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【発明の名称】 調理器
【発明者】 【氏名】中西 邦行

【要約】 【課題】調理物の冷却を効果的に行うとともに保温した調理物の劣化を防ぎ保温性能を向上させた調理器を提供することを目的とする。

【構成】鍋2を加熱する加熱手段7と、鍋の開口部を覆う蓋3と、水を蒸発させて蒸気を供給する蒸気発生手段5と、鍋2と蒸気発生手段5とを連通接続する蒸気経路6と、加熱手段7および蒸気発生手段5とを制御する制御手段9とを備え、蒸気経路6には空気を導入する空気導入手段20を設け、鍋2内に蒸気とともに空気を導入するようにしたものである。これによって、蒸気と空気を混合して鍋内に供給でき、調理物の冷却を効果的に行うとともに、調理物の乾燥による劣化を防ぎ保温性能を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、水を蒸発させて蒸気を供給する蒸気発生手段と、前記鍋と前記蒸気発生手段とを連通接続する蒸気経路と、前記加熱手段および前記蒸気発生手段とを制御する制御手段とを備え、前記蒸気経路には空気を導入する空気導入手段を設け、前記鍋内に蒸気とともに空気を導入するようにした調理器。
【請求項2】
空気導入手段は、蒸気に対して一定の割合の空気を加える空気量調整手段を備えた請求項1に記載の調理器。
【請求項3】
空気導入手段は、ノズル形状部からなる請求項1または2に記載の調理器。
【請求項4】
空気導入手段は、外気の導入を制御する開閉手段を備えた請求項1〜3のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項5】
制御手段は、調理中は開閉手段を閉じて外気の導入を遮断する請求項4に記載の調理器。
【請求項6】
開閉手段は、逆止弁からなる請求項4または5に記載の調理器。
【請求項7】
開閉手段は、ノズル形状部の一部を形成し、開放するとノズル形状部を形成し、閉止するとノズル形状部を解除するよう構成した請求項4〜6のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項8】
空気溜め部を備え、空気導入手段は前記空気溜め部の空気を導入する請求項1〜7のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項9】
制御手段は、保温開始後一定時間経過した後に蒸気発生手段を動作させる請求項1〜8のいずれか1項に記載の調理器。
【請求項10】
空気溜め部温度検知手段を備えた請求項8に記載の調理器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、調理終了後に自動的に保温に移行するジャー炊飯器などの調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ジャー炊飯器などにおいて、炊き上がったご飯をおいしく保存するには、できるだけ低温で維持してご飯の劣化を進めないようにする必要がある。一方、あまり低温にすると細菌が繁殖するなど衛生的な問題が生じるので、一定の保温温度(例えば75℃)でご飯を維持するのがよいとされている。しかし、炊飯直後はどうしても鍋内が100℃と高温状態になっており、ご飯の劣化が進んでしまう。そこで、炊飯終了後、ファンによる外気流入によって素早く保温温度まで冷却することで、保温ご飯の劣化をできるだけ防ぐようにしている。
【0003】
そのための具体方法としては、ファンによる外気を鍋の外面に沿って供給し鍋を冷却する方法(例えば、特許文献1参照)や、ファンによる外気を鍋内に直接供給してご飯を急冷する方法(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【特許文献1】特許第2909795号公報
【特許文献2】特許第3471676号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の外気を鍋の外面に沿って供給する方法では、間接的にご飯を冷却するため冷却効果は少ない。また、外気を鍋内に直接供給してご飯を急冷する方法では、鍋内のご飯の温度は低下するが、ご飯の水分が空気中に移動し、特に表面近傍のご飯の水分が欠乏して乾燥するので、食味が著しく低下してしまうものである。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、調理物の冷却を効果的に行うとともに保温した調理物の劣化を防ぎ保温性能を向上させた調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の調理器は、鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、水を蒸発させて蒸気を供給する蒸気発生手段と、前記鍋と前記蒸気発生手段とを連通接続する蒸気経路と、前記加熱手段および前記蒸気発生手段とを制御する制御手段とを備え、前記蒸気経路には空気を導入する空気導入手段を設け、前記鍋内に蒸気とともに空気を導入するようにしたものである。
【0007】
これによって、蒸気と空気を混合して鍋内に供給し、調理物の冷却を効果的に行うとともに、調理物の乾燥による劣化を防ぎ保温性能を向上させることができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の調理器は、調理物の冷却を効果的に行うとともに保温した調理物の劣化を防ぎ保温性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、鍋と、前記鍋を加熱する加熱手段と、前記鍋の開口部を覆う蓋と、水を蒸発させて蒸気を供給する蒸気発生手段と、前記鍋と前記蒸気発生手段とを連通接続する蒸気経路と、前記加熱手段および前記蒸気発生手段とを制御する制御手段とを備え、前記蒸気経路には空気を導入する空気導入手段を設け、前記鍋内に蒸気とともに空気を導入するようにした調理器とすることにより、蒸気と空気を混合して鍋内に供給し、調理物の冷却を効果的に行うとともに、調理物の乾燥による劣化を防ぎ保温性能を向上させることができる。
【0010】
第2の発明は、特に、第1の発明において、空気導入手段は、蒸気に対して一定の割合の空気を加える空気量調整手段を備えたことにより、所定の保温温度にまで調理物温度を低下させるのに最適な空気量を調整して混合することができるので、より効率的に調理物温度を低下させることができ、保温した調理物の劣化を防ぎ保温性能を向上させた調理器を提供することが可能となる。
【0011】
第3の発明は、特に、第1または第2の発明において、空気導入手段は、ノズル形状部からなることにより、蒸気の膨張力を利用して空気を混合することができ、ファンなどの機械的な手段が必要でなく、コンパクトに構成できる。したがって、保温性能を向上しつつコンパクトな調理器を提供することが可能となる。
【0012】
第4の発明は、特に、第1〜第3のいずれか1つの発明において、空気導入手段は、外気の導入を制御する開閉手段を備えたことにより、蒸気を供給しない場合に鍋内で発生した蒸気が空気導入口から流出して付近に結露を生じたりすることをなくしお手入れの手間が増加することを低減し、また空気導入口から蒸気が流出することで、鍋内から熱が逃げやすくなることを低減し、調理性能の低下を防いだ調理器を提供することが可能となる。
【0013】
第5の発明は、特に、第4の発明において、制御手段は、調理中は開閉手段を閉じて外気の導入を遮断することにより、調理中には空気を導入せずに加熱蒸気のみを導入して水の凝縮熱を調理物に供給し、供給熱量を増加させることができ、調理性能の向上と保温性能の向上を両立した調理器を提供することが可能となる。
【0014】
第6の発明は、特に、第4または第5の発明において、開閉手段は、逆止弁からなることにより、ソレノイドなど機械的な手段が必要でなく、コンパクトに構成できるので、保温性能を向上しつつコンパクトな調理器を提供することが可能となる。
【0015】
第7の発明は、特に、第4〜第6のいずれか1つの発明において、開閉手段は、ノズル形状部の一部を形成し、開放するとノズル形状部を形成し、閉止するとノズル形状部を解除するよう構成したことにより、開閉手段を閉じて蒸気を投入する際に蒸気がノズル形状部を通る際に生じる負圧によって蒸気経路や開閉手段などが変形しやすくなることを低減することができ、信頼性の高い調理器を提供することが可能となる。
【0016】
第8の発明は、特に、第1〜第7のいずれか1つの発明において、空気溜め部を備え、空気導入手段は前記空気溜め部の空気を導入することにより、加熱調理工程(炊き上げ工程)以降は空気溜め部で空気は約100℃近くまで加熱されるので、調理中に蒸気と空気を混合して投入する際には、混合気体の温度は約100℃で投入することができる。したがって、鍋内の雰囲気を高温に保つことができ、さらに調理性能を向上させた調理器を提供することが可能となる。
【0017】
第9の発明は、特に、第1〜第8のいずれか1つの発明において、制御手段は、保温開始後一定時間経過した後に蒸気発生手段を動作させることにより、調理後一定時間(例えば30分)中はあつあつの調理物がすぐに食べられるように調理物の冷却は行わず、それ以降は調理物を冷却して保温劣化を低減することで、使い勝手のよい調理器を提供することが可能となる。
【0018】
第10の発明は、特に、第8の発明において、空気溜め部温度検知手段を備えたことにより、蒸気に混合する空気温度を正確に知ることができるので、この情報を元に空気の混合率を変化させてさらに効率よく保温調理物を冷却することが可能となり、保温性能をさらに向上した調理器を提供することが可能となる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における調理器としてジャー炊飯器を例示している。以下、ジャー炊飯器について説明する。
【0021】
調理器本体1は、内部に米と水を収納する鍋2と、鍋2を覆う蓋3と、蓋3に固定され鍋2開口部を密閉する内蓋4と、蒸気を発生させる蒸気発生手段5と、発生した蒸気を鍋2まで誘導する蒸気経路6とを備えている。
【0022】
調理器本体1内には、鍋2を誘導加熱するための加熱手段7と、鍋2の温度を測定するためにバネ(図示せず)により鍋2底に付勢して当接された鍋温度検知手段8と、制御手段9とが設置されている。蓋3には鍋2内の余分な蒸気を調理器本体1外へと排出するための蒸気筒10と、内蓋4の温度を検知する蓋温度検知手段11と、内蓋4を加熱するための蓋加熱手段12が設置されている。内蓋4には、蒸気投入孔13を設けている。
【0023】
蒸気経路6は蓋3内に着脱自在に取り付けられており、蒸気発生手段5と鍋2とを連通接続している。
【0024】
蒸気発生手段5は着脱可能な略円筒形の水容器14と、水容器14を誘導加熱する水容器加熱手段15と、水容器14を収納する水容器収納部16と、水容器14の温度を検知する水量検知手段17から構成されており、水容器加熱手段15および水量検知手段17は水容器収納部16に固定されている。
【0025】
蓋3内部には送風ファン18を設けており、送風ファン18により発生した風は送風経路19を通過して蒸気経路6へと入り込み、蒸気発生手段5により発生した蒸気と混合されて鍋2内に投入される。送風経路19は送風ファン18により発生した風が蒸気発生手段5側に逆流せず、鍋2側にスムーズに空気が流れるように、蒸気経路6近傍の送風経路19は鍋2側に傾斜している。空気導入手段20は送風ファン18と送風経路19とからなり、蒸気に対して一定の割合の空気を加える空気量調整手段21を備えている。空気量調整手段21は制御手段9で構成されている。
【0026】
以上のように構成されたジャー炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0027】
まず、使用者は鍋2内に調理物である所定の米と水をセットし、炊飯開始ボタン(図示せず)を押下することで、炊飯工程が開始される。炊飯工程は、水を一定温度に保って米に水を吸収させる浸せき工程、鍋2を加熱手段7により一気に加熱し、鍋2内の水を沸騰状態にする炊き上げ工程、鍋2内の水がほとんどなくなった状態で加熱を抑える蒸らし工程からなり、これらの工程の間に米の糊化を進めて炊飯する。制御手段9は鍋温度検知手段8により鍋2の温度に応じて最適に加熱手段7を制御し、あらかじめ決められた炊飯シーケンスに従って炊飯を行う。炊飯シーケンスは米の種類などによって複数のコースが準備されている。この蒸らし工程が終了すると炊飯が終了し、自動的に保温工程へと移行し、炊き上がったご飯の温度が低下しないようにして、使用者はいつでも温かいご飯を得ることができる。
【0028】
炊飯開始ボタン(図示せず)を押下して炊飯が開始されると、まず米に水を吸収させる浸せき工程が始まる。制御手段9は、加熱手段7により鍋2を加熱し、鍋2内の水の温度を鍋温度検知手段8によって検知し、米の糊化が始まらない温度(約60℃未満)に調整して米の吸水を促進する。また、炊飯初期に制御手段9は水容器加熱手段15を動作させて水容器14を加熱し、水量検知手段17により検知した水容器14の昇温速度によって水容器14の水量を検知し、十分な水量と検知できた場合のみ、蒸気を用いた炊飯を行う。
【0029】
炊き上げ工程では、米に水と熱を加えて糊化を進行させる。制御手段9は、加熱手段7を動作させて鍋2を急速に加熱し、鍋2内の水を沸騰状態とする。
【0030】
蒸らし工程では、米に付着した余分な水分を蒸散させながら、鍋2内を高温状態(約100℃の状態)に維持して糊化をさらに進展させる。この工程では、ご飯が焦げない範囲でできるだけ高温状態に維持することで糊化がさらに進展しておいしいご飯が得られる。制御手段9は水容器加熱手段15を動作させ、水容器14を加熱して水容器14内の水を蒸発させる。発生した蒸気は蒸気経路6および蒸気投入孔13を通って、鍋2に供給される。さらに制御手段9は蓋加熱手段12を動作させて、内蓋4によって蒸気を加熱してから鍋2に投入することができる。制御手段9は、水容器加熱手段15を動作させた後に送風ファン18を動作させる。送風ファン18によって発生した風は送風経路19を通過して蒸気経路6で蒸気と混合され、その混合気体が内蓋4で加熱された後、鍋2内に投入される。制御手段9は、所定の時間が経過すると水容器加熱手段15の動作を停止させ、同時に送風ファン18の動作も停止させる。また、制御手段9は、水容器14内に水がなくなっても加熱しつづける空焼き状態の防止のために、水量検知手段17により水容器14の温度が水の沸騰温度を超えないかどうかを検知する空焼き検知を実施している。
【0031】
また、保温工程が開始されると、制御手段9は水容器加熱手段15および送風ファン18を動作させる。これにより空気と蒸気との混合気体が鍋2内に投入される。この混合気体は100℃の蒸気に外気を混入しているので、100℃未満の温度になっている。混合気体を投入し始めた頃は、調理器本体1内部の加熱された空気を混入させるので温度が高め(例えば約95℃)であるが、調理器本体1内部の空気を投入し終わると、調理器本体1外部の空気を投入することになるので温度は低め(例えば60℃)に変化する。制御手段9は鍋温度検知手段8および蓋温度検知手段11により鍋2内の温度を検知し、所定の温度を検知すると制御手段9は水容器加熱手段15および送風ファン18を停止させる。
【0032】
また、ご飯温度を約60℃に維持する保温コースが存在し、この保温コースでは細菌の増殖を抑えるために一定時間(例えば5時間)毎に一定温度(例えば85℃)にまで加熱する間欠加熱工程を有している。この間欠加熱工程において、制御手段9は加熱手段7を動作させて鍋2を加熱し、ご飯を底から加熱するのに加えて、水容器加熱手段15および送風ファン18を動作させて、鍋2からの加熱が届きにくいご飯上面を混合気体で加熱する。通常、保温工程中に蒸気を投入する場合には、蒸気が内蓋4や鍋2によって冷やされて内蓋4や鍋2に結露しないように内蓋4や鍋2を加熱した後に蒸気を投入する。蒸気の結露温度は100℃であり、100℃以下の物体に触れると結露が生じる。しかし、蒸気に空気を混合することで、結露温度を低下させることができるので、内蓋4や鍋2を事前に予熱しなくても結露が生じにくくなる。
【0033】
なお、蒸気と混合するための空気は調理器本体1内の空気を利用する。よって炊飯中であれば、調理器本体1内の空気は基板や加熱手段7などの発熱部品によって加熱されているため、非常に高い温度(例えば約100℃)となると考えられる。また、保温中であれば、調理器本体1内の空気も低い温度(例えば約40℃)となっていると考えられる。このように、蒸気に混合する空気の温度は調理器本体1の温度に影響を受ける。混合空気の投入が続いて、調理器本体1内の空気が不足すると自然に外気が流入する構成となっている。
【0034】
以上のように、本実施の形態においては、炊飯後に蒸気と空気との混合気体を供給することで、ご飯の水分を奪わずに直接混合気体がご飯の熱を奪うことが可能となるので、炊飯直後のご飯が高温になる時間を低減することができ、高温状態にあるために生じる黄変や乾燥などのご飯の劣化を低減して、保温性能を向上した調理器を提供することが可能となる。
【0035】
また、消費電力を増やして蒸発量を増加させなくても、蒸気に空気を混合した気体を投入して投入する気体量を増加させることができるので、炊飯時に混合気体を投入すると、より混合気体がご飯の底部まで届きやすくなり、鍋内をより素早く高温状態にすることが可能となるので、炊飯性能を向上させることが可能となる。
【0036】
また、蒸気に空気を混合した気体を投入して投入する気体量を増加させることができるので、従来よりも少ない消費電力でも鍋内に同等の気体を投入することが可能で、省エネルギー性を向上させることが可能である。
【0037】
また、保温工程の間欠加熱工程において、蒸気と空気との混合気体を投入することで結露温度を低下させることができるので、鍋や内蓋に生じる結露を低減し、保温ご飯に結露が付着して水っぽい保温ご飯になることを低減して、保温性能を向上させることが可能となる。
【0038】
また、調理器本体内の空気を利用して空気と蒸気との混合気体を投入するので、調理器本体内にファンなどを動作させることなく外気を流入させることができる。したがって、基板や加熱手段などの調理器本体内の部品を冷却することができ、信頼性を向上することができる。
【0039】
また、鍋周囲の空気を蒸気と混合することで、鍋周囲に大気を導入して鍋温度を低下させることもでき、炊飯直後でも鍋を取り出せるなど使い勝手を向上させることも可能となる。
【0040】
また、低温の混合蒸気によってご飯を直接冷却することができるので、鍋の外側や加熱手段の周囲に断熱材を設けたり、鍋外側に空気の流入を抑える断熱構成を設けたりしても、炊飯直後に素早くご飯の温度を低減することができ、保温ご飯を劣化させることなく保温性を向上させることができる。さらに省エネルギー性を向上させることが可能となる。
【0041】
なお、本実施の形態においては、送風ファン18の吸気を蓋3内から行っているが、蓋3と調理器本体1との間の空間や鍋2の周囲の空間から吸気するなど、冷却したい部品周辺から吸気するようにすれば、冷却効果が高まる。
【0042】
なお、蒸気経路6と送風経路19との合流場所は本実施の形態に限定されるものではなく、より蒸気発生手段5側に配置するとより空気と蒸気が均一に混ざり、また、より鍋2側に配置すると空気と蒸気が混ざりにくい状態で投入できるので、結露温度を下げたい場合などは均一に混ぜ、蒸気の投入時の勢いだけが必要で蒸気の効果を強く出したい場合は混ざらない状態で投入するなど、必要な効果に合わせて変更するとよい。
【0043】
なお、送風ファン18は本実施の形態においては蓋3内に設けているが、調理器本体1内に設けてもよいし、蓋3下面に露出させて設けるとメンテナンスも可能となるのでよい。また、炊飯時に混合空気を投入する場合に、送風ファン18は水容器加熱手段15の停止とは異なるタイミングで停止させてもよい。
【0044】
なお、制御手段9は送風ファン18に一定の電力を供給して駆動させると送風ファン18の回転数は一定となり、送風量は一定とすることができるので、混合気体の蒸気と空気の成分比をほぼ一定にして空気量の調整が可能となる。この場合、空気量調整手段21により空気量を調整することで、混合気体の温度や結露温度などを一定に制御することが可能となるので、目標のご飯冷却温度に対してより効果的に冷却することが可能となる。また、空気量調整手段21は風量を2段階以上に調整できると、炊飯や保温などそれぞれの工程で必要な効果に合わせた空気量を調整できるのでよい。
【0045】
上記したジャー炊飯器は、本実施の形態における調理器としての一例を示したものであるので、本実施の形態における調理器は、ジャー炊飯器に限らず、蒸気や空気などの気体を用いて調理する他の加熱調理器としても適用できる。これは、以下の各実施の形態においても同じである。
【0046】
(実施の形態2)
図2は、本発明の実施の形態2における調理器としてジャー炊飯器の要部を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図において、蒸気経路6は鍋2側に向かって経路断面積がなだらかに減少していくノズル形状部22を備えており、このノズル形状部22の終端近傍に蒸気経路6内の空間と蓋3と調理器本体1との間の空間とを連通させる空気導入穴23を設けている。空気導入穴23は蒸気経路6の鍋2側に傾斜して空気が蒸気に合流する形状となっている。
【0048】
以上のように構成されたジャー炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0049】
蒸気を投入する際には、制御手段9が容器加熱手段15を動作させることで、図中矢印Aのように蒸気が発生する。発生した蒸気は蒸気経路6に流入し、ノズル形状部22に到達する。このノズル形状部22では経路断面積がなだらかに減少していくにしたがって蒸気の圧力が上昇し、ノズル形状部22終端部にある空気導入穴23の部分には負圧が生じて空気を図中矢印Bのように引き込む。
【0050】
なお、空気導入穴23を図中に示す位置に下方向に設けていることで、鍋2周囲の空間に存在する空気を矢印Cに示すように吸い込みやすくなるので、炊飯直後に鍋2の温度を低減することができる。
【0051】
以上のように、本実施の形態においては、蒸気経路の一部をノズル形状部とし、空気導入穴を設けることで、ファンなどの機械部品を必要とせずに蒸気と空気を混合することができるので、コンパクトな調理器を提供することが可能となる。
【0052】
なお、空気導入穴23は本実施の形態においては、下方向に向いているが、上方向に向いていたり全周に渡って構成されていたりするなど、他の形状でもよい。
【0053】
(実施の形態3)
図3は、本発明の実施の形態3における調理器としてジャー炊飯器の要部を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
図において、空気導入穴23は上方向に設けており、その蒸気経路6とは逆端部に開閉手段24を備えた。また、開閉手段24を駆動させるソレノイドからなる駆動手段25を設けている。
【0055】
以上のように構成されたジャー炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0056】
制御手段9は、蒸気発生手段5によって蒸気を発生させない場合は、開閉手段24を閉じた状態とすることで、例えば炊き上げ工程の際に、鍋2内で大量に発生した蒸気が蒸気経路6内に侵入して空気導入穴23から蓋3内に入り込んで基板やその他の部品に結露を生じることを防ぐことができる。
【0057】
以上のように、本実施の形態においては、鍋2内の蒸気などが空気導入穴23から外側に流出して基板や部品が結露することを低減し、信頼性が高く結露をふき取るなどお手入れを低減した調理器を提供することが可能となる。
【0058】
なお、駆動手段25は開閉手段24を開閉できればよく、モーターなど他の手段でもよい。
【0059】
また、制御手段9は炊飯中には、開閉手段24を閉じた状態で維持して、保温工程の蒸気を投入する際のみに開閉手段24を開放することにより、炊飯中の蒸らし工程では結露温度100℃の蒸気を投入して、鍋2内の100℃未満の場所で結露することで加熱する効果を維持し、保温中には空気を混合して温度を低下させた混合気体でご飯を冷却する効果を得ることができる。
【0060】
なお、炊飯中の初期のみ空気を混合して鍋2への気体の流量を増加し、流速を増加させることで底まで一気に高温状態にし、その後、開閉手段24を閉じて結露温度100℃の蒸気の効果を得ると、なおよい。
【0061】
また、図4に示すように、開閉手段24を蒸気経路6側にのみ開いて(図中破線で示す)蒸気経路6側から気体が流出しない逆止弁26で構成すると、駆動手段25が必要でなく、低コストでコンパクトに構成できるのでよい。
【0062】
なお、空気導入穴23は、横方向や下方向に向いていたり全周に渡って構成されていたりするなど、他の形状でもよい。
【0063】
なお、本実施の形態において、開閉手段24や逆止弁26は蓋3に設けられているが、蒸気経路6など他の場所に設けてもよい。
【0064】
なお、駆動手段25は開閉手段24の開閉度合を3段階以上に制御できれば、空気流入量を変化させることができるので、混合空気の温度を調整してより冷却しやすい空気濃度に調整するなど保温性能が向上するのでよい。
【0065】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における調理器としてジャー炊飯器の要部を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0066】
図において、開閉手段27は蒸気経路6側ではノズル形状部22の一部を形成し、空気導入穴23側では空気導入穴23の開閉弁27aの役割を果たしている。そして、開閉手段27はモーターとギアからなる駆動手段28によって移動する。
【0067】
図5(a)は空気を導入している状態を示しており、このときノズル形状部22が形成されているので、蒸気の流れにより空気が矢印Dの方向に導入される。また図5(b)は空気を導入しないノズル形状部22の解除状態を示しており、このとき開閉手段27が空気導入穴23を閉じ、ノズル形状部22も形成されていないので、矢印Eのような蒸気の流れが生じる。
【0068】
以上のように構成されたジャー炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0069】
空気を混合せず蒸気のみを供給したい場合、制御手段9は開閉手段27を閉じる。閉じた状態で蒸気が流れると、ノズル形状部22が形成されていると蒸気が流れるだけで空気を引き込む方向に圧力が生じ、開閉弁27aに開く方向に負荷が生じるが、開閉弁27aを閉じるとノズル形状部22を解除することにより、負荷が生じなくなる。
【0070】
以上のように、本実施の形態においては、開閉手段(開閉弁)など部品への負荷を低減して部品の信頼性を向上させ、開閉弁を駆動させる駆動手段に大きな駆動力が必要でなくなり、小型化できることで、信頼性が高くコンパクトな調理器を提供することが可能となる。
【0071】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5における調理器としてジャー炊飯器の要部を示している。実施の形態1と同一要素については同一符号を付して説明を省略する。
【0072】
図において、空気溜め部29を蓋3の内側下面に設けており、空気導入穴23はこの空気溜め部29に向かって構成され、蒸気経路6内の空間と連通させている。つまり、空気導入手段20は空気溜め部29の空気を導入するようにしている。また、空気溜め部29には温度検知手段30を設けて空気溜め部29内の空気温度を検知するようにしている。
【0073】
以上のように構成されたジャー炊飯器について、以下その動作、作用について説明する。
【0074】
炊飯中の炊き上げ工程には、鍋2や内蓋4は約100℃に達しているため、その周辺の空間温度も約100℃に達している。そのため、これらの部品に近い空気溜め部29の空間温度も約100℃になるため、炊飯中の蒸らし工程で空気と蒸気との混合気体を投入する場合には、100℃の蒸気と100℃の空気を混合した100℃の混合気体を投入することができる。この空気溜め部29の空気がすべて流出すると、その他の部分に存在した空気が空気溜め部29に流入してくることになり、長時間空気を流入し続けると、最終的には調理器本体1外から空気を導入するので、温度は低下する。
【0075】
また、空気溜め部温度検知手段30により、導入する空気の温度を正確に知ることができるので、保温工程中での冷却時間をより正確に予測することが可能となり、電力を無駄にすることなく効率的に冷却でき、省エネルギー化をはかることができる。
【0076】
以上のように、本実施の形態においては、必要な空間を確保した空気溜め部29を設けることで、ご飯を冷却したくない場合には高温の混合気体を投入することができ、特に炊飯の蒸らし工程では鍋内を高温状態に維持することでご飯のおいしさが向上するため、炊飯性能を向上した調理器を提供することが可能となる。
【0077】
なお、空気溜め部29は本実施の形態の位置に限定されるものではなく、調理器本体1側に存在するなど他の部分にあってもよく、また空間容積も100℃の混合気体を投入する時間に合わせた容積とすればよい。
【0078】
なお、蓋3外周と調理器本体1外周の間を密閉するなどして調理器本体1内側の密閉性を向上すると、蓋3と調理器本体1の隙間から入り込む、冷えた空気を低減することができるので、さらに、100℃の空気を導入できる時間が延びてよい。
【0079】
なお、炊飯が終了して保温が開始されて一定時間経過後(例えば30分後)に制御手段9が蒸気発生手段5を制御して蒸気と空気の混合気体を投入することにより、使用者が炊き立てのご飯を楽しめる時間を残しておくと、炊飯後しばらくは炊き立ての100℃近い熱いご飯も得られるとともに、保温性能も向上させることができ、利便性を向上させることができる。
【0080】
なお、炊飯後何分から冷却を開始するか使用者が選択できる選択手段を設けると、各家庭で異なる食事状況に合わせて最適な保温とすることができるのでよい。炊飯後にすぐに冷却を開始する保温モードと炊飯後に一定時間待ってから冷却する保温モードとを使用者が選択可能であってもよい。さらに冷却しない保温モードも選択できてもよい。
【0081】
ここで、上記した各実施の形態1〜5において、導入する空気は調理器本体1下部以外(できれば上方部)の空気を優先的に使用するようにすると、調理器本体1下にほこりなどが堆積している場合には、それらのほこりなどのご飯への混入を防ぐことができる。また、蒸気経路6か蒸気経路6の外部に空気に混ざったほこりなどの成分を除去するフィルターを設けてもよい。
【0082】
また、鍋2外側や加熱手段7の周囲や外側に断熱材を構成すると、保温工程や炊飯工程においてご飯の温度が低下しにくくなる。さらに鍋2下方から外気が流入しないなどの断熱構成をとり、鍋2を外側から冷却しないものであっても、混合気体でご飯を直接冷却するので冷却効果は十分得られ、また保温時の電力も低減できる。
【0083】
また、水容器14は鍋2の側方でなくとも、鍋2の上方や下方、内部などでもよく、蒸気発生手段5から発生した蒸気に空気を混入できる構成が成立すればよい。また、水容器14は略円筒形でなくとも、段つきの円筒形状や、断面形状が長円や多角形など他の形状でも蒸気を発生させることができるものであれば形状は限定されるものではない。
【0084】
また、加熱手段7および蓋加熱手段12、水容器加熱手段15は、誘導加熱以外のヒーターなど他の加熱手段でもよい。
【0085】
また、蒸気経路6は着脱可能でなくてもよく、さらに、蒸気投入孔13は単一の孔でも、複数の孔でも、蒸気の流速がご飯の底まで届くのに必要な流速以下にならないような孔の総面積であれば孔の大きさや孔数は限定しない。
【0086】
また、蒸気の投入タイミングは蒸らし工程だけでなく、浸せき工程や炊き上げ工程に蒸気を投入すると鍋2内の水温を均一に一定温度に上昇させることができるのでよいし、また炊き上げ工程ではご飯の澱粉を含んだ泡状のおねばが発生して吹きこぼれが生じる場合があるが、蒸気を当てることで泡状のおねばを低減して吹きこぼれが低減できてよい。また、蒸気温度は硬質米、玄米、古米などの種類に応じて、蒸気温度や蒸気投入時間や炊飯方法を変えると、さらに炊飯性能が向上してよい。
【0087】
また、制御手段9は調理器本体1内にあっても、蓋3内にあってもよい。さらに、調理器は圧力調整手段を備えて大気圧よりも高い圧力下で調理する構成でもよい。また、高圧時に蒸気と空気との混合気体を投入する場合には、蒸気を供給するのと同一圧力の空気を混入する構成でもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
以上のように、本発明にかかる調理器は、調理物の冷却を効果的に行うとともに保温した調理物の劣化を防ぎ保温性能を向上させることができるので、ジャー炊飯器に限らず、蒸気や空気などの気体を用いて調理する他の加熱調理器としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1における調理器を示す断面図
【図2】本発明の実施の形態2における調理器を示す要部断面図
【図3】本発明の実施の形態3における調理器を示す要部断面図
【図4】同調理器の別の例を示す要部断面図
【図5】本発明の実施の形態4における調理器を示す要部断面図
【図6】本発明の実施の形態5における調理器を示す要部断面図
【符号の説明】
【0090】
1 調理器本体
2 鍋
3 蓋
5 蒸気発生手段
6 蒸気経路
7 加熱手段
20 空気導入手段
21 空気量調整手段
22 ノズル形状部
24、27 開閉手段
26 逆止弁
29 空気溜め部
30 空気溜め部温度検知手段
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年9月1日(2006.9.1)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−55015(P2008−55015A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−237220(P2006−237220)