| 【発明の名称】 |
電磁調理容器とその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】細江 晃久
【氏名】稲沢 信二
【氏名】千葉 幸文
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| 【要約】 |
【課題】薄膜型の構造を有し、しかも、スイッチング回路を構成するスイッチング素子等の発熱を引き起こすことなく、前記スイッチング回路とのマッチングを取ることができる電磁調理容器と、前記電磁調理容器を、高い生産性でもって、効率よく製造するための製造方法とを提供する。
【構成】電磁調理容器は、容器本体1の外面11に、磁性材料からなり、電気抵抗率が0.3μΩm以上で、かつ、厚みが50μm以上である発熱層を設けた。製造方法は、発熱層を形成する磁性材料のもとになる元素の、水溶性の化合物と、グルコン酸とを含む水性のめっき浴を用いて、容器本体1の外面11に、電気めっきによって発熱層を形成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器本体と、前記容器本体の外面に形成された、磁性材料からなり、電気抵抗率が0.3μΩm以上で、かつ、厚みが50μm以上である発熱層とを備えることを特徴とする電磁調理容器。 【請求項2】 発熱層が、Ni、Fe、およびCoからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含み、かつS、CおよびPからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を0.2重量%以上の割合で含有する磁性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理容器。 【請求項3】 発熱層が、Feを40重量%以上の割合で含有するNi−Fe合金からなることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理容器。 【請求項4】 発熱層の厚みが200μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理容器。 【請求項5】 発熱層を形成する磁性材料の表皮厚みが、前記発熱層の厚みの1/2以下であることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理容器。 【請求項6】 発熱層の外面に、前記発熱層より電気抵抗率が低い低抵抗層が積層されていることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理容器。 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の電磁調理容器を製造するための製造方法であって、発熱層を形成する磁性材料のもとになる元素の、水溶性の化合物と、グルコン酸とを含む水性のめっき浴を調製する工程と、前記めっき浴を用いて、容器本体の外面に、電気めっきによって発熱層を形成する工程とを含むことを特徴とする電磁調理容器の製造方法。 【請求項8】 めっき浴中のグルコン酸の濃度が0.2〜40g/リットルであることを特徴とする請求項7に記載の電磁調理容器の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、電磁誘導作用によって調理物を加熱して調理するための電磁調理容器と、その製造方法に関するものである。 【背景技術】 【0002】 近年、電熱ヒータによる加熱に代えて、誘導コイルを用いた電磁誘導作用によって調理物を加熱する電磁誘導加熱が、特に、炊飯器等の調理器の分野において、広く普及しつつある。電磁誘導加熱を利用した、いわゆるIH炊飯器等の電磁誘導加熱調理器において、調理物を収容するための電磁調理容器としては、Alやその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料からなる層と、Ni、Fe、Co等の金属や、その合金等の、磁性材料からなる層とを、複数層ずつ交互に積層した積層構造を有する、いわゆるクラッド材を絞り加工する等して形成したものが一般的である。 【0003】 しかし、近時、前記Alやその合金等の金属材料からなる、厚手の容器本体の外面に、前記磁性材料のめっき被膜からなる薄い発熱層を設けた積層構造を有する、いわゆる薄膜型のものが、製造が容易であることから、実用化に向けての検討が行われている(特許文献1)。薄膜型の電磁調理容器においては、発熱層の厚みが、前記発熱層を形成する磁性材料の、式(1): 【数1】
〔式中、δは磁性材料の表皮厚み(μm)、πは円周率、ρは磁性材料の電気抵抗率(μΩm)、μは磁性材料の透磁率(H/m)、fは誘導コイルに流す高周波電流の周波数(kHz)を示す。〕 で表される表皮厚み以上である必要がある。 【0004】 発熱層の厚みが表皮厚み未満では、容器本体を形成する、非磁性体であるAlの影響により、前記発熱層を、電磁誘導加熱によって十分に発熱させることができないためである。また、発熱層を形成する磁性材料は比重が大きいことから、薄膜型の電磁調理容器を、できるだけ軽量化することや、あるいは、前記磁性材料は比熱が大きいことから、前記薄膜型の電磁調理容器の加熱効率を、できるだけ向上することを考慮すると、前記発熱層の厚みは、前記範囲内でも、できるだけ小さいことが好ましいと考えられている。 【0005】 また、前記薄膜型の電磁調理容器と組み合わせて使用される電磁誘導加熱調理器において、誘導コイルに流す高周波電流を発生させる駆動回路としては、様々なタイプのものが検討され、また実用化されているが、近年、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(IGBT)等のスイッチング素子を開閉動作させて、高周波電流を発生させるタイプのスイッチング回路が、駆動回路として、構造が簡単で、しかも動作が確実であるため、注目されている。前記スイッチング回路においては、誘導コイルのインダクタンスに、それに近接させて配置される電磁調理容器のインダクタンスを合わせた合計のインダクタンスと、前記誘導コイルに並列に接続されたコンデンサの容量とによって設定される時定数に基づいて、スイッチング素子を開閉動作させることで、高周波電流を発生させることができる。 【特許文献1】特開平9−224819号公報(請求項1、段落[0016]〜[0017]、段落[0024]、段落[0030]〜[0034]) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし、発明者の検討によると、前記スイッチング回路を備えた電磁誘導加熱調理器においては、組み合わせて使用する、薄膜型の電磁調理容器の発熱層の厚みを、先に説明した表皮厚み以上の範囲内でも、できるだけ小さい値、つまり表皮厚みに近い厚みに設定すると、容器本体を形成するAlに磁束が進入することで、両者のマッチングが取れなくなって、スイッチが入らない場合が生じる。そこで、発明者は、発熱層の外面に、例えばCu、Ni等の、前記発熱層より電気抵抗率が低い材料からなる、薄い低抵抗層を積層して、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングを取ることを検討した。しかし、その場合には、スイッチは入るものの、スイッチング回路を構成するスイッチング素子や誘導コイル等が発熱して、調理途中で、保護回路が動作して緊急停止する場合が増加するという、新たな問題を生じることが明らかとなった。 【0007】 この原因は、スイッチング回路の動作によって発生する高周波電流の、電流値の立ち上がりが大きくなることにある。すなわち、電流値の立ち上がりが大きくなると、それに伴って、発生する高周波電流の周波数が、先に説明した時定数に基づいて設定される所定値よりも高くなる、つまり単位時間あたりのスイッチング回数が増加するため、スイッチング素子や、前記スイッチング素子と並列に接続された、放電のためのダイオードが発熱して、保護回路の動作を引き起こすのである。また、電流値の立ち上がりが大きくなると、それに伴って、高周波電流のピーク電流値が高くなる傾向があるため、誘導コイルがジュール熱を生じて発熱して、保護回路の動作を引き起こすのである。 【0008】 本発明の目的は、薄膜型の構造を有し、しかも、スイッチング回路を構成するスイッチング素子等の発熱を引き起こすことなく、前記スイッチング回路とのマッチングを取ることができる電磁調理容器を提供することにある。また、本発明の目的は、前記本発明の電磁調理容器を、高い生産性でもって、効率よく製造するための製造方法を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0009】 発明者の検討によると、スイッチング回路の動作によって発生する高周波電流の、電流値の立ち上がりが大きくなる原因は、従来の発熱層のインダクタンスが小さいことにある。発熱層のインダクタンスを高めるためには、前記発熱層を形成する磁性材料の透磁率を上げることや、誘導コイルの巻き数を増加させることが有効である。しかし、誘導コイルの巻き数を増加させるためには、使用する銅線の量を増加させる必要があることから、電磁誘導加熱調理器のコストアップに繋がるという問題がある。一方、磁性材料を高周波で使用すると、渦電流の影響によって、実際の透磁率よりも小さな値となることが知られている。電磁誘導加熱調理器では、数十kHzの高周波電流を用いるため、渦電流の影響を受けることになる。渦電流の影響は、透磁率が高く、かつ電気抵抗率が低いほど大きくなることが知られている。そこで、発明者は、スイッチング回路を構成するスイッチング素子等の発熱を防止するために、発熱層の電気抵抗率を上げて、渦電流の影響による透磁率の低下を小さくすることで、発熱層のインダクタンスを高めることとし、そのためには、前記発熱層の電気抵抗率を、どの程度まで高めればよいかについて、さらに検討した結果、電気抵抗率が0.3μΩm以上であれば、所期の目的を達成できることを見出した。 【0010】 また、発明者は、容器本体を形成するAlに磁束が進入して、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングが取れなくなって、スイッチが入らない場合が生じるのを防止するためには、前記の電気抵抗率を有する発熱層の厚みを、どの程度の範囲にすればよいかについても、検討した結果、厚みが50μm以上であればよいことを見出した。したがって、請求項1に記載の発明は、容器本体と、前記容器本体の外面に形成された、磁性材料からなり、電気抵抗率が0.3μΩm以上で、かつ、厚みが50μm以上である発熱層とを備えることを特徴とする電磁調理容器である。 【0011】 また、発明者は、発熱層を形成する磁性材料の透磁率を下げることなく、電気抵抗率のみを前記範囲内に上昇させるために、さらに検討した結果、Ni、Fe、およびCoからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む磁性材料に、S、CおよびPからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を0.2重量%以上の割合で含有させればよいことを見出した。したがって、請求項2に記載の発明は、発熱層が、Ni、Fe、およびCoからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含み、かつS、CおよびPからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を0.2重量%以上の割合で含有する磁性材料からなることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理容器である。 【0012】 また、発明者は、Ni−Fe合金の場合、Feを40重量%以上の割合で含有させれば、同様の効果、すなわち、発熱層を形成する磁性材料の透磁率を下げることなく、電気抵抗率のみを、前記範囲内に上昇できることを見出した。したがって、請求項3に記載の発明は、発熱層が、Feを40重量%以上の割合で含有するNi−Fe合金からなることを特徴とする請求項1に記載の電磁調理容器である。なお、発熱層の厚みは、請求項4に記載したように200μm以下であるのが好ましい。発熱層の厚みが、前記範囲を超える場合には、先に説明したように、電磁調理容器を軽量化したり、加熱効率を向上したりする効果が十分に得られないおそれがあるためである。 【0013】 また、発熱層を形成する磁性材料の表皮厚みは、請求項5に記載したように、前記発熱層の厚みの1/2以下であるのが好ましい。表皮厚みが、前記範囲を超える場合には、容器本体を形成するAlに磁束が進入しやすくなるため、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングが取れなくなって、スイッチが入らない場合を生じるおそれがあるためである。また、発熱層の外面には、請求項6に記載したように、前記発熱層より電気抵抗率が低い低抵抗層を積層するのが好ましい。これにより、先に説明したように、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングを、さらに良好に取ることが可能となる。 【0014】 請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載の電磁調理容器を製造するための製造方法であって、発熱層を形成する磁性材料のもとになる元素の、水溶性の化合物と、グルコン酸とを含む水性のめっき浴を調製する工程と、前記めっき浴を用いて、容器本体の外面に、電気めっきによって発熱層を形成する工程とを含むことを特徴とする電磁調理容器の製造方法である。 【0015】 S、CおよびPからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含有させて、磁性材料からなるめっき被膜の電気抵抗率を向上させるための、電気めっき用のめっき浴は、例えば特開平10−199726号公報、特開平11−186034号公報等において開示されており、公知である。しかし、これら従来のめっき浴は、いずれも、磁気ヘッド等の、厚みがナノメーターレベルといった、ごく薄いめっき被膜を形成するためのものであって、50μm以上という厚みの大きいめっき被膜を形成することは不可能である。めっき被膜を、無理に厚付けしようとしても、被膜内の内部応力が高くなりすぎて、成膜途中ではく離やクラック等を生じやすいため、連続した均一なめっき被膜(発熱層)を形成できないのである。 【0016】 また、Ni−Fe合金からなるめっき被膜を、電気めっきによって形成するためのめっき浴も公知であるが、前記従来のめっき浴では、FeのもとになるFeイオンの含有割合が多いほど、前記Feイオンが、めっき浴中で水酸化鉄を生成して沈殿しやすいため、先に説明した、Feを40重量%以上の割合で含有するNi−Fe合金からなるめっき被膜を、同じめっき浴を用いて、安定的に、連続して形成することはできない。これに対し、請求項7に記載の発明の製造方法によれば、めっき浴中に含有させたグルコン酸が、めっき被膜の内部応力を緩和する働きをするとともに、Feイオンが水酸化鉄を生成して沈殿するのを防止する働きをするため、電気抵抗率が0.3μΩm以上で、かつ厚みが50μm以上の発熱層を有する本発明の電磁調理容器を、高い生産性でもって、効率よく製造することが可能となる。なお、めっき浴中のグルコン酸の濃度は、請求項8に記載したように0.2〜40g/リットルであるのが好ましい。 【発明の効果】 【0017】 本発明によれば、薄膜型の構造を有し、しかも、スイッチング回路を構成するスイッチング素子等の発熱を引き起こすことなく、前記スイッチング回路とのマッチングを取ることができる電磁調理容器と、前記電磁調理容器を、高い生産性でもって、効率よく製造するための製造方法とを提供することができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0018】 本発明の電磁調理容器は、容器本体と、前記容器本体の外面に形成された、磁性材料からなり、電気抵抗率が0.3μΩm以上で、かつ、厚みが50μm以上である発熱層とを備えることを特徴とするものである。発熱層の電気抵抗率が0.3μΩm以上に限定されるのは、下記の理由による。すなわち、電気抵抗率が前記範囲未満では、発熱層のインダクタンスが小さくなるため、スイッチング回路の動作によって発生する高周波電流の、電流値の立ち上がりが大きくなる。そのため、単位時間あたりのスイッチング回数が増加して、スイッチング素子やダイオードが発熱する結果、保護回路の動作を引き起こす。また、電流値の立ち上がりが大きくなって、高周波電流のピーク電流値が高くなるため、誘導コイルがジュール熱を生じて発熱して、保護回路の動作を引き起こす。 【0019】 これに対し、発熱層の電気抵抗率が0.3μΩm以上であれば、前記発熱層のインダクタンスを高めて、スイッチング回路の動作によって発生する高周波電流の、電流値の立ち上がりが大きくなるのを抑制することができるため、スイッチング素子等の発熱と、それに伴う保護回路の動作とを防止することが可能となる。なお、発熱層の電気抵抗率は、前記効果と、誘導コイルからの電磁誘導加熱によって、発熱層を、より効率よく発熱させる効果とのバランスを考慮すると、前記範囲内でも1.4μΩm以下、特に0.4〜0.8μΩmの範囲内であるのが好ましい。 【0020】 また、発熱層の厚みが50μm以上に限定されるのは、厚みが前記範囲未満では、容器本体を形成するAlに磁束が進入して、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングが取れなくなって、スイッチが入らないためである。これに対し、発熱層の厚みが50μm以上であれば、前記容器本体を形成するAlに磁束が進入するのを防いで、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングをとって、スイッチが入らない場合が生じるのを防止することができる。なお、発熱層の厚みは、前記効果と、電磁調理容器を軽量化したり、加熱効率を向上したりする効果とのバランスを考慮すると、前記範囲内でも200μm以下、特に80〜160μmの範囲内であるのが好ましい。 【0021】 発熱層を形成する磁性材料の表皮厚みは、前記発熱層の厚みの1/2以下であるのが好ましい。表皮厚みが前記範囲内であれば、容器本体を形成するAlに磁束が進入するのを防いで、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングをとって、スイッチが入らない場合が生じるのを防止する効果を、さらに向上することができる。なお表皮厚みは、前記効果をさらに向上することを考慮すると、前記範囲内でも、特に発熱層の厚みの1/6以上、特に1/5〜1/3であるのが好ましい。 【0022】 磁性材料の表皮厚みを、前記範囲に調整するためには、先に説明したように、表皮厚みが、式(1): 【数2】
〔式中、δは磁性材料の表皮厚み(μm)、πは円周率、ρは磁性材料の電気抵抗率(μΩm)、μは磁性材料の透磁率(H/m)、fは誘導コイルに流す高周波電流の周波数(kHz)を示す。〕 で表されることから、磁性材料の電気抵抗率や透磁率を調整したり、発熱層の厚みを調整したりすればよい。 【0023】 発熱層の電気抵抗率を、先に説明した0.3μΩm以上の範囲内に調整するためには、Ni、Fe、およびCoからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属を含む磁性材料に、S、CおよびPからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を、総量で0.2重量%以上の割合で含有させるのが好ましい。なお、前記元素の含有割合は、発熱層の電気抵抗率を、先に説明した、より好ましい範囲内に調整することを考慮すると2.8重量%以下、特に0.3〜2.3重量%の範囲内であるのが好ましい。発熱層を形成する磁性材料中に、前記元素を含有させるためには、例えば、容器本体の外面に、前記発熱層を形成するための、電気めっき用のめっき浴中に、前記元素のもとになる水溶性の化合物を含有させておき、金属の析出による発熱層の形成と同時に前記元素を析出させて、発熱層を形成する磁性材料中に含ませるようにすればよい。 【0024】 また、発熱層の電気抵抗率を0.3μΩm以上の範囲内に調整するためには、磁性材料がNi−Fe合金である場合に、Feを40重量%以上の割合で含有させることも好ましい。なお、Feの含有割合は、発熱層の電気抵抗率を、先に説明した、より好ましい範囲内に調整することを考慮すると80重量%以下、特に40〜60重量%の範囲内であるのが好ましい。Feの含有割合を、前記範囲内に調整するためには、例えば、容器本体の外面に、前記発熱層を形成するための、電気めっき用のめっき浴中における、NiイオンとFeイオンの割合を調整すればよい。 【0025】 外面に発熱層が形成される容器本体としては、IH炊飯器用の内鍋等として公知の種々の構造を有するものが、いずれも使用可能であるが、特に、Alやその合金等の、高い熱伝導性を有する金属材料からなるものが好ましい。前記金属材料からなる容器本体は、前記金属材料の板材を、絞り加工する等して形成される。その厚みは、強度や熱伝導性等を考慮して適宜、設定することができるが、通常は、0.5〜5mm程度であるのが好ましい。 【0026】 金属材料からなる容器本体は、熱伝導性に優れることから、特に、IH炊飯器用の内鍋として使用した際に、ご飯を、より強い火力でおいしく炊くことができるという利点がある。また、炊き上がったご飯を保温する際には、外部から加えたエネルギーを、熱として、ご飯に効率よく伝えることができるため、消費電力を低減できるという利点もある。容器本体の、調理物を収容する内面、または、発熱層を形成する前の外面には、熱伝導性に優れるCuの層を形成して、前記容器本体の熱伝導性をさらに向上させることもできる。 【0027】 また、容器本体の内面、または前記内面に形成したCuの層の、さらに内面には、調理物のこびり付きや焦げ付き等を防止するため、従来同様に、テトラフルオロエチレン樹脂(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂(PFA)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合樹脂(FEP)等のフッ素樹脂をコーティングしてもよい。 【0028】 容器本体の外面に形成した発熱層の、さらに外面には、先に説明したように、CuやNiからなり、発熱層より電気抵抗率が低い低抵抗層を積層するのが好ましい。これにより、先に説明したように、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングを、さらに良好に取ることが可能となる。また、前記低抵抗層を設けることで、低抵抗層と発熱層との積層体の、全体での電気抵抗率を引き下げて、渦電流損失を大きくして発熱量を増加させることもできる。 【0029】 そのため、発熱層の厚みはそのままで発熱量を増加させたり、発熱量はそのままで、発熱層の厚みを小さくして容器本体を軽量化したりすることができる。低抵抗層の厚みは30μm以下、特に1〜30μmであるのが好ましい。低抵抗層の厚みが前記範囲未満では、前記低抵抗層を、発熱層の外面に積層することによる、先に説明した効果が十分に得られないおそれがあり、逆に、前記範囲を超える場合には、電磁調理容器とスイッチング回路とのマッチングを取ることができないおそれがある。 【0030】 本発明の電磁調理容器は、先に説明したように、容器本体の外面に、磁性材料からなり、電気抵抗率が0.3μΩm以上で、かつ、厚みが50μm以上の発熱層を備えているため、前記発熱層のインダクタンスを高めて、スイッチング回路を構成するスイッチング素子、ダイオード、誘導コイル等の発熱を防止しつつ、前記スイッチング回路とのマッチングを取ることが可能となる。 【0031】 前記本発明の電磁調理容器を製造するための、本発明の電磁調理容器の製造方法は、発熱層を形成する磁性材料のもとになる元素の、水溶性の化合物と、グルコン酸とを含む水性のめっき浴を調製する工程と、前記めっき浴を用いて、容器本体の外面に、電気めっきによって発熱層を形成する工程とを含むことを特徴とするものである。 【0032】 前記本発明の製造方法において、めっき浴中に含有させるグルコン酸の濃度は0.2〜40g/リットル、特に1〜18g/リットルであるのが好ましい。グルコン酸の濃度が前記範囲未満では、グルコン酸を含有させることによる、先に説明した、めっき被膜の内部応力を緩和する働きや、Feイオンが水酸化鉄を生成して沈殿するのを防止する働きが十分に得られない。そのため、例えば、発熱層が、S、CおよびPからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素を含む磁性材料からなる場合は、被膜内の内部応力が高くなりすぎて、成膜途中ではく離やクラック等を生じやすくなって、連続した均一な発熱層を形成できないおそれがある。 【0033】 また、発熱層が、Ni−Fe合金からなるとともに、Feの含有割合が多い場合には、Feイオンが、めっき浴中で水酸化鉄を生成して沈殿しやすくなって、前記Ni−Fe合金からなるめっき被膜を、同じめっき浴を用いて、安定的に、連続して形成できないおそれがある。これに対しめっき浴中に含有させるグルコン酸の濃度が、前記範囲内であれば、前記種々の問題が発生するのを防止して、本発明の電磁調理容器を、高い生産性でもって、効率よく製造することが可能となる。 【0034】 めっき浴には、前記グルコン酸の他に、発熱層のもとになる磁性材料を形成する、Ni、Fe、およびCoからなる群より選ばれた少なくとも1種の金属のイオン源としての、前記金属の水溶性の化合物や、S、CおよびPからなる群より選ばれた少なくとも1種の元素のイオン源としての、前記の水溶性の化合物等を、形成する発熱層の組成に合わせた割合で含有させることができる。また、めっき浴のpHを調整するためのpH調整剤や、光沢剤、ピット防止剤等の、従来公知の種々の添加剤を含有させることもできる。 【0035】 前記めっき浴を用いて、容器本体の外面に、電気めっきによって発熱層を形成する工程は、従来と同様に実施することができる。すなわち、容器本体がAlまたはその合金からなるときは、酸化膜やスマットの除去、亜鉛置換等の前処理を施した容器本体を、電気めっき装置の電源の陰極に接続して、必要に応じて回転させながら、白金や、あるいは発熱層を構成する金属材料からなる陽極とともに、めっき浴に浸漬して、電気めっき処理することで、容器本体の外面に、発熱層を形成することができる。 【0036】 また、先に説明したように、発熱層の外面に、Cu、Ni等からなる低抵抗層を形成する場合は、発熱層を形成した容器本体を、引き続き、前記低抵抗層用のめっき浴に浸漬して、電気めっきによって、低抵抗層を形成しても良いし、真空蒸着法その他の方法によって、低抵抗層を形成しても良い。また、容器本体の外面に、発熱層を形成する前に、Cuの層を形成する場合も同様である。さらに、容器本体の内面に、前記Cuの層を形成したり、フッ素樹脂をコーティングしたりする工程は、前記工程の前後の、任意の時点で実施することができる。 【0037】 前記各層を形成した後の容器本体は、熱処理して、内部歪みを取り除いておくのが好ましい。特に、電気めっきで形成される発熱層には、どうしても内部歪みが存在し、内部歪みが存在した状態の発熱層を、熱処理せずに、調理に使用して繰り返し発熱させた場合には、内部歪みが徐々に緩和され、それに伴って、渦電流損失が徐々に大きくなるため、発熱層の渦電流損失の初期値に合わせて、電磁誘導加熱調理器の誘導コイルへの出力等を設定した場合に、渦電流損失の経時変化によって、安定した加熱性能が得られなくなるおそれがある。そのため、発熱層等の各層を形成した後の容器本体は、熱処理して、内部歪みを取り除いておくのが好ましい。熱処理の条件は、特に限定されないが、熱処理の温度は200℃以上、特に300〜400℃であるのが好ましい。また、熱処理の時間は5分間以上、特に10〜60分間であるのが好ましい。 【実施例】 【0038】 《実施例1》 〈容器本体の準備〉 図1に示すように、有底筒状で、かつ筒部1aが、上部の開口1b側から、平板状の底部1c側まで一定の外径を有していると共に、開口1bの外周にフランジ1dを備えており、開口1bの内径寸法Dが220mm、高さHが155mm、厚みTが1.2mm、フランジ1dの外径が240mmである容器本体1を、日本工業規格JIS3004系のAl合金〔住友軽金属(株)製のMG−110、0.6〜0.8重量%のMgと、0.9〜1.1重量%のMnとを含む〕によって形成した。詳しくは、前記Al合金からなる板材の表面を、NaCl水溶液中で、20C/cm2の電気量で電解エッチングして、その表面に微細な凹凸を形成し、次いで、片面に、PTFE分散液を塗布し、焼き付けて、PTFEのコーティング層(厚み20μm)を形成した後、前記コーティング層が内面になるようにプレス成形して、前記寸法および形状を有し、市販のIH炊飯器〔象印マホービン(株)製のNP−CB18〕に装着することができる容器本体1を形成した。 【0039】 なお、前記IH炊飯器は、スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタを用いたスイッチング回路を、誘導コイルに流す高周波電流を発生させるための駆動回路として備えたものである。前記IH炊飯器において、誘導コイルは、図3に示すように、容器本体1の外面11に、平板状の底部1cの中心点Cを通る中心軸Aを含む平面Pと交差する線Lを設定したとき、前記中心点Cから、線Lに沿って25mm外側の位置に、前記中心点Cを中心としてリング状に配設された、幅30mmの内側コイル(10巻)と、前記中心点Cから、線Lに沿って95mm外側の、平板状の底部1cと筒部1aとのR状のコーナー部に、同じく中心点Cを中心としてリング状に配設された、幅30mmの外側コイル(10巻)とで構成されている。 【0040】 前記容器本体1を、80℃に保温した120g/Lの水酸化ナトリウム水溶液に浸漬して、その外面11を脱脂処理し、次いで、60℃に保温したアルカリ性エッチング剤〔上村工業(株)製のAZ−102〕の50g/L水溶液に浸漬して、前記外面11の酸化膜を除去すると共に、水洗した後、室温(23±1℃)で、スマット除去剤〔上村工業(株)製のジスマッターAZ−201〕と硝酸とを含む水溶液(スマット除去剤の濃度100g/L、硝酸の濃度800mL/L)中に浸漬して、外面11のスマットを除去した。次に、前記容器本体1を水洗した後、室温(23±1℃)で、亜鉛置換剤〔上村工業(株)製のAZ−401−3X〕の350mL/L水溶液に浸漬して、前記外面11を亜鉛置換処理して、厚み0.1μmの亜鉛置換膜を形成した。 【0041】 〈発熱層の形成〉 前記容器本体1を、図2に示すように、治具2に装着し、前記治具2を、その中心軸21を中心として、図中に実線の矢印で示すように、一定方向に回転させながら、Ni陽極3、およびFe陽極4と共に、下記の各成分を含む、浴温を55±1℃に保持しためっき浴5に浸漬した。なお、符号6は、立体形状を有する容器本体1の外面11のうち、底部1cから、先に説明したIH炊飯器の外側コイルに対向する位置までの発熱層の膜厚をほぼ均一にし、それより開口1b側の発熱層の厚みを、電磁調理容器の軽量化を目的として10μm以下とするため、前記容器本体1を囲むように配設された遮蔽板である。そして、容器本体1を装着した治具2の回転を続けると共に、めっき浴5を、47L/分の条件で窒素バブリングしてかく拌しながら、電流密度8A/dm2の条件で58分間、電気めっき処理して、前記外面11の全面に、発熱層を形成した。 【0042】 (めっき浴組成、pH=3.3±0.1) 硫酸ニッケル6水和物:165g/L 硫酸第一鉄7水和物:18g/L グルコン酸:17g/L ホウ酸:40g/L チオ尿素:0.04g/L 光沢剤FA−3:25mL/L 光沢剤FA−4:20mL/L ピット防止剤#82:2mL/L 〔光沢剤、およびピット防止剤は、いずれも荏原ユージライト(株)製〕 【0043】 形成した発熱層の平均厚みを、下記の手順で求めた。すなわち、容器本体1を、先に説明した図3の線Lに沿って切断し、アルカリに浸漬してAl合金製の容器本体1を溶解した後、残った発熱層の厚みを、前記線Lに沿って、中心点Cから、先に説明したIH炊飯器の外側コイルに対向する位置までの間に1cmおきのポイントを設定して、それぞれのポイントごとに、マイクロメータを用いて測定し、各測定値の平均値を求めて、発熱層の平均厚みとした。発熱層の平均厚みは160μmであった。また、発熱層の、四端子法によって求めた電気抵抗率は0.37μΩm、単板磁気測定法によって求めた比透磁率は880、ICP発光分析法によって求めたFe濃度は22重量%、高周波赤外線吸収法によって求めたS濃度は0.26重量%であった。 【0044】 〈低抵抗層の形成、および熱処理〉 前記発熱層を形成した容器本体1を、再び、治具2に装着し、前記治具2を、その中心軸21を中心として、図2中に実線の矢印で示すように、一定方向に回転させながら、Ni陽極3、およびFe陽極4に代えて、図示しないCu陽極と共に、下記の各成分を含む、浴温を45±1℃に保持しためっき浴5に浸漬した。そして、容器本体1を装着した治具2の回転を続けると共に、めっき浴5を、47L/分の条件で窒素バブリングしてかく拌しながら、電流密度3A/dm2の条件で5分間、電気めっき処理して、発熱層の外面の全面に、Cuからなる低抵抗層を積層した後、大気中において、300℃で30分間、熱処理して電磁調理容器を製造した。電磁調理容器の総重量は632g、電磁調理容器を形成する個々の材料の比熱と、それぞれの材料の重量とから算出した、電磁調理容器の全体の比熱は0.13kcal/Kであった。 【0045】 (めっき浴組成) 硫酸銅5水和物:210g/L 硫酸:55g/L 塩酸:0.15mL/L 光沢剤メイキャップカパラシド210:7mL/L 光沢剤カパラシド210A:0.5mL/L 光沢剤カパラシド210B:0.5mL/L 〔光沢剤は、いずれもアトテックジャパン(株)製、「カパラシド」は登録商標〕 【0046】 積層した低抵抗層の平均厚みを、下記の手順で求めた。すなわち、容器本体1を、先に説明した図3の線Lに沿って切断し、アルカリに浸漬してAl合金製の容器本体1を溶解した後、残った発熱層と低抵抗層の合計の厚みを、発熱層を測定した各ポイントごとに、マイクロメータを用いて測定し、その測定値から、先に測定した発熱層の厚みを減算して、低抵抗層の厚みを得、前記厚みの平均値を求めて、低抵抗層の平均厚みとした。低抵抗層の平均厚みは3μmであった。 【0047】 《実施例2》 発熱層の形成に用いるめっき浴として、下記の各成分を含むものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、電磁調理容器を製造した。発熱層の平均厚みは160μmであった。また、発熱層の、四端子法によって求めた電気抵抗率は0.42μΩm、単板磁気測定法によって求めた比透磁率は920、ICP発光分析法によって求めたFe濃度は50重量%、高周波赤外線吸収法によって求めたS濃度は0.08重量%であった。また、電磁調理容器の総重量は630g、電磁調理容器を形成する個々の材料の比熱と、それぞれの材料の重量とから算出した、電磁調理容器の全体の比熱は0.13kcal/Kであった。 (めっき浴組成、pH=3.3±0.1) 硫酸ニッケル6水和物:100g/L 硫酸第一鉄7水和物:18g/L グルコン酸:17g/L ホウ酸:40g/L 光沢剤FA−3:10mL/L 光沢剤FA−4:20mL/L ピット防止剤#82:2mL/L 〔光沢剤、およびピット防止剤は、いずれも荏原ユージライト(株)製〕 【0048】 《比較例1》 発熱層の形成に用いるめっき浴として、下記の各成分を含むものを用いたこと以外は実施例1と同様にして、電磁調理容器を製造した。発熱層の平均厚みは160μmであった。また、発熱層の、四端子法によって求めた電気抵抗率は0.25μΩm、単板磁気測定法によって求めた比透磁率は1030、ICP発光分析法によって求めたFe濃度は25重量%、高周波赤外線吸収法によって求めたS濃度は0.05重量%であった。また、電磁調理容器の総重量は632g、電磁調理容器を形成する個々の材料の比熱と、それぞれの材料の重量とから算出した、電磁調理容器の全体の比熱は0.13kcal/Kであった。 (めっき浴組成、pH=3.3±0.1) 硫酸ニッケル6水和物:165g/L 硫酸第一鉄7水和物:10.5g/L グルコン酸:17g/L ホウ酸:40g/L 光沢剤FA−3:25mL/L 光沢剤FA−RA:2.5mL/L 光沢剤FA−4:20mL/L ピット防止剤#82:2mL/L 〔光沢剤、およびピット防止剤は、いずれも荏原ユージライト(株)製〕 【0049】 《比較例2》 めっき浴として、先に説明した特開平10−199726号公報に記載のめっき浴を再現した、下記の各成分を含むものを用いると共に、浴温を25±1℃、電流密度を2A/dm2としたこと以外は実施例1と同様にして、容器本体の外面に発熱層を形成する操作を行ったが、成膜途中ではく離やクラック等を生じたため、発熱層の形成を断念した。 (めっき浴組成、pH=2.8±0.1) 硫酸ニッケル6水和物:52.6g/L 硫酸第一鉄7水和物:0.6g/L 硫酸第一コバルト7水和物:13.5g/L 塩化アンモニウム:15g/L ホウ酸:24.7g/L チオ尿素:0.02g/L ピット防止剤#82〔荏原ユージライト(株)製〕:2mL/L 【0050】 《比較例3》 めっき浴として、先に説明した特開平11−186034号公報に記載のめっき浴を再現した、下記の各成分を含むものを用いると共に、浴温を25±1℃、電流密度を2A/dm2としたこと以外は実施例1と同様にして、容器本体の外面に発熱層を形成する操作を行ったが、成膜途中ではく離やクラック等を生じたため、発熱層の形成を断念した。 (めっき浴組成、pH=2.8±0.1) 硫酸ニッケル6水和物:66.1g/L 硫酸第一鉄7水和物:0.6g/L 塩化アンモニウム:15g/L ホウ酸:24.7g/L チオ尿素:0.02g/L ピット防止剤#82〔荏原ユージライト(株)製〕:2mL/L 【0051】 《参考例1》 前記IH炊飯器の純正の、ステンレス鋼とAl合金とのクラッド材からなる電磁調理容器を、参考例1とした。参考例1の電磁調理容器の、発熱層として機能するステンレス鋼の層の総厚みは500μm、四端子法によって求めた電気抵抗率は0.55μΩm、単板磁気測定法によって求めた比透磁率は200であった。また、電磁調理容器の総重量は887g、電磁調理容器を形成する個々の材料の比熱と、それぞれの材料の重量とから算出した、電磁調理容器の全体の比熱は0.16kcal/Kであった。 【0052】 《実機試験》 実施例1、2、比較例1、および参考例1の電磁調理容器を、先に説明したIH炊飯器〔象印マホービン(株)製のNP−CB18〕に装着した。前記IH炊飯器は、先に説明したように、スイッチング素子として絶縁ゲートバイポーラトランジスタを用いたスイッチング回路を、誘導コイルに流す高周波電流を発生させるための駆動回路として備えたものである。前記IH炊飯器において、誘導コイルは、図3中の中心点Cから、線Lに沿って25mm外側の位置に、前記中心点Cを中心としてリング状に配設された、幅30mmの内側コイル(10巻)と、前記中心点Cから、線Lに沿って95mm外側の、平板状の底部1cと筒部1aとのR状のコーナー部に、同じく中心点Cを中心としてリング状に配設された、幅30mmの外側コイル(10巻)とで構成されている。 【0053】 そして、前記スイッチング回路に電源を投入して駆動させた際に、誘導コイルに流れる高周波電流の電流波形を測定して、その周波数(kHz)と、ピーク電流値(A)とを求めると共に、前記周波数(kHz)と、各電磁調理容器における電気抵抗率(μΩm)と、単板磁気測定法によって求めた比透磁率から、式(2): μr=μ/μ0 (2) 〔式中、μrは比透磁率、μは透磁率(H/m)、μ0は真空の透磁率(=4π×10-7H/m)である。〕 によって求められる透磁率μ(H/m)とから、先に説明した式(1)によって、磁性材料の表皮厚み(μm)を求めたところ、表1に示す結果が得られた。 【0054】 【表1】
【0055】 表1より、比較例1の電磁調理容器は、参考例1に比べて、発生する高周波電流の、電流値の立ち上がりが大きいため、高周波電流の周波数が高くなると共に、ピーク電流値が高くなることが判った。これに対し、実施例1、2の電磁調理容器では、いずれも、発生する高周波電流の、電流値の立ち上がりが大きくなるのを抑制して、前記高周波電流の波形を、参考例1と、ほぼ同等にできることが判った。 【図面の簡単な説明】 【0056】 【図1】本発明の実施例、比較例で用いた容器本体の半裁断面図である。 【図2】前記容器本体の外面に、電気めっき処理によって発熱層や低抵抗層を形成する装置の一例を示す断面図である。 【図3】前記実施例、比較例で形成した発熱層、低抵抗層の、厚みの分布を測定する手順を説明する斜視図である。 【符号の説明】 【0057】 1 容器本体 1a 筒部 1b 開口 1c 底部 11 外面 2 治具 21 中心軸 3 陽極 4 陽極 5 めっき浴 6 遮蔽板 A 中心軸 C 中心点 D 外径寸法 L 線 P 平面
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| 【出願人】 |
【識別番号】000002130 【氏名又は名称】住友電気工業株式会社 【識別番号】599109906 【氏名又は名称】住友電工ファインポリマー株式会社
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| 【出願日】 |
平成18年8月4日(2006.8.4) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100087701 【弁理士】 【氏名又は名称】稲岡 耕作
【識別番号】100101328 【弁理士】 【氏名又は名称】川崎 実夫
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| 【公開番号】 |
特開2008−36083(P2008−36083A) |
| 【公開日】 |
平成20年2月21日(2008.2.21) |
| 【出願番号】 |
特願2006−213672(P2006−213672) |
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