| 【発明の名称】 |
被加熱容器 |
| 【発明者】 |
【氏名】神長 保男
【氏名】宇留野 純平
【氏名】庄司 浩幸
【氏名】磯貝 雅之
【氏名】大友 博
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| 【要約】 |
【課題】軽量で低磁性金属であるアルミニウムなどで構成される被加熱容器を、誘導加熱装置で加熱した際に発生する、被加熱容器の浮上を防止することを最大の課題とし、さらに加熱効率の向上を目的とする。
【構成】誘導加熱装置用の被加熱容器1に、誘導加熱装置により誘導される渦電流を絶縁する分離絶縁部9を設けて、被加熱容器1の底部裏面11と底部表面12に互いに反対の向きの渦電流を流すことにより、被加熱容器底部にかかる浮力を相殺し、被加熱容器の浮上を防止する。また、渦電流が被加熱容器1の底部裏面11と底部表面12を流れるため、渦電流の流路長が長くなり被加熱容器1の流路抵抗は増加する。したがって、熱となる被加熱容器1への電力は増加し、加熱効率が向上する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 低磁性金属体により構成される被加熱容器において、 誘導加熱装置から発生する磁界により前記被加熱容器に流れる渦電流を絶縁する分離絶縁部を、前記被加熱容器の底部の中央部から前記被加熱容器の側面にかけて配置することを特徴とする被加熱容器。 【請求項2】 請求項1において、 前記分離絶縁部は前記被加熱容器にスリット状に構成されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項3】 請求項2において、 前記分離絶縁部は前記低磁性金属体のスリットに埋設するか、若しくは覆うか、若しくは前記被加熱容器の底部の表面全体を覆う構造とすることを特徴とする被加熱容器。 【請求項4】 請求項1において、 前記分離絶縁部の一部、若しくは全部が渦巻き状に配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項5】 請求項1において、 前記分離絶縁部は前記被加熱容器の底部のみに配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項6】 請求項1において、 前記分離絶縁部が前記渦電流の流路を、長くするように配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項7】 請求項1において、 前記分離絶縁部は前記渦電流を前記被加熱容器の底部の表面と裏面の両方を逆方向に流すように配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項8】 請求項7において、 前記被加熱容器の底部の厚さは、前記低磁性金属体の金属表皮深さの2倍以上であることを特徴とする被加熱容器。 【請求項9】 請求項1において、 前記被加熱容器の底部裏面に断熱材を構成することを特徴とする被加熱容器。 【請求項10】 低磁性金属体により構成される被加熱容器において、 誘導加熱装置から発生する磁界により前記被加熱容器に流れる渦電流を絶縁するスリット状の分離絶縁部を備え、 該分離絶縁部は前記渦電流を前記被加熱容器の底部の表裏両面に逆方向に流れるように配置することを特徴とする被加熱容器。 【請求項11】 請求項10において、 前記分離絶縁部は前記被加熱容器の底部の中央部から前記被加熱容器の側面にかけて配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項12】 請求項10において、 前記分離絶縁部の一部、若しくは全部が渦巻き状に配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項13】 請求項10において、 前記分離絶縁部は前記被加熱容器の底部のみに配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項14】 請求項10において、 前記分離絶縁部は前記低磁性金属体のスリットに埋設するか、若しくは覆うか、若しくは前記被加熱容器の底部の表面全体を覆う構造とすることを特徴とする被加熱容器。 【請求項15】 請求項10において、 前記被加熱容器の底部の厚さは、前記低磁性金属体の金属表皮深さの2倍以上であることを特徴とする被加熱容器。 【請求項16】 請求項10において、 前記被加熱容器の底部裏面に断熱材を構成することを特徴とする被加熱容器。 【請求項17】 低磁性金属体で構成される被加熱容器において、 誘導加熱装置から発生する磁界により前記被加熱容器を流れる渦電流を絶縁するスリット状の分離絶縁部を備え、 該分離絶縁部は前記被加熱容器が受ける前記誘導加熱装置からの浮力を抑制する前記渦電流の流路を構成することを特徴とする被加熱容器。 【請求項18】 請求項17において、 前記分離絶縁部は前記被加熱容器の底部の中央部から前記被加熱容器の側面にかけて配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項19】 請求項17において、 前記分離絶縁部は前記渦電流を前記被加熱容器の底部の表裏両面に逆方向に流すように配置されることを特徴とする被加熱容器。 【請求項20】 請求項17において、 前記分離絶縁部の一部、若しくは全部が渦巻き状に配置されることを特徴とする被加熱容器。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、被加熱容器に関し、特に誘導加熱装置用として用いられる被加熱容器に関するものである。 【背景技術】 【0002】 最近、非磁性被加熱容器であるアルミニウム製の被加熱容器などでも誘導加熱が可能な誘導加熱装置が開発されている。しかし、この非磁性金属であるアルミニウム製の被加熱容器を加熱する際には、磁性鍋に比べ大きな起磁力を印加するため、磁力による反発力で軽量であるアルミニウム製の被加熱容器などは被加熱容器の浮上やズレが発生し易いという欠点を有している。一方、このアルミニウム製の被加熱容器は調理者にとって負担の少ない軽量被加熱容器であるため、今後も需要は大きいと考えられる。 【0003】 特許文献1は大きな荷重構成や中央に重心を有する構成のアルミ製の被加熱容器として被加熱容器の浮上を軽減防止させている。 【0004】 【特許文献1】特開2006−102084号公報 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 本発明では、軽量で低磁性金属であるアルミニウムなどで構成される被加熱容器を誘導加熱装置で加熱した際に発生することのある被加熱容器の浮上を、防止することを課題とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 低磁性金属体により構成される被加熱容器において、誘導加熱装置により該被加熱容器に流れる渦電流を絶縁する分離絶縁部を前記被加熱容器の底部から側面にかけて配置することを特徴とする被加熱容器により上記課題を解決することができる。 【0007】 若しくは、低磁性金属体により構成される被加熱容器において、前記被加熱容器に流れる渦電流を絶縁する分離絶縁部を備え、前記渦電流が前記被加熱容器の底部の表裏両面を逆方向に流れるように、前記分離絶縁部を配置することを特徴とする被加熱容器によっても上記課題を解決することができる。 【0008】 若しくは、低磁性金属体で構成される被加熱容器において、前記被加熱容器を流れる渦電流を絶縁するスリット状の分離絶縁部を備え、該分離絶縁部は前記被加熱容器が受ける前記誘導加熱装置からの浮力を抑制するように前記渦電流の流路を構成することを特徴とする被加熱容器によっても上記課題を解決することができる。 【発明の効果】 【0009】 本発明によれば、誘導加熱装置により低磁性材の被加熱容器を加熱するにあたり、低磁性金属により構成される被加熱容器の浮上を防止することが実現できる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0010】 図1は一般的な被加熱容器の浮上の原理構成である。加熱コイル3へ高周波電流が交互の向きでコイルに印加され、図示の向きにコイル電流31が流れると、コア4から磁力線32が誘起する。この磁力線32は被加熱容器10の底部裏面101の裏面部を磁力線 32に反するように渦電流を発生させる。この裏面渦電流33と被加熱容器10の電力損失により熱を発生させる。同時に、裏面渦電流33の向きと磁力線32の向きによりフレミング左手の法則で被加熱容器10の底部裏面101に上向きに力が生じ、軽量である被加熱容器10は被加熱容器の浮上やずれを生じてしまうことになる。 【0011】 後述の各実施例に示す構成により、前述の被加熱容器の浮上を防止することができる。 【0012】 (実施例1) 以下に、誘導加熱装置用被加熱容器の実施例1について図を用いて説明する。図2は本発明の実施形態における誘導加熱装置と被加熱容器の構成を示す。図2において、被加熱容器1とその分離絶縁部9,被加熱容器1の台板となるトッププレート2と被加熱容器1を誘導加熱する加熱コイル3と、加熱コイル3の磁力を増強し、被加熱容器1へ磁気誘導する複数のU型あるいはL型,I型のコア4と、加熱コイル3を駆動させる、交流電源5,整流回路6,直流から高周波電力に変換するインバータ回路7,共振コンデンサ8とを備えて構成される。 【0013】 被加熱容器1には被加熱容器底部の中央から側面にかけてスリット状(スリットとは板状の部材を分離する隙間の意)に分離絶縁部9が構成され、この分離絶縁部9を設けることにより加熱コイル3,コア4から受ける渦電流を被加熱容器1底部の裏面の他、底部表面にも流すことで軽量の被加熱容器の浮上を防止するものである。その詳細を図3により説明する。 【0014】 図3は本実施例である被加熱容器の浮上防止の原理構成を示す。加熱コイル3へ高周波電流となるコイル電流31が図示方向に流れるとすると、コア4から磁力線32が誘起される。この磁力線32は被加熱容器1の底部裏面11を通り、この磁力線32に反するように裏面渦電流33を発生させる。裏面渦電流33は分離絶縁部9により、被加熱容器1底部表面12にも裏面渦電流33の反対向きにループして表面渦電流35が流れる。したがって、フレミング左手の法則により裏面渦電流33と表面渦電流35の向きと磁力線 32の向きから被加熱容器底部裏面11に上向きの力が、被加熱容器底部表面12に下向きの力が生じる。この被加熱容器1の底部裏面と底部表面において被加熱容器への力の向きが反対となる力が加わり、被加熱容器1への力は相殺されることになる。これは被加熱容器の浮上の低減でなく被加熱容器の浮上がほぼ解消されたことになる。 【0015】 また、渦電流が被加熱容器1の底部裏面11と底部表面12を流れるため、渦電流の流路長が長くなり被加熱容器1の流路抵抗は増加する。したがって、熱となる被加熱容器1への電力は渦電流の2乗と被加熱容器1の抵抗の積に比例するため増加する。これにより、被加熱容器1の抵抗の増加分は加熱コイル3のコイル電流31を低減できるので、加熱コイル3の銅損やインバータ回路7などの回路部での損失低減につながり、加熱効率の向上に寄与することになる。 【0016】 図4は被加熱容器底部の断面構成を示す。被加熱容器1に分離絶縁部9を設けることにより、被加熱容器底部裏面11の裏面渦電流33のループは分離絶縁部9により厚み方向へ流れ、被加熱容器底部表面12を逆方向ループして表面渦電流35が流れることになる。この渦電流を被加熱容器底部裏面11と被加熱容器底部表面12の両面に流すためには、被加熱容器底部に表皮深さの約2倍を上回る厚さが必要となる。例えば、駆動周波数 90kHzとすると、アルミニウムの表皮深さは0.266mmで、厚さは約0.53mm以上となる。 【0017】 上記の分離絶縁部9の絶縁物は被加熱容器1の分離されるスリットに埋設接合,接着され、材料はセラミックなどでも良い。また、図5に示すように分離絶縁部91は絶縁物を被加熱容器1に覆わせる構造でも良い。さらには、被加熱容器底部の表面全体にコーティングを施しても良い。 【0018】 図6は本実施例である被加熱容器の応用例を示す。分離絶縁部9を構成した被加熱容器1の底部の裏面に断熱材40を配置して、被加熱容器1からの伝導熱をトッププレート2の上面へ熱遮蔽し、トッププレート2の上面の伝導熱による温度上昇を防止させる。この構成により、トッププレート2の温度上昇の抑制による安全性向上とさらなる熱効率の向上を可能にする。 【0019】 (実施例2) 図7は実施例2における被加熱容器の構成図を示す。ここでは被加熱容器の底部に渦巻き状の分離絶縁部92を有する構造とする。この渦巻き構造により、底部の裏表両面を逆方向に渦電流が流れることはもちろん、渦電流の流路長を長くして被加熱容器20の抵抗をさらに増加する。これにより、加熱コイル3へのコイル電流をさらに低減することができ、銅損などの損失低減で加熱効率を向上させることができる。 【0020】 また、図8に示すような被加熱容器の底面に渦巻き状の分離絶縁部92を有し、被加熱容器の側面のも分離絶縁部9を有する構造や、図9に示すような被加熱容器の底部に構成された渦巻き状の分離絶縁部を側面にまで延長した構造とすると、加熱効率がより向上する効果を有する。 【0021】 本実施例においても、分離絶縁部9の絶縁物は被加熱容器1の分離されるスリットに埋設接合,接着され、材料はセラミックなどでも良い。また、図5に示すように分離絶縁部91は絶縁物を被加熱容器1に覆わせる構造でも良い。さらには、被加熱容器底部の表面全体にコーティングを施しても良い。 【0022】 また、図8に示す本実施例である被加熱容器の応用例は、分離絶縁部9を構成した被加熱容器1の底部の裏面に断熱材40を配置して、被加熱容器1からの伝導熱をトッププレート2の上面へ熱遮蔽し、トッププレート2の上面の伝導熱による温度上昇を防止させる。この構成も図7に示すような引例1の構成と同様の効果を有する。 【産業上の利用可能性】 【0023】 本発明によれば、誘導加熱装置に用いることにより、容器の浮上を防止することができる被加熱容器を提供することが可能になる。 【0024】 また、本発明によれば、誘導加熱装置に用いることにより、容器を流れる渦電流の抵抗を増大させることで加熱コイル電流を低減して加熱効率を向上させる被加熱容器を提供することが可能になる。 【図面の簡単な説明】 【0025】 【図1】一般的な被加熱容器の浮上の原理構成図。 【図2】本発明の実施形態における誘導加熱装置と被加熱容器の構成図。 【図3】本発明の実施例1における被加熱容器の浮上防止の原理構成図。 【図4】本発明の実施形態における被加熱容器底部の第1の断面構成図。 【図5】本発明の実施形態における被加熱容器底部の第2の断面構成図。 【図6】本発明の実施例1における被加熱容器の応用例の構成図。 【図7】本発明の実施例2における被加熱容器の第1の構成図。 【図8】本発明の実施例2における被加熱容器の第2の構成図。 【図9】本発明の実施例2における被加熱容器の第3の構成図。 【図10】本発明の実施例2における被加熱容器の応用例の構成図。 【符号の説明】 【0026】 1,10,20…被加熱容器、2…トッププレート、3…加熱コイル、4…コア、5…交流電源、6…整流回路、7…インバータ回路、8…共振コンデンサ、9,91,92…分離絶縁部、11,101…被加熱容器底部裏面、12,102…被加熱容器底部表面、31…コイル電流、32…磁力線、33…裏面渦電流、35…表面渦電流、40…断熱材。
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| 【出願人】 |
【識別番号】399048917 【氏名又は名称】日立アプライアンス株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年9月1日(2006.9.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100100310 【弁理士】 【氏名又は名称】井上 学
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| 【公開番号】 |
特開2008−55013(P2008−55013A) |
| 【公開日】 |
平成20年3月13日(2008.3.13) |
| 【出願番号】 |
特願2006−237140(P2006−237140) |
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