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【発明の名称】 簡易鍋
【発明者】 【氏名】持田 達也

【氏名】徳永 宜則

【要約】 【課題】内容物を入れた際の安定性及び強度、並びに使用性に優れ、特別な器具を必要とせずに、鍋としての形態を安定的に保持しながら使用することができる簡易鍋を提供する。

【構成】所定寸法の可撓性金属箔シートの面上中央部分に凹形部2が形成され、該凹形部2の上方に立設状の周壁部7が設けられ、凹形部2と周壁部7との間に環状の段差部5が周回状に設けられてなり、凹形部2の底部2aにリブが形成されている。また、段差部5と周壁部7との間に補強部6が設けられており、該補強部6が、主として周壁部7を補強する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定寸法の可撓性金属箔シートの面上中央部分に凹形部が形成され、該凹形部の上方に立設状の周壁部が設けられ、前記凹形部と前記周壁部との間に環状の段差部が周回状に設けられてなる簡易鍋であって、
前記凹形部の底部にリブが形成されていることを特徴とする簡易鍋。
【請求項2】
前記リブが、円心円状に形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の簡易鍋。
【請求項3】
前記段差部の最小幅が、5mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の簡易鍋。
【請求項4】
前記段差部と前記周壁部との間に補強部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の簡易鍋。
【請求項5】
前記補強部が、曲面からなることを特徴とする請求項4に記載の簡易鍋。
【請求項6】
前記補強部が、平坦な傾斜面からなることを特徴とする請求項4に記載の簡易鍋。
【請求項7】
前記補強部が、主として前記周壁部を補強するものであることを特徴とする請求項4〜6の何れか1項に記載の簡易鍋。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易的に形成され、使い捨て可能に利用される、可撓性金属箔シート材からなる簡易鍋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、可撓性金属箔シート材等を素材に用いて成形され、簡易的に構成される簡易鍋は、小型軽量であり、また使い捨てとすることができる等、取り扱いが容易であるため、飲食店や旅館等において、飲食者が個別に使用する等の形で用いられている。
【0003】
このような簡易鍋としては、例えば、特許文献1に記載されたような把持部を有する簡易鍋や、図9に示すような、所定寸法のアルミ箔材等からなる可撓性金属箔シートの面上中央に円形状等の折形部104が形成され、該折形部104から外延の部分が立設状に形成され、周壁部129とされた簡易鍋100がある。なお、図9に示す簡易鍋100において、符号102は底部、108は周壁部107の上縁である。このような簡易鍋は、内容物を収容し、これに加熱処理を施すことが可能であること、及び、極めて簡単に製造することができる等の利点も併せ持つ。
【0004】
しかしながら、図9に示すような簡易鍋100を使用する場合、鍋としての形状を維持するため、コンロに付随した特別な用具を必要とするという問題があり、例えば、図10に示すような支持枠体132が必要であった。この支持枠体132は、上下位置の環状枠133と134とを複数の支持枠135で相互に連継し、また、下部の環状枠133上に複数のフック杆136を一定間隔で固設した構成とされている。また、支持枠体132は、各フック杆136をコンロ111の上縁部111b上にフックさせることによって配設されている。 つまり、簡易鍋100は、底部側から支持枠体132上へ挿入する状態でセットされ、周壁部107が環状枠133及び134上に支持された状態で、鍋としての形状が保持される。 なお、図10において、符号112はコンロ111内に配されて燃焼する固形燃料である。
【0005】
上述のような問題点を解決するため、簡易鍋の周壁部に段差部を設けることにより、鍋としての安定した形状を有した簡易鍋がある。このような簡易鍋によれば、特別な用具を用いることなく、簡易鍋をそのままコンロ上に載置して使用することができる。
【特許文献1】実開平3−38037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記簡易鍋では、収容量を増量するために鍋の底部の面積を広げた場合、底部の強度が低下し、撓みや変形が生じやすくなり、例えば、底部を指等で触った際にも撓みが生じてしまうという問題がある。このため、収容量が増量された簡易鍋に多くの内容物を収容した場合には、内容物の重量によって底部が撓み、ひいては鍋全体が変形してしまうおそれがある。
【0007】
また、上述のように底部が強化された簡易鍋に多くの内容物を収容した場合、周壁部や段差部に大きな荷重が加わって変形が生じ、簡易鍋をコンロに載置した際に不安定な状態となるおそれがある。この際、周壁部や段差部の変形に伴って簡易鍋全体に変形が生じ、内容物が漏洩してしまうという問題があった。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、上述したような従来の簡易鍋における問題を解消し、内容物を入れた際の安定性及び強度、並びに使用性に優れ、特別な器具を必要とせずに、鍋としての形態を安定的に保持しながら使用することができる簡易鍋を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記課題について鋭意検討した結果、周壁部と段差部との間に補強部を設けることによって簡易鍋全体の強度を向上させることが可能となり、また、簡易鍋に多くの内容物を収容した場合でも、前記補強部によって荷重が分散されることを見出し、本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明の簡易鍋は、所定寸法の可撓性金属箔シートの面上中央部分に凹形部が形成され、該凹形部の上方に立設状の周壁部が設けられ、前記凹形部と前記周壁部との間に環状の段差部が周回状に設けられてなる簡易鍋であって、前記凹形部の底部にリブが形成されていることを特徴とする。
また、本発明の簡易鍋は、前記リブが、円心円状に形成されてなる構成とすることができる。
また、本発明の簡易鍋は、前記段差部の最小幅が、5mm以上であることが好ましい。
【0011】
また、本発明の簡易鍋は、前記段差部と前記周壁部との間に補強部が設けられた構成とすることができる。
また、本発明の簡易鍋は、前記補強部が、曲面からなる構成とすることができる。
また、本発明の簡易鍋は、前記補強部が、平坦な傾斜面からなる構成とすることができる。
また、本発明の簡易鍋は、前記補強部が、主として前記周壁部を補強するものである構成とすることができる。
【0012】
また、本発明の簡易鍋は、前記段差部と前記周壁部との間に少なくとも折形部が形成され、且つ、該折形部近傍に、重折部、及び/又は、重畳部が生じるように形成された構成としても良い。
また、本発明の簡易鍋は、前記凹形部と前記段差部との間に折形部が形成され、且つ、該折形部近傍に、重折部、及び/又は、重畳部が生じるように形成された構成としても良い。
また、本発明の簡易鍋は、前記凹形部の側壁に上下方向の折曲部が複数形成された構成としても良い。
また、本発明の簡易鍋は、前記凹形部の側壁が、前記折曲部で折り曲げられてリブ状に形成された構成としても良い。
【0013】
また、本発明の簡易鍋は、前記周壁部に上下方向の折曲部が複数形成された構成としても良い。
また、本発明の簡易鍋は、 前記周壁部が、前記折曲部で折り曲げられてリブ状に形成された構成としても良い。
また、本発明の簡易鍋は、 前記周壁部が、前記凹形部の側壁よりも大きなリブ状に形成された構成としても良い。
また、本発明の簡易鍋は、 前記周壁部が、前記折曲部で折り曲げられてリブ状に形成され、且つ、前記凹形部の底部に対して傾斜しつつ拡開するように形成された構成としても良い。
また、本発明の簡易鍋は、前記段差部が、上方向にゆくに従って順にその径が大きくなるように、二以上設けられた構成としても良い。
【発明の効果】
【0014】
本発明の簡易鍋によれば、また、段差部と周壁部との間に、曲面或いは平坦な傾斜面からなる補強部が設けられた構成とすることにより、簡易鍋の強度及び保形性が向上し、比較的多量の内容物を収容した場合であっても、撓みや変形が生じるのを抑制することができる。また、周壁部が折曲部で折り曲げられてリブ状とされた構成とすることにより、周壁部の強度を向上することができ、さらに、周壁部を傾斜しつつ拡開するように形成された構成とすれば、強度が向上するとともに、取り扱い性及び美観を同時に向上させることが可能となる。また、凹形部の底部にリブが設けられた構成とすることにより、底部に撓みや変形が生じるのを抑制することができる。
従って、内容物を入れた際の安定性及び強度、並びに使用性に優れた簡易鍋を、安価な構成で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明にかかる簡易鍋の実施の形態について、図1〜8を適宜参照しながら説明する。
【0016】
本実施形態の簡易鍋1は、図1及び図2に示すように、所定寸法の可撓性金属箔シートの面上中央部分に凹形部2が形成され、該凹形部2の上方に立設状の周壁部7が設けられ、凹形部2と周壁部7との間に環状の段差部5が周回状に設けられてなり、凹形部2の底部2aにリブ2bが形成され、概略構成されている。
また、本実施形態の簡易鍋1は、段差部5と周壁部7との間に補強部6が設けられている。
【0017】
本実施形態の簡易鍋1をなす可撓性金属箔シートの材料としては、特に限定されず、例えば、プレス加工が可能なものであれば多様な材料を用いることができるが、成形加工が容易であり、且つ軽量な成形品が得られることから、アルミ箔材、特に40〜60μm厚のものを用いることが好ましい。
また、可撓性金属箔シートの大きさとしては、成形品として意図する簡易鍋の大きさに合致した凹形部を形成することができ、さらに、凹形部の周囲に立設状の周壁部が形成されるとともに、該周壁部上に段差部を形成し、意図する深さの鍋を得ることができる程度のサイズを有するシートを適宜選択することができる。
また、可撓性金属箔シートの形状としても、特に限定されず、鍋としての形態が得られる形状のものであれば、円形状、四角形状、或いはその他の多角形状等、多様な形状のものを適宜選択して用いることができる。
本例の簡易鍋1では、40μm厚の四角形状アルミ箔材シートが素材として用いられ、鍋としての形状に成形されてなる。
【0018】
凹形部2は、底部2aを有して凹状に形成され、四角形状のアルミ箔材シート(可撓性金属箔シート)が、折形部3で折り曲げられることによって形成される。ここで、折形部3は、アルミ箔材シートの面上中央部に形成された環状の曲折部であり、また、底部2aは、簡易鍋1の底面として構成される。
凹形部2は、図1及び図2に示す例のように、側壁2cに上下方向の折曲部2dが複数形成されてなる構成とすることができる。また、この場合、側壁2cが、折曲部2dで折り曲げられてリブ状に形成されてなる構成とすることが、強度の点から好ましい。また、凹形部2の側壁2cにおける各折曲部2dの間隔をより小さくすれば、特に、底部2a付近の凹形部2の強度を向上させることができる。
【0019】
また、底部2aには、リブ2bが凹形部2内に突出するように形成されていることが好ましく、また図示例のように、リブ2bは円心円状に形成されていることが好ましい。
底部2aにリブ2bを設けることにより、底部2aの強度が向上することから、簡易鍋1に比較的多量の内容物を収容した際に、底部2aに撓みや変形等が生じるのを抑制することができるとともに、使用者が底部2aに指で触れた際、底部2aが撓むのを抑制することができる。
【0020】
また、リブ2bを円心円状に構成することにより、例えば、簡易鍋1から内容物がこぼれ出して、周壁部7及び凹形部2の側壁2cを伝わり、底面2aに水滴状に付着した場合であっても、水滴の移動がリブ2bによって阻止されるため、底面2aの中心付近に水滴が移動するのが防止される。これにより、簡易鍋1をコンロ(図5のコンロ80参照)に載置して使用した際、炎や固形燃料に内容物が垂れることが無いため、簡易鍋1の使用中に炎が立ち消えしたり、固形燃料が使用不能になるのを防止することができる。
【0021】
段差部5は、凹形部2と周壁部7との間に形成され、アルミ箔材シートが折形部4a,4bで折り曲げられることで、環状の段差面として形成される。ここで、折形部4a,4bは、アルミ箔材シートの面上に環状に形成された折り曲げ部である。図1に示すように、本実施形態の段差部5は、凹形部2の上端である折形部4aが折り曲げられて略水平に延出し、段差部5の終端である折形部4bが折り曲げられることにより、平面に形成される。
【0022】
段差部5の最小幅(径方向の幅寸法)は、特に限定されないが、5mm以上であることが、簡易鍋1の安定性や使用性の面から好ましい。
また、段差部5の径方向の寸法、幅及び面積は、簡易鍋1を載置して用いる各種コンロの寸法形状に合致させ、適宜決定することができる。例えば、コンロ9に載置した際の安定性を考慮した場合、段差部5の径方向の幅寸法を上記寸法とし、コンロ9の上縁部9aへの載置代をこの幅寸法程度とすれば、簡易鍋1を、コンロ9から落下すること無く安定して載置することが可能となる。
【0023】
周壁部7は、図1に示すように、可撓性金属箔シートが段差部5の終端である折形部4bで折り曲げられ、後述の補強部6を介して、凹形部2の上方に立設状に形成される周壁である。
周壁部7は、図1及び図2に示す例では、周壁部7上に上下方向に沿った複数の折曲部7aが、それぞれ一定間隔で形成されており、折曲部7aで折り曲げられてリブ状に形成され、襞状の側壁部として形成されている。
また、図1に示す本実施形態の簡易鍋1は、四角形状アルミ箔材シートが素材として用いられているため、周壁部7の上端部8の内の計4箇所(符号D参照)が、上端部8のその他の位置に比べて突出するように形成されている。
【0024】
周壁部7は、上記凹形部2にリブ状に形成された側壁2cよりも、大きなリブ状に形成された構成とし、リブ形状が大きく張り出すように形成されることが好ましい。図1及び図2に示す例では、周壁部7は凹形部2に比べ、各折曲部7aの間隔が、各折曲部2dの間隔に比べ、概ね2〜3倍の範囲となっている。
これにより、周壁部7の強度を向上させることができ、また、簡易鍋1を成形する際に側壁部7に皺が発生するのを抑制することができることから、美観が向上するとともに、皺の集中によって側壁部7に孔が開くのを抑制することが可能となる。
【0025】
また、周壁部7は、折曲部7aで折り曲げられてリブ状に形成され、且つ、凹形部2の底部2aに対して傾斜しつつ拡開するように形成されることにより、略花弁形状に構成することができる。これにより、簡易鍋1の開口が大きくなり、使用性が向上するとともに、美観が向上する。
また、周壁部7は、各折曲部7a間の面を、図1及び図2に示す例のように平面状に構成しても良いし、或いは曲面状に構成しても良い。
【0026】
補強部6は、段差部5と周壁部7との間に設けられる。図1に示す例では、補強部6は、段差部5と周壁部7との間が滑らかに接続される曲面とされている。
本実施形態の簡易鍋1では、補強部6を設けることにより、主として周壁部7を補強することができるとともに、段差部5及び該段差部5と周壁部7との間の強度を向上させることができる。また、簡易鍋1に内容物を収容した際、周壁部7及び段差部5に加わる応力が補強部6によって分散される。
これにより、簡易鍋1の強度及び保形性が向上し、簡易鍋1に比較的多量の内容物を収容した場合であっても、簡易鍋1に撓みや変形が生じるのを抑制することができる。
【0027】
なお、図1に示す簡易鍋1では、段差部5と周壁部7との間が曲面からなる補強部6とされているが、本発明に係る簡易鍋は、これには限定されない。例えば、図3に示すように、段差部50と周壁部70との間の少なくとも一部に、平坦な傾斜面からなる補強部61が設けられた構成とすることもできる。
図3に示す簡易鍋11は、段差部50と周壁部70との間に平面状の補強部61を設けることにより、図1に示す簡易鍋1と同様に、周壁部70や、段差部50及び該段差部50と周壁部70との間の強度を向上させることができ、また、内容物が収容された際に加わる応力が補強部61によって分散される。これにより、図1に示す簡易鍋1と同様の効果が得られる。
【0028】
以下に、本実施形態の簡易鍋1の使用例について、図5及び図6を参照しながら説明する。
図5に示すように、簡易鍋1を使用する際は、まず、簡易鍋1を底部2a側からコンロ9内に挿入し、該コンロ9の上縁部9a上に、段差部5を介して載置して支持させる。なお、コンロ9の底部9bの面上には固形燃料9cが載置されており、また、コンロ9の周壁には切欠き孔9dが設けられている。
そして、上記状態において、簡易鍋1内に、例えば液体を主成分とする図示略の内容物が収容される場合でも、簡易鍋1は、上記構成によって周壁部7や段差部5等が強化されるとともに、周壁部や段差部5に加わる応力が補強部6によって分散されるため、段差部5を介してコンロ9上に安定して載置支持される。これにより、周壁部7、及び段差部5の形状は安定的に維持される。
【0029】
また、図6に示すように、複数の簡易鍋1を取り扱う際には、簡易鍋1の原形を維持する状態で、一の簡易鍋1の凹形部2内に、他の一の簡易鍋1を、その底部2a側から挿入して、複数の簡易鍋1を相互に積み重ねることにより、コンパクト化を図ることができる。これにより、大量の簡易鍋1を保管する場合でも場所をとらず、また、運搬等で取り扱う際もコンパクトな状態で取り扱うことが可能となる。
【0030】
なお、本発明に係る簡易鍋では、図4に示す例のように、折形部41bが、周壁部70上に重折部71、及び/又は、重畳部72を生じるように形成された構成としても良い。これにより、周壁部及び簡易鍋全体の強度をさらに向上させることが可能となる。
また、本実施形態の簡易鍋は、図1及び図2において、上述と同様に、折形部3が、凹形部2の側壁2c上に、図示略の重折部、及び/又は、重畳部を生じるように形成された構成としても良く、これにより、凹形部及び簡易鍋全体の強度を向上させることが可能となる。
【0031】
本発明に係る簡易鍋では、周壁部70上に形成される重折部71及び重畳部72は、例えば、折形部41bを形成する際に、金属箔シート面上に生じる襞状の部分をプレス加工することによって得られ、また、凹形部2の側壁2c上に形成される図示略の重折部及び重畳部も同様に加工することで得られる。
【0032】
ここで、本発明で述べる重折部とは、周壁部70上に形成される重折部71を例に説明すると、折形部4bを介して上下方向に沿って周壁部7の中部にまで及ぶ圧接状態で形成される金属箔シートの重なり部分、及び、折形部4aを介して上下方向に沿って凹形部2の側壁2cの中部にまで及ぶ圧接状態で形成される金属箔シートの重なり部分を言う。また、重畳部とは、上述のような重折部71が、周壁部7の端縁部にまで及ぶように形成されたものをいう。
【0033】
また、重畳部は、周壁部或いは凹形部の側壁の端縁部にまで及ぶ重なり部分である折縁部からなり、その重なり部分が接合的に作用するほか、図4に例示するように、周壁部70面に対する外方への外力Aに対して各折縁部71a、71bの反力作用Bが保形性を維持するように作用する。
【0034】
上述のような重折部(図4の符号71参照)、重畳部(図4の符号72参照)によれば、上記構成により、凹形部2及び周壁部7、ひいては簡易鍋1全体の強度が向上するとともに、保形性を高めることが可能となる。
また、図8及び図9に示す簡易鍋12のように、重折部、及び/又は、重畳部は、複数の段差部が設けられた場合にも、各折形部を重折部、及び/又は、重畳部が生じるように形成することにより、図1及び図2に示す簡易鍋1と同様、強度及び保形性を、より一層向上させることができる。
なお、上述のような重折部及び重畳部の数については、特に限定されず、1以上であれば、特にその数について制限はない。
【0035】
また、図1及び図2に示す例では、環状の段差部5が、簡易鍋1の周囲の1箇所に設けられた構成となっているが、これには限定されず、簡易鍋1の上方向(図1の上方向)にゆくに従って順にその径が大きくなるように、段差部が二以上設けられた構成とすることもできる。
例えば、図7及び図8に示す簡易鍋12のように、段差部51が設けられるとともに、周壁部70上に段差部51よりも径が大きな段差部52が設けられた構成とすることができる。この場合には、各段差部の径が各種コンロの上縁部の径にそれぞれ対応した大きさであることが好ましい。図示例では、段差部52が、コンロ90の上縁部90aに載置されており、また、段差部51が、コンロ90よりも小径とされたコンロ91(図7の二点鎖線参照)の上縁部91aの径に合致するように形成されている。
【0036】
図7及び図8に示す簡易鍋12のように、段差部が二以上設けられた構成とし、さらに、各段差部の径を各種コンロの上縁部の径にそれぞれ対応した大きさとすることにより、簡易鍋を、上縁部の寸法形状が異なる各種コンロで用いることが可能となり、汎用性が向上する。また、複数の段差部が設けられた構成とすることにより、凹形部及び周壁部、ひいては簡易鍋全体の強度及び保形性を向上させることが可能となる。
【0037】
以上、説明したように、本実施形態の簡易鍋1によれば、段差部5と周壁部7との間に、曲面或いは平坦な傾斜面からなる補強部6(61)が設けられた構成とすることにより、簡易鍋の強度及び保形性が向上し、比較的多量の内容物を収容した場合であっても、撓みや変形が生じるのを抑制することができる。また、周壁部7が折曲部7aで折り曲げられリブ状とされた構成とすることにより、周壁部7の強度を向上することができ、さらに、周壁部7を傾斜しつつ拡開するように形成された構成とすれば、強度が向上するとともに、取り扱い性及び美観を同時に向上させることが可能となる。また、凹形部2の底部2aにリブ2bが設けられた構成とすることにより、底部2aに撓みや変形が生じるのを抑制することができる。
従って、内容物を入れた際の安定性及び強度、並びに使用性に優れた簡易鍋を、安価な構成で実現することができる。
【0038】
一般に、可撓性金属箔シートを成形することによって得られる簡易鍋は、内容物を収容した際、径方向に向かって簡易鍋が広がるように変形するおそれがあるが、本発明に係る簡易鍋では、段差部と周壁部との間に補強部を設けることにより、このような変形を防止することができる。
また、簡易鍋をコンロの上縁部に載置した際、内容物の重みで段差部及び該段差部に隣接する周壁部に応力が加わって変形が生じ、段差部とコンロ上縁部との係合が外れて簡易鍋が脱落してしまうおそれがあるが、本発明に係る簡易鍋では、補強部を設けた構成とすることによって段差部及び周壁部が変形しないため、簡易鍋が脱落するのを防止できる。
【0039】
また、本発明に係る簡易鍋では、簡易鍋の周壁部における段差部が、重折部、及び/又は、重畳部を伴って構成されることから、段差部自体の強度が高められ、これにより、簡易鍋全体の強度及び保形性が強化される。従って、簡易鍋に比較的に多量の内容物を収容した場合でも安定的に使用することができる。
また、本発明に係る簡易鍋の製造は、プレス加工等の方法によって極めて容易且つ迅速に行うことができるため、簡易鍋の使い捨てが可能となる安価な製造コストで、経済的に製造することができる。
また、本発明に係る簡易鍋では、段差部を複数形成し、さらに、周壁部上に多数の折曲部が一定間隔で形成されることにより、強度及び保形性がより一層向上する。
また、本発明に係る簡易鍋は、コンパクトな形態で積み重ねて保存できることから、その取り扱いも容易である。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明に係る簡易鍋の一例を説明する図であり、側面形状を示す概略図である。
【図2】本発明に係る簡易鍋の一例を説明する図であり、図1に示す簡易鍋の平面形状を示す概略図である。
【図3】本発明に係る簡易鍋の他例を説明する図であり、側面形状を示す概略図である。
【図4】本発明に係る簡易鍋の他例を説明する図であり、周壁部の構造を示す部分図である。
【図5】本発明に係る簡易鍋の一例を説明する図であり、簡易鍋をコンロに載置した状態を示す概略図である。
【図6】本発明に係る簡易鍋の一例を説明する図であり、簡易鍋を重ねてまとめる使用形態を示す概略図である。
【図7】本発明に係る簡易鍋の他例を説明する図であり、簡易鍋をコンロに載置した状態を示す概略図である。
【図8】本発明に係る簡易鍋の他例を説明する図であり、図7に示す簡易鍋の平面形状を示す概略図である。
【図9】従来の簡易鍋を説明する図であり、側面形状を示す概略図である。
【図10】従来の簡易鍋を説明する図であり、簡易鍋をコンロに載置した状態を示す概略図である。
【符号の説明】
【0041】
1、11、12…簡易鍋、2…凹形部、2a…底部、2c…壁部、3、4a、4b、41b…折形部、5、51、52…段差部、6…曲面部、61…傾斜部、7、70…周壁部、2d、7a…折曲部
【出願人】 【識別番号】000176707
【氏名又は名称】三菱アルミニウム株式会社
【識別番号】000190736
【氏名又は名称】株式会社ニイタカ
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和


【公開番号】 特開2008−35996(P2008−35996A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211921(P2006−211921)