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【発明の名称】 加熱調理器および電磁誘導調理器
【発明者】 【氏名】稲田 剛士

【氏名】口野 邦和

【氏名】田中 郁子

【氏名】三島 基道

【氏名】貞平 匡史

【氏名】新田 浩朗

【氏名】奥田 直

【要約】 【課題】調理室内の油の発火を防止して被調理物の調理性能が低下するのを低減する。

【構成】被調理物3を下方から加熱する第一の加熱手段4および上方から加熱する第二の加熱手段5の温度が加熱手段所定温度以下になるように制御する制御手段14を備え、被調理物3から流出する油が第一の加熱手段4に滴下したり、飛散して第二の加熱手段5に付着したりしても発火しない温度に第一の加熱手段4および第二の加熱手段5の温度を制御することになり、調理中に被調理物3から流出する油が第一の加熱手段4および第二の加熱手段5に付着して発火が生じ、被調理物3が焦げてしまって調理性能が低下するのを低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被調理物を載置する焼き網と、前記焼き網を収納する受皿と、前記焼き網と前記受皿と前記被調理物を収納する調理室と、前記被調理物を下方から加熱する第一の加熱手段および上方から加熱する第二の加熱手段と、前記第一の加熱手段および前記第二の加熱手段の温度が加熱手段所定温度以下になるように、前記第一の加熱手段および前記第二の加熱手段を制御する制御手段とを備えた加熱調理器。
【請求項2】
制御手段は、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が500℃以下になるように、前記第一の加熱手段および前記第二の加熱手段を制御する請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
制御手段は、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が450〜500℃になるように、前記第一の加熱手段および前記第二の加熱手段を制御する請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
制御手段は、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が500℃近傍になるように、前記第一の加熱手段および前記第二の加熱手段を制御する請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項5】
制御手段は、第一の加熱手段および第二の加熱手段への通電をONしてOFFすることを繰り返すON−OFF時間制御で前記第一の加熱手段および第二の加熱手段を制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項6】
制御手段は、第一の加熱手段および/または第二の加熱手段の温度が加熱手段所定温度に到達すると、ON−OFF時間制御で前記第一の加熱手段および/または前記第二の加熱手段を制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項7】
制御手段は、第一の加熱手段および/または第二の加熱手段の温度が加熱手段所定温度に到達すると、前記第一の加熱手段および/または前記第二の加熱手段を位相制御する請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項8】
受皿の温度を検知する受皿温度検知手段を備え、制御手段は、前記受皿温度検知手段が検知する温度が受皿所定温度以下になるように第一の加熱手段および/または第二の加熱手段を制御する請求項1〜7のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項9】
受皿所定温度は、受皿の温度が300℃のときに受皿温度検知手段が検知する温度と略同等である請求項8に記載の加熱調理器。
【請求項10】
調理室内で発生する油煙の少なくとも一部を除去する油煙量低減手段と、前記油煙量低減手段を加熱する第三の加熱手段を備えた請求項1〜9のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項11】
第二の加熱手段が油煙量低減手段を加熱する請求項9に記載の加熱調理器。
【請求項12】
被調理物の側方から加熱する側方加熱手段を備えた請求項1〜11のいずれか1項に記載の加熱調理器。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の加熱調理器を搭載した電磁誘導調理器。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は一般家庭で魚、肉等の被調理物を加熱調理する加熱調理器および電磁誘導調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加熱調理器1は、図18に示すように、主に放射熱により被調理物3を下方から加熱調理する第一の加熱手段4と、主に放射熱により被調理物3を上方から加熱調理する第二の加熱手段5を有する調理室2を有し、被調理物3を載置する焼き網6および焼き網6の下方に配置されて焼き網6を収納し、且つ加熱調理時に被調理物3から落下する油A等を受ける受皿7は共に調理室2内に収納される。また、扉8は、調理室2の前面開口部を覆うとともに、被調理物3を出し入れするために開閉自在となっている。
【0003】
次に、被調理物3を調理する方法を説明する。まず、使用者は焼き網6に被調理物3を載せて焼き網6を受皿7に収納し、扉8の閉成動作に連動させて受皿7を調理室2内に収納する。その後、調理開始ボタン(図示せず)を押すと、被調理物3を加熱する調理工程が開始する。
【0004】
調理工程が開始すると、調理室2内にある第一の加熱手段4および第二の加熱手段5が通電される。被調理物3が調理室2内の所定の位置に収納されると、第一の加熱手段4は被調理物3の下方に、また第二の加熱手段5は被調理物3の上方に配置されるので、被調理物3は、主に第一の加熱手段4または第二の加熱手段5の放射熱により加熱されることになる。
【0005】
こうして、第一の加熱手段4または第二の加熱手段5が所定時間通電されることにより、被調理物3は加熱調理される(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2006−107807号公報
【特許文献2】特開2000−111052号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、図18に示されるような前記従来の構成では、以下のような課題を有している。
【0007】
調理工程中に、少なくとも第一の加熱手段4の温度Tkoや第二の加熱手段5の温度は、図19に示すように、高温状態(例えば、第一の加熱手段4や第二の加熱手段5がシーズヒータで構成されている場合はTa=600〜700℃。第一の加熱手段4と第二の加熱手段5のヒータ電力が略同等の場合、第一の加熱手段4と第二の加熱手段5の温度推移は略同等になるので、図19では、第一の加熱手段4の温度Tkoのみの温度推移を示している)になる。
【0008】
一方、被調理物3がさんまや鶏もも肉等、油分を多く含む食材の場合は、調理工程中に被調理物3の表面が加熱されることにより、図20に示すように、被調理物3の内部から油Aが流れ出して、調理工程において約600〜700℃もの高温状態にある第一の加熱手段4に滴下することになったり、身がはじけたりして油Aが飛散し、約600〜700℃もの高温状態にある第二の加熱手段5に付着したりする。第一の加熱手段4に滴下した油Aが発火すると、炎Hが発生して被調理物3を焦がしてしまったり、第二の加熱手段5に飛散して付着した油Aが発火して炎Hが発生し、そのまま被調理物3に落下して被調理物3を焦がしてしまったりして、調理性能が低下するという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、調理室内の油の発火を防止して被調理物の調理性能が低下するのを低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、被調理物を載置する焼き網と、焼き網を収納する受皿と、焼き網と受皿と被調理物を収納する調理室と、被調理物を下方から加熱する第一の加熱手段および上方から加熱する第二の加熱手段と、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が加熱手段所定温度以下になるように、第一の加熱手段および第二の加熱手段を制御する制御手段とを備えたもので、さんまや鶏もも肉等、油や水を多く含む被調理物は調理工程中に200℃を越えないので、被調理物から出てくる油の温度も200℃を越えないことより、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度を、200℃の油が滴下したりまたは飛散して付着したりしても発火しない加熱手段所定温度以下にすることで、調理工程中に被調理物から流出してくる油が第一の加熱手段および第二の加熱手段に付着して発火するのを防止することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加熱調理器は、さんまや鶏もも肉等、油や水を多く含む被調理物は調理工程中に200℃を越えないので、被調理物から出てくる油の温度も200℃を越えないことより、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度を、200℃の油が滴下したりまたは飛散して付着したりしても発火しない加熱手段所定温度以下にすることで、調理工程中に被調理物から流出してくる油が第一の加熱手段に滴下したり、飛散して第二の加熱手段に付着したりして発火するのを防止することができる。それゆえ、油が発火することで被調理物が焦げたりすることを防止することができるので、被調理物の調理性能が低下するのを低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、被調理物を載置する焼き網と、焼き網を収納する受皿と、焼き網と受皿と被調理物を収納する調理室と、被調理物を下方から加熱する第一の加熱手段および上方から加熱する第二の加熱手段と、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が加熱手段所定温度以下になるように、第一の加熱手段および第二の加熱手段を制御する制御手段とを備えたもので、さんまや鶏もも肉等、油や水を多く含む被調理物は調理工程中に200℃を越えないので、被調理物から出てくる油の温度も200℃を越えないことより、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度を、200℃の油が滴下したりまたは飛散して付着したりしても発火しない加熱手段所定温度以下にすることで、調理工程中に被調理物から流出してくる油が第一の加熱手段に滴下したり、飛散して第二の加熱手段に付着したりして発火するのを防止することができる。それゆえ、油が発火することで被調理物が焦げたりすることを防止することができるので、被調理物の調理性能が低下するのを低減することができる。
【0013】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が500℃以下になるように、第一の加熱手段および第二の加熱手段を制御するもので、200℃の油が滴下したり、または飛散して付着したりしても発火するのを確実に防止することができる。それゆえ、油が発火することで被調理物が焦げたりすることを防止することができるので、被調理物の調理性能が低下するのを低減することができる。
【0014】
第3の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が450〜500℃になるように、第一の加熱手段および第二の加熱手段を制御するもので、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が450℃より低くなって第一の加熱手段および第二の加熱手段が被調理物に与える熱量が不足して被調理物の調理性能が低下するのを低減することができるとともに、調理工程中に被調理物から出てくる油が第一の加熱手段に滴下したり、飛散して第二の加熱手段に付着したりしても、油が発火するのを防止することができ、油が第一の加熱手段および第二の加熱手段に付着して発火したことにより被調理物の調理性能が低下するのを低減することができる。
【0015】
第4の発明は、特に、第1の発明の制御手段は、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度が500℃近傍になるように、第一の加熱手段および第二の加熱手段を制御するもので、油が第一の加熱手段に滴下したり、飛散して第二の加熱手段に付着したりしても発火せずに被調理物が焦げたりするのを防止することができるとともに、第一の加熱手段および第二の加熱手段は赤外線を最も多く放出して被調理物を加熱することができるので、効率的に被調理物を調理することができる。
【0016】
第5の発明は、特に、第1〜4のいずれか1項の発明の受皿の温度を検知する受皿温度検知手段を備え、制御手段は、受皿温度検知手段が検知する温度が受皿所定温度以下になるように第一の加熱手段および/または第二の加熱手段を制御するもので、第一の加熱手段に油が滴下したり、飛散して第二の加熱手段に付着したりして発火し、その炎が受皿内に移っても、受皿内の油は発火しない温度になるように受皿所定温度を設定することにより、受皿に水を入れずに調理する水無の加熱調理器の場合や、受皿に水を入れる加熱調理器で使用者が受皿に水を入れ忘れて調理をしてしまった場合でも、万が一、第一の加熱手段および第二の加熱手段に付着する油が発火して、そのまま受皿内に溜まっている油に移っても、受皿内の油が発火することを防止することができる。
【0017】
したがって、受皿に水がなくても、受皿内に溜まっている油が発火することを防止することができ、安全で且つ受皿内に溜まっている油が発火してその炎が被調理物を焦がしてしまって調理性能が低下するのを低減することができる。
【0018】
第6の発明は、特に、第5の発明の受皿所定温度は、受皿の温度が300℃のときに受皿温度検知手段が検知する温度と略同等であるもので、受皿内の油の温度が300℃以下になるように制御手段が第一の加熱手段および/または第二の加熱手段を制御するので、受皿の温度は300℃を越えることがない。それゆえ、受皿にフッ素塗装をすることができるので、調理工程後、使用者は、受皿のお手入れを容易に行うことができ、加熱調理器の使い勝手を向上させることができる。
【0019】
第7の発明は、特に、第1〜6のいずれか1項の発明の加熱調理器を搭載した電磁誘導調理器で、電磁誘導で加熱する部分も加熱調理器部分も炎が発生しない構成とすることができるので、安全な電磁誘導調理器を提案することができる。
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器1の断面図を示すものである。なお、従来例における加熱調理器と同一部分については同一符号を付してその説明を省略する。
【0022】
図1において、加熱調理器1は、所定の位置に収納された被調理物3を加熱して調理する調理室2を備えている。調理室2は、主に放射熱により被調理物3を下方から加熱する第一の加熱手段4と、主に放射熱により被調理物3を上方から加熱する第二の加熱手段5を有している。
【0023】
被調理物3を載置する焼き網6と、焼き網6の下方に配置されて焼き網6を収納し、且つ被調理物3から発生して落下する油A等を受ける受皿7は、共に調理室2内の所定の位置に収納される。また、受皿7は、扉8の開閉動作と連動するようになっており、受皿7が調理室2内に収納されると、扉8が調理室2の前面開口部を覆うように構成されている。
【0024】
加熱調理器1外の空気を調理室2内に供給する吸気口1aは、調理室2の上面部2bと接続され且つ調理室2内の空気を外部に排出する排気経路9よりも下方に配置されている。そのため、調理工程中の調理室2内の空気や、調理工程中に魚等の被調理物3から発生する油煙Uおよび被調理物3から流れ出た油Aが第一の加熱手段4に滴下して発生する油煙U等は、高温であり上昇していくので、排気経路9から排出されていくとともに、加熱調理器1外の空気が吸気口1aから調理室2内に供給されていく。
【0025】
油煙Uを除去して外部に排出される油煙Uの量を低減する油煙量低減手段10は、図2および図3に示すように、主に、シリカ、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムの成分で作られており、略円形形状であったり、略長方形や略正方形等の多角形形状であったりする。そして、油煙量低減手段10は、油煙Uを水蒸気と二酸化炭素に分解する触媒11(主に触媒11は白金PtやパラジウムPd等から構成されている)を有しており、調理室2と排気経路9との接続部近傍または排気経路9内に配置されている。
【0026】
また、油煙量低減手段10は、油煙Uが調理室2内に滞留しない程度の開口面積を有する孔12を備えた構成になっている(例えば、油煙量低減手段10は、図3に示すように、直径が100mmの略円形の大きさで、且つ油煙量低減手段10が配置される排気経路9部分の断面積の50%以上の開口面積を持つ格子状の孔12を持つ等)。
【0027】
そして、図2に示すように、油煙量低減手段10に設けられた多くの格子状の孔12の部分に触媒11を配置しており、油煙Uが格子状の孔12を通過するときに触媒11と接触するようになっている。その結果、油煙Uは触媒11により水蒸気と二酸化炭素に分解される。
【0028】
なお、排気経路9は、調理室2の左右側面部や背面部と接続されてもよいが、調理室2内の空気を強制的に排出する送風手段を設けず、調理室2内の空気の自然な流れで調理室2内の空気を排気経路9から排出させる構成の場合は、調理室2内で加熱された空気や油煙Uは、上昇気流により調理室2の上面部2bへ移動するので、図1に示すように、排気経路9を調理室2の上面部2bと接続させることにより、油煙Uを調理室2から加熱調理器1外へ効率的に排出することができ、排気経路9内または排気経路9の調理室2との接続部近傍に配置された油煙量低減手段10により、効率的に水蒸気と二酸化炭素に分解することができる。
【0029】
また、油煙量低減手段10は、排気経路9近傍の調理室2内に配置されてもよい。
【0030】
また、図4に示すように、調理室2内の空気を強制的に排出する送風手段16を設けてもよい。
【0031】
油煙量低減手段10を加熱する第三の加熱手段13は、油煙量低減手段10と調理室2との間に配置され、少なくとも第一の加熱手段4または第二の加熱手段5が被加熱物3を加熱して調理している間は通電されて、油煙量低減手段10を加熱するものである。
【0032】
また、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5は、制御手段14により制御される。
【0033】
以上のように構成された加熱調理器1について、以下その動作、作用を説明する。
【0034】
まず、使用者が焼き網6に被調理物3を載せ、その焼き網6を受皿7に収納し、扉8の閉成動作と連動させて受皿7を調理室2内に収納する。その後、調理開始ボタン(図示せず)を押すと、被調理物3を加熱する調理工程が開始する。
【0035】
調理工程が開始すると、制御手段14は調理室2内にある第一の加熱手段4および第二の加熱手段5に通電する。被調理物3が調理室2内の所定の位置に収納されると、第一の加熱手段4は被調理物3の下方に、また第二の加熱手段5は被調理物3の上方にそれぞれ配置されるので、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5が通電されることにより、被調理物3は、主に第一の加熱手段4および第二の加熱手段5の放射熱により加熱されることになる。
【0036】
そして、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5が被調理物3を所定時間加熱することにより、被調理物3は加熱調理されることになる。
【0037】
一方、制御手段14は、図5に示すように、第一の加熱手段4の温度Tkおよび第二の加熱手段5の温度が加熱手段所定温度Tb以下になるように第一の加熱手段4を制御する(第一の加熱手段4および第二の加熱手段5がシーズヒータ等で構成され、ヒータ電力が略同等の場合、第二の加熱手段5の温度推移は、第一の加熱手段4の温度推移と略同等であるので、図5では、第二の加熱手段5の温度推移を省略した)。
【0038】
また、第三の加熱手段13が通電されることにより、図6に示すように、油煙量低減手段10および触媒11が触媒所定温度Tsh以上に加熱される。
【0039】
調理工程中に、加熱調理器1外の空気が吸気口1aから調理室2内に供給されるとともに、魚等の被調理物3から発生した油煙U等は、調理室2内の空気とともに油煙量低減手段10に供給される。油煙量低減手段10に供給された油煙Uは、油煙量低減手段10に設けられ且つ触媒所定温度Tsh以上に加熱された触媒11により水蒸気と二酸化炭素に分解され、その後、排気経路9を介して加熱調理器1外へ排出されていく。
【0040】
被調理物3が所定時間加熱されると、調理工程が終了する。そして、使用者は、扉8を手前に引くことにより、加熱調理された被調理物3を調理室2から取り出すことができる。
【0041】
以上のように、本実施の形態によれば、図5に示すように、第一の加熱手段4の温度Tkおよび第二の加熱手段5の温度が加熱手段所定温度Tb(本実施の形態では500℃)以下になるように、制御手段14は第一の加熱手段4および第二の加熱手段5の通電を制御する。
【0042】
第一の加熱手段4の温度が何℃のときに、何℃の油Aが第一の加熱手段4に滴下すると発火する境界線Bを示す図7を、実験を繰り返して導きだした。図7に基づくと、第一の加熱手段4の温度Tkが500℃のとき、滴下する油Aの温度が200℃未満であれば、第一の加熱手段4に滴下する油Aは発火しない(この結果は、第二の加熱手段5の温度と油Aの温度の関係も同様である)。
【0043】
一方、さんまや鶏もも肉等、油Aや水を多く含む被調理物3の調理工程中の表面温度Thおよび内部温度Tnの温度推移を表したのが図8であり、図8に示すように、さんまや鶏もも肉等、油Aや水を多く含む被調理物3の表面温度Thは最高で約180℃、内部温度Tnは最高で約100℃であり、200℃には至らないので、被調理物3から出てくる油Aの温度は200℃未満である(油Aや水をあまり含まない被調理物3は表面温度Thは200℃よりも高くなる可能性があるが、その代わり、第一の加熱手段4に滴下したり、飛散して第二の加熱手段5に付着したりするほどの量の油Aが出てこなくなる)。
【0044】
したがって、制御手段14が第一の加熱手段4の温度Tkおよび第二の加熱手段5の温度が500℃以下になるように制御することで、図9に示すように、被調理物3から出てくる油Aが第一の加熱手段4に滴下したり、被調理物3がさんま等の場合は調理工程中に身がはじけたりして油Aが飛散し第二の加熱手段5に付着したりしても、油Aは発火しないことになる。
【0045】
それゆえ、油Aが発火したことにより被調理物3が焦げたりすることを防止することができるので、被調理物3の調理性能が低下するのを低減することができる。
【0046】
それから、図10に示すように、第一の加熱手段4の温度Tkおよび第二の加熱手段5の温度が450℃以上あると、被調理物3の調理性能はよいが、450℃より低くなると、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5が被調理物3に与える熱量が少なくなるので、所定の調理時間では被調理物3の焼きが弱くなり、調理性能が低下してしまったり、調理時間を長くする必要が生じてしまう。
【0047】
一方、第一の加熱手段4の温度Tkおよび第二の加熱手段5の温度が500℃より高いと、第一の加熱手段4に滴下した油Aが発火して炎Hが発生して被調理物3を焦がしてしまったり、飛散して第二の加熱手段5に付着した油Aが発火して炎Hが発生し、そのまま被調理物3に落下して被調理物3が焦げてしまったりするので、調理性能が低下する。
【0048】
したがって、制御手段14は、第一の加熱手段4の温度Tkおよび第二の加熱手段5の温度を450〜500℃になるように制御することにより、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5が被調理物3に与える熱量が不足して被調理物3の調理性能が低下するのを低減することができるとともに、調理工程中に被調理物3から出てきた油Aが第一の加熱手段4に滴下したり、飛散して第二の加熱手段5に付着したりしても、油Aが発火するのを防止することができ、油Aが発火したことにより被調理物3の調理性能が低下するのを低減することができる。
【0049】
それから、一般に、熱放射は、波長が光より長い電磁波、つまり赤外線放射であり、赤外線は特別に強い熱放射を持っている。その理由は、赤外線の振動数が、物質を構成している分子の固有振動とほぼ同程度の範囲であるため、物質に赤外線が当たると電気的な共振を起こして、そのエネルギーが無駄なく物質に吸収されるからである(高嶋廣夫著「やさしい遠赤外線工学」工業調査会出版、1988年12月5日、P14)。
【0050】
それゆえ、主に第一の加熱手段4および第二の加熱手段5からの放射熱により加熱される被調理物3は、赤外線を最も多く受ける温度で加熱されるのが最も効率的である。
【0051】
一方、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5がシーズヒータの場合、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5は500℃を越えると赤熱してくる、すなわち、光成分を放出し始める。しかしながら、光成分は熱としては無駄なエネルギーである(高嶋廣夫著「やさしい遠赤外線工学」工業調査会出版、1988年12月5日、P90)ので、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5は、光成分を放出しない温度で且つ最も高い温度で被調理物3を加熱するのが最も望ましい。すなわち、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5は、500℃近傍で被調理物3を加熱するのが最も効率的である。
【0052】
それゆえ、第一の加熱手段4の温度Tkおよび第二の加熱手段5の温度が500℃近傍になるように、制御手段14は第一の加熱手段4および第二の加熱手段5を制御することにより、油Aが第一の加熱手段4に滴下したり、飛散して第二の加熱手段5に付着したりしても発火せずに被調理物3が焦げたりするのを防止することができるとともに、第一の加熱手段4および第二の加熱手段5は赤外線を最も多く放出して被調理物3を加熱することができるので、効率的に被調理物3を調理することができる。
【0053】
なお、制御手段14は、図11に示すように、第一の加熱手段4への通電をONしてOFFすることを繰り返すON−OFF時間制御で第一の加熱手段4を制御するようにして、第一の加熱手段4の温度Tkが加熱手段所定温度Tb(本実施の形態では500℃)以下になるように制御してもよい。このことは、第二の加熱手段5の場合も同等なので、説明を省略する。
【0054】
また、制御手段14は、図12に示すように、第一の加熱手段4の温度Tkが加熱手段所定温度Tb(本実施の形態では500℃)に到達すると、ON−OFF時間制御で第一の加熱手段4を制御するようにしてもよい。この場合は、第一の加熱手段4の温度Tkが加熱手段所定温度Tbになるまで制御手段14は常に通電するので、第一の加熱手段4の温度Tkは早く加熱所定温度Tbに到達することになり、調理時間が長くなるのを低減することができる。このことは第二の加熱手段5の場合も同等なので説明を省略する。
【0055】
また、制御手段14は、第一の加熱手段4の温度Tkが加熱手段所定温度Tb(本実施の形態では500℃)に到達すると、図13に示すように、一周期毎に第一の加熱手段4を位相制御することにより、第一の加熱手段4の温度Tkが加熱手段所定温度Tbに到達後、第一の加熱手段4の温度Tkの温度幅ΔTをON−OFF制御よりも小さくすることができるので、加熱手段所定温度Tbに近づけることができ、被調理物3に多くの熱量を与えることができる。それゆえ、調理性能を向上させたり、調理時間を短縮したりすることができる。このことは第二の加熱手段5の場合も同等なので説明を省略する。
【0056】
また、図7に示す第一の加熱手段4の温度Tkが何℃のときに、何℃の油Aが滴下すると発火する境界線Bを見出した実験は、図14に示す構成で行ったものであり、このときの受皿7の温度は300℃で行ったものである。そして、この実験では、滴下する油Aは発火して炎Hが出ても、その炎Hが受皿7に溜まった油Aには引火しなかった。
【0057】
そのため、図14に示すように、少なくとも第一の加熱手段4の温度Tkが500℃で、滴下する油Aの温度が200℃未満で、且つ油Aが溜まる受皿7の温度が300℃以下の場合は、第一の加熱手段4に油Aが滴下して発火し、その炎Hが受皿7内に移っても、受皿7内の油Aは発火しないものである。
【0058】
このことは、第二の加熱手段5の場合も同等なので説明を省略する。
【0059】
それゆえ、受皿7に水を入れずに調理する水無の加熱調理器1の場合や、受皿7に水を入れる加熱調理器1で使用者が受皿7に水を入れ忘れて調理をしてしまった場合でも、図1に示すように、受皿7に当接または受皿7の近傍に配置された受皿温度検知手段15が検知する温度が、受皿所定温度(本実施の形態では、受皿7内の油Aの温度が300℃のときに受皿温度検知手段15が検知する温度)以下になるように、制御手段14が第一の加熱手段4および第二の加熱手段5を制御することにより、万が一、第一の加熱手段4に滴下する油Aが発火して、そのまま受皿7内に溜まっている油Aに移ったり、飛散して第二の加熱手段5に付着した油Aが発火して、そのまま受皿7内に溜まっている油Aに移ったりしても、受皿7内の油Aが発火することを防止することができる。
【0060】
したがって、受皿7に水がなくても、受皿7内に溜まっている油Aが発火することを防止することができ、安全な加熱調理器1を提案することができる。
【0061】
また、受皿7内に溜まっている油Aが発火して被調理物3を焦がしてしまって調理性能が低下するのを低減することができる。
【0062】
同時に、受皿7内の油Aの温度が300℃以下になるように制御手段14が第一の加熱手段4または第二の加熱手段5を制御するので、受皿7の温度は300℃を越えることがない。それゆえ、受皿7にフッ素塗装をすることができる(フッ素の耐熱は300〜350℃)ので、調理工程後、使用者は、受皿7のお手入れを容易に行うことができ、加熱調理器1の使い勝手を向上させることができる。
【0063】
なお、図1に示すように、調理室2内で発生する油煙Uの少なくとも一部を除去する油煙量低減手段10と、油煙量低減手段10を加熱する第三の加熱手段13とを備えることにより、調理室2内で発生する油煙Uを油煙量低減手段10で水蒸気と二酸化炭素に分解することができるので、排気経路9から排出される油煙Uの量を低減することができ、台所を油煙Uで汚してしまうのを低減することができる。
【0064】
特に、第一の加熱手段4に滴下したり、飛散して第二の加熱手段5に付着したりした油Aは、発火しないが、油煙Uとして発生する量が増加する可能性があるので、油煙量低減手段10を備えることにより、調理室2内で油煙Uの量が増加しても、排気経路9から排出される油煙Uの量を低減することができる。
【0065】
また、図6に示すように、油煙量低減手段10に配置される触媒11は、触媒所定温度Tsh(本実施の形態では400℃)以上に加熱されると触媒能力が向上するので、図1に示すように、油煙量低減手段10は、触媒所定温度Tsh(本実施の形態では400℃)以上に加熱されるように、第三の加熱手段13により直接加熱される構成としている。
【0066】
また、図15に示すように、第二の加熱手段5が油煙量低減手段10も加熱する構成とすれば、第三の加熱手段13を別途設ける必要がないので、低コストで且つ省スペースな構成にすることができる(第二の加熱手段5も調理工程中は少なくとも400℃以上に加熱されるので、油煙量低減手段10も400℃以上に加熱される)。
【0067】
なお、図16に示すように、調理室2の左右側面や後部側面に、被調理物3を側方から加熱する側方加熱手段17を備えた構成にしてもよい。側方加熱手段17を備えると、被調理物3は側方加熱手段17により、側方からも加熱されるので、より均一に加熱されるので、調理性能が向上したり、調理時間が短縮されたりするとともに、側方加熱手段17を加熱手段所定温度以下(本実施の形態1では500℃以下)にすることにより、被調理物3から油Aが飛散して付着しても、油Aが発火するのを防止することができるので、被調理物3が油Aの発火により焦げるのを低減することができ、調理性能が低下するのを低減することができる。
【0068】
また、図17に示すように、電磁誘導調理器18は、上記に記載した加熱調理器1を搭載することにより、電磁誘導加熱は元来、炎を出さすに加熱する方式であるので、加熱調理器1内の調理性能が低下せず、且つ電磁誘導で加熱する部分も加熱調理器1部分も炎が発生しない構成とすることができるので、安全な電磁誘導調理器18を提案することができる。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように、本発明にかかる加熱調理器は、第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度を、油が滴下したり付着したりしても発火しない加熱手段所定温度以下にすることで、調理工程中に被調理物から流出してくる油が加熱手段に滴下したり付着したりして発火するのを防止することができ、油が発火することで被調理物が焦げたりすることを防止することができるので、被調理物の調理性能が低下するのを低減することができ、業務用の加熱調理器等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の断面図
【図2】同加熱調理器の油煙量低減手段近傍の部分拡大断面図
【図3】同加熱調理器の油煙量低減手段の斜視図
【図4】同加熱調理器の送風手段を備えた場合の加熱調理器の断面図
【図5】同加熱調理器の調理工程中の第一の加熱手段の温度推移を表す図
【図6】同加熱調理器の油煙量低減手段に配置された触媒の温度と油煙分解能力の関係を示す図
【図7】第一の加熱手段の温度に対し滴下する油の温度が何℃で発火するかの関係を表す図
【図8】同加熱調理器の調理工程中の被調理物の表面温度および内部温度の温度推移を表す図
【図9】同加熱調理器の第一の加熱手段および第二の加熱手段を加熱手段所定温度以下に制御したときに油が第一の加熱手段に滴下したり、飛散して第二の加熱手段に付着したりしたときの状態を示す図
【図10】同加熱調理器の第一の加熱手段および第二の加熱手段の温度と調理性能関係を表す図
【図11】同加熱調理器の第一の加熱手段をON−OFF制御した場合の第一の加熱手段の温度推移および第一の加熱手段の入力電力を表す図
【図12】同加熱調理器の第一の加熱手段の温度が加熱手段所定温度到達後、第一の加熱手段をON−OFF制御した場合の第一の加熱手段の温度推移および第一の加熱手段の入力電力を表す図
【図13】同加熱調理器の第一の加熱手段の温度が加熱手段所定温度到達後、第一の加熱手段を位相制御した場合の第一の加熱手段の温度推移および第一の加熱手段の電流波形を表す図
【図14】第一の加熱手段に油が滴下して発火した炎が受皿に溜まっている油に移動した場合の状態を示す図
【図15】同加熱調理器の第二の加熱手段が油煙量低減手段を加熱することを兼用した場合の構成図
【図16】同加熱調理器の調理室の側面に側方加熱手段を設けた場合の、調理室を前方から見た時の縦断面図
【図17】加熱調理器を搭載した電磁誘導調理器の概観図
【図18】従来の加熱調理器の横方向から見た縦断面図
【図19】同加熱調理器の調理工程中の第一の加熱手段の温度推移を表す図
【図20】同加熱調理器の第一の加熱手段に被調理物の油が滴下して発火したり、油が飛散して第二の加熱手段に付着して発火したりした場合の状態を表す図
【符号の説明】
【0071】
1 加熱調理器
2 調理室
3 被調理物
4 第一の加熱手段
5 第二の加熱手段
6 焼き網
7 受皿
10 油煙量低減手段
13 第三の加熱手段
14 制御手段
15 受皿温度検知手段
17 側方加熱手段
18 電磁誘導調理器
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−5875(P2008−5875A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176195(P2006−176195)