熱手段2の通電を制御する加熱手段制御部14aを有する制御手段14とを備え、制御手段14は、鍋底温度検知手段9および鍋側面温度検知手段10から鍋底および鍋側面の温度を計測する温度計測部14bを有し、浸水工程を実行するものである。これによって、鍋底温度および鍋側面温度の計測結果に基づいて鍋加熱手段2の通電量を制御する。このことで、適切な浸水工程を実行し、米の芯まで適度な吸水と加熱によりおいしいご飯に炊き上げることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、前記鍋を覆う蓋と、前記鍋の底部を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の底面の温度を検知する鍋底温度検知手段と、前記鍋の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において前記鍋の側面の温度を検知する鍋側面温度検知手段と、前記鍋加熱手段の通電を制御する加熱手段制御部を有する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記鍋底温度検知手段および鍋側面温度検知手段の出力信号から鍋底および鍋側面の温度を計測する温度計測部を有し、炊飯工程における浸水工程を実行する炊飯器。
【請求項2】
浸水工程の初期において、鍋加熱手段の加熱による鍋側面の温度変化量に基づいて炊飯量を推定する浸水炊飯量判定手段を設けた請求項1に記載の炊飯器。
【請求項3】
加熱手段制御部は、浸水工程の初期において浸水炊飯量判定手段が推定した炊飯量に基づいて浸水工程における鍋加熱手段による通電量を制御する請求項2に記載の炊飯器。
【請求項4】
加熱手段制御部は、浸水工程における鍋側面の温度がでんぷんの糊化温度以下となるように鍋加熱手段の通電量を制御する請求項1〜3のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項5】
炊飯工程における炊き上げ工程において、鍋加熱手段の加熱に対する鍋底および鍋側面の温度変化量に基づき炊飯量を推定する炊き上げ炊飯量判定手段を設けた請求項2〜4のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項6】
鍋側面温度検知手段は、鍋の外側表面または内側表面に非接触で温度検知するようにした請求項1〜5のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項7】
鍋の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において、蓋の下方の空間温度を検知する鍋内温度検知手段を備え、制御手段の温度計測部は鍋内温度検知手段の出力信号から空間温度を計測する請求項1〜6のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項8】
鍋の側面を加熱する鍋側面加熱手段を有し、加熱手段制御部は浸水工程において鍋加熱手段および鍋側面加熱手段の通電を制御する請求項1〜7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項9】
ご飯のかたさを設定するかたさ設定手段を有し、加熱手段制御部は浸水工程において鍋加熱手段および鍋側面加熱手段の通電を設定されたかたさに連動させて制御する請求項1〜8のいずれか1項に記載の炊飯器。
【請求項10】
米の種類や新鮮度を入力する米種入力手段を有し、加熱手段制御部は浸水工程において鍋加熱手段および鍋側面加熱手段の通電を入力された米種に連動させて制御する請求項1〜7のいずれか1項に記載の炊飯器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用あるいは業務用の炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器における炊飯工程は、米に水を吸収させる浸水工程、吸水した米に熱を加え米内のでんぷんを糊化させる炊き上げ工程や沸騰維持工程(これをまとめて炊き上げ工程ともいう)、および鍋内に残った余分な水分を除去するとともにさらに糊化を促進させる蒸らし工程からなっている。そして、鍋の底面と側面の温度を検知して、浸水工程の温度変化から炊飯量を判定し、その結果から炊き上げ工程での加熱量を調整するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第2742844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来の構成では、浸水工程の温度変化から炊飯量を判定するものであって、浸水工程での加熱量を炊飯量に応じて制御するものではないので、むら無く適切な吸水を行わせることができないものである。
【0004】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、炊飯工程の浸水工程の早い段階で炊飯量を判定し、適切な浸水工程を実行し、米の芯まで適度な吸水と加熱によりおいしいご飯に炊き上げることができる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、鍋と、前記鍋を覆う蓋と、前記鍋の底部を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の底面の温度を検知する鍋底温度検知手段と、前記鍋の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において前記鍋の側面の温度を検知する鍋側面温度検知手段と、前記鍋加熱手段の通電を制御する加熱手段制御部を有する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記鍋底温度検知手段および鍋側面温度検知手段の出力信号から鍋底および鍋側面の温度を計測する温度計測部を有し、炊飯工程における浸水工程を実行するものである。
【0006】
これによって、浸水工程において鍋および収納された調理物の温度が上昇すると、鍋底温度検知手段と鍋側面温度検知手段の出力信号から鍋底温度および鍋側面温度を計測し、その結果に基づいて鍋加熱手段の通電量を制御する。このことで、浸水工程における鍋および調理物の温度過昇による吸水低下を起こさず、適切な浸水工程を実行し、米の芯まで適度な吸水と加熱によりおいしいご飯に炊き上げることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の炊飯器は、米の芯まで適度な吸水と加熱によりおいしいご飯に炊き上げることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、鍋と、前記鍋を覆う蓋と、前記鍋の底部を加熱する鍋加熱手段と、前記鍋の底面の温度を検知する鍋底温度検知手段と、前記鍋の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において前記鍋の側面の温度を検知する鍋側面温度検知手段と、前記鍋加熱手段の通電を制御する加熱手段制御部を有する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記鍋底温度検知手段および鍋側面温度検知手段の出力信号から鍋底および鍋側面の温度を計測する温度計測部を有し、炊飯工程における浸水工程を実行する炊飯器とすることにより、浸水工程において鍋および収納された調理物の温度が上昇すると、鍋底温度検知手段と鍋側面温度検知手段の出力信号から鍋底温度および鍋側面温度を計測し、その結果に基づいて鍋加熱手段の通電量を制御する。これにより、浸水工程における鍋および調理物の温度過昇による吸水低下を起こさず、適切な浸水工程を実行し、米の芯まで適度な吸水と加熱によりおいしいご飯に炊き上げることができる。
【0009】
第2の発明は、特に、第1の発明において、浸水工程の初期において、鍋加熱手段の加熱による鍋側面の温度変化量に基づいて炊飯量を推定する浸水炊飯量判定手段を設けたことにより、鍋側面温度検知手段で収納された調理物、特に水位より上方で鍋の温度を検知するので、鍋の内側で水面がどの高さにあるかどうか、その炊飯量に関わらず、鍋および調理物の平均的な温度上昇を計測できる。その結果、炊飯量によって鍋側面の単位時間当たりの温度変化、すなわち温度上昇速度は、炊飯量が大きい場合に小さくなり、制御手段の浸水炊飯量判定手段により炊飯量が判定される。制御手段は判定された浸水炊飯量に応じて、以後の浸水工程での鍋加熱手段の通電量や浸水時間、炊き上げ工程の鍋加熱手段の通電量などを変更し、最適に炊き上げるものである。
【0010】
第3の発明は、特に、第2の発明において、加熱手段制御部は、浸水工程の初期において浸水炊飯量判定手段が推定した炊飯量に基づいて浸水工程における鍋加熱手段による通電量を制御することにより、浸水工程で炊飯量が最大量(例えば5カップ)である場合は、鍋加熱手段の通電量を中間量(例えば3カップ)より増大させ、調理物の温度上昇を増大し、高温度での浸水状態が必要時間は確保される。また、炊飯量が最小量(例えば1カップ)であれば、鍋加熱手段の通電量を中間量(例えば3カップ)より減少させ、調理物の温度上昇を抑制し、高温度での浸水状態が必要時間となるように調整される。よって、ほぼ一定時間の浸水工程において、炊飯量に関わらずに、適切な吸水を行うので、いつもおいしく炊き上げることができる。
【0011】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、加熱手段制御部は、浸水工程における鍋側面の温度がでんぷんの糊化温度以下となるように鍋加熱手段の通電量を制御することにより、浸水工程で鍋加熱手段により鍋および調理物を加熱し、調理物を適度に温度上昇させることで、米の吸水が早くなるが、鍋側面温度がでんぷんの糊化温度以下となるように加熱手段の通電量を制御することで、鍋および調理物の平均温度が糊化温度以下に制御されるので、浸水工程で米表面での糊化による吸水の低下が生じない。したがって、芯まで吸水し、ふっくらとしたご飯に炊き上げることができる。また、鍋側面温度がでんぷんの糊化温度以下となる範囲で、鍋加熱手段の通電量をぎりぎりまで増大させ、高温での浸水時間を確保することで、浸水工程の時間短縮ができて、短時間でおいしく炊き上げることができる。
【0012】
第5の発明は、特に、第2〜第4のいずれか1つの発明において、炊飯工程における炊き上げ工程において、鍋加熱手段の加熱に対する鍋底および鍋側面の温度変化量に基づき炊飯量を推定する炊き上げ炊飯量判定手段を設けたことにより、高精度に炊飯量を判定できる。すなわち、炊き上げ工程の初期において、浸水炊飯量判定手段の結果に基づいて調整された加熱量の鍋加熱手段で鍋を加熱する。加熱が制御された浸水工程においては、炊飯量および鍋加熱手段の加熱量の差異によって鍋底および鍋側面の温度変化量の絶対値は異なるものの、調理物の温度はむら無くより一定温度に制御される。均一化された調理物を加熱する炊き上げ工程では、さらに高精度に炊飯量を判定でき、沸騰維持工程や蒸らし工程で最大の加熱量を投入できるので、甘みとツヤのあるおいしいご飯に炊き上げる。
【0013】
第6の発明は、特に、第1〜第5のいずれか1つの発明において、鍋側面温度検知手段は、鍋の外側表面または内側表面に非接触で温度検知するようにしたことにより、鍋側面温度検知手段を、例えば赤外線反射を利用するなど、鍋の外側表面にも内側表面にも押し付けられない構造とすることにより、鍋の側面に外力が加わらない。鍋が所定の位置に収納されて、鍋加熱手段や鍋側面加熱手段と鍋との距離が変動しないので、鍋に必要な加熱量が一定量だけ供給できて、ご飯の炊き上がりが安定する。
【0014】
第7の発明は、特に、第1〜第6のいずれか1つの発明において、鍋の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において、蓋の下方の空間温度を検知する鍋内温度検知手段を備え、制御手段の温度計測部は鍋内温度検知手段の出力信号から空間温度を計測することにより、鍋内温度検知手段により鍋内空間の温度が計測され、浸水工程の初期においては鍋側面の温度上昇と同様の温度上昇を示し、浸水炊飯量判定手段の判定精度を向上する。また、炊き上げ工程や蒸らし工程や保温において、蓋が開放されるなど、急激な温度変化を検出すると、炊飯工程では炊飯量に応じて加熱量を調整したり、保温では鍋側面や内蓋の温度を調整したりすることで、おいしく炊き上げ、おいしく保温することができる。
【0015】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、鍋の側面を加熱する鍋側面加熱手段を有し、加熱手段制御部は浸水工程において鍋加熱手段および鍋側面加熱手段の通電を制御することにより、鍋底温度検知手段と鍋側面温度検知手段とを用いて、下部の鍋底と上部の鍋側面の温度を計測することで、鍋内の調理物の温度や分量を判定し、調理物の状態に応じて、下部の鍋加熱手段と上部の鍋側面加熱手段の通電を制御するものであり、それぞれの通電量を調整したり、交互に通電したりするなどにより、調理物の温度を浸水工程において所定の至適温度に維持することができるものである。
【0016】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、ご飯のかたさを設定するかたさ設定手段を有し、加熱手段制御部は浸水工程において鍋加熱手段および鍋側面加熱手段の通電を設定されたかたさに連動させて制御することにより、かたさ設定手段によりご飯のかたさが設定されると、制御手段にて浸水工程における温度と時間を変化させて米の吸水を調節するものである。すなわち、鍋底および鍋側面の温度を計測する温度計測部によって、浸水工程において調理物の分量、炊飯量に関わらず調理物の温度を計測し、適切な温度に制御することで吸水を制御するものであり、必要なかたさで炊き上げる。
【0017】
第10の発明は、特に、第1〜第9のいずれか1つの発明において、米の種類や新鮮度を入力する米種入力手段を有し、加熱手段制御部は浸水工程において鍋加熱手段および鍋側面加熱手段の通電を入力された米種に連動させて制御することにより、米種入力手段により米(白米、玄米、無洗米)や新鮮度(新米、普通米、古米)などが入力されると、予め記憶手段に記憶された各米種や新鮮度に応じた温度上昇速度で浸水工程を実行することにより、芯が残らない適切なかたさに炊き上げることができる。すなわち、鍋底および鍋側面の温度を計測する温度計測部によって、浸水工程で調理物の分量、炊飯量に関わらず調理物の温度を計測し、米種や新鮮度に合わせて適切な温度に制御することで芯まで吸水するものであり、米の状態に合わせておいしく炊き上げることができる。
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態1)
図1〜図5は、本発明の実施の形態1における炊飯器を示すものである。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態における炊飯器は、米や水などの調理物を収容し炊飯器本体15に着脱自在に装備される鍋1と、炊飯器本体15の上面を覆い蓋ヒンジ5、蓋ロック6とで開閉自在に装備した蓋4と、鍋1の底面に設けられ鍋1底部を加熱する加熱コイルなどの鍋加熱手段2と、鍋1の側面に設けられ鍋1側部を加熱する加熱コイルなどの鍋側面加熱手段3と、鍋1の底面の温度を検知する鍋底温度検知手段9と、鍋1の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において鍋側面の温度を検知する鍋側面温度検知手段10と、鍋加熱手段2および鍋側面加熱手段3の通電を制御する加熱手段制御部14aを有する制御手段14とを備えている。
【0021】
そしてまた、前記制御手段14は、鍋底温度検知手段9および鍋側面温度検知手段10の出力信号から鍋底および鍋側面の温度を計測する温度計測部14bを有し、炊飯工程における浸水工程を実行するようにしている。
【0022】
また、蓋4は、蓋4の下部を構成する蓋カバー4aと、蓋カバー4aに着脱自在に設けられ蓋4が閉じられた状態のとき鍋1の開口部を覆う内蓋7と、内蓋7を誘導加熱する加熱コイルなどの内蓋加熱手段8と、内蓋7の温度を検知する加熱板温度検知手段11とを有している。蓋4が閉じられた状態のとき、鍋1と内蓋7の間には隙間ができるが、その隙間は内蓋7に取り付けられたループ状のパッキン7bで封止され、鍋1内は密閉される。
【0023】
また、蓋4には圧力調整手段12が設けられている。これは、内蓋7に設けられた鍋1内の蒸気を放出する蒸気孔7aと、球状の弁体12aを移動させて蒸気孔7aを開閉する蒸気孔開閉手段12bと、鍋1内の圧力を検知する圧力検知手段12cとにより構成され、蒸気孔7aを閉じて鍋1内に蒸気を充満させることより鍋1内の圧力を大気圧以上にし、蒸気孔7aを開放して蒸気孔7aと蓋4に設けられた第2の蒸気孔13とで構成される蒸気通路を通じて鍋1内の蒸気を機外へ放出することにより、鍋1内の圧力を大気圧と同等にする。
【0024】
また、制御手段14は、炊飯器本体15の前面に設けられた入力操作部16により入力された信号、および記憶手段(図示せず)に記憶された値などに基づいて、炊飯工程を実行する。炊飯工程において、加熱手段制御部14aは鍋底温度検知手段9、鍋側面温度検知手段10、内蓋温度検知手段11の検知信号に基づいて鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段8を制御する。
【0025】
入力操作部16は、使用者が所望の運転コースなどを設定したり炊飯工程などをスタートさせたりするときに操作されるものであり、図2に示すように、炊飯スイッチ16a、ご飯のかたさを設定するかたさ設定手段16b、米の種類や新鮮度を入力する米種入力手段16cなどの各スイッチと、表示部17を有している。表示部17は、炊飯終了時や選択されたコースなどを表示するメイン表示部17a、炊飯実行中であることを示す炊飯ランプ17b、保温工程中であることを示す保温ランプ17c、再加熱工程中であることを示す再加熱ランプ17d、圧力運転中であることを示す圧力ランプ17eなどを有している。
【0026】
次に、図3に基づき、上記炊飯器における炊飯工程の各工程について説明する。
【0027】
炊飯工程は、所定時間(t1−t0)の浸水工程A1、所定時間(t3−t1)の炊き上げ工程A2、および所定時間(t4−t3)の蒸らし工程A3の順で構成される。続いて保温工程を行うものである。
【0028】
炊飯とは、含水率15%前後の米に水を加え、加熱し、人間の胃が消化できる含水率65%前後のご飯に仕上げることである。炊飯時間を短縮すると、かたくて粘りがなくパサパサしたご飯に炊き上がってしまう。これは、米の約70%を占めるでんぷんの糊化が十分に行われていないことに起因する。でんぷんは、アミロースとアミロペクチンが固く結合した構造となっているため水を与えただけでは糊化は行われないが、吸水した状態のでんぷんを加熱すると、アミロースとアミロペクチンの分子運動が活発化し、アミロース、アミロペクチンの結合が崩れ、その間に水の分子が入り込み、糊化が行われる。
【0029】
すなわち、水が吸収されたでんぷんを加熱することにより糊化を行うものであり、米の含水率を早く高めることにより炊飯時間を短縮することもできる。しかしながら浸水工程A1において常温程度の水を米に供給して長時間放置しても含水率は30%前後までしか上がらない。前述したように常温ではアミロースとアミロペクチンの結合間に水分子が入りにくく、また、米内に存在するデンプンはヘミセルロースやセルロースなどで構成される細胞壁に囲まれているためデンプンが吸水しにくいためである。
【0030】
そこで、浸水工程A1において鍋加熱手段2により鍋1を加熱し、常温よりも高温の水とすることで、水が持つ熱により吸水しやすくすることが一般的である。もちろん、でんぷんが糊化し始める60℃以上の熱水で浸水すると、米表面が先に糊化してしまい水が米内部に浸透しにくくなってしまう。そのため、浸水工程A1において鍋加熱手段2の加熱量を制限し、調理物(米と水)の温度を比較的ゆるやかに上昇させ、浸水工程A1の終了時に40℃〜60℃前後に加熱するものである。
【0031】
また、炊き上げ工程A2において、調理物の温度変化速度を鍋底温度検知手段9および鍋側面温度検知手段10の出力信号からの検知信号に基づいて算定し、炊飯量を推定し、その後の沸騰維持工程での鍋加熱手段2による加熱状態を加熱手段制御部14aで制御する。すなわち、制御手段14が、炊飯量が少量、中間量、最大量などに応じて、沸騰中の加熱能力(鍋加熱手段2による加熱量、通電量など)を調整し、沸騰維持工程の運転時間を調整し、蒸らし工程A3を終了したときにご飯の含水率、粘り、弾力などの適度な物性を確保できるように炊き上げるものである。
【0032】
ここで、まず、使用者によって予め洗米した米量に対する所定量の水を鍋1内に表示された炊飯量ごとの水位線に合わせることで収納し、炊飯スイッチ16aを操作することで浸水工程A1が開始する。制御手段14の加熱手段制御部14aにより鍋加熱手段2に通電し、鍋1を加熱する。並行して鍋底温度検知手段9および鍋側面温度検知手段10で鍋1の温度を計測しながら、調理物(米と水)を加熱し、米に吸水させる。
【0033】
図4に浸水工程A1における鍋底および鍋側面の温度を示す。なお、図4に記載された調理物の温度(調理物Aは調理物の底部温度、調理物Bは調理物の上部温度)は、この炊飯器の温度計測部14bでは計測されないが、実験的にはこのような結果であった。また、実際には、鍋加熱手段2は内側と外側の2個の加熱コイルで形成されており、鍋加熱手段2はON−OFFのデューティ制御を行うものであるから、温度は図4のような直線ではなく変動しながら上昇するものである。図4に加えた波線はそのイメージを示すものである。
【0034】
図3に戻り、浸水工程A1を所定時間(t1−t0)行うと、次に炊き上げ工程A2を実行する。炊き上げ工程A2では、浸水工程A1で所定温度に高められた状態の炊飯水および米を鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段8で加熱し、沸騰させる。また、圧力調整手段12により蒸気孔7aを閉じて鍋1内を密閉し、蒸気を充満させて鍋1内の圧力を大気圧よりも高め、炊飯水を100℃以上で沸騰させる。
【0035】
炊き上げ工程A2の加熱途中で、鍋1の温度が60℃前後になるとデンプンの糊化が始まる。この炊き上げ工程A2において、浸水工程A1で芯まで吸水している米は、温度上昇速度を高めて急速に沸騰させながら、さらなる吸水と糊化を促進することができる。また、圧力調整手段12によって蒸気孔7aを閉じた状態で、鍋1内の圧力が大気圧よりも高いため、100℃以上の水で炊き上げることができる。100℃の水で炊く場合に比べて加熱量が増え、玄米などの硬い米も吸水と糊化を促進させることができる。鍋1内の水が沸騰したことを内蓋温度検知手段11が検知すると、沸騰維持工程(t3−t2)に移る。
【0036】
沸騰維持工程では、圧力調整手段12により蒸気孔7aを開放して鍋1内の圧力を大気圧と同等にしながら、沸騰を維持する。沸騰により水が対流するため、熱水が米同士の間を激しく流れることにより、鍋1内の米全体に水と熱がまんべんなく供給され糊化が促進される。また、鍋1内の水が蒸発すると、蒸気孔7aが開放されたことにより蒸気の流れができ、蒸気は米の間を通過して上昇して蒸気孔7aから炊飯器外へ放出され、蒸気が米の間を通過することによりさらに糊化が促進される。
【0037】
鍋1内の炊飯水が蒸発してほぼ無くなると鍋1の温度が急激に上昇する。この急激な上昇により所定の温度を鍋底温度検知手段9が検知したとき、沸騰維持工程を終了し、次の蒸らし工程A3に移る。
【0038】
すなわち、沸騰維持工程の時間は、浸水工程A1において鍋1内に供給する水量および米の吸水に依存する。浸水工程A1で芯まで吸水させることで、炊き上げ工程A2および沸騰維持工程で放出する蒸気量、すなわち余分な水量を少なくしても、糊化を十分に行ったふっくらしたハリのあるご飯に炊き上げることができる。これにより、炊き上げ工程A2、沸騰維持工程において水を加熱する加熱エネルギーの消費電力量を抑えることもできる。
【0039】
蒸らし工程A3では、再び圧力調整手段12により蒸気孔7aを閉じて鍋1内の圧力を大気圧より高くし、鍋1内に100℃以上の蒸気を充満させる。100℃以上の高温蒸気は細かい粒子となって、鍋1内の米の隙間を通り鍋1内の底部にも行き渡り、米の一粒一粒を包み込む。これにより、ご飯の温度が高温に保たれて糊化がさらに進み、ご飯の甘みと香りが増す。蒸気を鍋1内に充満させながら鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段8により追い炊き加熱を行うので、ご飯の乾燥と焦げを抑えることができ、甘みとツヤのあるおいしいご飯に仕上げることができる。所定時間(t4−t3)の蒸らし工程A3を行った後、鍋1内の温度を所定温度(例えば、70℃前後)に維持する保温工程を行う。
【0040】
次に、図4に基づき、浸水工程A1における動作および作用を中心として詳細に説明する。
【0041】
図に示すように、時刻t0において、使用者が鍋1内に米量に応じた所定量の水を供給し、炊飯スイッチ16aを操作することにより、浸水工程A1を開始する。基本的な動作としては、制御手段14の加熱手段制御部14aの指令により、鍋加熱手段2に通電し、所定時間(t1−t0)だけ米を浸水する。
【0042】
浸水工程A1の初期において、鍋底および鍋側面は最大量の炊飯においても、比較的急速に立ち上がり、米でんぷんが糊化する温度約60℃へと上昇する。ただし、鍋1内の調理物の温度は、鍋1内部の上部(調理物B)でも底部(調理物A)でも、鍋底や鍋側面に若干遅れて温度が上昇する。この段階での調理物の温度は鍋底と鍋側面との中間温度以下、ほぼ平均値以下である。すなわち、制御手段14の温度計測部14bが計測する両温度の平均値が糊化温度を超えないように、加熱手段制御部14aにて鍋加熱手段2を通電する。なお、鍋加熱手段2の通電にあたり、実際には適度な周期でON−OFFを繰り返すものである。このように加熱することで、短時間で温度を高めて浸水するものであり、短時間で米の芯まで吸水される。
【0043】
以上のように、短時間で高温化した浸水工程A1を行うことにより、炊き上げ工程A2開始前に芯まで吸水することができる作用が得られるので、浸水工程A1、炊き上げ工程A2および沸騰維持工程を実行する時間を短くしても、十分に糊化されたご飯に炊き上げることができる。なお、浸水時間を短縮しても、これまでと同等レベルの吸水が行えるので、炊飯時間を短縮できる。
【0044】
また、本実施の形態では、入力操作部16に炊飯するを選択する米種入力手段16aを設け、各米種に適切な浸水工程A1を実行する制御手段14の加熱手段制御部14aの動作を記憶する記憶手段(図示を省略)を備え、選択された米種に応じた浸水条件で浸水工程A1を実行することで、各米種に適切な温度、圧力で炊飯することができる。例えば、玄米の場合は、白米が選択された場合よりも圧力値を高くすることにより、かたさやぱさつきがなく炊き上げることができる。また、軟質米と硬質米、新米と古米、白米と玄米などより細かく米種を選択できるようにすることにより、より各米種に対して適切な炊飯を行うことができる。
【0045】
また、本実施の形態では、浸水工程A1の初期において鍋加熱手段2の加熱に対する鍋1側面の温度変化量に基づき炊飯量を推定する浸水炊飯量判定手段(制御手段14に内蔵されており図示せず)を有すものである。
【0046】
浸水工程A1の初期に鍋加熱手段2で鍋1を加熱し、鍋底温度検知手段9、鍋側面温度検知手段10、内蓋温度検知手段11で鍋1の温度上昇を計測する。収納された調理物、特に最大炊飯量での水位より上方で温度を検知するので、鍋1の内側で水面がどの高さにあるかどうか、その炊飯量に関わらず、鍋1および調理物の平均的な温度上昇を計測できる。図5に示すように、その結果として、炊飯量によって鍋1側面の単位時間当たりの温度変化、すなわち温度上昇速度(deg/min)は炊飯量が大きい場合に小さくなり、制御手段14の浸水炊飯量判定手段により炊飯量が判定可能である。
【0047】
また、制御手段14は判定された炊飯量に応じて、それ以後の浸水時間、炊き上げ工程A2の鍋加熱手段2の通電量などを変更し、最適に炊き上げるものである。鍋加熱手段2は主として鍋1の底面を加熱するが、主として鍋1の側面を加熱する鍋側面加熱手段3を備え、この炊飯量に応じ、特に最大量で炊飯する場合に、制御手段14の加熱手段制御部14aにより鍋加熱手段2と鍋側面加熱手段3を交互に通電することで、浸水工程A1や炊き上げ工程A2での鍋1内の上下の温度むらを低減し、おいしく炊き上げることができる。なお、このことは最小量での鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段8の加熱停止を意味するものではない。
【0048】
また、浸水工程A1の初期において浸水炊飯量判定手段が推定した炊飯量に基づき、加熱手段制御部14aが鍋加熱手段2による通電量を制御してもよいものである。
【0049】
図5より、鍋底の温度変化と調理物の温度変化との関連性が見られず、鍋側面の温度上昇速度により白米の炊飯における炊飯量を推定することができるものであることが分かる。ただし、鍋加熱手段2の加熱はデューティ制御されることが多く、温度は上下に変動しながら、上昇するものであるから、変化を直線近似させ、上昇速度を演算する必要がある。これは一般的なデータ処理手法であり、説明を省略する。
【0050】
浸水炊飯量判定手段によって温度計測部14bの計測値から温度上昇速度を演算し推定された炊飯量によって鍋加熱手段2の通電量を制御するものである。炊飯量が最大量(例えば5カップ)である場合は、鍋加熱手段2の通電量を中間量(例えば3カップ)より増大させ、調理物の温度上昇を増大し、高温度での浸水状態が必要時間確保される。また、炊飯量が最小量(例えば1カップ)であれば、鍋加熱手段2の通電量を中間量(例えば3カップ)より減少させ、調理物の温度上昇を抑制し、高温度での浸水状態が必要時間となるように調整される。
【0051】
このように浸水工程A1で炊飯量に関わらずに、適切な吸水を行うので、いつもおいしく炊き上げることができる。なお、通電量の制御方法としては、鍋加熱手段2を複数個に分割し、通電する加熱手段の個数によって制御したり、同一の鍋加熱手段2への通電量(電流の大小)を制御したり、鍋加熱手段2の通電のON−OFFデューティ制御したりなど、方法は限定するものでない。
【0052】
また、浸水工程A1において鍋1側面温度がでんぷんの糊化温度以下となるように鍋加熱手段2や鍋側面加熱手段3や内蓋加熱手段8の通電量を制御してもよいものである。
【0053】
浸水工程A1で鍋加熱手段2により鍋1および調理物を加熱し、米および水を適度に温度上昇させることで、米の吸水が早くなる。しかしながら表面が糊化すると以後の吸水が減少するものであり、過剰な温度上昇は吸水に適さない。制御手段14の温度計測部14bにて鍋側面温度を計測しながら、この鍋側面温度がでんぷんの糊化温度以下となるように加熱手段制御部14aにて鍋加熱手段2などの通電量を制御することで、鍋1および調理物の平均温度がでんぷんの糊化温度以下に制御されるので、米表面での糊化による吸水の低下が生じないので、芯まで吸水し、ふっくらとしたご飯に炊き上げることができる。
【0054】
なお、鍋1側面温度がでんぷんの糊化温度以下となる範囲で、鍋加熱手段2や鍋側面加熱手段3や内蓋加熱手段8の通電量をぎりぎりまで増大させ、高温での浸水時間を確保することで、浸水工程A1の時間短縮ができて、短時間でおいしく炊き上げることができる。
【0055】
また、炊き上げ工程A2において鍋加熱手段2の加熱に対する鍋1底および鍋1側面の温度変化量に基づき炊飯量を推定する炊き上げ炊飯量判定手段(制御手段14に内蔵されるため図示せず)を設けてもよい。
【0056】
炊き上げ工程A2の初期において、上述の浸水炊飯量判定手段の結果に基づいて調整された加熱量の鍋加熱手段2で鍋1を加熱する。炊飯量および鍋加熱手段2の加熱量により鍋1底および鍋1側面の温度変化量が異なるので、さらに高精度に炊飯量を判定でき、その後の沸騰維持工程や蒸らし工程A3でご飯が焦げ付かない最大の加熱量を投入できるので、甘みとツヤのあるおいしいご飯に炊き上げる。
【0057】
また、鍋側面温度検知手段10は鍋1の外側表面または内側表面に非接触で温度検知するものであってよい。鍋側面温度検知手段10を、例えば赤外線反射を利用するなど、鍋1の外側表面にも内側表面にも押し付けられない構造とすることにより、鍋1の側面に外力が加わらない。鍋が所定の位置に収納されて、鍋加熱手段や鍋側面加熱手段と鍋との距離が変動しないので、鍋に必要な加熱量が一定量だけ供給できて、ご飯の炊き上がりが安定する。
【0058】
また、本実施の形態では詳細な説明を省略しているが、鍋側面温度検知手段10は鍋1の外周面に所定の力で押し付けられるものであり、このため鍋1には中心から位置をずらすような外力が加わる。したがって、鍋側面温度検知手段10とは180度反対方向に鍋1が所定の位置に収納されるような位置規制部材(図示は省略)を設けている。なお、この位置規制部材はもうひとつの鍋側面温度検知手段であってもよいし、鍋側面温度検知手段10と他の2個の位置規制部材とで120度に等分配置してもよく、取り付け構成については何ら限定するものではない。
【0059】
また、本実施の形態における炊飯器では、鍋加熱手段2、鍋側面加熱手段3および内蓋加熱手段8は、誘導加熱によるものを用いているが、それぞれ電気ヒーターやガス燃焼など熱源は何でもよく、鍋加熱手段2以外は設けなくてもよい。また、それぞれが単一のリング形状であってもよく、複数個に分割されてあってもよい。もちろん、個別に通電を制御できる複数個のコイルで構成されてもよい。
【0060】
また、鍋底温度検知手段9、鍋側面温度検知手段10および内蓋温度検知手段11は、通常運転での温度から異常時の高温度までの範囲を検知できるものであれば、どのような検知原理でもよい。
【0061】
また、本実施の形態1における炊飯器では、圧力調整手段12は内蓋7の蒸気孔7aを開閉することにより鍋1内の圧力を調節したが、鍋1内の圧力を制御できるものであればどのようなものでもよい。
【0062】
また、本実施の形態における炊飯器では、最大量5カップと記載しているが、このような鍋側面温度検知手段10については、最大量10カップのものや、さらなる大容量の炊飯器や、最大量で3カップ、1.5カップなどの小容量の炊飯器にも適用できるものであり、その絶対容量を限定するものではない。
【0063】
(実施の形態2)
図6、図7は、本発明の実施の形態2における炊飯器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0064】
本実施の形態における炊飯器は、図6に示すように、実施の形態1における圧力制御手段を備えず、球状の弁体、この弁体を移動させて蒸気孔7aを開閉する蒸気孔開閉手段、鍋1内の圧力を検知する圧力検知手段などが設けていないもので、炊飯工程で大気圧以上に加圧される圧力炊飯方式ではない。
【0065】
本実施の形態での特徴的な動作は、浸水工程A1において図7に示すような鍋加熱手段2および鍋側面加熱手段3の動作にある。
【0066】
米と水を鍋1に収納し、炊飯スイッチ16aを操作して炊飯工程A1を開始すると、制御手段14は鍋加熱手段2に通電し、加熱しながら米に吸水させる浸水工程A1を行う。温度計測部14bは鍋底温度検知手段9と鍋側面温度検知手段10とを用いて、下部の鍋底と上部の鍋側面の温度を計測することで、鍋1内の調理物の温度や分量を判定する。加熱手段制御部14aは調理物の状態に応じて、下部の鍋加熱手段2と上部の鍋側面加熱手段3の通電を制御するものである。それぞれを交互に通電し、鍋1の上部と下方から加熱し、調理物の温度を浸水工程A1において所定の温度に維持することができるものである。調理物の分量が多い場合には上部の鍋側面加熱手段3の通電量を増大させ、分量が少ない場合には上部の鍋側面加熱手段3の通電量を減少させ、調理物を短時間で温度上昇させ、より均一に米の糊化温度である約60℃以下に制御するものであり、ムラなく吸水するので、浸水時間の短時間化が図ることができる。
【0067】
なお、本実施の形態における炊飯器の浸水工程A1の作用は、圧力炊飯方式であっても同様の作用が得られることはいうまでもない。
【0068】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3における炊飯器を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0069】
本実施の形態における炊飯器は、図に示すように、鍋1の最大炊飯量を示す水位線よりも上方において、内蓋7の下方の空間温度を検知する鍋内温度検知手段18を備え、制御手段14の温度計測部14bは鍋内温度検知手段18の出力信号から鍋1内空間の温度を計測するものである。
【0070】
鍋内温度検知手段18により鍋1内空間の温度が計測され、浸水工程A1の初期においては鍋1側面の温度上昇と同様の温度上昇を示し、浸水炊飯量判定手段の判定精度を向上するものである。
【0071】
また、炊き上げ工程A2や蒸らし工程A3や保温において、蓋4が開放された場合など、鍋1内空間の急激な温度変化を検出するので、炊飯工程では炊飯量に応じて鍋加熱手段2や鍋側面加熱手段3や内蓋加熱手段8の加熱量を調整する(通常はこれらの通電量を追加する)。保温では鍋加熱手段2や鍋側面加熱手段3や内蓋加熱手段8の通電により鍋1側面や内蓋4の温度を調整する(通常は通電量を追加する)ことで、結露によるご飯の白化防止や調理物の温度低下防止により、おいしく炊き上げ、おいしく保温することができる。
【0072】
また、炊飯器では、炊き上げ工程A2の温度上昇速度を変化させることによりかたさを調節することが行われているが、本実施の形態の炊飯器で、かたさ設定手段16bで炊き上がりのかたさが設定された場合に、制御手段14にて浸水工程A1や沸騰維持工程の温度と時間を変化させて米の吸水量を調節することができる。「かため」が設定された場合は浸水工程A1で温度を下げて時間を短くし、「やわらかめ」が設定された場合は温度を上げて時間を長くすることにより同様の効果を奏することができる。
【0073】
すなわち、鍋1底および鍋1側面の温度を計測する温度計測部14bを有するものであるから、浸水工程A1で調理物の分量、炊飯量に関わらず調理物の温度を計測できるので、適切な温度に制御することで吸水を制御するものであり、必要なかたさで炊き上げることができるものである。
【0074】
また、入力操作部16に炊飯する米種(白米、玄米、無洗米)や新鮮度(新米、普通米、古米)などを選択する米種入力手段16cを設け、記憶手段に、各米種や新鮮度に適切な温度上昇速度をそれぞれ記憶しておき、選択された米種や新鮮度に応じた温度上昇速度で浸水工程A1を実行することにより、芯が残らない適切なかたさに炊き上げることができる。すなわち、鍋1底および鍋1側面の温度を計測する温度計測部14bを有するものであるから、浸水工程A1で調理物の分量、炊飯量に関わらず調理物の温度を計測できるので、米種や新鮮度に合わせて適切な温度に制御することで芯まで吸水するものであり、適度なかたさで炊き上げることができるものである。
【0075】
なお、各実施の形態1〜4における糊化温度はでんぷんの種類や粒の大小、その測定方法により異なるものであるが、米は透明度法で60℃、示差熱分析法で69℃とされる。糊化温度以下で長時間浸水することを温水処理とも呼ばれ、この場合の管理温度は50℃〜55℃である。上記の実施の形態において、糊化温度以下で浸水工程A1を行うにあたり、炊飯のコースによって、米の種類や新鮮度によって、米に含まれる酵素の至適温度を含めた40℃〜60℃で浸水させるものである。
【0076】
なお、各実施の形態1〜4における調理物の温度を直接計測する調理物計測手段を1個または複数個設けて、制御手段14の温度計測部14bで測定し、さらに加熱量を実測データで補正してもよいものである。
【0077】
なお、各実施の形態1〜4においては、浸水工程A1でむらの無い加熱と吸水を行うものの、炊飯量に応じて調理物の温度上昇を制御し、高温度での浸水状態が必要時間となるように調整することで、ほぼ一定時間の浸水工程A1を実行し、炊飯時間を一定にできたり、炊飯量に応じて、少量であれば温度上昇が増大したりするので浸水工程A1を短縮し、炊飯時間が短縮できたりなど、炊飯時間が種々に設定できるものである。
【0078】
なお、各実施の形態1〜4における手段は、一つの炊飯器に実装することができ、それぞれの手段による効果を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、米の芯まで適度な吸水と加熱によりおいしいご飯に炊き上げることができるので、家庭用あるいは業務用の炊飯器に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の断面図
【図2】同炊飯器の入力操作部を示す平面図
【図3】同炊飯器の炊飯工程の温度チャート
【図4】同炊飯器の浸水工程における温度チャート
【図5】同炊飯器の浸水工程における炊飯量と温度上昇速度の関係を示すグラフ
【図6】本発明の実施の形態2における炊飯器の断面図
【図7】同炊飯器の浸水工程における加熱手段の動作を示すタイムチャート
【図8】本発明の実施の形態3における炊飯器の断面図
【符号の説明】
【0081】
1 鍋
2 鍋加熱手段
4 蓋
7 内蓋
8 内蓋加熱手段
9 鍋底温度検知手段
10 鍋側面温度検知手段
11 内蓋温度検知手段
12 圧力調整手段
14 制御手段
14a 加熱手段制御部
14b 温度計測部
15 炊飯器本体
16 入力操作部
16b かたさ設定手段
16c 米種入力手段
18 鍋内温度検知手段
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年9月14日(2006.9.14)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−67899(P2008−67899A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−249066(P2006−249066)