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【発明の名称】 カーペット
【発明者】 【氏名】遠藤 浩

【氏名】鈴木 真一

【氏名】斎藤 徹司

【要約】 【課題】リノリウム様の光沢感・外観を呈することができると共に基準を満たす防炎性能を有し、展示会場やイベント会場などで使用するに好適な、カーペットを提供する。

【構成】ハロゲン非含有のパンチカーペット構造体1の表面にポリエチレン膜2をラミネートしたカーペットであって、該ポリエチレン膜におけるポリエチレンの付着量が80〜200g/m、好ましくは100〜180g/mであり、MFR値が25〜40g/10minであることを特徴とする。ポリエチレン膜は、異なるMFR値のポリエチレンの混合材料からポリエチレン膜が形成されても良い。ポリエチレン膜の表面にはエンボス加工が施されても良い。ポリエチレン膜の表面にさらにハロゲン非含有樹脂材料から形成される印刷フィルムがラミネートされても良い。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハロゲン非含有のパンチカーペット構造体の表面にポリエチレン膜をラミネートしたものであって、該ポリエチレン膜におけるポリエチレンの付着量が80〜200g/mであり、MFR値が25〜40g/10minであることを特徴とするカーペット。
【請求項2】
ポリエチレン膜におけるポリエチレンの付着量が100〜180g/mである、請求項1記載のカーペット。
【請求項3】
異なるMFR値のポリエチレンの混合材料からポリエチレン膜が形成される、請求項1または2記載のカーペット。
【請求項4】
ポリエチレン膜の表面にさらに、ハロゲン非含有樹脂材料から形成される印刷フィルムがラミネートされる、請求項1ないし3のいずれか記載のカーペット。
【請求項5】
ポリエチレン膜の表面または印刷フィルムの表面にエンボス加工が施される、請求項1ないし3のいずれか記載のカーペット。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、主として展示会場やイベント会場などで使用するに好適な、光沢感があり且つ防炎性能を有するカーペットに関する。
【背景技術】
【0002】
このような用途としては、従来より塩化ビニル樹脂を使用したもの(リノリウムなど)が多用されてきたが、重量が重いことから巻きメートルが少なく、幅も狭くならざるを得ないため、大面積の施工に多大な手間を要していた。また、塩化ビニル樹脂は燃焼時にダイオキシンや塩化水素などの有毒ガスを発生するため、塩化ビニル樹脂を用いたカーペットは焼却処理することができず、使用後の処理費用がかさむという大きな問題があった。
【0003】
このため、現在では、ポリプロピレンなどのハロゲン非含有樹脂繊維から製造したニードルパンチカーペットが広く普及するに至っている。その一例を非特許文献1として挙げる。
【非特許文献1】日東紡建材事業部門オンラインカタログ「ダンペット エコナイス」インターネット(URL http://www.nittobo.jp/kw/flooring/danpet en.html)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなニードルパンチカーペットは、リノリウムのような表面光沢感がなく、展示会場やイベント会場などで用いる際の外観上の要求を必ずしも満足することができない。
【0005】
また、リノリウム外観を持ちハロゲン非含有樹脂から成るカーペットは、消防法施行規則第4条の3第3項ないし第7項に規定する防炎性能試験基準を満たすことができず、防炎性能が不十分である。
【0006】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、リノリウム様の光沢感・外観を呈することができると共に基準を満たす防炎性能を有し、展示会場やイベント会場などで使用するに好適な、カーペットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題を解決するため、本発明によるカーペットは、ハロゲン非含有のパンチカーペット構造体の表面にポリエチレン膜をラミネートしたものであって、該ポリエチレン膜におけるポリエチレンの付着量が80〜200g/mであり、MFR値が25〜40g/10minであることを特徴とする(請求項1)。
【0008】
ポリエチレン膜におけるポリエチレンの付着量は、好ましくは100〜180g/mである(請求項2)。
【0009】
本発明の一つの好適な実施形態によれば、異なるMFR値のポリエチレンの混合材料からポリエチレン膜が形成される(請求項3)
【0010】
ポリエチレン膜の表面にさらに、ハロゲン非含有樹脂材料から形成される印刷フィルムをラミネートしても良い(請求項4)。
【0011】
ポリエチレン膜の表面または印刷フィルムの表面にエンボス加工を施しても良い(請求項5)。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカーペットは、ハロゲン非含有のパンチカーペット構造体の表面にポリエチレン膜をラミネートして成るので、比較的軽量であって施工性に優れ、使用後は焼却により安価で且つ大気汚染の問題を生ずることなく処分可能であり、リノリウム様の光沢感・外観を呈することができ、また、消防法上の基準を満たす防炎性能を確保することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は本発明の好適な一実施形態によるカーペットを示し、ハロゲン非含有のパンチカーペット構造体1の表面にポリエチレン膜2がラミネートされている。製法の一例としては、低密度ポリエチレン(LDPE)をTダイにより押し出してポリエチレン膜2を成形すると共に、この押し出し速度に同期した速度であらかじめ作成したパンチカーペット構造体1を移送し、パンチカーペット構造体1上にポリエチレン膜2をラミネートする。ポリエチレン膜2の表面には必要に応じてエンボス加工が施され、リノリウム様の外観により近づけると共に、水ぬれなどの場合に滑り止め効果を与える。
【0014】
この実施形態におけるパンチカーペット構造体1は、ポリプロピレンなどの短繊維ウエブから成る層1aと、ポリプロピレン織布などから成る層1bと、ポリプロピレンなどの短繊維層がSBR系樹脂などで裏面コーティングされて成る層1cとを有する3層構造のニードルパンチカーペットとして示されている。なお、パンチカーペット構造体1はこれに限定されるものではなく、単層または任意数の積層構造体であって良く、各層の材料もハロゲン非含有の条件を満たすものであれば特に限定されない。
【0015】
パンチカーペット構造体1の表面にポリエチレン膜2をラミネートするに際しては、消防法に規定される基準を上回る防炎性能を確保するよう配慮しなければならない。本発明者による試験研究の結果、ポリエチレン膜2におけるポリエチレンの付着量およびJIS K−7210によるMFR値(Melt Flow Rate、溶融指数)を各々所定の範囲とすることによって所期の防炎性能が得られることが見出された。
【0016】
すなわち、図1に示すような3層構造のパンチカーペット構造体1を用い、ポリエチレンの付着量とMFR値を様々に変えてポリエチレン膜2を形成したカーペットについて、防炎性能および耐久性についての試験を行ったところ、表1に示す結果が得られた。なお、パンチカーペット構造体1を作成するに当たっては、織度6.6dtex、織度長76mmのポリプロピレン短繊維100%をカード機により開繊して200g/mの短繊維ウエブを形成した後、その表面から、ポリプロピレンテープヤーン織布を針密度200パンチ/cmのニードルパンチによりラミネートすることにより、表面にポリプロピレン短繊維ウエブから成る層1a、中間にポリプロピレン織布から成る層1b、裏面にはポリプロピレン織布層1bからニードルパンチによって飛び出したポリプロピレン短繊維から成る層を有する3層構造のニードルパンチカーペットを得、その後、裏面にSBR系樹脂をコーティングし乾燥熱処理して、ポリプロピレン短繊維層がSBR系樹脂コーティングされて成る層1cを形成し、図1に示すようなパンチカーペット構造体1を作成した。このパンチカーペット構造体の重量は600g/mであった。
【0017】
じゅうたん等についての防炎性能試験基準は、消防法施行規則第4条の3第3項ないし第7項を根拠法令として、40×22cmの試験体6体(縦3体、横3体)について、45度エアーミックスバーナー法による試験(火炎長24mm、加熱時間30秒)を行って、残炎時間20秒以下且つ炭化長10cm以下の場合に防炎性能あり(防炎物品)と認められる。上記のようにして作成したパンチカーペット構造体1について、この試験を行ったところ、表1に示す結果が得られた。表1中の○は防炎性能が十分に認められたこと、△は試験体によって防炎性能を満たすものと満たないものがあったこと、×は防炎性能を満たさなかったことをそれぞれ示している。
【0018】
また、各試験体について、JIS L−1023による耐摩耗性試験において、摩耗輪H−38で1000回摩耗を行い、摩耗減量により評価を行った。表1中の◎は摩耗減量130mg未満、○は摩耗減量130mg以上150mg未満、×は摩耗減量150mg以上であったことをそれぞれ示している。
【0019】
【表1】


【0020】
表1の結果から、ポリエチレン膜2におけるポリエチレンの付着量については、180g/mの場合に最も優れた効果を発揮することが分かった。ポリエチレン付着量についてはあまりに少なすぎると光沢感を現出することができず、JIS L−1023耐摩耗性試験による耐久性に劣るため、その下限値は80g/m、好ましくは100g/m以上であることを要するが、表1にも示されるように、180g/mを超える付着量とするとポリエチレンが燃焼するので、200g/mを上限とする。
【0021】
一方、ポリエチレン膜2におけるポリエチレンのMFR値については、MFR値=45g/10minとした場合には付着量を180g/mにしても防炎性能を満たすことができず、MFR値=25g/10minとした場合には付着量180g/mのときに防炎性能が基準を満たすか否かのボーダーラインにあり、MFR値=45g/10minのポリエチレンとMFR値=25g/10minのポリエチレンを混合してポリエチレン膜2を形成した場合(混合割合50:50、混合ポリエチレンとしてのMFR値=38g/10min)には付着量180g/mのときに十分に基準を満たす防炎性能が得られた。このことから、ポリエチレン膜2におけるポリエチレンのMFR値は25〜40g/10minの範囲内であることが必要である。
【0022】
なお、MFR値はポリエチレン樹脂の流動性を示すところ、MFR値が高すぎると、着火した部分が溶融軟化して隣接部に移動し、着火部分のポリエチレンが少なくなって残炎時間が短くなるものの、着火したポリエチレンが移動した後の隣接部をも発炎させてしまうこととなり、炭化長が長くなってしまうものと推測される。反対にMFR値が低いと、溶融軟化したポリエチレンが移動することによる隣接部の発火は少なくなるものの、ポリエチレン自身が可燃性であることから着火部分での残炎時間が長くなり、その結果として防炎性能が低下するものと推測される。
【0023】
また、MFR値=45g/10minのポリエチレンとMFR値=25g/10minのポリエチレンを混合してポリエチレン膜2を形成した場合は、その混合ポリエチレンとしてのMFR値がこれらの中間的な好ましい値となるだけでなく、異なるMFR値を有する2種のポリエチレンの溶融開始温度にずれが生ずることによってさらに防炎性能を向上させる効果が発揮されるものと推測される。
【0024】
図2は本発明の他の好適な実施形態によるカーペットを示し、ポリエチレン膜2の表面にさらに印刷フィルム3がラミネートされている。印刷フィルム3はポリエチレン、ポリプロピレンなどのハロゲン非含有樹脂材料から形成されるので、この実施形態の場合も、ポリエチレン膜2におけるポリエチレンの付着量およびMFR値が上述の範囲内にあれば、消防法上の防炎性能基準を満たすことができると共に、印刷フィルム3によって任意の意匠性を付与することができる。
【0025】
なお、図には示されていないが、カーペットを作成後、ディンプル柄やストライプ柄など任意に所望する柄をエンボス加工することができ、この場合の加工条件は適宜選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の好適な一実施形態によるカーペットを示す積層断面図である。
【図2】本発明の他の好適な実施形態によるカーペットを示す積層断面図である。
【符号の説明】
【0027】
1 パンチカーペット構造体
2 ポリエチレン膜
3 印刷フィルム
【出願人】 【識別番号】000109037
【氏名又は名称】ダイニック株式会社
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生


【公開番号】 特開2008−6039(P2008−6039A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−179026(P2006−179026)